ケツイ デスレーベル

【けつい ですれーべる】

ジャンル 弾幕シューティング
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 アリカ
開発元 ケイブ
アリカ
発売日 2008年10月23日
定価 5,800円(税5%込)
プレイ人数 1~8人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント DS唯一の弾幕STG
ボスラッシュがメイン
気軽にドゥーム様と戦える
現在はファンアイテム的な立ち位置
ケイブSTGシリーズ


概要

ケイブの人気弾幕STG『ケツイ~絆地獄たち~』初の家庭用タイトル。

当時、アリカは『ケツイ』をPS2へ移植しようと考えていたが、完全再現できない部分があるため断念、お蔵入り状態になっていた。
そこでボス戦だけに的を絞ってDSにアレンジ移植という奇策を用いて発売されたのが本作である。


特徴

前述(そしてサブタイトル『デスレーベル』)の通り、本作は『ケツイ』における中ボスおよびボス戦のみに的を絞った移植が行われている。

  • 移植元の原作とハードが全然違う、を通り越して「原作が縦画面仕様のアーケードゲームで本作がDSの通常保持前提のゲーム」という状態のため当然といえば当然なのだが、画面解像度が全く違う。ただし、その前提でゲームシステムやゲームバランスが本作独自の調整をされており、単体のゲームとして違和感のない造りになっている。
    • 原作の解像度は縦画面で横224ドット×縦448ドット(1画素が正方形ではない)であり、本作の…というよりDSの1画面の解像度は横256ドット×縦192ドット。
  • シングルプレイと多人数でプレイ出来るマルチプレイ、他モードで保存されたリプレイを見るリプレイモードが用意されている。
  • シングルプレイには複数の難易度コースが用意されており、基本的にはコースごとに指定されたボスを順番に全て撃破し、新たなコースを解放していくという構成。
    • コースを中止せずクリアかゲームオーバーのどちらかまでプレイしきると、次に同じコースを挑戦する時の初期残機が最大20まで増加。ただし、DOOM MODEやEXTRAでは残機増加はしない。
    • 登場するボスは原作の登場順とは関係なく、終盤のボスの後に1面のボスが登場するなどの変則的編成にアレンジされている。1度遭遇したボスはトレーニングで何度でも再戦可能。
    • 初期出現しているコースは3つ。そのうち一つはACの真ボス「光翼型近接支援残酷戦闘機エヴァッカニア・ドゥーム」のバリエーションと連戦する「DOOM MODE」であり、攻略ルートから独立した存在となっている。
  • マルチプレイは、1VS1の「VSモード」と最大8人で協力プレイする「絆モード」の2つが用意されている。
    • 「VSモード」は後述するEXTRAコースを易化したような専用ステージで稼いだ倍率を競う。倍率差を示すゲージが5秒間振りきれると決着、ステージ完走しても決着しなかった場合エヴァッカニア・ドゥーム戦のサドンデスになる。
    • 「絆モード」では画面下部にゲージが表示され、このゲージがなくなるとランダムで選ばれた次のプレイヤーに交代していく、というリレー形式のシステムになる。またノーミス時間によってボムが支給される。
  • 攻略内容がACと大幅に違う事もあり、基本システムも変更されている。
    • ACでは道中で稼いだ倍率チップを保った状態でボスを速攻するのが重要だったが、今作では道中がないためボスにショットを当て続けるだけで倍率チップが出現する。
      近づくほど高いチップが出現する点はAC同様だが、所謂「着火」*1はないため、いかにしてボスの近くをキープし続けるかが得点にダイレクトに響く。
      • ただ近づいて撃つだけでは高得点は出せず、ロックショットを展開しすぎてオプションのショット当てすぎないように、しかし敵に自爆されないようにロックショットを撃たなければならない。
      • ボス戦中に倍率チップが大量に飛び交うと視認性が悪くなることを考慮して、倍率チップの表示時間はコンフィグで変更可能(4フレーム(4/60秒)~無制限)。
    • オートボムが搭載。発動すると所持しているボムを全て消費して1回分撃墜を回避し、一定時間敵弾にスローがかかる。オプションからON/OFFの切り替えも可能。
    • 手動ボムの効果が「敵弾を消して倍率チップに変換する」という稼ぎ用のシステムになった。これに伴いボムは次のボスが出る度に最大まで補充される。ノーミスで抜けるとボーナスとして1発おまけされてスタート。
    • ACではAタイプとBタイプで当たり判定の大きさが若干違ったが、今作では同じ大きさになっている。(後述する「「おしえて! IKDさん!!」」の中で具体的に説明される)
  • ケイブ家庭用作品では珍しくおまけ要素も搭載。
    • 「EVACリポート」は前述の通り、ゲームプレイで条件を満たすとパネルが解放されていく。パネルを全て揃えると各ボスのデザイン画が完成し、「おしえて! IKDさん!!」の内容が解禁されていく。
    • 「おしえて! IKDさん!!」はメインプログラマーの池田恒基氏本人によるゲームの解説やACのプレイ動画を参照できる。主人公たちとの貴重な会話シーンも見れる。

評価点

  • ボス戦のみに的を絞ったおかげで弾幕は若干アレンジされつつも再現されている。
    • 難易度が低いとさほど弾も出ないが、最終的にはやっぱりAC相当の弾幕が展開される
    • 最高難易度クリアで登場する*2「EXTRA」では、まさかのAC版のSTAGE5*3がまるごとプレイ可能。敵配置が別物になっているものの、AC版の雰囲気を味わうには十分な内容に仕上がっている。
      • 例えば中ボス後の道路のあたりはスカイフィッシュ(雑魚戦闘機)ではなく大量の陸戦車が現れる等、ゲームとして違和感無く面白いアレンジが効いている。たまにやたら移動速度が速い戦車も混じっているネタから、「チョロQ地帯」なんて呼ぶ人もいるそうな。
  • ハード性能の影響もあり、難易度は全体的に下方修正がかかっており初心者でも手軽にプレイ可能。
    • ボムの使用を推奨するシステムやオートボム、またEVACリポートの長期間解除*4といった救済も多く初心者にもかなり優しめ、弾幕STGの入門としても良いと思われる。
    • リタイアさえしなければ、同じコースを繰り返すたびに問答無用で残機は増える。ボムの無敵時間の長さも相まって、初心者でも繰り返しプレイで確実にクリアに近づけるように設計されている。
    • とは言っても難易度曲線などを考慮すれば十分バランスは取れており、中・上級者でも楽しめる内容に仕上がっている。特に残機固定の終盤コースは上級者でも相当に手を焼く。
  • 「おしえて! IKDさん!!」がなかなか面白い。
    • 今作そのものだけでなく、AC原作版の攻略情報まで教えてもらえるため意外とためになる。
      文章だけでなく、イラストや実際のプレイムービーまで見せてくれるため非常に分かりやすい。
    • ちなみにユウマが初心者向け解説、アリスが上級者向け解説、スティールがAC版の要素の解説、エヴァンズマンがAC版暴露話担当。
  • 地味に笑えるネタ要素。
    • ファンアイテム的な立ち位置ということもあってか、昨今のケイブらしいバカゲー的な要素も含む。例えば……
      • 「おしえて! IKDさん!!」で登場する池田氏は実写取り込み。地味にポーズのパターンも多いので爆笑必至。「おしえて!IKDさん!!」タイトル画面でエヴァッカニアの代わりに、たまに池田氏が登場することもある。*5
      • 「アリスにのみ信頼を寄せている」「愛人が男性である」という裏設定通り、アリスを狙うロイド・エヴァンズマン(知らない人に解説すると、アリスとはパッケージやポスターにも登場している主人公の男キャラでありつまりそういう事である)。
        そしてそのエヴァンズマンの事情を知らず、根掘り葉掘り恨みの兄のことを聞かれ顔面蒼白するユウマ
      • AC版の知られざる不具合や仕様を暴露しようとして池田氏にボコボコにされるエヴァンズマン。(ちなみにエヴァンズマンが暴露しようとした話の尽くは割と有名。ネットで調べれば出てくるレベル)
      • 最終章では池田氏のみならず、アリカの三原副社長等ほかのスタッフも実写で登場。そしてメール文章ラストの選択肢が<YES><OK>
    • やたら多いエヴァッカニア・ドゥームのバリエーション。もはや看板キャラ扱い。
      • DOOM MODE限定の「光翼試作型」「光翼型試作支援機」「光翼型近接支援残酷戦闘機」「光翼重装迎撃型残酷戦闘機」他にもモードごとに多々。そしてこの大量のバリエーションで、本作の約半数のコースという幅広い難易度に対応している。
      • 本作のコンセプトの1つに「気軽にドゥーム様と戦える」というものがあり、実際ゲーム開始直後にバトルへ直行可能(おまけにそのDOOM MODEコースは体験版にも搭載)。それでいいのか真ボス。
    • 原作は至極硬派なミリタリーものだったが、それ相応に濃い裏設定・ネタ要素(特にエヴァンズマン関連)があったのも事実。それをケイブファン向けにはっちゃけさせちゃったのが今作である。

問題点

  • やはりDSの画面では弾が見づらく、この点で無駄に難易度が上がっている。
    • 画面の大きさの問題で画面外にパーツが出ていたりする事が多いため、全パーツを剥がして撃破などが困難なケースがよくある。
    • 現在ならLLシリーズを使用する事で多少は改善可能。
  • ボムの仕様が大きく変更されたため、AC版とは違った感覚でのプレイを要求される点はやや不評。
    • 緊急回避用ではなくスコア稼ぎ用であり、二周目や隠しボスの条件といった制限も特に存在しないため、ACとは真逆で積極的に使いきって行った方が明らかに得。
  • トレーニングでは唯一エヴァッカニア・ドゥーム系列と戦えない。
    • かなり手軽にその一部に実戦を挑めるとはいえ、この点は惜しまれている。

総評

数少ない、というかほぼ唯一のDSで遊べる弾幕STG*6。家庭用ハードで『ケツイ』を遊べる最初のタイトルでもあり好評を博した。
「ケイブの弾幕を手軽に楽しむ」一点に関しては携帯機&ボスラッシュメインということもあり最も優れている作品の一つといえる。
加えてディープなファン要素もあり、STGライトプレイヤーからディープなケイブファンまで幅広く楽しめる一作である。


余談

  • 需要に反して生産数が少なかった。
    • ソフト全てにスペシャル攻略DVDが付属して発売されていたためと思われる。現在はプレミアがついており中古でも定価以上、新品だと1万円越えということが多い(2014年1月現在)。
  • 後にXbox360とPS3向けに原作の移植版が発売された。
    • 収録されている資料や「おしえて! IKDさん!!」の存在から、本作は現在はファンアイテム的な位置づけになっている。
  • 公式サイトでは「ガンナー」と表記されていたエヴァンズマンとユウマが、「おしえて!IKDさん」では「オペレーター」と名乗っている。

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最終更新:2023年05月17日 21:38

*1 ACでは取った倍率チップの最高値が固定され、一定カウント以内は敵を倒した時に必ずそのチップのみが出るようになるシステムだった。接近撃破して倍率チップを5に固定する行為を、プレイヤーの間では「着火」と呼ぶ。

*2 もう1つの条件として、シングルとトレーニングの合計プレイ回数が240回以上&EVACリポート106個以上解除でも解禁される。

*3 概要で述べた「完全再現できない部分」がまさしくAC版の5面であったと言われている。

*4 プレイ時間が長引いた場合、解除されなかったパネルは半透明状態になっていく。この状態でも該当する隠し要素は解放されるが、ここからでも条件を満たすことでパネルは完全に見えるようになる。

*5 なお「おしえて!IKDさん!!」を選ぶ際にAボタンを押しっぱなしのままにすると確実に池田氏を出すことが出来る

*6 DSiまで含めれば、『ああ無情 刹那』などが存在するが