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姫狩りダンジョンマイスター

【ひめがりだんじょんまいすたー】

ジャンル 迷宮陣取り系シミュレーションRPG
対応機種 Windows 2000/XP/Vista
発売・開発元 エウシュリー
発売日 2009年4月24日
定価 8,600円(税別)
レーティング アダルトゲーム
配信 2017年12月8日/6,048円
判定 良作


ストーリー

 かつて、魔王と人間との戦争があった。魔王は一国を滅ぼし、なお進軍したが、ついには勇者の前に屈した。軍勢はことごとく滅され、魔王自身も力尽きた。 「私は滅びるわけではない。いつか必ず蘇り、復讐を果たすであろう。」 この予言めいた呪いが真実になるやもしれない……。狡猾で邪悪な魔王を恐れた人間は、魔王を地下深くに封じて監視下に置いた。そうして、この地に平和が戻った……はずだった。

ほどなく、名も無き睡魔によって魔王は救われる。それは、未熟すぎるが故に置き去りにされ、唯一生き残った使い魔だった。未熟な使い魔は魔王の魂の片鱗を見つけ出し、地上へと運んだ。 「くくくっ……よくやったぞ、この新しい肉体で人間どもに復讐してやるっ!」

だが、使い魔の選んだ肉体はあまりにも脆弱だった。魔王の力を拒み、己一人では戦うことすら出来ない。 「ごめんなさい。わたし、がんばるから……怒らないで……」 たった一匹のこった使い魔に《リリィ》と名付け、魔王はかつての肉体を取り戻すため地下迷宮へと向かった――


システム・特徴

  • 陣取りの要素を取り入れたシミュレーションRPG。いくつかのマスが繋がった形でマップがで構成されており、一つのマスに一勢力のみだとそのマスを占有できる。他勢力のマスでは一歩づつしか歩けない。また、自勢力の占有率が高く、ステージクリアが早いとクリアポイントや精気*1の最大量が多くもらえる。
  • 主人公である魔王は上記のストーリーの通り、取り付いた少年「エミリオ」の身体があまりにも戦いに向いていないため、指揮官として行動する。その代わりに使い魔リリィ*2が主に戦闘を行うことになる。魔王は戦闘中に精気を使うことで魔術を行使でき、戦闘をサポートすることが出来る。
    • リリィは三段階の姿があり、初期形態である少女、進化形であるツンデレ、最終形態である成人が存在する。成長率は進化するほど高くなっていくため普通に攻略するだけなら早く成人にしたいが、それぞれの形態で性格が異なるためセリフやEDも異なるためクリア後にステータスだけを引き継ぎお好みの姿でプレイすることも出来る。リリィのセリフはロウ(善)かカオス(悪)かでも微妙に変わる。
  • マップにはスタート地点である拠点と魔力の柱があり、魔力の柱を占有すると1ターンごとに精気が増える。拠点と魔力の柱からはキャラの出し入れが出来るので狭い通路をキャラが押し込めるという形にならない。
    • 魔力の柱は敵も利用していおり、そこから増援を呼ばれることもある。増援は他にも魔物の渦から呼ばれることもある。拠点は制圧されるとゲームオーバーとなる。
  • 能力は『FE』式にキャラごとに決まった成長率内でランダムで上昇。
    • HP0になったキャラは一部を除きキャラロストとなる。
  • 凌辱有りなので苦手な人は注意。ただし絵柄的にはそこまでキツくはない。
    • 特定の装備を行った状態でモンスターを撃破することでモンスターを捕獲でき、捕獲したモンスターを生贄に精気に変換することが出来る。モンスターによっては仲間にできたり、女性形のモンスターならば性魔術*3を行うことが出来る。性魔術を行うとそのモンスターは消滅してしまうが、その代わりに生贄にしたのと同様に精気を得られリリィのステータスに影響を与える。影響とはいっても能力が下がることはない。仲間に出来るモンスターを仲間にしたり、精気に変換していくことでそのモンスターへの理解度が高まっていく。ある程度の理解を示すとクリアポイントを消費することでそのモンスターを召喚することが出来る。
    • この生贄や性魔術は捕獲している状態ならばヒロインにも実行することが出来る。
    • ただし、この生贄や性魔術を行う度、リリィの性格がカオスに傾いてしまい、最終的に一部のヒロインを攻略できなくなってしまう。ロウルートに行くためにはこの生贄や性魔術をある程度制限する必要があり、一種の縛りプレイに近くなる。
  • クリアポイントは準備画面でアイテムの合成やリリィの進化などに使う。入手量が限られているため計画的に使わなければならない。

評価点

  • キャラ育成ややりこみの多さ
    • このゲームの看板キャラでもあるリリィの育成が楽しい。リリィの特徴としては他のキャラと違いすべてのアイテムが装備出来て、スキルの入れ替えも可能なので最終的に最強キャラとなる。また、一定レベルで次の姿に成長ではないので好きな姿でいられる。(ただし成長させた方が能力は上がりやすい。)
      • おまけに回復や能力のドービングも一部キャラクターとの性魔術でも可能、入れ替え可能なスキルに捕獲攻撃*4が含まれているなどメインヒロインだけあって明らかに優遇されている。
    • 『FE』等と同じく能力がランダムで上昇するのでセーブ&ロードで好きなように育てられる。能力上昇の厳選がしやすくなる装備も後から出てくる。
      • 上昇しなかった能力値の成長率は次のレベルアップの時に上昇する。厳選がしやすくなる装備と合わせれば余程運が悪くなければ大体のユニットを(ステータスだけは)強く出来る。
    • 2周目引継ぎ要素が豊富でこまかく設定できる。リリィの能力据え置きで外見を以前の姿に戻すといったことも可能。
  • モブキャラからも人気キャラが出た
    • 上半身エルフ下半身が植物(厳密には膝くらいからが植物)のユイチリはこの作品から登場したが、当初はただの雑魚でしかなかったはずなのにそのかわいさから人気に。
      • 姫狩りの次にエウシュリー名義で出した戦女神VERITAではこのユイチリがちゃんとした仲間になった。
      • システム上の続編である神取りでもちゃんとしたキャラとして登場し、双子として仲間そのうち片方はある意味最も重要なポジションである店長になった。

問題点

  • 実験作故か装備システムに穴がある。
    • 一番問題として挙がるのが武器を装備すると回避率が強制的に0にされてしまうという問題。原因は回避率は各キャラクターの素手時の装備に設定されている為、武器を装備すると上書きされてしまう為。
    • 勿論武器以外の盾や鎧、アクセサリーは問題無し。しかしこの影響でプローヴァというキャラクターは武器を装備したらほぼ確実に死ぬ*5という非常に厳しい立場になってしまった。
    • それ以外の問題点は比較するとさほど大した問題ではないが、武器の使用者の比率*6や属性が偏っている、諸事情により半数の槍の立場が厳しい*7等いくつかある。
      • なお、これらの問題点は全て『神取り』では解消されている。
  • その周回で取り返せない要素が多い。
    • 具体的に言うと精気とコインとクリアポイント。
  • 精気は配下を呼ぶ・魔術を使う・アイテムの強化・リリィを育成するときなどに必要だが、能動的には生贄・性魔術か希少なアイテムの使用でしか増やせない。しかし生贄・性魔術で増やすとリリィの性格がカオスに傾くためそちらのEDに行きやすい*8。救済としてはマップ捜索率を100%にすると次回からクリア地点に一気に進めるワープルートが出現したり、2周目を始める際に初めから性格がロウ向けでできたりするなど周回プレイでの作業率は格段に下がる。
    • 配下を呼ぶで消費した精気は使用中として扱われる。これはこの時点では他の用途に使用することは不可能だが召還した配下がHP0にならない限り失われず、帰還or戦闘終了後に返還される。また、リリィの精気消費量は0のため何時でも出撃できる。
    • もっとも、コストをふんだんに使って育てたモンスターも引き継げるので、2周目以降はある程度狙ったEDに辿り着くのも容易にはなっている。
  • コインは一度通ったイベントマップとEXダンジョンに行くのに必要だが1周で一定数しか置いていない。一応カードを拾うことでランダムで手に入ることもあるが確率は低い*9
  • クリアポイントは練成や魔術のレベルを上げたり、アイテムを合成したり、リリィを成長させるのに使うのだが入手手段がそのマップの初クリア時の報酬とカードを拾った時に低確率で手に入る以外の方法が無い。
  • 精気自体はEDを選ばなければあまり問題ない*10。レベル上げはコインがいらないフリーマップがある。その為本当の意味で取り返しが付かないのはクリアポイントである。
  • タイトルのわりに姫に該当する登場キャラが少ない。設定上ではシルフィーヌ、エステル、ファム、ブリジット、隠しユニットのフィファと結構いるのだが、王道的な姫キャラはシルフィーヌくらいでエステルも姫というよりは騎士や将軍である。
    • キャラもあまり掘り下げられることが無い為、感情移入しづらい面もある。主人公の依り代であるエミリオに好意を抱くという理由だけで人間側を裏切って味方になり、一般人にも拘らず相手が怪物であろうが古神であろうが戦いを挑むコレットの他、登場したので倒したらそれっきりで解放しようが洗脳しようがほとんど出番が無くなってしまうティオファニアとネリーなど。
      • また物語自体はやや都合主義的な流れが目に余る。
  • 強力なユニットとしてエウクレイアさん、フィファ、漂着した異界の姫、魔神勢などが挙げられ、メインヒロイン勢が喰われてしまっている感がある。愛があればカバーできる範囲だが。
    • 隠しユニットにも拘らず、玉座斬りの亡霊やアセンブリアがあまり役に立たない。フィファが強すぎる点も含めて、ユニットのバランスが悪い面もある。
  • 7章以降のシナリオが少々駆け足気味。
    • 6章以前はどの章も寄り道含めて4~6のマップで構成されているが、7章以降はたったの1~2つしかなく、寄り道的なマップもない。
      • 一応後継作と異なり話は大きな問題点も無くしっかり繋がっているのだが…。

総評

  • 基礎システムがいつものエウシュリーから一歩踏み出した形の実験作。結果的には成功。
  • セーブ&ロードによる能力厳選や2周目引き継ぎなどキャラ育てゲーとしては優秀。
  • また、人外娘の入門用としても優秀。一部キャラは明らかに人とは異質な姿だが充分可愛いのでオススメ。

その後

  • ゲーム自体は面白いがクリアポイントやメダルによる縛りが不満ならばこのゲームのシステムを継承し、合成要素をメインに据えた『神採りアルケミーマイスター』をおすすめする。縛り要素や不満点を解消し、このゲームと違いダラダラプレイ出来る。
    • ただし仲間キャラの個々の個性化の影響で敵キャラを仲間に出来ない事やマップが引き継ぎ出来ないといった問題点もあるが。また、シナリオの不出来さもよく槍玉に上がる。

余談

  • 製品版を一部仕様変更した序盤が遊べる体験版が出ている。
  • 予約で手に入れられるCDに入っていた追加データも公式サイトからダウンロード出来る。

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最終更新:2021年08月22日 00:38

*1 仲間の召喚や魔王が使用する魔術を行うために必要になるコスト

*2 名前はプレイヤーが自由に決められる。そのため本作ではボイス有りでリリィの名前を呼ばれることはない

*3 いわゆるエッチ

*4 この攻撃で敵にトドメを刺すとそのユニットを捕獲できる。そのステージのボス等リーダー格のユニットには使用不可。生贄・性魔術(女性ユニットのみ)・配下にする(一部ユニットのみ)は捕獲したユニットがいないと実行できない。リリィ以外は特定アイテムを装備中のみ可能に。

*5 素の回避率が75%と極めて高い回避型のキャラクター。しかしHPは一発でも貰ったら即死と言えるぐらい低い。なので武器を装備すると生命線の回避率が0になり…

*6 剣、弓の使用者が多く斧と靴の使用者が非常に少ない。全ての武器を装備できるリリィは除く。

*7 武器の固有能力と使用者の特殊技能が被り、無駄になってしまう。おまけにもう半数の槍も非常に有用な固有能力持ち。

*8 リリィの性格が影響するのはEDのフラグと一部育成の条件。クリアするだけなら特に問題は無い。

*9 一応、ブロンズコインやシルバーコインはほぼ確実にドロップする敵がコイン消費面に登場するため稼ぐことはできる。しかしその敵が出てくる確率は低く、セーブ&ロードを使用しなければ元が取れない。それらを使ってゴールドコインを練成できるがクリアポイントが必須である

*10 フリーマップでもただ待機し続けることで補充できるが効率は極めて良くない。この方法の場合は3周目以降でコインが余っているなら2-3がダントツの効率を誇る。