エルミナージュ DS Remix ~闇の巫女と神々の指輪~

【えるみなーじゅ でぃーえすりみっくす やみのみことかみがみのゆびわ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 スターフィッシュ・エスディ
開発元 スターフィッシュ・エスディ
オペラハウス
発売日 2008年11月13日
定価 5,000円(税抜)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B (12才以上対象)
判定 良作
エルミナージュシリーズリンク

概要

スターフィッシュ(通称「星魚」)が、PS2ソフトとして発売した3DダンジョンRPG『エルミナージュ』。
それまで微妙な出来のゲームが目立ったメーカーであったが、エルミナージュはそこそこ遊べてそれなりのヒットとなったため、ニンテンドーDSに移植されることになった。
そしてその際、インターフェイスやゲームバランスが大幅に改善され、これまでのシリーズの悪評を払拭。中でもオリジナルで不評だった「読み込みの多さ、ロード時間の長さ」が無くなった点が非常に大きい。

特徴

 『Wizardry』の雰囲気を意識して作ったというだけあって、シビアなゲームバランスや自由度の高さは折り紙つき。また、パッケージイラストやモンスターデザインを宮内健氏(以前『ウィザードリィエンパイア』シリーズのモンスターデザインを担当していた)が担当しているため、作品に流れる雰囲気は全体的に硬派。ただし、コメディチックなノリもある。
 ストーリーは「各地のダンジョンでキーアイテムとなる指輪を入手し、魔王アイロークの復活を阻止する」と単純明解。そしてゲーム性も「ひたすらダンジョンに潜って敵を倒し、とことんアイテムハントやキャラの強化を楽しむ」とシンプルイズベストなもの。
 一見するとただの作業ゲーに思え、万人受けはしづらい。しかしハマる人はとことんハマり何百時間もやり込める作品であり、Wizライクのゲームを好むコアユーザーからの評価は非常に高い。

PS2版との変更点

  • 種族間の能力、各職業の能力が調整・強化された。
    • 司教の鑑定能力向上、侍の魔術師呪文習得、兼業盗賊であった狩人・遊楽者・忍者の盗賊技能(主に宝箱の罠解除の成功率)向上など。
  • 新規アイテムの追加と既存アイテムの性能調整。
  • 新規モンスターとエキストラダンジョンのマップ追加。
  • ロード時間の劇的短縮。
    • PS2版はゲーム開始に15秒、ダンジョン突入に20秒、ソフトリセットに20秒(ダンジョン復帰も合わせると80秒近くかかる)とかなりの時間がかかった。しかし、本リメイクでは全場面においてほぼ読み込み無し、リセット時も再開まで約1.5秒という快適設定。

評価点

  • 図鑑の完成度の高さ
    • アイテム総数383・モンスター数289匹(しかも他のRPGと違い色違いが殆ど無い)と豊富。さらにアイテム・モンスター1つ1つに個別のテキストが用意されており、思わずクスリと笑いそうになるものもあったりする。
  • 圧倒的な自由度の高さ
    • 最初のチュートリアルを兼ねたダンジョンをクリアした後は、ラストダンジョンを除く全てのダンジョンがフリーパスなので攻略の自由度は高い。また、ライトユーザーへの配慮として、ダンジョン毎の出現モンスターの強さを示した難易度表記もある。
  • 職業バランスの良さ
    • 職業は「下級職・中級職・上級職」と分類されている。ただし、どの職業も一定のレベルに達すると、「ハイマスター(サマー)」と呼ばれる職業独自の特殊能力・強化要素が備わるようになる。戦士系職業は「物理攻撃威力UP」・魔法系職業は「呪文威力UP」などの補正がかかるようになり、さらに盗賊の「盗む・装備解除」(モンスターの装備を剥ぐ&アイテムを盗む)や君主の「法院保護区」(味方全員の特殊防御率上昇)などの職業固有技能を修得できる。このようにどの職業もそれぞれ一芸に秀でているため他には無い強みがある。
      • これらの能力は転職すると失われるので、職業ごとの個性がより顕著になった。一見要らないように見える職業も成長すると大化けしたりするので、一概に「下級職中級職上級職」とはなっていない。
      • 例を挙げると、下級職の戦士は殴る事しか能が無いが、ハイマスターで「物理攻撃の威力UP」を獲得し、なおかつその補正率が全職業中トップ、しかもLvUPも早い、と殴る事に関しては全職中最強となる。ウィザードリィでの戦士は「上級職へ転職するための一ステップ」でしかなかったが、エルミナージュではどの職業も最後まで使っていける。
  • スペルキャスティング
    • ゲーム中の呪文名を自分の好きな名称に変えられるというシステム。Wiz系の特徴の1つである想像力の構築と非常に相性の良い。厨ネーミングにするもよし、他のゲームから引用するもよし。
  • 異常とも言えるやり込み要素
    • キャラのLvはゆうに1万を超え(もちろんゲームをクリアするだけならもっと低くてOK)、クリア後の裏ボスは並みのRPGとは段違いの強さ、正攻法で挑むならLv1000以上は必要(攻略法を知っていたとしても数百Lvはいる)。また、ボスの所持アイテムを盗んだりボスと契約しようとすればさらにLvを上げる必要がある。

問題点

  • ダンジョン内イベントの希薄さ・違いの乏しさ
    • 森に渓谷に火山と多種多様なダンジョンはあるがイベントが少ない。階層もラストとクリア後のダンジョンを除けば平均して3,4階で、イベントが少ないので何もない部屋や通路を探索することが多い。
    • ダンジョン毎の特徴はあるにはある(例…酸素による制限時間がある水没したダンジョン、謎解きがメインのダンジョンなど)。ただ、そのダンジョンに指輪が埋まって居なければ「それだけで終わっている」感があり、豊富なロケーションとダンジョン数をイマイチ活かしきれていない。
    • 次回作ではその反省を踏まえてかダンジョン内のイベントが多くなった。
    • また難易度が近いダンジョンでは出現モンスターが殆ど同じ、何匹で出るかどんなモンスターと一緒に出るかの違いがある程度という問題も。
  • 攻略が運頼りのマップがある
    • 上で挙げた謎解きがメインのダンジョンにあるイベントの1つが、双六でクリアしないと先に進めず、そのマスがプレイヤーに不利なマスばかりという仕様。戦闘のマスや罰金のマスは超マシなレベル(正直これらはアタリと言っていい)で、中には超絶ダメージ必至の猛毒マス・地雷マス、さらには問答無用でPTキャラが2名死ぬ即死マスもある。
    • 振り出しのマスも多く、ゴールの1つ前のマスに至っては全滅マスという仕様(一応、屈辱的な選択をすることで全滅は回避できるが、結局振り出しに戻される)。
      • なおゲームクリアだけなら双六をクリアする必要が無い。ただしクリア後に追加されるダンジョンに行きたい場合、運が悪いと双六クリアが必須になる。
  • バグが多い
    • 一部ゲームの進行に不具合をきたすバグが本作にもある。仲間を呼ぶモンスターでの経験値稼ぎでフリーズする通称「養殖バグ」、高レベルの召喚師が召喚したモンスターが弱体化する「オーバーフローバグ」、街で召喚モンスターを召喚して連れまわした時に諸々の不具合が起こる通称「召喚バグ」など。どれも事前に把握して注意していれば一応回避可能ではある。


賛否両論点

  • 一部の職業が優遇されすぎ
    • 盗賊
      • 本作には「モンスター装備」という概念があり、これを入手するには盗賊だけが使える「装備解除」と「盗む」というスキルが必須。このモンスター装備に中々いい物が多いため、ハイマスターに達した盗賊の有無で難易度が激変する。
      • しかも盗賊は全職業の中で最も成長が早く、後述の錬金次第では戦力としても十分いけるクチだったりする。
      • 一応後の作品でモンスター装備をシブチンにしたら不評を買った、という話もあるので、まるっきり欠点とは言い切れないかも。また戦闘力やHP補正自体も従来のWizと同様のレベル。
    • 闘士
      • 闘士が覚えるスキル「連撃」には、「連撃を決めた直後の攻撃時、一時的に相手の特殊攻撃耐性を低下させる」という効果がある。この特殊耐性低下効果はボスにも有効なので、運次第だがボスすらも麻痺や石化で無力化できる。そのためバランスブレイカーとの声もある。
      • 闘士には一応「装備面の制限が強く、特に防御面にはやや難がある」という欠点があるので、「連撃が強い代わりに打たれ弱くすることでバランスを取っている」という見方もできなくはない。しかも闘士が真価を発揮するにはそれなりのレベル・錬金能力などの知識が必要。相応のやり込みをした者向けの恩恵でもある。
    • 召喚師
      • 召喚モンスターの一部スキルが「他の職のスキルを食っている」として批判されている。また、召喚は呪文扱いなので、召喚モンスターがやられてもすぐさま再召喚できる。これもリスクが無さすぎと言われている。
      • といっても、召喚師自体は装備に乏しく全職業でもトップクラスに打たれ弱い。本体がやられてしまえば当然召喚もできない上、召喚師を蘇生→召喚呪文を唱えるという二度手間になる。
      • なお召喚師そのものは戦闘能力が低いうえに特殊攻撃を覚えないので、他の職の呪文を覚えてくるなどしないと召喚した後は何もすることがない手持ち無沙汰キャラと化す。そのため、契約の手間を掛けて他の職とやれることが同じではわざわざ召喚師を使う意味が無くなってしまうため、召喚モンスターの優遇はある程度はやむを得ないと言える。
      • ちなみに、召喚自体は転職すれば制約付ながら他職業でも使用可能。
      • 召喚するにはモンスターと契約する必要があるのだが、強力なモンスターとの契約成功率はきわめて低い。それを上げる唯一の手段が闘士の連撃というのも闘士優遇につながっている。
      • ただし、契約の際に闘士を普通に運用すると相手モンスターを倒してしまうため、専用の闘士を用意するのが一般的であり、通常の攻略と関係があるとは言い難い。
    • 錬金術師
      • 錬金術師のみが行える「鍛冶」というシステムで装備品を強化することが可能。攻撃力やら守備力やら追加効果やら耐性やらとあらゆる数値をカスタマイズできるので、これを駆使すれば安武具でもそれなりの強さに、強力武具+高純度鍛冶ならチートクラスの装備を作成可能。
      • もっともチート武具を作るには廃レベルの錬金術師を作る必要がある。また、錬金術師自体は戦闘に不向きなのでもっぱら酒場待機のキャラになりがち。

これらの点に関しては次回作以降にて改変が加えられた部分もあるが、逆に新たな問題も生じている。ただしそれを語るのはまた別の機会に。


総評

 硬派なゲームバランスとボリュームのあるやり込み要素でコアユーザーの心を掴んだ作品。
 バランス調整の甘い部分やバグも多分にあるが、プレイするうえで支障となる問題はほとんど無い。
 元のPS2版がどちらかと言えば微妙な出来だったので発売前は心配する声も多かったが、蓋を開けてみるとPS2版の問題点を見事に解消した良リメイクとなった。
 本作の成功でエルミナージュが「スターフィッシュの奇跡」と呼ばれるようになり、後にシリーズ化していったこと、それまでのスターフィッシュがアレだったことを鑑みると、この作品が如何に衝撃的だったのかが窺い知れる。



余談

  • ファンからは「パッケージの闇の巫女とゲーム中の巫女が全然違う」とネタにされている。また、パッケージのデザインのせいで敬遠されているなど、ゲーム性よりもこっちが問題とも言われている。  逆に萌えパッケージだらけと化していたwiz系ソフトの中にあって、このゴシック的なパッケージを評価するwizフリークもいる。
  • 世界的プロゲーマーの梅原大吾が、実はエルミナージュのファンであったりする(「Windows100%」 2012年2月号より)。
  • 本作のプロデューサーを務めた「小宮山大介」氏。だが、「プロデューサー」と銘打たれてはいるものの、実際はプログラムやゲームシステムデザイン、テキストにモンスターデザインの原案など、本ゲームのほとんどの部門を担当している。エンディングのスタッフロールを見ると、その「小宮山無双状態」に思わずニヤリとさせられるはず。また、本作の開発スタッフ自体も、一説には5~10人だったとも言われている。逆に言えばこの少数でこれだけの高品質ゲームを生み出した事実は驚嘆に値する。  開発の裏にはやはり苦労があったようで、製作環境の改善を上層部に訴えたりもしている。「自身の能力と開発無双により、酷い開発環境から名作を生み出している」点において、『ウィザードリィ外伝II』のベニー松山氏の境遇と似通っているといえる。
    • 小宮山氏は本作のヒットで名を上げたことで、ファンからは「バケツ頭」*1、「変態紳士」*2というあだ名で呼ばれている。
  • 後に2のシステムを追加したPSPリメイクが発売されているが、バグが非常に多く劣化移植である。
    • DL版では大半のバグが修正されたので、PSP版を買うならDL版一択である。
      • PS2版が2008年3月27日、DS版が2008年11月13日、PSP版が2011年5月19日、PC版が2016年1月28日。
      • さらに2016年12月14日には、3DSにてDL版が発売された。スタイルロードが実装されている。