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  • 『2nd』『extend』の総評追記
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この記事ではPSP版の一作目『初音ミク -Project DIVA-』を中心に、続編である『初音ミク -Project DIVA- 2nd』『初音ミク -Project DIVA- extend』についても解説する。
ボーカロイド(VOCALOID)という言葉は、本来はヤマハが開発した音声合成技術の呼称だが、この記事では「クリプトン・フューチャー・メディア社の音声合成ソフトウェア『キャラクター・ボーカル・シリーズ』および関連作品に登場するキャラクターたち」という意味で使用する。



初音ミク -Project DIVA-

【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ
ディンゴ
発売日 2009年7月2日
定価 6,090円
廉価版 お買い得版:2010年6月24日/3,300円
判定 良作
SEGA feat. HATSUNE MIKU Projectシリーズリンク

概要

  • 音声合成ソフト『初音ミク』を題材・モチーフとしたゲーム。ジャンルはリズムアクション(いわゆる音ゲー)である。
    • なお、本作に音声合成ソフトとしての機能はない。

発売までの経緯

2007年8月31日にクリプトン・フューチャー・メディア(以下クリプトン)より発売されたWindows用音声合成シンセサイザーソフト『VOCALOID2 キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク』は、従来のシンセサイザーソフトの常識を覆す驚異的な売り上げを記録した。
折しも動画投稿サイト「ニコニコ動画」のようなユーザー参加型インターネットメディアが一般に普及し始めた時期と発売が重なったことが幸いし、多くのユーザーによって製作された多数の楽曲が次々と一般に公開され、更なる人気を集めることに成功したのである。
以後、クリプトンのシンセサイザーソフトブランド『キャラクター・ボーカル・シリーズ』は「鏡音リン・レン」「巡音ルカ」とシリーズ化し、確固たる地位を築くこととなった。

本作『初音ミク -Project DIVA-』は、これまでに発表されたユーザー製作曲の中でも人気の曲と、畑亜貴・神前暁などのプロの作曲家が新たに制作した曲を、リズムゲーム(音ゲー)として遊べるようにしたゲームである。

ちなみに、当初はストーリーモードの搭載が考えられていたが、クリプトンのキャラクター利用の方針を鑑みてか、当シリーズでは搭載されていない。
当時の電撃オンラインの記事。ミクルームの仕様が違い、どちらかと言えば今のproject miraiに近い。)

基本システム

  • 本作において、おそらくまず最初に目に付くのは、プレイ画面(つまりは背景)が「初音ミクのプロモーションビデオ(PV)」を意識した3DCGムービーとなっていることだろう。
  • このPVを背景にして、画面上にはPSPの各ボタン(○△×□)に対応した「ターゲット」というマークが順次出現する。これをめがけて画面端から「メロディアイコン」というマークが飛んでくるので、両者が重なった瞬間に対応するボタンを押す…というのが基本的なルールである。
    • ターゲットには、時計の秒針のような小さな矢印「タイミングバー」もついている。これが真上を向く瞬間が、すなわちメロディアイコンと重なるタイミングであり、ボタンを押すべきタイミングである。
    • 独特の要素として、ターゲットの出現位置は固定されていない事が挙げられる。このシステムは難易度調整やパターン表現の面でも貢献していて、ターゲットの配置をずらしたり、あえて少し重ねることで、タイミングを視覚的に明示しているパターンが多い。
      • この規則は意図的に破られることもある。例えば1つのターゲットに対して複数のメロディアイコンが殺到することもあるが、このような場合はタイミングバーも複数出現する。アイコンかタイミングバーどちらを見て押すかはプレイヤー次第。
      • そうでなくとも、高難易度の譜面では前述の「視覚的に分かりやすいターゲット配置」という法則は実質形骸化する場合が多い。画面に不規則に散らばったターゲットは、腕に覚えのあるプレイヤーをも苦しめる。
  • 難易度は各曲につき「EASY」「NORMAL」「HARD」の3段階が用意されている。ただしどの曲も均一な難度にはなっておらず、例えばある曲のEASY難度が別の曲のノーマル難度に匹敵するといったこともある。
    • 難易度は5段階の☆の数で明記されているのですぐに分かる。
  • お手付きなしにボタンを繋いでいくことでスコアとソングエナジー(ライフ)が増加していく。ミスをするとソングエナジーは減少し、ゼロになると曲の途中でゲームオーバーとなる。
    楽曲が終わるまでソングエナジーを維持し、かつスコアが一定値*1を越えなければクリアにはならない。
    • ボタンを押すタイミングの正確さによって、得点の高い順に「COOL」「FINE」(失敗扱いとして「SAFE」「SAD」、見逃しを含む「WORST」)の評価が出る。
      • このうち前2つはコンボを繋げてどんどんスコアを増やしやすく出来る。ただしコンボがリセットされるSAFE以下の判定は意外に狭く、「正しくボタンを押したのにコンボ数がリセットされる」ということで、ユーザーからは「緑の悪魔SAFEさん」などと恐れられている。
    • なお、ボタンを押し間違えると評価アイコンの色は変わる。こちらはソングエナジーは減らないが、タイミング判定にかかわらずコンボは切れる。
      • この仕様を逆手にとって、激しい連打の部分をわざと別ボタンも交えて押すことで、無理やり押し切ることも可能。
  • 曲が最も盛り上がるサビの部分に入ると、「チャンスタイム」として通常のコンボとは別に更に大きな得点補正のかかる特別コンボが繋がるパートが開始される。
    • ハードモードの高評価クリアには、このチャンスタイムボーナスが欠かせない。チャンスタイムでは画面構成が変化し、正念場の雰囲気を演出する。
    • チャンスタイム中はソングエナジーが増減しなくなるため、途中終了することは無い。ただ、増加もしないのでチャンスタイム突入時にソングエナジーが少ない場合は終了後に注意が必要。
      • この仕様のため、2nd以降ではセーフティタイム的な感じに使われることもある。
  • 特定条件を満たしてクリアすると、後述のモジュールコンバート用アイテムや、ミクルームのオブジェを獲得することが出来る。

収録楽曲

畑亜貴、神前暁をはじめとするプロ作家による新曲、ピアプロ上で一般より募集した曲、ニコニコ動画などで以前より人気の高かった定番曲など、色々な曲が収録されている。
それらすべてに共通するのは、ボーカルが「初音ミク」であるという点。

+ 収録楽曲

収録数は「ミク」とかけた全39曲。
各曲は数曲ごとに色のついた「タグ」でグループ化されており、それぞれ異なるテーマ性でまとめられている。最初は各タグの第一番目(リスト先頭の曲)がプレイ可能であり、クリアするごとに同じタグの曲が解禁されていく。

ワールドイズマイン、ひねくれ者、恋は戦争、その一秒スローモーション、メルト
Far Away、ストロボナイツ、Star Story、Last Night,Good Night、Packaged
雨のちSweet*Drops、ミラクルペイント、フキゲンワルツ、マージナル、Dreaming Leaf -ユメミルコトノハ-
荒野と森と魔法の歌(ミクver/リンver/レンver)、ハト、moon、みくみく菌にご注意♪、いのちの歌(ミクver/リンver/レンver)
The secret garden、Dear cocoa girls、天鵞絨アラベスク、ラブリスト更新中?、桜ノ雨 -standard edit-
恋スルVOC@LOID、Ievan Polkka、あなたの歌姫、えれくとりっく・えんじぇぅ、初音ミクの消失、金の聖夜霜雪に朽ちて、みくみくにしてあげる♪【してやんよ】

この他、セガとピアプロのコラボとして一般募集された投稿曲が7曲採用されており、エンディングムービーでメドレーとして流れるほか、エディットモードで使用することが出来る。またエディットモード専用曲として他のVOCALOIDシリーズの曲を含む7曲が収録されている。

モジュールコンバート

  • つまりは「着せ替え」。リズムゲームクリアに従って解放されていくモジュール(衣装)を選択し、ミクの外見を変えることができる。もちろん、PVにもしっかり反映される。
    • モジュールは53種類*2が収録されている。アイドル衣装、学生服、ナイトウェアといった王道もの、海賊やウェディングドレスをイメージした衣装とバリエーションは豊富。
    • 「電子の歌姫 初音ミク」というフレーズ通り、これらのコスチュームはミクのボディを構成するデータの一部であるような演出が成されている。
      • この演出によって、外見だけだが他のキャラクターボーカルシリーズのキャラとして使用することも可能(ミクが擬態しているとでも解釈すべきか。音源としてはミクの歌声しか収録されていないので、声もミクのままになってしまう)。
      • 「鏡音リン・レン」「巡音ルカ」「KAITO」「MEIKO」が用意されている。また、ファンによる創作キャラクター「弱音ハク」「亞北ネル」「咲音メイコ」までもが使用可能という点はユーザーを驚かせた。

ミクルーム

  • ミクの部屋を模様替えしたり、気ままに暮らすミクを眺めるモード。
    • 部屋のモジュールを変えることで模様替えが出来、部屋の各所にオブジェを配置することが出来る。
      • オブジェは観葉植物、時計、果物といったありきたりなものから、ユーザーデザインのポスター、更にはセガ・マスターシステムといったマニアックなものまで登場する。

エディットモード

  • ゲーム収録曲や、メモリースティックに取り込んだMP3データを使用することで、ユーザーが独自のリズムゲームを製作できるモード。
    • PVの素材、ミクのモーション、カメラアングル・移動、マーカー配置と、非常に細かい調整が行える。
    • 先述したように、本作内に楽曲が収録されているが譜面やPVが用意されておらず、プレイ不可能な曲が14曲もある。これを題材としてエディットに挑戦して欲しいという意図なのだろう。

評価点

  • 「ターゲットの位置に規則性がなく、どこに配置するかは製作者の意図に任されている」という点は、数ある音ゲーと本作を区別化する最大の要因となった。
    • beatmania』などのようにレーンだけを見てプレイするのではなく、画面いっぱいに視線を動かさなければならないのだ。これは必然的に、PVのミクが頻繁に視界に入ることを意味しており、ミクのキャラクター性をプレイヤーに強く印象づける効果を発揮した。
  • PV、ひいては3DCGの品質も十分。ミュージカル風味、絵本調、ライブ調とシチュエーションも多彩。どのPVでもミクがかわいらしく動き回る。
    • 一部の曲*3は3DCGのPVではなく、一般募集のイラストが連続して表示される。手抜きのようにも見えるが、これはこれでテンポがよく、まとまっている。
      • 手抜きではなく、時間あたりのメロディアイコンの数が多すぎるために、PVと同時表示するとPSPの処理限界を超えてしまうため、意図的にこのような仕様にしているのではないかという説もある。しかし真相は不明である。
    • プレイ中にはPVをじっくり見る余裕などはない。しかし、条件を満たせば、プレイせずにPVを眺められるモードが登場する。PV目当ての人も安心。
  • 製作にハマると延々と遊べるエディットモード。
    • 「作るのは無理・苦手」という人でも、ネット上には有志によって多数のエディットデータがアップロードされているので、他のVOCALOID曲やユーザーのお気に入りの曲で遊ぶことができる。これらのダウンロードあるいは自作に手を染めた場合、本作の収録楽曲数は事実上、無限大となる。
  • OPムービーのクオリティは素晴らしいの一言。作詞・畑亜貴、作曲・神前暁のコンビによるオリジナル曲「The secret garden」と合わせた構成が光る。
  • ロード画面でランダムに表示されるイラストは、セガとピアプロのコラボによって一般募集されたもの。約100枚という膨大なボリュームであり、これをコレクションするのも楽しい。
  • 全曲をクリアするとエンディングが流れるのだが、このスタッフロールでは「はちゅねミク」を操作して文字テロップを動かせるという遊び心満載の仕様。何気なしにいじっているだけで楽しい。

難点

  • 他の音楽ゲームと比べると本作の収録曲はそれほど多いとは言えない。
    • VOCALOIDの人気曲は多々あるが、権利問題やPV制作の点から難しかったのだろう。
  • 凝った構成のPVは見事だが、これにターゲットやメロディアイコンが背景色と同化して埋もれたり、激しいフラッシュで見えづらかったりする事がある。「ミクのキャラゲー」として見ればPVは長所ではあるのだが、「音ゲー」として見た場合は逆にPVが邪魔でターゲットに集中しにくくプレイが困難になる。
  • シビアな判定と初見殺し。昨今の音ゲーにしては判定がかなりシビアで、相当正確なタイミングで押さないとあっさりとSAFEになってしまう。前述したマークのギミックも初見プレイヤーを惑わす要素である。
    • 音楽はあまり意識せずに、アイコンを目押しで押す方が安定するという意見まで出た。一部プレイヤーの意見とはいえ、音ゲーなのに『聴覚とリズム感』より『視覚と反射神経』が重視されてしまうのは如何なものか。
    • 本作の判定はどちらかというと「ジャストより早い場合が厳しく、遅い場合は甘い」傾向にあり、リズムに合わせると早めに押しがちになりSAFEを量産してしまう。なまじ他の音ゲーをやっているプレイヤーほどそれが体に叩き込まれている*4ためにスコアが伸びず、「目押しのほうがスコアが伸びやすい」と言う意見が出る原因となった。
    • 別の視点から言うと、本作は他の音ゲーに比べて、譜面の複雑さは(一部を除き)控えめだが、そのかわり判定がとてもシビアであり、正確さ・精密さが強く要求されるゲームであると言える。
  • リスト一番目の曲「ワールドイズマイン」は何故かそこそこの難易度。明らかに黄色タグ一番目「荒野と森と魔法の歌」以上に難しい。「セガの罠」とのジョークも生まれた。
  • 「初音ミクの消失」におけるHARDパターンのレベル、特にこれの後半のボタン連打地獄はもはや語り草。 やりすぎでPSPの○ボタンを破壊してしまった プレイヤーもいたほど。
    • 『2nd』のDLCに収録された際は更に難易度が増した。
  • ミク以外のVOCALOIDの存在感・存在意義が薄い。先述のように、本作ではミク以外のVOCALOIDたちはあくまでミクの外見擬態という扱いであり、肝心の歌声も収録されていない。そのためファンは非常に歯がゆい思いをさせられた。
    • この欠点は続編『2nd』でほぼ解消されることに。
  • クリア時評価において、チャンスタイムのコンボが占める割合が大きすぎる。このためチャンスタイムは、説明書にあるような「高評価獲得のチャンス」どころか、逆に「ここでコンボを切ると大幅に評価が下落する、決してミスのできない正念場」となっている。
    • それはそれでゲームデザインとしてはアリなのだが、説明書に嘘が書かれているとも言える。
  • 少々ロードが長め。また、ときたま処理落ちによってマーカー類が主旋律からわずかにずれるとの報告がある(PSP本体のバージョンに依存するという説あり)。
  • モジュール「スイムウェア(水着)」の出現条件がかなり面倒。出すには 通常着の(曲イメージモジュールでは無理) キャラを一通りリズムゲームをこなす必要があり*5、延べ6周分していかなければならない。全VOCALOIDの水着を集めるのはかなり骨が折れる。
    • 以降の作品でもスイムウェア系は出現条件が他より厳しかったり必要ポイントが多かったりと特別扱いだが、それでも1作目よりは楽だと思われる。
  • 高いコレクション要素を持ちながらオートセーブに対応していない点が悔やまれる。これは『2nd』にて改善された。
  • ミクルームの存在意義が薄い。楽しい独自要素だが、ここで実際にプレイヤーが行えることは少なく、モジュール集めくらいしかすることがなくなってしまう。
    • ルームアイテムの出現確率がかなり低い。
    • 何より「ミクの生活を見る」モードでありながら、視点移動の自由度が異常に小さい(横に360度回すことさえできない)のは如何なものか。
    • どうやら、パンツを見ることができないようにされている模様。この時点ではクリプトンはエロ表現や残酷表現などに非常に厳しい方針だった(現在はある程度は緩和されている*6)。

総評

記念すべきシリーズ1作目。基本システムは後続作品でも大きな変化はない事から、この時点でほぼ完成されていていたと言えるだろう。
好みの衣装で歌い踊る3DCGミクが見られるというだけでなく、リズムゲーム部分もそれなりの歯ごたえがあり、「音ゲー」としても「キャラゲー」としても良質な作品。

その後の展開

  • ファンからの「もっと多くの曲がほしい」という要望に応えて、以下の拡張DLCが有料配信された。
    • ミクうた、おかわり
      • 全9曲収録。2010年3月25日配信開始。2,000円。ボーカルはすべて初音ミク。
      • ミニゲーム「*ハロー、プラネット。」、ハイポリゴンPV、PSP用カスタムテーマなども収録。これらは『DIVA』本編がなくてもプレイ/鑑賞可能。
    • もっとおかわり リン・レン ルカ
      • 全18曲収録。2010年7月1日配信開始。3,000円。タイトルの通り、収録曲のボーカルはすべてミク以外のボーカロイドによるもの。
      • ミニゲーム「トエト」、ハイポリゴンPV、PSP用カスタムテーマなども収録。
    • ただし『DIVA』本編はDLCを考慮していない設計であり、これらの「おかわり」曲はエディットモード用のデータ集として提供されたので、プレイの前に解説書に従ってインストール作業を行う必要があり面倒だった。難易度はひとつだけでEASYやHARDを選ぶことはできない。
    • ちなみに「おかわり」収録曲の中には、『DIVA』シリーズ他作品(続編やアーケード版)に一切移植されておらず、ここでしかプレイ不可能な曲も多い。
    • この「おかわり」エディットデータは、続編『2nd』『extend』でも「前作のデータをコンバート」コマンドを実行することで使用可能。
  • 続編『2nd』では判定が若干緩和された。それでもまだ他の音ゲーに比べて判定がシビアな部類だが。
  • 「Ievan Polkka」等の楽曲は後にPVが追加され『Arcade』や『extend』などではPV付きのものが遊べる。

初音ミク -Project DIVA- 2nd

【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ せかんど】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ
ディンゴ
発売日 2010年7月29日
定価 6,090円
廉価版 お買い得版*7:2011年12月15日/3,300円
判定 良作

概要(2nd)

  • 好評に応えて、2010年7月29日に続編『初音ミク -Project DIVA- 2nd』が発売された。
    • 前作からのセーブデータ引継ぎが可能。前作での獲得モジュール全てを引き継げるほか、引継ぎ特典もある。

特徴・変更点

  • 46曲をプレイ可能。内訳は、新曲30曲(うち書き下ろし4曲、前作でエディット専用楽曲だった物が2曲)+前作からの継続収録曲16曲。
    それに加えて、チュートリアル曲が1曲と、スタッフクレジット及びエディットモード専用曲9曲も収録されている。これらも合わせれば全56曲。
    • その一方で一作目から継続収録されずに消えていった曲も多い。そのため『2nd』が発売された現在でも、一作目を購入・プレイする意義は存在する。
      • 中でも『桜ノ雨 -standard edit-』という曲は『ドリーミーシアター』や続編作品にも収録されず、一作目でしか遊べない。現在は『F 2nd』およびアーケード版に『桜ノ雨』が収録されているが、これは別テイクであり、一作目のものとは編集やPVも異なる。
  • ''方向キーが○×□△キーと同じ機能を持つようになった。
    • ''たとえば「○○○○○」という譜面に対して「○右○右○」という入力が許容されるようになり、連打の厳しさが軽減された。
      ○×を右手で、□△を左手(方向キー)で押すようにすると、アーケード版に近い感覚でプレイすることも可能。
    • 新システム「同時押し」と「長押し」の採用。
      • 同時押しは上下左右の矢印が出現し、右手と左手で同じ方向のボタンを押す。例えば右向きの矢印(→)が出現したら、○と方向キーの右を同時に押す*8。アーケード版とは異なり、異なるボタンの同時押し(○+△など)はない。
      • 長押しは、蛇のように長いメロディアイコンに合わせてボタンを長く押す。アーケード版のHOLDとは異なり、離す時も規定のタイミングに合わせなくてはならない。そして長押し操作をしながら他のボタンを押すことは無い。
    • 押し間違えが一律WORST(見逃しなどと同じ)扱いになったため、難しい部分をゴリ押しすることができなくなった。
      なお、長押ししている間に他ボタンを押した場合、その回数分だけWORST判定が出てしまう。
  • 難易度『EXTREME』が追加され、1曲につき4段階の譜面となった。
    • これらの変更点により、前作から継続収録されている曲も譜面は変更されている。
    • EXTREMEをクリアしないと出現しないアイテムは無く、HARDまでクリアできれば全てのアイテムが出現する。称号は別だが。
  • 楽曲クリア条件が、スコアから「COOL+FINE率」へと変更された。従来からフルコンボを意味していた「PERFECT」評価に合わせた形となる。
    • COOL+FINE率によるクリア評価には「PERFECT」と「GREAT」の中間である「EXCELLENT」も追加された。ちなみにこのEXCELLENT評価は、アーケード版にも稼働途中から取り入れられた。
    • チャンスタイムのスコアリングが、コンボ数でなく各ノーツごとの評価で決まるように。また、チャンスタイム終了時のボーナスはチャンスタイム中のミス数から決まる。
      • とはいえ大きくスコアを稼げるというのは同じ。前作と違いスコアが評価に影響しなくなったが、当然ハイスコア狙いの際はミスは出来ない。
  • ヘルプアイテムの追加。
    • エナジーが0になったときに一定量回復してくれるアイテムや、コンボの失敗を一定回数成功にしてくれるアイテムなどがある。
    • アイテムを使用した際のデメリットは特に無い。使うかどうかはユーザーのプライド次第。
  • 一作目のボス曲「初音ミクの消失」を、あらゆる意味で上回る「初音ミクの激唱」なる曲が収録されている。最高難易度・EXTREMEでの理不尽さは「消失HARD」の比ではない。
    • 難度表示は『2nd』中最難の☆9で、特に初見のプレイヤーには『どうすればいいのだ』と本気で思わせるほどに凶悪である。上記のように今作では連打の厳しさが軽減されているのだが、この曲の凶悪さはそれを上回る。
    • 前作の「消失」が「親指クラッシャー」と揶揄されるのに対し、「激唱」は「PSPクラッシャー」と揶揄されていると言えば、その凄まじさが分かるかもしれない。
      • 後述の続編『extend』では他にもEXTREME☆9の楽曲が登場したが、そのいずれも続投した「激唱」程の難易度ではない上、「激唱」の☆9だけは赤色で強調されていてある意味☆10扱いである*9。如何に突出した難易度を誇るかが窺えよう。
    • ちなみにエディットモードを起動すればわかることだが、「激唱」専用のPV背景は極めて簡素で、PSP本体の処理能力負担が軽いものである。凶悪な高難易度譜面を実現するための処置だが、PVのカメラワークや演出アイデア等がそれを補ってなおあまりあるものだった。
  • その他の変更点など
    • エディットモードが一新。2人同時表示が可能、エフェクト追加、素材増加などパワーアップ。
    • 「ミクルーム」は「DIVAルーム」となり、各VOCALOID毎に存在する(「亞北ネル」「弱音ハク」「咲音メイコ」の専用ルームもある)。たまにちょっとしたイベントが起こったり、時には他のVOCALOIDが遊びに来ることも。
    • モジュール、ルームアイテムはポイントを使用して入手する形となった。アイテムの出現には曲をクリアすることが必要だが、前作のようにGREAT以上、MAX○コンボ以上などの条件は課されなくなった。
    • フリープレイでボタンひとつでモジュール変更が可能になり、前作のようにいちいちメニューに戻る必要が無くなった。
  • DLCに本格的に対応しており、プレイヤーの待ち望んだ曲や追加コスチュームなどが有料で追加販売された。一作目の「おかわり」のような特別なインストール作業は必要なく、PlayStationストアから普通にダウンロードするだけでいい。
    • なお、ルームアイテム等のちょっとした小物は、無料DLCとなっている物もある。

評価点(2nd)

  • 収録曲数が増加
    • 新曲には初音ミク以外のボーカロイドが歌う曲も含まれている。PVもデフォルトでは、そのボーカロイドとして設定されている。
    • デュエット曲も採用。そしてこれに対応して、PVも2人同時表示が可能な仕様となった。
    • 設定上、初音ミク以外のVOCALOIDはミクの擬態ではなく、ちゃんと本人が出演しているという形になった。モジュールコンバート(着替え)も可能。
  • 凶悪な「激唱」も、難易度EASYでは☆2という良心的な譜面となっている。一作目・『2nd』ともに、難易度さえ下げれば誰でも好きな曲・好きなPVを楽しめる仕様である。
  • 難易度・方向キー・同時押し・長押しの追加
    • 変化に富んだ多彩な譜面が登場した。

難点(2nd)

  • PVを見るのに手間がかかるようになった。前作ではフリープレイからボタンひとつで見られたのだが、今作ではDIVAルームに入ってメニューから選ばなければならない。
    • PVを見る際のモジュール選択も同様。文字のみなのでわかりにくい。
  • 曲順がばらばらなので目当ての曲が少々探しにくい。ソートも無く、前作のようにタグ分けされてもいない。
    • とはいえ曲数はそう多くないため大きな問題ではない。
  • フリープレイの画面で成績が確認できない。前作では一応パーフェクトを達成すればマークが付いたのだが。
  • BPM表記が可変BPMに対応していない。そのため、表記よりも速い・遅い曲がいくつかある。

総評(2nd)

前作から順当に進化した内容であり、曲数や使用可能キャラの増加、チュートリアル曲の追加などは評価に値する。

前作より操作が難解になり、難しい難易度の曲を演奏するにはある程度の慣れがいるという点もあるが、それを差し置いても非常に楽しめる作品に仕上がっているので、音ゲー好きなら、ぜひ一度手にとってもらいたい。

その後の展開(2nd)

  • 『2nd』対応のPS3用追加コンテンツ『初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアター2nd』も配信された。
    • 一作目の『ドリーミーシアター』より値段が上がっているが、一作目の楽曲も収録されている(「おかわり」などの追加楽曲は無し)。
    • また、細かいところでは起動の度にPSPのデータを読み込む必要がなくなっている。
  • 「初音ミクの消失」は後にArcadeに移植された。譜面は変更されたものの、こちらでも凶悪な難易度を誇る。

初音ミク -Project DIVA- extend

【はつねみく ぷろじぇくと でぃーう゛ぁ えくすてんど】

ジャンル 音楽ゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 セガ
ディンゴ
発売日 2011年11月10日
定価 5,229円
判定 良作


概要(extend)

  • Project DIVAシリーズの3作目。
  • 収録曲は一作目や2ndよりも少なくなっているが、その分価格も安くなっている。あくまで『3rd』ではなく『extend』という位置づけなのだろう。
    発売前の仮称も『初音ミク -Project DIVA- Ver.2.5(仮)』であったことから、最初からその位置づけとして制作されたと思われる。
  • 本作に対してもPS3で『初音ミク -Project DIVA- ドリーミーシアターextend』が配信されている。

特徴(extend)

  • 前作2ndのセーブデータを引き継ぐことが可能。獲得したモジュールやルームアイテム、DIVAポイントが引き継げるほか、引き継ぎ特典もある。
  • プレイ可能な曲数は36曲。内訳は、新曲19曲(うち書き下ろし1曲、1作目でエディット専用楽曲だったのが2曲、1作目のおかわり・もっとおかわり収録曲が7曲)、Arcade曲が3曲、2ndからの継続収録が6曲、2ndのDLC楽曲が8曲(うち1作目からの復活が4曲、Arcade曲が3曲)。
    他にチュートリアル曲が1曲(前作と同じ)と、スタッフクレジット及びエディットモード専用曲3曲も収録されている。これらも合わせれば全40曲。
  • 『2nd』のDLCはほぼextendに収録されているが、一部収録されていないものがある。
    • 収録されていないのはモジュール「重音テト」やアイマスコラボのモジュール以外など。
    • 収録されていないものも、DLCを持っているならオプションのデータインポートからインポートすればextendでも使用可能。
  • リズムゲームのルールは2ndのものに調整を加えているが、特に追加要素は存在しない。
    • 『2nd』における、ボタンを押し間違えたときにWORSTが二重でカウントされた現象がなくなった。長押し中に違うボタンを押すと、WORSTカウントと同時に長押しは中断されるようになっている。
    • 逆に同時押しについては、『2nd』では同時押し時に関係のないボタンが入力されても問題なかったが、本作ではWORSTに判定されるように変更され、ゴリ押しは効きづらくなっている。
  • 「DIVAルーム」や「エディットモード」なども引き続き存在している。
    • 「DIVAルーム」では各キャラクターを選択した回数が表示されるようになった。
  • プロフィールにつけられる称号が一新。中には獲得にかなり苦労するものも。
  • 一つだけEXTREMEクリアが条件のモジュールがあるが、『ミクで100曲プレイ』という方法でも出現するため、必須ではない。

評価点(extend)

  • 新曲に関しては、PVが従来作よりも作りこまれたものとなっているため、評価が高い。
    • あの「初音ミクの激唱」も凶悪な難易度そのままに健在である。
  • 前作で追加されたヘルプアイテムに加え、チャレンジアイテムが使用できるようになった。
    • 厳しい条件が追加される代わりに得られるDPが2倍、4倍に増加する。今作ではモジュールの数が非常に多いためDPを貯める際大いに役立つだろう。
  • リザルト画面にクリアレーティング(%)追加。また、リザルトボイスが増量。
  • リズムゲーム楽曲選択画面で、鑑賞モードの選択やクリア履歴、ハイスコアが確認できるようになった。
    • PV観賞やスコア確認の手間がなくなったのはありがたい。
  • 前作からモジュールの人気があったが今作では爆発的に大人気となりファンの心を鷲掴みにした。
    • 楽曲選択前にスタートボタンを押すとデフォルトモジュール(その曲のボーカルを担当しているキャラクター)が一時的に選択される機能も搭載された。

総評(シリーズ全体)

  • インターネットを中心に爆発的な人気を博していた初音ミクと、直感的でシンプルに遊べる音楽ゲームの相性は抜群に良く、本作は大ヒットを記録した。
    多数の続編にも恵まれ、PSPでは計3作がリリース。アーケードゲーム『初音ミク Project DIVA Arcade』としても移植され、後にVITA版とPS3版も発売されるなど、人気シリーズとして定着を果たした。

その後の展開(シリーズ全体)

  • 人気アニメのキャラが一堂に会するリズムゲーム『ミラクルガールズフェスティバル』には本シリーズと同じゲームエンジンが採用されており、リズムゲームとしてのシステム・ルールがほぼ同一の物になっている。
  • 『extend』まで開発の片割れであったディンゴは、2017年3月21日までに事業を停止して自己破産申請の準備に入り、すなわち倒産してしまった。
    • ニュースサイト等でも代表作として本作が紹介されたが、サイトによっては見出しの表記から「ミクの会社(クリプトン社)が倒産した」と誤解する人がいた。

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最終更新:2024年03月21日 21:09
添付ファイル

*1 スコア理論値の40%で[STANDARAD]クリア。なお、70%で[GREAT]クリアとなる。

*2 うち初音ミクのものは「ミク」とかけた39種類。ただしデフォルトもあるので実際は40種類

*3 収録楽曲の「Ievan Polkka」から「金の聖夜霜雪に朽ちて」までの5曲。

*4 他の音ゲーではよほど曲のテンポが遅いか初心者でもない限り「判定ラインを見ながら目押し」することはない。

*5 ミクの水着ならデフォルトモジュールのミクで全曲制覇といったように、キャラごとに対応された水着が開放される

*6 『f/F』や『F 2nd』ではCEROがC判定となっているが、これについては『f』新規登場モジュールの影響説があるためそちらの記事を参照(『MEGA39's』も同モジュール収録の影響かC判定)。ちなみに『extend』までや『X』はB判定。

*7 リズムゲームの仕様がextendと同様のものに変更されている(通常版もアップデートで対応)、2ndでDLCとして販売されているものを除いたextendで追加されたモジュールが使用できるプロダクトコードが付属しているなどの変更点がある。

*8 説明書には記載されていないが、一方を押したままの状態でもう一方を押すという操作でも、同時押しの入力として認められる。

*9 実際、演奏後にもらえるポイントの設定は他の☆9楽曲よりも多くなっている。