悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印

【あくまじょうどらきゅら うばわれたこくいん】

ジャンル アクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 512MbitDSカード
発売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 2008年10月23日
定価 5,229円
コナミスタイル特別版 8,830円(共に税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
悪魔城ドラキュラシリーズリンク

概要

探索型悪魔城ドラキュラの7作目及びDSにおける探索型悪魔城ドラキュラの3作目。通称『刻印』と呼ばれることが多い。
本作以降、『Harmony of Despair』や海外製の『宿命の魔鏡』を除けば2D探索型の悪魔城ドラキュラの新作はリリースされておらず、本作が正統な探索型シリーズの事実上の最終作となっている。


ストーリー

19世紀初頭、過去何百年にも渡って吸血鬼ドラキュラ伯爵より人々を救ってきたベルモンド一族は消息を絶った。

それ以来、ドラキュラの復活を恐れた人々は数々の組織を作り上げ、新たな対抗手段を模索するものの、
どれもが満足な成果を挙げられないまま解体されていった。
しかし、組織の1つである「エクレシア」の長バーロウは、ついにある成果に辿り着く。万物に宿る力を術式変換し刻印化したという「グリフ」。
長年の研究の末、究極のグリフ「ドミナス」を完成させたのである。その力をもってすれば、ドラキュラをも滅ぼせるという。
そして、エクレシア所属の女戦士シャノアは、その担い手に選ばれ、ドミナス適合化の儀式を受けることとなったが、
同僚アルバスの乱入で儀式は失敗しドミナスが奪われた。

シャノアは奪われたドミナスを取り戻すため、アルバスを追うのであった。
(wikipediaより)


特徴

  • 対象年齢層の引き上げとそれに伴う作風の変化
    • DSにおける前作・前々作では低年齢層の取り込みを意識してアニメ調のキャライラストやムービーが用いられ、ストーリーやキャラクターにもコメディ的な部分があった。しかし思ったほど低年齢層のユーザーを獲得できなかったらしく販売本数も伸び悩み、本作では旧来作品のようなシリアスで暗い作風に戻った。
    • キャラクターデザイン及びイラストにはイラストレーターの廣岡政樹を起用。
  • シリーズでは珍しく、主人公が一人の女性。女性がメイン主人公を勤める悪魔城シリーズとしては同じく携帯機の『悪魔城ドラキュラ 漆黒なる前奏曲』に次いで2作目。
  • マップ選択
    • 本作のゲームの流れは、ウィゴル村を拠点に、その周辺地域の様々な場所を転戦していくというもので、悪魔城以外の場所も舞台となっている。
    • 従来の『悪魔城』だけにとらわれないマップというのは過去の作品でも見られたが、本作はその方向性が前作『ギャラリー オブ ラビリンス』よりも更に推し進められている。
  • グリフシステム
    • 従来の武器・サブウェポン・ソウル・魔法といった要素を、万物の力を術に変換した「グリフ」という形で一纏めにしたもので、ステージ上に隠されていたり、敵を倒して獲得したり、敵の攻撃を吸印して入手する。
      「メイン・サブ(右手・左手)」と「バック(背中)」の2系統に大別され、計3つのグリフを同時に装備できる。
    • メイン・サブグリフ
      • 近接武器・飛び道具・攻撃魔法といった攻撃用のグリフや、使用中のみ防御力を上げつつ敵の飛び道具を防ぐこともできる盾のグリフ。
      • 上+Yのコマンドで、メイン・サブ両方のグリフを組み合わせた「合成印術」という必殺技も発動できる。
      • 『月下』同様、二つのグリフを組み合わせて同時に装備することができ、それぞれワンボタンで使用できる。本作ではそれぞれのボタンを交互に押すことで連続攻撃も可能。
    • バックグリフ
      • 補助系のグリフ。移動用の特殊アクションが行えるようになるもの、変身したりステータスを一時的に上昇・変化させるもの、使い魔を使役するものといった種類がある。
    • 全てのグリフは使用時にMPを消費する。通常攻撃手段であるメイン・サブグリフでもMPを消費するが、MPはグリフを使用しなければ高速で自動回復する。合成印術のみMPではなくハートを消費する。
      • ハートを消費する合成印術が登場した事により、ハートの概念が復活。携帯機作品では『白夜』以来となる。
    • 『蒼月』のソウル「ドッペルゲンガー」の発展形として、グリフの装備セットパターンを最大3パターンに別々に設定でき、特殊な操作でどのパターンを用いるかを瞬時に切り替えられる。
  • その他の新要素
    • 磁石を利用したアクションの追加
      • マップの特定地点には磁石が設置されており、キルクルスというバックグリフを用いると磁石に吸い寄せられる。磁石に吸い寄せられた状態でキルクルスを解除すると、反動で強く弾かれるように移動できる。移動方向は指定可能。
    • 宝箱
      • 各マップの定位置に設置されており、開けるまで中身が分からない。
      • 特定の場所で特定の行動を取ると出現する隠し宝箱や、何度でも出現し、開ける度に中身が異なる宝箱もある。
      • 何度でも出現する宝箱に関しては、珍しいアイテムが入っているレア宝箱が出現する場合もある。レア宝箱は各地域別に出現する中身が異なるので、既に踏破したマップでもレア宝箱目当てで何度でも立ち寄る意味がある。
    • 属性ポイント
      • 熟練度的なパラメータ。各属性別に存在し、数値が大きいほどその属性のグリフの威力が増加する。
      • 属性ポイントは、グリフによる属性攻撃で敵を撃破する、グリフを吸印するといった行為で増えていく。
    • レースモード
      • 恒例のボスラッシュ以外にも定められたコースをいかに早く抜けられるかを競う『レースモード』も追加。
      • コンセプト自体は蒼月のソウルセットモードに近いが、あちらとは異なりあらかじめ最初から敵が配置されているのと、構造の異なる複数のコースから遊ぶ事が出来る。
      • もちろん、ボスラッシュ同様にWi-fiを利用したランキングも搭載。友達とスコアも競う事が可能。
    • マーケットモード
      • 前作のショップモードに当たるモード。
      • ショップモードとの違いは、購入側のプレイヤーの分身となるキャラが猫に変更されている事。

評価点

硬派への回帰

  • 廣岡政樹による主人公シャノアのクールビューティ的な魅力のあるキャラクターデザインは好評。
  • 全体的にシリアスな雰囲気である。
    • 前作までのDSでリリースした探索型ドラキュラは、アニメ調のイラストやライトなキャラセリフ等によりどちらかと言うとポップな作風で、旧来の悪魔城シリーズファンには毛嫌いする者もいたが、本作ではシリアスな作風に戻ったため、これらを好むファンに歓迎された。
  • BGM
    • 本作のBGMの評価は非常に高く、悪魔城シリーズのみならず、NDS全体で見てもその質はトップクラス。
    • 特にメインテーマであり、主人公であるシャノアのキャラテーマとも言える楽曲、「黄昏の聖痕」の人気が抜きん出ている。
      • 悲愴感と疾走感が合わさった楽曲となっており、後述の演出も相まってシリーズでもトップクラスの知名度と人気を誇る。
      • オープニングムービーでも別Verが使用されている。正しくはオープニングで使用されるものが山根ミチル氏による原曲であり、こちらは市橋康弘による編曲とのこと。
      • スタッフロール曲「星降る夜の鎮魂歌」の一部フレーズにも使用されており、後述するエンディングの展開と美しい旋律からプレイヤーの涙腺を強く刺激するBGMとなっている。茫然とした状態でこの曲を聞いたプレイヤーも多いだろう。 その分IGAAAAAAAAAAA感は少なめ
    • とある重要キャラクターとの戦闘曲である「悲哀の呪縛」、「激昂の軌跡」、悪魔城内の一部マップで使用される「漆黒の翼」等の人気も高い。DSの内部音源をフルに発揮した楽曲群は圧巻の一言。
  • シナリオ
    • エンディングの描写が賛否両論分かれているものの、細かい矛盾等も存在せず、演出面も練られているためシナリオの評価自体は非常に高い。
    • 本作は主人公であるシャノアとその兄弟子のアルバスの二人の物語となっており、シナリオの展開 とシリーズ最強クラスの変態挙動 から両名ともシリーズでもかなり高い人気を誇っている。
      • 悪魔城に突入してからはシナリオがほとんど展開されないため、こちらは問題点に記述しているが、その悪魔城に突入するまでのシナリオはとても悲愴的で燃えるものとなっている。
      • シャノアが自らの使命を再確認し、単身悪魔城に突入するシーンはセリフ一つ一つの重みと、直後に流れる「黄昏の聖痕」も相まってシリーズ屈指の名シーンとして名高い。

その他

  • 悪魔城以外のマップの存在
    • 屋外の場所が多いということもあり、新鮮な感覚で楽しめる。
    • 一つ一つのマップは、迷路のように複雑ではなく、迷いにくい。
  • メイン・サブグリフを両手に持っての連続攻撃が爽快。
    • 上記の通り今作ではこれまでのメイン、サブウェポンが全てグリフに一括されたために装備を統一して連続攻撃するもよし、どちらも飛び道具にして遠距離からチクチクと削るもよしとこれまでよりも多彩なカスタマイズが可能となった。
  • 演出面の更なる強化
    • OPで語られているプロローグがフルボイスという事をはじめとして、ウィゴル村の住人一人一人に固有のボイスが割り当てられている、ボイス付きのキャラクターが敵味方関わらず大幅増加、特定のボスに敗れるとボスの勝利台詞が聞ける等、従来のDSで展開されていた悪魔城シリーズと比較してボイスの量が倍近くまで増加。
      加えて、サウンドテストでは一部のキャラクターで使用される予定だったと思われる没ボイスまで存在するのだが、その反面として敵のボイスがサウンドテストでは未収録なのは批判されている。
    • 更に、シャノアのメインテーマが悪魔城に入って初めて流れる演出になっていたり*1、悪魔城のエリア毎にサブタイトルが付加されている(例:悪魔城エントランス『狂夢の幕開け』)等、新たなる演出も加えられている。
  • 磁石アクション
    • 慣れるまでは操作が難しいが、従来のハイジャンプの代用として使えるだけでなく、空中で停滞して敵の攻撃を回避したり高速移動手段として用いたり、磁石から磁石に飛び移ったりと応用の幅が広く、アクション性が高い。
    • レディーレ(磁力のある飛び道具を射出する)というグリフを入手すれば、どんな場所でも飛び道具にキルクルスを引っ掛けて爽快に飛び回ったりできるようになる。
  • やり込み要素
    • 本作でも前作までのアイテム図鑑やモンスター図鑑など好評だったやり込み要素は健在。
    • 新たなやり込み要素としてボスを無傷で撃破するとボスメダルという特別なアイテムがもらえるノーダメージボーナスが追加。
      • ノーダメージボーナスの追加によって、本作のボス戦では「いかにダメージを喰らわずにボスを撃破できるか」という高度な戦略性もステージクリア型の作品から復活する事になった。
      • ボスメダルはアイテム図鑑の対象にもなっているので、フルコンプリートには必須のアイテムになっている。
    • この他にも前作の『悪魔の巣窟』に当たるおまけステージとして『大鍾乳洞』、『修練堂』という2つのステージが登場。
      • 前者は『悪魔の巣窟』同様、次々と現れる敵を倒していくステージ、後者は難解なトラップを乗り越えていく物で、いずれも高難易度のステージになっている。
      • なお、どちらもクリアの際にランダムで特別な装備をもらえることから、高難度ながら何度も挑戦する意義もある。
  • クリア後の要素
    • 本作も例によって2周目及びハードモードが存在するが、本作ではクリア時のレベルや属性ポイントといったステータス面も引き継げるため、高次周に渡ってプレイヤーを育てることが可能。
    • これまでの探索型悪魔城シリーズではレベル上限が99までと定められていた関係で、やり込みプレーの際にはどうしてもプレイヤーの育成に限界が生じていた。だが本作では、とある条件を満たす事によって、レベルキャップを外して最大レベルを255に引き上げる事が出来る様になり、最大レベルまで育てたキャラを更に育てる事が可能になった。
    • シリーズ恒例のハードモードでは、いつもの耐久・攻撃力や敵のアルゴリズムの変動以外にも、道中も雑魚敵の数が控えめだったエリアにメディウサヘッドの群れが出没する…といった具合に敵配置の変更・追加が行われたり、初見では見切れない程高速化したギロチン等ステージ内のトラップも更に難解化しているためか、何度もクリアしたプレイヤーでも油断できない難易度になっている。
  • アルバスモード
    • ゲームクリア後のおまけモード。本作の登場人物の一人であるアルバスを操作できる。
      • アルバスの性能は従来のおまけキャラクターとも一線を画するものであり、新鮮なアクションを楽しめる。
      • 主な攻撃手段は銃による飛び道具。また画面をタッチするとタッチした地点にワープできるという特殊能力を持っている。
  • その他の改善点
    • 装備選択画面の頭で最近使用した事のある装備アイテムが5件まで表示される様になり、装備の付け替えが楽になった。
    • 前作では割高だったマジカルチケットの値段が破格の100Gに引き下げられた。他、店の開店直後から売り出される様になったり宝箱から入手出来たりと入手の機会も増えたことから、拠点への帰還もかなり楽になった。

賛否両論点

  • エンディング
    • シリーズ屈指の涙腺崩壊展開とまで言われているが…
      + ...
    • 全てを失ったシャノアが唯一自分に残されている使命を果たすため、命を捨てて究極のグリフであるドミナスを使用し、ドラキュラを封印するが、ドミナスに残されていたアルバスの魂がシャノアの身代わりとなる。
      • その際、シャノアは失っていた感情を取り戻し、アルバスは最期の願いとしてシャノアに笑うように伝え、シャノアもそれに応え、その笑顔を見たアルバスはようやく自分の兄としての使命を果たせた事を実感し、消滅してしまう。
      • 誰もいなくなった悪魔城で一人泣き叫ぶシャノア。崩れゆく城から脱出したのち、一人どこかへ消えていく…という展開。
    • 「重い」「不幸過ぎる」「救いがなさすぎる」と専らの評判で、シャノアの笑顔が見れるのはこのエンディングが最初で最後という事も相まって、プレイヤーの涙腺にダイレクトに来る展開となっている。
    • 従来の作品には、たとえ後味の悪いバッドエンドがあったとしても、大団円的なグッドエンドも存在した。しかし本作では、悲愴感や喪失感の残る、グッドエンドとは決して言い切れないものであり、そこが良かったという声からシャノアのハッピーエンドを見たかったという声まで賛否両論ある。
      • ベルモンドの居ない時代で、ただの人間が相応のリスクを用いてドラキュラを討伐するのだからシナリオの展開はある意味必然、暗くなってしまうのも当然とも言える流れとは言えるのだが、全てのプレイヤーが納得するかと言えば別だろう。
    • 「彼らの戦いは誰にも知られることなく幕を閉じた。これ以降、「エクレシア」の記録は残っていない。」とスタッフロール直前に表示されるのも、本作のシナリオの重さや切なさを物語っている。
      • その後、一人残されたシャノアがどうなったかなどは一切触れられていない。村人たちとの関係は幸いにも良好なので、行き場をなくした彼女を受け入れてくれる人々は少ないながらもいるが、その後のことに関しては結局は想像の余地を出ないだろう。
  • 探索型ドラキュラの中では比較的難易度は高いといえる
    • これまでの探索型ドラキュラはライトユーザー向けに制作されたためか、比較的難易度が低かった。
    • しかし、本作はかつて主流だったステージクリア型の作品を意識した作りになっているのか、FC版初代や悪魔城伝説ほどではないもののそれらに近い難易度に設定されている。
      • 本作のザコやボスはアルゴリズムが決まっており、何度も挑戦し攻略の糸口を見つける必要がある。そのため従来作以上にパターン性が強い。
    • 更に取得できるハートの数も少ない。基本的に合成印術はハートを激しく消費する物が多く、無駄遣いは禁物。
      • 拠点のウィゴル村などではセーブポイントの他に、ハートの回復が出来るポイントも存在する。これを足がかりに攻略していくと良い。
    • 他、追い打ちを掛けるようにセーブポイントの数も少ない上、ポイント間の距離も長い。
  • 従来のシリーズ作とは異なる攻撃系統
    • 本作ではナイフや斧などの従来のサブウェポンに当たるグリフもメインウェポンの位置に存在し、サブウェポンのコマンド(↑+攻撃)に合成印術が割り当てられている。
    • このため、本作以前に過去の悪魔城シリーズに触れたプレイヤーは本作を初めてプレイした際に、操作系統の関係上、従来のサブウェポンの操作で合成印術が暴発し、操作に混乱をきたす可能性がある。

問題点

  • 図鑑コンプリートのハードルの上昇
    • 今回のアイテム図鑑は、前作までの敵からのドロップのみで入手できるアイテムや隠しアイテムの他に、前述のノーダメージボーナスで入手するアイテムや裏ダンジョンの報酬、レア宝箱から入手出来るアイテムも対象になるため、前作よりもコンプリートの難易度が上昇してしまった。
      • 特にノーダメージボーナスの存在は、図鑑コンプを目指しているプレイヤーにとっては強制されていると感じられやすいのが否めない。せめて図鑑とは別枠で入手出来る形式が良かった。
    • ノーダメージボーナスの性質上、一度取り逃すとその周では二度と入手出来なくなるアイテムも本作には多い。
  • グリフの取得方法
    • 本作のグリフの取得は、前作及び前々作のソウルやスキルとは異なり、ドロップ後に吸収しなければ取得扱いにならない。その際、開始から吸引完了まで数秒間無防備のうえにその場から動けないため、敵が多い状況では回収が難しく、回収のためにあらかじめ安全な状況を作る必要があり、やや面倒。
  • 武器やアクションのバリエーション、収集要素の幅広さという点では、過去の探索型作品より少なくなっている部分もある。
    • グリフ及び合成印術の種類は、過去の作品における武器・サブウェポン・ソウル・魔法・特殊技(大技)ほどバリエーション豊かではない。
      • 使用できる合成印術はメイン・サブグリフの組み合わせに依存するので、「ギャラリー オブ ラビリンス」のデュアルクラッシュのように好きなものを使えるわけではない。特定の組み合わせ以外ではスカのような性能の合成印術になってしまうので、合成印術を活用しにくい部分もある。結果、収集要素としても若干味気なくなった。
      • バックグリフは、暁月や蒼月で言うところのガーディアンタイプとエンチャントタイプのソウルが同じ装備部位として一纏めにされているようなもの。そのため、それぞれのソウルを組み合わせて装備できた暁月や蒼月よりも自由度が制限されている面もある。
      • ただしこういった装備の自由度の問題は、グリフパレットを切り替えることで、ある程度解消できる。
    • ゲームバランスを無視して大暴れできるほどのグリフはなく、風変わりな性能のものもあまりない。
      • 一応、これに相当する物は存在するのだが、単独装備では無く「グリフを含んだ装備の組み合わせ」。それに加えて「発動中にプレイヤーが敵の攻撃を喰らうとほぼ即死」という非常にリスキーなデメリットが存在する事から、「絶対に強力」という事では無いという事に留意して欲しい。
  • 装備バリエーションの減少
    • 本作で登場する装備アイテムはプレイヤー数が一人に戻った事から全体的に減少してしまい、装備のバリエーションが豊富だった前作と比較して見劣りする。
    • その中でも装飾品は効果に関係なく全てが指輪に統合されてしまい、名称も「〇〇リング」で統一されていて見栄えはしない。
      • とはいえ、新規の装飾品はいずれも超が付く程個性的な効果を持つ物が大半を占めている他、シャーマンリングやレアリングといった過去シリーズで好評だったアイテムも続投しているためかあまり気にならない点ではある。
  • 探索要素は前作までよりは薄れている。
    • 悪魔城以外にさまざまなエリアがあるといっても、ほとんど決まったコースをたどる一本道であり、広大なマップのルート分岐を踏破していったり、移動能力の獲得や仕掛けの解除によって、今まで行けなかった場所に行けるようになるといった探索型の醍醐味はあまりない。
      • 一応、特定のエリア(後述)では2周目以降のグリフ引き継ぎを利用してシーケンスブレイクが可能になるのだが、そのエリアにおけるもう一つの出口から脱出すると通常ルートへと強制的に合流してしまうため、残念ながら探索の幅の広がりを実感できる物では無い。
    • そういう意味で見方によっては今作は探索型と面クリア型の折衷作ともいえる。しかし面クリア型と違って、各エリアのマップ構造は障害物や仕掛けなどがあまりない単純構造が多く落下死もないのが欠点。
      • 中でもシリーズ恒例の難所である時計塔が顕著に見られている。
        従来の作品では巨大歯車や振り子といった様々な仕掛けで訪れるプレイヤーを悩ませていたのだが、本作では大体キルクルス磁石アクションを用いた仕掛けばかりでワンパターン気味。それ以外の地形も比較的単純という事も相まって、残念な印象を持つプレイヤーも多い。
      • なお、HARDモードの城外パートや隠しダンジョン「修練堂」では、一転して複雑な仕掛けの数々が待ち受けるという、従来のシリーズと引けを取らない構造になっているのだが、これによって「どうせ仕掛けを複雑に出来るのなら、本編の仕掛けも増やして欲しかった」という意見も見られている。
    • 悪魔城外が多いぶん、悪魔城内の構造は従来に比べればそれほど複雑ではない。
  • ショップのアイテム追加に関して
    • 過去のシリーズのショップの商品はゲームの進行に応じて入荷されていったのだが、本作のショップはウィゴル村内で発生するクエストを解決していくと商品が追加される形式に変更された。
    • ショップの商品追加の方法が変更された事により、従来の作品の様に「ゲーム内で時間を経れば自然と回復アイテムを購入が出来る」という行為が出来なくなっているのは痛い。
      • 特に、状態異常回復アイテムを入荷させる条件のクエストの場合は、必要なアイテムが特定エリアの宝箱から入手出来る関係で、達成までの期間にムラが生じる可能性がある。下手すれば状態異常回復アイテムにもかかわらず貴重品と化してしまう事も。
  • やけにあっさりと片付いてしまう悪魔城関連
    • 本作は前半戦の城外パートでは濃密なストーリーが組み込まれているが、悪魔城に侵入した途端にほとんど会話やイベントが発生しなくなるので、やや尻すぼみな印象を抱きがち。
    • というのも、ストーリー本筋のイベントは悪魔城に入る前にほぼ全てに決着が付いてしまい、その後の目的は復活したドラキュラ伯爵を倒すのみになってしまう事に起因している。
      • 前作も似たようなゲームの流れになっていたが、あちら側では宿敵との戦いが盛り込まれていたり、鞭の力の開放といった大きなイベントが存在していた関係上、盛り上がりにくい期間は短かった。
    • 本作のハードモードでは上述の通り敵配置やトラップの難解化が顕著だが、悪魔城に侵入した途端ほぼノーマルモードと変化しない敵配置・トラップ構成に戻ってしまうため、肩透かしを食らったプレイヤーも多い。
  • 特定の手順を踏ませるボスの存在
    • 本作で登場するボスの中には「通常の方法では絶対に倒せず、印術の吸収のみで倒せる」「特定の合成印術でトドメを刺す必要がある。使わないと強制ゲームオーバー」など、撃破の際に凝った条件を満たさないボスも存在することから、理不尽な難易度の上げ方がなされているクチがある。
    • 特に顕著なのは「ブラキュウラ」と「エリゴル」。
      • 「ブラキュウラ」はゲーム序盤で戦う事になるボスだが、単にダメージを与えるだけでは倒す事ができない。では、どうするかというと、ボスに一定のダメージを与えると体色が赤くなりプレイヤーを狙って攻撃してくる様になるので、その際に天井を破壊させる。これを数回繰り返した先でエレベーターを見つける事が出来るので、起動してボスにトドメを刺すと、ここでようやくボスを撃破出来るという形である。
        この通り作業ゲーになりがちで、スタートから一気に頂上まで行くという様なショートカットも基本的に不可能なので、全体的にやらされている感が否めない。プレイヤー側もストレスが貯まりがちなボスである。
      • 「エリゴル」は画面に収まらない超巨大サイズのボスだが、ボスの周りのパーツを破壊しながら弱点に回り込むという、いわばR-TYPEの3面の巨大戦艦の様な形式のボス戦が行われる。
        戦闘の形式自体は非常に面白いのだが、いかんせん弱点到達までの手順が非常に長く時間も掛かりやすい。
        一応、特定のグリフを使ったアクションを使う事で一気にショートカットする事が出来るのだが、必要なグリフが存在するエリアが本作最難関の一つに位置づけられていて、入手難度自体も非常に高い。少なくともエリゴルと初めて対峙する段階のプレイヤーは入手していない事が多い。
      • このように、上記の2体は正直言ってタイムアタックには不向きなのだが、どういうわけかボスラッシュでも戦うことなる。
        ボスラッシュで登場するボスの多くは、タイムアタックを前提としたモードという事もあってか、特定の装備の組み合わせで瞬殺ができるのだが、この2体に関しては長い手順を踏まなければならない関係で、他のボスと比べて、どうしても撃破までに時間が掛かってしまう。せめてボスラッシュの対象外であった方が良かったと言わざるを得ないだろう。
  • グリフ「レディーレ」の入手・引き継ぎ関連の問題
    • レディーレはグリフの中でも取り分け面白い性能なのだが、終盤にならなければ入手できない隠しグリフ的なもの。終盤で入手してもその時点では活用できる場所は少ない。
    • しかも、レディーレなどの「特殊な移動が行えるグリフ」は次の周回に引き継ぐことができない。
      • 仮に最初からレディーレなどが使用できても、本作では進行上のフラグを無視してしまえるような箇所は無いので、その点での問題はないはずだが*2
  • キー設定の問題
    • 次の周回への引き継ぎプレイを行うと、キー設定がなぜか初期設定にリセットされる。
    • アルバスモードではキー設定を変更できない。
  • アイテム回収の仕様
    • 『暁』以降、アイテムを最大数所持した状態でアイテムを回収すると、回収が出来なくなったが、本作では問題なく回収することが出来る。
    • のだが、アイテムの最大数問わず回収出来てしまうため、最大まで所持しているのを忘れてしまうことも。
  • おまけ要素の減少
    • クリア後複数のキャラを使用して遊ぶことが出来た前作『ギャラリー オブ ラビリンス』に比べるとクリア後のオマケ要素が少ない。
    • 前作が従来のシリーズに比べて多過ぎた、と見ることも出来るがその次の新作と考えると見劣りする。
    • アルバスモードは過去のDS版のおまけモードのような簡易ストーリーはないGBA時代のおまけモードと同じ仕様。
  • 無駄な設定
    • アルバスモードでは、宝箱は一切無いが、ステージのどこかに置かれているお金やむき出しのグリフ、それにグリフ入りの石像は、本編と同じ場所にある。
    • しかし、アルバスモードではグリフの吸引はできないし、お金は取っても使い道が無く、現在持っている額の確認すらできないため、これらは全くの無駄となってしまっている。全部カットすればよかったのに。
  • やや劣化した通信関連
    • アルバスモードのデータではレース及びプラクティスに参加することが出来ず、結果的にアルバスでは一切通信が出来なくなってしまっている。前作のボスラッシュは全てのキャラで参加出来たのに…。
    • マーケットモードでは陳列出来る商品が少なくなった。購入側のアバターになる猫も、個性豊かな前作のモンスターと比較して違いが色程度になっているため、どのプレイヤーが買いに来ているのかが見分けがつきにくい。

総評

DS版悪魔城で最後の3作目にして、約2万8千本だったDS版前2作から本作では約3万5千本と最も好調なセールスを挙げた、安定した完成度の良作。
ただ、合成印術等の特殊システムや、難易度は前2作よりも高めに設定されているため好みも分かれる。


余談

  • 本作は約2ヶ月差でリリースされたWii『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』との連動要素がある。
    • 本作側で解禁される要素は、ハードモードをクリアする事で解禁される「MAXLv.255」で、いつでもアンロックする事が可能。
    • 一方、ジャッジメント側で解禁される要素は、本作の主人公のシャノア。こちらも本来はゲーム進行で解禁する要素だが、やはりアンロックでいつでも使用可能になる。
  • 本作サウンドトラックは、コナミスタイル専売(現在は販売終了で購入不可能)でゲームとセットの特別版でしか入手することが出来なかった。そのため現在では血の輪廻のサウンドトラックを上回るプレミアが付いてしまっている。*3前作サウンドトラックは単体で購入できたのに何故こんな販売方法だったのか。
    • コナミもプレミアが付いてることを認識しているのか2回目のベスト盤に当たるミュージックフロム悪魔城ドラキュラ赤において本作のサントラが完全収録されることを宣伝している。
  • パッケージ裏の説明文について
    • 本作のパッケージの裏側では「伝説の名作、『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』が新たに生まれ変わる。」という間違いが書いてある。
    • 本作は『血の輪廻』とは関係なく、この誤植文は後期版パッケージでは消されている。
  • シリーズ他作品での「ムッムッホァイ」や「ドゥエドゥエドゥエ」と同様、本作にも一部のコミュニティでネタにされがちなキャラクターの言動が存在している。
    • 主にネタにされるのは、欧米版ソフトでアルバスがワープを使った際のボイス「ユーキャンヒッミー」。
      • 上記評価点で「従来のおまけキャラクターと一線を画する性能」と評したが、本当に(極一部を除いた)従来のおまけキャラが霞んで見える超性能を誇る。画面タッチによるワープはMP消費こそあるものの、敵も障害物も完全無視可能。更に彼のバックステップはまさかの全身無敵。これによって「ワープを駆使して超高速でステージを駆け回り、減ったMPはバックステップで高速移動しながら安全に回復」というプレイがTAS*4でなくとも実行できてしまうのである。
      • 恐るべき事に、このアルバスの能力についてはバグ等を利用したものではなく、れっきとした仕様なのである。仕様の範囲内であのマクシーム・キシンに迫る速さと変態機動っぷりを披露する様は「公式がホァイ」と言われているとか。
      • 日本語版のボイスは「当たらんよ」。こちらは「フッフッアタランヨ」と呼ばれ、やっぱりネタにされている。尚アルバスモードではメニュー画面が使えずSTARTボタンを押すとポーズしてしまうため、アルバスモードで遊ぶ場合は「ショーターイ!」のような言語切り替えは不可能。残念無念。
    • 地味ながら、欧米版で敵として現れるアルバスを倒した際のボイス「シュノワー」も腹筋破壊力は中々に高め。
    • 一方で本来の主人公であるシャノアについては、TASでの徐々に変態として進化していく走法はともかく、本作でのボイスそれ自体がネタになる事はあまりない。むしろ彼女の場合はしずもん氏による公式4コマ内で、巨大な蟹の姿をしたボスを相手に発した「かってーなー」が有名か。
      • 悪魔城やTAS以外のゲーム動画でも、蟹のような姿のボスとの戦闘時や、妙に防御力の高い敵をぺちぺち叩き続ける時などにはネタにされる事が多々あるようだ。
      • ちなみにこの台詞ネタ、実は『悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair』に逆輸入されていたりする。
    • おなじみのデス(死神)も登場時のボイスが、日本版は「買い取らせてもらおう!」欧米版は「わしゃ課長だ!」という空耳が人気。
  • 本作には悪魔城シリーズを象徴する武器である「鞭」が一切登場しない。本作以外にも主人公が鞭を使わないシリーズ作品はいくつかあるのだが、それらの場合もベルモンドゆかりの鞭使いがNPCとして登場し、隠しキャラクターとして鞭を用いたプレイが可能なものが多かったのだが、本作の隠しキャラクターは魔銃使いのアルバスのみのためそれもない。
    • 本作以外のシリーズタイトルで鞭使いが一切登場しないのは「ドラキュラくん」くらいのもので、地味に珍しい一本といえる。
  • 再販も無く事実上の最終作と言うこともあり現在ではどの通販サイト等でも1万円をゆうに超える高価で取引されている。(どの探索型ドラキュラも似たようなものだが)
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最終更新:2023年01月19日 01:03

*1 一応これまでの作品でもドラキュラ城の最初のエリアでメインテーマが流れていたのでそれに準拠したとも言える。

*2 イニレ・ラピドゥス引き継ぎによる高速移動を利用すれば、本来「ひしょう石」入手後でないと進めないティメオ山脈の別ルートに進むことはできるが、ストーリー進行に支障は無い。

*3 悪魔城ドラキュラ Best Music Collections BOXにも収録されているがこちらは高い上に全ての楽曲が収録されていない不完全版である。

*4 「Tool-Assisted Speedrun」若しくは「Tool-Assisted Superplay」の略。外部ツールを使用し、実際のゲーム機で理論上実現可能な範囲内でのスーパープレイや最速クリアを目指す遊び方のこと。