REGIONAL POWER II
【れじおなる ぱわー つー】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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PC-9801VM/UV以降、FM TOWNS
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発売・開発元
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コスモス・コンピュータ
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発売日
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1992年3月20日
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定価
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9,800円
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判定
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良作
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概要
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SFシミュレーション、レジオナル・パワーシリーズの二作目。未成熟だった前作を洗練化し、よりプレイの幅を広げた。
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レジオナル・パワーシリーズは、戦略、戦術より国家運営を中心としたSLG。このコンセプトはSFシミュレーションとしては珍しかった。
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本シリーズとシュバルツシルトシリーズ、銀河英雄伝説シリーズを合わせ、三大SFシミュレーションと呼ばれていた頃もあった。
特徴とシステム
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内政を中心として国力を増強し、宇宙に広がる星々を領有化、マップを制覇するのが目的のゲーム。
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システムは戦略と内政に分かれている。戦術、戦闘の部分は自動的に行われる。
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しっかりした国づくりこそ国力の源。
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国家運営の基本は各種建築物を地上、惑星起動上に作り上げていくというやり方。もっぱら軍事関連が多いが、その中でも最も大事なのが都市やコロニーの開発。人口は収入に直結し、全ての根幹となるのだ。
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軍事施設は艦船の建造ドッグや、修理ドッグ、兵器工場、惑星間転送装置など、艦隊運営に必要なものばかり。さらに技術開発のための研究施設もぜひ必要。そして惑星周囲を警戒するレーダー、防空施設や宇宙要塞など防衛のためのものも当然ある。
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建築場所は衛星軌道上と地上に分かれ、建設できるものも各々異なる。ただ宇宙のコロニーと地上の都市など、用途が同じものもいくつかある。だが、全般的に宇宙施設の方がコスト高。またガス惑星などは地上に施設が作れない場合は、衛星軌道上のみとなる。
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艦船はスペックを自由に設定する事ができる。
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艦船にはいくつもの構成要素があり、プレイヤーはそれらを自由に選んで、自分なりの軍用艦を作る事ができるのだ。名称も自分でつけられる。だからと言ってチート戦艦が作れる訳ではなく、あちらを上げるとこちらが下がるといった要素もあり、目的に合わせた調整がいる。
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例えば、小型から中型の船体に、大きめエンジン。広めのレーダーレンジ。一方武装はなし、防御シールドは最小限。とすると航続距離の長い高速偵察艦ができる。また大型の船体に、大型エンジン、最大規模の防御シールド、5回開戦分程度のミサイル。一方レーダーレンジは最小、他の武器はなし。となると後続距離はほどほどで速度はやや速い、強力なミサイル艦ができる。ただしレーダーレンジが狭いため、偵察艦隊の随伴が必須となる。という具合だ。
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スタート時にいくつかの艦船がすでに設計済みだが、どれもスペックが低いものばかり。勝者になるには新型の建造が不可欠。
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各構成要素は研究施設で開発、強化していく事となる。強力な船ほど大出力なエンジン、大型の船体が必要となる。武器自体も研究によって強化。戦力を向上するために、技術開発は必要不可欠なのだ。
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領地拡大と防衛の中心は艦隊。
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初期状態で、全惑星の場所は見えているが、どこの惑星がどこの国に所属してるかは分からない。それどころかどのような国々があるかも分からない。調査を行いながら、侵攻していく事となる。
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艦隊設計から構成までかなり自由でにできるので、侵攻は自分なりのやり方となる。ただ基本的には、事前情報を集めるための偵察艦隊、実際に侵攻を行う主力艦隊、占領政策のための物資輸送艦隊。一連の目的を持ったいくつかの艦隊を派遣する事が多い。
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惑星への移動は基本的に巡航航行。だが自国内で転送装置がある惑星間だけは空間転移で移動でき、移動期間を大幅に短縮できる。
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防衛は、侵攻してきた敵艦隊をどれだけ早く認識し対応するかにかかっている。
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敵を察知するのための探査衛星、そして艦隊の即応性を向上させるための転送装置、これが鍵となる。
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一応防衛システムを惑星に建設できるが、戦闘となれば被害が一般施設にも出るので、惑星にたどり着く前に撃退したい。
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戦闘自体は完全にコンピュータまかせ。プレイヤーは待機か撤退指示くらいしかできない。
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艦船はかなり大喰らい。弾薬、燃料の備蓄は常に気を配る必要がある。
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外交とスパイ活動。
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外交は友好関係から同盟までいくつかの段階があり、それを地道に積み上げていくもの。またスパイによる情報収集や破壊活動、印象操作などもできる。
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司令官の任命。
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艦隊戦や侵攻、外交やスパイ活動は、その責任者を任命して行う事になる。彼らは任務を達成すると経験値が増えやがて能力も上がっていくのだ。
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ちなみに艦隊戦で全滅してしまうと、司令官は戦死してしまう。迅速な撤退も時には必要。
評価点
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こつこつ積み上げながら国力を増強していく楽しさ。
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配下の惑星に目的を持たせ、それに応じた設備を作っていく。どこか箱庭ゲームにも近い感覚の楽しみがある。
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自分なりの艦隊思想から艦船を設計できる。
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設計はかなり自由にできる。銘銘もできるので、愛着も沸くというもの。また研究開発の成果が艦船へ大きく影響し、艦隊を育てていく面白さがある。
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戦略タイプのSLGとしての領土拡大も、もちろん面白い。
問題点
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戦術面で楽しめる部分はあまりない。
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艦隊戦や占領戦が完全にコンピューター任せ。基本的にプレイヤーは戦闘を眺めるしかない。またこのため、艦船の強さがもろに勝敗に影響する。寡兵で大軍を破るという訳にはいかないのだ。
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ミサイルが強すぎる。
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様々な武装があるが、その中でミサイルが突出している。射程も長く、開発費用も安い。弾薬補給が必要なため、ミサイル製造費が少々負担になるが、それを補って余りある強さがある。このため他の武装は趣味的になってしまっている。これは前作から問題点で、この点はあまり改善されていない。
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外交、スパイの出番が乏しい。
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外交は効果がない訳ではないが、防衛が楽なのでワザワザ手間のかかる外交関係を結ぶまでもないのだ。コンピューター側の侵攻アルゴリズムが単純で、また戦力を逐次投入してくるので簡単に対処できてしまう。スパイも情報収集を除き効果が薄い。これらも前作と同様で、あまり改善されていない。
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寂しい演出
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プレイ中BGMは一つしかなく、SEもほとんどない。グラフィックこそそこそこだが、音の演出がないのはやや迫力不足。
総評
星々を開発し、自分の望みの艦隊像を作り上げる。その箱庭ゲームに近い感覚の楽しみ方は、独特の中毒性があった。ただ残念な点は外交も含めた戦略、戦術面が弱い事だろう。SFシミュレーションというと戦略、戦術面を中心としたものが多い中、内政を中心とした異色作だ。
最終更新:2017年07月09日 11:50