Floating Material -The Hill where the star born-
【ふろーてぃんぐ・まてりある ざ・ひる・うぇあ・ざ・すたー・ぼーん】
ジャンル
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学園ADV
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対応機種
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Windows XP/Vista/7
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発売・開発元
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bisccoti
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発売日
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2010年4月30日
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定価
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8,800円(税別)
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レーティング
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アダルトゲーム
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配信
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2010年11月26日/3,024円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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2010年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板次点
パクリとトレースに注目されがちだが、中身もひどい 骨折者続出 エロゲー界の『クロスハンター』
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
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概要
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人里離れた山奥に広大な敷地を構える、お嬢様向けの女子校に就職した教師と教え子達による、ありふれた教師ハーレム物のADV。
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タイトルを意訳すると「漂う素材・星の生まれる丘」になると思われる。サブタイトルは一見意味不明だが、ゲームをプレイし続けていれば理解できる。
問題点
キャラクター
+
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ネタバレ
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前提
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主人公と学園の理事長、日宮悠菜と椎名風夏は親戚関係にある。
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理事長は日本有数の権勢を誇る名家の一員で、主人公の母親とは仲が良かった。主人公の母親を救えなかったことを負い目に感じている。
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理事長の一族は、嫡流に近いか遠いかによるヒエラルギーがある。理事長>主人公>日宮悠菜=椎名風夏で、主人公の地位は意外と高い。
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本家から近い人間は遠い人間を好きなように酷使することができる。
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逢坂俊(おうさか・しゅん)
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イケメンの主人公。
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父親が母親の一族に恨みを持っていて、母親に近づくと言葉巧みに誘惑して駆け落ち、その後は母親を無視して複数の女性と肉体関係を結んだという人物である。
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母親は騙されたと知ると離婚を願うが取り合ってくれず、後に本家に戻ろうとするが拒絶されてこの世から去った。主人公への感情も余りよくないものだったらしい。
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アメリカなら猟奇殺人鬼にしてくださいと言わんばかりの家庭環境ではあったが、その割には至ってまとも。ただ、女性不信の気がある。
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女性不信の設定がひまりシナリオでしか発動されない事が問題。
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むしろ、主人公の父親を主役にしたほうが面白かったかも知れない。
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上里ひまり(うえさと・ひまり)
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メーカーなどの扱いを見るかぎりでは、メインヒロインらしい少女。
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非常に嫉妬深く、主人公が友達と会話しているだけでかんしゃくを起こすメインヒロインにあるまじき問題児である。
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実家もこれまた有数の名家なのだが、イスラム原理主義者並に男尊女卑な家で、トラブルを起こしたら実家に連れて帰ると釘を刺されていた。
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霧里伊歩(きりさと・いぶ)
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名前よりも通称『エア箒』のほうが通りがいい。
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ドジっ子。姉が非常に優秀なのでコンプレックスになっている。
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日宮悠菜(ひみや・ゆうな)
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実は主人公の親戚。
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理事長と対立している有力親族によってスパイとして送り込まれたのだが……あまり生かされていない。
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風夏がいぢめにあっていたのに、助けられなかった事を引け目に感じている。
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二転三転するキャラ紹介のあおりを受けて、ユーザーにはヤンデレと認知されているが実はそれほど病んでいない。
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清ノ桜(きよの・さくら)
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霧崎家に代々仕える使用人の子で伊歩とは親友。ドジな伊歩のフォローをするために入学したということで唯一、お嬢様ではない。
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お喋りの度が過ぎてウザく感じられる明るい系のキャラ。滑りまくるギャグを飛ばすことを趣味にしているような感じ。ゲームのテンポの遅さもこのキャラに原因があるかも知れない。
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騒がし系ではあるが、ピアノ演奏が上手という一面も。お約束だが。
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桜ルートに進むと、桜と主人公がデートしている間に母親が孤独死というあんまりな展開に。明るかったキャラが一気に病むというジェットコースターな流れになってしまう。むしろ、桜がヤンデレ。また、お茶会部の設定が明後日の方向に行ってしまっている。
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椎名風夏
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無表情クール系ツインテール。つまり、ホシノルリ系のキャラ。
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頭脳明晰なので、理事長や親戚に請われて色々な仕事を請け負っている。
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昔は明るくて無邪気な少女だったのだが、頭がいい事を妬まれて同世代の親戚の子達からいぢめを受け続け、ついには死線を彷徨うほどの重症を負ってしまい、その後遺症で性格が変わってしまった。
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あまりの変わりっぷりに、主人公も昔会った少女だと気づかなかったほど。
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シナリオ
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一言で説明すると説明不足。
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主人公は生徒や同僚の教師に片端から一目惚れされており、最初から好感度最大である。
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確かに「見た目はイケメン、尚且つ数少ない若い男性なのでモテモテなのも分からなくもない」と弁護できなくもないが、好感度上げの手間を省いている時点でお里が知れてくる。
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主人公が顧問としてクラブを設立し、顔見知りで尚且つ高感度最大なヒロイン達が入部してくるのだが、そのクラブというのが「お茶会部」で、その名の通りただ単にお茶会を開いて部員たちと茶飲み話をするというもの。
……いかに日常系の漫画・アニメなどでよく見られる光景とはいえ、「(教師が)クラブとして作る意味あるのか」とツッコまずにはいられないだろう。
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主人公のパーソナリティについても、やはり説明がない。プレイヤー各自で個別ルートを見直して総合的にまとめるしかない。
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生徒から持ちかけられた案件について、「いつのまにか主人公が処理していた」、「仲が悪かったヒロインが気がついたら仲良しになっていた」といった具合に、描写すべき課程が省略されている。このため、プレイヤーが認識から置いていかれる羽目に。
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ヒロインによっては人生を揺るがしかねない大問題が発生するのだが、主人公が舞台から姿を消して、生徒同士が会話を続けている間に主人公が裏で問題を解決して帰ってくる…という展開になるので、カタルシスや感情移入以前の問題。
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説明が必要なシーンを省略している一方、ドラマ性の欠片もないセリフを垂れ流しているので、全体的に無駄にプレイ時間がかかっている。
テキスト
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誤字脱字、あるいは日本人では考えもつかないような言葉使いが目立つ。
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例えば「ブルマ」が「プルマ」など。
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もっとも、これは制作者がローマ字変換ではなくカナ変換で文章を書いている可能性もある。カナ変換なら、゛と゜と一文字で入力できる上に、キーも隣接しており、字も小さいので間違いに気づきにくい。
グラフィック
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一見すると可愛いキャラクターなのだが、よく見ると身体のところどころがおかしい。
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例えば「曲げた肘の部分が刺さるほどに鋭角になっている」、「どう見ても骨折しているようにしか見えない」、「薬指と中指の長さが均一」など。
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ブルマを履いている場合、股間の部分が尖って男の娘に見えたり、逆に食い込んでいて際どい見た目になっている。
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エロシーンでは崩壊が更にひどくなる。
背景
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明治大正風の外観なのに中身は近代的だったり、湖の向こう側が近かったり遠かったりと整合性がとれていない。
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女子寮なのに食堂やトイレが一般に開放されている。
システム
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立ち絵とセリフが食い違うことがある。
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時々、BGMが抜けている。
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サブウィンドウがあり表情が表示される。この手のサブウィンドウは、語り手の視界外で会話に参加しているキャラの表情を表示するのが目的だと思われるが、このゲームは立ち絵とサブウィンドウがシンクロしてしまっているので、存在意義がない。
評価点
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メインヒロインの声優諸氏の演技はそれなりといったところ。
総評
メーカー側の問題がクローズアップされがちな今作であるが、それを差し引いても中身はひどい。
肝心要の部分を省略する一方で、起伏のない展開がだらだらと続くためただ退屈なだけである。
エロCGの人体崩壊も加味すると駄作~クソゲーといった評価になると思われる。
もしもパクリやトレスの問題が指摘されなければ、体験版の仕様のままで発売されていたところだったが、結局は「ユーザーを嘗めるな」ということになった。
パクっている部分の修正に時間を取られて、話を練り上げる余裕がなかった結果、駄作になってしまったので、見方によってはユーザーが悪いという事にもなりかねないが、それ以前にパクらなければ良かっただけの話である。
ただ、『サンダーフォースVI』と同じようにキャラや話が破綻している訳ではない。盗作騒動を知らなければ、ただのもったいないゲームで終わってしまうので、知っているユーザーと知らないユーザーとの間では評価に濃淡がある。
パクリとトレースについて
このゲームにおいて欠かせないのは、パクリとトレスの問題である。
体験版がリリースされると、オープニングデモでPurple Softwareの『明日の君と逢うために』から背景を流用した事が指摘され、これをきっかけに問題点が次々と発覚していく。
背景
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背景は基本的にGoogle画像検索で拾ったものを適当にCGにしたもの。例えば校舎は旧米沢工業高の校舎といった具合。外観と中身の整合性が取れていないのもこれが原因である。
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ちなみに実際にある風景をCGに加工して使うというのは法律違反ではない。問題なのは明らかに自分で撮影、あるいは使用許可を受けず、他者が撮影した画像を勝手に加工・利用することで、この作品のケースもこちらに当たる。写真ではなく明らかにイラストだったり、実在の小学校の保健室の写真も加工しているのは……。
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女子寮の食堂やトイレが一般に公開されていると書いたのも、こちらも刈谷PAからの流用で、レストランやトイレを示す看板を消し忘れているからである。
キャラクター設定その他
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OHPのキャラクターの説明文、及びストーリーの紹介が、Wikipediaなどに掲載された他社作品の登場人物の紹介文章のコピペ。
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ストーリーコンセプトもコピペ、声優のキャスティングも元ネタと同じ。
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このため、キャラ紹介文章が二転三転することに。
キャラクター
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キャラデザ及び原画担当者は、トレス疑惑を持たれていることでその界隈では有名。
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人である以上、構図が似通うのは仕方がないとはいえ、このゲームでは線が一致してしまっているレベルなので言い訳ができない。
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あげくの果てには原画を下ろされる羽目に。
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トレスが指摘されたため、製品版では体験版にあったイベント絵が削除。このため、何らかの画像が表示されるシーンであるにも拘らず真っ白といった具合に不自然な展開になってしまっている。
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何か棒のようなものを持っているポーズを取っている伊歩が、パクリ元を特定できないため「エア箒」と呼ばれる羽目に。
KOTYに関して
2010年度上半期を盛り上げた作品で『色に出でにけり わが恋は』と大賞争いを繰り広げたが、盛り上がりが体験版でピークを迎えてしまった事や、ゲームの諸問題が旧企業問題にあったので、ネタとしてクソな『でにけり』に軍配が上がり、次点に落ち着くことなった。
本作のKOTYeにおける通称は、意訳したタイトルを縮めた『浮材』、及びさらにそれをもじり、本作のクソさとかけた『腐材』、『廃材』、『浮遊機雷』など。
余談
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OHPには前述した部分以外にもコピペが大量にある。コピーライトの部分すらコピペしたので、ユニゾンシフトの関連会社でないにも拘らず、関連会社だと自称することに。
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メーカーはオープニングでPurple Softwareの画像が使われていた事に対して、データが混入していたと釈明。要は何もない状態から作るのは困難なので、まず既存の物を借用してそこからオリジナルのイメージを作りだそうとしたのだが、その既存の物を自分たちの創作物だと記憶違いをしてそのまま使用してしまった、と弁解している。その後、彼らはHPを消したり作ったりなどして対応に追われることとなる。
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キャラデザ及び原画担当者はブログにて、パクり疑惑に対して「自分はキャラデザと原画数枚しか担当していない。CGが他社製品のに似てしまったのは絵コンテの指示通りに描いたから、発注元が悪いのであって私は悪くない」と釈明している。これを信じるかどうかは各個人で判断すること。
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確かにアタリとコンテだけを発注してキャラデザのみを依頼する企業も存在する上、企業側も特にコメントを出していないので理由として破綻はしていない。
だが、この絵師は
同人活動でも堂々とトレスを行っている
ため説得力に欠けるという指摘がある。
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肝心要のエロシーンの人体崩壊ぶりがひどいのもこのため。真っ黒なままという訳にもいかず、かといって体験版のままでは出せないので時間に制約がある中、修正作業を進めていった結果が「ごらんの有様だよ」になってしまった。
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こんな作品ではあるが、18禁のOVA化がされている。全2巻。
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内容としては伊歩がメインに据えられており、ひまりがサブとして絡んでくる。他のヒロインは顔見せ程度。
動画
最終更新:2018年08月19日 00:31