修正依頼』が出ています。加筆できる方は修正をお願いします。
『リトルバスターズ! ~Refrain~ 西園美魚密室殺人事件!?』に追記願います。 『エクスタシー』について、詳しい評価点、問題点の追記を願います。


このページでは『リトルバスターズ!』と『リトルバスターズ! エクスタシー』及びCS移植版、TVアニメBD/DVD第一巻初回特典ゲーム『リトルバスターズ! ~Refrain~ 西園美魚密室殺人事件!?』を扱っています。



リトルバスターズ!

【りとるばすたーず】

リトルバスターズ! エクスタシー

【りとるばすたーず えくすたしー】

ジャンル 恋愛アドベンチャーゲーム



対応機種 Windows 2000/XP/Vista
プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
プレイステーション・ヴィータ
プレイステーション3
Nintendo Switch
発売・開発元 【Win】Key
【その他】プロトタイプ
発売日*1 【Win】2007年9月28日
【Win(18禁)】2008年9月26日
【Win(PE*2)】2012年11月30日
【PS2】2009年12月24日
【PSP】2010年11月25日
【PSV】2012年3月22日
【PS3】2013年3月20日
【Steam】2017年11月1日
【Switch】2020年4月23日
定価 【Win】8,800円
【PS2】6,400円
【PSP/PSV】5,800円
【PS3】6,200円
【Steam】3,480円
【Switch】5,500円(全て税別)
レーティング 18禁 アダルトゲーム
無印 ソフ倫:一般ソフト
CS機 CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント お祭り騒ぎの楽しい日常
Refrainで評価を大きく上げた
Key作品

概要

そのジャンルでは業界でも大手メーカーである株式会社ビジュアルアーツのブランド「Key」の第6作及び第7作の恋愛アドベンチャーゲーム。
第6作『リトルバスターズ!』(通称:無印)を18禁化して昇格・追加ヒロインを加えてキャストを一新したものが第7作『リトルバスターズ! エクスタシー』(通称:エクスタシー、EX)である。
関連作品として、本作のヒロインの1人である能美クドリャフカに焦点を当てたスピンオフ作品『クドわふたー』が発売されている。
これまでメインの原画担当だった樋上いたる氏に加えて、グラフィック担当だったNa-Ga氏もキャラクターデザイン・原画を担当した。
シナリオ担当は、麻枝准(企画担当)・都乃河勇人・城桐央・樫田レオの各氏。麻枝氏曰く「都乃河氏の育成を兼ねて制作された作品」ともこと。


あらすじ

主人公の直枝理樹は、幼馴染である棗恭介、その妹である鈴、同じく幼馴染の井ノ原真人、宮沢謙吾と共に全寮制の学校に通っていた。
彼等は昔、何かを悪者に見立ててそれを成敗する正義の味方「リトルバスターズ」を結成し、色々な事をしてきた。
両親と死別し塞ぎこんでいた理樹にとって、自らを外に連れ出し広い世界を教えてくれたその存在は大きかった。
時に無茶苦茶で考えられない行動をする彼等に巻き込まれながらもそのことを楽しく感じて彼らと一緒にいた理樹は、「ずっとこの時が続いたらいいのに」と考えていた。

ある日、3年生である恭介が就職活動から帰って来た。理樹は「リトルバスターズ」の4人に、「昔みたいに何かしよう」と持ちかける。
それを聞いたリーダー・恭介は近くに置いてあったボールを拾い上げ、宣言するのだった。

「野球チームを作ろう。…チーム名は、リトルバスターズだ!」

キャラクター

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  • 直枝理樹
    • 主人公。目立った特徴こそないが、中性的な顔立ちでやたらとツッコミ上手。
    • 温厚でお人好しな性格のため弱気に見られがちだが、いざという時は行動を起こせる芯の強さは持っている。悪意はないが、時折、辛口な意見も言う事もある。
    • ナルコレプシーに罹患しており、作中では突然気を失う事も多い。
    • 幼馴染の野郎3人からはやけに可愛がられており、嫌ったと思われるとみんなヘコむ。また、幼少時に助けられた経験から特に恭介との仲の良さは群を抜いている。
    • 沙耶ルートでは(良い意味で)狂った選択肢が多く、その際は「馬鹿理樹」と呼ばれる。
  • 棗鈴
    • ヒロイン。大きなポニーテールと首につけた鈴がチャームポイント。
    • 容姿は端正で異性からの人気は高いが、人見知りが激しくかつ天然で口下手なため、リトルバスターズの初期メンバー4人以外には心を開かず、クラスの女子からはウケが悪い。
    • 猫に並々ならぬ愛情があり、多くの猫をしつけている。ネーミングセンスは悪く、著名人の名前をそのまま充てている。
    • 身のこなしが高いためハイキックで真人のボケにツッコむ事も多い。野球においても才能を持っているが、最初は恐ろしいまでのノーコン。
    • メインヒロインのためか、3つルートが存在する。ただし、ハッピーエンドといえるのはRefrainのみ。
  • 棗恭介
    • リトルバスターズの現リーダーで、鈴の実兄。本作のヒロイン勢を押しのけてトップクラスの人気を誇る。
      • その所以は担当声優(無印は緑川光/EXは氷河流)の好演もあるが、なんといっても突拍子のない行動や数多くの名言(迷言)による。
    • 他のメンバーから慕われており、頭の回転も速いが、本筋の野球チームを結成する事以外にも大人数を巻き込んだ遊びを計画する、理樹に嫌われたと勘違いすると人一倍寂しそうにする、徒歩で就活をするなどの奇行が多い残念なイケメン。
  • 井ノ原真人
    • 理樹の幼馴染でルームメイト。筋肉バカ。
    • 日頃から筋肉を鍛えており、何かを語る時も筋肉を交え、何故か彼の筋肉ENDもある。
    • そのため騙されやすかったり、考え事をすると頭痛がしたりなど勉強面は芳しくないが、天然なだけで要所で勘の鋭さを見せる。
    • 本人に自覚は無いが言いがかりが特技であり主人公の理樹曰く「お金を払ってでも見たくなる」らしい。
    • 本作でも随一のボケ役にしてギャグキャラだが、ツッコミ役の一面もある。
  • 宮沢謙吾
    • 理樹の幼馴染で剣道部員。クールかつシニカルな性格を装っているが、本質は直情的である。
    • 剣道部のため野球には参加しないが、リトルバスターズの活動には必ず参加している。
    • 渋い外見と武士のような性格により、女生徒からの人気は恭介以上だが、恋愛に無関心なため佐々美の想いには全く気付いていない。
    • 一見すると落ち着いたように見えるが真人とは別ベクトルの馬鹿であり、とあるルートを通るとそれが随所に現れるようになる。
    • 制服を着用しておらず、常に剣道着を着てないと気が済まない変な嗜好を持つ。
  • 神北小毬
    • 天然気味でぽや~んとした少女。お菓子が大好物。
    • 独特のイントネーションを持つ(「大丈↑夫↓」「おっ↑けー↓ですよ」など)。
    • 学園の屋上が好きであり、わざわざ忍び込んで昼食を摂ったりしている。
    • お菓子が好物で童話を作るのが好きなど、全体的に幼げ。その割には作中の女子の中でスタイルはいい方。
    • 当初は運動能力は低いと評されており初期値もとても低いのだが、学習能力が高い設定があり、成長率が抜群に高い。
  • 三枝葉留佳
    • お調子者の問題児。騒がし好きの明るい性格、悪くいえばトラブルメーカー。
    • 校内ではトラブルメーカーのため、風紀委員によく目を付けられており、風紀委員長の二木佳奈多は天敵。
    • 無印のヒロインでは唯一理樹とは別クラスだが理樹のクラスの教室に居ることが多い。
  • 能美クドリャフカ
    • 外見がとても幼いロシア人のクォーター。犬のストレルカとヴェルカを飼っている。
    • 母親は宇宙飛行士であり、仕事柄、世界中を飛び回るため多重国籍。
    • 外見に反して英語が苦手だったりかなりの日本贔屓など、そのギャップに本人も少々悩んでいる。
    • あまりの人気に、彼女がメインヒロインである『クドわふたー』が発売された。ロリコン大勝利。
      また、それよりも前だが、本作のラジオの後継番組にクド役の鈴田美夜子氏が新規参戦した。ロリコン大(ry
      またまた、アニメ版のラジオのメインパーソナリティに、新たにクド役に抜擢された若林直美氏が初回から出演している。ロリコn(ry
    • 2010年のAmazon主催の美少女キャラ人気投票では堂々の一位を獲得。圧倒的じゃないか、我がクドは。
  • 来ヶ谷唯湖
    • クールな性格で頭脳明晰、運動神経抜群、スタイル抜群、かつ武芸者である。葉留佳からは「姉御」と呼ばれ慕われている。
    • ヒロインを愛でて萌えるのが趣味で、中性的な理樹もその対象に入る。
    • ハーフのためエリザベスというミドルネームを持っているため名前で呼ばれるのが苦手で人には苗字で呼ばせている。
    • 唯一バッドエンドらしきものがなく、エンドが2つある。
  • 西園美魚
    • 物静かな性格の文学少女。
    • 人見知りする方ではないものの、警戒心が強い。意外とノリは良く、人形劇イベントでは見事な演技を見せる。
    • 野球には参加せず、マネージャー扱い。
    • 存在感が薄く、クラスメイトからはいてもいなくても変わらないと言われる事も多い。

以下は『EX』からの昇格・追加ヒロイン。

  • 二木佳奈多
    • 昇格ヒロイン。風紀委員長。人を見下すような鼻にかけた口ぶりが特徴。
    • 友人の女子寮長(あーちゃん先輩)に付けられた「かなちゃん」というあだ名が苦手で、言われるたびにいちいち拒否する。
    • 『クドわふたー』ではクド以外のヒロインでは唯一のレギュラーとして続投しており、評判の悪かった立ち絵も一新されている。
  • 笹瀬川佐々美
    • 昇格ヒロイン。ソフトボール部のエースで4番。お嬢様口調でハイテンション。
    • 謙吾に惚れているが、謙吾が自身の恋愛に無関心な上に佐々美自身も非常に奥手なので成就することはない。
    • 自覚なしに自分をバカにしてきたり、名前をよく間違えてくる鈴が宿敵だが、名前に関しては当の自身や他のキャラクターも間違えたりしている。
    • 部員から慕われており、そのうち3人はビジュアル付きで登場する。
  • 朱鷺戸沙耶
    • 追加ヒロイン。普段はふつうの生徒だが、裏の顔は凄腕のスパイ。
    • 見栄っ張りな性格だが、失態を見せると自虐を早口でまくし立てる。
    • 彼女のルートは独特な形式であり、追加ヒロインなのもあって他のキャラとの関わりが少ない。

ミニゲーム

野球ゲーム

  • あらすじにもあるように、野球をするのがこのゲームにおけるメイン要素である。ミニゲームでの練習とそこでの能力上昇を生かしての試合(全オート)がある。
    • これまでのKey作品では大なり小なり野球ネタを仕込み続けてきたが*3、今回はある意味集大成であると言える。
  • 練習のミニゲームはいわゆる「自由な草野球」というスタイル。プレイヤー側が操作するのはバッターの理樹固定で、ピッチャーの鈴が投げる球に合わせてタイミングよくクリックすることでバットをスイングし、ひたすら投球を打ち返すことに終始する。
  • ボールを打ち返した先にキャラが居るとそのキャラのステータスが微増する。これを繰り返してメンバーのステータスを強化し、共通ルート後半に行われる本番の試合で勝利することが目標となる。
  • 連続で打ち返すことでコンボが成立する。守備練習しているキャラに当てるとそのまま理樹の方に返球してくれるため、その球をまた打ち返して…と繰り返すことでコンボを稼ぐことも可能。
  • コンボ数やどのキャラに当てるかで練習後の能力アップに影響が出る。各キャラの挙動にも設定に応じた様々な特徴があり、練習や試合に反映されている。シナリオが進むと練習風景も変わっていく。
    • 必須ではないが、鈴の猫に当てることで鈴の逆鱗に触れ、変化球を取得することもある。
  • 練習マップ・キャラは2Dのドット絵だが、これがやけにクオリティが高い。
  • 本番の試合は練習のようなミニゲーム形式ではなく通常のアドベンチャーパート画面でオートで展開される。練習で鍛え上げたステータスによって行動の成否が変化するため、これまでの練習成果が勝利のカギを握る。
  • 試合の勝敗そのものはその後の展開に関わってくることはない。しっかりミニゲームをこなして練習していれば勝っても負けてもドラマチックな展開で締めくくられる。
    • 練習のミニゲームはスキップすることが可能。その場合は試合シーンも省略され、「そりゃ負けるよね」といった形であっさり終わってしまう。

バトルランキング

  • 上記のキャラクターとバトルを行い、強さでランク付けをする。下位からの挑戦は必ず受けなければならない。
  • ギャラリーが放り投げた武器をランダムに選び、それでターン制バトルに突入する。
    • これらは全自動で、プレイヤーは黙って見守るしかない。
  • 勝利すると相手に屈辱的な称号を贈ることができる。負けると自分が惨めな称号をつけられる。
  • 一度最下位に落ちてから再度一位に浮上すると…。

ちなみに、上記2つのミニゲームは「能力アップ」がキモであり、これらが上下するアイテム*4もイベントで入手できる。
種類は多数にのぼり、入手するまでの過程も楽しめる。

配膳ゲーム

  • 人員不足の食堂の配膳をお手伝い。学生たちの注文に応じて的確にメニューを選択して、制限時間内に沢山の注文を捌くミニゲーム。
    • 物凄い早さで注文が入ってくるため初見は呆気にとられて何もできないまま終わりがち。
  • 結果に応じて終了時の鈴のひとことコメントが変わるだけのシンプルなゲームだが、最高評価を得るためには相当な練習が必要。トロフィーの存在する機種では鬼門となりえる。

射撃ゲーム

  • 沙耶ルートのみで出来る。的に向かってマウスをクリックする。
  • 途中、どうやっても勝ちようがない相手が出現するが、しばらく攻撃を受けると…?
    • ちなみに条件が揃うと本来勝てない敵にも勝ててしまう(バグではなく仕様)。

ダンジョン探索

  • 同じく沙耶ルートのみ。ウィザードリィのようにダンジョンを探検するモード。ところどころチェックポイントがあり、その際はちょっとしたシナリオも用意されている。
  • また、探索要素を使った謎解きもあるため、単に歩いてゴールを目指すというわけにはいかない。
  • 他にも、間違った部屋に入る → 沙耶に指摘される → また同じ部屋に入る → さっきとは違った(悪くなったともいう)沙耶の指摘が発生する → またまた同じ部屋に入る → 以下略…というお馬鹿な攻略も可能。必要ではないが『MOON.』の様に掛け合いがしっかり用意されている。
  • PS3版では3D描画となり、臨場感がアップ。

評価点

シナリオ・演出

  • Keyのお家芸である楽しい日常シーンや音楽を用いた感動させる演出は本作でも健在。
  • 本作の最重要の売りポイントといっても過言ではなく、ほぼ全ての主要キャラがプレイヤーを泣かせ、腹筋を崩壊させてくれること請け合い。
  • この手のゲームでは主人公の影が薄くなるというデメリットがあるが、理樹もそれと同じ水準ではっちゃけている(特に真人関や沙耶関連)。
  • 背景に関しては『AIR』以来、高評価が続いている。
  • 『EX』追加キャラの沙耶は非常に人気が高く、Key10周年記念に行われた人気投票ではリトバスキャラで1位である。
    • このため沙耶シナリオは駄目だが沙耶は好き、という人もいる。また最初に書いた通り「人を選ぶ」のであり、Keyのシナリオライターの中心である麻枝氏が執筆している事もあり高い評価を下しているファンが多い。
  • ちなみに、Key20周年記念の人気投票では棗恭介が1位に輝いた。ランキングはこちら。

最終シナリオ - Refrain -

  • EX版の追加キャラである佳奈多・佐々美・沙耶の3人を除く全てのキャラのルートを攻略することで到達する1つの結末。いわゆるトゥルーENDであり、このルートが本作最大の見所。
    • ギャグの多い日常から一変したシリアスの展開は多くのプレイヤーを魅了した。
+ 物語の根幹に関わる重大なネタバレ注意
  • 本作の舞台は恭介を中心とするリトルバスターズのメンバー*5が形成した「1学期を永遠に繰り返す虚構世界」である。
    • 現実の世界は1学期の少し後の時間軸であり、理樹たちの修学旅行の道中で発生したバス事故により、理樹と鈴以外のメンバーの死が不可避な状況の真っただ中にある。
    • 生死の境を彷徨う恭介たちはこのループする世界を形成し、生き延びるであろう2人に「自分達だけが生き残ってしまったという現実に絶望しない強さ」を持たせようとしたのである。
    • つまりRefrain以外のシナリオ(共通ルートから繋がるシナリオ)は「恭介がリセットを繰り返した世界」であり、メンバー以外の登場人物や風景に至るまで彼らが作り出した虚構の存在にすぎない。
      • ちなみに、虚構世界の中での各キャラがこの事実を覚えているか否かはキャラによってまちまち。
    • 全ての個別ルートを経た後に遊ぶことができるRefrainこそが本当の意味での恭介の試練である。
  • これまでのドタバタ学園ギャグとは打って変わって陰鬱かつシビアな展開がつくため、プレイヤーは大いに驚くことになる。

ミニゲーム

  • アドベンチャーゲームとしては異例なほど気合が入っており、単体で見ても非常に楽しめる作りになっている。
    • また、シナリオにうまく組み込むこともできており、話を進める上でミニゲームの存在があまりストレスにならない。
      • シナリオ上強制ではないため、面倒な場合はスキップしても問題が無く、融通も効いている。

楽曲・BGM

  • 場面に合った名曲・良曲が多い。
    • ただし、本作のBGMの多くは外注しているため、外注頼みという点では不満を述べられることも多い。
    • また、Keyの作曲家の1人である戸越まごめ氏が本作の制作中に退社したため、戸越氏の関わった曲が極めて少ないことも残念に思われるところではある。
      • 美魚のテーマの「光に寄せて」などは特に人気高め。

評価点(EX)

追加シナリオ

  • 新たに佳奈多・佐々美・沙耶の3人が攻略可能となったが、いずれもシナリオの評価は高い。
    • 佳奈多ルートは無印の葉留佳ルートで語られた姉妹の物語をより掘り下げた内容。葉留佳ルートで評価の高かった重厚な設定に基づく生々しい描写の数々は健在で読みごたえがあり、クライマックスは本作ならではのカタルシス溢れる大胆な展開を迎える。
    • 佐々美ルートはかなりベタな動物ネタであり、彼女がヒロインである意義がやや薄めではあるものの、都乃河氏の軽妙でコミカルなテキストは引き込まれやすく、この手のシナリオで抑えるべきツボは抑えているためしっかり感動させてくれる。
    • 麻枝氏執筆の沙耶ルートは他ヒロインのルートとはかなり毛色の違う構成ながら、ギャグとシリアスの緩急に秀でた氏の持ち味が活きるテキスト・本作の設定を別角度から活かした展開が調和した完成度の高い一本であり、(テイストの好みは分かがちなものの)シナリオ・キャラ共にKey作品全体で見ても非常に高い人気を誇っている。

賛否両論点

「世界の秘密」を前提とした個別ルートのシナリオ

  • 上記項目の格納に含まれるネタバレを含むため詳細は伏せるが、本作の個別ルートのシナリオはいずれも世界観に大きく関わるとある重要な設定を前提とした内容となっている。
    • シナリオ中はこの世界観・設定を活かした展開や描写・Refrainへの伏線があちこちに散りばめられているのだが、プレイヤーがこの設定を理解するのはRefrainに到達してから(=全ての個別ルートを攻略してから)となるため、初見では意味を理解できない要素が非常に多い。
      • 特にクドリャフカ・来ヶ谷のシナリオは、クライマックスの彼女らの独白の大部分が初見プレイヤーにはほぼ意味不明な内容であり、感動どころか困惑必至である。
    • 発売当時の本作が「Refrainは面白いけど個別ルートがいまひとつ」という評価をされがちだったのはこれによるところが大きい。全てが分かってから見ればよく練られたシナリオであっても、初見では「抽象的で意味が分からない」「Keyお得意の超展開か」と見られてしまう。
      • 本作を隅々まで楽しむにはRefrainクリア後に個別ルートを再度プレイして読み返してみることが推奨される。一部のルートはRefrainの攻略後に追加のテキストが存在するものも存在する。
  • なお、単体でも一本の美少女ゲームのシナリオとして完成度が高い葉留佳ルート・美魚ルートは比較的評価が高め。

癖の強いテキスト・シナリオ

  • シナリオを重視するゲームの常であるが、癖の強いシナリオが多いため、人を選ぶ一面があることは否定できない。
    • 特に沙耶ルートは常軌を逸している。良く言えば一線を画す、悪く言えば露骨な後付け設定(理樹と沙耶の関係等)である。
    • また、沙耶ルートの舞台や設定は他のルートのものと大幅に異なっている*6ため、羽目を外しすぎた暴走悪ノリイベントと揶揄されることも少なくない。
  • その一方で無印で語られていた設定を上手く生かしている部分も多く、ただの後付けではない。
    • また、沙耶ルートのミニゲームは、草野球やバトルランキングに比べるとただのクリックゲーであり、周回プレイ前提だとどうしても作業になりやすい。
      • 難易度設定はできるが、初回版だとパッチをあてなければならない。

賛否両論点(EX)

HシーンのBGMがネタに走っている

  • 本作のHシーンのBGM『Sha La La Ecstasy』は何を思ったか「シャラララララフゥ~~ワァ~~~」「エクスタシ~~ エクスタシ~~ シャ~~~ラ~ラ~エ~~クスタシィ~~~」などというコーラス*7がバックで流れる正気を疑うBGM。
    • 発売当時のネットではファンの間で(ネタ的な意味では)大いにウケたものの、当然ながらまともにシーンを楽しむ上では気が散って仕方がない。
    • そもそも本作のHシーンは重めの個別シナリオの最中に挿入されるものも多く、シナリオの雰囲気がぶち壊しである。

問題点

個別ルートが長い

  • 選択肢が多く、狙ったキャラのルートに入るのも一苦労。
    • さらにどのルートもそこそこ長い。
    • ほぼ全ルートを攻略しないと「Refrain」ルートを見ることはできない。
    • 先述の個別シナリオの構成の癖の強さもあり、個別ルートにハマれず「Refrain」までにダレてしまったプレイヤーもいる。

グラフィック

  • 元々原画の評価は賛否両論なKeyだが、本作は原画が二名体制で安定感が乏しい上に塗りが統一されていないため、同一人物でも見た目がかなり違って見えることがある。補足すると質が悪い訳では無い。
    • 特に樋上氏が担当したキャラではそれが顕著であり、樋上氏の前作『CLANNAD』や本作のスピンオフ作品『クドわふたー』と比べるとさすがに看過できないという意見も多い。

シナリオ

+ シナリオ全体のテーマについて(ネタバレ)
  • 本作のテーマは恭介に依存するばかりであった理樹が1人で生きていける強さを身につけることなのだが、最後の最後では結局恭介ありきの展開になってしまっている。
    • さらに理樹に「やっぱり恭介がいなきゃ」などと言わせており、「テーマを否定している」というような批判がある。
    • 補足すると理樹の発言はあくまで「恭介がいないと遊びが面白くない」という趣旨の発言のため、理樹の成長を無かったことにしているわけではない。
    • 理樹の成長とは恭介への依存を脱却することで面白い遊びを提案することではないため。また、恭介が遊びの天才なことも関係している。
    • 最終シナリオであるRefrainは主に麻枝氏が執筆しているのだが、上記の場面(助かった皆が教室で談笑している場面)のみ都乃河氏が執筆している。
    • 都乃河氏もこの点は気になっていたのか、後に氏が執筆した後日談のSSや佐々美シナリオ(本編より後の話)では理樹の成長をちゃんと書いている。

キャラクター

  • 複数のライターが執筆している関係上、ライターによって性格や設定が若干ブレている。多少のブレ具合はこの手の体制ならむしろ当然なのだが、葉留佳と美魚は共通ルートと個別ルートではかなり性格が違う。
    • 葉留佳は事情によりかなりギスギスした性格だが、共通ルートでは人に迷惑をかける明るいお調子者になっている。
      • これはとある出来事がきっかけで表面化するのだが、それがED間際まで解決されないのと、仲間には元々友好的なのが原因なので矛盾という程のものではない。
    • 美魚は本来真面目ゆえに時々天然ボケをやらかすようなキャラだが、共通ルートでは普通に珍妙な言動や毒舌が見受けられ*8、やたらBLネタを繰り返すというキャラになっている。共通ルート全体の雰囲気もあり、「ノリが二次創作」という批判もある。
    • 共通ルートの大部分を担当したのは都乃河氏だが、葉留佳と美魚のキャラが変になっているのは氏も気付いていたようで、EXのビジュアルファンブックではそのことに触れている。ただ共通ルートの評価も概ね良いのと個別シナリオも共通ルートあってのものなので批判もあるという程度である。
  • 来ヶ谷関連。
    • 一言でいえば完璧超人的キャラ。そのポジションにあるのは恭介も同じなのだが、彼はそのことがシナリオでも非常に重要であるし、普段は醜態も目立つためバランスがとれている。
    • 対して来ヶ谷は恭介のように場をひっかきまわすが醜態を晒したりはしない、完璧すぎる完璧さが鼻につきやすい。
      • ただし、これは彼女の生い立ちやシナリオに大きく影響していることなので無駄な設定ではない。
    • また彼女のルートは悪い訳ではないものの、結末が明らかに説明不足で分かり辛いものとなっている。EX版以降で追加されている佐々美シナリオで若干補完されているので分かりやすくなった。

問題点(EX)

追加部分のボイスの音質が悪い

  • 録音環境が無印と違ったのか、EX新録の部分のボイスは無印部分と比べると籠ったような低い音質となってしまっている。
    • 特に「無印時代から存在するボイス」と「EX新録のボイス」が混在する共通ルート部分ではこの2つの音質が頻繁に切り替わるため、非常に違和感が大きい。
    • 低品質で統一されるEX追加シナリオに入ってしまえばこの違和感は軽減されるのだが、そもそも新録なのに音質が劣化していること自体が問題である。

一部のキャラのHシーンがBADエンド限定

  • とある2人のキャラはHシーンがBADエンドの選択肢を選んだ場合限定となる。
    • このうち片方のキャラはシナリオの展開的には当然なものであるため問題は無いのだが、もう一方は本作における重要人物でありメインヒロインの1人である。
    • BADのHシーンでの彼女は尋常な精神状態ではないため、まともな状態でのHシーンを見ることができないのも批判されがちな点。
    • 一応、Refrainの完結まで読めば彼女の立場的に理樹としなかったことは納得できないこともないのだが、それでも見てみたかったというのがプレイヤー心というものだろう。

総評

作中以外の要素で批判要素もあるが、大きく評価を損なうものではなく名作である。
キャラクターややりこみ要素はしっかり作られており、笑いや日常のイベントに重点を置くプレイヤーにはこれ以上ない良作ゲームになりえる。
現に、ニコニコ動画ではキャラクターが個別に大百科に登録されていたり、多数のMADや固有タグが存在していることから、本作のファンは非常に多いことが分かる。
18禁に抵抗がある人にはWin全年齢対象版やPS2/PSP/PSV/PS3版があるのでそちらからでも充分楽しめるだろう。


余談

  • エクスタシー版
    • 18禁化に踏み切ったこと*9、昇格・追加ヒロインを加えたこと、無印ではカットされたエピソードの追加や補完された要素があること*10、それにより無印の価値が低下したこと等が理由で非難するファンもいた。「完全版商法」と解釈して反発を示すファンも多かった*11
    • ただし、こういった意見が絶対というわけではなく、追加要素を好意的に受け入れているファンも多い。特にアンソロジーコミックの「えくすたちっくアンソロジー」*12はEX発売から4年以上経過し、アニメ放映も終了した後の2013年11月まで新刊が刊行され続けていたことを鑑みれば一定以上の人気を獲得しているのは間違いないだろう。
    • ちなみに、上述の『Sha La La Ecstasy』を意識したと思われるBGMが後の『Summer Pockets』で使われている。
  • バージョン数が多い。
    • 無印版とそれ以外のバージョンには差こそあるものの、基本的にはEX準拠の移植で追加要素は殆どないのでいわゆる曲芸商法ではない。どれか1つを購入すれば事足りる。
      • なお、アダルト作品はエクスタシーのみである。
    • 2017年にはSteamで『Little Busters! English Edition』が発売された。日本語への切り替えも可能。
  • 歴代のKey作品はアニメ化されるのが常であったが、本作は広いメディア展開をしているものの、シナリオ構成の関係で全てのルートを1本に折衷するのが難しいとされ、アニメ化に向かないという声もあった。
    しかし、2012年にようやくアニメ化が発表された。制作はアニメファンの間で評判の良くないJ.C.STAFF*13で、放映前はファンの不安が大きかったが、概ね問題なく終わった*14
    • 余談だがアニメでは野球のチーム編成に長く悩んだ割にはなんだこれ?と言わざるを得ない布陣になっている。
  • 本作のラジオである『ナツメブラザーズ!』及び『ナツメブラザーズ!(21)』は長期のラジオ収録を行っていた。ゲーム内容に関するネタバレは少ないので、一度聴いてみるのもいいだろう。
    • 徐々にぶっ壊れていく鈴田美夜子氏、おっぱいマイスターの民安ともえ氏(理樹・鈴・佐々美役)、常にマイペースな緑川光氏のトークが見物。
      アニメ版準拠である『リトルバスターズ!R』も放映されている。MCは鈴田美夜子氏から若林直美氏へ変更となっているが…まぁその辺の事情は察して頂きたい。

リトルバスターズ! ~Refrain~ 西園美魚密室殺人事件!?

【りとるばすたーず りふれいん にしぞのみおみっしつさつじんじけん】

ジャンル アドベンチャー
※左下のディスク
対応機種 あそBD*15
メディア BD-Video 1枚
発売元 Warner Bros. Home Entertainment
開発元 Key
発売日 2014年1月29日
定価 BD版:9,400円
DVD版:8,400円(共に税別)
備考 TVアニメBD/DVD第一巻初回特典
判定 なし

概要(西園)

TVアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』のBD/DVDの第一巻初回特典のゲーム。
原作で美魚のシナリオを担当した樫田レオ氏が本編で使いたかったネタの一つを使ったシナリオで、
主役は理樹と美魚ではあるが推理遊びを通した『リトバス』ならではの「みんなでワイワイする話」になっている。
あそBDゲームなので若干不便ではあるが、おまけとしては十分作りこまれている作品である。


あらすじ(西園)

「理樹、大変だ」

恭介の顔つきは、いつになく真剣だった。 西園美魚は──眠るように力なく、そこにいた。 赤い、赤い血が、床にまで流れていた。

「そう、密室殺人です」

目の前の死体?が、目を開いて、しゃべった。 いや、しゃべった以上、それは死体ではないんだけど……。

「いかにして密室が作られたのか、その謎を解くんだ! ミッション、スタートだ!」

僕が探偵役? あまり、自信は無い…

(公式サイトより引用)


システム(西園)

原作と同じく一般的なADVで、多少の選択肢もあるがシナリオ(SS程度の規模)を読み進めることが主眼の作品。
GUIは原作準拠のものだが原作にあった機能が一部削除されている。
作中のBGMは原作から流用している。
操作デバイスはBDリモコンかゲームコントローラーを前提としている為、PCのBDプレイヤーの場合は操作が難しい場合がある。


キャラクター(西園)

リトルバスターズ!』の設定に準拠している。
主役は以下の3人だが、他キャラも出番の量こそバラバラだが登場する。
(これ以上は推理物であることと、本作の『説明』や『紹介』と言うよりはネタバレを含む本作や原作の『解説』になってしまう為、省略しています。)
ちなみに理樹を除いてフルボイス。

  • 直枝理樹
    • 主人公。突然『探偵役』として巻き込まれる。
    • 本作でもツッコミが冴え渡っている。
  • 西園美魚
    • 本作のヒロイン*16。『被害者役』を担当。
    • 本好きで佇まいも大人しいが、腐女子だったりかなり茶目っ気に溢れた性格をしていたりする。
  • 棗恭介
    • 理樹の頼れる兄貴分。『犯人役』を担当。
    • 頼りになるが、『何でも楽しく』がモットーなので突拍子の無い行動も多い。結構な負けず嫌いだったりもする。

評価点(西園)

  • 一おまけとしては声付きのシナリオ書き下ろしで力が入っている。
    • 単純な読み物としても推理物としても、決して本格的なものではないが気楽に読み進める分には意表をついている、十分面白い作品になっている。
    • 原作では遊びの天才である恭介が遊びを提案することが大半だったが、本作は珍しく美魚主導の遊びである。
  • 美魚以外のリトバスの登場人物の特徴も活かされている。
    • 主要人物以外の登場の仕方や発言は人物設定に即していて、おまけと言っても作品の雰囲気を損なうものにはなっていない。
+ ネタバレ
  • 推理遊びのそこかしこに美魚自身の生い立ちに関することも絡めている。
    • あくまで遊びであって特別な理由があって始めたわけではないようだが、自身でそれも影響しているのではと考えている。

問題点(西園)

  • セーブやバックログ等、不便ではない程度に機能は揃っているものの充実しているわけではない。
  • あそBD作品なのでレスポンスが悪い(特にシステム周り)。
  • あくまでおまけの作品。美魚と『リトルバスターズ!』の補間という位置付けを超えた作品ではない。

総評(西園)

リトバスのおまけにして推理物の短編でもあるが、あらすじからも推測できる通り、正しくは推理を主眼とした遊びの話である。
シナリオライターの樫田レオ氏と、作中で企画・演出を担当した美魚がミステリ好きということもあって、良くも悪くも捻くれた話となっている。
原作ありきでしかも短編程度のボリュームなので、純粋な作品としては大した評価が出来ないが、おまけとしては悪くない出来である。


余談(西園)

  • 公式サイトなどではタイトルが『西園美魚密室殺人事件?』になっている。
    • レーベル面は『リトルバスターズ! ~Refrain~ 西園美魚密室殺人事件!?』表記なのでWikiではこちらをタイトルとしている。
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  • PS2
  • PSP

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最終更新:2024年03月22日 17:15

*1 いずれも通常版の発売日。

*2 正式名称は『パーフェクトエディション』で、アニメ化記念にこれまでの18禁を除いた全ての追加要素を搭載した最新バージョン。

*3 例えば、『AIR』では主人公が名前を阪神タイガースの名選手と間違えられ、『CLANNAD』ではヒロイン達と町内の野球好きおじさんらが草野球で戦う外れルートがある。

*4 ただし、アイテムが活用できるのはバトルのみで野球は影響しない。

*5 本編の共通ルートでメンバー入りする5人を含めたメンバー10人のうち、理樹・鈴を除いた8人。

*6 これ自体にはしっかりと理由はある。

*7 声は霜月はるか氏。

*8 妙な表現だが「普通の変人」になっている。

*9 18禁要素に拒否反応がある人も居る。

*10 これに伴って一部設定が変化している。

*11 これに配慮してか、第9作『Rewrite』(Win全年齢対象)では「18禁版は絶対に出しません」と断言しており、実際に18禁版は現在も発売が予定されていない。

*12 厳密には18禁ではないが、性器の直接描写が避けられているだけである。そもそも『リトバス』のアンソロジーに厳密な18禁作品は存在しない。

*13 国内最大手のアニメ会社だが、その分『ガンパレード・マーチ』『キミキス』等の原作改変で叩かれている。

*14 ちなみに、アニメ化に伴って理樹・クドリャフカ・笹瀬川佐々美・西園美魚(担当声優が産休の都合で1期のみ代役を立てた)が本作とは異なる声優が担当する事になった。

*15 BDMV/BD-Video規格対応環境全般(BDプレーヤー/レコーダー・対応ドライブ搭載PC・PS3・PS4など)。

*16 ただし、原作の共通部分後半くらいのタイミングの描写なので恋愛描写はない。