サモンナイト クラフトソード物語2

【さもんないと くらふとそーどものがたりつー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 バンプレスト
開発元 フライト・プラン
発売日 2004年8月20日
定価 5,800円(税込)
判定 良作
サモンナイトシリーズリンク


概要

  • サモンナイトの外伝作品『クラフトソード物語』シリーズ二作目。
    • 異世界「リィンバウム」が舞台であることは変わらないが、前作『クラフトソード物語』とは独立した世界観を持ち、システムも変更されている。

前作からの改善点

  • 鍛冶システムの変更
    • 前作では鉱石のみで武器を作っていたが、今作からは新たに登場した「マテル」と鉱石を組み合わせ武器を作成するようになった。
    • 作った武器を「強化」「解体」することで、更に強力な武器を作れるようになった。
      • 「強化」では作成した武器に合成アイテムをつける。武器の能力が上昇する他、組み合わせ次第では特殊攻撃や特殊効果が付くこともある。
      • 「解体」では武器をマテルに戻す。戻したマテルは元の武器の能力値を一部引き継いでおり、それで別の武器を作ることにより能力が強化した武器が作れるようになる。作成時に使った鉱石は戻ってこないので貴重な武器をうっかり解体しないよう注意しておきたい。
    • 武器を作っていくと「鍛冶師ランク」が上昇していく。強化時に使用可能な合成アイテムの個数が増える、解体時にマテルが引き継ぐ能力値の割合が多くなるなど良い事尽くめ。積極的に上げていこう。
  • DUR(武器耐久度)の仕様変更
    • 前作では戦闘後に回復していたDURだが、今作では回復せず戦闘終了後も残る。
      • 武器のDURが0になると修理するまで使用不可となり、装備している全ての武器のDURが0になるとゲームオーバー。こまめな回復が欠かせなくなった。
      • 回復アイテムも存在するが、DURが0になった武器は自分の家の修理でしか直せない点は覚えておくように。
    • 下で説明している必殺技を出すのにもDURの消費が必要。「DURを温存するか、それとも一気に使って勝負をつけるか」という駆け引きを生み出している。
  • 必殺技・特殊効果の追加
    • 武器強化時に特定の合成アイテムを組み合わせて、武器に必殺技や特殊効果を付与することができる。
    • 必殺技はDURを消費して発動。連続してダメージを与える・相手のガードを無視する・一定の確率で一撃必殺など種類もそこそこある。
      • 相手武器のDURに大ダメージを与えるものもある。相手が武器を装備していなければ意味が無いが、状況によっては普通に攻撃するよりも速く戦闘を終わらせられる。
    • 特殊効果は武器を出している間発動。敵の攻撃をジャストガードしやすくなる・戦闘中DURが自然回復するといった効果を得られる。
    • 特定の合成アイテムの組み合わせでないと必殺技・特殊効果を付与できないというのがミソ。武器の能力値をより高く上げる合成アイテムを使うか、それとも能力値については妥協して必殺技・特殊効果を付与する組み合わせにするかはプレイヤー次第。
  • 消費アイテムや装備品を「作る」要素が追加
    • ショップでの購入の他に、集めた素材で消費アイテムやや装備品を作成してしまう「作る」が追加された。
      • 素材を集める手間が掛かる上に集めた素材を消費してしまう分、必要な代金は普通に買うより安くつくことが多い。
  • ボイスが追加された
    • 戦闘時でキャラが喋る様になった。
      • 特に『サモンナイト2』からのゲストキャラであるマグナ/トリスの場合、魔法演出で登場するパートナーのネスティとアメルにもボイス付きという力の入りよう。
      • 残念ながら、戦闘時以外ではほんの一部の場面しか喋らない。
  • 護衛獣(パートナー)の選択が簡単になった
    • 今作では開始後すぐに提示される4つの選択肢(護衛獣の見た目の特徴)から、選択肢に対応した護衛獣を選べるようになった。
      • 前作ではゲーム開始直後に何問かの質問を行い、その質問に対する選択肢で選んだものに応じて選ばれるというものだった。
  • モノシフトによる変身
    • ストーリーをある程度進めると「赤き魔石」なるアイテムを入手可能。これを補助装備にセットしておいた状態で戦闘中に使用するか、HPが0になると「モノシフト」という変身を行うことができる。
      • モノシフト発動中は能力が一時的に上昇し、さらに特殊な必殺技が解禁される。処刑用専用BGMまで用意されているという徹底ぶり。
      • 発動時は装備していた武器のDURとHPが全回復する為、回復手段としても有用。
      • しかし発動中は武器変更不可、DUR(武器未装備の場合はHP)が時間で低下、アイテム使用不可、通常の必殺技使用不可という四重苦を背負うことになり、敵のドロップアイテムを入手できなくなるという痛すぎるオマケまでついてくる*1
      • トドメとばかりに一度変身してしまうと、特定のNPCに話しかけチャージしなければ再発動できないという欠点もある。数多の変身ヒーローよろしく、あくまで最後の切り札と考えておくべきだろう。
  • 戦闘シチュエーションも豊富に。
    • 巨大な召喚獣を操作して、相手の召喚獣を倒す「巨大化バトル」が登場した。普段の戦闘とは全く違う操作になるため、独特かつ斬新なバトルが楽しめる。
      • 条件さえ満たせばおまけモードから遊ぶこともできる。こちらでは敵が使っていた召喚獣を自分で操作することも可能。
    • また、通常のライバルバトルも2体の敵と同時に戦う展開も登場し、更に歯ごたえのある戦いが繰り広げられる事に。
  • その他、細かい変更点
    • 戦闘時に使える魔法・アイテムの数が6回までになった。
    • 前作にはなかった「通常攻撃時のクリティカル」が追加された。
    • オプションが実装され、デフォルトでの移動方法変更や音量の調節が可能になった。
    • NPCとの会話時にスタートボタンを押すと少し前までの台詞を確認する事が出来る、いわゆる「バックログ機能」が追加された。
    • 前作ではNPCとのバトルで相手の武器のDURを0にして勝利した場合「相手武器の秘伝」を入手できたが、本作からは「相手の武器を作る為に必要な鉱石」が手に入るようになった。

評価点

  • おまけモードの追加
    • ゲームクリアのご褒美としておまけモードが収録されるようになった。
      • 今までのボスやライバルと戦うモードやサウンドテスト、主人公と異なる特殊なキャラでボスを倒すモードなどがある。
      • 中には一定の条件を満たすことで解禁されるものも存在する。
  • 周回プレイが可能
    • エンディング後に「はじめから」を選ぶことで、クリアデータから一部を引き継いで周回プレイできるようになった。
      • 周回した場合はゲーム開始後すぐに「取得経験値を2倍にする」特殊な装備アイテムが入手でき、経験値が稼ぎやすくなっている。
    • ある場所の宝箱に武器を入れることで、次の周回プレイにその武器を引き出すことが可能。最大5つまで引き継ぐことができる。
      • 但し一部例外もある。問題点の項にて記述。
  • ミニゲームの追加
    • 本編でおなじみの釣りミニゲームが追加。遊びながら武器を作ることができようになった。
  • ダンジョンの数が増えた
    • 前作では地下迷宮に加え、特定期間のみのダンジョンが存在していた。これらは期間が終わってしまえばそれっきりで再訪問できなかったが、今作では全て自由に行けるようになった。
    • 破壊できる樽以外のギミックも追加され、手持ちの武器に切り替えて武器に対応したギミックを破壊したり、動かしたりできるようになった。
    • 前作で見られた「樽を一つずつしか壊せず、大量の樽を壊す際のテンポが劣悪」という問題点は「槍を手持ち武器にした状態なら2マス先までのギミックを破壊できる」仕様により多少緩和された。
    • また護衛獣の魔法に「エスケープ」が追加され、ダンジョンなどの入り口にすぐ戻れるようになった。
      • もちろんエンディング後のやりこみ要素、既存ダンジョンの追加エリア開放も健在。
  • どこでもセーブが可能になった
    • 前作ではセーブエリアでしかセーブできなかったが、今作では「思い出日記」というアイテムが登場。アイテムがある限りどこでもセーブができるようになった。
      • この思い出日記帳は店で購入する他に、素材さえあれば自分で作成可能。セーブ周りの不便さは大幅に改善された。
  • 名称関連
    • 前作のライバル武器の名称は「サナレの剣」「ウレクサの槍」といった厳密な武器名が伏せられている傾向にあったが、本作では「タスクサーベル」「魔導ステッキ」といった各キャラの個性を示す物に変更された。
    • 他、同じく護衛獣の攻撃魔法も前作は「フレアボルケーノ」等とごく普通のRPGにありがちな名称が大半だったが、本作では最下位の魔法こそ前作を踏襲しているものの、ランクが上がるつれて「炎怒流」「ザックリです」とネーミングも非常に個性的になり、演出の強化やボイスの追加と相まって正に「護衛獣の必殺技」というような変貌を遂げていると言えよう。

問題点

  • 通信機能がない
    • 前作にはあった通信機能が削除されている。
      • 前作の通信対戦時に出来たNPCキャラの操作自体は一応おまけモードで行うことが出来るが、モード数か限られている関係上数が少なく、個性派揃いのキャラ達に対して残念な結果に。
      • 不評だったのか、通信機能は『はじまりの石』で復活した。
  • ボス戦について
    • 通常ボスはいずれも良く動く様になった反面、前作で登場した一画面では収まりきれないサイズの巨大ボスは登場せず、全体的にボス戦がスケールダウンしている感は拭えない。
    • 一応、ゲーム内における巨大ボスは前述の「巨大化バトル」が該当するが、設定としては巨大だが画面内に収まる程度にキャラのサイズが調整されている為、巨大な敵と戦っている感が薄いのがネック。
  • マテル入手やストーリー進行に、釣りミニゲームのプレイが必須
    • 釣りミニゲームをプレイして手に入れたポイントとの交換でしか入手できないアイテムがある。それ自体は別に良いのだが、問題はストーリー中でこのアイテムを使用した武器を作れと要求される…つまり、本編進行に事実上ミニゲームのプレイが必須となってしまっている点にある。
    • 武器を作成するマテルも「宝箱から入手」「既存の武器を解体」以外には、釣りミニゲームの景品しか入手方法が存在しない。
  • 一部の武器作成時に期間を逃すと、一周目で秘伝リストをコンプリート出来なくなる
    • ある特殊なアイテムを素材とする「対ラスボス用の武器」はソード・アクス・スピア・ナックル・ドリルの内いずれかひとつを選んで作成するのだが、この武器を何度も作り直せるというのがわかりにくい。
      その特殊なアイテムで作った武器を解体するか、アイテムを武器作成ではなく強化に使った場合再度取れる様になるフラグが立つのだが…。
      • この特殊なアイテムを入手できる期間を逃した場合、一周目だけで秘伝リストのコンプリートができなくなってしまう。
    • 実は護衛獣との会話でこのことについてヒントがあるのだが、よりにもよって「対ラスボス用の武器」を解体した後じゃないと詳しく教えてくれない。タイミングとしては遅すぎる。
      • 秘伝リストのコンプリートはおまけモードの要素解禁条件になっている為、期間を逃すと一周目でのおまけ全解放が不可能になってしまう。周回プレイで秘伝を引き継げるので、手間を惜しまなければフォロー可能ではあるのが救いか。
  • 最強の武器が固定化される
    • 前作で「結局は最強武器に装備が固定されてしまう」という問題点があったが、残念なことに本作でもその問題点は据え置き続投となっている。
      どちらもクリア後だが、攻撃力が高い「リボン~」シリーズ、防御力が高い「聖天~」シリーズの二択になってしまう。
    • 鍛冶師ランクを最大まで上げた後、特定の武器に同じアイテムを3つつけて強化→TEC255の時に解体、という流れを繰り返し既存武器に強化を施せるようにはなったが、この強化には限界値が存在する。更に合成アイテムによっては能力が下がってしまう*2ものもある。
      • 結局の所、武器の強さに明確な限度が存在することが仇となり武器間の格差は埋まらなかった。
  • 武器のDURが255までしか上がらない
    • 武器の攻撃力や防御力は「武器それぞれの限界値」まで上がるのだが、一方でDURは255までしか上がらない。
    • 普通に攻撃・防御する時はもちろん必殺技を出すのにも必要な要素の為、強化を進めていくと255でも足りないように感じてくる。
      • 一部NPCとのバトルでは相手武器のDURが255を超えている場合もある。柔軟な戦法をとれないが故のハンデなのだろうが、不公平感はどうしても拭えない。
    • エンディング後開放エリアのボスはHPと防御が恐ろしく高く、手持ち武器全てがDUR255でも倒し辛い。
  • 周回プレイの際、武器の引き継ぎが行えるまでに時間がかかる
    • 引き継ぎできる武器が貯蔵されている場所は序盤で行けるエリアのかなり奥。その為ストーリーをある程度進めないと引き出すことかできない。
    • ほぼ全ての武器が引き継ぎできるが例外として対ラスボス用武器と、その作成に使う特殊なアイテムを使用した武器だけは引き継ぎできない*3。デフォルトで「強DURヒール」という強力かつ希少な特殊効果を持っている便利な武器なのだが、ストーリー攻略として使えないのは何とも惜しい。
      • とはいえこの武器は終盤のストーリー展開に深く関わってくる為、展開の矛盾を避けるためにも引き継ぎ不可は止むを得ない部分がある。
  • 序盤でモノシフトのチュートリアル的なボスと戦うのだが、その説明が殆ど無く唐突過ぎる
    • モノシフト時の説明が殆ど無い事や、モノシフトの制限時間はその武器のDUR(もしくはHP)に依存している事などもあり、何が起こったのか分からないままピンチに陥るプレイヤーが多かったという。
  • 巨大化バトルではストーリー上では一度しか発生しない
    • 新規追加されたとはいえ、ストーリー上では一度しかイベントが発生しないので物足りない感が強い。
  • 新システム採用の反動
    • 本作ではアイテム「思い出日記」を使用する事でダンジョン内でいつでもセーブが出来る様になった反面、ダンジョン内のセーブポイントが削除されてしまい、ダンジョン攻略の際には思い出日記の携帯がほぼ必須になってしまったのは否めない。
      • この事に気付かない前作からのプレイヤーは、本作を初めてプレーした際に「ボス前のセーブをついうっかり忘れてしまってダンジョンの入り口からやりなおし」といういわば「事故」が良く起こっていたとか。
    • また、道具屋では「つくる」の項目でアイテムの合成を行う事が出来るが、本作における上位の回復アイテムはダンジョン内のオブジェクト破壊や敵からのドロップ以外では「つくる」でしか入手する事が出来なくなってしまった。
      • これに伴い、本作では「道具屋で効果の高い回復アイテムをあらかじめ大量に買い込んでダンジョンに乗り込む」というRPGの常識は殆ど通用しないといっても過言では無い。
  • とある人物の再登場について
    • エンディング後にある条件を満たしていた場合は、とある人物がある場所にいて再会できるのだが、これに関してもノーヒント。
    • その条件とは「最後の夜会話で、あるキャラを選択する」というもので非常に分かりにくく、対象のキャラ以外のエンディングになってしまうとそのデータでは会うことができない。

総評

マテルシステムがゲーム性を大きく変え、武器を鍛えまくるというやり込み要素が追加された。
それ以外にも多様な追加要素があり、前作を遊んでいない人であっても楽しめる内容となっている。

練りこみ不足から来るであろう問題点や、前作から据え置きの問題点も複数見られるものの、
決してゲームの土台そのものを腐らせてしまうほどのものではない為、GBAのARPGとして安心して薦められる作品である。
機会があるなら前作や続編と一緒にプレイして、クラフトソード物語の世界に浸ってみてはみてはいかがだろうか。


余談

  • 前述の通り、『2』繋がりなのか本編の『サモンナイト2』からのゲストキャラが存在する。
    • 主人公は事前の選択肢で決定し、その主人公が連れている護衛獣はパートナーに選んだ護衛獣に応じて決定する仕様となっている。
    • おまけモード内にこのゲストキャラを使って本編中の敵を倒すモードがあるが、難易度は相当高い。
  • 実は本作主人公は、クラフトソード物語シリーズの主人公中で唯一のフルネーム持ち。
  • ゲームボーイプレイヤー推奨・ゲームボーイアドバンスSP推奨の画面モードが存在する。
  • 続編として『サモンナイト クラフトソード物語 はじまりの石』が発売された。
    • 前作→本作のケースと同様、本作とは独立した世界観を持っておりストーリー上の繋がりも無い。
    • 隠し要素として本作のキャラクターの一部がゲスト出演している。
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最終更新:2020年01月15日 02:09

*1 一部の強力な合成アイテムは敵からのドロップでしか入手できない。

*2 行動の素早さに関わるAGLの値のみ、合成アイテムによって能力が低下する可能性がある。移動速度や攻撃速度に関わってくる重要パラメータのため、できれば高くしておきたいのだが…。

*3 宝箱に入れようとすると「○○は入れられません」と表示される。