ジェットインパルス

【じぇっといんぱるす】

ジャンル フライトシューティング
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 元気
ジェットグラフィックス
発売日 2007年2月8日
定価 4,800円(税込)
判定 良作


概要

ニンテンドーDSで発売されたフライトシューティングゲーム。開発当初のタイトルは『DS Air』。
プレイヤーは「アキツ州空軍」のパイロットとなり、世界を二分した紛争、そしてその裏に潜む陰謀に立ち向かう。

ストーリー

人類は、地球を巻き込む大きな戦いを三度経験した。
すべての国々が国際連邦「ユニオン」を結成し、永遠の平和を誓うも、それは長くは続かなかった。
老大国「マルドーク首長国連邦」と周辺諸国との資源をめぐる紛争が、世界を二分する大戦へと拡大した。
前大戦でアキツを併合した「アヴァロン連邦共和国」を中心とする「ユニオン」と、
「ミッドガルト共和国」を中心にアヴァロンに反発する国家が結成した汎大陸同盟「アリーズ」に分かれ、
マルドークは10年もの内戦状態に陥る。
内戦の間、科学技術と兵器は大幅に発展し、空では超音速で飛び交う怪物たちの極限の戦いが繰り広げられていた。
それを生き延びた者たちは、「スーパーエース」と畏敬の念を込めて呼ばれていた…

特徴・評価点

  • 2画面・タッチパネルを適度に利用した、ユニークな操作性
    • ゲームの下画面は「レーダー」「兵装の残弾数」「自機および敵機のHP」「敵の残り数」が表示されており、下画面タッチで「レーダーからのロックオンターゲット切り替え(こちらはボタンでも可能)」「レーダーの拡大・縮小」「主兵装と特殊兵装の切り替え」などが可能になっている。
    • 他ゲームに例えれば、『スターフォックス コマンド』のレーダー画面と『超操縦メカ MG』の下画面ギミックが組み合わさったようなもの。
      • 『スターフォックス コマンド』を例に出したが、同作品と違い、本作の自機操作は十字ボタンとボタンを使用する。
    • 特にロックオンターゲットがレーダーからタッチひとつで切り替えられる部分は、『エースコンバット』など他のフライトシューティングゲームで見受けられた「なかなか意中のターゲットをロックオンできない」部分をうまく解決に導いている。
    • ミスをすると、下画面が大破するとともに、真っ赤に染まると言う生々しい部分も。
  • 多彩なミッション
    • ミッションの舞台となるステージは19。敵勢力の排除、施設へのテロ攻撃の阻止、敵エース部隊との戦いはもちろん、巨大ボスとの戦いも用意されている。
    • 巨大ボスは強大かつ多彩な攻撃でプレイヤーを苦しめ、ハードロック調のボス戦BGMと合わさって存在感が強いものになっている。
  • フルボイスで展開されるストーリー
    • 本作は主要キャラクターから脇役・チョイ役に至るまで、すべてがフルボイスで展開される。
      • 声優事務所「マウスプロモーション」の協力により、出演声優も新人から大御所まで勢ぞろい。
      • 特に、プレイヤーのパートナーとなるキャラクター「ジャスミン」は、『攻殻機動隊』の草薙素子役や、洋画吹き替えでクールビューティを演ずることの多い田中敦子氏が演じており、人気が高い。
    • ストーリーのシナリオも、「世界大戦」という非常に重いテーマでありながら、リアルロボットアニメ(特にガンダム)のパロディが差し挟まれていたりする。
      + 主なガンダムパロ(ストーリーの核心に関するネタバレも含まれています。注意!)
    • 黒と紫のカラーリング機体でプレイヤーに立ちはだかる、アリーズ陣営に属する3機のエース部隊「オリオンスターズ」。どう見てもファーストガンダムの黒い三連星です。本当に(ry
      • ちなみにステージによって搭乗している機体が違っている。MSVで登場した「黒い三連星仕様ザク」のことを知っていてのことであれば、パロディとしては秀逸と言わざるを得ない。
    • これまたプレイヤーに立ちはだかる、真っ赤に染めた機体のエース「クリムゾン」。どう見ても赤い彗星です。本当に(ry
      • この機体に搭乗しているパイロットは、実は先述の「ジャスミン」と因縁があるらしいのだが…。
      • ただ、思想面における「赤い彗星」はむしろ本作のラスボスキャラに近い。彼は「恐怖による真の世界平和」を目指し、地球上の原子力関連施設を破壊しようと企む。これは「スペースノイドによる真の平和」のもとに、地球上に小惑星を落としたり、挙句はアクシズを落とそうと企んだ『逆襲のシャア』のそれに良く似ている。
        そのバックグラウンドは、本作に登場するアニメーションムービーを一通り見るとわかるかもしれない。
  • Wi-Fiコネクションを利用した対戦モードやオリジナル機体の配信
    • 対戦モードはワイヤレス通信では最大4人、Wi-Fi通信では最大2人でプレイ可能。
    • 対戦とは別に、Wi-Fiを通じたオリジナル機体の配信(いわゆるDLC)も行なわれている。
      • いずれも「ネタに走った機体」であり、例を挙げると「機首が髑髏になっている機体」「UFO」など。

賛否両論点

  • 登場する戦闘機はすべて架空
    • 「本作の舞台となる世界で開発された機体」ということになっているのがその理由。
      • また、実在機によっては許可取りが必要な為面倒事を避けたかったのかもしれない。
    • ただし実在機をモデルにしているらしく、『エースコンバット3』の様な現実離れした物にはなっていない(上記ネタ機体を除いて)。

問題点

  • ストーリーが超展開過ぎる。
    • それも「普通に進行していたストーリーが予想外過ぎる方向へ展開する」という意味での超展開ではなく、「粗が多すぎて理解しがたい」という意味での超展開で、唐突に今まで聞いた事のない組織などが登場したり、逆に意味もなく死亡したり、それっきりで出番がないキャラクターが多数発生する。
    • バックグラウンドが掘り下げられていないキャラクターも多数。
    • 国家ベースで見れば、「ウェスト・コミューン」は一切登場しない(舞台になることがない)。
  • 一部ステージでは出撃機体を縛られる
    • ステージの一部に、特定の機体で強制的に出撃させられるものが存在。
    • 一部機体は高難度モードでは弾数が貧弱になり、ステージ攻略に堪えられない。つまりバランス調整の問題もある。
  • 処理落ち、グラフィックの粗さの問題。
    • 戦闘機や戦車がひしめき合ったり、巨大ボスとの戦いで処理落ちが頻繁に起こる。
    • またグラフィックに粗が見られ、戦車や戦闘ヘリなどはよほど接近しないとただの塊にしか見えない。
    • 特にHUD(ヘッドアップディスプレイ)視点にすると、角度表記などがかえって画面を見づらくし、機銃を発射するとそのエフェクトでさらに見づらくなる。
  • 『エースコンバット』シリーズをパクったかのようなシステム・ミッション・展開。
    • 基本的なシステムや画面表示、ボタン配置、特殊兵装の種類や敵の種類までも酷似している。
    • 他にも超兵器や敵エースの存在、全く戦闘出来ない機体に乗って味方から逃げる、山中でのヒロインの捜索、低高度をくぐり抜けてダムへ到達するなど非常に多い。
    • ストーリー面でも特にPS2三部作と酷似した展開が多い。

総評

処理落ちやグラフィックの粗さ、ストーリーなどで不満点が残るものの、DSの2画面タッチパネルをうまく、かつ適度に生かした機能により、『エースコンバット』他のフライトシューティングゲームとの差別化に成功した、まさに「隠れた良作ソフト」といえる。

余談

  • 本作の攻略Wikiによると、メインシナリオライターは『女神転生シリーズ』などのシナリオを手がけた鈴木一也氏とのこと。同氏は後にDSソフト『ツキビト』(発売:SNKプレイモア)の制作に携わったあと、2012年から東京テクノロジーデザイン専門学校のゲームプランナー講座の講師を務めている。
  • 任天堂ホームページにかつて存在した「Touch-DS.jp」で手元付きのプレイ動画が公開されたが、「下画面を指で直接タッチ」を任天堂スタッフが半公認したに等しいものであった。確かに本作のボタン主体の操作性ではいちいちタッチペンを取り出す暇はないが…。
    • 爪などにより画面が傷つきやすいので、画面保護フィルムは必須である。

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最終更新:2022年03月04日 20:01