電波人間のRPG

【でんぱにんげんのあーるぴーじー】

ジャンル ロールプレイング
対応機種 ニンテンドー3DS
メディア ダウンロード専売ソフト
発売・開発元 ジニアス・ソノリティ
発売日 2012年2月8日
定価 800円
判定 良作
電波人間のRPGシリーズ : 1 - 2 - 3 - FREE!


概要

過去に『ポケモンコロシアム』、『ポケモンバトルレボリューション』などを手がけてきたジニアス・ソノリティが開発元のダウンロードソフト。
ジニアスの前身とも言えるハートビートは『ドラゴンクエストシリーズ』を手がけており、それらのセルフパロディが作中に含まれている。


特徴

今や日常の中にあふれている電波、その中に人に知られることなく漂う「電波人間」。彼らをニンテンドー3DSで捕獲し戦っていく、というRPG。
電波人間はWi-Fiのビーコンを元に生成されており、同じ電波からなら同じ電波人間が現れる。彼らは個体ごとに顔や体色、使える特技が違うため、様々な場所に赴いて捕獲する必要がある。
アンテナを持ち、特技を使える電波人間と、アンテナを持たないがステータスがふた周りほど高い電波人間の2種類が存在し、体の大きさによって高い能力と低い能力が変化する。


評価点

  • 街中にありふれているが決して見えない「電波」と3DSのカメラ機能、無線通信機能をうまく組み合わせたゲームデザイン。
    • 多くのRPGはゲーム内で現れたキャラクターを仲間にしていくが、この作品は現実に現れるキャラクターをミニゲームで捕獲していくため、ゲームの進展と関係なく電波人間の収集を楽しむことができる。ストーリーを進めると電波人間を保存しておける「へや」が増える
  • ドラゴンクエスト』、『ポケットモンスターシリーズ』等へのオマージュ、パロディが随所に感じられる。
    • 主人公たちの拠点と魔王の城が隣り合わせに存在している、一部の技や回復アイテムの名前などがポケモンシリーズと同一など。これらの作品を遊んだことのある人は懐かしいと思えるだろう。
  • 難易度はかなり高く、敵は序盤から属性、全体攻撃を仕掛けてくる。敵の攻撃は電波人間の色、アクセサリーなどで対策しないとすぐに全滅してしまう。
    • 属性の補正は大きく、耐性のある属性による攻撃は10前後、弱点の属性による攻撃は100前後という変わりよう。ダンジョンごとにメンバーや装備を変更する必要がある。
    • その上、パーティが全滅したり、戦闘不能状態の電波人間がいる状態でダンジョンから脱出すると戦闘不能になった電波人間が消滅してしまう。復活させるには「おそなえもの(有料)」を捧げる必要がある。犠牲を少なく抑え一気にダンジョンを攻略するか、無理せず帰還アイテム(500G)を使って帰るかの駆け引きが熱い。
      • もともと、電波人間は使い捨てとの考えがあったらしい。
  • パーティに加えず待機させている全メンバーにも経験値が与えられるため、メンバーを入れ替える際に新メンバーのレベル上げをしなくてもいい。
  • ダンジョンから帰還すると自動でHP、APが回復しセーブも行われる。煩わしくなくて良い。
  • 戦闘におけるストレスの軽減
    • 通常攻撃を繰り出すとき、電波人間たちが敵に一斉に襲いかかる。見た目にも派手だが、いちいち一人ずつ攻撃する演出を見せないため、テンポの向上にも繋がっている。
    • 全員が敵に特技を使って攻撃する「おまかせ」をYボタン、全員が通常攻撃を繰り出す「せつやく」をXボタン一発で命令できる。最大8人パーティとなる本作では重要な要素となっている。また、ある程度自分で行動を決めた後でこれらのコマンドを使用することもできるので、例えると「AはBを回復、Bは倒されないように防御力を強化する特技を使う、(ここでXボタンを押す)他の電波人間は通常攻撃」といった戦い方もできる。
  • 装備品のバリエーションが豊富で、「服」は電波人間の外見も変わる。ダウンロードの低予算作品とは思えない手の凝りよう。
  • 電波人間をQRコードからも生成できる。
    • 自分の周りには強い電波人間や欲しい能力や色の電波人間がいない、という人でも幅広いパーティを構築できる。ただしレベルは1から、戦いで負けて消滅した場合は復活させることができない等、強い電波人間を集めて楽に進めよう! ということはできないように調整されている。
  • BGM
    • 今作含む電波人間シリーズ全体を通して、崎本仁氏や千葉梓氏を始めとするベイシスケイプのメンバーが作曲を担当しており、非常にクオリティの高い仕上がりになっている。

賛否両論点

  • APを回復させるアイテムである「アンテナパワー」を店で買うことができない。
    • この作品のAPは一般的なファンタジーRPGでいう「MP」のように、「決められたポイントを消費させて技を繰り出す」というもの。序盤や中盤では要求されるコストの割に最大APが低く、頻繁にAP切れを引き起こすこととなる。
    • アンテナ付きの電波人間はHPや攻撃などの能力値が低く、特技が使えなければアンテナ無しの電波人間の下位互換でしかないため死活問題である。
    • しかし、これらを踏まえてパーティや装備を決めるのもこのゲームの醍醐味である。気軽に回復できないからこそAPの使いどころを見極める必要もあり、切り札としての駆け引きが楽しめるとも言える。

問題点

  • ひたすらダンジョンに潜る内容であるため、変化に乏しい内容である。なまじダンジョンの数が多いだけに飽きてきてしまう。敵も色違い、上位互換が多い。 
  • ダンジョン内部の回復ポイントである温泉が1度しか使えない。
    • ダンジョンの外に出ても復活しない。なんだか勿体ない気がして使えなくなってしまう人もいる。
  • 「おまかせ」「せつやく」で攻撃する対象を選べない。敵の残り体力や属性を考慮し、ある程度は融通して動いてくれるが、強敵の軍団との戦いでは従来のRPGのように一人ずつ命令した方がいい。
  • 場面によってYボタンでメニューを開いたり、Xボタンでメニューを開いたりと操作が統一されていない。
  • 電波人間のデザインがいまいち。
    • 「かわいい電波人間はみんな魔王にさらわれてしまった」という設定だから仕方ない…かもしれない。一応それなりの見た目のキャラも出てくるが、前線で戦い続けられるほど強いとも限らない。魔王を倒した後の物語である次回作では、まともな見た目の電波人間がよく出てくる。
  • 終盤は全滅時の電波人間の復活が面倒
    • 「おそなえもの(有料)」があれば復活はできるのだが、その量は復活させる電波人間のレベルに応じて決まる。「おそなえもの」は同時に最大で99個までしか保有できないため、復活に50以上のおそなえものが必要な場合は、「ショップでおそなえものを購入」→「精霊のほこらで電波人間を復活」→「ショップで……」を何度も繰り返す必要がある。
    • 終盤ともなればパーティの数も8人になるので、全員復活させようと思うと主人公を除く7人分の復活作業を行う必要があり、復活に要する「おそなえもの」の数も容易に50を突破するので、逃走不能なボス戦での全滅時などは、お金のロスよりも復活作業に要する時間のロスの方が痛手になったりしなくもない。
      • 前述の通り、電波人間は使い捨てにしていくことが前提にあったための仕様と思われる。しかし一般的なRPGの感覚でプレイしていると復活を大前提に考えてしまうし、また心情的に使い捨てにくいと考えるプレイヤーもいた。
      • 若干裏技チックな手法として、全滅した後に発生するオートセーブの前にゲームリセットをすることで、全滅をキャンセルできなくもない。が、本作はダンジョン内でのセーブは基本的にできない(中断セーブはできる)ため、代償としてその回の探索データも全部消えることとなる。

総評

変わったテーマのゲームだが、それだけで終わらせずにRPGとしての面白さ、操作の快適さも兼ねそろえた良作となっている。
攻略ページや公式サイトでは電波人間のQRコードが数多く公開されており、今なお楽しまれている。


余談

  • 体験版の出来が良かった
    • 現在3DS用ソフトでは当たり前になってきている「体験版からデータを引き継ぎできる」仕様であるが、その第1弾がこのソフトであった。街中の電波からキャラを生成し、捕獲するという斬新なシステム、本編のはじめから~第1ダンジョンクリアまで遊べること、(発売前にすっかりやり込んでしまった暇人たちによる)レアドロップのアイテム探しなどの要素が注目され、体験版から1週間後の製品版まで話題が絶えることなく続いた。
  • 過去のジニアス作品がどれも今一つだったこともあり「ジニアス初の良作」とも評されている。
  • 人気を受けて次回作『電波人間のRPG2』も配信された。上記の問題点はほぼ全て解消されている。
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最終更新:2023年10月16日 12:35