ファイアーエムブレム 封印の剣

【ふぁいあーえむぶれむ ふういんのつるぎ】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2002年3月29日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 【GBA】1~4人
【WiiU】1人
セーブデータ 3個(製造時期によって電池版,フラッシュ版が存在)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
周辺機器 GBA専用通信ケーブル対応
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年9月2日/715円(税10%込)
判定 良作
ポイント シリーズの原点に回帰したと思しきシステム
オーソドックスながらも練られたシナリオ、世界観
支援会話、ハードモードが初搭載
ファイアーエムブレムシリーズ


概要

SRPGというジャンルの火付け役となった『ファイアーエムブレム』のシリーズ6作目。

CMの構成や登場キャラクターの大まかな特徴、シナリオの雰囲気等、マップの縮小やスキルの廃止など、過去作の『紋章の謎』のオマージュと言える要素が多い。
これまでシリーズのメインスタッフだった加賀昭三氏が抜けて初めて作られた作品。
それに伴い、メインのシナリオライターも加賀氏からトラキア776でシナリオ補助を担当した堀川将之氏に交代している。


新要素・変更点

  • 支援会話システム
    • 「特定のキャラ同士が近くにいると能力がアップ」という仕様はシリーズ3作目の『紋章の謎』にて実装*1されており、その後シリーズを重ねていくにつれ発展していったのだが、本作にてその集大成と言える「支援会話」システムが確立された。
    • 支援を組めるユニット同士を隣接させてターンを終えるとポイントが貯まり、それが一定値に達すると発生する「会話」コマンドを選択すると支援効果が発生するようになる。
      • 支援効果はこれまでの回避や命中だけでなく、攻撃力や防御力にも及ぶようになった。どんな効果になるかはキャラクターごとの「属性」の組み合わせにより変わる*2
      • 攻撃面が強化される属性、博打性が強いが爆発力が稼げる属性など、やや被りがみられるものの属性効果はなかなか個性的である。満遍なく強化するも良し、同じ属性同士で長所を伸ばし合うも良し。
    • 主に主従・友人・血縁など何らかの接点のあるユニット同士だと必要ポイントも少ないが、多くのポイントを要しながらもまったく接点がないユニット同士で発生する事もある。
    • 支援レベルはA/B/Cの三段階で、一人のキャラに五段階分までの支援をつけられる。例えば支援Aがついているユニットには、追加で支援Bを1つか支援Cを2つつけられる。
    • 『トラキア』までは支援効果を得られる組み合わせが基本的に固定*3だったが、本作では1人のキャラに対し複数の支援発生枠が存在するため、どの組み合わせで支援を成立させるかの選択の幅が広がった。性能重視で一線級のユニットに集中してつけるも良し、効率度外視でキャラ設定に準じて付けるもよし。
    • 会話自体も量・バリエーション共に豊か。本編で物語に絡めない脇役キャラの個性や過去をより深く掘り下げることが可能になった。
      • また主人公含む一部のキャラは支援キャラの組み合わせに応じてエンディング後の後日談も変化するため、周回プレイ時の楽しみにもなっている。
  • チュートリアルの搭載
    • シリーズとしては初めて本格的なチュートリアルモードが搭載された。実際にマップを攻略しながら基本的な操作を学んでゆくことができる。
    • 「『カーソル』の意味すらわからない初心者を意識した」と豪語する通り丁寧な説明。
    • ちなみにその内容は「留学先のオスティアで駐留武官のセシリアの教授の下、側近のウォルト・幼馴染のリリーナと共に仲間であるボールス率いる敵軍と模擬戦を行う」という1章の前日談になっていて、ストーリー的にも自然に繋がっている。
  • 決め細やかなUI
    • Rボタンがヘルプ呼び出し用として設定されており、ほとんどの画面でRボタンを押すことで、その項目の説明を表示することができる。
      • 武器の性能などはもちろん、キャラクターのプロフィールやクラス・ステータスの説明までいつでも細かく確認することができる。
  • ハードモードの実装
    • 本作より、高難度である「ハードモード」が実装された。難易度上昇の方向性は、敵の能力の引き上げによる比率がかなり大きくなっており、後の作品のように配置や敵装備や行動等にはさほど手が加わっていない。
    • とはいえ、攻速が20以上の遊牧系・剣士系が多いサカルート、力がカンスト状態の銀の槍やキラーランスによる事故死の怖い21章などの敵の能力の引き上げによる難易度上昇でも難関マップは存在する。 またハードにおける新規の増援などが存在しているため、気を抜いていると死にかねない。
  • その他の仕様変更
    • 従来の炎・雷・風・魔法の系統は全て「理」魔法の1種類に統一され、同時に理→光→闇→理…という新たな魔法の3すくみ関係が設定された。
      • 従来は実質敵専用魔法であった「遠距離魔法」の要求武器レベルが下がり、性能的にも味方側が利用しても十分実用レベルに改良された。更には光魔法にも遠距離魔法が登場した。
      • 逆に『トラキア』で猛威をふるっていた状態異常杖は「射程に制限が入る」「命中率の低下」「状態異常が一定ターン経過後に自然回復する」などで弱体化された。
    • ステータスの力と魔力が一旦統合された。物理ユニットに魔力の、魔法ユニットに力のステータスは存在しない。
    • 体格の値はレベルアップで成長しなくなった。
    • 「捕らえる」システムは廃止された。
    • 盗賊の「盗む」は敵の武器を除くアイテムのみ盗むことが可能になった。
    • 「かつぐ」システムは「救出」に名称変更。またユニットごとに「救出」という値が設定され、救出する側の「救出」値>救出される側の「体格」値の場合に救出・引き渡しを行うことができるようになった。
      • 救出値は基本的に「体格-1」だが、騎馬・飛行兵の救出値は高く補正されるため、騎乗ユニットは「救出しやすくされやすい」というシステム的に有利な立場になっている。
    • 騎乗ユニットが攻撃後に再移動できなくなった。攻撃以外の行動をした後のみ、再移動できる。
    • 騎乗ユニットの乗り降りシステムは廃止され、室内マップでも騎乗ユニット時の得意武器をそのまま使うことができる。
    • 戦闘前にロイ以外のユニットの初期配置を自由に変更できるようになった。

評価点

  • 簡単すぎず難しすぎない難易度
    • シリーズ最高レベルの難易度と言われる前作『トラキア』に比べると難易度はずっと緩和されているが、節々での手強さは十分健在であり、『紋章』同様程よい難易度調整と言った所。
      • ただしそれでもクリアできない人も少なくなかった事実からか、次回作の『烈火』ではチュートリアルの大幅な強化・敵のパラメーターの下降などの調整がなされた。
  • 王道路線ながら緻密なストーリー
    • 本作のストーリー構成は、当シリーズのオーソドックスなスタイルで抜きん出た壮大さやインパクトにこそ欠けるが、小さな諸侯の息子でしかなかったロイが激戦と大国の陰謀を乗り越えて世界規模の軍勢の将に成長する経緯、大陸を巻き込む戦争の発端から集結、その裏にある太古の「人」と「竜」との間で繰り広げられた「人竜戦役」の真実や両種族の共存の可能性を信じるロイ…等、それぞれの過程を余すことなく描ききっており、それぞれの要素が緻密に関係し合う、王道シナリオの鑑とも言える完成度となっている。
    • また、世界の多くを巡る展開から、それぞれの国の産業や文化、そして、発生している問題にも向き合うことが多いなど、ファイアーエムブレムシリーズらしい魅力を味わえる。
    • 様々な立場にあるキャラクターの描写も豊かで、章前会話等のボリュームもかなりのもの。
    • 会話の演出も強化。今までは1画面中に2人しか表示されなかったが、今作では3人以上表示されることも多くなったほか、左右移動や上下の揺れなどのちょっとした演出が追加。突き飛ばされたら後ろに引きながらガクンと揺れたりするなどの表現でキャラの生き生きさが増した。
  • 魅力的なキャラクターたち
    • 前述の通り、本作はすべてのプレイアブルキャラクターに支援会話が存在し、これを鑑賞することでキャラクターの深堀された内面を見られる。
      • 会話内容によっては、主君に対する忠誠心や仲間への思い、敵への復讐心など、メインシナリオで描かれていない一面を知ることができる。また、『聖戦』などと同じく、出身地によって考え方が大きく違うなど、ユニットごとの個性がより深く演出されている。
    • 敵に関しても、従来より個性に溢れたユニットが多く出現する。
      • 表向きのボスであり、実質的な黒幕でもある「ゼフィール」は、かつての「ハーディン」を思い起こさせる非情な支配者として君臨しているが、そのバックボーンは彼以上に悲惨なもので「こんな目に遭っていればそうもなるだろう」と、作中のキャラクターにもプレイヤーにも同情を向けられている。
      • 敵幹部の三竜将も、ゼフィールが幼い頃からそばで仕え続けている忠臣「マードック」や、卑劣ながら詰めの甘い小物「ナーシェン」、ナーシェンに代わって三竜将に加入し、かつての仲間たちと刃を交える「ゲイル」、感情が先行するなど将軍としては劣っているが、その意地を竜族にも認められた「ブルーニャ」など、非常に個性豊か。
  • クリア後も遊べる要素の充実
    • クリア後に「トライアルマップ」というモードが追加され、クリアしたデータを使って新たなマップを繰り返しプレイすることができる。
      • 更に周回プレイでクリア回数を重ねると、トライアルマップ限定で本編では仲間にならなかったキャラや敵将達が味方ユニットとして使えるようになる。これにより初代からあった「あの敵将が使えたら…」という願いが叶えられた。ただし一部のキャラの装備を変えられていたり、限界以上の能力値を持つキャラの能力は限界値まで下げられている。
    • GBAの仕様を最大限に活用した「通信闘技場」の追加。
      • 育てたキャラ同士をいくつかのルール上で対戦させるというものであり、シンプルなルールでありながら本編とは違った意味で中々戦略性がある。
    • 2周目からは難易度が上がった「ハードモード」が選べるようになっている。
      • 敵の能力が1章からかなり引き上げられている他、各章の増援数が全体的に多くなっている。(配置面では全25章中3章程度だが)
      • 序盤だといわゆる「お助けパラディン」のマーカスをうまく使うと、敵のHPがギリギリ残るよう調整されており他のユニットが育成しやすくなるなど、彼の力をもいかに借りるかで難易度が大きく変わる。
      • また、本作ではハードモードでしか出現しないボスが1体だけ用意されている。*4
  • 敵AIのバリーエーションが広がった
    • 「特定ユニットには絶対攻撃しない」類のAIが組まれているステージ・ユニットが存在する。
    • クラリーネを絶対に攻撃しない4章の敵全員、ララム/エルフィンを狙わないダグラスが該当)。
    • 逆に「リリーナのみに攻撃するガレット」…等々、キャラの設定に準じた緻密なAIが用意されている。
    • ただし、一部のUIは不可解な行動をする。詳細は問題点の項にて。
  • 高クオリティな戦闘アニメーション
    • 中割カット数こそ少ないがメリハリが効いており、スピーディかつダイナミックに動く。
      盾から武器を取り出して攻撃する勇者、その場から動かず鎖でつないだ武器で攻撃するジェネラル、瞬間移動して斬るソードマスターなどは印象深いところだろう。
    • 必殺の一撃を出した時は上の例よりもさらに派手な動きをし、効果音も爽快で今なお好評。
  • オートセーブ機能
    • GBA3作に共通する仕様として、マップ攻略中は常にオートセーブ状態であり、そのまま電源を切っても常にその状態から再開することができる。移動中など短い時間にプレイすることが多い携帯機作品としてはありがたい仕様。電池切れなど不慮の事態で攻略データが水の泡になることもない。
    • またこの仕様を利用することで、作中の闘技場で敵の種類を厳選することができるというテクニックもある。

賛否両論点

ゲームバランス面

  • 『聖戦の系譜』より続く回避(支援)ゲー。
    • 実は本作以降、 乱数による命中率判定は常に二重に行われる仕様 となっている。つまり、「実効命中率」*5と呼ばれる隠し仕様によって、ゲーム中表示されている命中率が50%以上なら表示されている命中率よりも当たりやすくなり、逆に50%以下は当たりにくくなる補正をなされている。
      • このことから、実際の命中率が表示と異なる、ユーザー有利な調整と批判されることもある一方で、正規の確率通りだと「こちらの命中が高いのに外れた」「相手の命中が低いのに当たった」などの印象が強まり確率に不信感を抱くことも多く、それを見越した仕様であるため優れた制度であると擁護する意見も多い。
      • ただし実効命中率からわかるように命中率が50%以上は回避を信用してはならないのは鉄則である。
      • 実際ゲーム開発側としては売上こそが第一であるため、多くのユーザーにとって遊びやすい、とっつきやすいゲームとしての調整をすることは当然である。また前作トラキアのこともあり、FEシリーズとしては打ち切りも視野にあったため、やたらと難易度を上げる方向には舵を切ることができなかった。難易度を上げるだけならハードモードや縛りなどでいくらでも上げられるため、すべてを開発に求めることは酷であろう。
    • 問題なのは、武器全体の命中率がシリーズ全体を見ても最低クラスに入ること。
      • 特に、敵の方は「はがね系」「てやり・ておの」といったことさら低命中な武器を好んで使う傾向にあるので敵の命中率を50%以下に持ち込みやすい。前述したように敵は命中率が0%でも突撃してくるので、攻撃を回避して敵を次々と薙ぎ倒す「地雷キャラ」が誕生しやすい。その結果、速さが高い剣士系などのユニットが優遇、その逆の速さが低い戦士系やアーマー系ユニットが冷遇という軽業一辺倒のバランスになってしまっている。
      • 逆にボスは後述の通り、守備・回避補正のかかる城門や玉座から動かないため、避けて硬いユニットとなり、運次第では相当ターン数がかかるようになっている。特に序盤は攻撃力や必殺率が高くこちらの回避率も低い為思い切った直接戦闘が出来ず、意図せず間接攻撃によるボスチクをせざるを得ない場面が多い。終盤は直接戦闘はできるものの、外伝進出条件のためターン制限がかかることも多く、それはそれで特攻を覚悟しなければならない場面がある。
  • 目玉システムである支援が不安定。
    • 組めれば強力無比なシステムであり、例として初期メンバーのロイとアレンを支援A、ロイにウォルト(かマーカス)を支援Bにすれば、回避率はそれぞれロイが25%、アレンが15%、ウォルト(マーカス)が10%上がり、他の確率や攻撃防御などのステータスもアップする。ここまで回避率が上がれば、敵の平均的な命中率と実効命中率の関係でほとんど攻撃が当たらなくなる。この支援関係はやろうと思えばごく序盤から組むことができる上、終盤でも十二分に機能する。
    • 極めつけに、なんと闘技場での対戦時でも支援効果は発動するのでレベル上げや金稼ぎがお手軽に。流石にやりすぎと判断されたのか次回作以降では適用されなくなっている。
    • 支援は1マップに上げられる量は全員共有で180と限られており、外伝進出ターン制限が絡み合い、配置の関係で自由に上げやすいとは言いづらい。これが問題視されたため、『烈火』では上限が撤廃され、『聖魔の光石』ではフリーマップと撤退の導入により自由に組めるようになった。
    • また導入されたのはこの作品が初めての為、支援が成立するまで60ターンかかるペアも多い。その間は粘り強く何度も隣接させないと支援自体を組めず、組める合計回数にも限界がある。そのため意図しなくても成立できるのはロイとリリーナぐらいであり、情報を集めて計画的に配置しないと終章ですらペアがいないユニットも出てくる。
    • また後続の2作と違い、回想することができない。
  • ハードブースト
    • ハードモードでは「増援で途中登場する寝返りキャラ」に対して敵と同じ能力上昇補正がかかり、そのまま仲間に加えられるため、章が進むほど普通に仲間になるキャラよりも頭一つ抜けた強さになる。これがいわゆる「ハードブースト」と呼ばれる現象である。
      • これにより難易度ハードではキャラの格差が更に広がってしまい、「お気に入りのキャラを育てて攻略する」ことがやりづらくなっている。ただし真逆ともいえる『聖魔』ではハードでも簡単すぎるといわれることがあるため、どちらが良いとも言いづらい。
    • 特に15章で仲間になるパラディンのパーシバル*6は、ノーマル時でさえ高かったパラメーターが更に輪をかけて高くなっており、なんと同じLVまで育成した初期メンバーであるソシアルナイトの強キャラ、アレンとランスの期待値とほぼ互角。HPと魔防に至っては彼のほうがはるかに高い。成長率は低いが、初期値の時点で充分エース級の活躍が可能。
    • ただし序盤でハードブーストがかかるキャラは4章の剣士ルトガーくらい。次に出てくるハードブーストのキャラは9章の剣士フィルと遊牧民シンで、特に苦しいマップが多い序盤はあまり恩恵にあやかることが出来ず、歯ごたえのある詰将棋的なマップが続く。
      • また、「イベントで敵ユニットとして扱われるが、敵として戦闘する前にイベントで仲間になる」ためにハードブーストが適用されないはずのミレディも何故かブーストを受ける。ただでさえ強力なドラゴンナイトが更に強力になり、結果としてペガサスナイトの存在を奪ってしまった。
    • なお開発スタッフはこの件を「設定ミス」と言っているため不具合である。「最初から出現している寝返りキャラ」にハードブーストが適用されないのもこれを裏付けている。
      • 余談だが、敵のパラメータに同様のランダム性を採用していた『トラキア』に「増援で登場する寝返りキャラ」は登場しない。そのため能力補正の除外条件の抜け漏れに気付かなかったのは決してあり得ないことではない。
  • クラスによる格差が未だに激しい。
    • 剣士の上級職である「ソードマスター」は必殺+30という驚異的な補正がかかっている上、速さ上限の高さから回避も高くなり、避けゲーである今作の仕様ととことんマッチして最強のクラスとして君臨している。
      • その上、序盤で加入する剣士のルトガー・フィル共に初期装備は必殺に補正がかかるキルソードや倭刀を所持、支援相手にも恵まれて尚且つ上記のハードブーストに対応という隙の無い強さを誇る。
    • 並びに騎馬弓ユニットである「遊牧民/遊牧騎兵」もソードマスターに並んで強力。
      • ソードマスターと同値のステータス上限もさることながら、騎馬系の移動範囲に弓の攻撃範囲が加わり利便性が非常に高い。クラスチェンジ後は剣も使えるようになり死角がなくなる。弱点は砂漠面で移動範囲が縮小されることだが、そもそも砂漠面が1回しか無いため殆ど弱点になっていない。そしてパラディンと異なり騎馬特効が設定されていないという隙の無い強さ。
    • 援護系ユニットでは騎馬杖のトルバドール…特に序盤から仲間になる「クラリーネ」が便利すぎて序盤は彼女一人で何とでもなることが多い。
      • 魔力が低いため回復力に不安があるという意見もあるが、序盤では味方のHPもそこまで高くないためリライブの杖で回復が間に合う。間に合わなくなった頃には他の魔道ユニット(特に魔力に秀でるリリーナかレイ)がクラスチェンジして杖を使えるようになり、味方との連携でフォローが可能。そうでなくともHPを全快する「リカバー」の杖も入手出来る。クラスチェンジすれば攻撃魔法も扱えるので、敵の魔防が全体的に低い今作では連撃分で間に合うことが十分にある。
    • この他、総合力が高い上に2名ともハードブーストがかかる「ドラゴンナイト」、技の上限値が低めだがソードマスターと同じく必殺+30補正がかかり「高い山」での回避が強力な「バーサーカー」、今作のマップの広さと総合力の高さが噛み合っている「パラディン」が今作の強ユニットとされている。
    • 遊牧民の存在でアーチャーが割を食っている他、今回はマップが広めの為機動力が低い為活躍しにくいアーマーナイトなどやはり愛がないと使いにくいものはある。
    • また前述の魔法ユニットもいくつか問題を抱えている。
      • まずクラスチェンジアイテムが手に入りにくく、2人目は14章、3人目は下手すると20章までクラスチェンジできない。避けゲーなこともあってクラスチェンジによる安定性がないと積極的に出しにくい場面がある。
      • また、光魔法使いである司祭は肝心の光魔法が使いづらい。なにしろクラスチェンジしないと使えないうえ、最低レベルの武器レベルから上げなければならない。クラスチェンジしたとしても味方が使えるようになるのも11章から。その上威力も弱く命中率が低い為、神将器アーリアルは結局使わずじまいという人も多い。
      • 闇魔法は命中率が低い。なおかつ使い手が出てくるのが中盤以上であり、実際の運用には命中の面で問題がある。一応使い手には強キャラと呼ばれる部類はいるのだが、お手軽な魔法とは言いづらい。
    • 盗賊はステータスとしては問題ないのだが、やはりクラスチェンジしないため、育成面では物足りなさが残る。
  • ラスボスが非常に弱い
    • 50近い攻撃力と20近い必殺率に加えて封印の剣と神竜石しか特効を受けないという、一見すれば手ごわいスペックを持っている…が、射程1の攻撃しか出来ない
      速さも16と低めで追撃も容易。このためロイが封印の剣で間接攻撃を仕掛け、追撃が出ればほぼ確実、必殺が発動すれば一撃で倒せてしまう。HPも79と味方側の限界値を一応超えてはいるが、封印の剣に何度も耐えられる値ではない。
      • ロードLV1の時点でCCさせた上級職LV1のロイですら、封印の剣を持たせ必殺重視の支援を組んで必殺を発動させれば一撃で撃破可能…と言えば、その脆弱っぷりがお分かりだろうか。
      • 守備や魔防も高くはあるが理不尽な領域ではなく、前作までのラスボスが持っていた攻撃力半減効果もない為、相応に育てたユニットを用意すれば他の武器で倒す事も不可能ではない。ただし封印の剣以外でトドメを刺すと真エンディングが見られなくなるので注意。
      • うまくゲームを進められなかった場合の救済措置としても見れるが、その程度の実力では真ルートに達すること自体が難しく、いまいち調整がうまくいっていない。
      • それより前に戦う大ボスの方が特効も無く、間接攻撃も可能な威力の高い武器を持ち、強力な特殊効果を受けられる玉座に居る為、尚更こちらのボーナスステージっぷりが際立つ。
    • ラスボスを封印の剣で倒すことが真エンドの条件なのだが、結果的にそれ以外で倒すノーマルエンドの方が条件達成が難しいという逆転現象が起こっている。
  • 弱いと言われるキャラは一部いるのだが概ねネタとして愛されているため、いじられることも含めて熱心なファンがいたり、皆の記憶に残っていることも多い。
    • 定番のお助け上級や終盤加入キャラが弱いのはお約束。
    • 本作からは支援効果が充実しており各職の特徴も増えているため、うまく使えば難易度ノーマルなら好きなキャラを活躍させつつクリアできる程度には収まっている。
+ ネタになりやすいキャラ
  • ウォルト(アーチャー)
    • 前日談のチュートリアルから参戦し、本編でも一章から登場するロイの乳兄弟であり、側近の一人。
    • 前述通りアーチャー自体が遊牧民に食われて影が薄い上に、圧倒的に初期能力値が低く、自軍の弓兵中最低値。
      • 当初は成長率自体はむしろ上位なので育てれば光る…と思われたが、ウォルトをLv20に育ててからクラスチェンジした能力期待値がクラスチェンジ後職のLv1で加入するイグレーヌの初期値に劣っていることが判明。彼女の初期値は即戦力になるレベルの水準であるとはいえ、これはひどい。
      • また、成長率の配分面では重要な能力値である力と速さが共に40%とヘタレる事も多い不安定な域になっている事も微妙さを拍車をかけている。
    • ちなみにその他のアーチャー及びスナイパーは弓兵最高の力成長を持つドロシー、ハードブースト対応で上級職で加入ながら高めの成長率を持つクレイン、そして上記のとおり高めの初期値で即戦力になるイグレーヌ…といずれも「遊牧民さえ居なければ十分強い」キャラが揃っており、ウォルトの影の薄さに磨きがかかっている。
      • ストーリーでの出番もロイと兄弟同然に育ったという親密な間柄でありながらもチュートリアルで幾つか、1章で一言喋るだけで、それ以上は支援会話をしなければ彼の性格などが分からない…とやはり不遇。
    • これらの要素が絶妙(?)に合わさったためか、単なる弱キャラの一人では終わらず2ch等の界隈では「ヲルト」というネタキャラの地位を確立した。また愛されすぎたためか、2chではムキムキマッチョなウォルトのアスキーアートが作られたり、一人旅の動画(それもハードモード)まで誕生したりも。
      • ちなみに『烈火』で登場する母親のレベッカ及び場合によっては父親になりうるウィルは両者ともに成長率の高いアーチャーである。どうやら彼は両親から強さまで受け継がれなかったようだ…。
      • ただしあくまでもウォルトは初期値や同期(特に遊牧民)と比べると弱いというだけで、成長率および期待値で見ればそれほど弱いわけではない。ネタキャラとして愛されてはいるが、とてもじゃないが大陸一やイラナイツと揶揄されるレベルには至らない
  • セシリア(ヴァルキュリア)
    • ウォルトと同じくチュートリアルから指南役として登場しており、「エトルリア王国が誇る三将軍の1人『魔道軍将』の地位にありロイにとっては戦術の、リリーナにとっては魔法の師匠」という重要な立ち位置で、ストーリー上でも苦境に立たされたロイの数少ない理解者及び橋渡し役として活躍する。リキアへの支援を渋るエトルリア国王に食い下がって嘆願を押し通し、ベルン&エトルリアのクーデター軍に少ない手勢で抵抗し続けるなど統率力や実力に秀でているとする描写もある。
    • だが、実際に味方ユニットとしての能力はというと設定に反してあまりにも低すぎる(ハードだと敵として出てくる同職業の雑魚敵よりも低い)ことや、加入マップが騎馬にとって超不利の砂漠面(しかも強制出撃)と、悲しみを背負いすぎたユニットになってしまっている。
      • フォローすると、今作はマップが広い上に回復騎馬であるトルバドール/ヴァルキュリアがセシリアを除くとクラリーネしかいないため、回復援護役として割り切ればそこそこ有用。魔力だけに関してはクラリーネより上。魔力は火力と回復力に直結する重要なステータスなのでありがたみはある。またロイ、リリーナ、パーシバルとの支援成立が早く、攻撃と回避を同時に上げられる理属性であることもあり、やはり後方支援キャラとしては優秀。
    • どちらかというと「なぜこの貧弱さで魔導軍将になれたのか」「同僚のパーシバルとの落差がひどい」「弟子のリリーナ、同職でかつ次期魔導将軍を目指しているクラリーネ両者の強さ」「ゼフィールに一撃で倒されるイベントシーン」「これじゃ魔道軍将じゃなくて 魔乳軍将 だ」等、ウォルトと並ぶ面白ネタキャラポジションになってしまっている感はある。影が薄くなりがちな初期上級職の中では恵まれているとはいえなくもない…ような。
      • 漫画「覇者の剣」では主人公アルにキレーなおばさん呼ばわりされたり、「止まりなさい。これ以上進んだらあなたは…死にます」「受けなさい!我が浄罪の焔!」と気勢を張りながら、ゲーム以上に派手にゼフィールの回転斬りの一発で倒される等、漫画を知るプレイヤーの間では忘れられない光景として語り継がれている。一方でゲーム的な貧弱さは一切なく、パーシバルと肩を並べる実力者としても描かれている。これが本来の姿であるはずなのだが。
  • ソフィーヤ(シャーマン)
    • セシリアと同時に仲間になる不思議系ヒロイン枠の少女。
    • 上記闇魔法が不遇なことでも触れたが、中盤で仲間になるにもかかわらず下級職のLv1、更に重さのある闇魔法を使うための体格が足りず攻撃速度が落ちる、など育成することの難易度がそもそも高い。
      • 雰囲気、中盤にLV1で加入、竜の血を引いている…といかにも大器晩成か?と言われてもそうでもなく、なんとバランスの良いレイに勝るところが魔力と魔防くらいしかない。レイの魔力も上級LV20まで育てばカンストを狙える程度には十分高い。
    • ロイとの支援会話でのエンディング分岐があったり、キャラ設定上『烈火』にもそのままの姿でこっそり登場していたり、支援会話で発した「くぉ…?*7といった迷言がある。
      どこか儚げで可愛らしい容姿もあってか「可愛いは正義」「弱くとも育てる」と息巻くプレイヤーが多数いるなど、公式・ファンともに愛されているキャラクターではある。無論、ゲーム中で使いこなすのにもそれ相応の愛が必要であるが。
      • 幸い支援相手にはそこそこ恵まれており、誰と組んでも弱点である命中や幸運、回避の低さを大きく補えるのが強みであり、これらを上手く活用することである程度楽になる。
  • (極まったレベルになると)通信闘技場のバランスが悪い。
    • 終盤のある章の「秘密の店」で、能力強化アイテムを高価ではあるものの無限購入出来るため、知識のあるプレイヤー同士の対戦は、闘技場で金を稼ぎに稼いでアイテムを使ったカンストキャラ同士の頂上決戦になってしまい、面白みの欠ける試合になってしまう。
      • そして前述の通り通信闘技場では「クラス間のバランスが悪い」と言う問題がそのまま発生する。
        つまり強いパーティには4人で四角支援を組める遊牧騎兵3人+ソードマスター1人がほぼ固定されてしまう…という、別の意味で面白みに欠ける試合になりがちでもある。
    • 兵種のバランスについては次回作で解決されたが、ドーピングアイテムの購入が改善されるのはさらに後の作品を待つこととなる。

その他

  • 支援会話の状況が一部不自然
    • 支援会話の中には「(主君を失って自暴自棄になっているとはいえ)戦場で酒をあおって泥酔する」「唐突に(その場での)手合わせを申し込む」「(因縁があるとはいえ)いきなり仲間に斬りかかる」「互いの頭の中でチェスの勝負を展開する」等、戦場で行うには場違いな内容のものもあり、「戦場の緊張感が削がれる」「シリアスな雰囲気が失われた」と指摘されることもある。
      • しかしこれでもGBA3作の中ではマシな方で、続く『烈火』および『聖魔』では戦場とは思えないようなコミカルなやり取りは更に多くなっている傾向にある。
    • このような声を受けてか、『蒼炎』以降では支援会話は自軍の拠点で行うシステムになったことで解決している。
  • 本作で真のエンディングを見るためには、6か所全ての外伝マップをクリアして、ストーリー上でも重要な最強武器「神将器」を全て集める必要がある。
    • 神将器が一つでも欠けていると22章をクリアするとそのまま後味の悪いエンディングになってしまうが、神将器が揃っていれば23・24・終章に進める。
    • 『紋章の謎』の星のかけら集めを踏襲した仕様と思われるが以降の作品では最低限終章までたどり着けるようになっている。
    • 外伝に進むには該当章の規定ターン数以内のクリアや特定キャラの生存が条件。しかしゲーム内では間接的なヒントはあるものの具体的な条件がわからないので、初見では進みそこねる可能性が高い。2周目以降でも、ターン制限が割とギリギリなところもあり、ボスの回避も比較的高い為、情報を集めなかったり運次第では逃す可能性すらある。ハードともなると慣れていても厳しいものがある。
    • また神将器を武器として使い切ってしまった場合や、持っていたキャラが途中で倒されてしまった場合も駄目。これらの仕様は作中では一切説明されない。

問題点

  • 前述のとおりチュートリアルモードを備えているものの、これがスタートメニューの「エキストラ」項の下に配置されているため、肝心の初心者が存在に気づきにくい。
    • この反省からか次回作からはチュートリアルは本編に組み込まれることとなったが、今度はチュートリアルどおりの操作を強要される事への批判や不満が経験者から出ることになった。
  • 一部のCPUのAIがあまりよろしくない。
    • 顕著なのがクレインに雇われたティト率いる天馬騎士団。イベントで「南に攻める」と言いながら東側に向かったり、こちらに寝返ったクレインに攻撃したり、ティト自身も近寄ってきたり来なかったりと行動が読みにくい。これは彼らが乱数により行動パターンが変化するためであり、この謎行動は仕様である。この章は特に難易度が高く、プレイヤーの間では語り草となっている。
    • 基本的には突撃型のAIを採用しているため、周囲に回復できる相手がいない時の敵のトルバドールや、ある一部のボスは攻撃しないでこちらと隣接して来る謎の行動をとってくる。
      • この内、終盤の増援部隊隊長であるゲイルは他を無視して主人公を狙うはずが、突撃優先の影響でとりあえずプレイヤー軍の近くに走り、近くに主人公がいないなら攻撃はしないという怪奇行動に陥っている。
  • 光・闇魔法の扱いの悪さ
    • 光魔法は上級職の司祭限定。司祭になれるユニットはエレンとサウルの2人がおり、しかも序盤から使えるが、クラスチェンジした時点での光魔法の武器レベルは最低の状態なため、光魔法の神将器(最強武器)を使用するためには後衛ユニットながら相当な戦闘参加を要する。
      • お助け要員として終盤で加入する司祭のヨーデルもいるが、こちらは加入時点でレベルが最大に達していながら光魔法の武器レベルは最大でないため、結局は戦って武器レベルを上げなければならない。
      • そもそも回復役ユニットには、魔力は低いが回避と移動力に優れるトルバドールが存在し、序盤から加入するその1人のクラリーネが上記通り非常に優秀な性能のため、普通にプレイしているとそもそも僧侶を育てず、神将器どころか光魔法そのものを持て余すことが多い。
      • 光魔法自体もほとんどが理や闇魔法のような特徴が無く、威力も命中も低め、特殊効果を持った物もないという微妙な性能。
    • 闇魔法は下級職から使えるものの、使い手に難が。
      • バランスが取れた性能のレイ以外には、レベル1で中盤加入するため育成難易度が高く技・速さ・幸運・守備の成長率が悪いとクセの強いソフィーヤに、お助けユニット的存在だがお婆ちゃんのためかHPが極端に低いニイメと、光魔法よりは扱いやすくとも選択肢の狭さは否めないところがある。
      • ついでに、闇魔法には攻撃アニメが無駄に遅く長いと言う難点もある。シャーマンやドルイド同士が戦うと一度の戦闘が30秒以上かかる事もザラ。(この遅さは次回作から若干早回しになり改善される)
    • 対照的に理魔法は光・闇の不遇っぷりに反して非常に性能が高い。使い手の数や質も光・闇魔法に比べると汎用性の差は歴然。
      • 全体的に重量が軽く命中が非常に高い、上位武器である「エイルカリバー」は飛行系特効あり…と至りつくせりな性能。威力そのものは低めだが、今作の敵は全体的に魔防が低く問題になっていない。
  • 主人公のクラスチェンジが遅い
    • 主人公のロイは能力値、成長率自体は力・速さが平均的だが、クラスチェンジが全25章中21章or21章外伝終了後*8とあまりに遅すぎるため、中盤以降は長いこと足を引っ張る。ハードモードに至ってはお荷物同然。
      • 力・速さが平均的な成長率と言う事は成長がヘタれやすいと言う事にも繋がったり、専用武器のレイピアは必殺率がやや高く、特効対象はほとんどが3すくみで不利な槍を持っているので「やっつけ負け*9」しやすい、と使いやすいとは正直言い難い。
    • しかし、クラスチェンジと同時に手に入る専用武器「封印の剣」は使用回数が20回しかないものの、あらゆる性能が優れている。マスターロードになったロイの性能も高いため、LV20まで育成していればCC後は大した支障なく活躍できる。
      下級職の頃は「器用貧乏」な印象が否めないが、マスターロードになると「隙の無い高水準なバランス型」という強みに昇華する。
  • 仲間になるマムクートが扱いにくい
    • 中盤の終わり頃でマムクートのキャラクターが加入。武器の代わりに「神竜石」という強力なアイテムを消費する事で神竜に変身し戦う事が出来る。なお敵のマムクートが持つ「火竜石」と違って回数は30回と有限…とここまでは良いのだが、今作は使用回数を復元させる「ハマーンの杖」が使用不可能な上、これ1つしか自軍側で「竜」に変身するアイテムが入手できない
      そのため、実質彼女が攻撃(反撃)出来るのは30回だけであり、非常に使いどころが限られてしまう。彼女の初期ステータスは竜石の補正込みでも時期的にキツく、最低限の育成にも宛てたい所なので尚更。
    • また、このキャラは真EDルートで強制出撃になっている。真EDを見るために彼女の生存が必要だが、最終ステージはロイと彼女を除くと八人と枠が狭い。
      • まあ、後述の理由があるので実際のところは問題ないと言えばないのだが。
    • 「神竜」のパラメーター補正とドラゴン系特効は非常に強力で、敵と同じ回数無限にすると大きなバランスブレイカーになってしまうが、いくらなんでもここまでキツくする必要はあったのだろうか。攻略本でもこの事が指摘されている。せめてハマーンでの修理が可能だったり、『紋章』のように複数個や複数種類を入手できたなら、まだ充分活用の余地はあったのだが。
    • 実は、バサークを食らった味方の盗賊が敵のマムクートから体格差を無視し「火竜石」を盗めるバグがある(通常は盗めない)。この方法で火竜石を使っても戦闘はできるが、正規の手段ではないのでグラフィックが乱れたりする上、セーブデータに不具合を起こす可能性がある。
  • 特に敵専用にするべき性能でもないのに、一部上級武器が入手出来ない
    • 今作では敵は一切アイテムを落とさない(道具は盗める)のだが、そのせいで一部の強力な武器が敵専用アイテムと化し、手に入らない。
      • 攻速関係なく2回攻撃が可能な「勇者」系の武器も、何故か剣のみ敵専用で入手出来ないというちぐはぐな状態に。
    • これだけなら本編で不便なだけで特に問題にはならないのだが、今作には通信対戦があり、かつ神将器は1つしかない。そして、敵専用武器と化している武器を使えないことで、神将器が渡らなかったユニットは必然的に下級武器を使わなければならないのだが…当然力不足もいいところで、メンバー構成にかなり気を遣わないとまともに戦えなくなる。特に神将器か他職の鋼クラスの低威力武器しかない魔法系で顕著。
    • 特にリザーブの杖は、説明書にも記載があるのに本編では入手どころか登場すらせず、トライアルマップでのみ参戦する敵将キャラの初期装備でようやくお披露目という不可解な扱い。そのキャラを出現させるには本編を6周クリアしなければならず、ハードルも非常に高い。
  • 輸送隊の使いにくさ
    • 『紋章の謎』のように主人公や主人公に隣接したキャラが輸送隊を使えるのではなく、「輸送隊」のマリナス本人がユニットとして参加する。
      しかしマリナスはアイテムの出し入れ以外に戦闘能力などは一切持たない上、初期レベルのままだとHPが低いため真っ先に倒されやすいため、マリナスに出撃枠を割くぐらいなら、必要そうなアイテムを手の空いたユニットに持たせたほうがずっと使いやすい。見た目も大きな馬車なのに救出値が0なので他ユニットの救出にも使えず、全キャラ中唯一支援会話が無いと、初心者・経験者問わずほとんど使い道のないユニットになっている。
      • しかもレベル上げも不可能に近い*10ため、低い初期能力で終盤まで使う必要がある。
      • ただしストーリーに絡んでくる都合からか彼のみ倒されても次のステージで自動的に復活するので、倒されても大したデメリットの無い彼を囮にするという使い道はある。外部書籍のあるきかたシリーズでは堂々と「ハードモードでは彼を囮にして時間稼ぎが出来る」などと書かれている。
    • 「輸送隊」コマンドのヘルプのメッセージが妙。「主人公やその隣のユニットが持ち物を輸送隊で整理します」と書いてあるが、これではロイとその隣接ユニットが輸送隊コマンドを使えることになる。これに加え、輸送隊だけ戦闘グラフィックがない。当初は主人公の能力だったのが開発終盤で分離された可能性もある。
    • なおストーリー上では『紋章』のモロドフのような指南役としてちゃんと役割があるため、キャラクターとしての出番は多く存在意義が無いわけではない。
  • 後日談のバグ
    • ロイとヒロイン候補(リリーナ・シャニー・スー・ララム・ソフィーヤ・セシリアのいずれか1名)の支援がAになっているとゲームクリア後の後日談が変化、メインヒロインのリリーナはエンディングの会話も変化するというお得な要素があるのだが、ロイと支援を組めるフェレの騎士(アレン・ランス・ウォルト・マーカス)はロイと支援Aにしたうえでが最終章で出撃すると後日談がまっさらになってしまうというあんまりな不具合が存在する。恐らくは「ロイとの支援Aで文章変化」のフラグが組まれているのだが、男性キャラには変化後の文章が用意されていないことが原因と思われる。
      • ファンからは「ロイに近付きすぎて歴史から抹消された」、「後の作品同性婚を先取りしようとして消された」…などとネタにされている。
  • 進撃準備でクラスチェンジやドーピングアイテムが使えない。
    • 続編以降では改善された。

総評

シリーズ最高難易度を誇る前作『トラキア776』の癖の強さが取り除かれており、本作は高めながらも、ライト層でも攻略が見込める『紋章の謎』に近い難易度のバランスに仕上がっている。

また、支援会話システムや難易度設定が搭載され、既存の枠組みから脱却しようとする意欲的な面も見られたほか、複雑化していたシステムに改善が施された。 ストーリーも、王道ながらシリーズ特有の要素は健在で、結果としては三作に渡るGBAシリーズの土壌を作ったなど、シリーズの一つの岐路となった作品と言える。


余談

  • 『封印の』の読みは「ふういんのつるぎ」である。
    • 続編の『烈火の』は「れっかのけん」と読むので勘違いされやすい。
  • SRPGというジャンルの火付け役でありながらFC/SFCそれぞれの末期にひっそりと商品展開されるなど、比較的機会に恵まれなかったFEシリーズであったが、GBAというハードの時流に乗って発売された事や、主人公のロイが本作の発売に先んじた『スマブラDX』出演、事前に漫画版とのコラボレーション展開が用意されるなど、本作から売り込みに力が入っていく。
  • このタイトルの発売経緯はやや複雑である。
    • 1997年の開発当初は64DD用タイトル『ファイアーエムブレム64』として制作されていたらしい。
      この段階では加賀氏による構想の話以外の情報が全く分かっていないうえ、スタッフも「Nintendo64の研究をしていた」としか語っていないため、実作業はほとんど進んでいなかったと思われる。
    • 1999年には64用として開発を移行し、同年に加賀氏が退社した後も残ったスタッフで制作を続けていたが、同ゲーム機の売り上げ不振故か、2000年にはGBA用ソフトに移行、タイトルが『ファイアーエムブレム 暗闇の巫女(仮称)』に変更。その後正式タイトルが『封印の剣』と決まり、内容も新たに作り直しとなって現在に至る。
      • 携帯機への移行は、加賀氏がISを退社した後に制作した『エムブレムサーガ』の騒動のためにファイアーエムブレムの新作を一刻も早く出す事を迫られ、開発期間が長くなりがちな据え置き機を避けた結果かもしれないとも言われている。何はともあれGBA発売からちょうど一周年近い時期に発売され、記念すべきタイトルの一つになった。
+ 画像
  • 上記が2000年にスペースワールドで公開された「暗闇の巫女」の開発初期の画像である。頭身の高いキャラグラフィック、クォータービューという、FEらしからぬ画面が印象的。
  • 封印の剣に至るまでに一度作り直しになっているため、「暗闇の巫女」が本作にどの程度関係しているかは不明だが、この少女の台詞は次回作の烈火でレベッカに流用されている。その他の資料では、同じく烈火の剣のエリウッドや聖魔のエフラムらしきキャラクターのデザインも写っているとのこと。
  • 今作の開発期間は構想含め2年と記載されているため、ユーザーからは本作に加賀氏が関与している可能性は低いと思われている。もちろん暗闇の巫女時代の加賀氏のアイディアが流用されている可能性は0ではないが、それが一体どこまでかは定かではない。
  • ほぼ全てのFEシリーズに登場する女性アンナはGBA三部作では「中断コマンド」選択時に登場。
    • 前述したように、このコマンドを選ばず電源を切っても中断データは残るので、彼女の存在意義が薄い。
  • 今作を含むGBA3部作では「ファルコン法」と呼ばれる方法で乱数調整が簡単にできる。最短攻略やタイムアタックでフル活用されている。
    • GBA版の戦闘結果や成長の乱数はユニットの座標(マス)によって決められており、どう移動したかによっても変わってくる為、そのパターンさえ覚えればある程度戦闘結果や成長を操れる。
      「ファルコン法」という名称は、(他ユニットでも可能だが)多くの地形を無視できる飛行系で移動力が高く、かつ早い段階からクラスチェンジ出来る(移動力が更に上がる)ファルコンナイトでよく吟味されていたところから付けられている。
    • レベルアップを粘っても結果がほとんど変わらなかった人、逆にファルコン法をフル活用してレベルアップでステータスをがつがつ上げた人も多いのでは?
  • ネタキャラとして愛されるウォルト一人旅や、輸送隊マリナスのレベルをカンストさせた猛者も存在する。
    • 輸送隊の経験値の入手法は敵に攻撃された時に入る命中・回避を問わない1ポイントのみ。つまりレベルを1上げるならば100回攻撃を受けることが求められる。
    • 砦に居座って、命中率の低い攻撃をかわし続けるのが経験値稼ぎの定石。1,900回も戦闘する必要があるが……
    • 一応HPや速さ・幸運の成長率が高く(何故か攻撃の出来ない彼には無意味の「技」もかなり上がる)、それなりにレベルを上げれば倒されにくくもなるのだが、上級職がないのでどんなに頑張って幸運に恵まれてもHP34・それ以外は20が上限。そこまでの多大な時間をかけて育成する程のメリットはない。完全にやりこみの領域である。
    • 『烈火』では輸送隊のマリナスの仕様が変わり、『聖魔』では輸送隊はマップに出撃できないので、本作独自の苦行やりこみである。
    • 実際、外部書籍の「あるきかたシリーズ」では彼をLV20まで育成する企画が行われ、LV20時のステータスも掲載されていた。複数のておの持ちの攻撃をよけ続ける事で、LV1からでも380ターンでLV20達成が出来るとしている。DS版以降のようなターンスキップ機能も無いので、それでも多大な時間が必要だが。
  • フィギュアスケーターの羽生結弦選手が、好きなゲームに本作を挙げている。

その後の展開

  • 本作発売4ヶ月前の2001年11月21日に発売された『大乱闘スマッシュブラザーズDX』にロイがファイターとして先行登場した。
    • この作品のロイは本編のような落ち着いた少年ではなく「叫びまくる熱血少年」的なキャラ付けをされており、鎧のデザインも本作とはやや異なる。
      • マルスとの対比で「重くて使い慣れない封印の剣に振り回される」という設定もあったが、これも本編には存在しないもの。
      • ロイのキャラ構想は二転三転しており、両作品の発売期間を考えるとこの作品のロイは初期案のものである可能性が高い。
      • なお本シリーズにおいての熱血系主人公(と重い剣に振り回される主人公)の登場は次回作『烈火』で、少年漫画らしい熱血少年な主人公は『ファイアーエムブレム無双』で実現することとなる。
  • 次回作『スマブラX』ではファイターとして使えなくなってしまった*11が、更に次回作『スマブラfor』ではDLCファイターとして復活参戦を果たした。下記の「異界のロイ」の要素が濃く出たデザインに変化して「爽やかなお兄さん」というキャラ付けに。原作でしっかり設定付けられているにもかかわらず、ここまでキャラ付けが安定しない主人公も珍しい。
  • スマブラを含む声有り作品では、『テイルズ オブ デスティニー2』のカイルや『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュ役等で知られる福山潤氏。
  • スマブラSP』ではロイのプレイアブルはもちろん、リリーナがスピリットとして登場している。
    • 対戦お題は「爆炎を多用するパルテナ&ロイ」となっており、リリーナの超火力を意識したと思われるものとなっている。パルテナが緑髪のせいでセシリアさんにしか見えないというのは言ってはいけないお約束。
  • 発売と同時期に漫画『ファイアーエムブレム 覇者の剣』が月刊少年ジャンプで連載を開始。
    • オリジナルの主人公アルが旅立ち、様々な出会いや戦いを経てリキア同盟軍と巡り会い、共にベルンと戦う中で漫画版ならではの独自の展開*12を進めた。
    • 漫画とのコラボの一環として、漫画の主役3人組の使っていた武器という設定の「アルの剣」「ガントの槍」「ティーナの杖」がゲーム中に登場する。性能的には中級の性能をもった下級武器、と序盤戦のお助けアイテムといったところ。
    • この漫画自体はなかなか好評であったのだが、意外なことに次のFEシリーズ漫画化作品とは10年近くの歳月を隔てた。オリジナル要素と原作の双方を上手く調和させた良作なので、一度手に取ってみては如何だろう。
      • ちなみに作者の山田孝太郎氏は連載を経て凄まじく画風が変化しており、素朴な少年漫画風だった初期と描き込みの著しい美麗なタッチになった終盤での同じキャラクターの姿を比べるともはや全くの別人である。
    • 同時に、ゲームでも登場したベルン王国の将軍ナーシェンも出てくるが、彼の壊れた描かれっぷりが話題になった。
      • ゲームでも自分の任務や失敗を部下に押し付けたり、その結果降格宣言を受けたりと人望の無い人物として描かれ、対戦時のセリフのインパクトで存在感を発揮したが、この漫画版では突然部下を惨殺しながら怒り狂うなどの暴挙を繰り返したり、奇声を発しながら襲いかかったり、主人公アルを息子呼ばわりして斬り捨てられ、挙句ゲーム以上に無惨な死を遂げたりと、かなり強烈な人物となっている。
  • 2003年4月25日に『ファイアーエムブレム 烈火の剣』が発売。
    • 時系列は本作の20数年前。新主人公のリンに加えて、若かりし頃のロイの父親エリウッド、リリーナの父親ヘクトルが主役となって活躍する。また、本作をプレイしていなくても単体の作品としてストーリー等を問題なく理解できるつくりになっている。
  • ファイアーエムブレム 覚醒』のDLCにてロイのアレンジキャラクター「異界のロイ」が登場。
    • クラスは傭兵。本作より成長しており、ややワイルドさを感じさせるデザインになっている。
  • 2015年9月2日にWiiUのバーチャルコンソールで配信された。GBA三部作のうち最後のバーチャルコンソールの配信開始となる。
    • 『烈火の剣』『聖魔の光石』は2014年の5月・8月に配信された。今作はこれら2作と違い海外展開されていないので、VCにする優先度が低かったのかもしれない。
  • 2016年6月にTCG『ファイアーエムブレム サイファ』への参戦が決定。
    • スターターデッキとブースターのみならず、ロイとリリーナのキャラクタースリーブも発売。
    • スターターに収録されているロイとリリーナは上記漫画版の山田孝太郎氏がイラストを手掛けている。
    • 後に登場したナーシェンのカードも山田幸太郎氏が手掛けており、絵違い仕様では迫真の顔芸を披露している上に、テキストがナーシェンの口調を意識した特別仕様に。
  • 2017年2月2日に配信されたスマホアプリ『ファイアーエムブレム ヒーローズ』(FEH)に一部のキャラクターが登場する。それ故にロイ以外のキャラにも声優が付いた。
    • FEHになってやっと「原作同様落ち着いた性格のロイ」が外部出演で見られるようになった。だが衣装は時代に合わせてスマブラforと封印の剣のロードを混合したオリジナル衣装に変わっている。攻撃時はスマブラで印象的な福山氏のシャウトは健在。イヤァッ!!
      • また、リリーナもブーツが膝丈からニーハイ丈の長いものに履き替えていたり等、各キャラ少なからずデザインが近代的に変化している。
    • ちなみにFEH初期に実装されたナーシェン様は、何故か今作ではありえない斧装備*13になっている。イラストも上記『覇者の剣』でおなじみの山田幸太郎氏が手掛けたため、迫真の顔芸も健在。こんなところでも笑いを取らないでくださいナーシェン様
  • のちに設定だけの存在であった聖女エリミーヌが参戦した。
    • 声優は「ペルソナ3」桐条美鶴と「ネプテューヌシリーズ」ネプテューヌでお馴染み田中理恵氏。FE出演はこれが初*14
    • その素性は慈愛の愛を持つ女神と同時に竜に対しては嫌悪を抱くほどの竜アンチであると判明した。
  • 2023年9月、グッドスマイルカンパニーからロイとリリーナがフィギュア化。
    • キャラクターデザインは今作準拠のものとなっている。

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最終更新:2024年03月13日 22:45
添付ファイル

*1 より厳密にいうと、『外伝』から局所的に採用されていた。

*2 これまでは支援効果はどのキャラでも同じだった。このゲームでいうところの「闇」属性の支援効果が、従来と同じ効果になっている。

*3 ただし『聖戦の系譜』では恋人同士になると支援効果を得られるため、ある程度組み合わせをコントロールすることができる

*4 名前はあるがセリフも無く、顔グラフィックも4章ボスの流用を加工した程度のものだが

*5 厳密には0~99ではなく「0~99 + 0~99」÷2で計算するため、分布が中央に偏っており、命中99%が当たるのは平均99未満(99が2連続以外全て)=99.99%、命中1%は平均1未満(0と0、0と1、1と0)の0.03%となる。

*6 この章以前にも仲間にすることができるが、そのマップでは初期配置なのでハードブーストはかからないうえ、8ターン目に撤退してしまうのでそこでの説得は一種のやりこみだと言える。

*7 イグレーヌとの支援会話にて、「クォレル」という矢を拾った際のやりとり

*8 厳密には外伝が計6章存在するが、21章外伝はその最後の一つなので考慮すると更に酷いことになる。また、21章でCCする場合=21章外伝に行けない場合=真ルートに行けない事である

*9 集団相手にダメージを受けた上で反撃で倒す、というのを繰り返し、最終的にやられること。

*10 全キャラ共通の「敵に攻撃された際(命中・回避関係なく)経験値が"1"入る」以外の経験値習得方法がない、『暗黒竜と光の剣』の僧侶もこの「攻撃されて経験値」仕様の入手だったが、こちらの方が一度の入手経験値が多めだった。

*11 ただしBGM「ロイの希望」は収録されたためネタにされてしまった。

*12 連載が進む中で発売された『烈火』の設定や武器が取り入れられる、ゼフィールが封印の剣&エッケザックスの二刀流でロイとアルに挑む等

*13 今作のドラゴンマスターは槍と剣を扱うクラスであり、ナーシェンは剣の使い手である。

*14 本人自身も『暗黒竜』『聖戦の系譜』を経験済みでヒーローズもプレイしている投稿がある。