ファミコンジャンプ 英雄列伝

【ふぁみこんじゃんぷ ひーろーれつでん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 3MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 トーセ
D&D
発売日 1989年2月25日
価格 6,500円(税抜)
判定 なし
ポイント 当時のジャンプ人気連載作品のヒーロー(?)大集合
ゴールキーパーに反らされる「んちゃ砲」や「無想転生」
ジャンプを読んで心を清らかにしよう
少年ジャンプシリーズ


概要

少年漫画誌『週刊少年ジャンプ』の創刊20周年記念企画。フィールド及びダンジョンの全てがトップビュー画面で構成されるアクションRPG。
当時連載中だった人気作品のキャラクターたちが一堂に会するクロスオーバーものの作品である。 アイテムを手に入れたりお使いをしてジャンプ戦士を集め、ジャンプワールドの征服を目論むピッコロ大魔王を倒す事が目的。

ジャンプ人気も手伝い、ジャンプ作品を題材にしたFCソフトでは『ドラゴンボール 神龍の謎』に次ぐ売上数で、ミリオンヒットを達成している。

あらすじ

主人公の少年が週刊少年ジャンプを読んでいると、突然ジャンプの中に吸い込まれ、ジャンプキャラの住む世界「ジャンプワールド」へ飛ばされてしまう。
そこで出会ったマスコット・キャプテンギャオの話では、今までやられてきた無数の悪役キャラの怨念が集まって世界に反逆を始め、ピッコロ大魔王率いる悪の軍団がジャンプワールドを乗っ取ろうとしているという。
少年はこれを阻止すべく、ジャンプワールド中に散ったジャンプ戦士達を集める冒険に出た。

参戦作品

+ プレイヤーキャラとしては16人参戦。
作品 仲間になる勇者 (時代) NPC
北斗の拳 ケンシロウ (現代) リン、赤シャチ※ モヒカン(雑魚)、ヒョウ、カイオウ
ついでにとんちんかん 間抜作 (現代) 毒鬼警部(雑魚)
ドラゴンボール 孫悟空 (現代) 占いババ、ヤムチャ、ブルマ、ウパ、カリン様、神様、クリリン、亀仙人 レッドリボン軍(雑魚)、桃白白、レッド総帥、ピッコロ大魔王
シティーハンター 冴羽獠 (現代) 槇村香、野上冴子 銀狐(雑魚)、伊集院隼人(海坊主(雑魚))
Dr.スランプ 則巻アラレ (過去) 則巻千兵衛、山吹ミドリ、ターボ君 キャラメルマン○号
聖闘士星矢 ペガサス星矢 (現代) ドラゴン紫龍、アンドロメダ瞬、城戸沙織 雑兵(雑魚)、アルゴル(雑魚)、カミュ、シュラ、デスマスク、アフロディーテ、サガ
魁!!男塾 剣桃太郎 (現代) 江田島平八 塾生(雑魚)、雷電、飛燕、月光、伊達臣人
男一匹ガキ大将 戸川万吉 (過去)
ゴッドサイダー 鬼哭霊気 (現代) 瑠璃子、大日輪行仁 ハルパスの息子(雑魚)、ハルパス、リリス、パズス
ジョジョの奇妙な冒険 ジョセフ・ジョースター (現代) エリナ・ジョースター、スピードワゴン 石仮面(雑魚)、サンタナ
ドーベルマン刑事 加納錠治 (過去)
荒野の少年イサム イサム (過去)
キャプテン翼 大空翼 (現代)
県立海空高校野球部員山下たろーくん 山下たろー (現代)
アストロ球団 宇野球一 (過去)
キン肉マン キン肉スグル (過去) バッファローマン、ネプチューンマン
きまぐれオレンジ☆ロード 鮎川まどか、檜山ひかる
キャッツ アイ 来生瞳
トイレット博士 角南
燃える!お兄さん 国宝ケンイチ、国宝雪絵
リングにかけろ 高嶺竜児※、高嶺菊 ゼウス
ハレンチ学園 柳生みつ子(十兵衛)
ウイングマン ウイングマン(広野ケン太)※、葵、美紅 リメル
ハイスクール!奇面組 一堂零、河川唯
シェイプアップ乱 寿乱子、原宗一郎
THE MOMOTAROH モモタロウ ウラシマまりん
こちら葛飾区亀有公園前派出所 両津勘吉
包丁人味平 塩見味平
サーキットの狼 風吹裕矢※、早瀬左近
よろしくメカドック 風見汐
キックオフ 永井太陽※、川村由美
父の魂 南条丈太郎
銀牙 -流れ星 銀-

※印はミニゲームでプレイヤー操作

+ ラストバトル登場悪役一覧
キャラ名 作品名
大豪院邪鬼 魁!!男塾
Dr.マシリト&キャラメルマン7号 Dr.スランプ
キン肉マンスーパーフェニックス キン肉マン
峠球四郎 アストロ球団
ジノ・ヘルナンデス キャプテン翼
帝王ライエル ウイングマン
ラスネール伯爵 ゴッドサイダー
ヒゲゴジラ ハレンチ学園
エシディシ ジョジョの奇妙な冒険
赤カブト 銀牙 -流れ星 銀-
双子座のサガ 聖闘士星矢
ラオウ 北斗の拳
マジュニア ドラゴンボール

戦闘システム

  • フィールド上に敵シンボルがうろついていて、一定範囲に近付くとシームレスに戦闘になるシンボルエンカウント。
  • 1人vs敵1~2体のアクション戦闘。
  • フィールド戦闘の攻撃手段は全プレイヤーキャラ共通で、連射が効く近距離攻撃・連射が効かないが遠くから攻撃できる遠距離攻撃の2種。
    • 近距離攻撃はこちら側のみ1回のパンチで2~3回ヒットすることがあるなど、一応プレイヤー有利になっている。
  • 敵の行動パターンはキャラによって異なり数種類のタイプがある。
    • 普通に近付いてきて近接攻撃するタイプ、変わった近付き方をして近接攻撃するタイプ、距離をとり軸を合わせてひたすら遠距離攻撃してくるタイプ、軸を合わせて高速移動で突進してくるタイプ、歩かず瞬間移動と遠距離攻撃を繰り返すタイプなどがある。
    • 近距離タイプ、ダッシュ攻撃タイプ、瞬間移動タイプの敵相手なら近距離攻撃だけでも充分ノーダメージで倒せる。トリッキー接近タイプか遠距離タイプの敵が最も手強い。
  • プレイヤーキャラの遠距離攻撃が再使用可能になるまでの補充時間は主人公の「こころ」の善悪に依存しており、「しょうねんジャンプ」を何度も買って読むことで心を善に引き上げ、連発できるようになる。
    • たまに悪人顔をした善人(一見敵だが襲ってこず、一呼吸置いた後に会話になる)が居ることがあり、これを間違って倒してしまうと一気に心が悪に染まる。戦闘に入った瞬間に攻撃する為ボタンを連射していると高確率で誤殺しやすいという罠。
    • また、筋斗雲に乗るたびに心が少し悪に傾く。原作の「心が綺麗な者しか乗れない」という設定は何処へ。
      • 恐らく安直に雲に乗りまくられないためのバランス調整なのだろう。
  • エリアは全部で5つに分かれており、基本的にエリアのボスを倒さないと次のエリアに移動しても町などの施設には入れない。
    • 例外はエリア4とエリア5で、この2つのエリアのみボスを倒さなくても各施設に入ることが出来る。
  • 仲間自体は多いものの、一度に連れられるキャラはそのエリアで仲間にしたキャラ二人まで。
    • 別のエリアへ移動したりタイムスリップすると仲間は自動的に外れ、そのエリアのその時代の仲間のみ呼び出して連れていける。
    • 近距離攻撃力と遠距離攻撃力はキャラ毎に異なる。
      • 例えば最初にすぐ仲間にできるケンシロウは遠近ともに主人公の2倍の威力を誇る。
    • 上で「1人vs敵1~2体」と説明してある通り戦闘で参加できるのは基本的に1人のみだが、仲間キャラは攻撃力が高い上に体力も別々なので仲間がいればその分楽になる。
+ ラストバトルの仕様について(※ネタバレ注意)
  • 最大の山場であるラストバトルは「これまで仲間にした勇者たち最大16人総結集」VS「悪役13人の反逆同盟」。コマンド選択型戦闘による1VS1勝ち抜き戦。
    • 各キャラ2~3種類の技と通常攻撃があり、技を使うとポイントを消費する。
      • 技ポイントがある程度減ると攻撃力が半減してしまい、さらに減ると4分の1の攻撃力になってしまう。
      • ジャンプの勇者たちにはキャラによって名称が異なる「熱血」「ギャグ」「ヒーロー」といったパラメータがあり、これが最終決戦における各キャラの技の消費ポイントになる(内容は同じため、まとめて「努力値」や「経験値」と呼ばれることもある)。
    • 主人公は決戦に参加できない代わりに「どりょく」を仲間の技のポイントに変換可能*1
      • 「こころ」が基本状態だと悪役が通常攻撃の6割分の防御力を持つ。主人公の心が悪に傾くと敵の防御力が増え、事前に少年ジャンプをたくさん読んで善に傾けておけば敵の防御力は0になる。
    • 基本的にキャラの相性勝負。相手と使う技によってお手軽に大ダメージを与えられる事もあれば、ほとんどダメージを与えられない事も*2
      • それでいて、相性の良い組み合わせは原作キャラ同士よりも全く関係ない組み合わせが有利の場合が多い(原作キャラ同士をぶつけると多くの場合苦戦して技ポイントが万全なら消耗しながら勝てるという対等な戦いになりがちだが、これは原作で多かった死闘の末に勝利という展開を再現した設定と言える)。
      • 有利な組み合わせはほぼノーヒント。一応電話ボックス(ファミコン神拳110番)で数少ないヒントをいくつか聞くことは出来るが、残りは手探り。
        なお、攻撃相性(相手へのダメージ率)と防御相性(自分へのダメージ率)がそれぞれ別々に設定されており、極端な例では、相手へ大ダメージを与えつつ自分はほとんどダメージを受けない完全有利な相性や、逆に相手から一方的に大打撃を受ける不利な相性、どちらも攻撃力が高い一触即発な相性、逆に双方ともカス当たりしかしない泥仕合になる相性などがある。
      • 逃げて別キャラで仕切り直しできるため、1ターン戦って相性が悪ければ逃げて別キャラを選んで再戦というのが基本戦略になる。
      • 正解が一通りということはなく、不利な組み合わせでも意外なキャラが意外な反応をしたりと、手探りの楽しさもある。
      • 適当に後半まで勝ち抜いて一旦有利なキャラを知ってしまえば、パスワードから再挑戦するとあまり消耗せずに勝ち抜けるので残りも楽になり難易度はさほど高くない。特に最初4人は相性最悪の組み合わせでも勝てるくらいに難易度が抑えられていて後で使うと決めたキャラを除外した人選で勝ち進めるバランスになっている(もっとも5人目に後述のヘルナンデス君が立ち塞がるわけだが)。
      • 仲間にした勇者が少なかったり仲間を全然育てていないとライフや技ポイントの仕様により最終決戦の難易度が跳ね上がって通常攻撃による技ポイント節約といった戦術まで必要になってくる。
    • ちなみに組み合わせによっては相性どころか、戦闘前に断られて戦ってすらもらえない
      • ヒゲゴジラに対して教師相手に手をあげられないと戦闘拒否する剣桃太郎&戸川万吉、赤カブト(殺人熊)のことを罪のない動物とみなす霊気、その赤カブトにただ一人だけ無視されるジョジョ、いきなり尻見せや変態ギャグが通用しないヘルナンデス(日本語のギャグがわからないらしい)、死兆星を見た事のある奴多すぎな味方陣*3といったツッコミどころも多い。
      • 戦える相手が少ないキャラだと悪役13人中6人としか戦闘できない。逆に最も多い星矢は13人中12人*4と戦える*5
    • また仲間キャラの性能差も大きい
      • 悟空やアラレはほとんどの敵と安定した相性で戦えて即死させられる相手もいる。ただし悟空は体力が減ると空腹になって弱体化する特性があるため、連戦させるともう一勝できると思いきや脱落ということも。
      • 消費は多いが高威力を繰り出せる無想転生を持つケンシロウ、瀕死になると攻撃力が上がる山下たろー、仲間が1人死ぬと強くなる加納錠治、火事場のクソ力で高威力攻撃しつつ瀕死になっても体力回復するキン肉マン等はそこそこ強い方。
      • 対して、威力が乏しく得意な敵もほとんど居ないイサム、攻撃が弱い上に無条件でランダムに攻撃をミスるジョセフ*6などの極端過ぎる格差には疑問が残る。
  • このラストバトルで最強と恐れられたのは、実はラオウ様でもマジュニアでもなく、ゴールキーパーのヘルナンデス君である。
    • それというのも、あらゆる攻撃を一定の確率で無効化or反射するという無茶苦茶な特殊能力の持ち主であるため。
      しかも反射確率と相性は一切関係ないため、相性の良いキャラが反射されると逆に大ダメージを受ける
      このせいで抜け道は存在せず、当たることを祈りながら最強技を使い運任せで瞬殺を狙うしか手立てがない。
      それすら跳ね返されてケンシロウなど相性の良いキャラが秒殺される、というのもよくある話である。
      • 一応、ヘルナンデスからのダメージを抑えつつ、自身の攻撃は控えめなダメージの球一をぶつけることで、やや時間はかかるが安定して戦うことは可能。
    • また聖闘士星矢のサガも、幻朧魔皇拳により自分自身を攻撃させられるため、ヘルナンデスの反射と同じ脅威があるが、こちらは「技」として1ターンを消費する上に「次の自分の攻撃に効果が出る」ため通常攻撃等で対策しやすく、操りそのものが失敗することもあるのが幸いか。
      • ただしサガに先手を取られた状態で操られるとそのターン内で自身の攻撃を食らってしまうため、この点だけはやはり注意が必要。
    • 負ける心配はないが相性の良さに応じて逆に与えてくるダメージも大きくなり体力を削ってくる大豪院邪鬼、一定確率で攻撃を無効化するテレポーテーションと不死身ゆえに倒しても何度も復活して戦闘が長期化する*7デビルサイダーラスネールなど、地味に消耗が大きくなるボスもいる。
  • 人選はヒゲゴジラやエシディシやラスネールなど一部微妙なのがいる。
    • ハレンチ学園のヒゲゴジラは作品自体はドラマが大ヒットし一世を風靡するほどの作品であるため、何らかのキャラを出す必要はあったのだろうが、主人公ではなく主要どころとはいえ脇役のヒゲゴジラだけというのが不思議ではある。なお、彼は唯一ジャンプオールスター作品に出演しエロゲーにも登場しているというキャラである。
    • ジョジョ第二部のエシディシは別に弱い敵でもなかったが、第二部でも最大の宿敵と言えるワムウや大ボスのカーズに比べてどうしても見劣りする。なおエリア4でジョジョと戦う大ボスはサンタナ。第二部の連載時期と本作の開発期間の都合で出しづらかったとも言えそうであるが、それはそれでなぜ敢えて第一部ではなく第二部から出したという話になってしまう。もっとも代わりに第一部からジョジョ最大の宿敵ともいえるディオ様、または同じ第二部のワムウorカーズなどが登場したとしても悟空さんがいる以上、エシディシと同様に 太陽拳で即お陀仏にされてしまう可能性が高いと思われる。 そんな彼等を見せられても威厳がダダ下がりになってしまうので、ある意味ではエシディシあたりで正解だったのかもしれないが…。
      • 今でこそゲーム化やアニメ化等といったメディアミックスも盛んでバンダイも関わりが深い (そしてゲーム化に至っては盛大な爆死等も多くやらかしてくれている) 「ジョジョの奇妙な冒険」であるが、上で述べられている様にどうにも扱いが悪い。ラストバトルにおいても相性の良い相手がおらず、挙げ句の果てには カセットに描かれているジョジョはゲームに登場する2代目ジョジョこと「ジョセフ=ジョースター」ではなく、初代ジョジョである「ジョナサン=ジョースター」になっている 等…。 後述される様に、関連したミニゲームは「サンタナ戦」と「地獄昇柱(ヘルクライム・ピラー)」と 何故か2種類も収録されているが…。 ラストバトルの大ボスとの相性を鑑みるに、どうやら当時のバンダイ、もしくはジャンプ編集部は同じロマンホラー作品でも「ジョジョの奇妙な冒険」よりも 「ゴッドサイダー」を推していた 様である…と邪推されてしまう。
  • 抜作のギャグに爆笑してしまう世紀末覇者ラオウ様。カイオウは1面の大ボスである。まあ人気面で見ればラオウに軍配が上がるのは仕方ないのだろうが。
  • サガが3面の大ボスを務めたのに、ラストバトルに再登場。ラオウ同様にBGMが切り替わる終盤戦ボスという特殊な配置であり、作品人気とキャラ人気によるものだろうか。
  • この作品を取り上げるときに一番突っ込まれやすいのがゴッドサイダーのラスネール。一応、敵としては手ごわい相手ではあったものの直前に別な敵に一蹴されたりするなど立場的には中途半端な存在である。

評価点

  • 上記の通り、とにかく仲間キャラの数が多い。悟空やキン肉マン・ケンシロウなどの80年代のジャンプを支えた看板キャラからイサムや戸川万吉といったジャンプ黎明期の看板キャラまで多彩。
    戦闘員だけでなく、非戦闘員も『きまぐれオレンジ☆ロード』等バトル要素が無い作品も含め合計33作品から登場している。
    • 本作は「現代の世界(20周年(1988年)当時に連載中だった作品のキャラが登場する世界)」と「過去の世界(連載終了作品や、長期連載作品のキャラの世界)」に分かれており、古い懐かしのジャンプキャラ達も過去世界に登場している。
  • オリジナルキャラはジャンプ読者の主人公の少年のみで、他の登場キャラは原作のキャラで揃えられている。ザコ敵もモヒカンや毒鬼警部、海坊主など原作キャラの姿である(一部キャラは同時に何人も登場する)。
  • キャラクターの顔グラフィックは特徴を捉えており、よく再現されている。
  • 各ステージのボス戦など多彩なミニゲーム
    + ミニゲーム
    • ボクシングゲーム・格闘ゲーム的なバトル
      • 1面ボス戦 ケンシロウvsカイオウ
      • リングにかけろ 竜児と菊のミット打ち
      • 3面ボス戦 聖闘士星矢 星矢vsサガ:上中下段の攻撃と防御がある
      • 4面ボス戦 ジョセフvsサンタナ:攻撃命中時にボタン連打で波紋を送り込む。波紋が不足していると消化されてダメージを受ける。
    • 縦スクロールSTGのボス戦的なバトル
      • 2面ボス戦 悟空&獠vsレッド総帥inバトルジャケット
      • ウィングマンvs帝王リメル:道中ステージもある
      • 5面ボス 主人公vsピッコロ大魔王
    • その他
      • ドラゴンボール カリン様を捕まえる試練:3箇所のどこかに現れるもぐらたたき的なミニゲーム
      • 男塾 頭墨印:ヘルメットとハンコを用いたもぐらたたき対戦。
        • 穴が8方向あるが斜めは入力できないただの時間潰し。
      • シティーハンター 香から逃げる獠を見つける
      • サーキットの狼 vs早瀬 レース勝負
      • ジョジョの奇妙な冒険 油が噴き出る柱
      • 潜水艦 (北斗の拳の赤鯱の船がなぜか潜水艦という本作独自設定)
      • キャプテン翼 PK戦
      • たろー君 野球9回裏サヨナラホームラン
        • クリアにあるアイテムが必要な為最低1回は失敗しないといけない。
      • キックオフ 永井太陽&川村由美 リフティング勝負
    • ターン制コマンド選択のラストバトル

問題点

  • ゼルダドラクエを足して2で割ったような微妙なシステム、グラの質の低さ、テンポの悪さ、キャラは多いが世界観の統一性の無さと、取りあえずにぎやかではあるがまとまりはない。
    • メインキャラ16名の内、格闘漫画などのアクションものの漫画作品からのキャラが8割を占めるため、アクションRPGというジャンルもあながち悪いものではないのだが、正統派なコマンド型RPGスタイルを期待していた人にとっては肩透かしな内容なのは否めない。
    • もっとも当時は、平面2Dの正統派コマンドRPG=「ドラゴンクエストの亜流(に違いない)」というバッシングが広がりだした時代でもある。コマンド型RPGの双璧と称されるファイナルファンタジーシリーズもまだ2作目の頃、制約の多いキャラゲーながら模索に挑んだと好意的に見る事もできなくはない。
  • 「取りあえず歴代ジャンプキャラを一つの世界にぶちまけてみました」といった異常な世界観。
    • 『スパロボ』の様な最低限の作品間のすり合わせといったものも特にない。ジャンプ作品関連で言えば、遊戯王のカードの精霊が暮らす精霊界のようなタイプの世界観である。
      • とはいえ、元から週刊少年ジャンプの読者がジャンプの世界に迷い込んだという世界設定であり、ジャンルは格闘アクションものやギャグもの、世界観も現代ものから荒廃した未来、架空の世界など、原作のジャンルや世界観にかなりの幅がある以上、スパロボのように各作品が同一世界に存在しているという設定にするのはいささか無理はあるのでそこは仕方ないだろう。
    • 原作再現とは程遠いイベントの数々*8。もっとも、キャラ自体の性格などは原作を重視しており、キャラ崩壊はあまり無い。
      • ただし毒鬼警部と海坊主が雑魚キャラなのは原作を無視しすぎている。前者は警部の職務に従っているだけで汚職など一切してないし、後者に至っては獠の良きライバルなので決して「悪役」ではない。FCのドット数で表現しやすい悪役顔+知名度故の抜擢と思われるが、この2人よりは東郷十三(抜作を殺そうとした暗殺者)とかジェネラル(ユニオンテオーペの幹部)など、知名度をかなり落としてでも適任の選択肢があったかもしれない。
  • フィールド戦闘で遠距離攻撃タイプの敵には近距離攻撃するのは非常に効率が悪いので、距離を取りつつ横移動で敵の飛び道具を回避して、または地形を利用してハメて、遠距離攻撃をチマチマ当てるという戦法になってしまう。
    • 心の善悪が下がってると遠距離攻撃が再使用になるまでの時間が長く、遠距離攻撃タイプの敵との戦闘が長引いてしまう。
      • 最低値だと再装填に5秒くらいかかる。
      • なお最高値だと再装填よりも遠距離攻撃が敵に届くまでの時間のほうが長いくらい早い(撃った遠距離攻撃が画面から消えるまで次弾は出せない)。
  • 戦闘中にポーズをかける事ができない。(移動中やミニゲーム中なら可能)
  • パスワード記録なのだが、40文字と結構長い。
  • アイテムを1種類につき1個までしか持てない(同じアイテムを複数所持できない)。
    • 特に、回復アイテムであるおにぎりとコーラを一つずつしか持てないのは良くも悪くも難易度に関わる。
      • エリア5ではレストラン(回復ポイント)やコンビニエンスストア(ショップ)が無いので、回復が必要になれば他のエリアで購入したおにぎりとコーラ*9、あるいはドラゴンボールでの復活に頼る事になるため、余計に面倒。
      • 死んだ仲間は、エリアに散らばっているドラゴンボールを集めて神龍を呼ぶことで蘇生可能。ただしドラゴンレーダーで逐一探す必要がある為、モノリスでパスワードを取得して再開したほうが早いかもしれない。
    • 既に持っているアイテムを買った場合、アイテム重複の警告もなくお金だけが減り、当然アイテムはもらえない。
    • 説明書には「キャプテンギャオからのタメになるお話」のコーナーで「それぞれのアイテムは1つずつしか持てないから、欲張ってもムダなコト。」と記載。
  • また、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』絡みのイベントだけ異様に多く、当時のバンダイがいかに鳥山明作品におんぶに抱っこだったのかが見て取れる。
    • 死んだ仲間を生き返らせる手段は各地に散らばるドラゴンボール、通貨はゼニー、過去の世界へ行く手段はタイムくん、主人公の空中移動の手段は筋斗雲、超神水を飲む事がボスと戦う条件になったり、といった感じ。
    • 挙げ句の果てにアクション面の大ボスがピッコロ大魔王で、ラストバトルの大トリもドラゴンボールのキャラクター。
    • そのラストバトルでも、悟空とアラレは全体的に有利なキャラが多く強キャラ。さらにこの二人はラストバトルの特定ボスへ対しての一撃必殺技も持つ。
  • 戦闘システムの項にもあるが、ザコ敵と同じ姿の味方(メッセンジャー)がおり、見た目は全く同じのうえに戦闘開始後に話し出すまで全く区別がつかないため、連打しているとうっかり殺して「こころ」を悪に傾けてしまいやすい。
    • なお、一般男性や老人など、明らかに味方とわかるキャラは、接触しても攻撃できないため、過って殺してしまう心配は無い。
  • 最終決戦時、一部のキャラに原作との不整合がある。
    + ネタバレ注意
    • ラオウの無敵の拳「天将奔烈」が「北斗剛掌波」の下位扱い。(ただし原作ではケンシロウが回避もせずラオウの天将奔烈をまともに受けても、服がボロボロになる程度の効果しかなかった。)
    • 「キン肉マンスーパーフェニックス」の「マッスルリベンジャー」が上からヘッドバットするニセモノ仕様*10

総評

20周年記念ということで、大人気の漫画作品のキャラクター達が一堂に会するお祭りゲーとして制作されたものの、肝心の練りこみが足りず荒削り過ぎもいいところな出来で、今一つなゲームシステムに歴代のジャンプ作品をぶちまけた奇怪なゲームとなってしまったのが非常に惜しまれる。

しかし、昭和のジャンプ黄金期という恵まれた素材を原動力に、お祭りゲーたる魅力を当時としてはマックスに引き出したとさえ言える破天荒な最終決戦のインパクトで強く印象付け、今もなお語り草にされるほどの作品でもある。

そんなノリも含め、いかに当時のジャンプが勢いに乗って突っ走っていたかが垣間見える一作と言えるのかも知れない。


余談

  • ゲーム内の「しょうねんジャンプ」は価格は170ゼニー。これは当時の週刊少年ジャンプの価格が170円だったからである。
  • 上記のようにミリオンヒット作品ではあるが、過剰出荷からたちまちワゴンセールの主に。
    • 当時としては珍しくコンビニでも売られていた。
    • 8年後に『こちら葛飾区亀有公園前派出所 ハイテクビル侵攻阻止作戦!の巻』『こちら葛飾区亀有公園前派出所 中川ランド大レース!の巻』が出た際、原作漫画で本作を「キャラゲーのご多分に漏れず大味なゲーム」「時空を超えたおもちゃ箱をひっくり返したような不気味なゲーム」「悪乗りして『II』まで出た」などと振り返り、ワゴンセールの件をネタにしている(単行本105巻「やったぜ!ゲーム化の巻」に収録)。
      • ちなみに両津はこの作品では非戦闘キャラで、しかも過去の世界(過去のジャンプ連載キャラが登場する世界)の住人という酷い扱われ方。なお続編では主人公の一人になった。
      • その出番だが、話しかけると「この材料で何かうまいものを作ってくれ」と材料をいきなり渡され、その後『包丁人味平』の味平が調理してくれた料理を持っていくと、なんと''落とし物の44マグナム(拳銃)をくれるというもの。作中でも「落とし物なんだから持ち主に返してあげようよ」とツッコミが入っている(なお、この拳銃は加納錠治(ドーベルマン刑事)の落とし物であり、彼に渡すと仲間になる)
  • 本作と『II』は『ファミリートレーナー』シリーズと同じ形状のカートリッジを採用しており、通常のファミコンカートリッジより縦の幅が2倍ほど長く、「FAMICOM JUMP」「BANDAI」と刻印された黒いカートリッジになっている。
  • ファミコンでは珍しく裸の女性キャラが出るというお色気シーンがある。
    • ファミコンのドット絵という事と少年誌並の表現という事もあり、そこまで際どくは無いが。
  • 実はタイムくんさえ入手できれば裏技でラストバトルに挑めるバグが存在している。
    • 仲間3人だけで挑めるが、勝てるかどうか以前の問題として戦闘できない組み合わせがあるので、最後まで勝ち進むにはアストロ球団の球四郎と戦えるキャラが1人必要になる。
    • なおバグ利用なしだと最少で仲間5人でのゲームクリアが可能。
  • 編集者~編集長~取締役として少年ジャンプを現在の地位に導いた立役者であり、本作にも登場しているDr.マシリトのモデルとしても有名な鳥嶋和彦氏は、本作の出来に問題があったと考える旨を『Vジャンプ』20周年記念のインタビュー漫画で述べている。
    • 漫画内では「ワーストゲームはフ○○○○ ○ャ○○だね!」「あのクソゲーは本当に申し訳なかった」などと遠慮のないコメントを連発し、「誰か止めて!」と周りを慌てさせていた。
    • なおこちらの記事での茨木政彦元編集長の証言によると、鳥嶋氏は元来ゲーム好きで早くからファミコンの特集記事を企画するなどしていたとのこと。
  • その後別冊で出たファミコン神拳(ホーム社/集英社)よりこのゲームの裏事情が語られる。
    • 元々は橋本名人(当時バンダイ所属 現スクウェア・エニックス所属)の企画。漫画によってゲーム化しやすいものし難いものがあるため、ゲームの印税で作家さんに差がついてしまう。それなら全員組み入れて、印税配分の計算式を作って、ファミコンジャンプを出せば、ゲームにしにくい漫画の作家や担当編集を救う事が出来るという物。
  • 一部では本作品の発売日は2月15日という説があるが、これは間違いである。当時のゲームカセットカタログ本の誤植がきっかけで広まったと思われる。詳しくは個人ブログの記事を参照。
    • 復刻ゲーム機である『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ50周年記念バージョン』公式サイトでも発売当初は誤植していたが、2021年2月26日に訂正された。
  • 1989年のファミコンソフトはドラクエもマリオもなかったことが災いして、結局ミリオンセラーは本作1つのみに終わった。
    • つまり本作はこの年発売のファミコンソフトの中では売上本数トップであり、平成初のミリオンセラーを達成したソフトということになる。
    • ただそれでもこの年のファミコンソフト売上の累計では3位で、前年10月発売の『スーパーマリオブラザーズ3』がダントツすぎて2位の『テトリス』共々マリオ3には大きく水をあけられた。
+ タグ編集
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  • バンダイ
  • トーセ
  • 週刊少年ジャンプ

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最終更新:2024年02月16日 11:31
添付ファイル

*1 最終決戦では主人公の体力もずっと画面下に表示されているが意味なし。

*2 ちなみに原作をオマージュした一撃必殺も用意されている。例えば太陽光が大の苦手な敵に悟空の太陽拳を使うと…。逆にケンシロウはある理由で全くダメージを与えられない相手がいる。

*3 ラオウが死兆星を見たことがあるキャラとしか戦わないため。キン肉マン(スグル)や星矢はまだしも山下たろーくんや抜作先生が「死兆星を見たことがある」は笑える。

*4 唯一戦えないのは球四郎で、こいつは一番選り好みが激しい。

*5 ほとんどの相手と互角に戦えるが、マシリト・ヒゲゴジラにはまず勝てないしヘルナンデスには攻撃が効かない(必ず止められるか跳ね返され、受け止められた時に特別なメッセージが出る)など、ほとんどの相手は他のキャラの方が倒しやすい。ただ赤カブトだけは唯一相性がいいのだが大抵アラレちゃんを選び即死効果により速攻で勝負がついてしまう為まず採用されない。自力で倒したい人向けの人材と言えるだろう。

*6 本人のセリフでは「波紋がうまく練れない」だそうだが、原作ではそんな描写は一度もなく(ジョセフは生まれつき強力な波紋を普通に出せる)、なぜわざわざ専用のプログラムを組んでまでこの仕様にしたのかは不明。

*7 復活は回数制なので実質HPが合計分あるだけだが、各形態のHP(低い)を0以下にしても次形態への持越しは起きないので、技ポイントを消費する技で大ダメージを与えると無駄になりやすい。

*8 例:ホレチャッタ薬で無理やりミドリ先生と結婚するセンベエさん等。原作ではセンベエさんがトイレで「結婚してください」とつぶやいていたところをミドリ先生が聞いてOKした

*9 4エリアに1箇所だけある自動販売機でのみ購入可能。つまり4エリアに行けないうちは購入すらできず、おにぎり(と、どこからでもそのエリアのモノリスまでワープできる宅急便)が命綱となる。

*10 フェニックスが使う本物は下からヘッドバットで突き上げる技。ニセverはキン肉マンマリポーサの技(もちろん本人はそれが本物だと勘違いしていた)で、解釈を間違えたためフィニッシュホールドの壁画から制裁を受けてしまった。