ランパート
【らんぱーと】
ジャンル
|
パズル
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
発売・開発元
|
コナミ
|
発売日
|
1991年11月29日
|
定価
|
5,800円(税抜)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
大幅な仕様変更 音声 演出 パスワード 対戦要素
|
概要
移植元であるAC版は1990年10月にアタリゲームズが稼動させたパズルとシューティングの要素に加えタワーディフェンスとストラテジーの要素も絡むゲーム。日本でもナムコが代理店として翌1991年に正規輸入稼動していた。
-
AC版からして良作だが北米版は何故かトラックボール式で(日本ではレバーに変更)操作が難しい。また対戦で負けた相手をギロチンで処刑するデモという洋ゲーにありがちな残虐要素があった。
-
そのゲームを日本では黄金時代のコナミがファミコンに移植し、全く別のゲームという程の変化を加えた。ちなみにFC版がCS機最初の移植である。
ランパートのルール
AC版とファミコン版では根本のシステムは変わらないが、ファミコン版ではステージ構成などが大幅にアレンジされている。ここではまずAC版を元にルールを説明する。
-
射撃パート、修復パートを交互に進めていき、ノルマを稼げばクリアとなるゲームである。両方とも制限時間有り。
射撃パート
-
海の敵船と砲弾を撃ち合う。
-
自軍はカーソルで狙った位置に砲台から砲弾を飛ばす。砲台が多い程連射が効き高火力。なお、砲弾は砲台1つにつき画面内に1発までであり、着弾まで次の弾は撃てない。
-
敵軍はこちらの壁を砲弾で破壊して来る。ステージが進むとより強力な砲弾を備えた艦船が現れ、着弾地点を炎上させるようになる。
-
炎上した部分には数ターンブロックを配置できなくなる。当たった場所が悪いと絶対に城を囲えなくなるという事態も。
-
更に、敵船舶が接岸すると修復パートで歩兵が上陸して来る。
-
射撃パートにおいては歩兵は砲弾で倒すこともできる。
修復パート
-
被害を受けた城壁を修復していき囲んだ領地に応じて(得点)が入る。
-
制限時間内に1つも城を囲めなかった場合は即ゲームオーバーとなる。
-
ランダムに選択されたブロックを置いていき囲んでいく。種類はテトリスのようなブロック(凸型だけでなく凹型、+型も出てくる)でどこかに必ず置くまで次は選択出来ない。
-
これがかなりシビアで、斜め接点が認められないため角が1マスかけていても無効である。
-
敵からの妨害
-
歩兵は城に近づいて来て、隣接した状態で放置すると射撃パートで城を破壊してしまう。囲んで捕虜にするという設定で倒す事が可能。なお、破壊された城は次のターンで更地にされる。
-
歩兵がいるところにはブロックを置く事が出来ないので危険である。歩兵の位置取りによっては絶対に領地が作れずゲームオーバー確定なんてことも……
ファミコン版独自要素
-
大型ユニットの行動個所が海から陸へ
-
マップが全て陸となったため、敵の行動範囲が広がった。海によって縮小されていたり川が陸地を隔てているマップもあるが、水上には敵はおらず全て陸上から攻撃をしてくる。
-
そのため大型の敵が直接突進してきて城壁を削り取ることもある。修復パートで囲い込んで倒すことも可能。勿論その上にブロックは置かせてもらえない。
-
その大型の敵も種類が豊富になった。攻撃を当てても倒せない「竜巻」、射撃で倒すと障害物になってしまう「ゾンビ」、暗闇で擬態する「戦車」、突進して壁を破壊して来る「侍」などバリエーション豊富。
-
本作ではとにかく広く囲う事で点数が多く入るのでノルマを達成するのがメイン。ターン数にも制限が設けられており、制限ターン数に到達した時点でノルマ未達成の場合はゲームオーバーとなる。
-
対戦モード
-
基本ルールはほぼ同じで、AC版のままの熱い対戦ができる。修復(射撃)時間の長短等も細かく設定することが可能。
-
初期砲台数やクリアポイントにハンディキャップを付けられるようにもなった。
-
AC版の「ギロチン」は「足の裏をくすぐる」罰ゲームに変更されている。
評価点
シナリオ
-
AC版は中~前近代のような時代背景で単調だったが、本作では世界観のバリエーションが増えた。
-
状況に応じて、得点稼ぎ、敵の成敗は勿論、特定の地点を囲む、籠城戦など、勝利条件も違って来る。
-
ボリュームがあるのでパスワードも用意されており好きなステージから再開出来る。
-
PRACTICE「ランパート演習」
-
現代が舞台で、敵は2種類の戦車と歩兵。「マッサーカー長官」が教えてくれるチュートリアルシナリオで、順当にルールを覚えていく事が出来る。I国への「砂漠の嵐作戦」のために編成された精鋭部隊の演習という設定。
-
このモードだけ、全7ステージをパスワード無しで自由に選べる。
-
EASY「赤ずきんちゃんとタムくん」
-
メルヘンチックな物語で、ステージをクリアしておばあちゃんの家に行くのが目的。
-
オオカミとネズミが邪魔をしてくるぞ。ボーイフレンドの「タムくん」が砲台役(なぜか複数いる)で砲丸の代わりにリンゴを投げて攻撃しよう。
-
NORMAL「ドラゴンマスターズ」
-
剣と魔法のファンタジー物語。暗黒王スルトをかつて倒した英雄フレイヤの息子チューリッヒが勇者たちのリーグの聖騎士団を率いて、復活した暗黒王スルトを倒し暗黒竜ニドヘグを封印するのが目的。
-
最も多彩な種類の敵が登場するシナリオ。
-
HARD「覇王への道」
-
戦国時代が舞台で、織田信長の上洛が目的。このシナリオのステージでは途中で増援が来たり、稼いだ点数を失ったりする。またクリアすると簡単なスタッフロールが流れる。
-
敵は武将および騎馬武者と足軽のみで、種類だけ見ればPRACTICE並の少なさだが、数も質も強力でプレーヤーを大いに苦しめる事になる。
-
このため、ニコニコ動画では信長の野望というタグを付ける事も。
-
NORMALとHARDでのエンディングで流れるグラフィックはえらく力が入っており、「忍者龍剣伝シリーズ」にも劣らない美麗なものとなっている。
その他
-
シナリオに応じてグラフィックが細かく描き分けられている点
-
音声が少し用意されている点
-
修復モードで時間切れになっても、ラスト1個を置く時間が与えられる点。(これはアーケード版でも同じだが)
問題点
-
色々なシナリオを無理やり本作のシステムでゲーム化したのでタムの分身や聖騎士の砲撃など違和感を覚える部分がある。人によってはかなり気にするところ。
-
剣と魔法のファンタジーなゲームだと、武器から弾を発射するくらいはありふれていたりはする。
-
ポーズがなぜかSTARTボタンではなくSELECTボタン。フェイズ毎の点数リザルト画面で止められるが、STARTボタンではいけなかったのだろうか?
-
得点よりも敵全滅を狙ってクリアするステージが多く、一人プレイでは領地を広く囲って点数を稼いでもあまり意味が無いことも多い。
-
特に難しいステージになるほど顕著で、広く囲うべきステージでも点数より「特定地点を囲む」ことが条件となっている。
-
またノルマも厳しいので長期戦になり易い、10分以上掛かる事も珍しくない。
-
HARDシナリオの時代考証がおかしい
-
「あねがわのたたかい」でアサイの裏切りにあったり(本来は金ケ崎の引き口)足利将軍を倒す「やましな(山城?山科?山崎?)のたたかい」で明智光秀が裏切ったり(本来はもっと後の話)する。
-
なおNORMALシナリオで主人公の名前がチューリッヒという地名の由来元になったというのも事実ではない。
総評
アーケードの移植にあたるモードがない(2P対戦除く)という思い切ったアレンジに舵を切ったファミコン版は、単調だったアーケード版から一転、様々な勝利条件をクリアしていくアクション&パズルゲームとして、アーケード版とは異なる好評を得た。敵が海ではなく陸を攻めてくるのは大幅な改変ではあるが、反面敵と砲台がより近接するため攻撃を当てやすいという利点もある。単なる移植ではなく、世界観までひっくるめたローカライズ、あるいはカルチャライズの重要さを感じられる名移植といえるだろう。
その後の展開
-
『ランパート』は他のCS機やホビーパソコンにも多く移植されたが、元のゲームの面白さを生かし尚且つ大胆にアレンジしたこのFC版が最も遊びやすい。
-
他にジャレコからゲームボーイ版が発売されたが、内容が薄い上に世界観が意味不明でパッケージ(大砲でドラゴンを攻撃)を見ただけでは何のゲームかまず解らない。
-
メガドライブ版は本家のテンゲンが移植しているが、元のAC版をベースにアレンジ移植を施したものだった為か、却って日本のプレイヤーには受けなかった。
-
しかしながらテンゲン伝統の独創的すぎるマニュアルは相変わらず健在。
-
2007年には北米でネットワーク対戦などの要素を追加したPS3用のダウンロード版が発売されたが日本未発売。
-
オムニバス移植では『Midway Arcade Treasures』(PS2/GC/PSP/Xbox/Windows)や『MIDWAY ARCADE ORIGINS』(PS3/360)に収録されている。こちらも日本未発売。
その他
最終更新:2021年03月05日 22:45