ドラえもん ワクワクポケットパラダイス
【どらえもん わくわくぽけっとぱらだいす】
ジャンル
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バラエティ(ミニゲーム集)
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対応機種
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キッズギア(ゲームギア)
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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シムス
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発売日
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1996年4月26日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人、協力・対戦プレイ
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周辺機器
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対戦ケーブル対応
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レーティング
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セガ審査:全年齢推奨
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判定
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良作
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ポイント
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ドラえもん版タントアール
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ドラえもんゲームリンク
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概要
ゲームギアがキッズギアと名を変え、低年齢層向け携帯ゲーム機として路線転換したハード末期に発売されたドラえもんのミニゲーム集。
同ゲーム機のドラえもんゲームとしては『ドラえもん ノラのすけの野望』に続き2作目。
アーケードや家庭用移植作で人気を博した『タントアール』シリーズのドラえもん版ともいえる内容で、ゲームモードはルーレットで選ばれた12種のミニゲームをこなして物語を進めていく1Pストーリーモード、その2人協力ゲームの2Pストーリーモード、好みのミニゲームをプレイ・練習できる1Pフリーモード、ミニゲームでの対人戦となる2Pバトルモードの全4つ。
あらすじ
「2時間もママにお説教された」「かあちゃんに奴隷のようにこき使われる」など、親たちへの不満を募らせたのび太・スネ夫・しずか・ジャイアンの4人は自分たちだけの国を作ろうと、ドラえもんが留守の間にスペアポケットから取り出した「ポップ地下室」とロボットを使って、地下にそれぞれの夢の国を作った。しかしロボットが暴走、みんなは捕らえられてしまう。
ドラえもんが帰ってくると、地下から唯一逃げることのできたのび太が泣きつき事情を話す。話を聞いたドラえもんはみんなを助けるため、のび太とともに地下世界へ向かうのだった。
(説明書・ゲーム内デモより要約)
ストーリーモード概要
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1Pはドラえもん、2Pはのび太を操作し、地下世界に作られたスネ夫、ジャイアン、しずか、のび太の国を順番にクリアしていく。
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最終ワールドののび太の国をクリアすればエンディング。
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ミニゲームに失敗するとライフが減る。初期値は3つでミニゲームをクリアすると2つ増える。ライフがすべて無くなるとゲームオーバー。コンティニューは回数制限付で可。
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ワールド内ではスゴロク状のマップ画面による会話と移動→ルーレットでミニゲーム選択→ミニゲームをプレイ→会話と移動……を繰り返して、ゴール地点まで進んでいく。
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マップの途中にはミニゲームのプレイ回数は多いがその難易度は低いルート、逆にミニゲームのプレイ回数は少ないがノルマ数が増えるなど難易度が高くなるルート、記憶型やアクション型など特定のミニゲームのみプレイするルート、などの分岐がある。分岐点に入ると説明がされ任意で選択できる。
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各ワールドにはミニゲームのクリア後、ルーレットでボーナスアイテムがもらえるマスが2つ用意されている。ここでもらえるタケコプターはマップ画面で2マス進める、ドラ焼きはライフが回復する、などの特典がある。いずれも入手と同時に使用され、キープしておいて後で使うことはできない。
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各ワールドの最後にはボスキャラクターがおり、複数回ミニゲームをクリアしないと勝つことはできない。
ミニゲーム説明
ミニゲームのジャンルはアクション型・タイミング型・思考型・記憶型に分けられており、ゲーム内ではミニゲーム開始前の説明画面に表示されるドラえもんのイラストで区別できる。
アクション型
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くうきほう
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9分割された窓状の画面に照準を合わせ、時間内に規定数の敵を倒すシューティング。
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何もない場所や、スネ夫やジャイアン・しずかなど味方キャラクターを攻撃するとしばらく動けなくなる。
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ももたろう印のきびだんご
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ドラえもんまたはのび太を操作し、画面左から追いかけてくる恐竜にきびだんごを投げつけ、時間内に規定数食べさせる強制右スクロールアクション。設定の元ネタは「のび太の恐竜」。
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恐竜や道中の岩をよけながらきびだんごを投げる。恐竜の口が開いていないとだんごを食べたことにならないが、だんごを投げられる数に制限はない。
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モグラ手ぶくろ
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ドラえもんまたはのび太を操作し、地中を掘り進んで時間内に右端のゴール地点へ移動する。
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ゲーム開始前に落盤する岩や、来た道を戻される水道管などの障害物が表示される。これらはゲーム中には隠されてしまうので、場所を覚えた方が当然有利。
タイミング型
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のび太のあやとり
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順次型を変えている画面下部のあやとりの手が、画面上部の手本と同じ型になったところでボタンを押す。
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ミニゲームとはいえあやとりを題材としたゲームも珍しいだろう。
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ヒラリマント
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上下左右から現れるころばし屋の攻撃をヒラリマントで跳ね返し撃退する。時間内に規定数反撃でノルマ達成。
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ころばし屋のかわりにミニドラが登場することもあるが、フェイントをかけてくるだけで何もしてこない。
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はいどうたずな
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動物に乗ったドラえもんまたはのび太を操作し、時間内にゴールを目指す疑似3Dレースアクション。
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動物は度々左右にバランスを崩すので、中央を走るよう重心を補正しながら進んでいく。ジャンプしたときは落ちないようボタン連打も必要。
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他のゲームと比べるとやたら難しい。
初プレイでは時間切れ、もしくはゴールできても転びまくるプレイヤーが多いだろう。フリーモードでの練習必須。
思考型
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ほんものはどれだ
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数パターンの動作を繰り返す4人のキャラクターのうち、1人だけ違う動きをしている本物のキャラクターを時間内に当てる。他の3人はヒトマネロボットが化けている偽者。
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このゲームでは
ゴーゴーを踊るのび太のママ
を見ることができる。
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いれかえロープ
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いれかえロープで心と体が入れ替わってしまったいつもの5人を時間内に戻す。ただしロープは3人並んだ範囲の端2人しか入れ替えられないので文字通り一筋縄ではいかない。
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ここでは
ボエ~
とヘタクソに歌うしずかちゃん(の姿をしたジャイアン)、ニタニタ嫌味な顔をしながらラジコンを飛ばすドラえもん(の姿をしたスネ夫)、裸で気持ちよさそうに体を洗うジャイアン(の姿をしたしずかちゃん)など、ありえない組み合わせが見られる。
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おしかけでんわ
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画面左のドラえもんが右のドラ焼きにたどり着けるよう、迷路のように入り組んでいる電話線をたどり、中央縦のパネルを上下に入れ替え、時間内に正しい通路を作る。
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間違えるとネズミのいるところにたどり着いてしまいミスとなる。
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2人用ゲームでプレイヤーがのび太の場合、どら焼きはアイスクリームに、ネズミは犬に変わる。
記憶型
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表情コントローラー
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手本としてまずキャラクターが数回表情を変えるので、その手本どおりの順番に正しい表情を選ぶ。表情は全部で6つ。レベルが上がると表情を変える回数や速度が増して難しくなる。
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ここではジャイアンやしずか、スネ夫のほか、
ムス子さん
といったドマイナーなキャラまで出てくる。原作の表情コントローラの話に出てくるゲストキャラとはいえ、あえてムス子さんをゲームに出すチョイスっぷりが素敵。
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どこでもドア
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16個あるドアの中から任意の2個を開いて、同じ場所に繋がっているドアのペアを時間内にすべて探す、要は神経衰弱。
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ドアの向こうは土管の空き地や学校のほか、
晩酌中の先生、ハルカ星人ハルバル
もいる。
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ドアの組み合わせを間違えてもペナルティはないが、中には開けただけで時間をロスするドアがある。そのドアはお風呂に入っているしずかちゃんと、
ホゲ~
とヘタクソに歌うジャイアン。しずかちゃんのドアを開けるともちろん
お湯をぶっ掛けられる。
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手に取りぼうえんきょう
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「ドラえもんのすきなたべもの」「そらをとぶどうぐ」など文章で表示されるヒントを参考に、答えの物を4×4マス・全16マスの視界から探して取るクイズ。
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プレイヤーは1マスずつ視界を移動させて答えの物を選び取る。現在見ている視界の場所とそこにある物以外の情報は表示されない。
評価点
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ドラえもんの設定を落とし込んだミニゲーム。
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ミニゲームはドラえもんのひみつ道具やキャラクターを題材としたもので、ルールやクリア条件もわかりやすくされている。
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「時間内にノルマクリア・ゴールへ移動」などのアクションゲームはミスしても即失敗とはならず、時間ロスで済む優しい作り。
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さらに前述のとおり、ミニゲームの演出には1話限りのゲストキャラ登場など、原作から拝借したネタをふんだんに仕込んでいる。
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キャラゲーとして良好なグラフィックとシナリオ。
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キャラクターグラフィクは漫画寄りで若干クセが見られるものの、よく再現されている。もちろんカラーのゲームギアなのでなおさら見栄えが良い。
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ミニゲーム画面の左上に常時表示されるドラえもんやのび太の顔、画面内のキャラクターは、ゲームの進行や成否によりさまざまな表情を見せてくれる。
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ゲーム開始時や各ワールドの開始・終盤で見られるストーリーデモも、話に合わせてキャラクターがずっこけたり驚いたりと、リアクションは豊富。
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マップ画面やストーリーデモの合間に交わされるセリフ、夢の国のモチーフも各キャラクターの性格をしっかり反映しており、最後はちょっとした教訓を交えながら大団円で終わるドラえもんらしいもので、映画……とまではいかなくともTVスペシャルのようなノリ。
問題点
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ストーリーモードにセーブやパスワードの類が一切なく中断不可。
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元ネタとなるタントアール同様、エンディングを見るためには最後までぶっ通しでプレイするしかない。せめてワールドクリアごとにパスワードがあれば良かったのだが。
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さらに「スゴロクマップのマスと(ほぼ)同数ミニゲームをクリア」「マップ画面の会話演出」「全4ワールド」などの特徴から、タントアールにおけるアーケードモードよりも実時間・体感時間ともかなり長い。
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最後までプレイすると同じミニゲームを何度も遊ぶことになりだれてくる。そのミニゲームにも、難易度の差があり、難しいミニゲームが連続した時はまさに悲劇としか言いようがない。
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これらの仕様に加えコンティニューも回数制限があるため、低年齢層向けとしてはやや厳しめ。
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アニメのゲーム化とは名ばかりの漫画寄りの各要素。
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パッケージはどこからどう見ても当時のアニメ絵のトレースなのだが、ゲーム内のキャラクターグラフィックや演出は完全に漫画を参考にしているようで、逆に言えば漫画を全く読んだことのないプレイヤーには違和感を覚えるグラフィックかつ、おそらく上記のネタ要素も十分には楽しめない。
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開発サイドとしてはテレビやビデオの必要なアニメよりも、本だけで済む漫画のほうが利用しやすいという事情もあるのだろう。
総評
キャラゲーのミニゲーム集というよくある組み合わせだが、デモ内におけるキャラクターのセリフやシナリオ、ミニゲームの設定・演出など随所に原作へのオマージュを盛り込み、ファンが違和感なく楽しめる1作。
これらのネタ要素はキッズよりもむしろ大人の方が楽しめるかもしれない。
説明書にわざわざキャラクター語録を載せるほどドラえもんが好きでたまらニャいスタッフが作った、愛のこもったキャラゲーといえるだろう。
余談
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いい意味で無駄な充実っぷりを見せる説明書。
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説明書は手帳サイズの大判かつフルカラーで、ゲームシステム・ミニゲームともページを割いてやたら丁寧に説明されている。もちろん漢字にはオールふりがな付き。
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ミニゲームは一度プレイすれば呑み込める程度のルールにもかかわらず、各々1ページずつ使ってゲーム画面の見方と遊び方を解説している。
・・・と、ここまでは低年齢層向けに丁寧に作られた説明書、なのだが……
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ゲームに登場するすべてのひみつ道具をゲーム内の画像付きで紹介・解説するページがある。ミニゲームの題材になっている道具だけでなく、ストーリーデモやゲームの説明画面に出てくるだけの道具も掲載。
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巻末にはおまけとして解説付のキャラクター語録が掲載されている。イラストが大部分とはいえ
おまけなのに2ページもあるが。
紹介しているセリフも解説も「あるある」と納得できるものばかり。どんだけドラえもん好きなのよ、スタッフ。
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後にゲームボーイでもドラえもんのミニゲーム集が発売されるのだが、ドラえもんとは無関係なミニゲームを淡々とプレイするクソゲーとなってしまった。
最終更新:2023年09月22日 15:24