メダロットDUAL カブト/クワガタ

【めだろっとでゅある かぶと/くわがた】

ジャンル アクション

対応機種 ニンテンドー3DS
発売元 ロケットカンパニー
開発元 ジュピター
発売日 2013年11月14日
定価 6,090円(税込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント 2on2の3D対戦アクション
「メダロットらしさ」を体現したバトルシステム
組織に所属し依頼を解決するミッション制シナリオ
極端な対戦バランスとマッチングの不備
バランス悪化に拍車をかけるシリーズ初のDLC
メダロットシリーズリンク


概要

ロケットカンパニー製メダロットシリーズ第3弾。
シリーズとして正統なRPGが2作続いた後にまさかの2on2制3D対戦アクションゲームになった。

ストーリー

お友だちロボット「メダロット」が世界中で大流行している少しだけ未来のお話。
ある日、のどかな街「からくさシティ」でMMF専属メダロッターの募集が発表された。
MMF、すなわち Medarot Mission Force とはロボトルの練習相手からメダロット犯罪の取り締まりまでマルチにこなす、街の頼れるメダロッター特殊部隊である。
MMFの制服は一流メダロッターの証であり、その一員になることは、メダロットに関わる多くの人々にとっての、憧れである。
そんなMMF専属メダロッターの募集に、メダロット初心者にもかかわらず誰よりもMMFのメダロッターに憧れる「神依 ナギ(ナミ)」も、応募していた。
そして今日、いよいよMMFの入隊テストが始まる。
(※電子説明書のあらすじより引用)


本作の特徴

  • 2on2の3D対戦アクション「デュアルロボトル」
    • 本作はプレイヤーがメダロットを手足のように操作し、3Dフィールドを駆けまわり戦う「3Dアクションロボトル」。
    • プレイヤーが操作するのは自分で組み立てたメダロット1機。もう一機は「バディ」と呼ばれるCPUが操作する。
    • 一部のシナリオや通信対戦時のルール設定によってはバディ無しで1対1の『シングルロボトル』も可能。
  • 単純明快なメダロット操作
    • メダロットを構成する4つの部位に準じたボタン配置となっている。
      • 背面からメダロットを見て「頭パーツ使用:X」「右腕パーツ使用:A」「左腕パーツ使用:Y」「脚部によるジャンプ:B」。
      • スライドパッドで移動、押し込むとダッシュ、LRボタンで敵メダロットやトラップといった攻撃ターゲット切り替え、メダフォースが溜まっていれば下画面タッチで必殺技「メダフォース」や「メダチェンジ」を発動。
  • 『メダロット』のアクションゲームらしさ
    • 全6要素による自機のセッティングとデュアルを組む「バディ」、様々な戦闘地形によって立ち回りも戦術も激変。
      • 脚部との地形相性や同系統のパーツでも長所短所の差別化、パーツ行動を組み合わせたコンボなど、久しぶりのアクション作品になっても『メダロット』らしい特徴・魅力は健在。
    • ナンバリングRPGシリーズに存在した多種多様なパーツ行動も3Dアクション向けに解釈されている。
      • 「ソード」「ライフル」のような基本的な格闘・射撃行動も威力重視・手数重視・スピード重視など多岐に細分化。
      • 追加効果持ち、攻撃範囲が広い、タメ撃ちで障害物などを貫通するわざなど豊富なメダロットの行動を別個にアクションとして再現。
      • 発動中はダメージを集めながら軽減させる「ガード」、格闘や射撃の追尾能力を上げる「レーダーサイト」など援護系パーツも存在。
      • フィールドに砲台や爆弾を設置する「トラップ」、装甲(HP)の回復や復活を行う「リペア・リバイブ」等メダロットらしい行動も3Dアクションで活用できる。
  • 多種多様な仲間「バディ」
    • シナリオ中で仲間にすることが出来るNPC。固有のメダロットを1体所有している。
    • 特定の純正メダロットだけでなく、攻撃一辺倒の物や補助重視など様々なセッティングの機体をパートナーにして戦う。
    • またバディ全員に固有のグラフィックと名前が設定されており、大半のバディがストーリーにおいて何らかの形で絡んでいる。
      • バディは基本的に本作の舞台である「からくさシティ」の住人であり、ミッションの進行によって点在するエリアや台詞が異なるなどキャラクター付けが細かく設定されている。
  • ミッション制によって進行するメインシナリオ
    • 本作の主人公は「MMF」と呼ばれる組織に所属し、町の住民からの依頼をメダロットと共に解決することで進行する。
      • 「対戦相手になってほしい」「奪われたメダルを取り返してほしい」「迷惑集団の隠れ家に潜入」といったものから、「自信を付けさせるためにハンデ機体で接待ロボトル」「テレビドラマの撮影のために決まったわざを使って戦う」など様々。
      • 1つのミッションには最大3つの評価条件が設定されており、条件を満たすことでバッジを入手。バッジと引き換えにメダロットの性能を向上させる装備アイテム「メダリア」などを入手することができる。
    • 本作のメインマップはエリア選択式。一部のエリア除いて*1エンカウントも発生しない。
      • ミッション受注やショップの利用は全てMMF本部にて行う。
    • 本編のシナリオミッションとは別に「チャレンジミッション」が本編以上に用意されている。
      • 特定のパーツをセットしたうえで戦うものや、発射数を一定回数以下に収めたうえで勝利を収める等、本編以上に制約が課されたロボトルに挑戦できる。
  • ナビゲーションボイス
    • 本作はロボトル中の状態をリアルタイムで逐一プレイヤーに伝えるナビゲーションボイスが導入された。
      • 過去のメダロット作品にも演出*2やチュートリアル用のガイド(『BRAVE』)においてボイスが採用されていたが、戦闘中実況のように喋りまくるのは本作が初。
      • デフォルトのボイスはカブトバージョンだと遠藤 綾、クワガタバージョンだと釘宮理恵が担当している*3
      • 後述する有料DLCにてナビゲーションボイスの変更が可能。
  • ダウンロードコンテンツ(DLC)の導入
    • ついに本作からメダロットシリーズにもDLCが導入された。
    • 「DLC専用のメダロットを所有する旧作キャラクター4人と戦える追加ミッション」
      • 追加ミッションはバディを組んだ旧作キャラ同士のちょっとした絡みを見ることが出来るほかに、旧作キャラをバディとして仲間に加えたり、DLCのみで入手可能な従来の機体とは別性能の機体を入手することができ、セッティングのバリエーションを広げたり戦力を強化できる。
      • DLC限定のパーツはローカル通信・インターネット通信による対戦でも入手することはできない*4
    • 「戦闘中のナビゲーションボイス変更」
      • ナビゲーションボイス変更はその名の通り戦闘中ボイスの変更。気分に合わせてどうぞ。

評価点

  • 爽快感のあるロボトル
    • 従来のメダロットシリーズとはガラッと変わった3Dアクションでありながら完成度は高く、ヒットエフェクトの派手さも相まって爽快感あふれるロボトルを実現している。
    • 3Dアクションでは渋滞を起こしかねない3対3のロボトルを2対2にしたことで、一戦ごとのテンポも良く、バディシステムによってパートナーとのバトル感も演出している。
  • メダロットらしいアクション
    • 技のモーションや効力だけでなく、行動準備時間である充填・冷却、プラス効果・マイナス症状等RPGシリーズの要素をそのままアクションに落とし込んでいる。
    • 援護スキルパーツやバディとの組み合わせで、使いにくいパーツも大きく化ける。
    • 脚部と地形との相性に応じてRPGシリーズと同じくらい移動力に影響が出る仕様。
      • 地形相性のみならず、通常移動性能は低いが二段ジャンプで攻撃を回避したり移動以上の立ち回りが出来る「多脚」や、ジャンプ中は充填ゲージが許す限りダッシュし放題の「浮遊」、長時間の空中ダッシュが出来足が止まる射撃攻撃でも慣性のおかげで移動しながら撃てる「飛行」などタイプごとの特徴がはっきりしている。
    • いかにして相手の戦術の要となっているパーツを破壊するために立ち回るかを要求される。
      • シナリオ中の強敵であっても、セッティングやバディの見直しであっさり勝てた…なんて事例も。
    • ただ、これらの要素が対人戦におけるバランスを大きく不安定で、いびつなものにしているのも事実である。
  • 多種多様な「バディ」
    • デュアルロボトルとして共に戦ってくれる仲間はその数100人以上。
      • 言い方を変えれば 本作に登場するすべての登場人物を仲間にすることが出来る *5
    • 単純に「CPU操作機体選択」というわけでもなく、全員がシナリオ中何かしらの台詞を持っており、ある時は依頼人、ある時はエリアマップ内のNPCとして存在している。
      • シナリオの進行度合いによって台詞が変わるのはもちろん、NPC同士の関係性が変化していることもあり描写が細かい。
  • 従来のメダロットシリーズに無かったシナリオ
    • 主人公が「特定組織に所属する隊員」という外伝作品でも採用されてこなかった設定。
      • セレクト隊の中にできた特殊部隊という設定であるため、同じセレクト隊でありながら対応力の雲泥の差に驚かされる。
    • 規模は小さいながらも要点を押さえた話作り。
      • 数々のミッションが並行してストーリーを持っており、進行度合いに応じて主人公とパートナーの信頼関係だけでなく変わっていく周囲のNPCたちの態度、別々に進行していたミッションが意外なところで結びつくシナリオになっている。初代メダロットを髣髴とさせる終盤の展開は必見。
      • 前作『メダロット7』ほどの壮大な冒険は一切ないが、一つの町で起きうる事件として「メダロットの世界観」に合った現実味のある展開となっている。
  • ユーザーフレンドリーになった部分
    • 戦闘難易度は3段階。
      • 全てダメージ量補正で調整されている。また難易度の差は「手に入るバッジの色が変わるのみ」でペナルティは無い。
    • ボイスナビゲーションシステム。
      • 敵・味方・自機・バディ問わず、頭部装甲値の警告やプラス効果・マイナス効果付加時のお知らせなど、ロボトルに集中できる作り。
      • バージョン標準のナビゲートボイスが一番癖が無く落ち着く。DLCボイスはどれも一癖二癖あり好みが分かれる。
    • マップの外に出る必要もなく瞬時に拠点へ帰還できる「トランスポート」機能を標準搭載。
    • シナリオ進行によってショップに並ぶ品物が変化するのだが、未入手のパーツのみ購入可能。
    • シナリオをやり直せる「ミッションシミュレーター」
      • 一度クリアした依頼を再度プレイすることができる機能。会話イベントまで再現しており、ある意味では「はじめから」にしなくてもシナリオだけ再度確認することはできる。

賛否両論点

  • 「メダチェンジ」の仕様
    • 決まった純正パーツで組むことで変形「メダチェンジ」可能なメダロットが数体いるのだが 本作のメダチェンジはメダフォース同様「必殺技」扱い
      • 装備しているメダルの種類に関係なくメダチェンジがメダフォースと同じ扱いになる。
      • 同じ効力のMFに比べると威力は若干落ちるが出が早く強力。逆に1部位でも破壊されているとメダチェンジはおろか、メダル固有のMFも出せない。
      • 発動するためには、相手に密着しなければならないため追いかけっこが始まることも。(ただしメインのサイカチス、ドークス、バットハッカーは歩きのスピードが早いため追いつけないということはない。プレイヤーの腕次第である)
    • 「独特のフォルム・モーションを持つ変形したメダロットも操作したかった」という声も多い。
      • 変形・攻撃モーションは『メダロット7』以上にスピーディで迫力のあるものになっている。メダチェンジ演出の出来自体は良い。
    • また、上手にメダチェンジを決めた時の爽快感は悪くない。
    • メダチェンジ可能機体が特定のタイプのメダロットに集中していることも賛否が分かれる。
  • 参戦機体の選出
    • 本作のグラフィックや大半の登場機体は前作『メダロット7』が元になっているが、参戦機体は全102体。
      • 参戦機体については「『メダロット7』の登場機体」+「『DUAL』の新機体」という構成となっている。
    • 『メダロット7』と比較して一部機体が削除されている。
      • 前作に出ていた対になるモチーフ組の片割れしか参戦していない。せっかく2on2の「デュアル」ロボトルなのに…
      • DLCに登場する旧キャラクターに合わせた機体が一部*6を除きごっそり削除されていたりする。その結果旧作のキャラクターでありながらなじみの薄い本作初登場の機体を使うといった奇妙なことになっている。
    • 一方で「カウントダウン」や「CF(連携攻撃)」などコマンドバトル向きの技を持つ機体や、前後に突き出た形状のパーツを持つ機体やそもそも他のメダロットに比べてやたらデカい機体など、アクションゲームとして再現することや行動を差別化するのが難しい機体なので本作に参戦できなかったことも考えられる。
    • 本作登場メダロットの多くは『G』⇒『BRAVE』⇒『DS』⇒『7』と連続して登場しているため、新鮮味に欠けるという意見も。
  • ダウンロードコンテンツの導入
    • 追加ミッションがロボトルのみで味気ない点と登場する旧作キャラクター達が前作『メダロット7』で一度再登場を果たしていた人物のみ。
      • また旧作キャラクターに合わせたメダロットをキャスティングしていないこともユーザーからの顰蹙を買った。
      • また、DLCのみで入手可能な「従来の機体とは別性能の機体」が後述する対戦バランスを大きく破壊するものだったことが問題点。
  • フィールド探索要素の排除など簡素化されたシステム
    • ミッション受注→戦闘という流れを主眼を置いたこともあり、従来RPGシリーズのように民家に入ったりオブジェクトを調べたりといった要素は削除。
    • アクションゲームゆえに複数の機体を操作する必要がなくなったため、パーツの購入や売却の概念も大きく簡略化。
      • シナリオ進行に応じて未所持のパーツが追加されるので、パーツ収集といった面では親切になっている。
      • 一方どんなにダブったパーツを引き取ってもらっても1つ当たりの入手できるポイントは一定。
    • メダルの育成も大幅簡略化。
      • レベルは最大10まででカンストも容易。『メダロットG』や『BRAVE』では律儀に99まで成長したが、ちょっとアッサリ気味。
      • 育て方による性能変化などは無く、戦闘勝利回数による純粋な強化のみ。
    • 『7』であったトーナメントロボトル大会やカジノなどのサブイベントも本作には存在しない。
      • エンディング後に追加されるシナリオミッションも少しだけ。後はバディ育成かパーツ集めで延々とロボトルだけ。
      • パーツ下取りで手に入れたポイントはパーツ購入とチャレンジミッションのヒント解放以外の利用価値が無い。
    • 結果、戦闘以外の要素のボリュームを見るとRPGシリーズに比べて規模が小さくなっている。
  • グラフィックに進歩が無い
    • 機体モデリングやフィールド上の人物モデルは基本的に『メダロット7』ベース。
    • 登場するバディのグラフィックの大半は前作『メダロット7』からの使い回しだったりカラーチェンジが多い。
      • ただ、100名近くのキャラクターに個別の使用機体やシナリオで何かしらの出番が与えられているだけあって、プレイしている間はそこまで使い回しという印象は受けにくい。
  • かゆいところに手が届かないバディ
    • ロボトルを重ねて個々のバディとの友好度を最大まで上げても、バディの所有するメダルのレベルが最大になるとは限らない。
      • 厳密に言えばバディごとにステータスの上限が決まっている。
      • クリア後であっても、メダリアをつけていないバディどころか、低ランクのバディだと親密度を最大まで上げてもメダフォースも発動できないものも存在する。
    • 攻撃してくれている時はそこまででもないが、いざ相手にすると意外と穴が多いバディのCPUルーチン。
      • CPUに対して距離をとると射撃・格闘持ち関係なく攻撃を当てるためロックオンしている機体に近づいてくるが、この時「ボムトラップ」は無視して近づいてくるため容易にハメることができてしまう。
      • またCPUは相手が設置したトラップやプラントを破壊しない、状況にかかわらずパーツを破壊されると復活系パーツをすぐ使おうとする、特定のメダフォースは回避しないなどの弱点がある。
      • 言い換えればこれらの弱点も状況によってはプレイヤーに有利に働くともいえる。

問題点

本作の問題点の大半は「オンライン対戦」と「対戦バランス」に集中している。

オンライン対戦

  • まさかの「フレンド対戦」不可
    • インターネット対戦はランダムマッチングのみ。
      • 『DS』・『7』ではフレンドコードの登録によるフレンド対戦が可能だったこともあり、本作の大きな不満点として挙げられる。
  • 劣化したネット対戦レギュレーション設定
    • インターネット対戦時に指定できるのは「シングルorデュアル」「希望フィールド」のみ。
      • 『DS』・『7』では特定のパーツの使用を禁止するレギュレーションの配信によって、ある程度のバランス調整を設けたうえで戦えたが、本作は搭載していない。
  • 相変わらずの切断対策
    • 一応切断された側は勝利扱いとなり相手の構成からパーツを1つもらえるが、接続が解除されインターネット接続からやり直す必要がある。
    • 切断した側は接続が解除される手間以外は相変わらずノーペナルティ。対戦時の勝敗数・勝率強制表示も相まって切断厨が蔓延した。
      • 酷い場合では「勝率100%・勝ち数9999カンスト・敗北数0」というデスメダロッターも存在。
    • 降参機能や切断時CPU自動操作という気の利いたものはないため、勝利の一歩手前で切断される事例も。
      • 逆にキーパーツが破壊されただけで即・切断、自分に合わない地形やパーツ構成の相手が選ばれただけで切断される事例も相次いだ。
    • ※ただし、本当に通信回線が悪いことも考えられるのですべて切断されたと思わないように注意。偶然の場合でも故意の場合でも切断された側は同じメッセージが出るため初見での見分けは難しい。
  • 処理落ちとラグ
    • 通信環境に依存することが大きいが、一部ロボトルフィールドではラグが発生する。
    • また一度に多くの弾を打ち出すガトリング攻撃を複数機で繰り出したことによる処理落ちやフリーズといった事例も存在する。
*対戦バランス
  • 「メダロットらしさ」由来の問題点
    • シリーズおなじみの「初手一撃で頭部パーツ破壊」による即死の可能性は相変わらず。
      • 戦況不利であっても逆転勝ちできる可能性は0ではないともとれる。
    • 他の対戦ゲー以上にお互いの組み合わせや地形によっては、一方的に勝てる(負ける)状況に陥りやすい。
  • 引き撃ち有利による射撃>>>>格闘の現状、それを助長するパーツ行動
    • この手の対戦アクションでは良くあることだが、本作の概ね射撃行動が有利な構成になっている。
    • フィールドと脚部にもよるが追いかけっこになると近接格闘のモーションをキャンセルできる武器が多い射撃の方が有利になりやすい。
    • 特に相手を容易にダウンを取ることが出来たり、接近することを阻む行動が猛威を振るった。いかに一例を挙げる。
+ 格闘潰しの行動一例
  • フリーズショット
    • 「ヒットすると相手をのけぞらせる」ライフルに「ヒットすると一定時間わざのチャージ時間を遅くする」フリーズを併せ持った射撃わざ。
    • 装甲が低い点を除けば威力は平均よりも少し高く、回転率も悪くない。何より発射する氷のつぶてがそれなりに大きく避けにくいことや、ヒットすることでチャージ攻撃が出来るわざをほぼ封殺できる事が特徴。
      • 接近する格闘機を容易にのけぞらせ、ホーミング力が上がる格闘チャージ攻撃を封印することができる。
  • サンダーショット
    • 「ヒットすると一定時間相手の動きを止める」サンダー攻撃の射撃版。
    • メダロットシリーズの多くの作品で相手の動きを止める「停止」は強力な効果と扱われてきたが、アクションゲーの本作でも猛威を振るった。
      • 低装甲で射程が限られわずかな時間だがチャージする必要がある格闘版サンダーに比べ、装甲が高い上に回転率も悪くなく遅すぎない弾速を持っており、当てるだけで相手を足止めし自由を奪うパーツとして嫌われている。
      • サンダー系行動による停止はガードパーツの使用やチャージ格闘攻撃時に付くスーパーアーマーさえも無視するため、格闘殺しに貢献している。
  • ボムトラップ
    • フィールドに「相手が接近すると爆発する爆弾」を設置する。
      • 接近するだけで爆発するため格闘機殺しにもってこいなパーツ。既に接近されていてもその場で爆弾設置→相手もろとも自爆することでダメージを与えながら、自分もダウンし間合いを仕切り直すことができる。
      • ガードパーツを併用してスーパーアーマーを付けながら接近する機体にも全パーツにダメージを与えることが可能なため不利になり難い。
  • メガガトリング
    • 通常のガトリングと比べると冷却(リロード)に時間がかかり移動しながら撃つことが出来ない代わりに、威力とダウン値が高い弾を連射する攻撃。
      • 遠距離から容易にダウンを取れる武器として優秀。弱点の冷却(リロード)時間の長さは、特定の援護パーツでカバー可能。
      • ガードパーツによるスーパーアーマーを付けると接近できる代わりに、全弾もろにダメージを受けることになってしまう。
      • 発射中はよろけ耐性持ちになるため、格闘攻撃によるコンボを出し切る前にこちらがダウンすることが多い。
      • ボタンを押す間隔を調整しながら移動しながら撃てる、ジャンプ中や慣性が残っていても撃てるため、「攻撃中は動けない」というデメリットはあまり機能していない。
      • 散弾性の高さは集弾性能を強化する援護パーツを使えば補える。というか適当に弾幕を貼るだけで相手をのけぞり・ダウンさせることができる。
  • もちろん、それぞれのパーツ行動にも一応弱点は存在するため、完全に対処不能といったわけではない。ただしこれらのメタを考慮すると相手と同じ戦法をとるか汎用性の低い構成にならざるを得ないのも事実。
  • DLC版色違いスキャッズボムによって崩壊した対戦環境
    • 「スキャッズボム」は本作に登場するあるメダロットの1パーツ。
    • ダウンロードコンテンツ「M-5ゲスト」で追加されるミッションで、特定のキャラとのロボトルに勝利すると「スキャッズボム」の別性能パーツ、通称『色スキャッズボム(以下色スキャボ)』が手に入るのだが、これが補助パーツとの組み合わせでどうしようもない性能を発揮する壊れパーツだった。
+ 『色スキャボ』の実体
  • 行動は山なりに飛び着弾すると広範囲の爆風が広がる焼夷弾を発射する「ナパーム」。だが他のナパームとは格が違った。
    • 基本威力が320。同系統の標準パーツで200(それ以外のナパームパーツでも120~220)なので1.5倍近くの威力がある。ナパームは全部位にダメージを与えるので1パーツあたり威力80といった所。並みのパーツ装甲の4割を奪うことができる。
    • 『爆風範囲が広いナパーム』のカテゴリ。攻撃範囲が広いナパームは基本的に威力220・冷却(リロード時間)7.5秒と統一され、標準的なナパームでも5.5か6.6秒に設定されているが、色スキャボは冷却2.7秒と破格の性能を誇る。
      • 「ヒットブースト」と呼ばれる『爆風などの攻撃範囲を一定時間強化』するパーツを併用すれば、只でさえ『爆風範囲が広いナパーム』の攻撃範囲を倍近く拡張。本作で一番狭い対戦ステージの半分を埋め尽くす爆炎となる。
      • 爆風系行動は使用者もダメージを受ける自爆の危険性もあるが、接近でもされない限りは安全。しかもナパームによる爆風はガードパーツの効果でもかかっていない限り、一度ヒットするとダウンを取ることができる。
    • 弱点は充填(装填弾数)が1であること。
      • ナパームは発射までにチャージが必要な行動だがその溜め時間が飛びぬけて長い(8秒近く)なのだが、『チャージを一定時間大幅に短縮する』効果を持つ「チャージブースト」パーツと併用すれば、このデメリットはほぼ消滅する。
  • 特定の補助パーツと色スキャボの併用によって、『 弱点の弾数とチャージ時間を気にせずナパームの雨を降り注ぎ、只でさえ広い爆風は補助パーツで強化され格闘機はおろか射撃型も迂闊に近づけず、2・3発喰らうと大半のパーツが破壊される程度の威力の爆風で、相手に何もさせず封殺する 』戦法が蔓延。
    • ナパームは山なりに飛ぶという特性から、ダッシュ回数を増やす行動やホーミング力のある行動で急いで相手に接近することでその穴を突くことも出来るが、空いた1部位に相手の動きを止めるパーツをセットされ足止め→なぶり殺しにあう事例も。
    • 射撃ガードと呼ばれる『相手の射撃攻撃を一定時間無効にする』というメタパーツもあるが、これがまた性能がピーキーすぎて十分に対応できるとは言えない。色スキャボ使いの空いたパーツに格闘パーツがあるだけで死にパーツになる可能性もある。
  • 自機は色スキャボ対策しても、固定セッティングのバディは色スキャボの餌食となる。
  • 対策を取り腕を磨いて1パーツ破壊できたとしても、今度は『無慈悲な切断行為』も待ち構えているため対戦バランスに加え対戦マナーまで悪化。
  • 『メダロット7』では対戦時のレギュレーションや更新データの適用でパーツの使用を一定のルールの上で制限したり性能を調整していたのだが、本作のDLC版色違いスキャッズボム(含めた他の強力なパーツや行動全て)に対して、公式は一切の対策を行わなかった。
  • 結果、公式大会では圧倒的な高威力・広範囲・即冷却性能で多くのプレイヤーに火の海を見せた。当日のルールでも使用パーツの制限は行われず、対戦バランスの悪さを(理解した上で集った)プレイヤー達によって公開処刑される格好となった。
    • 一方、バランスの悪さを公開処刑された公式は「ナパーム使い」「画面が赤いですね~」等と表現して(実質)称賛していた。…それでいいのか?
    • デメリットをなくす「チャージブースト」長所を伸ばす「ヒットブースト・アタックブースト」と色スキャボの併用構成は、大会1日目には優勝者が出て、2日目でも決勝リーグの多くの対戦で猛威を振るった。
  • 調整しきれていない補助効果パーツ群
    • ここまでで述べた強力パーツ群は基本的に補助効果との運用が主になっている。特に猛威を振るったものを挙げる。
+ 強力パーツと併用される主要なえんごスキルパーツ
  • レーダーサイト
    • 「味方チーム全体の命中精度を上げる」プラス効果を付ける技。格闘攻撃のホーミング力がのび使いやすくなる。
    • 装甲が低いことと効果時間が短めであるのが欠点だが、相手をのけぞらせたりダウンを取る遠距離射撃攻撃のホーミング力も向上する。
      • 相手を追跡する「ミサイル」攻撃にレーダーサイトを併用した時のホーミング力はRPG版の「絶対ヒット」効果の再現と揶揄される。
      • さらにホーミング力を強化した上位版に「コマンダー」というわざがあるが、「1パーツのみ・冷却されない・効果時間がさらに短い・効果は使用者のみ」と汎用性自体は落ちているためかそこまで問題視されていない。
  • ヒットブースト
    • 「味方チーム全体の攻撃精度を上げる」プラス効果を付ける技。「ナパーム」や「トルネード」といった爆風が広がる攻撃と相性が良い。実は格闘の攻撃範囲も広がる。
      • 大体の利用法は前述の色違いスキャッズボムとの併用が多く猛威を振るった。
  • チャージブースト
    • 「味方チーム全体のチャージ時間を短縮する」プラス効果を付ける技。スーパーアーマー効果付加の格闘のチャージ攻撃やフルチャージ型射撃が使いやすくなる。
      • 何が問題なのかというと、短縮されるチャージ時間が「どんなパーツでも1秒以内」になってしまうこと。
  • サイクルブースト(冷却強化)
    • 「味方チーム全体の冷却(リロード)時間を短縮する」プラス効果を付ける技。
      • サイクルブースト以外のパーツ全てに効果があるため、他の補助効果を付加するパーツのリロードを短縮させ、プラス効果がほぼ途切れないようにすることが出来てしまう。
  • えんごスキルのパーツの多くは自分やバディに有利な効果を付けて様々なコンボを可能にしているのだが、多くのパーツが「補助効果1つで1パーツに課している唯一の弱点を容易に打ち消すものになっている」のが現状である。
*その他システムに関する不備
  • いくつかのバグ・不具合
    • 通信対戦を行った後、ストーリーモードでロボトルを行うと通信メニュー画面へ飛ばされるされるバグ。
      • このバグは『更新データVer.1.1』にて修正済み。
    • キャラが自動で移動する一部のイベントでイベント開始位置によってはキャラが引っかかりハマる。
      • 体験版の時点から発覚していたが結局修正はされなかった。対策としては素直にNPCには正面から話しかけること。
    • コマンダーやレーダーサイトといったパーツ効果でホーミングを強化した状態でボムトラップに引っ掛かると、上方に飛ばされたまま戻ってこないことがある。
    • 一部ミッションにおけるメダロットの大量描画による処理落ち・フリーズ、一部イベントメッセージの誤植。
  • ターゲットロックの仕様
    • ロボトル時のターゲット選択がLRボタンで切り替えられるが、配置されたトラップもターゲット選択の対象であるため思うように攻撃対象を選べないことがある。
      • それ故にトラップによる攻撃ダメージよりも「ターゲット操作を妨害される」ほうが深刻と揶揄される。
      • トラップは1パーツ当たり2個まで配置可能。理屈で言えば1フィールドに12個まで配置できることになる。(強いかどうかは別として)実際やられると非常にじれったい。
  • 地形相性の調整不足
    • 特に氷雪系フィールドと脚部パーツの相性の調整に不満が集中した。理由としては「そもそも氷雪フィールドに対応した脚部が限られていること」「氷雪系フィールドはフィールドすべてが『氷雪』扱い」なっていることが挙げられる。
      • 本作の地形相性はRPGシリーズ以上にバカにできないレベルで影響しており、単純な移動速度低下よりも着地硬直の差がはっきりと出る。そのためネット対戦でも氷雪地形に合った脚部を装備して氷雪地形をリクエストし、一方的に相手を攻撃するという形で問題点が露になっている。
      • 水辺系フィールドも対応する脚部パーツは限られるが、潜水型脚部の大半は他と比べ基本性能が低いものが多く、水辺系フィールドには『水辺』だけでなく他の地形もある程度混合されているため、氷雪ほど猛威を振るってはいない。
  • ミッションシミュレーター
    • シナリオ毎やり直しできるのは良いが、一々シミュレーターに出入りする演出が挟まれる、一々目的地に移動しなければならない、会話パートをスキップできない(早送りは出来る)などの粗が残る。
  • ローカル通信仕様周り
    • メダルの受け渡しは『DS』・『7』同様本作もなし。
      • カブトメダル・クワガタメダルは配布もされず、現時点では各バージョン限定の要素となっている。
    • 「パーツの受け渡し」も廃止された。
      • 「すれちがい通信による手持ちのパーツの中からランダムに受け取る」のみ。対戦で八百長するなどしないと受け渡しが出来ず、非常に不便。
  • 抽選による限定メダロットの配布
    • 『DS』(トレカパック)・『7』(サントラCD)につづいて、ついにゲーム内コンテンツまで2バージョン購入抽選特典になってしまった。
      • 2verを購入して操作説明シートについてくる2種類の応募券をはがきに貼って送ると特製ARカードパックを抽選で3000名に当たるというもの。
    • 特製ARパックでのみ入手できるという触れ込みだった機体の内、2機体は『最強ジャンプ』と『Vジャンプ』にて先行でAR公開が行われた。
    • ただAR自体は誤検出などでバレていたらしく、既に入手していたプレイヤーがすれちがい通信で(故意かどうかは兎も角)配布していた他、ジャンプフェスタ大会優勝者*7が出た翌日には、ネット対戦でも有志による配布ロボトルが行われた。
      • そのため完全に入手不可というわけではない。

総評

従来のアクションメダロット作品の出来を払拭した、軽快なレスポンスの対戦格闘アクション。
パーツのセッティングと共に闘うバディによって激変する対戦環境、充填・冷却の概念や攻撃だけでなく各種補助行動、部位ダメージ制によって要求される立ち回りは、アクションになってもまさに『メダロット』そのもの。触り自体はキャッチコピーの「斬る!撃つ!蹴散らす!これがメダロットのアクションゲームだ!」に恥じない出来になっている。
シナリオやキャラクター作りに関しては過去作とボリュームや方向性こそ異なるが、近作のメダロット作品の中では良い意味で特徴的なものになっている。

ただ、そのプラス面を打ち消すかのように、オンライン対戦における不便な仕様やおざなりな対人戦バランスが目立つ。前作で出来ていたことがなぜ本作ではできなかったのか。最大4人まで参加可能なローカルプレイで顔見知った相手同士で縛りを設けたうえで騒いで遊ぶ分には楽しめるが、決して優れた対戦ツールとは言えない。またRPGシリーズ作品に比べると乏しいボリュームなどにも不満が残る。

『メダロット』らしさを再現したことで只の対戦アクションとして埋没していない光る部分もあるが、その特徴が万人に受けるように調整しきれていない、そんな惜しい一作といえる。

余談

  • DLCでバディにできる人物の中で『メダロット2』の主人公である「イッキ」がいるのだが…
    • 他のDLCに「快盗レトルト(2代目)」がいる。おまけに『7』で登場した「キャプテン」も…中の人についてはお察しください。
  • 前作『メダロット7』ではシルエットのみの登場だった*8『メダロット2』のヒロイン「アリカ」が本作ではDLCとして顔出ししている。
  • 本作の開発としてクレジットされているジュピターは前作『メダロット7』のグラフィック協力を行っていた。
  • 本作はシリーズで初めて主人公の性別を選択できる作品となった。なお、女性主人公の初登場作品は『メダロット パーツコレクション』である。
  • 後に発売された『メダロット ガールズミッション』は本作をベースとした対戦アクションとなっている。
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  • ACT
  • ロケットカンパニー
  • ジュピター
  • メダロット

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最終更新:2022年10月07日 09:25

*1 前作同様エンカウントするエリアは事前に下画面に警告が表示される

*2 『メダロット3』・『4』・『navi』・『5』・『BRAVE』

*3 2014年1月4日から配信開始したDLCにて100円でそれぞれの別バージョンのデフォルトボイスを追加できるようになった

*4 対応したパーツの通常性能版が手に入る

*5 とあるタイミングで他のコンビニ店員がサボるための影武者として登場する「イッキ」だけはDLC購入でのみバディにできる。

*6 スクリューズやヘベレケ博士など。

*7 特製ARカードパックの内容含めたパネルが優勝賞品として渡された

*8 『メダロット7』の公式HPにはイラストが掲載されている