GALLOP

【ぎゃろっぷ】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 アーケード
発売・開発元 アイレム
稼働開始日 1991年
判定 なし
ポイント アイデアは面白いのだが……
極端なパターンゲーである点が難
R-TYPEシリーズ


概要

近未来が舞台の横スクロールシューティング。1周5面構成で、2周クリアでゲーム終了となる。
何らかの原因で突如頻発した大型兵器暴走事件を、武装警察の戦闘機『R-11 "PEACE MAKER"』*1が次々と鎮圧する…という筋書き。

シューティングにレースの要素を明確に組み合わせたゲームで、「タイムアタック」の要素を前面に押し出した特徴的なシステムを持つ。
同様のコンセプトの作品としては、ライジングの『疾風魔法大作戦』やニチブツの『SECTOR ZONE』が存在する。

システム

  • 後述する「スクロール加減速」を除けば、基本的には1レバー2ボタン操作・残機制の一般的な横スクロールのシューティング。アイテムによるパワーアップと、サブウエポンの概念も存在。
    • Aボタンでセミオート連射のショットとマニュアル連射のサブウエポンを同時発射し、Bボタンでフルオートで高速連射される「ロックオンレーザー」を発射。ロックオンレーザー発射中は、Aボタンを押してもショットが発射されない(サブウエポンは発射される)。
      • パワーアップアイテムを取得すると、ショットとロックオンレーザーが強化される。2個装備するとフルパワーだが、ミスすると初期状態に戻される。
      • ロックオンレーザーは非常に強力だが、画面下部に表示されているエネルギーを消費して撃つ。延々垂れ流せる訳ではないが、ゲージは「ロックオンレーザーを使用していない時間」に比例して自然回復する。その他、ロックオンレーザーのエネルギーを回復するアイテムも所々に落ちている。
      • サブウエポンは全部で3種類存在するがパワーアップはせず、複数のサブウエポンを同時に装備出来ない。性能はいずれも高く、使いこなせればショットやロックオンレーザー以上に頼れる装備になる可能性を秘める。
  • そして、本作最大の特徴である「スクロール加減速」システム。自機が画面右端に寄っているほど「加速」し、逆に画面左端に寄っているほど「減速」する。
    • 加速するとスクロール速度が上昇し、タイムアタック要素であるクリア時間を短縮する事ができる。素早くクリアするほどクリアタイムボーナスが高くなる他、ステージ別のクリアタイムはハイスコアとは別の項目として記録される。
      • 加速に合わせ、マップに依存して配置された敵が素早いペースで出現する事になる為、高速進行は基本的にハイリスクハイリターン。
      • なお地形ギミックの発動周期や敵の攻撃周期の都合等により、スコアやタイム目的でなくとも加速した方が安全な場面もある。
  • 本作は敵・および敵弾に接触するとミスになるが、地形と接触した場合は「サブウエポンが壊れて無くなる」だけでミスにはならない。ただし、地形と画面端に挟まれた場合はミスとなる。

評価点

  • グラフィックや雰囲気はなかなかのもの。
    • 鈍い金属的な質感で構成されたSFデザインを、綿密なドットグラフィックで見事に描いている。
    • 各面開始前にブリーフィングを行うシーンが挿入される為、雰囲気は十分。アーケードシューティングにありがちな「ストーリーの具体的な説明がゲーム中何も無い」という感覚は本作には薄い。
  • 自機の攻撃性能が(当時としては)相当高く、回避より攻撃に重きが置かれるシーンでは非常に爽快。
  • 独特の疾走感と怪しさを併せ持った、冷牟田卓志氏*2の手掛けたBGMは評価が高い。
    • 1面の曲『The Funky Flamingo』は普通にプレイしているとボスに到達して聞けないフレーズがあるほど曲が長かったりするのも特徴。

問題点

  • 元々覚えゲーの多いシューティングの中でも、ステージ構成の暗記と攻略がイコールになりすぎている。
    • 自機が大きすぎる上に移動速度が遅い為、1周目の中盤からはアドリブを織り交ぜた進行がほとんど不可能であり非常に窮屈。
      • 敵弾に対する接触判定は自機の見た目よりかなり小さいのだが、敵本体と地形に対する接触判定はほぼ見た目通りで厳しい。
    • 無理に加速せず低速進行すれば多少マシにはなるが、1周目中盤からはザコのたった1編隊でも強敵というケースが多く、本当に「高速進行よりはマシ」程度の難度緩和にしかならない。
      • またシステムの項でも述べたように、低速だとかえって危険になる場面もあるため、緩急の切り替えが必須。
  • そもそも基本構造が、加速システムとシューティングの相性の悪さに対する考慮に欠けている。
    • 進行方向側の画面端に近づけば近づくほど猛烈な速度で画面端から敵や地形が出現するという、人間の動体視力の観点から言って無理が生じがちな構成にもかかわらず、従来のシューティングゲーム同様にそこらの小さなザコ敵と一度接触しただけでも即ミスになる点がシビア。
      • たとえフルパワーのロックオンレーザーを駆使しても、耐久力があるザコの編隊が相手であれば出現即撃破とはいかない。その為、回避能力に欠けた自機での回避テクニックをマスターする必要がある。

総評

覚えゲーが悪いとは言わないが、あまりにも極端過ぎる。全てが初見殺しというゲーム構成は如何な物だろうか。
グラフィックもBGMも良く、ゲーム自体も別につまらない訳では無い。それだけに、システム面の問題や難易度が原因であまり人気が出なかったのは残念という他無い。

強いて他の難を挙げるならば、家庭用移植がなされていないのでプレイ方法が希薄な事くらいか。
レアゲーなのでゲームセンターで見かけたらやってみると良いだろう。但し、いざ攻略するとなれば腰を据えての真剣勝負となる事は避けられない。


移植

  • アーケードアーカイブス含め移植されていないが、海外ではPCソフト『Irem Arcade Hits』に収録されており、DL販売サイトも多く値段も1,000円程度(セール時にはワンコインくらい)と入手も容易である。

余談

  • 本作の海外タイトルは『Cosmic Cop』。
    • タイトルが変更され、タイトル画面での「Gallop」というタイトルコールが削除された以外は基本的に同一の内容である模様。
    • 「近未来の武装警察の活躍を描く」という本作の筋書きからすれば、海外タイトルの方が内容に合ったネーミングとも言える。
  • スコア桁数に対し各面を高速クリアした際の配点が高すぎる為、スコア部門の記録は99万9999点でカンスト達成されてしまっている。
    • スコアは6桁だが、ノーミスで高速クリアすると1面ごとに10万点以上稼げる。本作は全10面構成(1周5面構成の2周エンド)である為、あとはお察しである。
      • もっとも、本作は前述した通り「各ステージ毎のクリアタイム」もハイスコアから独立した項目として記録されるのだが。
  • 本作の機体(の所属)は、武装警察である事以外は特に言及されていない…はずなのだが、ネット上では「石川県警」というあだ名で呼ばれる事がある。
    • 理由に「当時のアイレムの本社は石川県にあった」というが、本作が出た当時アイレムの本社は大阪にあったので*3そもそもこの理由自体が間違っている。
    • いつ頃から「石川県警」というあだ名で呼ばれるようになったのかは不明だが、おそらくは後述の『R-TYPE Δ』における後付設定付加時から考えると、同作の発売時は開発/発売元が既に旧アイレムから事業譲渡を受けた「アイレムソフトウェアエンジニアリング」であり、その当時の本社住所が石川県だったことが由来ではないかと思われる。
  • 本作以降の作品において後付設定が追加されている。
    • R-TYPE Δ』にて“サタニック・ラプソディー”、つまり『Δ』のストーリーと本作での大型兵器暴走事件が同時期の出来事である設定に。
      • 『R-TYPE』シリーズの根幹であるバイドの影響で大型兵器暴走事件が起きた設定も付加、本件は「デモンシードクライシス」と呼ばれる様になった。
    • R-TYPE FINAL』にて自機がパトロールスピナー「R-11B "PEACE MAKER"(ピース・メーカー)」の名称で登場。フォースが装備されるなど武装がかなり異なっている。
      • 因みに『R-TYPE TACTICS』ではロックオンレーザーが(何故か)圧縮炸裂波動砲に換装されており、派生機であるR-11Sシリーズにロックオンレーザーが受け継がれている。
  • R-TYPE FINAL 2』では歴代『R』のステージをリメイクしたオマージュステージが作られた。『GALLOP』を除いて。
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  • アイレム
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最終更新:2024年01月28日 11:26

*1 名称は、本作のインストラクションカードに記載されている。

*2 アイレムのAC作品では『エアデュエル』『クロスブレイズ』『剣豪』『アンダーカバーコップス』などを手掛けている。

*3 当時の販促ペーパーにも書かれていた住所は大阪府の住所。