三國志IX

【さんごくし ないん】

ジャンル 歴史シミュレーション

対応機種 Windows 98~XP
プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 コーエー
発売日 無印:2003年5月14日
パワーアップキット:2003年8月19日
定価 12,800円
判定 良作
ポイント 戦略に焦点を当てた異色作
三國志シリーズ

概要

コーエーの古き良き看板『三國志』シリーズの9作目。Win版で発売後、PS2やPSPに移植されている。
発売年は2003年だが、その後パワーアップキットが登場してから廉価版や移植として10年近く何度も再販されており、実に12個もの別パッケージがある。

前作・前々作で推し進めた「全武将プレイ」からシリーズ元来の「君主プレイ」に回帰したが、システムは1枚マップなど新要素が多い。
また、政治よりも戦略に重点を置いている点でも、シリーズでは異色の部類に入る。
その評価は高く、何度も再販されているにもかかわらず最新のPSP版は携帯機で遊べることもあり中古市場では高値が付いていたり、
動画サイトで『X』以降の作品以上に多数のプレイ動画が投稿されているなど、今なおプレイヤーは多い。


システム・特徴

シリーズで初めて1枚マップを採用。 今までは地図上に都市がいくつもあり、戦争では別個の戦場マップが呼び起こされる形だった。 これを完全に俯瞰視点の広い地図1枚に一元化し、戦争や部隊の移動もこの上で行うような形となり、現実の雰囲気に近い形でゲームを進められる。

完全なターン制であり、戦略フェイズで指示を出した後、進行フェイズで10日にわたって武将がそれを実行する…というのを繰り返す。 遠方の都市を探索したり外交に行ったりすると、距離に応じた日数を消費するため、それを見越した上で指示を出す必要がある。 それぞれの合戦が独立していないため、たとえば「西側で起こった戦闘に南西の都市から援軍を送ったら、手薄になった南西の都市に攻め込まれる」などといった事が起きる。

進行フェイズでマップ上を部隊が行軍している間は、自分は基本的に指示を出す事ができない。 出城する部隊には戦略フェイズで「命令」を各個出すことが出来、それに従う形で行動する為、時間経過を見越した指示が必要となる。 このような(ある意味では現実の一国の君主に近い)命令をしての委任リアルタイム戦闘は三國志シリーズでは現在本作のみである。

「異民族」(マップの隅に存在する漢に属さない民族)や「建造物」(城塞や砦などリアルタイムで建造し、橋頭堡として使える)などの要素が重要なのも今作の特徴。 また戦争においては兵法の「連鎖」というシステムがあり、弱い兵法しか持っていない武将でも集めて連鎖を起こせば予想以上の力を発揮したりといったことがある(もちろん強力な兵法を持っている関羽や馬超や呂布といった一部の武将たちは、弱い兵法を回避しやすいこともあり敵を圧倒できる力を持つ)。 また軍団の「陣形」によっても発動しやすい兵法が異なり、これらの軍団の部隊編成がとても重要。


評価点

システム面の進化

  • 1枚マップ&リアルタイム戦闘による戦略性が非常に高い。
    • 今までの「便宜上、戦場マップのみを毎回呼び起こしていた」システムと違い、今作のリアルタイム戦闘は現実に近い戦略が機能する為、かなり面白い。
      • いくら兵数があろうとマップを行軍して目標にたどり着かないと攻撃しないので、今までのように兵数の多寡ですぐ優位が決まるというわけではない。
      • どんな大軍も遠くの場所へすぐ援軍に行くのは不可能であり、今までとは違った切り崩し方が生まれている。
    • 史実で言う曹操や孫策のような「勢力拡大に積極的な英雄を模したプレイをする」という点においては、シリーズの全作品の中でも屈指のシミュレーション度である。
  • 戦場の地形や要所などの再現度が高い
    • 易京の要塞や各種の関所など、今までのシリーズ作品では表現しきれなかった要素も違和感なく溶け込んでおり、要塞を建造して守りを固めたり、関所があればそれを利用したり逆に迂回して攻めたりといった戦略が機能する。
    • 今までは結局のところ「数遊び」であり、領土を増やしても勢力の強大化が実感しにくかったが、今作は領土が増えれば攻める道も増える。また、長江や剣閣などの要害を利用できる都市は守りやすいし、それを衝ける(益州へは北からより東からの方が攻めやすいなど)土地を確保すれば攻めやすくもなる。
    • 全体としてゲーム化のためのデフォルメ感が薄く、現実味が強いのである。
  • 「クリック連打ゲー」からの脱却
    • 今までの数字いじりと違い、そのゲーム性から、一歩引いて大局的に戦略を考えるゲームとなった。
    • いちいちクリックして全ての数値を決めなければならなかった今までと違い、このシリーズの遊び方の基本である長時間プレイにおいて今作は単純に楽な面がある。
    • 特に前作は戦争一つに非常に時間がかかるゲームだったので、それに比べると展開がスピーディ。かといってゴリ押しゲーかというとそうではなく、上述通り物量を溜めて圧殺するゲームにはなりにくく作業感は減った。
  • ムービーなど演出が良好
    • 非常に三国志に合った雰囲気がある。一説にはシブサワ・コウが監修していた最後の三國志シリーズのムービーらしい。
    • ちなみにナレーションは郷里大輔氏が担当しており、重厚な歴史シミュレーションの世界観を表現している。
    • 音楽が生楽器なのも中華的で良い。

各種バランスの良さ

  • 官爵の細分化
    • 部下にきちんと官爵を与えて権限を持たせることができる。
    • 今までだと丞相や三公以外は割といい加減だったが、今作では史実を知っている人ほど楽しく官爵を設定できるだろう。
    • ただし、州牧と州刺史の上下がなぜか間違っている。シリーズの他作品では正しい序列(州刺史が上)になっているのに、本作では刺史が上位になっている。謎である。
      • 州刺史と州牧は実態の変遷の中で時代時代でころころと名前が入り変わり、後漢では州刺史と州牧が並存してさらにややこしくなっているが、後漢末においてはどちらも州の全権を持っていて権限自体は大差ない。しかし州刺史は官職の格は州の下の郡を統べる太守より本来は低かったのに権限が上になっていったという感じで、州牧は権限に見合う官職名に変えようという流れで出てきたもので栄誉ある格の高さ。
    • もっとも、本作ではそもそもが皇帝・王・公・大司馬・大将軍・中郎将・州吏史・州牧という、州刺史と州牧の序列以外も適当すぎる枠組みの官爵システムだったりはする。○○侯 ○○亭侯などの列侯などはないし、諸侯王である公が皇帝の一族用ということもない。
  • 非現実的な兵・物資の集中化のしにくさ
    • 今作では兵糧や人口などが限りがあるため、いわゆる非現実的な1勢力・1都市最強状態にはなりにくい。
  • 次回作に見習ってほしい、史実イベントのバランス
    • 理不尽にイベントが起こるわけでも、全く起こらないわけでもなく、史実に近い戦況になったら違和感なくイベントが起きてくれる。
  • 前作に見習ってほしい、幻術などの一部チート兵法のバランス
    • 「妖術や幻術で部隊壊滅」「どんな戦でも楽勝」などといったことはない。
    • ただし降伏兵のシステムのせいで、「治療」だけはシリーズでも屈指のチート兵法。
      • 「周囲にいる全ての味方部隊の武将の健康完全回復+負傷兵全回復」と云う恐ろしい性能。さらに本作では全滅した部隊の負傷兵の一部が敵部隊にそのまま取り込まれてしまうため、長期の戦闘の末に「治療」が発動すると、一気に兵力が逆転してしまう事がある。
    • また武将の知力に左右されるものの、「混乱」もかなり強い。今作では混乱した部隊は「弱くなる」のでは無く「何もできない」ため、部隊が混乱するとサンドバッグと化し、都市が混乱すると迎撃すら行えない棺桶と化す。
      • 後述の仕様も相まって、「1部隊に多くの兵を詰めるより多くの部隊に兵を分けて混乱の被害を減らす」「混乱を放てる部隊を増やして敵を効率よく混乱させる」のもある意味1つの戦略と化している。
      • 「教唆」によって混乱を無効にできるものの、習得している武将が少ないのが難点。また教唆では都市の混乱は防げない。

多様性

  • 武将・シナリオの充実
    • 武将数は650人。士燮一族や南蛮以外の実在異民族武将が省かれている*1ことを除けば、黄巾の乱から呉の滅亡まで、全ての時代の登場人物がバランス良く登場する。特に三国時代後期の武将は、シリーズでも屈指の充実ぶりを誇るため、じっくり楽しむプレイにも向いている。
    • シナリオは忠実10編とifが10編(内5編は隠し)、合計で20編。さらにPC版では追加コンテンツとして2編追加することができ、最大22編から選ぶことができる。これは特例の『VIII』を除くと圧倒的な多さである。『VIII』のPK版と同様、263年開始のシナリオも用意されている。
      • ただし、263年以降開始のシナリオではさすがに長期戦は厳しいので、新武将登録や抜擢武将などで補充する必要が出てくるだろう(初期設定では、264年元服の孫□(孫ワン)、張喬、陸景が最後の元服になる)。
  • 戦法発動による戦局の多様化
    • 今作では出陣した際に最大5人まで編成することができ、それぞれ持っている戦法をセットすることができる。戦法発動はランダムであり、陣形によって発動確率が違うものの、完全にコントロールすることはできない。これにより能力的に中途半端な武将でも戦法発動により活躍することができるようになった。例えば主力の武将をメインに後は数合わせみたいに武将を配置してもその数合わせの武将が戦法を発動しまくって意外な活躍を見せたり、寡兵な敵が壊滅間際に戦法を発動して意地を見せたりと、必ずしも同じ結果にならない戦争の多様性を見せてくれる。これにより強い武将を手にしてしまったら後はその武将がずっと目立つというわけでもなく、戦争に参加した武将皆活躍するチャンスがあって、それによるドラマが想像できやすくなる。
  • 多彩なエンディング
    • エンディングの細分化はシリーズ最多。クリア時の状況に応じて、ローマ帝国をも圧倒する世界帝国から、程なくして滅亡まで9種類のエンディングが用意されている。

賛否両論点

  • 「魅力」の武将パラメータが無い。
    • 今作の基本武将パラメータは統率・武力・知力・政治の4つであり、魅力は無くなった。
    • プレイしてみると分かるが、確かに本作のシステムにおいて魅力はあまり必要ない。ただし魅力をウリにしていた一部の武将の合計能力値はかなり下がってしまっている。
      • 代表格の劉備についてはある隠しパラメータにより救済されているが、その他の武将は割を食っていると言わざるを得ない。
      • 特に従来は魅力だけがそこそこで他のパラメーターが軒並み低かった劉禅は、本作では魅力を取り上げられた上に他のパラメーターもさらに下げられ、全能力ALL1桁(3,2,4,7)という快挙を成し遂げてしまい、能力グラフはほぼ点に等しいネタ武将と化してしまった*2
  • 内政はあまり力が入っていない。
    • 基本的に今作の政治は「戦争のための政治」であり、特別内政における注目点はない。
    • それでも政治と資源は全ての戦略の元であり、過去作並みの重要度はあるが。
  • 戦闘におけるリアリティの欠如。
    • シミュレーションゲームにおいてはゲーム性確保のために、ある程度リアリティが犠牲になるのはやむを得ない事ではあるが、本作では独自の戦闘システムを取ったが故か、極端なツッコミ所がいくつかある。
    • 特にツッコミを受けやすい陣形は「投石」である。機動力が低く防御力も低いため常用はできないが、射程が長く場所によっては相手の攻撃範囲外から一方的な攻撃を加える事ができる。さらに陣形が投石だと弩兵系・弓騎系の兵法の射程も投石と同じになってしまう。結果、 マップの縮尺ではどう見ても数10㎞はあるとしか思えない距離を、川や山すら飛び越えて石や矢が飛んでいく と云う不思議な光景が見られた(この現象は同じく一枚マップを採用した『信長の野望・革新』等でも見られた)。
      • また兵が2万人未満か武将が1人しかいない都市から迎撃部隊が出撃する事はほぼ無いため、2万人未満の敵都市のすぐ近くに陣を立て、投石部隊を兵1人で出撃させ一方的に攻撃を続ける事で、兵1人の働きによって2万人弱の兵が死ぬと言うすさまじい光景が起こってしまう。
      • さすがに無抵抗な相手に一方的に攻撃できるのは酷すぎるためか、一応の対策としてターン開始時に部隊が攻撃対象に対して無駄な前進を行うようになっている。しかし中継点を上手く使えば近付かずに一方的な攻撃を行える事に変わりないため、CS版ではその仕様は廃止され特別な操作無しで一方的な攻撃を行えるようになった。
    • 部隊の兵士数が部隊の攻撃力・防御力に与える影響が少ない。さらに都市から出陣できる部隊数に上限が無い。そのため(武将の数さえいれば)部隊は小分けにする方がシステム的に強い。極端に言えば、1人の武将が率いる6万の1部隊よりも、100人の武将が率いる兵1の100部隊の方が遥かに強い。
      • さらに兵法の威力には兵士数は一切関係無いため、「兵1人が放った矢により1000人以上が倒れる」などと言う現象がごく普通に起きる。上記の「投石」とこの多部隊戦法を組み合わせると、本当に酷い事になる。
    • ただしこれらの仕様のおかげで、数々の突拍子も無いような作戦が生み出されてきたため、一概に欠点とは言い切れない。
  • 異民族が強すぎる。
    • ある意味では史実通り*3なのだが、今作の異民族は大軍を擁し、好戦的で極めて厄介。
    • その兵数は開始時なんと30万(プレイヤー担当時は10万)。ちなみに正史では蜀の人口は70万~90万ほど。戦闘員が30万と考えると蜀や呉よりよほど強大な勢力ではないのか…?
    • 一応、異民族がいることによってマップ隅の勢力*4の緊張感が増しているため、バランス調整にもなってはいる。しかし、ただでさえ兵力を集めにくい本作において30万という数字はさすがにやりすぎだと言える。
      • 異民族に攻められた都市は空白都市となるためまた取り直せばいいが、それが勢力最後の都市だと 問答無用で滅亡する 。そのため異民族に接していて1都市しか支配していない勢力(主に遼東公孫氏)は非常に苦しい戦いを強いられる。
      • ちなみに異民族は1都市しか本拠を持たないため、衝車などで攻城戦にして都市を落としてしまえば実は割と簡単に倒せたりする。だが兵力は純粋に迎撃力に値するため、中途半端な兵力で挑めば衝車でも蒸発する。
    • 一応、攻略できれば異民族プレイができるようになるのだが、出現条件が面倒な「倭」を除けば武将全員が脳筋タイプ計略にものすごく弱いため、どう考えてもボーナスになっていないのも賛否両論。
      • また、エンディングでベストエンドを見るためには、最低1つは異民族を倒す必要がある。さらにその中でもあるエンディングを見るには、全ての異民族を倒さなくてはならない。

問題点

  • 敵CPUの思考が拙い(特に無印)。
    • シリーズ初の1枚マップと言う事から来る弊害なのか、シリーズ他作品と比べても非常に敵CPUが弱い。はっきり言って、1枚マップに対応できていない。
    • 兵1による陽動に全力で反応したり、兵数が上限の25万に達した港にさらに兵を輸送し続けたり、文官を一人で最前列に立たせて出陣させてきたり、自分の支配都市が一つしかなく、かつその都市が優勢な敵に攻められていると言う状況であるのに、遥か彼方にある別の都市を攻めるために出陣したり、徴兵のし過ぎで兵糧が切れて勝手に自滅して行ったり、と数々の奇行でプレイヤーの腹筋を破壊してくれる。
    • PK版になってある程度は改善されたが、それでも中盤以降はほぼ負ける要素が無いほどにゲームの難易度は低い。ただし、序盤の歯ごたえは相応に高まっており、兵糧切れのような間抜けな自滅はほぼ無くなった。
      • 要するに(コーエーの他作品でも言えることだが)、 本作をまともに遊ぶためにはPK版が必須 である。
  • 「抜擢」システムの存在。
    • 今作(一応PK版のみだが、逆に言えば初期版以外すべて)には「兵士抜擢」というシステムが存在する。これは戦闘の際に自軍の武将が発見した有能な兵士を鍛え、武将として登用することができるもの。だが、優秀な武将を指導係に任命すると能力値90近くの武将が簡単に作れてしまうため、ゲームバランスが崩れるとしてユーザーの間では批判意見が強い。
    • 曹操や劉備で始めた際、抜擢して育った架空の武将が譜代の夏候惇やら関羽やらを凌駕して活躍するのは釈然としないものがある。かといって能力のある抜擢武将を窓際族にして冷遇するのはそれはそれでシミュレーションとしては不自然。抜擢武将ばかりの虚構軍団が史実の猛将相手に無双していたりすると、人によっては寒いと感じるであろう。そもそも三国志に登場しない架空武将が登場すること自体許せない人にとっては地獄である。
      • この仕様はPS2版のみ、プレイ中にオフできる。一応この仕様を切るパッチも有志で作られていたりもする。
    • この仕様自体は初心者救済でもあり悪くないが、どのソフトverでもオフできるようにするべきだったというのが大方の見解。
  • 「探索」コマンドの仕様
    • 今までは都市単位で行っていた「探索」だが、本作では1都市の中でもさらに地域が細分化されており、1武将につき1地域しか探索できない。そのため、何の知識もなしに在野武将を探し当てるのがシリーズ他作品に比べてかなり面倒。またCPUは自分のいる地域しか探索を行わないため、酷い時は都市で無い地域にいる在野武将は本当に埋まったままで終わってしまう事も起こる。
      • 余談だが、細分化された地域の中に、地名が間違っているものがある。五丈原の位置など明らかにおかしい。
  • 戦略ゲームなのに戦闘が半自動という矛盾
    • 戦闘の簡略化は評価点でもあるが、「そこに価値を置いていたプレイヤー」にとっては戦略性や自由度の欠陥に過ぎない。戦闘に入る前に多少の戦略を練るものの、戦闘開始後はコンピューター任せの自動となる。このため難易度が低くなるとともに、相手の出方に対して、この部隊であの部隊をこう攻めるという知恵を持った途中での対応、切り替えが不可能*5
      • ただし完全ランダムであるからこそ生まれるドラマもある。兵法では時に一撃で部隊が壊滅し、一騎討ちは他作と比べて非常に高い頻度で起きる…など、バランスを取りつつ、とても見栄えのいい戦闘が実現出来ているのも事実。他シリーズと比べ動画投稿サイトでの投稿件数が非常に多いのも、このあたりが要因だと思われる*6
  • 後半年代の武将に目立つ調査不足
    • 前述の通り、本作はシリーズ中でも末期武将が屈指の充実ぶりを誇る。しかし、最後の方の年代になると、演義はもちろん正史『三国志』ですら記述が断片的で、正史『晋書』に目を通す必要のある武将が出てくる。しかし『晋書』は邦訳がないためか、どうやらデータの参考には使っていない。その為、『晋書』で字と没年が明記されている人物でも、字が設定されていなかったり(荀勗の字「公曾」など)、史実と没年が大きく異なる設定にされている人物がいる。また、4行ある列伝が2行程度しか書かれていなかったり、記述に苦労した様子が見える。
      • ゲーム性を大きく損なう物ではなく、プレイヤー側で補完できる性質のデータではあるが、将来に課題を残した形となった。その後のシリーズでは徐々に修正されているが、後半年代の武将は出入りが激しく、修正が手薄になっている。

総評

1枚マップ&リアルタイム戦闘という面でシリーズでも異色の作品ながら、評価は高い。全体的なテンポの良さもシリーズ屈指である。
ただし今までのシリーズのような熟考しての数字遊びが好きなユーザーや、『VII』『VIII』のような全武将プレイ派には受け入れられないかもしれない。
基本的には政治よりも戦略が好きなユーザーにお勧めできる。


余談

  • Macで発売されなくなったソフトとしてはシリーズで初めてである(これまではWinだけでなくMac版も出ていた)。

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最終更新:2022年01月05日 20:30

*1 勢力として登場する異民族武将は、全て架空武将である。

*2 以後のシリーズでも魅力以外をALL1桁にされているばかりか、「3,5,9,4(サンゴクシ)の語呂合わせ+2つの位の和がナンバリング」で固められるといったネタ武将と化している。『13』では30周年記念だからか、「35941330(サンゴクシ13 30(周年))」のアナグラムにされてしまった。

*3 中国史は内戦だけでなく異民族との戦いも大きなポイントであり、三国時代を終わらせた晋を滅ぼしたのも異民族である。

*4 ほとんどの作品で四方から攻められないという利点があるため、純粋な戦略面ではそういった勢力はやりやすい。

*5 『X』『11』ではこのような簡略化はなくなった。

*6 動画投稿では先の「抜擢武将」に自分だけの設定を持たせ、楽しんでいる例も多い。