地球防衛軍3 PORTABLE
【ちきゅうぼうえいぐんすりー ぽーたぶる】
ジャンル
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3Dアクション・シューティング
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対応機種
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プレイステーション・ヴィータ
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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サンドロット クラインコンピュータエンタテインメント
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発売日
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2012年9月27日
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定価
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通常版:6,090円 ダブル入隊パック:7,329円
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判定
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良作
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ポイント
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ペイルウイング追加 追加が多いがバランス調整はかなり良好 ボリューム面でも文句なしの傑作に
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地球防衛軍シリーズ
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概要
SIMPLEシリーズの傑作『地球防衛軍』シリーズ第3作『地球防衛軍3』を、PSVに移植した作品。
『2PORTABLE』に続く携帯ゲーム機への移植作品で、移植に当たり様々な変更が加えられている。
『2PORTABLE』と同様に初回生産限定でソフト2本を同梱した『ダブル入隊パック』も7,329円で発売。こちらは一本あたり3,700円程度になる。
初回封入特典として本作で追加された武器のDLCコードがついている(入手しなくてもクリア可能で、武器取得率には影響なし)。
なお、初回封入特典は全てストーム隊の武器で、通常版とダブル入隊パックでも異なる武器になっている。
特徴
基本的なシステム面や評価点などの特徴は『地球防衛軍3』と同様のため、そちらを参考にしてもらいたい。
主な変更点
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特定の条件を満たすとペイルウイングが使用可能になる。
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本作の世界観に合わせてリデザインされており、使用武器は『EDF2P』に準じた調整になっている。同時にペイルウイング用の勲章も追加された
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新たな敵の登場
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『EDF2P』に引き続き黒蟻の強化版である通称「金蟻」や蜘蛛の強化版である通称「鎧蜘蛛」などが登場する。
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更に航空戦力に新型ガンシップが登場。妙に薄っぺらいフォルムで狙撃しにくく、猛スピードで飛ぶ上に範囲も広く攻撃力も高いレーザーを武器にするなかなかの難敵。
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ミッション追加
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『EDF3』のミッションは総数53だったが、本作は7追加され総数60となった。『EDF2P』のものを『EDF3』仕様にアレンジしたものや、完全新規ミッションなど様々。
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武器の追加・一部武器の仕様変更
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武器全体に「チタニアシリーズ」というものが追加された。チタニア社による武器という設定のこれらは見た目も性能面でも強いインパクトを残す。
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レーザー系統の武器が追加。リーチが短いが高い威力の「ヒートブラスター」、一発限りのスナイパーライフル「ノヴァバスター」など。
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スペシャルウェポンに味方の支援をするドローン系統の武器や敵の動きを止めるなど特殊な状態にする武器が追加。
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『EDF2P』におけるリバーサー系統のアシストツールも新たなジャンルとして追加された。また、アシストツールには防御力を強化する「ミニッツシールド」や乗り物を強化する「リミットブースター」も追加されている。
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味方隊員の調整
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味方隊員の攻撃力・体力が大幅に強化されている。特定ミッションでは最高難易度でも味方に任せるだけでほぼクリアできてしまうものもある。
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『EDF3』の頃から高難度では味方隊員の活用が鍵となっていたが、今回は更に重要になっている。
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強化されすぎて、稼ぎプレイなどで早めに退場願いたいときに逆に苦労することも。
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一方で「烈火」に登場するオメガチームは弱体化しており、雑魚を蹴散らすのは味方に任せて主力級とキャリアーを撃破すれば勝利確定……というわけにはいかなくなった。
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自爆の仕様変更
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こちらも『EDF2P』から引き継ぎ。自分や味方の攻撃で倒れた場合には倒れている間に無敵時間が無くなった。徹底的に自爆戦法をつぶしに来たと言える。
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更に敵の攻撃で吹っ飛んでいる間にC型爆弾を起爆して自爆するとちゃんと自爆のダメージが自分に入る。
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協力プレイが4人まで可能になった。
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『EDF2P』同様、他のプレイヤーが死亡した場合に近づいて自分の体力を分け与える事で蘇生させられる。
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回復アイテムのデザインが白地に赤十字から赤地に白十字に変更。
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360版の実績に相当するトロフィーがあるが、その種類も大幅に追加されている。
評価点
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『3』の評価点は言わずもがな。建物や巨大な無数の敵を吹き飛ばす爽快感、味方の追加による楽しさ等、『3』の長所を劣化させる事なく受け継いでいる。
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携帯機なので持ち運び可能になりプレイできる機会も増えた。
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『3』の最大の問題点の1つであった、価格に見合わないボリューム面の改善。
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ミッションの増加、武器の増加、トロフィーの増加、敵の増加により、ボリューム面は大幅に改善されている。
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特にプレイヤーから待ち望まれていたペイルウイングの追加が嬉しい。これにより『EDF2』にも匹敵するボリュームとなった。
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4人までの通信協力プレイの搭載。
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『EDF2P』のオンラインプレイは、PS3のアドホックパーティを利用した疑似的なものに過ぎなかったが、今回はハード単体でのオンライン協力プレイが可能になっている。
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これに伴い定型文チャットが可能になった。ミッションの状況に応じて合図を送ったり、ひたすらEDFコールしたり、無線に返答してみたりと楽しい。
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ミッション開始前には定型文だけでなくテキストチャットも可能。具体的な作戦を練る事ができる。
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協力プレイでは人数に応じて敵が強化されるため、オフラインプレイとは全く異なる戦略を練る必要がある。協力プレイ用装備の追加も相まって、共闘ゲームとしての需要も高まった。
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グラフィックについて。
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流石に『EDF3』から多少劣化しており、同時期の作品と比較すると劣るが、携帯機としては充分なクオリティ。
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ポリゴン数は減り、テクスチャも粗くなっているがビルの形状等は変化していないので、武器の仕様変化を考慮しなければ基本的にオリジナルと同じ戦法が使える。
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一部地底MAPは『2』同様の明るい色合いになっており非常に見やすくなっている。
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市街地マップでの倉庫の形状が変化してストーム隊では昇れなくなっているという変化はあるが、ゲームバランスには特に影響しない。
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追加された武器も好評である。
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ヒートブラスターシリーズは単発威力と連射性能と弾数により瞬間火力・総合火力こそ非常に高いものの、リーチが短く接近しないと当たらないうえ一度発射すると武器を切り替えない限り発射を続ける仕様、更にリロード不可能のため使いどころが絞られる武器となっている。それを差し引いても強力な武器であるため、高難度時の攻略が若干楽になっている。
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チタニアシリーズは背中に巨大なバックパックを背負うため重すぎて機動力が低下し、慣性もやけに働くようになるため動きづらくなるが性能自体は高い。
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武器自体の仕様も特徴的でロケットランチャーやミサイルランチャーは分裂弾を発射、アサルトライフルの「オートキャノン」は貫通する弾を出す。
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敵が強化されるオンライン協力プレイでは要となるミニッツシールドや、乗り物を強化するリミットブースターなど、戦略の幅を広げる武器も多い。
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リミットブースターを使ったベガルタや戦車は眼に見えて機動力が大きくアップする。ヘリコプターも反応速度が良くなり、最悪の操作性だったオリジナルの問題点にメスが入った。
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ゲームバランスについてもある程度の改善が施されている。
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『EDF2P』の反省か、金蟻や鎧蜘蛛は軒並み弱体化された。どちらも攻撃力・耐久力が低下しており、オフラインではライサンダーFで一撃で倒せるようになっている。
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セントリーガン系統は強すぎるという声があったのか弱体化された。基本的に設置数が1減少しているが、それでも運用を間違えなければ十分通用する。
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追加ミッションに『EDF2P』の「魔軍」に該当するミッションはなく、更にマップ変化もあって追加ミッションの最終「死地」はそれほどの難易度ではない。結局最難関は「烈火」となっている。
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ペイルウイングはレイピアのリーチと威力が弱体化。更に怪獣系統の敵は乗れる場所が殆どなくなりハメ殺しができなくなった。一方でフレイドマルやルオンノタルの存在によりレーザーランス系の価値は相対的に向上しており、範囲攻撃武器は『EDF2P』と同様の強化がされているので遠距離でもそこそこ戦えるようになっている。
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追加要素について『EDF2P』で批判が強かった部分の多くが改善されている。
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追加ミッションにも没音声の使い回しとはいえ専用会話や音声がちゃんと用意されている。味方も一部除きちゃんと出てくれる。
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追加ミッション用に新しいBGMが用意されているが、そちらもスタイリッシュでかっこいいと高評価。
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操作性も2本スティックがあるためエイムが楽になり、ボタン配置の都合でベガルタの一部武器がやや使いづらいことを除けば割と良好。これは『EDF2P』が酷過ぎただけだが。
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オンライン協力プレイでの各種難易度制覇でも特典武器を貰える。どうしてもクリアできないときには友達と協力する事でクリアという手も無いわけではない(ただ、協力プレイだと敵が強くなるが)。
問題点
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360版における問題点の殆どが改善されていない。『3』の記事も参考。
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マップの使い回し、処理落ち、アイテム回収の面倒さ、これらを許せるかどうかで価値が大きく変わるのは相変わらずである。
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またペイルウイング追加で完全制覇はやや面倒になった。『EDF2P』と同じく協力してても勲章が付くのはあくまで自分が操作したキャラのオンライン側のみである。
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一部武器のエフェクトが変化している。性能自体に変化はないが、若干地味になったため不満に感じる声も。
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ペイルウイングを出す条件がやや面倒。
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どの難易度でもいいので最終ステージをクリアすれば使用可能になる仕様であり、最低1回は全クリする必要がある。
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オンラインで最終ステージだけ参加しても可能だが、オンライン環境が無い場合は結局は1周するまで出せない事になる。
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陸戦兵しかいない『EDF3』での調整が元となっているため、長射程兵器が弱いペイルウイングにはキツイ局面も多い。高空にあるキャリアーや硬いヘクトル等。低難度では非常に楽だが、高難度だと逆に厳しくなるという『EDF2』の問題点を引き継いでいるとも言える。
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また、本シリーズには武器説明で表記されるスペックと実際のスペックが一致していないという状態がよく起こっているが、本作のペイルウイングの武器にはそのスペック詐欺がかなり多い。
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これについては賛否両論と言えるが、前述の通り、追加されたミッションがあるのに最難関のミッションが既存の「烈火」ということ。
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「死地」より「烈火」の方が難しいため、「最難関は最後のミッションの一つ前」というシリーズの法則が崩れてしまった。
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『EDF2P』の「魔軍」があまりにも鬼畜すぎたというのもあるが、やはり「烈火」を上回る難易度の新規ミッションを望む声もあった。
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オンラインは協力プレイ人数によって敵が強化されるが、その強化割合がハンパない。
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具体的に言えば、4人プレイだとHPが3倍、攻撃力が1.8倍にもなる。倒しにくい上により拍車が掛かったインフレ攻撃力でなぶり殺される事も多い。
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結果、元々の問題点である「高難度になるほど武器選択の幅が狭くなり、攻略に適したごく一部の高性能武器のみに絞られやすい」という問題点がより強調されたとも言える。
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無線・音声が使い回しのため演出面に一部齟齬が出る。
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本部に「恐ろしい男」呼ばわりされるペイルウイングはよくネタにされる。
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また、乗り物に近付くと「ストーム1、ベガルタを使え!」などと言われるがペイルウイングは乗り物を使用できない。
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『鎧蜘蛛』のミッションでは「待ち構えて殲滅しろ!」と言われるが、そのミッションは巣穴を破壊するのが目的なので待ち構えている限りはクリアできない。
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トロフィーの中には「バイクで敵500体を倒す」など非常に面倒でとんでもない内容のものがある。
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バイクの武装である機関銃は敵の体力が最も低いeasyだと初期装備アサルトライフルと同等の威力しかなく、しかもバックができない仕様や壁にぶつかっただけでダメージ・耐久力が低いことなどから最弱の雑魚敵である黒蟻を倒すのですら手間がかかる。
リバーサーとリミットブースターを携えて難易度イージーで稼げば達成できるが、通常プレイの中で解除することはまずないだろう。
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協力プレイ中は定型文でしか会話ができないので、定型文に無い状況だと連絡が難しい。増援を知らせる文章が無いので合図を先に考えて情報を共有しておく必要がある。
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また、数が多い故に定型文を1つ出すのに時間が掛かる。タッチパネルを利用したショートカット、そんなものはない。
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戦車やベガルタで巣穴に乗り上げるとフリーズするバグなどが確認されている。比較的回避しやすいのが救いか。
総評
相変わらず粗削りな内容に変わりはないが、オリジナル版の最大の問題点であったボリューム面が改善された事が極めて大きい。
特にペイルウイングとオンライン協力プレイの実装は、シリーズファンの誰もが待ち望んだ要素であろう。
更に追加要素について『EDF2P』ではやや不備があった部分も改善され、バランス面も少なからず手が加えられている。
移植元から劣化していると言える部分はグラフィックぐらいで、フルプライスでも十分なボリュームと完成度を得た本作は間違いなく良作と呼べる出来だろう。
余談
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定型文チャットの中に何故か「本部のためにー!」というものがある。使いどころが無さ過ぎるためか同様の「地球のためにー!」共々、『4』以降の定型文には採用されていない。
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なお、元ネタは同社開発の『斬撃のREGINLEIV』の「オーディンのためにー!」などのセリフだと思われるが、『3』の本部のファンからの扱いはというと360版の記事に記載している通りであるためネタにされている。
その後の展開
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2021年10月14日に『地球防衛軍3 for Nintendo Switch』がSwitchで発売された。
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事前情報では「ペイルウイングは特定の条件を満たすことで登場します」と記載があったが、その条件が「ゲームの購入」に変更された旨が発売日当日に告知された。
条件とは一体…。
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なお、告知PVはあまりにも斜め上な声優の無駄遣いでユーザーの腹筋にダメージを与えてくるため、ゲーマーは必見である。
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『地球防衛軍3 for Nintendo Switch』告知PV
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最終更新:2021年10月14日 22:00