サガ3時空の覇者 Shadow or Light

【さがすりーじくうのはしゃ しゃどうおあらいと】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
ラクジン
発売日 2011年1月6日
定価 5,695円(税別)
プレイ人数 1人(DSワイヤレス通信時:2人)*1
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
ポイント サガらしくなったサガ3
サガシリーズ


概要

GBサガシリーズの第3作『時空の覇者 Sa・Ga3 完結編』(以下GB版と表記)の3Dフルリメイク版。
開発は2009年にリリースされた『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』(以下『GOD』)のスタッフがそのままシフトする形で行われた。
シンボルエンカウントやシナリオ・シンクロ・システム(以下SSS)など『GOD』から多くの要素が本作でも引き継がれている。


特徴・評価点

原作のGB版はサガシリーズで唯一、生みの親である河津秋敏氏が開発に関わっておらず*2シリーズでは異色の作品となっていたが、
このDSリメイク版では河津秋敏氏の総指揮*3によりシステム・シナリオ両面で従来のサガシリーズらしい改変が行われた。
このため、基本的に原作準拠のリメイクだった前作の『Sa・Ga2』→『GOD』のときとは違い、ゲーム内容からして原作とは大幅に異なるものとなっている。*4

システム面

  • 成長システムはレベル制を廃止。戦闘時のアクションでパラメータが変化する、従来のサガシリーズに近いシステムを採用。さらにシリーズでは初めてとなる、戦闘中にリアルタイムでキャラが成長する方式が導入された。
    • 成長システムの仕様が変わったことにより、GB版以上に変身システムの有用性が増した。またGB版では不可能だった、人間とエスパーの相互変身も可能になっている。
    • これまでの作品では不可能あるいは無意味だった、ラスボスを成長の糧にすることも可能。データは引継ぎできるので、ラスボスより強い敵がいれば、まずはラスボス相手に修行という、これまでならありえない手順を踏むこともできる。
    • GBでも肉に巨大バージョンが存在したが、これをシステムとしてより完成させた。
      • 肉に「巨大肉」「巨大肉Ex」、ネジに「巨大ネジ」「巨大ネジEx」というバージョンを取り揃え、上位のものほど有用な効果となっている。
      • モンスター種族における変身については特に重要で、「巨大肉Ex」を食べれば高レベルの敵と戦わなくても上位の個体へ変身できる組み合わせがある。上手な喰い合わせを見つければ、序盤でどんどん強くなれるのは『魔界塔士』に似ているが、本作では最上位の個体に変身することにも序盤から制限が無い。
  • 戦闘システムは基本的に『GOD』のものを踏襲しているが、「連携システム」は技の組み合わせで技の名称が決まる『サガ フロンティア』形式に変更。
    • 『GOD』においては敵の弱点を突いた場合の演出がなかったが、本作では漫画で使われる集中線のようなエフェクトがついた。また、耐性で半減されるケースも結界に阻まれたような効果音が使われるためこれで判断ができる。
    • GB版と同じく消費アイテムを1種99個まで持てるほか、手榴弾などの爆弾系アイテムも装備の必要がなくなり、回復アイテムと同じ使い方で扱える。
    • 装備品をアイテムとして使うことによりアイテムに内包された魔法が発動するシステムは廃止された。代わりに、消耗品として魔法が発動するアイテムが市販されており、上位のものであれば種族を間違えなければこれで戦い抜くことも不可能ではない。
    • 「特殊能力」は、自発的に使える「能力」と耐性などの「特性」の2つに分化。『GOD』同様に引き継ぎができるうえ、肉やネジから直接獲得もできるため、装備品の性能を原則享受できないモンスター種族でも耐性不足を補うことが可能。
  • 全体的に他のサガシリーズを意識した設計になりつつも、サガ3らしい部分を残してもいる。
    • 装備システムは武器・魔法辞典・能力・特性の4つを別々に管理。
    • 耐性システムはサガ2までのシステムを一部採用しつつも、ダメージ系については無効ではなく減算にしている*5
  • チェーンエンカウントは1度に敵が現れないで増援で現れる形式に変更されており、チェーンさせすぎて全滅するといったリスクが減っている。
  • 「武器の回数制」も復活したが、本作では武器の使用回数を回復してくれる「リチャージ屋」が登場。
    • お金さえ余裕があれば、非売品の武器も気兼ねなく使用できるようになった。
      • ただし強力な武器ほど、リチャージ料金は高くなる。弱い敵に強力な武器を使ったり、無計画に強力な技を乱用して使用回数を浪費すると、収支がマイナスになることも。単純に強い武器を使えばよいとは限らない。
    • 修理の管理が苦手な人にも、モンスター種族への変身という裏道が用意されている。これまでの作品と同じように宿屋に泊まるだけで手持ちの使用回数が全回復する仕様なのだが、リチャージ料金が極端な高額になる状況もありうる本作ではこのメリットが際立つ。
  • 魔法石を消費して装備品などを作成するシステムの強化。
    • 魔法石の入手量が大幅に増加し、割と気軽に合成できるようになっている。
    • 1個目と2個目の魔法石を入れ替えるだけでも違うものが完成するため、合成の選択肢が大幅に増加している。
  • SSSが『GOD』から大幅にブラッシュアップ。
    • 本作のSSS発動アイテムである「タイムズ・ギア」は『GOD』の「運命の糸」以上に戦闘・シナリオの両面で密接に関わり、また発動のためのリソース補充も容易(「戦闘で普通に攻撃をする」などでOK)になった。
    • SSSにより発生するサブシナリオのバリエーションも発生条件・内容ともにより豊富になっているほか、一度発生したイベントを無視しても後から挑戦できるようになっている。
    • サブイベントも時間移動の概念を取り入れたものになっており、例えばタイムズ・ギアの力を使って数分前に戻って事件を未然に防いだり、過去に戻って出来事そのものを変えてしまうといったものもある。主人公たちにキャラクター付けがなされたのも相まってコミカルなイベントも多く、冒険の合間に楽しめるものになっているほか、
  • ゲーム開始時に難易度選択が可能になり、プレイヤーのための間口が拡がった。
    • 最初選択可能なのは「Easy」「Normal」の2つで、1周クリア後に「Hard」が選択できるという方式。
    • 「Easy」では武器の使用回数が無限になり、「Hard」では新たなイベントが発生したり裏ボスと戦える。
  • 移動関連
    • ワールドマップが場所選択式に変更。イベントをこなしたり、人から場所を聞いたり、街道などで横道にそれたりすると、新しい場所が出現する。「ムオン*6」や「サモン*7」といった魔法も、場所に応じて自動的に使われる。
    • 攻略した後は二度と行くことの出来なかった「浮遊大陸」も再度訪れる事ができ、進むと後戻り出来ない「異次元」からも戻ることができる。最終的には全ての時空と世界を行き来できるようになる。
    • 「未来」で飛行可能になっても「過去」と「現在」では神殿に安置されて飛行できないステスロスだったが、どの時空でもステスロスで飛行可能になっており、わざわざ神殿に戻る必要もなくなった。また大量に用意されたサブイベントのおかげでワープの需要も広がった。
    • ダンジョン等は『GOD』同様、スケールの大きな3Dで描かれている。GB版の「ジャンプ」は廃止された。

キャラクター面

  • GB版では最初からいるパーティメンバーでありながら、一切台詞が与えられなかった「ポルナレフ」と「ミルフィー」が喋るようになった。
    • 各フリーシナリオでもそれぞれキャラ立ちがなされ、個性あるキャラクターとして生まれ変わった。他の仲間たちも同様で、フリーシナリオに積極的に挑戦するモチベーションの付与にもつながっている。
  • キャラクターデザインは『GOD』同様小林元氏がリファイン。シリューのデザインと色(赤から黄に)が大きく変えられた以外は、GB版のイメージを極力損なわないようなアレンジとなっている。
    • シリューは一見して別人に見えるほど変化が大きいため(ただし原画では顔かたちで同一人物と分かる)、賛否両論。「元のデザインの古臭さを解消した」という好意的なものから「シリューらしさが消えてしまった」という批判まである。
    • 元のレオタード姿ではエスパーと容姿が被るという判断で、変えたとのことである。また、髪の色は、パーティーメンバーが初期設定で持つ「属性」を意識した改変になっている*8*9
    • GB版にて「まさかりシスター」と呼ばれたNPC「ネメシス」も、聖職者のイメージが残されたリファインに。かつての海外GB版でのデザイン変更の経緯から「まず変更されるだろう」と予想されていたため、ファンを驚かせた。少女時代の描写も増えており、主人公チームの中ではミルフィーを特に慕っているなどの設定が加えられている。

その他

  • BGM担当は『GOD』から引き続き登板の伊藤賢治氏に加えて、GB版を担当した笹井隆司氏がアレンジで参加、同氏にとっては本作が実質的なゲーム業界復帰作となった。本人が手掛けたこともありBGMアレンジは概ね高評価である。
    • 本作のリメイク企画が立った際に、伊藤氏が笹井氏へ参加のラブコールをかけていたというエピソードも残している。
  • マップアビリティ使用や戦闘スキップなど『GOD』で煩わしかったインターフェイス面の問題点が、本作では概ね改善されている。
    • ただし、なぜか前作より使いづらくなってしまったものも存在する(後述の問題点に記載)。
  • 「呪い」、「暗闇」といった2つの状態異常がGB版と違って戦闘後も回復しなくなった。

賛否両論点

  • 『GOD』と違い、「戦闘中に行動順の指定」ができなくなった。
    • 前作が「素早さの低さを補える」というより、「誰かが速ければ、他は低くても良い」レベルのシステムになっていたので、前作の連携システムが少々強すぎたのだが。
    • 結果として、連携で素早さの遅いキャラの行動順を引き上げられなくなり、素早さの成長を調整しなければ全員での連携が厳しくなった。
      • 種族をばらつかせているプレイヤーの場合にはこの点が問題となる。特に力特化型のメカやサイボーグを使用したい場合は素早さが非常に低く、他の種族と連携しづらい。
      • 敵味方の行動順が事前に確認できるシステムなので、逆手に取れば敵の速度にあわせた行動を選択し、敵の連携を妨害することが可能。本作の連携システムは、連携昇華技という強力な技が発動する場合があり、破壊力のみならず場合によっては範囲が広がったりすることもあるため、敵の連携を断っておく意義は大きい。
  • ステスロスのデザイン改変については、ファンの間で賛否が分かれる。
  • 5人目の仲間は装備や種族の変化が不可能
    • 装備はGB版のように追加だけするのも不可能になっており*10、弱点を補ったり、強力な武器を装備させて強化といった事も出来ない。
    • 肉やネジの選択対象にも出来ない為、種族の変化や特性の追加も不可能。
      • 一部メカ以外の種族が使うと威力が弱い重火器系の武器を初期装備で持っているキャラもいるが、メカに変える事も出来ない為、その武器は弱いまま使うしかない。
    • あくまでNPCとしての加入という事であり、そのキャラの個性重視とも言えるが、ステータスの引継ぎも行われない為、2周目以降はPTメンバーと比較して見劣りしてしまう。
      • 加入時期のボス戦でも戦える程度の武器は持っているし、引き継がないとはいえステータスの成長は行われるので、戦力外にはなりづらいが。
  • 仕様変更により、銃・重火器系の武器がメカ以外の種族が使った際にかなり弱い武器になってしまった。
    • 銃・重火器自体のリチャージ代金が威力の割に少々高めな事や、技を自由に使えるようになり重火器無しでもグループ攻撃が可能な手段が増えた事、バトルフィールドに出現する敵全体の数が減少した代わりに敵1体1体の耐久力(HP)が上昇している事等も銃・重火器系武器の逆風になっている。
      • もっとも、銃・重火器系の武器が最強にはほど遠い威力な事は、GB版サガ2・サガ3や前作でも同様で、半ばお約束のようなものになっている感があるため、特に問題無いというプレイヤーが多い。
      • 銃・重火器系の技は、装備品によるものではなくモンスター種族の特殊能力のほうが強力。この手の武器を使いたいならモンスター種族のほうがよい。
  • 今作ではメカの消費回数が2倍のため他の種族より不利になっている。前作でもそうだったが、前作ではその代わりに宿屋やエリクサー等で武器の使用回数を回復可能という利点で欠点を充分補えており、他の種族より不利という事はなかった。
  • 得意武器について
    • 人間以外は武器の新しい技は得意武器のものしか覚えられず、エスパー以外は魔法辞典の新しい技を覚えられない。
      • 肉やネジによる種族変化の必要性が高くなっており、原作のような人間とエスパー以外に変える意味がほとんどない状態からはかなり改善されてはいるものの、種族毎に使用する武器の幅は狭まっている。
  • 全体的なシステム変更はおおよそ好意的に受け止められているが、変わりすぎている為に原作ファンからは賛否両論。
    • 原作ファンの間でも「サガらしくなって良くなった」という声もあれば、「サガらしくないのがサガ3」という意見もある。

問題点

最終的な種族格差
成長させきった場合に、人間・エスパー・獣人が他種族(サイボーグ・メカ・モンスター)の上位互換になってしまう。
(さすがに他の種族が弱くて使えない、というレベルではないが)
1周クリア程度なら全ステータスを育てきる事はまずないが、本作は周回限定要素もある為、複数周回していく内に成長しきってしまう事が多い。

+ 種族格差についての詳細

最終的な格差の代わりか、サイボーグ・メカ・モンスターは、人間・エスパー・獣人に比べて少ない育成でもそこそこ活躍できる利点があるのだが、
メカ・モンスター・サイボーグの基礎ステータスにも、人間を基準としたステータスがある程度反映されるため、
結局のところメカ・モンスター・サイボーグの性能を最大限に生かしたい場合にはやはり育成が必要となってくる。
メカ・サイボーグの場合は、それに加えて1周1個しか手に入らない高性能な装備品も必要になるため、
性能を最大限に生かしたい場合には育成+周回プレイが必須となってくる。
サイボーグの場合は、メカ・モンスターと比べて素のステータスがある程度必要となるため、普通に育成しなければならず、
「メカ・モンスターに負けないように育成していたら、無理にサイボーグを使わなくとも普通に人間・エスパー・獣人を使った方が良くなってしまった」
という事態になる場合も。
ただし、サイボーグ・メカ・モンスターは「人間・エスパー・獣人が成長するまでの繋ぎ」として割り切って使うなら優秀だと言える。
また、メカはこれに加えて武器の使用回数2倍と魔力0という欠点もあるのだが、ネジを幾ら付けても変身しないため、
「他の種族に比べて(ネジ限定とはいえ)特性集めがしやすい」という利点もある。

  • 『GOD』同様、素早さと魔力が非常に重要なステータスとなっているのだが、獣人は素早さが伸びやすく力もついでに伸ばせる。エスパーは魔力が伸びやすい上に素早さ依存の武器の扱いに長けるため獣人に次いで素早さが伸ばしやすい、と2種族で主要な能力を独占してしまっている。このため、これら以外の種族へ変化する魅力にやや欠けてしまう。
    • 素早さが低いと攻撃命中率にも影響する他、なかなか行動できない=ステータスを育てられないため、育成面でも素早さの高い獣人が優位に立ってしまっている。
    • GB版と違い、魔法攻撃と魔法防御が「魔力」という一つのステータスに統合されたため、魔力が0のメカや魔力が人間・獣人の半分程しかないサイボーグは魔法攻撃が使えない*11ばかりか、敵の魔法攻撃にも弱くなってしまっている。
    • また、全ステータスを育てきると、サイボーグは力に特化してもロストアーマー装備の人間に力を含む全ステータスが負け、素早さに特化しても他の種族に素早さ含む全ステータスが負けてしまう。人間も装備品で力よりも素早さ・魔力のほうが高くできてしまい、より魔力を高くできるエスパー、より素早さを高くできる獣人に攻撃力が負けてしまう。メカは防御面を捨て、孔明の靴&素早さ依存武器で固めれば、獣人を超える素早さの大威力で攻撃できるが、武器の消耗が2倍、魔力が全くないため若干使いづらい。攻撃力重視でもエスパーと獣人の方が有利なバランスになっているのが難点。
      • 力を重視した場合でも、育成途中はまだしも、最終的にはロストアーマー装備の人間がいれば、メカ・サイボーグはほぼ不要となってしまう。
    • 種族補正で獣人はHP・素早さが、エスパーは魔力が人間の限界値よりも高くなる。その代わりに獣人は力・防御がやや低く、エスパーはHP・力が低いという欠点があるが、獣人は元々のHPの高さで防御の低さが補え、素早さ依存武器で力依存武器より強力なダメージを出すことができ、エスパーも素早さ依存武器や魔法攻撃で力依存武器より高い威力が出せるため、正直どちらもあまり欠点になっていない。
    • さらに素早さ依存武器は使用回数が力依存武器に比べてやや多く、魔力依存の魔法辞典は必中で威力の割にリチャージ代が格安と有利な点が多い。上記のように力よりも魔力と素早さのほうがより高いステータスにでき、力依存武器より高いダメージを出せるため、力を育てる利点があまり無くなってしまっている。
    • もっとも、最強を追求するのなら、全員魔力特化装備のエスパーに変身し、ダメージの高い全体魔法を使える古・永久の魔法辞典を使用して技を連発すればいいのだが…全体魔法をただ連打しているだけで敵を殲滅できるため、戦闘が単調になってしまう。この2種類の魔法辞典は使用回数1回でも全体攻撃魔法で連携可能の「フレア」を使う事ができるため、文字通り「フレア連打ゲー」と化す。
    • また、どの種族でも「初期状態からの難易度Hard」であっても裏ボスを含めたボス戦を確実に乗り越えられる調整はされている。
      • この設定でモンスター・メカ・サイボーグの種族でボス戦に挑めば、難易度は従来のGB/DS作品と同程度かそれよりやや上程度。人間・獣人・エスパーはむしろ敵に比べて強くなり過ぎとも言える。

育成面の問題点

  • 武器の熟練度について
    • 基本的に熟練度は種族ごとの得意武器のみ上がる形*12だが、エスパーは武器2種に加え魔法も担当している為、とんでもなくしわ寄せがきてしまっている。
      • 魔法辞典は9種類もある為、武器2種も合わせてエスパーのみ熟練度を上げる対象が11種類になってしまっている。他の武器と異なり魔法辞典は下級と上級の2種類のみにはなっているものの、それでも種族を分けるプレイをしていると魔法の育成は滞りがち。魔法に専念していた結果、エスパー向けの武器もろくに育たないという状況になってしまいやすい。
  • モンスターに関する問題点
    • 全てのモンスターの系統に最強クラスのLv11のモンスターがおらず、一部のモンスターはそのモンスターの系統の中で最高レベルのものに変身しても、終盤まで使うのが厳しい性能になってしまう。
    • 前作ではモンスターの通常種・変異種で、ステータスの強化だけでなく使える能力や持っている特性まで違ったのだが、今作ではモンスターの通常種・変異種の違いがステータス面の強化のみになった。
      • また、極一部通常種→変異種で能力値が全く変化しなかったり、むしろ逆に弱くなってしまっているモンスターも存在する。こちらは単なる設定ミスだと思われる。
    • 最強クラスのLV11のモンスターでも、デメリット特性を持っているものが存在する。上にもある通り、今作ではモンスターの通常種・変異種の違いがステータス面の強化のみのため、通常種にあったデメリット特性が変異種では消えるorメリットのある特性に変更なんてことも一切無い。
    • モンスターが変異種になる際の条件が、前作の条件を満たせば100%変異種になる仕様から今作では完全なランダム制に変更になった。いちおう今作でも多くの敵とチェーンする、少ないターン数で戦闘を終わらせる、巨大肉を食べる等する事で変異種になる確率が上がるが、結局のところ運に左右されるところが大きいため、1ターンで戦闘終了+巨大肉EXを食べる等しても、運が悪ければ何度リセット→ロードを繰り返してもなかなか変異種になれない場合がある。
      • これに加えて特性や能力の継承も同じく前作と違い今作では完全にランダム制になっているため(能力の継承には相性があるもののやはり運に大きく左右される)、変異種に変身しつつ狙った特性・能力を全て持たせたいとなると難易度がかなり高くなってしまう。
  • 魔力育成のしづらさ
    • 魔力は一部の特殊な武器*13を除けば、基本的に魔法辞典を使わないと成長せず、加えて一部種族は成長しづらい。
      • 攻撃面としてはこの成長でも妥当とも言えるが、魔法防御力の基準値にもなっている為、魔力を一切育成せずにいると一部のボス戦で全体攻撃魔法を使われてエスパー以外即死なんて事になりがち。
      • 特にそれが顕著なのがラスボス戦。ラスボスとその取り巻き共に魔法攻撃を多用してくる*14ため、他種族より魔力の低いサイボーグや魔力が0のメカと一部のモンスターが、どうしても普通に魔力のある人間・エスパー・獣人や魔力のある一部のモンスターよりも不利になってしまう。
  • 肉を食べると、ときどきスキルを入手できるのだが、『アンサガ』同様役に立つものだけでなく弱体化してしまうスキル*15も存在している。
    • スキル欄が空いている場合強制的に入手することになり、外すには一旦スキル欄をいっぱいにしてから、別のスキルを入手した際に入れ替える必要があり面倒。また、モンスターの場合はこの方法を使う事が不可能なため、狙った特性を付けたい場合には難易度がいっそう高くなる。
  • リアルタイム成長の弊害
    • 素早さの高いキャラ程どうしても行動機会が多くなるため、素早さの低いキャラは全体的に成長が遅れてしまう要因ともなっている。
      • どうしてもこの点を解消したいなら、最初から能力値がある程度完成されているモンスター種族や、装備次第で素早さを大幅に補強できるメカ種族を活用して行動順を早める必要がある。

その他戦闘システム面

  • GB版と違い、ステスロスがラスボス戦に参加しなくなった。
    • GB版ではステスロスが応援に駆けつけてくれ、毎ターン援護射撃をしてくれる。ステスロスに関する「ある設定」も手伝って、まさにデューン達と共に戦ってくれたかのような熱い展開だっただけに残念。
    • 今作ではステスロスは戦闘中でもリモコンで任意に操作できるようになっているため、参加させる事はいちおう可能ではある…のだが、このリモコンに難点あり(後述)。また、リモコンを使用したパーティーメンバーが行動扱いになってしまうため、パーティーメンバーと別扱いで攻撃していた原作とは全く違う演出になっている。
  • 戦闘中にステスロスを呼ぶことのできるアイテム「リモコン」が装備品(武器)扱いになっている。
    • 仕様上の問題で武器装備枠を1つ食ってしまうというだけでなく、メカ・サイボーグの場合にはリモコンを装備してしまうと武器を1つ分何も装備していない状態と同等になり、ステータスが弱くなってしまう。そのため、結果的にリモコンを装備しない方が良く、モンスターに至っては武器を装備できない(リモコンを装備できない)ため、そもそも戦闘でリモコンを使用する事自体ができない。
    • 河津氏は本作発売後、Twitterでステスロスについて「FF10の飛行船と同等以上に高性能で、河津流だとそんな便利なものは絶対に出てこない」(参考ソース)と感想を述べているので、意図した弱体化と思われる。
      • ただし弱体化したのは戦闘面であり、拠点としてはGB版同様に優秀。
  • モンスターの能力の順番が変更できなくなった。
    • これだけならさほど問題無いように聞こえるが、今作では未来ドライブ使用の際に一番上の能力に対して効果が発揮されるようになっているため、武器を入れ替える事のできる他の種族と違い、モンスターのみ強制的に一番上の能力にしか未来ドライブが使えないようになってしまっている。
  • 武器の順番を入れ替えたい場合に、いちいち武器を外して入れ替えなければならなくなった。
    • そもそも武器を変更不可能なモンスターの場合は全く関係が無く、人間・エスパー・獣人の場合にも少し不便な程度で済むのだが、装備によって能力値が変動するメカやサイボーグの場合は別で、武器を外す事でHPが減少するため、武器の並び順を入れ替えただけでHPが満タンの状態から減少した状態になってしまうという問題が生じる。

演出面

  • 見た目上の難点として、開発規模の都合から『GOD』からのソース流用が非常に多いため、同作からのモデリングなどの使い回しが目立ってしまってる点がある。*16
    • これにより発表当初は「手抜きリメイク」の印象を強く与えてしまった。(実際遊べばそんなことはないのが解るが)
  • 権利的な事情もあり、「くいだおれ」をはじめとした「大阪的要素」はほぼ撤廃。*17
  • 過去・現在・未来・異次元を行き来する際にいちいち挿入されるステスロスのデモムービーを飛ばす事ができない。
  • 戦闘中にリアルタイムで成長するようにした弊害か、早送り+Bボタンで戦闘スキップをしても、前作よりも戦闘のテンポが遅くなってしまっている。

その他

  • MAPに発掘可能なアイテムがある場合、その場所につるはしの形をしたアイコンが表示されるのだが、この発掘をできる場所を示すアイコンは数秒間しか表示されないうえに、一度表示された後は再びMAPに入り直す等しても以降二度と表示されなくなってしまう
    • この仕様により、位置を確認する前に、敵等に当たる等してアイコンの位置を見逃してしまった場合、マップをひたすら歩き回って発掘できる場所をしらみつぶしに探す羽目になってしまう。
    • ちなみに発掘できるものは、同じマップに配置されている普通の宝箱と比べ、かなり上等なものばかりになっている。
  • 前作ではL・Rボタンを押す事(L←・R→)でキャラ1⇔キャラ2⇔キャラ3と交互に表示できたステータス表示の切り替えが、今作ではSTARTボタン1個のみの操作になり、キャラ1→キャラ2→…→キャラ5→キャラ1と一方通行にしか表示できなくなったため不便になった。
  • 「NewGame+」を「プレイヤーノートのみの引き継ぎ」で始めた場合に、ジュークボックスにある「戦士の休息」「輝ける未来へ」の2曲が消失するバグがある。
    • 全ての要素を引き継いで「NewGame+」を選んだ場合には全く問題無い。
  • あるイベントをクリアすると真のラスボスと戦える様になるのだが、真のラスボスと戦うにはラスボスを倒し、エンディング後のイベントを見なければならないので手間がかかる。
    • それだけならまだしも、このラスボスはプレイヤーの進行具合や選択肢によって強さやイベントが変わる仕様となっており、全てを見るには上記を繰り返さなければならず、面倒くささに拍車をかけている。
  • 一部パスワードの問題
    • パスワードを入力するとアイテムの入手やサブイベントが開始されるのだが、一部のパスワードはゲーム中のみではどうやっても入手できない。
      • しかも公式サイトにあるものはまだしも、公式攻略本でしか確認できないパスワードまであり、さらにはそれで解禁されるサブイベントまである。
      • おおよそはそこまで気にする要素ではないが、サブイベントまで隠されている点や、図鑑を埋めるという観点では問題視されている。結局その攻略本のパスワードも攻略サイトに上げられてはいるが、それを前提にする物でもないだろう。

総評

難解なシステムで懸念されがちな面もあるサガシリーズだが、本作は装備を揃えて自由にキャラクターを育てながらストーリーを進めるといった普通に攻略するぶんにはさほど難しい要素もなく、シリーズの中でも比較的とっつきやすい。コツをつかむにつれ、豊富なサブイベントや自由度の高いキャラクター育成を楽しめるだろう。
何故かGODから劣化したUIの問題や種族格差の問題もあるが、種族格差の問題はやりこんだ上で出てくる問題であり、気にせずとも問題なくゲームクリア出来る程度の話ではある。

GB版は従来および歴代サガシリーズでも大きく異なるシステムで「サガシリーズ一の鬼子」とも称されていたが、本作は上述した様々な改変によりサガの看板を掲げるに相応しい、良い意味での原作クラッシャー作品となったといえる。


余談

  • 公式HPのブログが、2ちゃん語やアスキーアートを多用した人を選ぶ内容となっている。*18
    • そのためファンの中にはブログのあまりの厨二っぷりから不快に感じた者も少なからずいた。
  • 開発規模の小ささから大々的なプロモーションは行われず、年明け直後という発売時期もありセールスは最初の1週間で約3万本(半年後の時点で6万8千本)と振るわなかった。
    • 発売時は前年の『FFXIV』などから続くスクエニバッシングのまっただ中にあったこともあり、ろくにプレイしてないアンチらによる不当なネガキャンの標的にされたことも。
    • ゲーム誌での宣伝も、『週刊ファミ通』の他は『電撃ゲームス』『オトナファミ』など高年齢層向けの雑誌が中心で、幼・少年向けゲーム誌には紹介記事さえ無いものもあった。過去のサガシリーズファンに的を絞ったのかも知れないが、結果として逆効果だったと言える。
    • 中には発売前に、新作ではなくGB版のリメイクだということが判明しただけで難色を示した人もいるほど。
    • それらのこともあり当初は新品価格が値崩れし安価で購入可能であったのだが、市場の在庫が捌けてしまった後はDS末期のゲームらしく元々あまり多くは出回ってない上にサガファンからの評価は高く、他機種への移植も無いこともあり徐々にプレミア化への様相を見せている。

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最終更新:2023年09月27日 17:35

*1 パスワード交換のみなので、実質一人プレイ専用

*2 クリスタルソフト出身の、藤岡千尋氏が中心となって制作。

*3 監修止まりであった『GOD』と異なり本作では「シリーズディレクター」として参加。

*4 オリジナルスタッフでは、京念秀史氏が唯一監修として参加しているが、藤岡氏は本作には一切関わっていない。ただし、『GOD』から引き続き担当している三浦宏之プロデューサーが制作に当たって挨拶に出向き、「(原作から)変えさせていただいていいでしょうか?」と相談した(『サガ3時空の覇者 Shadow or Light 公式コンプリートガイド』より)とあるので、一通り話は通したようである。

*5 稀に100%減算する敵がいる。

*6 浮遊石を呼び出す魔法。

*7 海中に潜る魔法。

*8 シリューの属性は「土」。赤だと「火」属性の色になる。一方、「火」のデューンは茶髪からオレンジがかった色に変わった。「風」のポルナレフは青から青緑に変わり、「水」のミルフィーは明るい紫のままほとんど変わっていない

*9 シリューはクリスタルソフト『夢幻の心臓3』に同名の人物が登場し、こちらは金髪。『サ・ガ3』に先立ち藤岡千尋氏らが開発に携わった作品なので、外見については先祖返りしたと言えなくは無い。こちらのシリューは回復専門で、武闘派の本作と正反対に近いが、恋人持ちという共通点がある

*10 GB版は装備の空きに追加は出来るが自分で付けた物も含め外せない仕様。

*11 メカは魔法辞典自体が全く使えない。サイボーグはメカと違い一応使用可能だが威力は低い。ただし、サイボーグは魔力に依存しない補助魔法や一部の回復魔法は特に問題無く使えるほか、モンスター種族からの引継ぎによる特殊能力での魔法ならメカでも使用可能。

*12 例外で人間のみ1/6ペースで得意武器以外も上げる事が可能。

*13 魔力を参照する武器で通常攻撃すると魔力の成長判定が行われる

*14 物理攻撃はラスボスの使う「触手」のみのうえ、ラスボスにある程度ダメージを与えるとその触手も使えなくなり、完全に魔法攻撃のみになってしまう。

*15 GB版で言うところの「×ほのお」のようなもの。

*16 一部の武器やモンスターのグラフィック、エンカウント用シンボル、キャラクターのポーズなど。

*17 一応、未使用データ内にそれらしきものはある。

*18 ちなみに『GOD』の公式ブログでもアスキーアートが使われている。