真かまいたちの夜 11人目の訪問者

【しんかまいたちのよる じゅういちにんめのさすぺくと】

ジャンル サウンドノベル

対応機種 プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 チュンソフト
発売日 2011年12月17日
定価 【PS3/PSV】6,090円
【PSV】DL版:4,980円
廉価版 PlayStation 3 / Vita the Best
2013年4月25日
【PS3/PSV】3,570円
【PSV】DL版:2,940円
判定 なし (管理人裁定による)
ポイント 登場人物を一新し原点回帰
一部の気持ち悪いキャラクター
いろいろと詰めの甘さが目立つ
チュンソフトサウンドノベルシリーズ


概要

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』から実に5年ぶりに発売されたシリーズの完全新作。
前作で物語はいったん完結した為、登場人物、舞台、設定が一新された。PSV版は同ハードのローンチタイトルの1つでもある。
かまいたちの夜』(以下初代)への原点回帰をテーマに掲げ、「雪山の山荘」「謎のコートの男」など初代を彷彿とさせる要素も多く含まれている。


あらすじ

11月22日。小説家志望の青年、坂巻 快人は小説の題材を探しに岩手県・遠野へやってきた。
途中立ち寄った縁結びの神様「卯子酉様」に大学時代の友人・立花 京香との仲を祈ったところ、宿泊予定のペンション「ブラウニー」にて思わぬ再会を果たす。
喜ぶ快人だったが、ペンションでは奇妙な出来事が続く。
宿泊予定者は10人のはずなのに、なぜか客は11人。部屋が足りなくなったため、京香は宿泊客のうちの一人白河雪乃と同室することに。
さらに、各部屋に置かれた「今夜7時のサプライズ・パーティーをお楽しみに」という謎のウェルカムカード……。
7時を前に食堂へ集まる宿泊客たち。しかし時間を過ぎても何も起こらない。
オーナーがウェルカムカードを置いたのではないかと客の1人が尋ねるが、当のオーナーには心当たりがないと言う。
単なるいたずらかと思われたとき、食堂に雪乃が青ざめた顔で飛び込んでくる。
「お風呂に……人が……倒れてて……早く救急車を……!」
続いて雪乃は窓の方を見て驚きながら「あなた、誰…?」という謎めいた言葉を残して倒れてしまう。
露天風呂で発見される死体。真相を探り、身を守ろうとする宿泊客たち。しかし次々に死体は増えていき……。

+ 登場人物(長いので折りたたみ)

登場人物

  • 坂巻 快人(さかまき かいと) / CV:中村 悠一
    • 本作の主人公。名前変更は不可。小説家志望の青年で、小説の題材を探すべく遠野へとやってきた。京香とは大学時代の友人で「友達以上、恋人未満」というべき間柄。
      京香といい関係になりたくて事あるごとに気にしている点や、やや頼りないところは初代の主人公「透」を思わせる。
  • 立花 京香(たちばな きょうか) / CV:小清水 亜美
    • 本作のヒロイン。名前変更は不可。池谷とともに縁結びの神様「卯子酉様」の取材にやってきた駆け出しの編集者。池谷との関係は…。困っている人を見ると助けずにはいられない性格。
  • 池谷 雅也(いけたに まさや) / CV:緑川 光
    • 京香の上司で編集長。イケメンで立派な体格と非の打ち所のない男性。京香とは親しげにしている。事件では率先して推理、行動し犯人を突き止めようとする。
  • 白河 雪乃(しらかわ ゆきの) / CV:花澤 香菜
    • 16歳だが外見は幼く、中学生に見える少女。人見知りでおどおどしている。ペンション「ブラウニー」にフィギュアやポスターが飾られている、座敷わらしがモチーフのアニメキャラクター「ボッコちゃん」に似ている。
  • 烏飼 優太(うかい ゆうた) / CV:藤原 啓治
    • ペンション「ブラウニー」のオーナー。仕事の手際の悪さも見せるが料理の腕は一級品。
  • オーモリ / CV:杉田 智和
    • でっぷり太ったアニメオタクの青年。「異次元少女ポポリン」に登場する「ボッコちゃん」の限定フィギュアを求めて「ブラウニー」へやってきた。
  • 梅園 みゆき(うめぞの みゆき) / CV:植田 佳奈
    • 看護学校生二人組のうちの一人で、メガネをかけた文学少女風の女性。ガイドブック代わりに柳田國男の『遠野物語』をもってくるほどで、伝承などに興味がありやってきた様子。
  • 新貝 沙都美(あらがい さとみ) / CV:小笠原 亜里沙
    • 看護学校生二人組のうちの一人で、茶髪にミンクのマフラーをした派手ないでたちの女性。性格も見た目どおりで遠野にはみゆきに誘われてやってきたが、本人はあまり気乗りしていない様子。
  • 神林 龍之介(かんばやし りゅうのすけ) / CV:平野 正人
    • 口ひげをたくわえた熟年紳士。温和で気さくだが興奮するとタガの外れるところがある。銀婚式を前に妻と縁を結んでくれた「卯子酉様」にお礼参りをするために来た。
  • 神林 ローズ(かんばやし ローズ) / CV:一城 みゆ希
    • 龍之介の妻。外国人女性。一人目の殺人が発覚してからも安易に犯人探しをして誰かを疑うのはよくないと常に周りを諭し続ける。手相など占いに長けている。
  • 黒井 爽一郎(くろい そういちろう) / CV:金野 潤
    • ペンション内でもサングラス、マスク、トレンチコートを外さない怪しい風体の男。話しかけられてもほとんど答えず周囲と関わりを避けている。初代の「田中」を彷彿とさせる人物。
  • 赤城 恵美(あかぎ えみ) / CV:星野 千寿子
    • 中年女性。一番にペンションに到着していた宿泊客。ミステリー編では雪乃によって風呂場で亡くなっているのを発見される、最初の犠牲者。
  • 夢野 未来(ゆめの みき)
    • 全日本ノベル大賞を受賞した「白銅」によって一気に売れっ子になった小説家。それまでは多数の佳作を出しているものの注目されていなかった。覆面作家で世間には正体を知られていない。快人と沙都美は彼(彼女)のファン。

シナリオ

  • シナリオライターを複数起用
    • 今作では初代から脚本として参加している我孫子武丸氏や、第1作のディレクターであった麻野一哉氏の他、新たに黒田研二氏・小林泰三氏・田中哲弥氏・汀こるもの氏・山口芳宏氏といった作家陣や、本作のディレクターである醍醐頼希氏が執筆している。
    • メインシナリオである「ミステリー編」は黒田氏が執筆しており、我孫子氏は全ストーリーの監修と一部サイドストーリーの執筆を担当している。

シナリオ一覧

  • ミステリー編:殺人事件を推理によって解決するメインシナリオ。犯人を突き止めなければ次々と死体が増えていく。

事件を解決して「完」クリア後、「ピンクのしおり」を獲得。ミステリー編の別エンディングとDLCシナリオが解禁される。 さらに条件を満たすことでしおりが増えていき、選択肢が増えて新たなシナリオルートが追加される。

+ サブシナリオ
  • ピンクのしおり(ミステリー編「完」クリア後)
    • ミステリー編(別エンディング):ミステリー編の殺人事件そのものを回避する誰も死なないハッピーエンド。
    • 異次元少女ポポリン編:ミステリー編の「おさわり選択肢」で原稿用紙を発見することによって読み進められるおまけシナリオ。
    • 犯人当て 鎌鼬の夜編(解答編のみDLC):ミステリー編同様、トリックを見抜いて犯人を見つけ出すシナリオ。問題編と解答編に分かれている。
    • 混浴編(DLC):恒例のピンクのしおり入手後に見ることができるちょっとエッチなシナリオ。
    • 犯人当て 魔女審問編(DLC):京香が主人公。ミステリー編、鎌鼬の夜編と同じく本格推理シナリオ。トリックではなくアリバイを見抜くことがカギとなる。
    • みゆきとサトミ編(DLC):みゆきとサトミの過去を描いた番外編。ボイスドラマで構成されているシナリオ。選択肢以外は基本的にテキスト無しで進んでいく(バックログでは読める)。
    • 超次元探偵O編(DLC):オーモリを主人公としたギャグシナリオ。タイトルの通り、次元を超えての推理を繰り広げることになるが…。
  • 赤のしおり(ミステリー編「完」2種ともクリア後)
    • ビンゴ編:主人公が過去に執筆した小説を巡って、不可思議な出来事が次々に起こるシナリオ。
    • スパイ編:初代と同様にペンションを舞台に銃撃戦を繰り広げることになるアクションもの。主人公も麻酔銃を使ってテロリストに立ち向かう。
  • ボッコちゃんのしおり(ビンゴ編とスパイ編「完」クリア後)
    • 死神編:ミステリー編同様、死体が発見され犯人を推理することになるのだが…。ペンションに存在する「死神のルール」が分岐の鍵を握るシナリオ。
    • 妖怪編:ペンションに謎の赤い座敷わらしが現れ、それに続くように他の妖怪達も次々と…というギャグシナリオ。このシナリオのみフルボイスで、突拍子のない展開とギャグが次々と畳み掛けられる。
  • 黒のしおり(死神編と妖怪編「完」クリア後)
    • 陰謀編:シリーズ恒例の隠し怪文書。
  • 金のしおり(陰謀編を見た後)
    • 謎の怪文書:『2』の金のしおりと同様に突然バグのような現象が発生し現れる謎の怪文書とスタッフロール。全11種類を全て見ると「プラチナのしおり」を入手。

新システム

  • おさわり選択肢
    • 画面の気になる部分を選択して調べることができる。PSV版ではモーションセンサー機能を利用し、本体を傾けたり動かすことで実際にその場にいるかのように室内を調べることも可能。
  • 推理システム
    • 従来のように犯人の名前を入力するだけではなく、犯人が怪しい理由などを組み合わせる必要がある。
      • 例:A「このペンションにはタクシーでやってきた」B「座敷わらしに似ている」など二種類×数個の仮説の中から正しいと思う組み合わせを選ぶ。仮説が正しければさらに選択肢が出現する。
      • 組み合わせが何通りかある場合もある。
  • 1WAY選択肢
    • カーソルの動きが一方通行になっており、次の選択肢にあわせると前の選択肢は選べなくなる。カーソルがあっていない選択肢は「***」と伏字で表示されており見ることができない。
  • CHANGE選択肢
    • 選択肢が制限時間によって変化する。たとえば最初はAとBという選択肢があり、時間が経過することによりA、Bの選択肢が消滅し、CとDという新たな選択肢が出現する。変化後はAとBを選択することはできない。
  • SECRET選択肢
    • タイムゲージが減少するにつれ表示されていた選択肢が消え、新しい選択肢が表示される。消えた選択肢は元には戻らず選べなくなる。
  • 背景が実写から3Dになった
    • 一部実写の部分もあるがほぼ3Dになった。3Dであることを生かし映画のようにカメラが動いたりする。「おさわり選択肢」も3Dであることを生かした点と言えるだろう。
  • 登場人物に声がついた
    • 中村悠一氏・小清水亜美氏・花澤香菜氏・緑川光氏などいずれもベテランや人気声優揃い。全編フルボイスではなくパートボイスとなっており、要所要所で声付きの台詞が入ることにより物語を盛り上げてくれる。
  • オンラインでプレイできる「みんなでかまいたち」が登場
    • 最大100人でマルチプレイ可能。事件に関する容疑者の証言を集めたり、ほかのプレイヤーから事件に関する情報を集めて推理し、いち早く「犯人」「凶器」「死体の隠し場所」を突き止めることが目的。2014年1月20日にサービス終了となったので現在はプレイできない。
  • 二人同時プレイモード「ふたりでかまいたち」(PSV版のみ)
    • PS2版『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』にあった「ラブテスター篇」のようなシナリオで、PSVの左側を快人(男性)役、右側を京香(女性)役が持ち、前面/背面タッチを使用する。選択肢の組み合わせや、時折出現するミニゲームの結果により相性を占っていき、相性が良いほどシナリオを先へと読み進めることが可能になる。
    • シナリオは、ブラウニーで京香と再開した快人は、この機会に仲を深めようと夜の散歩に連れ立ったが、猛吹雪に見舞われて車の中に避難する。ところが、車を走り出して間もなく雪道でスリップして崖下へ放り出されてしまい、幸い怪我はなかったものの車が故障したため、2人は方角も分からないままブラウニーを目指して真っ暗な雪道を歩き出すことになる…というもの。
      • 展開的には『1』の「雪の迷路編」をリスペクトしたものとなっており、ファンサービス的に「シュプール」が登場するシーンもある。

評価点

  • 初代を踏襲したゲーム性
    • 序盤で犯人を指摘することができれば事件を解決できるが、失敗すればどんどん死体が増えていく…という基本構造は『1』『3』と同様なので、プレイヤーが自分で事件を解決する楽しさは健在。
  • シナリオ面
    • ミステリー編のバッドエンド直行ルートでは、従来にはなかった殺人鬼からの逃亡劇が描かれ、息もつかせない展開となっている。
    • 思わぬ方向に展開していくサブシナリオ、軽妙な文章など『かまいたち』らしさはところどころで感じられる。
  • システム面
    • メッセージウィンドウが画面全体ではなく『閉鎖病院』や『彼岸花』のように下半分に縮小されたため、文章が画面に大量に表示されてもグラフィックが見やすくなっている。
    • 初プレイでは序盤からバッドエンドに直行する一部の選択肢がロックされている為、以前の作品にあった「本筋に入る前に序盤で変な選択肢に進み速攻で終わってしまう」という事態を回避している。
  • キャラが一新されていても、過去作のネタは一部引き継いでいる。
    • 「社長やってますわ」「どや、うち来んか」などの香山のセリフをはじめとしたネタの他、同じチュンソフトが制作した『』や『弟切草』に関するネタもあり、その他、まさかのダンガンロンパ』についてのネタも存在する。
    • 犯人指名時の名前入力の際に作家陣7人の名前を入力した際の反応もそれぞれ用意されている。その他前作主人公の透を入力した際にも特別な反応がある。またいずれもボイス付きである。

賛否両論点

  • 多数のシナリオライター
    • シナリオライターが多数存在することで話のバリエーションは広がったものの、文体の統一感がやや薄れており、シナリオによって文章の毛色がかなり変化することも多い。
      • サブシナリオの中でも特に「妖怪編」が顕著であり、スタッフロールでは妖怪編の作者である田中氏自身が登場している。
      • 書き手によってキャラの性格のぶれも多く、過去作で例えるなら公式アンソロジー作品『あなただけのかまいたちの夜』のようなノリに近い。
    • 『1』『3』のメインライターであった我孫子氏は今作ではDLCの「みゆきとサトミ編」程度しか直接担当しておらず、実質的に監修という名の名義貸し状態である。
      • 「ミステリー編を執筆したのは黒田氏」という情報は公式サイトのインタビュー程度でしか明かされず、全面に出ているのは監修の我孫子氏の名前であるため、今作も我孫子氏がメインであると勘違いしてしまったユーザーも。
    + 判明しているシナリオライター 基本的に依頼されたシナリオライターは担当シナリオを外部で公表してはいけない契約になっていたと公言しており、判明しているのは公式サイトやインタビュー等で明かされたごく一部のみである。

    作者が確定しているもの

    • 黒田研二:ミステリー編
    • 田中哲也:妖怪編
    • 我孫子武丸:みゆきとサトミ編
    • 醍醐頼希:異次元少女ポポリン編(チュンソフト社員、本作のディレクター)

    明言こそされていないが、インタビューや告知等からほぼ濃厚なもの

    • 麻野一哉:スパイ編(元チュンソフト社員、初代のディレクター)
    • 汀こるもの:犯人当て-魔女審問編-
    • 小林泰三:超次元探偵O編

    不明

    • 山口芳宏:担当シナリオ不明
    • 作者不明シナリオ:死神編 / ビンゴ編 / 犯人当て-鎌鼬の夜-編 / 混浴編
  • ボイスについて
    • 演技は上手なものの基本的にアニメ声的な声質なので、映像、BGM、効果音のみで演出する『かまいたち』シリーズに合っていないという意見もある。
    • オートで読み飛ばしている場合は声を再生し終わるまで次の文章に進んでくれず、自分でボタンを連打して読み飛ばした場合でも、文章が進んでも音声は最後まで再生されるためややテンポが悪い。
    • ボイスが再生されている間は○(L1)を押してもきちんと次のメッセージが現れないことがあり、『428』のカナン編よりテンポが悪くなってしまっている。
  • 坂本英樹氏と福田康文氏が担当した楽曲群は決して出来が悪いわけではないのだが、かなり違う方向性で恐怖を表現しているため、前作までの曲が好きな人ほど違和感を感じてしまう。
    • 前作までの曲で確認できるのは「悪夢」「ひとつの推理」の2曲のみで、使いどころはかなり少ない。ただし後者はインパクトのある場面で使われるため印象には残る。
      • しかし今までのシリーズプレイヤーにもなんら不自然ではなく、かつマンネリでもないアレンジが加えられているのでこちらはかまいたちらしい。
  • 過去作に比べると登場人物のキャラ立ちはやや弱い。主人公とヒロインを比較してもその差は歴然。快人は推理の音頭を池谷や京香にとられがちであまり主体的に行動しない。
    • 推理時のみならず京香との恋愛についても作中では煮え切らず、最終的にもあまり進展しないまま終わってしまう。
    • 一方で後述するようにオーモリ等は悪い方向にキャラ立ちしてしまっている。
  • 推理要素に様々な新要素が加えられているが、あまり生かせているとは言いがたい。
    • 様々な種類の選択肢が増えたが、基本的にチャートやバックログからすぐに戻ってやり直せるためあまり意味がない。
    • おさわり選択肢も選ぶ場所によって多少文章が変わるのみで実質一本道。2つの仮説を組み合わせて新たな選択肢を生み出すシステムも総当りで済んでしまうなど。
  • フローチャートの仕様変更
    • シナリオクリア等でそれまで辿ったルートに新たな選択肢が増えた場合、移植版『1』や『2』では過去のフローチャートにそのまま直接選択肢が増えていたが、本作では追加選択肢が現れたブロック以降のルートが一旦非表示になってしまう。
      • これにより新たな分岐がどこに現れたのか一発で分かりやすくなった反面、既存のルートを復活させもう一度たどり着きたい場合は選択肢を選び直す必要がある。
      • なお、過去の攻略ルート自体が消去されるわけではなく、単に一時的に見えなくなったのみで、追加選択肢で既存ルートに繋がるものを選べば再び表示されるようになる。

問題点

どこが「かまいたち」?

  • メインシナリオであるミステリー編には一切「かまいたち」が関わってこないため、そもそもこのゲームは『かまいたちの夜』ではないという意見が多い。「かまいたち」の代わりに「座敷わらし」という妖怪が語られるのだが、これでは「座敷わらしの夜」である。
    • 一応、サブシナリオでは「かまいたち」をモチーフに組み込んだシナリオもいくつかあるのだが、メインシナリオにその要素が一切ないというのは如何なものか。

DLCについての問題

  • シリーズ恒例で収録されていたエッチなシナリオ「混浴編」が、上記の通り別売りのDLCとして購入しないとプレイできない仕様になっていた。
    • メインシナリオをクリアすると「ピンクのしおりを手に入れた!ちょっとピンクなシナリオ『混浴編』などのDLCを購入して遊べるようになりました!」という意味合いの文章が表示され、唖然としたプレイヤーは多かった模様。
  • これまでの「シナリオクリアによるアンロック方式」でなくなったこと、そもそもDLCに抵抗のあるユーザーもいたため、この点をもってクソゲー扱いする人もいた。
    • 一応、エッチ要素なシナリオは別売りになったものの、DLCが無い状態でもエッチではない隠しシナリオは複数収録されている(ピンクのシナリオ以降になるとアンロックされる)。
  • さらに値段も配信当初は1シナリオ各410円とやや割高な値段であり、4本すべて揃えると1,640円だった。
    • その後、本編のBEST版発売に伴いDLCも2013年4月に「混浴編」は無料、その他のシナリオは205円と値下げとなり、現在は合計615円となっている。
  • 一応、DLCシナリオは読了率から除外されているため、買わなくてもコンプリートは可能になっている。

システム面

  • 今時のゲームでありながらボイスのON/OFF機能が実装されていない。声についての不満はこれさえあれば解消していたのだが…。
    • 一方でバックログでボイスを再生できないなど、声を聞きたい人にも不満が残るシステムとなっている。
  • 次のページに進む際など若干動きがもっさりしている。読み込みに時間がかかっているのか常に動いている雪のエフェクトなども一瞬途切れてしまう。サウンドノベルでありながら読むのにテンポが悪い。
  • セーブはどこでもできるが、どうやらページ単位ではなくフローチャートのブロック単位になっている模様。続きから読み直そうとすると、少し巻き戻っていることがよくある。
  • 高速スキップなどはない。オートモードもあるが最速でも遅く、前述のもっさり感のせいで時間がかかる。フローチャート確認で好きなところには飛べるのでそれで十分ということだろうか。
  • 振動機能をOFFにできない。
  • 入手したしおりをゲーム中に確認できない。どれを持っているのか確認するにはトロフィーを見るしかない。
  • 新たな選択肢システムがほぼ意味を成していない。
    • 本作ではバックログですぐに戻れるため、「1WAY選択肢」「CHANGE選択肢」「SECRET選択肢」等の特殊な選択肢は例え選び損なっても該当箇所に戻ればいいだけなので意味が殆ど無い。コンプリートを目指す場合はただ面倒なだけとなっている。
    • 「おさわり選択肢」についても調べて意味のある箇所は僅かでしかなく、テンポを妨げる要素と化している。しかも期待させそうな名称であるがピンクシナリオの「混浴編」では一切使われていない。

登場人物

  • アニメオタクのオーモリは、はっきり言ってただ気持ち悪いだけのキャラクターであり、『かまいたち』シリーズの雰囲気とあっていないと評される結果になった。死者が発生した緊迫した場面に水を差している場面が目立つ。声優の杉田智和氏の癖の強い演技もそれに拍車をかけている。
    • 彼に関連して出てくるアニメ「異次元少女ポポリン」のキャラなども、独立したシナリオとして用意されているもののそれ以外のシナリオにほとんど絡んでおらず、取って付けた感が否めない。
  • その他、みゆきの空手有段者設定などあまり活かされずに終わってしまう設定も多く、キャラについて消化不良で思い入れしにくい面もある。
  • ミステリー編では殺人事件が起きているというのに登場人物達の緊張感や恐怖感が薄く、追い詰められた感じが少ない。これは前述したアニメ声優の演技も拍車をかけている。

シナリオ面

  • ミステリー編
    • 犯人の正体はかなり分かり易い。あからさまにおかしな言動が多々あるため、初期の段階でかなりの人が推察することができる。
      • が、犯人入力画面まで進めるためには正しい選択肢と正しい調査をしなければならず、気づかず通り過ぎてしまうともう手遅れで、そのあとで犯人を当てても凶行を止められないままバッドエンドを迎えてしまう。指摘する状況まで進めず、もどかしさを感じたユーザーは多い。
      • しかも初代かまいたちと同様に犯人を指名する為の流れへ進む正解ルートが突拍子もない選択肢から派生する為、中々気が付きにくい。そんなところまで原点回帰しなくても…。
      • その選択肢も一見するとネタ選択肢っぽい。まだ推理が煮詰まってないのに興味本位で選んでしまって突然BGMが変わって推理の場面になり面食らった人も多いだろう。
    • 第2の殺人が起きてしまうと、そこからの推理パートでどの犯人を指定しても真相が全く分からないままバッドエンドで終わってしまう。
      • それぞれ別々のバッドエンドになり、この時点で犯人が当たっているのかどうかすら分からない。初代では一応犯人だけは分かるようになっていたのだが…。
    • 犯人の行動に対しても突っ込みどころは多い。
      • 初期で犯人指名に失敗するとそのまま皆殺しルートに突入してしまうのだが、真犯人と目される人物が連続殺人を犯す理由が不明。そのくせ犯行の中には必要以上に残忍なものがあり、なぜそこまでする必要があるのか、理解に苦しむ*1
      • 第3の殺人に至ってはそもそもその人物に犯行が可能かどうかも疑わしく、さらに皆殺しルートでどういう経緯を辿ってそうなったのか等がほとんど明かされないこともあり、「実は皆殺しを行った犯人は最初の犯人とは別の人物なのでは?」等と考察されることもあるが、作中で全く語られないため真相は不明である。
    • 偶然に偶然が重なったから成立した犯行。ミステリーの肝である「謎」も主に登場人物の正体に集約しており、トリックや動機などはほとんど謎解きの余地がない。行き当たりばったりに人を殺していったのに、運よく露見せずに済んだというだけ。
      + 以下はさらに踏み込んだ説明。犯人などのネタバレがあるため注意。
      • 今作の犯人はペンションのオーナーを殺害し、自分でオーナーになりかわっていた。しかし、もし出くわしていれば一発で犯人に気づいていたはずの人物と運良く鉢合わせなかった。
        • その人物は、何時間かペンション内でオーナーを捜し回っていたはずなのに出会わず、さらに偶然極度に緊張すると失神してしまう体質だった。
        • 失神後一度意識を取り戻した際、偶然居合わせた客が本来なら医師や看護師しか使用してはいけない、注射するタイプの精神安定剤をもっていたため真実が露見せずにすんだ…というもの。つまりこの人物が偶然気絶していなかったらそもそも今回の事件は成立していない。
        • ここまで偶然が重なってしまうと、いくら架空のミステリーとはいえ、通り越してご都合主義の域である。
      • 犯人以外の登場人物の行動もどこか不自然。本シナリオでは総じて登場人物達が作者の都合の良い様に動く駒になっている。例として挙げると、
        • 「お風呂に人が倒れている」と聞いたのに女湯しか見に行かず、誰も倒れていなかったと安心して調査を打ち切ってしまう。確かに第一発見者が女性で被害者も女性であるという先入観もあったろうが、発見者は「救急車を!」と慌てており失神までしているのだが……。
        • その後、男連中で呑気に男湯に入りながらも「もしかしたら遺体が湯船の中に沈んでいるのかも知れない」と気づいたのに、現実感がないのか「だとしたら既に死んでいるってことだからどうしようもない」などと会話を交わしている。
        • 直後に男湯の露天風呂で遺体が見つかった後も「犯人はどうやって女湯から男湯に遺体を移動させたのか」ばかりが議論となり、発見者と被害者が男湯に居たとは誰も考えない。
        • また、発見者は「お風呂に……人が倒れて……」と発言しているのだが、そもそも今回の発見者は被害者と他人ではなく、さらに被害者の体は湯船に浮かんでいた。如何に慌てていたとは言え、この状況でこんな発言をするだろうかという不自然さがある。
      • 一度クリアすると殺人を未然に防げるグッドエンドを迎えることができるのだが、あまりにもオカルト的かつご都合主義な展開となる。
        • 本編の事件があまりにも悲しすぎる結末であるため救済措置ではあるのだが、その割に今度は主人公が理不尽に割を食ってしまっている。
+ その他、サブシナリオについての問題点。一部ネタバレも含まれるので注意。
  • スパイ編
    • 主人公が「ペンションを舞台としたテロリストの紛争」に巻き込まれるという話。設定自体は悪くないが、システムに難がある。
      • ことあるごとに遭遇する敵兵に対して、主人公が所持している麻酔銃を使い撃退していくのだが、その方法は画面に出現する照準を、敵兵にロックオンし発射するだけである。この間敵兵は微動だにしないので、制限時間の間にゆっくり狙うことができる。これではまるで射的である。なお、このシステムはおさわり選択肢のシステムが使われている。
      • 麻酔銃には弾数制限があり、無駄打ちをし弾数が0になった場合、敵兵に返り討ちにされてしまう。敵兵と遭遇する場面はそれぞれ違うバッドエンドが存在するため、読了率を上げようと思うとわざわざ当てないように撃たなければならない。
    • おまけに、文章が麻酔銃の残弾に応じて変わる、シナリオ中で拾うアイテムによって後のシナリオが変化する、などの要素が含まれているため、文章を回収する場合は非常に面倒な作業を強いられる。読了率の大半はほぼこのシナリオに費やされることになる。
    • バッドエンドの数が全てのシナリオの中で一番多い。
  • 死神編
    • 死神のルールに反すると死に至る、という趣旨のシナリオなのだが「完」にたどり着いても死神のルールがどういうものなのか明確に語られないままに終わってしまう。
    • 俗にいう「死亡フラグ」じみた言動を取ると、文章が赤になると同時に笑い声が聞こえ、最後の局面でエンディングが分岐する。しかし一番フラグが少ない「完」のエンディングでも主人公はなにか悟ったような発言をするのみ。すべてが投げっぱなしである。
    • 「完」エンドだけでは真相が分からず、別のバッドエンドも見る必要がある。
  • 鎌鼬の夜編
    • ミステリー編と同様に超常的な要素がない、犯人が誰かを推理するシナリオ。開始時や犯人を指名する際に作者からの挑戦状という形で文章が挿入される。
    • 実際の内容はどうかというと、いかにも本格的なトリック殺人のような雰囲気を演出しておきながら内容はかなり簡素なもので、肩透かしに感じた人も多い。ミステリー編同様にトリックの内容も思い付きレベルで偶然が重ならなければ成功しないものである。このシナリオでは「仮にトリックが失敗したとしても犯人にとってそこまで不都合ではない」というフォローの台詞もされてはいるが。
    • 制作者が「鎌鼬の夜」というワードと「鎌による殺人」というシチュエーションを入れたかった為に作ったと思われても仕方のないシナリオでもある。他のギャグシナリオを含めてもこの作品において(文章量的にも)最も短いシナリオである。
  • 妖怪編
    • ギャグシナリオでこの編のみフルボイス。だがその内容は延々とコントが繰り広げられるだけであり、最後はグダグダになっていく。
    • クライマックスで打ち切りのような形で終わってしまい、直後のスタッフロールでは登場人物にツッコまれて作者がツッコミ返すという悪ノリ加減。
    • 一方で声優の演技については面白いと評価できるかもしれない。オーモリ役の杉田氏の演技もこのシナリオならば笑いとして受け止められる面もある。
  • 異次元少女ポポリン編
    • もともとは登場人物のオーモリがファンのアニメで、その「小説版」という設定。ゲーム内では、調査の際にある個所を調べると、その小説の1ページがみつかるのだが、ただ淡々と文章を読まされるだけ。背景はアニメのイメージイラスト一枚絵のみで、状況に合わせた挿絵などは一切ない。
    • しかも第一話と最終話のみとなっているため、突然話が急に飛んで超展開を見せられることになる。さらにこのシナリオはミステリー編の一部扱いとなっているため専用のエンディング等は無い
    • このシナリオ自体は読了率に影響しないため実際に読む必要はないのだが、小説のページを集める手順がミステリー編に新たな選択肢が出現するフラグとなっているため、読了率を埋めるためには結局ページを探さなければならない。劇中劇かつ、本編とは一切関係のない話をなぜ集めさせるのか疑問である。
  • 魔女審問編
    • 鎌鼬の夜編同様に作者からの挑戦状形式のシナリオ。
    • 犯人当てのためのシナリオと言ってしまえば身も蓋もないが、犯人は下調べして凶器まで事前準備しているのに、その割に犯行は突発的でアリバイ工作をまともにしていないという極めて杜撰で不可解なものになっている。
    • 作中の登場人物からも指摘されている通り、主人公の推理はその殆どが推測で成り立っているため、確証を持てるものではない内容となっているためスッキリしない。
      • 予め問題編で「共犯者は居ない」等の条件がきっちり指定されているからこそ成り立つという、やや曖昧なものである。
    • さらに結果的に事件を撹乱したとある人物の行動が、主人公の推理と作中の該当人物の発言を比較するとあまりにも不自然。
    • ただし、タイトルに絡めた最後の演出は力が入っており、読了後のインパクトの余韻はあるシナリオである。
  • また、ミステリー編の最初の犠牲者であった赤城は一部のシナリオでは全く登場せず、最初から存在しないことになっているケースがしばしばある。
    • 妖怪編など彼女がそこそこ目立っているシナリオもあるのだが、(ミステリー編での彼女の設定が足を引っ張ったのか)掘り下げはほとんど行われていない。

その他の問題点

  • 『2』『3』のように別のシナリオに突入した際の演出が、特殊なシステムを採用した「犯人当て編」2種と「みゆきとサトミ編」を除いて存在しない。プレイヤーは急に文章の毛色が変わって不審に思い、メニュー画面を開いて「ああ、別のシナリオに入ったのか」と気が付くことになる。
    • 『初代』でもそうだった為、原点回帰とも言えなくはないが突然ギャグシーンになったり、キャラの設定や言動が変わって戸惑った人も多いだろう。特に今作ではシナリオライターが多数存在するため顕著である。
  • サブシナリオのうち、スパイ編、死神編などギャグシナリオではないと解釈できるものもあるのだが、その割にはシリアスな雰囲気を壊している場面も多い。死者が出て緊張感が出始める中でギャグを入れる他、ネタに走った選択肢が表示されたりするなど、どっちつかずの雰囲気となっている。
    • キャラクターの項目でも述べた通り、オーモリがその筆頭なのだが、オーモリ以外の人物もシリアスな場面にそぐわない行動を取るため人によってはかなり不快に感じるかもしれないし、物語へ没入感を削いでいる。
    • オーモリが一切喋らないスパイ編でも大詰めという緊迫した場面でコントのようなやりとり*2があるため、「結局ギャグシナリオなのか?」という疑念を抱くことになる。
  • 以前のシリーズ作品と比較してバッドエンドが手抜き感が否めない。大抵は一枚絵と僅かな文章で終わってしまう。中にはそれすらもなく唐突に終わってしまうものもある。
    • そのバッドエンドの一枚絵もよく見ると酷いものが多く、例えば主人公が殺されて床に血糊が広がる一枚絵ではよくみると血糊が壁を無視して広がっている等、レイヤーを単純に重ねただけなのがわかるレベル。おまけにエンディングリストのバッドエンドの一枚絵には場面が暗くなっているフィルターの類がなく「あれ?」と思うことも。
    • ミステリー編ではバッドエンドの比重が後半に極端に偏っており、前半でのバッドエンドはほぼない。第二の殺人が起こった謎解きの時に犯人を当てるときの結末がすべてバッドエンドになる。
    • 犯人は自分だ、と冗談で発言したら本気で受け止められてしまう、というネタバッドエンドは『初代』『2』にも存在するのだが、それらを比較すると一目瞭然で過去作品の方が力が入っている。ネタとして笑える要素も今作ではかなり少ない。
    • あるシナリオでは「真正面から刺殺されたのならば物音や声が発生する」という前提で推理が進むのだが、他シナリオのバッドエンドには真正面から声を出す間もなく刺殺されるものが二つも存在する。バッドエンドによって矛盾が発生してしまっている。
    • 一方で、特定のシナリオでは異常に力の入っているバッドエンドもあり、大抵はギャグエンドであることが多いのだがまるで本筋かと見紛う展開でかなり長く独自の話が続いていくものも存在する。
  • バッドエンド回収の意味の薄さ
    • バッドエンドは複数存在するが過去作品のようにバッドエンドコンプリートがしおりの出現条件となっているわけではなく、ただ単にトロフィーを獲得できるだけである。
    • 但し、多いバッドエンドを全て回収するのは面倒だという声もあったためその措置とも言える。
  • 誤字も僅かだが存在する。
    • 特に目立つものはスタッフロールで雪乃役の声優、花澤香菜氏が「花澤香奈」になっているなど。
    • また、部屋に届けられたラーメンに箸が無い他、「コーヒーが入っているポット」と文章で説明されているのに映っているのが湯沸し用の明らかにコーヒーを入れるものではないポットになっているなど、グラフィックについてもおかしな点がある。
    • その他、ペンションの構造をよく見ると露天風呂が2階の客室の窓から丸見えになっているなど突っ込みどころも存在する。
  • 最後の隠し要素として『2』にもあったバグのような演出でランダムで発生するホラー調の怪文書イベントが全11種類存在するのだが……
    • 不意に正規のストーリーに割り込んでくる形でドッキリ感はあるのだが、内容にかなり不快感が強いものがあったり、唐突な展開のシュール系ギャグも多い。
    • 『2』のように極度に怖さを煽ったものではないが、ユーザーに喧嘩を売っているような文章や悪ふざけが過ぎる表現がいくつかある。
      + 軽度のネタバレを含む。
      • 特に卯子酉様のシーンから出現するパートで、卯子酉様の布の色は何色か?と言う質問の箇所。プレイヤーがわかりきっている(はず)の質問なのだが…。
        • きちんと正解の色を答えても理不尽に煽られて解答のやり直しを強いられ、そして誤った色を答えるとプレイヤーに喧嘩を売っているような文章が出てくる。
          • 極めつけに、これは三択なのだがスタッフロールを見るには特定の「誤った」選択肢を選ばないと辿り着けないため、見ないでこのパートを抜けてしまった場合はやり直しとなる。
        • 一応、『2』のわらび唄編の一部の展開のようなものとも言える。
      • ごく短い文章の狂った小ネタ系やメタネタが多い一方で、中には文体がそれなりにしっかりしており、本編から分岐したif展開や単独のバッドエンドとして独立したとしても問題ないようなボリュームを持つものも存在する。
        • 上記に挙げたように本編のバッドエンドがこれらの怪文書と大差ないかそれより手抜きなものが目立つため、力の入った文章をわざわざ怪文書に割り当てた点には疑問が残る。
        • 怪文書パートに入る直前は砂嵐のような演出が起きて黒背景+不気味なBGMで固定され、終わった後は謎の壊れたスタッフロールが流れた後に、何事もなかったかのように元通りに本編の展開に戻ってしまうため、「実は主人公の狂った妄想の一部なのでは?」等と深読みされることもある。
  • この怪文書イベントのスタッフロールを全て見ることがプラチナのしおりとトロフィーの獲得条件となっているのも厄介な点。
    • 個々の発生確率がかなり低く、狙って出そうとすると延々とバックログから戻って同じ文章の読み直しを繰り返す作業を強いられる為、二重の意味で不快である。
    • 出現ポイントは完全に固定であるのだが、ゲーム中にそれを示すヒント等は一切無いため、攻略サイト等の外部情報に頼らない限り自力での達成はかなり難しい。ネットが普及した現代だからこその前提なのかもしれないが……。
  • PS3版は「ふたりでかまいたち」が未収録
    • 操作方法の関係でPSV限定になったとされている。このため、PS3版では実質的にシナリオが1本(後述の体験版も含めれば計2本)減少したことになる。
    • 同様のモードであった『2』の「ラブテスター篇」はPS2版でプレイ可能・PSP版未収録だったため、今作で奇妙にも据置機と携帯機で扱いが逆転した形になる。

総評

登場人物を一新し、同時に初代への原点回帰を謳ったシリーズ新作。
しかしなまじ設定や舞台が初代と似通っていることから比較され、全体的なシナリオ面の詰めの甘さが目立つ結果になってしまった。
シナリオライターの複数起用についても雰囲気の統一感が薄れ、まるでアンソロジーのような雰囲気となってしまっている。
ボイスや有料DLC、新選択肢システムと言った新要素も賛否両論で、総じてファンからはあまり芳しくない評価となってしまった。
サウンドノベルとしては決して致命的な問題があるわけではないものの、多くのファンの期待を背負っていた分惜しい作品といえる。


余談

  • PSVで配信された体験版は限定シナリオ『消えたボッコちゃん』となっている。このシナリオは製品版では遊ぶことができない。
    • オーモリが大事にするボッコちゃんのテレカを京香が盗んだと容疑が掛けられ、快人が彼女の無実を証明するため調査を開始するというもの。
  • 公式サイトでは本作の発売に先駆けて、初代のキャラクターを使った『ちょっとおかしなかまいたちの夜』という動画が公開された(全13回)。
    • こちらは初代スーパーファミコン版の画像素材を使ったパロディ作品になっており、『真』のキャラは最終回を除いて登場しない。
    • なお、実際の『真』本編内における初代の要素は小ネタ程度となっている。
  • 公式ガイドブックには本作のメインシナリオの攻略、設定資料・原画イラスト、開発スタッフ・作家・声優インタビュー等の他、本作のライターの一人である汀こるもの氏による書き下ろしストーリー「13人目の訪問者」が収録されている。

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最終更新:2023年07月21日 11:39

*1 もっとも連続殺人をする理由付けが弱いという点はシリーズ共通の問題であり、犯人視点の描写がある『3』がかろうじて納得できなくもないという程度である。

*2 作中に人物にも指摘されている