ルミナスアーク3 アイズ

【るみなすあーくすりー あいず】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 イメージエポック
発売日 2009年12月10日
定価 5,229円(税込)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ルミナスアークシリーズ
1 - 2 - 3 - インフィニティ

「戦え、変身せよ。」



概要

 マーベラスエンターテイメント(現:マーベラス)がおくるルミナスアークシリーズの3作目。

 シリーズとしては初の、いわゆる「学園もの」の要素を取り入れた作品であり*1、アクションオーダー制によるバトルを行う「戦闘パート」と、学院内を自由に行動し、仲間と交流を深めるなどのイベントをこなす「学院パート」で構成されたシステムである。

 ゲームの舞台などについては前二作と直接的な繋がりはないが、一部のキャラクターがゲストとして登場している。

 シナリオライターは『1』『2』を担当した小峰徳司から、岸本みゆきに変更された。


ストーリー

 賞賛と羨望の的であるマギの騎士(魔法騎士)に憧れて鍛錬に励むも、魔法が全く使えなかったレスト聖会の少年・レフィ。ある日、レスト聖会を突然フェリシア(妖精)が襲撃、幼馴染であるリリが瞳(魔力の根源)を奪われる様を目の当たりにし、レフィはマギとして覚醒する。
 フェリシアの瞳狩りから数ヵ月後、レフィはマギの騎士となり、リリたちの仇を討つためにウルガルド魔法学院に編入する。そこで出会うさまざまな人との出会いと別れを繰り返しながら、レフィは自分の運命に気付いていくこととなる。


特徴

  • 周回プレイ前提のためか難易度は低め
    • ただし無策で突っ込んでごり押せるほど低くはない。もっともレベル差があればごり押しは可能である。
      • 要所要所で難易度の高いマップが挿入されているため、適度な緊張感を保ったままストーリーを進められる。
    • シリーズとしては初のハードモードを搭載。敵の能力が強化されるほか、敵の数が増えるマップも。
  • 魔法スキル・飛行ユニット
    • 魔法は基本的に必中であり、射程や範囲が広いものが多いため、物理攻撃と比べて性能が高い。
    • 高低差の激しいマップや水辺で陸上歩行のユニットが移動しづらいマップが多いため、魔法系のユニットや、地形を無視して移動できジャンプの値も高い飛行ユニットは基本的に有利。
      • ただし魔法系のユニットはAOが遅く設定されていたり、AO消費が大きいものが多いため、壊れているかと言えばそうでもない。それに加えスキルによる攻撃等は味方にも当たるため、範囲に気をつけて使わなければならない。また飛行系ユニットは打たれ脆いため、弓に注意する必要があるなど一方的に有利となるバランスではないことを付け加えておく。
      • 魔法スキルに関してもキャラ全員が使えるため、覚えないことに対する格差はない。ただ前衛キャラのマジックは低いことが多く、魔法キャラのようなダメージは期待できないため優先度は低い。
  • 前作から引き継がれた要素「ラピスアーツ」
    • 装備することで長所を生かしたり、短所を補うことができるので自分好みのカスタマイズができる。

評価点

  • シナリオは仲間との絆に重点を置いた王道的かつ重いストーリーが展開される。ストーリーは短め。
    • 前作では2キャラのみだった個別エンディングが大幅に増加し、仲間全員にエンディングが用意されている。ただ容量の都合か、説明不足な部分もある(後述)。
  • アクションオーダー制の導入によりシステムも前作と比べて大幅に改善されており、かなり遊びやすくなった。
    • 前作まではメニューを開いて行動順を確認していたが、今作では上画面で直接確認できるようになっている。右から左に流れ、左端に着いたら行動、行動終了したら右に戻される形になっている。右に戻る大きさは行動によって異なり、最も消費が少ないのは1歩移動で半目盛、必殺技などの強力な攻撃を行うと一気に右端に戻される。
    • だが右端をオーバーする計算になってもそれ以上は切り捨てられるため、場合によっては攻撃を行った後フルに移動した方が無駄が少ないことがある。
    • キャラによって右から左端に戻るスピードが違うため、それを考慮した戦略を立てるのにもこの仕様は一役買っている。
  • 各キャラクター間の性能バランスが良い
    • 今作のキャラクターは一癖も二癖もある性能だが、極端に強いキャラや使えないキャラがいない良好なバランスである。
    • また成長タイプをバランスとユニークから選べ、自分好みに(ある程度は)成長させることができる。
      • バランスはキャラごとに特化した部分を中心に全能力が満遍なく上がる。
      • ユニークはキャラごとに特化した部分に磨きがかかり、長所と短所がはっきりするようになる。
+ キャラクター〈ネタバレ注意〉
  • レフィ  マギタイプ:ベルセルク  属性:無(覚醒後はマギタイプ:ラグナロク、属性:銀)  武器:大剣
    • 前衛タイプのユニットでパワーファイターの主人公。アタックが高く、覚醒後はスキル・能力・属性ともに強化される。攻撃範囲も癖はあるものの、全体的に広い。ただし前作までとは違い覚醒時の能力アップは無く(成長率は上がる)、覚醒前も後も防御面は脆い。ユニークタイプだとさらにアタックが伸び、ガード(物理防御)がさらに低くなる。とはいえ、レフィのみメインバトル後の自由時間に時間を消費してパラメータを上昇させるイベントがあるので利用するのも手。
  • グレン  マギタイプ:ケルベロス  属性:火  武器:槍
    • どの能力も満遍なく伸びるユニット。マジックの伸びも前衛タイプのユニットの中では高く、スキルと通常攻撃の射程も長いため、どの距離でも戦えるまさにオールラウンダー。ユニークではテクニックが突出して伸びるが、あまり高くない防御面はさらに薄くなる。中盤に敵に操られて戦うことになり、行動次第ではそのまま死亡してしまう。
  • エルル  マギタイプ:セイレーン  属性:水  武器:笛棒(杖みたいなもの)
    • 序盤に登場する回復役のスペシャリストであり、能力的にはグレンと同じバランス型。水属性のため水上を歩ける。後衛タイプのユニットなのでHPとガードは低めだが、その他の能力は平均かそれ以上になる。ただAO(アクティブオーダーの流れるスピード)が低く、回復させようと思ったら敵に先に行動され、そのキャラが倒されてしまったなどの事態になりやすい。中盤で一時離脱するものの、復帰後は強化されて帰ってくる。ユニークではレジストが高くなり、魔法の避雷針と呼べるほどよく伸びるようになる。
  • アシュレイ  マギタイプ:ヴァルキュリア  属性:闇  武器:双剣
    • HP・アタック・テクニック・ガード・AOと、前衛タイプのユニットに必要な能力が軒並み高い典型的な剣士系のユニット。スキルも必中や貫通効果のあるもの、ダメージ倍率の高いものや状態異常を治癒するものなど有用なものがそろっている。その反面レジストやMPなどが低い。ユニークだとガードとテクニックがさらに伸びるものの、レジストやMPが悲惨なことになる。
  • ハイネ  マギタイプ:イージス  属性:木  武器:盾
    • 武器とそれによるHP補正、さらにHP・ガード・レジストがよく伸びるという、マギタイプの名に恥じない最硬の壁役。ユニークを選ぶとさらに磨きがかかり、HP回復のラピス等をつければまさに不沈の要塞となる。だがAOとジャンプの値が低く、前衛に置いてきぼりにされることもしばしば。またテクニックが低く、攻撃スキルには命中率が低いものもあるため、攻撃性能は低い。
  • イナルナ  マギタイプ:イシュタル  属性:光  武器:鞭
    • MOVEとジャンプの値が高くAOも平均的なため、戦場を縦横無尽に駆け回れる後衛ユニット。HPとスピードがよく伸び、マジック・アタックもそれなりに伸びるものの、覚えるスキルの半分は補助技であり物理攻撃スキルはない。またMPとガードがかなり低く、スキルは連発できず、物理攻撃ではかなりのダメージをもらってしまう。ユニークではさらに低くなる。だが唯一のAO強化スキル持ちであり、終盤の戦いでは特に重宝する。通常攻撃は十字に2マス先への単体攻撃であり、若干使いづらい。
  • サラ  マギタイプ:パンドラ  属性:木  武器:爆弾
    • AO・ジャンプ・防御面が低く、マジック・MPが高くなるという後衛ユニット。スキルは物理攻撃、攻撃・回復魔法と幅広く揃っており、万能型のユニットと言える。アタック・テクニックもそこそこ高く、ユニークではマジックとMPがさらに高くなるため攻撃面では非常に優秀なユニットになるが、ガードはさらに低くなりHPに至っては「成長してるのか?」と思えるほど伸びなくなるため注意が必要。
  • シオン  マギタイプ:ヴィーナス  属性:風  武器:弓
    • サラの姉であり飛行タイプのユニット。成長率的にはサラのマジックとテクニックを入れ替えたような成長をするが、MPは低い。スキル・通常攻撃の射程が長く、ステータスダウンや状態異常を回復する魔法を覚え、地形を無視して縦横無尽に戦場を移動できるため、後方支援が主な役割となる。だが防御面が悲惨で(ガードがサラより低い)、調子に乗って動かしていると不意の1撃で倒されてしまうことも。ユニークではMPとマジック・テクニックがさらに伸びるようになる。
  • ユウ  マギタイプ:グリモア  属性:闇  武器:石版
    • マジック・レジスト・MPが高くなる典型的な魔法系のユニット。特にマジックは全ユニット中最高の成長率を誇るため、攻撃範囲も相まって火力はトップクラス。通常攻撃は射程が長いものの、テクニックが低いため当てづらい。ユニークに特化するとマジック・レジスト・MPがさらに伸び、アタックが低くなるため無駄が少なくなる。スキルはほとんどが攻撃魔法であり、ドレイン系の魔法を覚えるため自衛力は高い。
  • ディーノ  マギタイプ:フェンリル  属性:風  武器:ナイフ
    • AO・移動力・アタック・スピードが高い速攻アタッカー。テクニックが低いものの必中のスキルを加入時から覚えているため、通常攻撃は代用が可能。回避率が高い半面防御面の能力が低く、特にHPは前衛ユニット中最低クラス。ユニークだとスピードとMPが強化されるものの、もともと高くないHPはさらに低くなってしまうため、背後を取られないように動かしていく必要がある。
  • オルモルディ  クラス:タイタニア  属性:火  武器:ハープ
    • 中盤で仲間になるフェリシアの上位種である炎のアルケー(精霊)。能力的にはユウをマイルドにした感じの飛行ユニット。ガードとスピードが低いが、HPがそこそこ高くなることと、スキルでアタックとガードを強化できるため生存力は高い。スキルもユウと同じくドレイン系魔法持ちの攻撃偏重で、ダメージ倍率の高い物理攻撃スキルも覚えるため、攻撃性能は高い。ユニークでは防御面が薄くなるが、魔法関連の能力がさらに伸びるようになる。
  • ライラ  クラス:道士  属性:水  武器:巻物
    • アタック最高、ガードは最低という超ピーキー性能の前衛タイプのユニット。その他の能力も平均かそれ以下である。テクニックとスピードを上昇させるスキルを覚え、射程の長い物理攻撃スキルと蘇生魔法を覚えるため、習得スキルはかなり万能。ユニークではさらにアタックが上昇し、ガードはさらに薄くなる。その他の能力の成長率があまり変わらないため、物理攻撃に全てを賭けていると言っても過言ではない。
  • アーノギア  クラス:ジークフリート  属性:光  武器:ランス
    • 特定の条件を満たすと仲間になる伝説の七つ星。AO・HP・アタック・マジックが高く、スキルの射程・威力も高いという攻撃性能に関しては申し分ないユニット。だがその他のステータスは軒並み低く、MOVEに至っては全キャラ中最低の2というかなり玄人向けのユニット。ユニークではさらに攻撃面に磨きがかかるが、防御面は薄くなってしまう。
  • 豊富なやりこみ要素
    • 上述の個別エンディングはもとより、サブイベント・クエスト・おでかけコピン等やりこみ要素が多い。またストーリーの途中からいけるようになる桃源温泉では各キャラとの入浴シーンのほか、前作の魔女たちとのバトルが楽しめる(ただし周回ごとに1回のみ)。
      • 桃源温泉で登場する魔女およびその僕であるコピンは非常に強く、1周目のストーリーを普通に進めてきたレベルでは太刀打ちできないほど。さらにコンプリートするには周回プレイが前提となる上、周回プレイによる補正でさらに強くなる。
  • 声優陣は相変わらず非常に豪華。
  • BGMは良曲揃い
    • 今作も『クロノ・トリガー』『ゼノギアス』で有名な光田康典氏らプロキオン・スタジオの製作。作曲は土屋俊輔氏と桐岡麻季氏。主題歌を歌っているのはACEのCHiCO氏で*2、作中のアニメーションで流れる挿入歌を歌っているのはシオン役の豊崎愛生氏。

賛否両論点

  • 格下狩りの方がレベリングの効率が良い
    • 本作は「敵を倒せば最低でも10の経験値を入手」「経験値が100上がると一律で1レベルアップ」という仕様。
    • そのため、同レベル帯と戦うよりも格下をまとめて倒した方がはるかに効率よくレベリングできる。

問題点

  • エンディングの展開が説明不足
    • 評価点で上げた個別エンディングだが、大筋の流れは同じであり、説明されていない描写が多数ある。
+ 以下エンディングの流れと問題点〈ネタバレ注意〉
  • 星の瞳として覚醒したレフィはチカラを行使する度に人らしさを構成する要素を失っていった。だが全てを失おうとも「刻の審判」の中心である「神の瞳」に決戦を挑むと決めたレフィは仲間たちに決意を打ち明けた。その晩レフィは共に戦ってきた仲間の一人と時を過ごし、共に戦おうと約束を交わす。翌朝。一人で神の瞳の元へ向かおうとしたレフィを、約束の仲間が待ち受けていた。
  • 2人で挑んだ戦いの中でレフィは絶体絶命の苦境に陥る。だがそこへ他の仲間達が現れ、ある事実を伝えた。運命は覆ったと奮い立ったメイガスは神の瞳を撃破。神の瞳が失われたことでその場は崩壊をはじめ、レフィは最後の力で仲間たちを学院へ転送させた。残っていた感覚をも喪失したレフィは死を察するが、それはあの晩の仲間によって否定される。そして仲間はレフィに伝えた。「帰ろう」と…。
  • 1年後、女王となったイナルナの晴れ舞台にかつての仲間が集まり、二度と刻の審判が起こらない世界をしみじみと感じ取ったあと個別のエンディングとなる。
  • 問題はその個別エンディングの内容で、レフィが既に戻ってきていたり五感をすでに取り戻していたりなど、レフィの問題が全て解決していること前提で進んでいるのがほとんどであり、その間のことは一切説明されない。
    • 個別の部分では無理でも共通の部分で説明を入れても良かったのではないか?
  • 戦闘のテンポ・演出が悪い
    • キャラの移動やスキル・必殺技の演出がスキップできないため、ストレスが溜まることも。
    • また魔法の演出も効果音などがしょぼい。そして魔法の演出などは基本前作からの使いまわしである。
      • 必殺技であるフラッシュドライブは新規だが、演出が長いものも。
    • AOの仕様も問題点として挙げられる。基本的に敵のAOは高く設定されているのだが、このAOはレベルアップで成長しないためレベル差があっても敵から連続攻撃を受けることがあり、周回プレイ中もサクサクと進まずにイライラすることが多い。
  • パロディネタの存在。
    • 「ねるねるねるね」や「美味しんぼ」などの台詞のパロディが存在する。お遊び要素としてアイテムの説明欄にパロディを仕込む作品はそこそこ見かけるが、本作の場合、キャラクターの台詞として使われているため(メインシナリオ内でも唐突に使われる)ファンタジーの世界観を損ねてしまっている。
  • 1周目開始時に決めた難易度から変更不可。

総評

 戦闘のテンポや演出、エンディングの部分等細かいところで気になるところはあるものの、キャラゲーとしてはシステムやバランスなどは高水準でまとまっており、やりこみ要素も充実しているため、良作と言える出来となっている。システムに癖がなく難易度も低めのため、シミュレーションRPG入門編としても丁度いいだろう。シミュレーションRPGを始めようとする人やパッケージの絵に惹かれた人は、手にとって損はない。


余談

 イメージエポックに移籍した水谷英之氏が同じくプロデューサーを務めた3DS用SRPG『STELLA GLOW』が、2015年6月4日にセガゲームスから発売された。
逆に開発会社などを変更して大幅に雰囲気が一新され物議を醸したPS Vita用SRPG『ルミナスアーク インフィニティ』も、2015年8月6日にマーベラスから発売された。

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最終更新:2024年02月08日 10:45

*1 一応、過去2作品の主人公らも騎士になるため学ぶ身ではあった

*2 この話はゼノブレイドの『社長が訊く』でも取り上げられ、公開間もない頃はパッケージ画像が閲覧できた