輝光翼戦記 天空のユミナFD -ForeverDreams-

【きこうよくせんき てんくうのゆみなえふでぃー ふぉーえばーどりーむす】

ジャンル 超銀河級・再選挙RPG

対応機種 Windows 2000/XP/Vista
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 ETERNAL
発売日 2010年1月29日
定価 通常版:7,140円
大天空パック*1:10,290円
レーティング アダルトゲーム
判定 良作
ポイント 本編のif展開&スピンオフ
細かいシステムが改善
再現性の高い重大なバグあり
ETERNAL作品リンク


概要

株式会社ウィル(現:ウィルプラス)のブランド、ETERNALの処女作である『輝光翼戦記 天空のユミナ』(以下、無印)のFD。
FDとはいうものの、よくある攻略キャラの後日談等ではなく、無印で人気の高かった 神楽那由多 をメインヒロインに据え置いたifストーリーとなっている。
やりこみ要素やバトルシステムは基本的に従来通りだが、細かいシステム周り等もいくらか改善が見られている。
尚、無印プレイ済みという前提(後述するが、必須条件ではない)のため、軽微なネタバレについてはそのまま記載しているため、予めご了承願う。

簡単なあらすじ

無印における、前半の佳境である選挙の決勝、そこで論説戦を繰り広げる弓那と那由多。
拮抗する実力がぶつかり合う中、突如としてイシリアルシステムが誤作動を起こし、論説戦は前代未聞の引き分けとなってしまう。
そして、そのやり直しの代償として、歩武は那由多直々の命で論説部から引きぬかれてしまう…。

追加・変更点

  • 使用可能キャラの増加
    • 無印では敵だった、論説戦のライバルが全てプレイアブル化した。それに伴い、ダンジョン探索では9人の運用が実現した。
  • AVGパートの演出面強化
    • 感情表現を表す抽象マークがアニメーションと共に表示されるようになった。
  • 戦利品について
    • 論説戦限定だが、勝利時に鑑定済みのスキルを取得出来るようになった。
  • スキルシステム
    • スキル習得に、アビリティが必要なくなった。また、アビリティは簡素化され、加算値は実数から割合に変更された。
  • バトル
    • エンチャントスキル(無印にもあった、スキルや装備に付与されるもの)が倍増した。
    • 残りHPに応じて、キャラアイコンが変化するようになった。ただし、アイコン自体は使い回し。
    • 2ターン以降、FWを移動させた際に消費するAPが2→1に減少。ただし、FWスキルのAP消費が2に統一された。
  • オーダクル探索
    • これまで探索した複数のダンジョンがひとつにまとめられた。
    • ギアと呼ばれる、歩くたびに取得出来るジェム(ypと同じ)の倍率が「シフトアップタイム」として変化する。何らかの条件で、その倍率は上下する。
      ジェムは、ダンジョン離脱時にスロットで増やすことが出来る(もちろん、減ることもある)。
    • 種類の違うモンスターが論説戦のように複数体登場するようになった。
    • オーダクルのチャンスタイムかつシフトアップタイム時にモンスターと遭遇すると、しっかり通常バトルBGMに切り替わるようになった。
  • 前作の引き継ぎ要素ついて
    • 無印のクリアデータから、装備品が取得出来る。
  • おまけシナリオ
+ ネタバレ注意

FD攻略後、オーダクル世界で様々なシナリオを購入して楽しむことが出来る。購入シナリオでの戦闘は下記のような法則がある。

参加メンバーは固定
レベルやスキルも固定
アイテム未所持
勝利すると新たなシナリオが購入出来るが、負ければ負けたでお楽しみなことにも?

シナリオは購入すればするほど値段が鰻登りとなり、全てのシナリオを揃えるには7億余りのypが必要となる。
ちなみに本作のypのカンスト値は9億9千9百9重9万9999である。
おまけシナリオに入る前に、本シナリオにおいて、キャラクターの崩壊に関する注意書きが添えられている。
実際、歩武や藍など話にならないほど全員はっちゃけすぎている(前述二名はFD本編での崩壊だが)ため、
ある程度キャラに愛着がある人は要注意。

登場キャラクター

前作に登場した人物については、深く掘り込みがされているため、FD特有の部分を重点に紹介する。

+ 神撫学園

神楽那由多
完全無欠なパーフェクト星徒会長。無印ではあまり描写は少なかったが、歩武との絡みが非常に多くなっている。
貧乳であることを気にしているのは相変わらず、 むしろ悪化している
歩武にとっては「ダメダメな(ところもある)会長」という評だが、有能で絶対的なカリスマを持っていることは揺らがない。
歩武との絡みのせいか、はたまた那由多の性格のせいか、ツンデレっぽい要素が強化されている。

リリーティア・ラングレイ
FD新規キャラ。神撫学園の姉妹校、コルナーニュ学園の星徒会長。双剣使い。愛称はリリィ。
文武両道、聡明な女生徒で、人を見る目も秀でている。威風堂々という言葉が似つかわしい淑女。
…というのは建前で、実際は下記のエレオノールを本気で愛している 変態 である。
エレオノールには心底鬱陶しがられているが、彼女の特殊フィルターの前にはそんなもの気にならないようだ。
尚、フランス人なのだが、言葉遣いはどこかおっさん臭い(というか武士っぽい)。見た目とのギャップに些か驚きますな。

エレオノール・パスティーエ
FD新規キャラ。神撫学園の姉妹校、コルナーニュ学園の星徒会役員。いつも黒い猫のぬいぐるみを抱いている。
愛称は「エル」だが、気に入った人間でないとそう呼ぶことを許さない。
口数少ないチミっ子のためか、スニーキング能力は恐ろしいほど高い。
雲母とは別ベクトル方面で魅力のあるちびキャラといえる。

朱島歩武
本作の主人公?。開始早々那由多に星徒会に引き抜かれてしまったアワレな学生。
無印でもそうだったが、序盤からかなり優秀な一面を押し出すようにし、ぐうたらなイメージはやや薄らいでいる。
以前から指摘されていたが、遂にロリコンであることが判明した。(本人は否定しているが、貧乳好きと公言したため)
しかし、それ以上に歩武の立場が一層悪い方向で崩壊していってしまうことに(後述)。

翠下弓那
元メインヒロインであり、元主役。無印では打って変わって、不遇すぎる立場にいる。
詳しいことは割愛するが、彼女の唯一の実績がなくなってしまい、更に元々お馬鹿であったため、周囲の扱いもすこぶる悪い。
FDというものは膨大な数が存在すると思われるが、ここまで立場を失墜したメインヒロインもそう多くはあるまい…。

黒河雲母
無印では司令塔という役割が強かったが、今回は一時的だが敵になるため、恐ろしい存在である描写が強まっている。
論説部としての関わりが少ないせいか、前ほどの有能さは鳴りを潜めている。
というか、子ども扱い要素が前以上に増えており、どちらかといえば弄られキャラ化している。

御木津藍
歩武同様、恐らくFDで最もキャラ崩壊させられた一人。
崩壊というかは、短所をこれでもかと露にされたというべきか。
クールキャラは無印に置いてきしてしまい、本作ではとにかく食べ物のことしか頭にない
食欲魔神と化した。…これだけなら、まだ救いのある改変だったのだが…(後述)。

本間麻衣乃
図書委員の委員長なのだが、実際は同人活動に手を出している生粋の腐女子であった。
また、ショタコン属性にも目覚め、禁則シーンでは歩武のことを…(ネタバレと倫理的な意味で割愛)。
弓那よりも、アシスト能力に長ける。

緋ノ宮灯
巨乳っぷりがパワーアップ。SDでもそれはいかんなく発揮されている。
また、意外とコミュニケーションスキルが秀でていることが判明し、本作で株を上げた貴重な存在。

坂上月夜
かなり自己主張が強くなった。物腰の柔らかさは変わらないが、歩武への愛情は恐らく最もストレートである。
巫女特有の青スキルにより、藍とは別の運用が可能。
禁則シーンでは、なんとレズプレイが存在する。相手もまた予想だにしないキャラなので意外性強し。

坂上陽子
元々その気があったが、ツンデレ属性が一層強くなった。逆に、年増属性は無くなった。
ただ、どちらかと言うと、ヒステリー寄りのツンデレであるため、この点は多少好みが分かれるか。
雲母にはない黒妨害スキルがあり、差別化に成功している。

観月直人
腹黒さよりも、やたら万能かつ高性能な面が強調されている。

緋ノ宮黎
シスコン度は無印とそれほど変わらない(というか、無印の時点で病的だったからである…)。
歩武よりも攻撃スキルが豊富で、黎らしいリーダーシップを強調するスキルが目白押し。

睦越八枝美
彼女に対してツッコミを入れるのは最早ルール違反である。そのくらい、色々反則なキャラに進化している。

柏木るみね
FD新規キャラ。無印でも少し出てきた二次元愛好会の会員。一年生なのだが、胸がでかい。
制服を大幅にアレンジしたというが、どこからどう見てもセーラー○ーンにしか見えない。
幼馴染でぞっこんなキャラが別にいるため、残念ながら攻略は出来ない…のだが。

田村ディーレ
FD新規キャラ。藍と同じ髪の色をしている眼鏡で厳しそうな教師。一体何者なんだ…。
教師というよりは、臨時学園長という立場。とあるイベントでは、鬼軍曹のような一面も見れる。
あるキャラクターが非常に馴れ馴れしく親しく接してくるが、あまり気にしていない。

+ オーダクル

ベリダディア=エフェメラントソード
基本的にあまり変化はないが、今回は探訪メンバーが倍増したため、周囲からは
妹のように可愛がられる描写が増えた。おまけシナリオではかなり(愛されているという意味で)不遇な立場に。

ユプシラ=ダナ=ミドルスタン
どうやら城に戻っているらしく、本格的な参戦は少々遅め。
あまり無印とは大きく立場は変わってはいない。エレノオールとのちっさい絡みが増えている。

グヌマイオ=ヴァラカーノ
残念ながら出番なし。

+ 銀河連邦※ネタバレ含む

宇宙編が殆ど描かれないため、 実質出演キャラなし
カラレスがちょこっと出てくる程度。

評価点

  • 無印攻略が必須ではない
    • 所謂無印でいうところの4章の分岐であるため、無印をやりこまずとも充分楽しめる。
      極端にいってしまえば、無印の4章終盤でやめて、本作に手をつけても自然な流れになるのだ。
      そういった意味では、無印のシナリオをある程度知っていれば、FD単体で遊んでも全く問題がない。
      誤解しないで頂きたいのは、“ FDをプレイする際に無印をやる必要がない ”のであって、“ FDをやった後は無印をプレイすることを推奨する ”ということは変わらない*2
  • 改善されたUI
    • 元々UI自体は使いやすかったが、アイテム整理等が非常に面倒であった。
      FDではシステム周りが地味に改善されたため、長期間の探索も苦ではなくなった。
  • 新たなキャラの魅力
    • 無印ではちょい役で退場した論説メンバーが使えることは当然として、キャラに新しい魅力を垣間見ることが出来るようになった。
  • おまけシナリオのバトル
    • 前述の通りの仕様があってか、単なるレベル上げによるゴリ押しは不可能となっている。初見で勝利するには厳しい難易度だが、歯ごたえのある論説戦は評価良し。
      負けたとしても、禁則シーンがあったりするので悪いことばかりではない。
  • ゲーム以外での遊び要素
    • 紙芝居アニメーション、「神撫ジャーナル」のペーパークラフト、ゲームキャラのトランプ用紙、Tシャツ印刷用のイラスト等を、
      現在も無料PDFファイルとして公開している 。本作にハマった人にとっては非常に有用なサービスといえる。

賛否両論点

  • シナリオの長さ
    • 仕方ないといえば仕方ないが、本作のシナリオは無印版の約半分。続きはおまけシナリオに続くわけだが、肝心の宇宙編についてはぼかされたまま。
  • キャラ育成
    • キャラ倍増ということで、スキルもアビリティ(といっても、アビリティの数はかなり減った)も倍増。キャラの管理が文字通り二倍となった。
      メンバーは早期に全員集まり、途中離脱もないため、常に最新のスキルとアビリティを揃えてやる必要がある。
+ キャラクターについて。軽いネタバレあり
  • 歩武について
    • 無印では、巻き込まれ型主人公ではあるものの、持ち前のハイスペックかつ冷静沈着な胆力を持つ
      余裕ある面が強かったのに対し、FDでは 巻き込まれ型がひどく強調されてしまっている
      無印の余裕は失われやたら押しに弱くなり、女難ともいえるほど、女子キャラ絡みでは酷い目に遭う。
      更に、るみねの計らいによる「ハーレム作り」に巻き込まれる。…これなんてT●L●V●る●ークネス?
  • 藍について
    • まず 声が違う 。声優が変わったわけではなく、やたら地声がハスキーになった。
      無印でもハスキーボイスは出していたが、ディーレや食べ物のことで気分が高まったときに限っていた。
      それがFDでは地声さま様に発するようになり、無印版のクールボイスは一切出さなくなった。
      声優が演技を忘れたのか、はたまた制作サイドの要求なのかは不明。
      今回も藍は相変わらず食べ物にご執心だが、その傾向が 過剰なほど強調されている 。そんなことが祟ってか、
      とある小節では星徒会が 900万 もの借金を背負うことになってしまう。元凶は当然(と若干ながら歩武)。
      10日×2のシナリオ巡りだけでは到底集まるはずもなく、ここで借金返済のためにオーダクル探訪イベントが発生する。
      それでも、1周目で900万を貯めこむのは簡単ではない。それでお金が集まらなければ、後味の悪いBAD ENDが待っている。
      リトライ時にはお金は引き継ぐため、何度かリトライすることで攻略は可能。
      この時点で色々ダメダメだが、その際借金返済の件について、藍は 全く反省の色がない
      元々他人にシビアで自分に甘いという気質はあったが、それが悪い形で顕在化してしまった。
      せっかく発売後人気投票で得た人気は、 またも地に落ちたといえる
      余談だが、借金返済シナリオでは各キャラのシナリオをこなすことで大金が手に入るが、藍のイベントをこなすと お金が減る なめとんのか青玉葱。
      以降(といっても、神撫ジャーナル*3の時点でもそうだが)、藍自体はこれが基本形となり、 無印のシリアス側の方がキャラ崩壊 とまで揶揄されるようになった。
  • 那由多について
    • キャラ自体は特に問題はない。ただ、バトル能力について、ちょっとやりすぎなくらい強力。
      無印の性能を忠実に再現した結果、仲間では唯一 全色スキルが使用可能 。オーディエンス値を気にする必要はない。
      スキルに関しても、全体攻撃、自己回復技、とひと通り揃っており、「 もうフォワードは那由多固定でいいんじゃないかな
      と言われる始末。ついでに、ディフェンススキルも優秀である。
  • リリィについて
    • リリィ自体も、性格に問題がある( エレオノールにとっては大問題だろうが )わけではない。
      リリィはメインキャラでは貴重な巨乳キャラ(といっても、Dカップくらい)らしいが、
      どっからどう見てもそうは見えない。
+ 絵面で見るリリィ

立ち絵では当然、イベント一枚絵でも全然巨乳には見えない。そもそも、るみねのように服が体型を
強調する構造でないのだから無理もない。乳袋キャラとして描けば問題なかっただろうが、
ETERNAL作品は総じてその傾向が薄いので、巨乳キャラを見つけるのが難しい*4
それでいきなり巨乳アピールされても、プレイヤーにとっては「?」としか思えない。
一応、おまけシナリオの禁則シーンでは、そのスタイルをお目にかかることが出来る。

問題点

  • フリーズ
    • 元々エフェクトによる過負荷から、無印の頃からあった事象だが、本作では特にフリーズが発生しやすい箇所がある。グラフィックボードとの相性なので、ならない人はならないが、その逆も有り得る。ちなみに最新パッチでも修正されていない。
      • あるボスのブラストスキルを食らうと、そのまま画像が暗転し操作不能。陽子のあるスキルをデコイにすれば回避可能。
      • おまけシナリオの刻みの塔(地下)でもフリーズの報告がある。性質上、長く探索する事が多いため、いざフリーズとなるとそれまでの苦労が水の泡になる。中断はこまめにするとよい。
  • ロード関連
    • 無印のそれよりも長くなっている。特に刻みの塔から蜃気楼の壺(リレミトのアイテム版)を使った後のスロット画面までがフリーズしたかのような長さ。

総評

遊びやすさが強化され、良いところはそのままで遊べる。無印の攻略が必須でないことから、FDでという購買層が限定される懸念も少なくて済む。
フリーズに対する問題は、公式サイトのビデオカードを搭載したパソコンであることを確認し対策をしてプレイしたい。


余談

  • 2016年に発売した『輝光翼戦記シリーズ コンプリートパック -限界突破エディション-』に本作が収録されている。
  • 舞台
    • 無印の地球編では学園しか訪れる場所がなかったが、街に行くイベントが追加され、
      本作は「八ツ王市」という場所が舞台であることが判明した。
      名前や、背景CGから察するに、モデルになったのは 東京都八王子市 と思われる。
  • 藍の扱い
    • 本作以降、藍は「食欲旺盛、正ヒロインの座を虎視眈々と狙う色モノ勘違いアイドル」という 不名誉 なキャラが確立された。
      続編である『輝光翼戦記 銀の刻のコロナ』では、ユミナに次ぐ程のはた迷惑な存在として、雲母部長の悩みの種となっている。
      このキャラ崩壊はシナリオ担当の悪乗りが過ぎたものなのだが、これはこれで、という企画者の鶴の一声で決定したものである。つまり 公式が病気
      その最たるものの例として、歩武のこんな一言が存在する。
      信じられるか? これでもヒロインの1人だったんだぜ…?
      

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最終更新:2018年01月03日 12:17
添付ファイル

*1 無印版を同梱したセット。

*2 物語の核心である、宇宙編がそっくりそのままカットされている上、そのイベントを体験した前提でシナリオが進むため。

*3 ゲーム内のラジオ番組のようなもの。

*4 灯ですら、立ち絵では少し胸があるくらい?な程度。Nega0が特にいい例。