慟哭 そして…

【どうこく そして】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 セガサターン
発売元 データイースト
開発元 データイースト
スタジオライン
酒田エス・エー・エス(プログラム)
発売日 1998年2月26日
定価 6,800円(税別)
レーティング セガ審査:18歳以上推奨
備考 『慟哭 そして… Final Edition』:1998年8月8日/6,800円(税別)*1
判定 良作
ポイント 昔なつかしの死にゲー
(家庭用としては)エロ描写多め


概要

末期のデータイーストが放ったコンシューマオリジナルのギャルゲー(?)。廃屋に閉じ込められた主人公と美女、美少女達が謎の猟奇殺人犯の手をかわしつつ脱出を目指す、というもの。
キャラクターデザインは、かつてエルフの『河原崎家の一族』『遺作』等に携わり、2010年現在もギャルゲーなどの原画家として活躍する横田守氏が手がけている。開発元にあるスタジオラインは彼が代表を務める会社である。
原画家がアダルトゲームに携わっていたり、パッケージでエロを強調していたり、そもそもSSにアダルトゲームの移植作が複数存在していたりした事から「元は18禁ゲーム?」と誤解される事もあるが、れっきとしたセガサターンオリジナルのソフトである。


特徴

  • ゲームとしては古典的なアドベンチャーの形式。
    • 自ら屋敷の中を歩き回り、重要なアイテムを回収し、それらを用いて行動範囲を広げたり危機を回避したりしていく。
    • 屋敷の中はクォータービューで描かれているが、室内や特定の状況下ではクリック型アドベンチャーのようにポインタが表示され、怪しい場所を指定して調べたり手持ちのアイテムを試したりする。所謂「脱出ゲーム」と呼ばれるジャンルに該当する。
  • 本作の特徴としては、そこに複数のヒロイン候補を配置し、発生するイベントに応じて好感度が変化し、エンディングに影響するというギャルゲー要素を含んでいる。
    • 恋愛要素のみならず、主人公の行動次第で彼女達の生死も分かれるというサスペンス、ホラー要素も持つ。
    • エンディングはヒロイン毎に複数種類存在し、生存させ且つ条件を満たしたヒロインによって終盤の展開やエンディングが変化する。
      • ヒロイン候補6人にはそれぞれ館脱出後に恋仲になるグッドエンドとならないノーマルエンドが用意されている*2。7人目のヒロイン候補と呼べるキャラも存在するが、こちらは死亡イベントが存在せず、エンディングでの扱いも特殊となっている。
      • エンディングの内容に関わらず、一度でもいずれかのヒロインとのエンディングを迎えるとCG鑑賞モード「記憶の彼方へ…」が解禁される。
    • 誰の条件も満たさなかった場合は脱出時にスタッフロールだけが流れるソロエンドになる。その為、最悪ヒロインが全滅してもクリア自体は出来る。
      • 但し、この場合は「記憶の彼方へ…」が解禁されない。
+ 登場人物
  • 時田一也(CV:なし)
    • 主人公。高校二年生。名前は変更可能。これと言って特徴の無い典型的なギャルゲー主人公。梨代曰く「やるべきことに対しひたむきに全力を傾ける性格」らしい。
  • 笹本梨代(CV:長沢美樹)
    • ヒロイン候補。高校二年生で、主人公の幼馴染。思いやりがある心優しい性格で誰とでも仲良くなれる。主人公と帰宅途中にバスの事故に遭い、事件に巻き込まれる。
    • 一応メインヒロインなのだが、その割にはやや影が薄めで他のキャラとの絡みも少なく、生死も他のヒロインのエンディングに殆ど影響しない。
  • 青木千砂(CV:矢島晶子)
    • ヒロイン候補。礼儀正しい性格の高校一年生。弓道の全国大会で優勝するほどの腕前を持つ。親友のいつみと温泉旅行に来ていたところに事件に巻き込まれる。
  • 羽鳥いつみ(CV:大沢つむぎ)
    • ヒロイン候補。高校一年生。落ち着きのない、能天気で無邪気な性格。
  • ノーマ・ウェンディ(CV:山口由里子)
    • ヒロイン候補。財閥の令嬢で、アメリカからの留学生。流暢な関西弁で話す。
  • 白川子鈴(CV:井上喜久子)
    • ヒロイン候補。ノーマの屋敷に仕えるメイド。20代に見えるが年齢は不詳。面倒見のいい性格だが、どこか影があり、周囲の静止を無視して単独行動を取る事が多い。
  • 椎名真理絵(CV:深見梨加)
    • ヒロイン候補。主人公達の通う高校の化学教師。主人公とバスに同乗していた為に事件に巻き込まれる。
  • 謎の少女(CV:氷上恭子)
    • 屋敷で出会う正体不明の少女。不思議な雰囲気を纏い、常に子犬を連れている。
  • 柴田桂(CV:子安武人)
    • 千砂、いつみを車に乗せていた青年。大学一年生。理知的だがどこか冷めた雰囲気を持つ。
  • 神田川国昭(CV:北村弘一)
    • 主人公とバスに同乗していた怪しげな老人。女性陣にちょっかいを出す事が多い。
  • 田辺浩之(CV:星野充昭)
    • 主人公とバスに同乗していた人物。他のメンバーと距離を置きたがる。

評価点

  • 脱出ゲームとギャルゲーの一体化
    • PCゲームの『遺作』等、既にあった物ではあるが、危険な場所からの脱出にヒロインを多数配置する事で、彼女達のピンチを助けながら少しずつ親密になっていき、最終的には無事脱出するというシンプルながらも分かりやすい楽しみがある。
    • 脱出ゲームとしても特定の状況に対して正解が複数ある場面がいくつか存在しており、ある程度プレイヤーの意思を反映させて行動する事が出来る。
      • 例としては電子ロックのかかった扉をパスコードで開けるか、カードキーを入手してきて開けるか、内側から回り込んで開けるかによっても違いが出て来る。
      • どれを選んでも先に進めるがイベントの内容やヒロイン個別エンドのフラグに影響を与えてくる。フラグ管理は膨大で、周回プレイの楽しみにも、後述するED分岐の煩雑さにも繋がっている。
  • 危険描写
    • 廃屋内では人為的な物も含め様々な危険が襲い掛かってくる為、主人公もヒロインも命の危機に迫られる。これらを解決するのも本作の楽しみの一つ。当たり前だが『遺作』のような凌辱シーンは無いので、わざと救出に失敗してそれらを集めるような楽しみは無い。
    • ヒロイン達は1人につき一度ずつピンチに陥ることになるが、アイテムと知恵を駆使して助けてやらないとほぼ例外なく無惨に殺害されてしまう。それも、明らかに危険な状況を見逃してしまった、判断を間違えたというならともかく、主人公が何気なくとった行動さえ死につながる場合がある。
      • 死因はキャラによって異なり、中には大型電ノコで分解という惨い殺され方も。
      • 但し、死亡シーンや死体は絵で直接表示されず、血痕や遺物が映ったり悲鳴が響く程度で、描写するにしても「禍々しい背景に死体の状況を説明する文章が一枚絵のように表示される」という独特の表現方法となっている。
  • 山奥の廃屋を探索する楽しさ
    • いわゆる脱出ゲームとしての作りも良くできており、少しずつ行動範囲が増えていき、少しずつ館の謎が解けていく。
    • グラフィックやビジュアル面でも雰囲気が良く出ており、不安を煽るようなBGMやSEも評価が高い。ただ探索をしているだけでも結構な雰囲気が出ている。
    • 扉を開けたり、廊下の様子をうかがうシーン等でムービーが入る事もあり、緊張感を高める演出になっている。
      • ヒロインが死亡すると必ずと言って良いほど「扉を開けるムービー」が入り、背筋を凍らせてくれる。
    • 一部ヒロインのルートでは犯人が事件を起こした動機が明かされる。単なるサイコパスの犯行ではない悲しい背景があり、物語に深みを与えている。
  • 豪華声優陣
    • 上記の登場人物一覧を見て頂ければ分かる通り、当時の人気声優やベテラン、今では大御所となった方々が担当しており、熱演も相まって物語を大いに盛り上げてくれる。
  • 横田氏のグラフィックも美麗
    • 実績のある人だけに女の子のグラフィックは可愛く、男性キャラもイケメン、不細工、老人といかにもな雰囲気で描かれている。
    • 18歳以上推奨だけに、下着が丸出しやチラ見え、あるいは半裸とかいった際どいCGが随所にちりばめられている。メインヒロインのグッドエンドに至っては…。
  • キャラ付けも良好
    • ヒロイン達は皆、魅力的に描かれており、単純に恋愛ゲームとしての楽しみを見ても十分である。
      • 正統派ヒロイン、礼儀正しい優等生、騒がしい娘、関西弁、メイド先生と、それぞれの個性も際立っている。
      • 当初は悪印象があっても、ストーリーが進んだり当人のイベントを起こしていけば印象が変わっていくのもまた王道的。
    • 一方、当時のギャルゲー界の風潮もあってか、女性キャラはひたすら魅力的に描く一方で男性キャラは扱いが悪かったり下衆だったりする事が多い。男性キャラも魅力的に描く後年のギャルゲーの感覚で見ると違和感を覚えるかもしれない。

賛否両論点

  • 脱出ゲームに慣れていないと少々辛い難易度
    • ゲームクリアに必須のアイテムが暗号でロックされていて、苦手な人は詰んでしまう事も。
    • 広い館全体を常に探索するため、行動範囲も調べる箇所も膨大。ステージクリア型の脱出ゲームのように、その場その場で謎解きをすれば良い訳ではないので難易度は高い。
      • また、「調べる」「アイテムを使う」だけではなく、特定の場所でそこにいるキャラと会話する、特定のポイントを通過すると言ったフラグ立て行動もかなり必要であるため、屋敷を何度も右往左往する事になる。
      • 調べるための有効範囲が異様に狭いポイントや、見た目では殆ど判らないようなポイントもあり、そういうものに限ってクリアやヒロイン救出に必須だったりする。
      • アイテムも「装備してから必要な箇所を調べると自動で使ってくれる」のではなく、自分で使用アイテムと使用箇所を指定するタイプなので、使い所が分かり難いアイテムの場合は辛い。
      • バックログ機能は無いので、ヒントとなる文章を見逃すと大変。
    • 初回プレイで助けられない事を前提にしたようなヒロインが存在する。
      + 一部ネタバレ注意
    • 一例として、あるキャラクターとの会話イベントがある部屋で、事前にその部屋の中であることをしておかないと、そのキャラクターが会話イベント中に部屋を離れてしまい、僅か数十秒後に殺されてしまう。部屋を離れる理由はそのキャラクターが部屋を出て行く直前に聞けるので、2度目のプレイでどうすれば良いかすぐに分かる。つまり、一度失敗して死んでもらわないと部屋で何をしておけば良いのか分かり難いのである。
    • よりによって最初にピンチに陥るヒロインもこのパターンである。救出には道具が必要なので探しに行く事になり、そのキャラクターからは意味深に鍵を渡されるのだが、実は救出道具の確保にその鍵は必要ない。それどころか、救出前にその鍵で行ける場所に行ってしまうと戻った時には彼女は無残な亡骸と化している。つまり鍵は罠も同然であり、プレイヤーの心を圧し折りにかかる仕様である。
    • 一方で「前回助けられなかったが今回は助けてみせる」という周回プレイにおけるモチベーションとカタルシスに繋がる演出でもある。
    • 危険に晒されるのはヒロインばかりではなく、主人公にも平等に死の恐怖は降りかかる。死亡してもゲームが続くヒロイン達と違って、主人公が死ねば当然その時点でゲームオーバーであり、クイックセーブやコンティニューなんて便利な機能は無いのでセーブを怠ると泣きを見る。
      • 弓矢に手を伸ばしての死亡は、『慟哭』の洗礼として多くのプレイヤーが受けた事だろう。しかし脱出の為にはこの程度で「慟哭」してはいけない。
    • とはいえこの難易度の高さや登場人物への容赦のなさっぷりで館の危険さがプレイヤーに伝わってくる事もあり、ゲーム自体の雰囲気を盛り上げる事に一役買っている。
      • 「ある意味デコらしい」「ギャルゲーの皮をかぶったデコゲー」と評されることも。
  • 「館から無事脱出する事」がメインの目的であり、それに各ヒロイン個別の事情が付随する形のシナリオ展開となっている為、各ヒロインのEDを迎える事で物語の本筋から、脇を固める話まで少しずつ分かる形になっている。
    • それはそれで周回を楽しむ要素ではあるものの、事件の真相に迫るのは特定のヒロインのルートのみであるため、それ以外では真相には触れないまま館を脱出して話が終わってしまう。その後にはキャラ別の後日談が入るのみ。
      • 閉じ込められた経緯などが判明しないために、そのEDを見ただけではすっきりしない。特定ヒロインのルートを見れば真相は分かるが、気に入ったヒロインのルートでもやもやしたまま終わるのは気になる人もいるだろう。
      • また、主人公と犯人が対峙する展開でも、一つのルートでは断片的な事実しか語られないため、全て見ないと事件の全貌は分からない。
    • 一周は短いため、手順が分かっている二周目以降の周回は楽。但し、スキップ機能は無い。
  • 死体描写
    • ヒロインの死については直接的なグラフィック描写は無く、6人中3人は死体を発見する事すら無く、残り3人も文章のみであるが、それでも苦手な人にはきつい要素。テキスト表示の演出も精神的に来る。
      • メインヒロインは死体を発見しないタイプだが、彼女が死ぬと辺りに血が付着するだけではなく部屋の奥に何かを詰めた袋が三つほど見える。中身は確認できないが、開けていい物ではない事は想像に難くない。
    • しかし逆にホラー要素やリョナ要素として直接的な描写があった方がいいという人には物足りないという事でもある。苦手な層は文章だけでダメ。求める層は妄想で補わなければならず煮え切らないと言う、ある意味どっちつかずな作りとなっている。
      • 3人も死体を発見しないキャラがいる所為で、特徴的なテキスト演出も僅か三つしかない。
    • 一方で、ゲーム開始時点で既に死んでいる人物の死体は(男女共に)普通に出て来る上に、最初に見つかる死体は特に惨たらしい。また、男性キャラが途中で死亡してその死体が出る事は僅かながらある。その為、耐性のある人は「ヒロインだけ不自然に隠している」と思うかもしれない。
      • 殺害に使われた凶器や付着した血など、最低限の残酷ビジュアルはある。

問題点

シナリオ面

  • 脱出ゲームメイン且つ、ヒロインの生死が分かれるというゲームシステムの都合上、シナリオに無理のある展開や不自然さが相応に生じている。単純に恋愛ゲームのストーリーとしてだけ見ると、完成度が高いとは言えない。
  • キナ臭くなってくるまでに少々時間がかかる。
    • そもそもが事故からの避難で訪れた事もあり、序盤は精々「この館は怪しい」「普通じゃない」といったレベルの雰囲気である為、個人行動が目立つなどゆるめの雰囲気。
      • 行方不明になっていた人間の死体が発見された後も、危機感の足りない能天気なキャラが洗面所で女の子同士軽くHなやり取りがあったりと、軽すぎに見える描写もある。
    • 人の話を聞かず単独行動を取りたがるキャラが多く、それは危機感が高まる後半になっても変わらない。後述する主人公の押しの弱さもその傾向に拍車を掛ける。
      • 主人公も一部パートを除いて誰かと行動を共にすることが無く、時にはかなり強引に別れるシーンもある*3
  • ヒロイン救出に失敗しても一部イベントに差異が生じる程度で、メインのストーリーそのものに変化は無い。その為、仲間の凄惨な殺害現場を目撃した後でも一度シーンが変われば何事も無かったように振る舞い、一部を除いて誰も話題に出さないなど、違和感が否めない。
    • 例えば、あるヒロインが殺された際、彼女と親友だったキャラは酷いショックを受けたり部屋に閉じこもったりするが、他のキャラはそのヒロインなど最初からいなかったかの如く気にも留めない。惨殺された上に死後もこの扱いでは本当に救われない…。
      • その一方で、死亡時の状況や周囲の反応などがしっかり描かれるヒロインも僅かながら居る。それだけにヒロイン毎の格差を感じてしまう。
    • 一応、特定のヒロインが死亡した場合のみ発生するイベント、見られるCGなどはある。
  • 主人公も主人公で、例えば赤い液体の付いた手袋を発見してもそれが血である可能性を全く考えない、自分の高校名らしき記述を発見しても「僕の高校と同じ字が使われてる」程度にしか考えないなど、悪い可能性を不自然に排除しようとするシーンも幾らか。
    • また、死体の発見という深刻な状況にも拘わらず、それを相手のペースに呑まれて言いそびれる場面がある。それも一度ではなく何度もであり、プレイヤーをやきもきさせる*4
      • 全体的に押しが弱く、去る相手を引き留められなかったり、肝心な事を言い出せないシーンが多い。実際、登場人物が命の危機に晒されるのは、主人公が館の危険性を正しく伝えない所為で、情報共有が出来ていない為というのが少なからずある。
    • その一方で「○○なんだろう」「○○だな」と自分の中で間違った結論を出して勝手にミスリードする事が時折ある。プレイヤーの意識との乖離から感情移入しにくい部分も。

エンディングの仕様

  • 内部処理でヒロインごとにポイントが設定されていて、個別エンディングの優先順位は「誰とEDを迎えるかの判定」が「グッドEDかどうかの判定」よりも先に行われる。内部ポイントが同値になった場合は優先順位によってエンディングが決定され、ゲームの背景にある事件と関係が深いヒロインほど順位が上となる。
    • 「それぞれのED条件を満たしたら重要なヒロインを優先する」という部分はまだ分からなくもない仕様なのだが、問題はグッドかノーマルかを考慮しないという部分。ノーマルED条件を満たした判定上位のヒロインAがいると、グッドED条件を満たしたヒロインBがいてもヒロインAのノーマルEDを迎えてしまう。
    • 「最終的に誰を選ぶか」といった選択肢などはなく*5、あくまでそこまでの行動でED分岐が行われる為、EDを迎えたくないヒロインには出来るだけ関わらないようにしないと、優先順位が上位の狙ってないヒロインのEDを迎えてしまう事も多い。
    • ED分岐は条件さえ満たせば他のヒロインの生死は関係ないので、EDを迎えたくないヒロインには心を鬼にしてわざと退場してもらうという手もある。
      • 但し、キャラの死亡によって消滅するイベントもあり、特に早い段階で危機に晒されるヒロインは後の展開への影響が比較的大きいため*6、その場合でも誰を見捨てて誰を助けるのかもまたよく考える必要がある。
    • エンディングを迎える条件自体も複雑で、ちょっとイベントを見逃したり別のイベントを起こしただけでフラグが折れる事もある。
      • 死亡する事でほとんどのEDフラグを消滅させてしまうヒロインもいれば、生死が当人以外のEDにまるで影響しないヒロインも居たりと、ここも格差を感じさせる。危機に晒される順番の関係があるので仕方なくもあるのだが。
      • その為、例えば「主人公とパートナー以外は死亡か行方不明になり、2人だけで脱出」というシチュエーションを演出しつつ個別EDを迎えようとしても、その組み合わせは限られてしまう。グッドEDとなると殆ど不可能である。

総評

恋愛ゲームとして見るとそのゲーム難易度や死亡時の描写などから下手するとトラウマを植えつけてしまう事もあるゲームだが、脱出ゲームとしての評価は高い。
閉鎖空間の雰囲気や、そこにちりばめられた死のトラップ、ヒロインの救出や館からの脱出など、脱出ゲームの名作としていまだに勧められる事も多い。
フラグ立ての煩雑具合は古典を上回るかもしれないが、サービスシーンも多く、現在では後述の通りリマスター版も発売されてプレイし易くなっている為、
ホラー的な要素やグロ描写が苦手でなければ、気になった人にはオススメしたい作品である。


その後の展開

  • 後に続編としてドリームキャストで『Revive ~蘇生~』が発売された。
    • シナリオの進行度合いがゲーム内時間の形で表示されるようになったが、暗号系の謎解きの増加やキャラ救出の制限時間の付加と、本作以上に難易度が上がっている。
  • 成年向けとしてノベライズされた。
    • ノベライズに当たりストーリー展開が変わっている。
  • 2018年4月26日、PSVとPS4でリマスター版が発売。
    • リマスターを手掛けたのは『EVE』や『DESIRE』のEl Dia。
      • El Diaの他のリマスター作品同様、イラストやキャラ絵はSS版を高解像度でリマスターしたものが用いられ、当時の雰囲気は残しつつ現代の観点で見ても遜色ない出来に仕上がっている。口パクも追加。
    • 未使用CGの追加や原作ライターによる加筆がある他、ヒント機能の追加や多彩なオプション項目の追加など、発売時期に合わせ遊びやすくする機能が追加されている。
      • SS版では時代的に搭載されていなかったクイックセーブ、スキップ、バックログと言った便利機能が追加され、プレイが格段に快適になった。
      • ヒント機能はヒロインに関わらない探索要素からヒロインごとのフラグまでヒントが表示される。多少曖昧な物から直接的な物まであり、ヒロインごとのフラグが分かれるシーンではヒントに「●●のことを考える」という形でヒロイン別のヒントまで表示される*7。このおかげで間違えて折ってしまいがちなフラグについてもサポートされており、かなり便利になった。
      • ヒロインを死なせた場合でも「●●を助けられなかった。あの時××していれば…」と、救出のためのヒントと死なせ方が分かり、次回に活かせる。
      • 不要な人の為に標準ではヒント機能はオフになっている。オンオフの切り替えもボタン一つで素早く可能。
    • エンディングもSS版ではエンディング1、エンディング2と分かり難かったが、各ヒロインのグッドエンドは「●●黄金エンド」、更に真相に迫るエンディングは「●●犯人対決エンド」と分かり易い括りになった*8
    • 追加イベントは特定条件を満たすと発生するようになっている。どれも短く、あくまでおまけ程度ではあるが登場人物のキャラクター性をより掘り下げるものとなっている。
      • ヒロイン達は勿論の事、「あの人物」にまでイベントが追加されている。しかもそのイベントの選択次第では…。
      • メインヒロインのグッドエンドはSS版の時点でもかなり際どい描写があったが、このリマスター版ではヒロイン候補全員を救出してからそのエンディングを迎えると…。
    • 2019年11月7日にNintendo Switch版もダウンロード専売で発売。
    • 2023年1月27日にWindows 10/11版もダウンロード専売で発売。

余談

  • シチュエーションを含め、エルフの『遺作』に多少近い。上記の通りキャラデザ担当が『遺作』に携わっていたこともあって、本作は「デコの『遺作』」とも呼ばれることも。

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最終更新:2023年02月06日 10:31
添付ファイル

*1 おまけCDが新たに追加。ゲーム内容は同じ。

*2 但し、エンディング自体に名前は無く、「エンディング1」「エンディング2」と数字が振られているのみ。

*3 極端な例だと、謎の襲撃者から命からがら逃れたばかりだと言うのに、平然と主人公を置いて1人で探索に向かうキャラが居たりする。図太いのか無神経なのか…。

*4 主人公(そうだ。○○の事を伝えて置かないと)→相手「じゃ、もう行くから」→主人公「あ!待って!…行っちゃった」というパターン。

*5 ED条件を満たしたヒロインが1人でも居ると、ED直前に生存ヒロインと会話できるシーンがあるが、この時点で既にEDは決まっており、他のヒロインとは本当に会話するだけ。

*6 関わりの深いヒロイン同士も基本的に影響が大きく、相方が死ぬとイベントの殆どが消滅するケースも多い。

*7 直接エレベーターで降りるか階段で降りるかでフラグが分かれる場合、「エレベーターが直ったんだから早く1階に戻ろう」「エレベーターは少し不安だから階段を探して1階に戻ろう」という感じで説明される。

*8 「犯人対決」とはあるものの、メインヒロインのルートは犯人に攫われたヒロインを助けて館を脱出するというもので、犯人が誰かは判明するが直接は対峙しない。