ソニック ロストワールド(WiiU/Win版)

【そにっく ろすとわーるど】

ジャンル アクション
対応機種 Wii U
Windows 7~10(Steam)
発売・開発元 セガ
発売日 【WiiU】2013年10月24日
【Win(海外)】2015年11月3日
【Win(日本)】2016年3月1日
定価
【WiiU】
パッケージ版:7,329円
ダウンロード版:6,500円(全て税込)
【Win】3,480円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 シリーズファンから不評
ポイント アクション・ギミックゲー寄りの死に覚え調整
ブーストで突っ走る大味さは排除
シリーズでも特に不評なシナリオとキャラ描写
WiiU版には豊富なDLCあり(無料)
ソニックシリーズ

概要(WiiU)

WiiU初進出の作品。
空に浮かぶ惑星のような謎の大陸ロストヘックスを舞台に、エッグマンとそれに従う六鬼衆と戦う。
3DS版とは、ストーリーや設定、基本アクションはほぼ同一だが、『ソニック ジェネレーションズ』のようにステージなどは全くの別物。
雰囲気はクラシックソニック時代のものに近く、『ソニック カラーズ』以上に過去の敵がリバイバルされているのが特徴。

Win版は当初日本からは購入出来なかった(所謂おま国だった)が、数ヶ月後に近年のシリーズ、そしてセガゲームスのSteam製品では当時非常に珍しいことに日本からも購入出来るようになった。これに合わせて日本語にも正式対応している。*1

グラフィックは『ソニック ワールドアドベンチャー』以降のソニックシリーズの空気に近いが、操作方法はまるで異なる。
本作ではブーストが廃止され、歩行・走行・スピンダッシュという三段階のスピードを使いこなして走る。
『カラーズ』・『ジェネレーションズ』と同じアメリカ人ライターのケン・ポンタック氏、ウォーレン・グラフ氏らが脚本を執筆している。

特徴(WiiU)

  • 「カラーパワー」の継承。
    • 一部を除いてカラーパワーはほとんど前作のものを継承した。新たなカラーパワーも登場する。
      • レーザー、ドリル、ロケット、ホバーはほぼ同じ効果で続投。ロケットはジャイロ操作で座標に狙いを定める方式になった。
    • 新カラーパワーは以下のとおり。
      • インディゴ・アステロイド:周囲のものをデブリにして吸い込んでしまうカラーパワー。ジャンプにも制限があるなどやや扱いづらいが、周囲の障害物や敵を皆デブリに変えて吸い込む。
      • クリムゾン・イーグル:高速で空を飛ぶカラーパワー。グリーン・ホバーの上位的なカラーパワーだが、ライトダッシュは出来ない。
      • マゼンタ・リズム:音符に変身し、ゲームパッドにタッチしながら、音符マークの軌跡をたどっていくカラーパワー。辿るための制御が難しいステージ進行用パワー。
      • ブラック・ボム:アイテム放流で手に入る特殊なカラーパワー。ジャイロ操作でしばらく転がした後、制限時間を越えると爆発する。
  • アクション性の変化
    • 最も特徴的なのは「パルクール*2」で、ダッシュの状態で壁に飛びつくと壁走りが出来るようになる。これを利用して従来の連続三角飛びを応用した壁蹴り+壁走り移動で、複雑な地形は楽に走破できるように。
    • ホーミングアタック後、相手や特定の攻撃を蹴り飛ばす「キック」というアクションが追加された。タフな敵もこれによって一掃出来ることがある。
    • マルチホーミングという新機能も搭載された。こちらは多量の敵を一気にロックオンして倒せる。
      • ボス等ガードの固い敵には、同一の相手を多重ロックオンしてからホーミングすることでダメージを与えられたりする。
  • 本作において、移動には三段階のスピードがある。ソニック ラッシュ・ソニックワールドアドベンチャー以降でおなじみとなったブーストが存在しない。
    • スティックを倒すだけで「歩行」となる。一切走らず、速度を抑えた移動。
    • ボタンを押しながら行う「ダッシュ」は、いわゆるマリオのBダッシュ的なもの。そこそこの早さで駆け抜ける。このスピード以上においてのみパルクールが可能。ちなみに足はソニック・ザ・ヘッジホッグCDのように8の字を描く。
    • 「スピンダッシュ」は攻撃属性を持ったまま猛スピードで駆け抜けるが、時間や障害物などによって解除される。この状態はパルクールには移行しない。
  • 本作でも二段ジャンプが可能。ただし「カラーズ」とは逆に奥への飛距離よりも縦方向へのジャンプ力を重視したアクションになっていて、慣性なしだとあまり前に進めない。
  • メガドライブ時代の設定をモチーフにしており、エッグマンのメカを倒すと中から動物が登場する。動物が閉じ込められたカプセルもあり、これもスコアを稼ぐ時には重要なポイント源となる。
    • 助けた動物の数が先のステージの解放条件になっている。敵やカプセルをスルー気味に進んでいると稼ぎが必要になることも。
    • カプセルに入ったアイテムの数々は、MDのものを現代に蘇らせたものが多い。MD版リスペクトは『ソニック ジェネレーションズ』以上とも。
    • 効果音も一部がMDのものを意識したものになっている。敵を倒した時の音はまさにそれである。

評価点(WiiU)

  • 新アクションはほぼ好評。
    • マルチロックオン機能を搭載。複数の敵を一瞬にしてホーミングアタックで倒せる。これが出来るパートはなかなか気持ち良い。
      • またボス等硬い敵にダメージを与えるにはロックオンを重ねる必要があるという点で一発で吹っ飛ばせるザコ敵との差別化にもなっている。
    • キックはホーミングアタックと同じようにホーミングして敵に近づき、蹴り飛ばして相手をボーリングのピンのように吹っ飛ばせる新アクション。これも結構爽快。
    • パルクールは、これまで壁蹴り体勢でしかひっつけなかった壁を、そもそも「走ることが出来る」ようにしたアクション。行動範囲と自由度、攻略の幅も広がった。
    • ダッシュボタンを押すと、ソニックがその場で走るモーションをとる。そこから駆け出しても別にチャージされてダッシュが始まるというわけではないが、自分がダッシュボタンをちゃんと押しているかどうか一目でわかるようになった。
  • 操作性の良さ
    • 前述の通りアクションを一新した結果、操作性自体は飛躍的に向上している。
      • 全体的に小回りがきくようになり、特にブーストがある作品で顕著だったやたらツルツルと滑る地面の違和感もなくなっている。ボタン入力に対するレスポンスも良好。
      • 二段ジャンプの存在により空中制御の自由度も高くなった。
  • 六鬼衆のキャラはよく立っている。
    • 後述のようにシナリオ面の評価は低めだが、前作でもオーボット・キューボットのキャラは比較的受け入れられており、オリジナルキャラに関しての描写力は高いようである。
      • ちなみにそんな手下二人(というかキューボット)は、前作では「何度も口調と性格設定が変わる」というキャラクターなため本人のキャラが掴みにくかったが、今回普段の音声設定の台詞が聞けるようになり、良い方向に掘り下げられている*3
    • 皆をまとめるリーダー・ザボック、単細胞で戦闘狂・ザズ、大食感のふとっちょ・ゾモン、ザボック達の師匠・マスタージーク、キャリアウーマンのような紅一点・ジーナ、陰気で中二病なナルシシスト・ゾア、これらは皆個性が際立っており、敵ながら感情移入しやすい*4
      • これらのキャラは、必ず名前に使われる文字の1つに「Z」が入る。
      • ソニックシリーズにはエッグマン以外で普通に同じ世界に存在する悪役というのが少ないのもあり、ザボック・ザズはオールスターゲーへのゲスト出演も多い。
  • 『ジェネレーションズ』に引き続き、タイムアタックランキングを実装。
    • 任天堂ハードでは本作で待望の実装となった。
  • BGMは近年のソニック音楽を担当する大谷智哉で、安定の高品質。
    • ボーカル曲こそないもののバリエーションに富み、印象に残る曲も多い。
  • MD版時代の世界観をモチーフにしつつ、HD対応にして美しくなった世界観。
    • 1080p・60fpsでぬるぬる動くソニックは見ていて心地が良い。処理落ちもほとんど無い。
    • 特徴的な植物、動物たちなども全部美麗なCGになっており、『ソニック ジェネレーションズ』のグリーンヒルともまた違った魅力がある。
  • いろんなアイデアが詰め込まれた多様なステージ。
    • とても細長い木に作られた蜂の巣を真下に駆け抜けるステージや、お菓子だらけのステージなど個性的なステージが目立つ。
    • 他にも巨大フルーツをミキサーにかけてジュースの川が出来るステージや、水中に作られた工場内をグラインドレール一本で滑走するステージなんてのもある。
    • クリア後に出現するヒドゥンワールドもなかなかカオス。
      • パ○クマンのような、毛がフッサフサで不気味な敵から逃げたり、時間切れまで延々ルービックキューブの敵を倒したりする。あるゾーンではソニックアドベンチャー2のあの曲のインストアレンジが聞ける。しかも瀬上純のギター付き。
    • ルート構築も、3Dパートでは円柱形かつどの角度からも作り込まれたステージ構成が特徴的。かつ先のパルクールの影響から非常に幅広く、慣れたプレイヤーであればかなり自由度の高い攻略パターンを考えることができる。
      • 後述のように2Dパートにおいてはやや難があるが、3Dパートに関しては基本的にはアイデアを盛り込んで作られている。
  • 3DS・Miiverseとの連動機能が充実
    • クエストを終えることで手に入るアイテムを、Miiverseに放流することが出来る。また、放流されたアイテムを自分が受け取ることも可能。
    • 3DS版があればテイルスラボで開発したラジコンをWiiUのゲーム内に登場させることが出来る。
  • WiiU版のみに存在する、他作品とのコラボステージの配信。
    • 第一弾はソニックチームの代表作であるNiGHTSをモチーフとしたナイトメアステージ。
    • 第二弾はまさかのヨッシーアイランドヨッシーストーリーがモチーフのステージ。
    • 第三弾はゼルダの伝説ステージで、ソニックがリンクのコスチュームに身を包みHPの概念が導入される、かなり特殊なステージ。
      • どれも気合いの入った出来である上に、これらのダウンロードコンテンツは全て無料である
    • なお、当然ながら第二弾と第三弾は任天堂のキャラクターとのコラボのためSteam版では配信されていない(ナイトメアステージのみ)。
  • アップデートでいくつかの不便な要素が解消された
    • 初期残機数が5から10に増加。さらにアップデート前はオミットされていた従来作の仕様である「リングを100枚集めると1UP」も復活し、ゲームオーバーになりにくくなった。
    • カラーパワーがボタン操作にも対応し、操作性が向上した。

賛否両論点(WiiU)

  • ギミック重視のアスレチックステージ構成
    • かつてのMD版ソニック・ソニックアドベンチャー等、3D初期作品のようにギミックが重視されたデザインになっている。
    • 中には仕掛けを発動しないと先に進めないものもあり、浮かぶ星のような小島を渡り歩いていくことから見た目はスーパーマリオギャラクシーと似たものになっており、よく名前を挙げられる。
      • そのため、本作のタイムアタックはただ走り抜けるだけではなく、いかにギミックを素早く解くか、ということが鍵になっているパートが多い。
    • 過去作に回帰しているとは聞こえは良いが、世界観に対して基本はハイスピードソニックの雰囲気も合わせ持った作品であるため、不一致感があるのも確か。
      • 本作を評価するプレイヤーであっても、全体的にギミック難易度が高い(後述)点については問題として指摘していることが多い。
    • 3D場面のギミックは早解きできるレベルで上達すれば気持ちが良い反面、最初はソニックに見合わぬじっくりしたスタイルで解かないといけないレベルで難易度が高いことはやはり難点。当然そこにハイスピードアクションの要素はない。
      • 2Dパートでは多少やりやすくなるが、2Dパートでは3Dパートと比較して減速を感じるような仕様となっているので、3Dと比べて爽快感が落ちてしまうという。と、どちらかの長所が損なわれるゲーム感覚になりがち。2Dパートが3Dパートに比べてテンポが落ちるのは、ある意味いつも通りではあるが…

問題点(WiiU)

不評なキャラ描写や設定

  • シリーズファンの不信を買ったキャラクター描写
    • これまでと合わせて不満が噴出することに。
      • ソニックが余裕をこきながら軽率に行動した結果、味方のピンチを招く格好悪い場面が多い。またテイルスはエッグマンへの不満と嫉妬から嫌味を言うシーンがやり玉に上げられる。
      • どちらも『ソニックカラーズ』以降のキャラクターの延長線上ではあるが話の都合で負の側面が強調されている印象が強く、過去作に比べても不満が噴出している。
      • 特にテイルスは八つ当たりしてしまった後のフォローや見せ場もちゃんと用意されているのだが、ネット上では悪い噂ばかりが極端に先行してしまっている。
      • 本作では嫌々エッグマンと共闘する展開になっており、それで二人の調子が狂っている…とちゃんと理由付けが存在する*5。が、こうした共闘展開がプレイヤーを楽しませているとは言い難い。
      • その他サブとして本編では久々にエミーやナックルズがストーリーに深く絡む形で登場した*6ことは歓迎された。ただ別行動なためほとんど脇役同然で影が薄い。代わりに先の二人のようなイメージ崩壊は少ない。
    • 先の通り六鬼衆のキャラ描写への悪評はほぼなく、また『カラーズ』でデビューしたものの、展開上キャラがわかりづらかったキューボットは初めてまともな人格で喋るシーンが描かれたなど、プラスに働いたキャラがいないわけではない。
  • シナリオの問題点・説明不足
    • シナリオの雰囲気は相変わらず全体的に緩い。話が大きく動く場面を除いて、雑談の延長線上のような会話が繰り広げられることが多い。
    • 先の展開もソニック達にわざわざ情けない失敗を背負わせる理由に乏しい。物語の都合で無理矢理軽率なキャラに仕立てられた感が強く、魅力的に受け止められてはいない。
      • 宿敵同士の共闘という展開を魅力的に描けていない。
      • なおこれについてはライターだけの問題ではないという証言(会社都合)もある。
    • また、本作の舞台となるロストヘックスに関する説明は劇中においてほぼされないため、謎が多いまま終わっているのも残念。
      • さらに六鬼衆のバックボーンも掘り下げが足りていないため、いかんせんわかりづらい。
        + ネタバレ注意
      • 鳴り物入りで登場した六鬼衆は結局前座で終わっており、ラスボスは最後の最後で共闘を破棄したエッグマンとなる。ラスボスメカのデザイン自体はかなり独特で格好良いのだが、前作『ジェネレーションズ』とも同様の展開であり悪く言えばマンネリ感が強い。
        • 六鬼衆はその直前にも、テイルスの演技にあっさり騙されるという情けない展開もあり、最終的に新キャラである六鬼衆が噛ませ犬のような扱いになっている。
        • というか、物語の最初から六鬼衆はエッグマンに操られている。そこにたまたま反乱するチャンスを手に入れたという話なので、決着を着けた後のラスボスがエッグマンという展開自体は至極真っ当なもの。
        • なおゲーム上における六鬼衆は、倒した後で明らかに消滅した(あるいは死亡した)かのような演出が為され、以降シナリオムービーからはフェードアウトとなる。が、EDでエッグマンが操るために法螺貝を探しに行くと発言したことから、顛末こそ描かれていないが生きていることが唐突に明かされる。結果後発の作品に登場することに。
        • これはゲーム上の演出とシナリオの噛み合いが悪いとも言えるが、そもそもシナリオムービーで六鬼衆との決着をしっかり描かなかったのが原因である。よって退場の感慨もなく、そもそも後述のウィスプの扱いもそうだが説明・描写不足である。
        • 先のように六鬼衆に一杯食わせるテイルスなど、盛り上がるシーンがないわけではない。
  • 『カラーズ』のウィスプ達が何故ロストヘックスに居るのか一切説明がない。
    • カラーパワーを出すことを優先して、設定を投げたともとれる。彼らは宇宙人でちゃんと生きており、『カラーズ』では友情も深めてきっちり別れを済ませたはずなのだが、今作ではただのアイテム扱いである。
      • ちなみにこのウィスプ達については『一定数の個体はこの星の環境が気に入り居付いた』という設定が後の作品で語られた。

全般的にゲームテンポが悪い

  • ワールドアドベンチャーで確立されたブーストを基軸とした操作が全撤廃され、スピード感がガタ落ちしたのは共通点であるものの、WiiU版はそれが特に顕著に現れている。
    • 「ただ駆け抜けるだけではレースゲームと変わらない」という危惧を持っていたプロデューサーの発案による変更であり、曰く「スピンダッシュではブーストと同じスピード感が出る」とのことだが、実際はまるでブーストに及ばないスピード感。特に2Dパートではそれが顕著(一般的なアクションゲームと比べれば速い方ではあるが)。
    • スピンダッシュはジャンプに慣性があまり乗らなくなっている。普通にダッシュして飛ぶよりは遠くにいけるものの、使い勝手は悪い。
    • そしてブーストが消え、ジャンプ中のジャンプボタン操作は二段ジャンプになったため、空中で加速する手段もなくなった。
      • ジャンプの着地点に正確性を求められる場面は多いので、この二段ジャンプの性能自体はゲーム性と合ったものではある。
    • 前述のように足が止まるギミックや、走れない場所、待ち時間が発生する地点が多く、駆け抜けるアクションの割合は近作に比べて小さくなっている。
      • MD~3D初期(『ソニックアドベンチャー』頃)のソニックシリーズの感覚に近いとも言えるが、近作のファンには受け入れられなかった。近年作と同様に気持ちよく走れる1-1の評価は比較的高い。
      • ステージ自体がスピード感ある作りになっているところも定期的にあり、それ以外のステージでも慣れればある程度爽快に駆け抜けることは可能である。
      • 足が止まるギミック等が多いこのゲームの路線を考えれば自然な調整ともいえるが、ソニックのスピードも従来より遅くなっている。特に2Dパートの野暮ったさは看過し難いという声が多く、やはり『ソニック』の性には合っていないということか。

『カラーズ』よりも使い勝手が悪くなったカラーパワー

  • ウィスプカプセルからウィスプを救出することで能力が使えるようになるのは同じだが、『カラーズ』はカプセルに触れるだけでよかったのに、WiiU版はカプセルを攻撃しないとウィスプが入手できなくなっている。
    • なぜかホーミングアタックのロックオンもできないため、地味に見えて煩わしいひと手間が掛かる。
      • 『カラーズ』のように発動したら即パワー開放という流れにならない。発動時には説明文が、終了時には解除の一文が表示され、その都度ゲームが止まってしまう。PVでは従来通りだったのだが、せめて設定で変更出来なかったのだろうか?
      • 表示される説明文もとても簡素なもので、初見ではカラーパワーの特色を掴み切れないまま能力が終了してしまう。
    • また、カラーパワーの操作はジャイロセンサーやタッチ操作を強要されるものがある。
      • これは後のアップデートでマゼンタ・リズム以外は全てボタン操作が可能になった。

ステージ上の六鬼衆のボイス

  • 『カラーズ』におけるエッグマンの園内放送のような形で、ボスの登場するステージでは特定ポイントで六鬼衆のボイスが挿入されるのだが、これが賛否両論。
    • 全員個性溢れるトークを聞かせてくれるのはいいが、このボイス、音量がそこそこ大きい上にリトライ時に同じポイントを通過する度に流れる。チェックポイント近くで流れるものだと、リトライする度に同じ口上を幾度となく聞かされることに。
    • ちなみに内容の多くは六鬼衆のキャラを掘り下げる趣のものが多いが一部にはソニックへの罵倒のような台詞も含まれており、繰り返し聞いて気持ちのいいものではない。会話シーンと違ってソニックがジョークを交えて言い返すこともないので余計にフラストレーションがたまりやすい。
      • ノーマルプレイだけでなくタイムアタック時にも強制的に流れ、オプション等からオフにすることもできない。

『アドベンチャー』~『新ソニ』時代レベルのハードすぎる難易度調整

  • ブーストシステムにより特に3Dパートが大味になっていた直近のシリーズと違い、場面に合わせて豊富なアクションをちゃんと活用することを求められる調整。
    • 表面的にはスピードを落としてギミック重視にすることで「初心者向け」も目指したきらいがあるが、実際はその多くが死に覚えゲーであり、落下罠やダメージギミック等も多いため駆け抜けられるパートそのものが多いとは言い難い。
      • ソニックは元々「死に覚えゲー」の側面が強いシリーズではあるが、だんだんと解消されつつあった所に出たこの作品は余計に反発を招いた。
      • 特に3Dパートに関してはワールドアドベンチャー以降ブーストで軽快に駆け抜けられるのがウリでもあったため、落とし穴やギミックのために足を止めたり慎重に歩く羽目になりがちなゲーム性への反発が強い。
      • タイムアタックとしてはギミックの早解きという新たな路線を開拓しており、人によってはこれも魅力とする声もある。が、肝心のTAが以前の作品と比べて盛り上がったとは言い難く、ソニックの濃いマニアの間で細々と行われた程度に留まっている。
    • サーチライトに当たるとミスになるサイレントフォレストZONEのACT2や、独特の操作を求められるフローズンファクトリーの各ACTが特によく難しいステージとして話題に上がる。
    • 何度もミスすると登場するアイテムの「羽」が現れ、一パートまるまる飛ばすことが可能。ただし飛ばすことによってプレイヤー目線ではモヤモヤしたものを残すこととなり、救済や対応策として評価されているとはいえない*7
    • 残機数自体は初期数も多く、リングや1UPが道中に大量に設置されており、更に稼ぎやすいおまけステージ等も設置されているので稼ぎプレイをすればある程度多い安定するが、基本的には高難易度な死に覚えゲーである。
      • 仮に羽で飛ばしても残機の消費コストは軽くない。羽でほぼ全部飛ばした場合の達成感は当然なく、理不尽なギミックという感想だけが残る。それだけ本作は難易度の調整は全体的に極端すぎて評価を落としている。一応稼ぐ手段自体はあるが結局作業的になるため煩わしさは否めない。
    • 新アクション『パルクール』による壁走りはソニックらしさもスピード感もあるものの、壁を走る=立ち止まることもできずワンミスで落下死というシチュエーションを増やす結果になっている。
    • 2Dパートでも壁を登ったり特殊な対処を必要とする敵が多かったりと、作りに凝っている一方で単純に複雑となっている弊害もある。
    • ただし、 ソニックシリーズとしては特に高難易度な作品ではない
      • 空中制御の豊富さや残機数の増えやすさとミス→リトライの流れのスムーズさもあり、メガドライブ時代や3D初期のシリーズからのプレイヤーにとってはむしろストレス少なく「死に覚え」を楽しめるだろう。
  • アイテムの保管数が少なすぎる。
    • Miiverseから多くのアイテムが流れてくる時もあるのだが、すぐにアイテムケースの中身が一杯になってしまい、満杯になったらそのほとんどを捨てざるを得ない。
    • アイテムの中にはしょうもない効果の物も多い。
  • その他気になる点
    • ゲーム中にヒントがWiiUゲームパッドに表示されるが、テレビでプレイ中だといちいち首を下げて見るのが面倒で疲れる。そう頻繁に見るものでもないが。
    • オプション周りが劣化し、設定項目が非常に簡素となってしまっている。また、一度見たムービーを見直すことが出来ないなどより不便さを感じる内容に。前作ジェネレーションズはその辺りが充実していたため、余計に気になる部分。

総評

ソニックシリーズでも珍しく万人に遊びやすい難易度であったソニックカラーズを受け継ぐ系統ということで期待されていたが、実際にはむしろそれ以前のシリーズに近い玄人向け難易度設定だった。
コアユーザーにプレイさせるにしても、これまでのソニックで好評だった疾走感や、それを高水準で実現させるブーストの廃止という点が足を引っ張ることになる。
マリオ等の3Dアクションのゲーム性へ中途半端に寄せた結果、「ソニック未体験のプレイヤーからはついていけない」「ソニックシリーズのプレイヤーからはスピード感が足りない」という意見が多数となってしまった。
こうした半端な姿勢が二兎追う者は一兎も得ず的な結果になってしまった感がある。

アクションゲームとして見れば決して出来の悪い作品ではなく、本作の評価を分ける要因となっている。
また、本作のシナリオにおけるソニック達の描き方は長いファンからは非常に評価が低い。『カラーズ』や『ジェネレーションズ』ではギリギリ首を傾げる程度だったのが、本作においてライターに対する不信が一気に高まったと言える。
以降もこのライターを使用し続けている辺り、当時のセガは以前のシリーズとはイメージを大きく変えようとしていたことが窺える。


余談

  • ちなみに脚本家ケン・ポンタック氏は、ソニックシリーズに触れたことがなかったことを本作発売後に明かしている。ゲーム制作の上で別に珍しい話ではないが、思い入れの強いファンが多いシリーズだけに極端な批判に曝されることとなった。
    • これで好評であればモデルチェンジ成功ともいえるだろうが、実際は海外向けを狙ったはずなのに海外でも評価が高いとは言えない。
      • ただし同時に「本作以外ではセガに予め決められたシーンでの会話を考えるだけだったこと」・「本作においてもセガ側からの制約が多かったこと*8」を暴露している。
      • また ソニック自身のキャラクターの路線変更についても脚本家ではなくセガ側の意図したものだった ということはカラーズ以降セガ側から何度も明言されていることであり、脚本家だけの責任とは言い切れない。
      • 後年『ソニックフロンティア』の脚本家からも同様にセガ側からの介入が多くあったという発言があったため、信ぴょう性はある意味上がった。
  • 本作にボーカル曲がない理由を後年の『ソニックフォース』のインタビューにおいて今だから言える話として「海外チームからボーカル曲禁止のお触れが出たため」と説明されている。
    • 先の件も含めて、海外チームの発言力が増していた可能性が示唆されているが、同インタビュー内では曲に関してはカルチャー的な違いが原因で揉めやすいことも添えられている。
      • ちなみに本作でボーカル曲作成を抑制された鬱憤は相当溜まっていたとのことで、同作においては反動のようにボーカル曲の採用が激増している。

ソニック ロストワールド(3DS版)

【そにっく ろすとわーるど】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 セガ
開発元 ディンプス
発売日 2013年10月24日
定価 パッケージ版:5,229円
ダウンロード版:4,700円(全て税込)
判定 なし
ポイント WiiU版より疾走感はある
決して万人向けではないがゲームとしての出来はいい
処理するのに時間のかかるギミックや敵
ステージを熟知すればその障壁を無力化できる二面性

概要(3DS)

携帯機版初の3Dアクション作品。ストーリーなどは先立って発売されたWiiU版と概ね同一だが、ゲームの内容(ステージの形やステージ数)や操作感は大きく異なる。
ギミックや新システムはWiiU版とほぼ同じで、パルクールなどの新要素もばっちり採用されている。

特徴(3DS)

  • 新アクションなどはほぼWiiU版と同様。ただ内容が異なるため操作感には差異がある。
  • 3DS版のみのカラーパワー。
    • 使用できる既存のカラーパワーはレーザー、ドリル、バーストの三種類。バーストは専用のBGMが作成され、3D画面でも使用出来るようになった。
    • それ以外に本作のみのカラーパワーは以下のとおり。
      • インディゴ・アステロイド:WiiU版と同様。
      • グレイ・クエイク:岩に変身して、地震を起こしたり転がることが出来るカラーパワー。前作のブルー・キューブと地震を起こす効果のみ同一である。
      • アイボリー・ライトニング:全身を電気に変え、ワイヤーのように利用したり高速移動する能力。

評価点(3DS)

  • ボリュームの増加
    • 『ジェネレーションズ』3DS版では、ステージ数が非常に少なくあっという間にクリアしてしまい、ボリューム不足だという声が多く聞かれた。ミッションモードやタイムアタックモードはあったものの、やりこむプレイヤーでないとボリュームはかなり少ないと言えた。
    • その意見を反映したのか、本作はかなりボリュームが増えている。
      • 全部で7つのワールドがあり1つのワールドには通常ステージが3つとボスステージが1つ、さらに通常ステージでレッドスターリングというアイテムを全て取得することで隠しステージが1つ開放される。
      • 更にゲームクリア後にはハードモードが追加。初期リング1枚以外のリングがステージ内で手に入らず、全てのステージで敵の配置や仕掛け、ルートなどが変更されている。これにより、タイムアタック派以外でも長くやりこめるようになった。
      • 携帯機シリーズ恒例のカオスエメラルドを入手するスペシャルステージも健在。
  • WiiU版と比較してスピード感は高い。
    • 流石にブーストには及ばないが、スピンダッシュやカラーパワーは3DS版においてはスピード感を落とす要因にはなっていない。
    • さらにスーパーソニックやスピードアップアイテムなど、ソニックのスピードをぐんと上げる手段も追加されている。
    • パルクールの操作性も快適。WiiU版のパルクールは重力の影響で奥方向への壁走りなどコントロールが難しい場面があったが、こちらはほぼ真っ直ぐに走り抜けられる仕様であり引っかかりなく走破できる。またスピンダッシュによる再加速も一度だけ可能。
  • やり込み甲斐のあるステージ
    • ステージ中では足を止めなければいけない仕掛けや道を塞ぐ高耐久の敵が多々存在する。
    • これらの障壁は、今作初登場のパルクールや、カラーパワーでスムーズに攻略できるものが多く、そのカタルシスからタイムアタックまでプレイするやりこみ派からの評価は高い。
    • 一方でスムーズな攻略にはステージやシステムの熟知が必要であり、 ほとんどのプレイヤーには理不尽に足止めが多いゲームに感じてしまう。 *9
      • 同発のWiiU版で力尽きてしまったファンも多いであろうことが逆風となっている。
    • (具体例)
      • 9回も攻撃しないと倒せない巨大な雑魚敵を倒すことで、スプリングが出現して先の道へ進める場合…… (1)その手前で入手できるカラーパワーの効果時間を切らさずにここまで辿り着くことで1撃で倒せる (2)パルクールで壁を登ることで、敵を倒すこともスプリングを使うこともせずに先へ進める。
      • 極端な例だと、ステージ中で足止めに現れる六鬼衆の出現イベントそのものさえもスルーしたり、水中ステージでは水の上に脱出し水上を悠々と走破出来たりする。
  • テイルスラボ
    • 3DS版のみに登場する施設で、その名の通りテイルスがプレイヤーのサポートをしてくれる。
      • ステージで使用するラジコンやアイテムを開発できるほか、すれちがい通信の管理や一度見たカットシーンの閲覧、ゲーム中流れる音楽を聴くことも可能となっている。作ったラジコンはWiiU版に送ることも出来る。
      • 項目を選んだ際の上画面でのテイルスのしぐさは必見。ストーリー中のテイルスにがっかりしたファンの心を癒してくれる。
  • 凝った作りのボス戦
    • 3DS版では六鬼衆とのボス戦も各々の特色が出たものとなっており、さらに特定のアクションでウィスプを出現させてカラーパワーを使うことで一気に大ダメージを与えることができる。
      • 普通なら倒すのに数分かかるボス戦を工夫すれば10秒~20秒で倒せるので、その抜け穴的な攻略法を見つけた時の達成感は強い。
    • またWiiU版と違いボス戦が独立したステージになっているため、ミスをしてしまってもその前の道中からやり直す必要がないのもありがたい作り。

賛否両論点

  • 高難易度ステージと救済措置の不安定さ。
    • WiiU版に比べ落下死注意のポイントが多く、カラーパワーを切らした際に即死となる箇所も増加している。携帯機の操作性にしてはかなりシビアな難易度となっておりスムーズな攻略には相当なやりこみが必要。
    • 一方でリングや1UPアイテムを大量取得できるポイントが多く存在し、WiiU版同様残機数を大幅に稼ぐことが出来る。
    • 但し初見ではパルクールやカラーパワー、場合によってはラジコンにおいても些細な操作ミスが落下死を誘発し、残機が急減するポイントの方が印象に残る。
    • 同じ場所でミスを繰り返すと高性能なラジコンが現れ、ある程度は攻略を楽にしてくれる。
      • 敵をオートで狙撃してくれるものや、ジャンプ後の落下をゆっくりにしてくれるものなど。
      • ただしWiiU版の羽と違って丸々スキップはさせてくれない上操作性に癖があるものもあり、苦労する人はとことん苦労する。
      • オート移動するラジコンはステージの終端地点(バネで次のステージにワープする地点)を通り過ぎても落下死判定にならず、しばらく虚空を飛行し続ける不具合がある。助けを借りるにしても前段である程度ステージの構造を覚えておく必要がある。
  • 被弾時ののけぞり時間の長さ。
    • 近年の作品にしては被弾後の立ち上がりが遅く、こちらもステージ中の配置を覚えればある程度避けることが出来るがやはり初見プレイ時にはストレス要因となる。

問題点(3DS)

  • 強制されるジャイロ操作
    • 本作の一部ステージやカラーパワーなどのギミックなどにはジャイロ操作が採用されているが、スティック操作などに変更するオプション等が存在しない。
      • これらが存在するステージは電車内などの外出先でプレイしづらく、気軽に持ち運びできるという携帯機の利点を完全に潰してしまっている。
      • 新カラーパワーのクエイクはこの点からよく批判される。そもそもクエイクの能力が微妙と言えば微妙なのだが。
    • スペシャルステージもジャイロ操作強制である。
      • 真っ当にプレイしようと思うと360度見回す必要があるので、普通に椅子に座ったり寝転がっていてはできない。回転椅子を用意したり、立ってプレイすることが必須といえる。
      • 一応、ポーズメニューを挟むことでジャイロをリセットするなどの手段は取れる。
  • 面倒くさい敵の数々
    • ホーミングアタックは同一の敵にも3度ロックオンできるようになったが、それを前提にしているのかやたら体力が高く面倒くさい敵が増えた。
    • 3ロックオン×3回(ホーミングアタック9回相当)の体力を誇り、ダメージを与えるとしばらく無敵になる亀や、腕を振り回している間は無敵のエッグポーン。
    • サマーソルトで弱点を露出させないと倒せないミミズなどひたすらソニックの足を止める敵が登場し続ける。
      • カラーパワーやパルクールを駆使することで速攻が可能ではあるが、初見プレイでは時間をかけてこれらの敵と戦う羽目になるであろう。
    • サマーソルトは何故か敵だけでなくオブジェクトに対してもロックオンが出来てしまう。その為狙った敵とは全く無関係のオブジェクトに衝撃波が飛んで行ってしまい、倒し損ねた敵の弾が飛んできてダメージを食らうといった事故が起きやすい。
  • なぜかムービーの画質が悪い
    • 体験版の時から言われていたがムービーが圧縮されているのか、画質がにじんだような、ぼやけたような感じになっている
      • 体験版や製品版のDL版の容量を少なくするため強い圧縮をかけたのでは?という意見がある。WiiU版では画質は綺麗である。
    • 画質とは関係ないが、WiiU版にあったいくつかのムービーが3DS版では省かれている。そのせいで一部の話がわかりづらい。

総評(3DS)

携帯機初の3Dアクションとしてはハード面の制約の中で頑張っているのは感じられる出来。
本作もまた見所がないわけではないが、万人向けとは言い難い難易度やWiiU版と同じシナリオからシリーズファンからの評価は低い。
ただしこちらも決してゲームとして出来が悪いわけではなく、むしろWiiU版に比べるとソニックらしいスピード感があって3DS版だけならよかった、という声も近年ではしばしば聞かれるようになった。


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最終更新:2023年11月14日 02:25

*1 これを皮切りにメインシリーズ次回作の『ソニックフォース』以降、だんだんと日本でもPC版が当たり前に販売されるようになった。

*2 元ネタはフランス発祥のスポーツ。人工物や自然物などの障害を物ともせず目的地に到達することを目標とする。

*3 口調が変わるという設定自体は健在で、劇中で『カラーズ』のように壊れて変な口調になるパートもある。

*4 声優はそれぞれ中田譲治や青山穣、茶風林、麦人、冬馬由美、泰勇気の6人。

*5 ただしエッグマンと共闘せざるを得なくなった理由自体がそもそもソニックが先走った失敗の結果である

*6 『ソニックジェネレーションズ』でも登場はしたが、ほとんどがワンフレーズかつ少量の出番しかなく、テイルスと同程度にシナリオで役割を持たされるのは久しぶりのことであった。

*7 当時はマリオシリーズ等でもある意味強引な救済措置が話題になってあり、開発側も難易度調整に試行錯誤していた時代であるといえる

*8 他の多くのキャラクターについても脚本家側は出したがっていた、など

*9 オンラインのタイムアタックランキングを見るに、専用のタイムアタックモードで記録を出す必要があるが、スムーズな攻略法でクリアしているプレイヤー数は3桁に届くか否か程度に少ない