ワギャンパラダイス

【わぎゃんぱらだいす】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ナムコ
発売日 1994年12月16日
定価 8,800円
書換 ニンテンドウパワー
1998年8月1日/1,000円/F×3・B×0
プレイ人数 1~2人
セーブデータ なし(パスワード制)
判定 良作
シリーズファンから不評
ポイント アクションはシリーズ踏襲、ミニゲームは一新
旧作ファンからの反感は根強いが、ファンも根強い
新鮮味は多いが、難易度調整やボリュームには難あり
なんだかんだで裏読み自体は健在
ワギャンシリーズリンク


概要

ワギャンシリーズのスーパーファミコン最終作。
ワギャンの遠い子孫に当たるタクトとカリンの兄妹が、好奇心から冒険に旅立つ。
その最中に謎の軍団が現れ、島の象徴であるほほえみの木も倒れてしまう。
敵の野望を知ったタクトとカリンは、野望を打ち砕くため、子供ながらも勇敢に立ち向かっていく。

遠い未来の設定ということもあり、「Dr.デビル」は一切登場しない。しかしワギャン族の過去の待遇などが明かされる(あるいは本作のみの設定かもしれないが)。

内容

基本的なゲームスタイルはこれまでとほとんど変わらず、アクションパートでは音波砲で敵を無力化し、足場にしたりして進む。ボスとはミニゲーム対決を行う。
また、本作ではジャンプ力がやや落とされた代わりに滞空アクションが追加された。ジャンプボタンを押しっぱなしにすると少しだけ落下速度が軽減される。
言わばワギャンランド2のミニワギャコプターが標準搭載された形となっている。
さらにステージ選択はなくなり、初期のワギャンと同じくクリア後に次のステージへと進む形式へと先祖返りした。
また本作ではキャラクター選択が実装、タクトとカリンのどちらかを選んで冒険することとなる。

使用可能キャラクター

  • タクト
    • 既存のワギャンに近い姿をした男の子。足が早いという以外は全体的にカリンに劣る。主人公でありながらまさかのハードモード設定である。
    • おまけに滑りやすいという特徴があり、さながらマリオのルイージのような立ち位置。一応、追いかけてくる敵をやり過ごせるという長所がある。
  • カリン
    • タクトの妹にして、初のプレイアブル女性ワギャン。音波砲も独自のものとなり、「わっ」「ばんっ」「びーっ」「どかーん」の順にパワーアップする。
    • タクトと比べて足が遅いものの、音波砲の効果時間が長い、滞空時間が長いなど総じて安定攻略向きの性能をしている。

ミニゲーム
ボスとの対戦に使われる用と、☆を100集めることで開始されるボーナスゲームで使われるものの二種類が存在する。なお、ボーナスゲームの場合、1アップと交換も可能。原則一部を除いて対戦版も存在する。

  • 対戦ボス用
    • パネルサーチ
      • 問題に表示されている物が描かれているパネルを素早く選択するゲーム。既存シリーズにおけるしりとり的なもの。
      • 難易度が上がると問題文となるお題の文字が欠ける。また、前作におけるしりとりの裏読みのようにややこしい表記で出題されたりもする。
    • がったいパズル
      • 真ん中に配置されている図形と重ね、ピッタリ長方形になるものを選ぶゲーム。図形は回転しており、合うものが真上に来たらボタンを押して回答する。
      • 難易度が上がると回転が非常に早くなり、図形そのものも複雑となる。
    • かいてんパズル
      • 回転するパネルが何を表しているのかを答える。既存シリーズにおけるモザイクあて系列の問題。
      • 難易度が上がると回転速度がアップするため非常に答えにくくなる。
    • おなじえどのえ
      • 中央に表示された絵と同じ絵がどれかを当てる。四つパネルが表示されるが、一つを除いて左右が逆になっている。
      • 難易度が上がると絵の角度が傾いたりするようになり、判別が難しくなる。
    • ドレミサーチ
      • 出題されるドレミの音に合わせて、Yボタン(ド)、Bボタン(レ)Aボタン(ミ)を押していくゲーム。音というより押すボタンの順番を覚えるゲーム。
      • 難易度が上がると覚える音が長くなる。
    • くるくるパネル
      • パネルに隠されたデジタル数字を当てるゲーム。一時的にめくれていくパネルを見て出題数字を当てる。時間が経過するとめくれるパネルが増える。
      • 難易度が上がるとパネルの速度が早くなり、確認できる余地が減る。
    • さんすうクイズ
      • 表示される計算問題の答えを、パネル内から探し出すゲーム。既存シリーズにおけるすうじ探し系列の問題。
      • 年齢を低く設定すると簡単な足し算引き算しか出ないが、年齢を上げると四則計算に加えて数字が二桁になる。
    • ことばパズル
      • バラバラに表記された文字を入れ替えて正しい文字に入れ替えるゲーム。
      • 難易度が高くなると出題される文字数が増加する。原則ひらがな表記のみ。
  • ボーナス・対戦専用ゲーム
    • スキッドレース・スキッドバトル
      • 球に乗ったワギャンを操作し、見下ろし視点で壁のないマップを進み、ゴールを目指す。コースに壁は存在せず、球に乗っているワギャンは慣性が効きやすいため操作が困難。
      • 残機が3存在し、マップ上にも1アップが配置されている。残機が全てなくなるとボーナス失敗。残した分だけの残機がボーナスとして加算される。
      • スキッドバトルは同じ操作感で相手とぶつかりあって落とし合う対戦ゲーム。
    • つるつるダーツ
      • パワーゲージを溜めて程よい力を見極めて離すゲーム。最大まで溜めるとコースアウトしてしまう。コースアウトギリギリに近い程に得点が高くなる。獲得スコアの成績によってボーナスで残機が増える。
      • 対戦版ではこれを二人で行い、合計点が高い方が勝ちとなる。
    • メダルホッパー
      • ボーナスゲーム限定のミニゲーム。要するにパチンコ。100枚あるメダルを打ち出し、台の下で左右に動くポケットに入れていくゲーム。
      • 理論上はこれが一番残機を稼げるゲーム。残機増やし用なためか、対戦では選べない。
    • ふわふわバスケ
      • 空気で浮く球を相手のゴールに入れ合うゲーム。肺活量が設定されており、限界を越えて息を吐くことはできず、配分を考える必要がある。対戦専用ゲーム。

評価点

  • ポップで可愛らしい世界観。
    • 従来のややメカメカしさが際立った印象がさらに薄くなり、より取っ付き易い印象になった。ただし後述の通り賛否はある。
    • 音波砲の声も、これまでのメカメカしいものではなく、子供らしい声のようなものに変わった。
    • 敵が音波砲でしびれた際、これまでは点滅だけで終わっていたが、本作はしびれた時に表情が変わるようになった。どれも愛嬌があり、鑑賞しているだけでも楽しい。
      • ボスキャラも表情がころころと変わる。ワギャン側の正解時、不正解時、敗北時など。
  • プレイ開始時にキャラが変更出来るようになり、女性プレイヤーにも配慮されている。
    • ちなみにこれはパスワードを入れる度にキャラを変えられる。スコアや残機などはリセットされてしまうが好きなタイミングでキャラを変えることは可能。
  • 万人向けの調整だが、ワギャンの基本は踏襲している。
    • 作品の雰囲気や難易度はやや穏やかになったが、一回でも敵に触れるとミスというシビアなルールは健在しており、ぬるゲーにはなっていない。
      • 特に後述するライティステージや溶岩の岩石を登るパートは比較的難しめ。だからこそ、この極端な難易度の差には問題も生まれているが…。
    • ちなみに難易度調整は「かんたん」と「ふつう」の他に年齢設定で決まる。
  • アクションステージやミニゲームがとても多彩。
    • 先の特殊ステージや、トロッコに乗るステージ、雪崩ステージなど、パッと列挙しきれないほど多種存在する。
      • 特に一番の変更点は水中ステージが増えたところ。水中ステージはワギャンが水中を泳いでいくパートで、なんと音波砲も使える。
      • ミニゲームもボーナス含めれば10を超える。これまでのワギャンシリーズよりもゲームが多いため、マンネリ化は避けられている。
  • ワギャンシリーズ恒例、ゲームの内容のわりにBGMが壮大で出来が良い。
    • ワギャンパラダイスはこれまでのシリーズ以上にポップな印象の曲が多いが、後半になるにつれてSFのようなBGMまで紛れてくる。基本的にどれも評価が高い。(特に「水中ダクト」と「基地潜入」の二つが好評。)
  • ボス戦でセレクトを押すと、セリフを早送り、区切りの↓記号でも止まらずどんどん進めることができ、なかなか快適。
    • ただし、セレクトは ギブアップも兼ねている ため、押し過ぎると始まると同時にギブアップ負けになってしまうので、加減が大事。
    • なお、セレクトは厳密には「ギブアップ」ではなく「途中でやめる」機能。つまり、クリアポイントに達してからやめれば、タイムや問題がまだ残っていても、その時点でクリアになる(その分、パーフェクトを取るよりボーナスは少なくなるが)上手く使えば、少しでも早くゲームを進めたい時に便利。
  • ラスボス戦は、8つのゲームの中から好きなゲームを選択することができるので、自分の得意ゲームで挑むことができる。8つ中3つクリアすれば勝利。

賛否両論点

  • ボス戦のミニゲームが知育系のゲームに全て変更され、賛否が分かれている。
    • これまでのシリーズのミニゲームを踏襲しているとはいえ、以前より頭を使うゲームが多いため、エンタメ性を感じ取れる部分は明らかに減った。
      • 特に「さんすうクイズ」は算数科目が苦手な子供プレイヤーにとっては後述のように苦い思い出しかないだろう。
    • 人気のミニゲームである「しりとり」の削除は従来のファンを特にがっかりさせている。知育ゲームとしてもそんなに悪くないだろうだけに、これの削除はファンをがっかりさせた。
      • 代わりに用意されたパネルクイズはしりとりほど盛り上がらないのも難点。ただし名物の「裏読み」はパネルクイズで遺憾なく発揮されている。
    • 一方で、これまでのシリーズにあった理不尽さなどの問題自体は解消されたとも言える。理不尽さを求める層にも、かいてんクイズなどの高難易度版はそれなりに歯ごたえがある。
      • ただし、モザイク当てのように無尽蔵とも思えるパターンの出題があるわけではなく、慣れるとすぐにお題が読めてしまうのだが。
  • これまでと異なりすぎる世界観
    • 前作まではシビアな設定なども盛り込まれていたが、本作はそもそもかなりポップな世界観となっている。メカメカしい印象のあった初代ワギャンの世界観とは似ても似つかない。
      • この世界観を好むプレイヤーがいる一方、シビアな要素の多くが欠けてしまい、期待していたものと異なるという声は多い。
      • 先の通り世界観が好みというプレイヤーもおり、この雰囲気の変更自体は賛否を呼びやすい。
  • パスワードが簡略化され、単純になった。
    • 適当に四文字の意味のある単語を作るだけで成立する(例えば最初のステージはすたあと)。ステージの進行以外にセーブ要素は一切なし。
    • ただしいつでもキャラや難易度設定を変えること自体は可能になったので一長一短。
      • 適当に四文字の単語を入れたらすごいステージに出た、というプレイヤーもいるだろう。ちなみに最終ステージのパスワードは流石に「おしまい」ではない。
  • 無敵になる条件が音波砲4個入手から飴玉入手に変更された。
    • 4個目以降の音波砲は取っても無意味になり、いつ取って無敵になるか、という戦略性がこれにより消滅した。
    • 新アイテムの飴玉自体が隠しアイテム扱いなので、場所を知らなければまず取れないため、無敵になれる機会自体が大きく減少した。
    • 常時音波砲を最強状態で維持出来るようになったので、敵を無力化しやすくなり、そういう意味ではかつてに比べてぬるゲーになった。
    • 一方で、ワギャンらのジャンプ力はやや低めで、音波砲の威力を維持したい人からすると、むしろやりやすくなったとも。

問題点

  • 一部ステージの異様な難易度
    • 敵をひたすら避ける「ライティステージ」、吹き上がる溶岩を乗り継いでいく「強制上昇スクロールステージ」の二つは、慣れないうちは鬼門と言われる。
      • ライティステージはライティに乗って操作するのだが、この操作感が独特。岩などマップの障害物にぶつかっても一発アウトとなる。
      • 操作時は後退時は微妙にブレーキがかかるうえ、強制スクロールなため慣れないと取り返しがつかず、ゲームオーバーの渦に飲まれやすい。慣れれば簡単な部類にはなるが…。
      • 溶岩ステージは小さな足場を乗り継ぐ形式となるが、これもかなり難しい。タイミングよく足場に乗りつつ、軌道の独特な溶岩に次々と乗り継いでいかないといけず、高難度の覚えゲーに。
    • これらのステージはシナリオが大きく動く時に挟まれるため、「次はどうなるのか」と気になるのに、クリアできなくてなかなか進めないというプレイヤーは多かった。
    • さらに難しいのは、後半にある落下(強制スクロール)ステージ。ライティステージを縦スクロールにしたような感じだが、2パターンあり、1つは壁にぶつかっても大丈夫な代わりに左右に動く敵をかわしながら落下。もう1つは敵がいない代わりにトゲだらけの狭い壁の間を縫って落下。ワギャンは左右にしか動けず、コントロールも非常にシビア。左右以外の操作・制御が全く利かない分、ライティステージ以上の高難度。
  • 主人公のタクトが使いにくいだけという調整
    • タクトの強みは足の速さだけ。しかもそれすら滑りやすいという要素によってケチがついており、実質強みが一切ない。
      • 操作しづらいという事自体が、難易度調整として成功しているとは言い難く、単にストレスが溜まりやすい。おかげで先の溶岩ステージはタクトだと余計に手こずることになる。
    • 逆にカリンは優遇されすぎている。足の遅さ以外はゲームのバランス的にマッチしており、ストレスなくプレイするならこれ一択というレベルで、足が遅いという欠点も最終ステージ以外では何ら欠点としてなりえない。
  • マップセレクト・裏ステージ廃止によるステージ数の激減
    • 分岐が存在しないため、攻略の自由度も低く、『スーパー2』にあったカスタマイズなどもない。ステージも少ない。
    • また、これまでのワギャンには裏ステージが存在し、それらを探すのも醍醐味だった。しかし本作ではマップ選択の削除に伴ってか、万人向けを狙ってか排除となった。
      • これに伴い、難易度が大きく下がりすぎたという声もある。実際ステージ難易度は二つしかなく、「KAMISAMA」に当たる高難易度モードは存在しない。
  • 最終ステージの適当さ
    • 何故かラストステージは王座に向かうまでの一本道。障害となるのは大王の親衛隊のみ。それ以外はただまっすぐに進むだけなので、難易度はラストステージとは思えない程に非常に低い。
      • タクトの足であれば飛び越えて逃げるだけで終わる。カリンだと足が遅いため追いつかれてしまい、やや手こずる。原則使いやすいと言われるカリンが唯一タクトよりも使いづらいステージとなる。
    • ボスはプレイヤーの得意なミニゲームを選ばせてくれるため、ノルマ自体は厳しいが正直そんなに強くない。しかも三回倒さないといけないと、面倒さが増しただけ。
      • 仮にもラストステージなのに歯応えがないのはいかがなものか。一応その前の潜入パートは、それなりに難しい内容となっているので、そこが実質的なラストステージ扱いということか。
  • 難易度が不安定なミニゲーム
    • 一番難しいと言われるのは「さんすうクイズ」。設定した年齢相応の問題が出るため、「ゲームをやっているのに勉強させられている気分になった」という子供は多い。他のミニゲームと比べるとエンタメ性には乏しいのは否めず。
      • 他のゲームは知育ゲームと言っても図形合わせやイラスト当てなど直感的に遊べるものが多いだけに、これだけは浮いている。本作のミニゲームが良い印象を受けない理由の一つとも言える。
      • 「さんすうが得意な子には問題ない」という声もあるが、そもそもプレイヤーの勉強度合いでプレイのしやすさが変わりすぎるのも考えものである。
    • かたや「ドレミサーチ」や「ことばパズル」などは非常に簡単で、特に前者は短い音や色を覚えてしまえば後は早押し問題となる。後者はたまにややこしいのがあるとドツボにハマったりもするが。
    • ボーナスゲームにも格差が生じており、スキッドレースの難易度が極端に高い。やたら滑るうえに制御が利きにくく、どの程度ボールがズレたらコースから転落するのかも非常にわかりづらい。ボーナスの1UPも非常に難しいところに置かれているため、稼ごうとするとかえって消費するばかりで、全くボーナスにならない。そもそも、最初の残機を保ってゴールするだけでも難しい。一方で、メダルホッパーはコツを掴めばかなり稼ぐことができる。
    • 難易度の話からはややズレるが、2P対戦モードの「フーフーバスケ」のシステムが非常に不毛。
      • 息を吹きかけあって相手のゴールにシュートするというものだが、その内容的に膠着状態が続きやすく、バスケとは到底言えない試合になってしまう。
  • 年齢=難易度制度による弊害
    • そもそもわかりづらい。難易度は「かんたん」「ふつう」の二つがあり、なおかつ年齢でも決められるので自分で程よい難易度を選びづらい。「むずかしい」を普通に追加すれば良かっただけなのでは…。
    • 当時の小学生・中学生プレイヤーがそのままの年齢設定でプレイすると、「かんたん」を選んでいてもミニゲームの難易度が大きく上がる。単純に好みの難易度設定が面倒くさいという問題も存在する。
      • 大体、当時の自分の父母くらいの年齢で「ふつう」を選ぶとそれなりに歯応えのある難易度となる。しかしステージ難易度については限界あり。

総評

ゲームとしての出来は悪くない。これまでのシリーズの要素を意識しつつ、万人向けによく調整されている。
ただしミニゲームが知育系になったことでパーティ感や「楽しい理不尽さ」といったシリーズの味は薄れてしまった。
従来のファンから賛否両論になる原因を作っているものの、クソゲーと言われる程に完成度の低い要素はほぼない。

ライトユーザー向けになっているため、シリーズファン的には歯応えがないという感想を抱かれやすい。
特に裏ステージの廃止などは非常に痛く、再度同じステージに挑みづらいシステムなのも難点。
ただし、敵に触れただけで一発アウトというシビアなゲーム性自体は、据え置きなので、単なるヌルゲーというわけでもない。


余談

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最終更新:2022年11月27日 17:28