メダロット弐CORE カブト/クワガタ

【めだろっとつーこあ かぶと/くわがた】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 イマジニア
開発元 ナツメ
発売日 2002年12月25日(コミックボンボン専売)
2003年4月18日(通常販売)
定価 4,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年1月27日/650円(税別)
判定 良作
メダロットシリーズ


概要

総売上40万本以上を誇ったGBソフト『メダロット2』のGBAリメイク作。
最初は『コミックボンボン』誌上でカブトバージョンのみが限定販売されていたが、後にクワガタバージョンと共に通常販売されるようになった。


評価点

  • グラフィック面が原作と比べ大幅にパワーアップ
    • 戦闘モーションはGBAの回転機能を使っており、棒立ち機体の多かった『メダロット・navi』よりも躍動感のある戦闘を楽しむことができる。
    • キャラクターのバストアップがアニメ版風に描かれていて、視聴者には懐かしく感じる。イベントスチルも勿論アニメに寄せて描き直されている。
      • 原作では普通におばさんに見えた主人公の母親も、今作ではアニメ寄りの若く見えるデザインになっている。
      • さらにアニメでは登場しなかったハチロウやキララ、マルガリータといったキャラもアニメ風のデザインで描かれている。
      • 尚、アニメ寄りなのは絵柄だけで、ストーリーは原作準拠である*1
    • ロボトル時のチビキャラも脚部毎の汎用ではなくパーツによって細かく変化する。どんなパーツを付けているのかが一目瞭然に。
    • マップもしっかり描き込まれており、GBとは印象が変わる事請け合い。
    • ロボロボ団のコスチュームは幹部と構成員で統一された(構成員も全身黒タイツにアンテナ、サングラスという『1』の仕様に戻った)。
  • ロボトル(戦闘)システムの一新
    • ゲームバランスが一新され、原作では崩壊気味だったメダロットの性能バランスが大幅に改良されている。
    • 単純な数値だけでなくメダル・パーツのステータス項目や熟練度体系、一部パーツの持つ効果が原作から変更。
      • その煽りを受け、強いことで人気のあった主役機体やラスボス等は原作から大きく弱体化。この点は賛否の分かれる点である。
    • 新システム「メダスナイプ」の登場。射撃攻撃の際に、メダロットがどのパーツを攻撃しようとしているか確認できるようになった。
      • 機体単位からパーツ単位で確認できるようになったことで、攻撃するパーツが既に壊れていると行動が無効になってしまう射撃攻撃のデメリットが改善された。後のDS版でも採用されている。
    • 必殺技「メダフォース」の制度が『メダロット5』の「メダスキル」に近い仕様に変更。
      • メダフォースゲージが「満タン」でないとメダフォースが発動できない。例えばメダフォース消費量が50だとしても、最大値の80まで溜まっている必要がある。
      • 原作同様同一ロボトルで再度使用可能であり、パーツ使用でゲージは溜まらない。
      • メダルごとのメダフォース習得内容やメダフォースの性能も変更・調整されている。
  • Aボタン押しっぱなしでダメージ時演出の高速化、オプションから戦闘台詞スキップ機能の搭載により、致命的だったテンポの悪さも多少は改善された。
    • ただし戦闘台詞をスキップした場合、相手のパーツやモーションを見て行動を判別する必要がある。
  • メダロットの魅力の一つであるパーツ・メダル集め。原作でのコンプには『パーコレ』を駆使しても3本以上のソフトが必要と、とても手間の掛かるものであったが……
    • 今作では初代『メダロット』からの通信でしか入手できなかったメダロットも普通に登場するようになり、入手可能に。
    • 序盤から強力なメダロットを手に入れられるパスワードは廃止にされたが、パスワードでしか入手できなかったメダロットがエンカウントやイベントで登場するようになった。
  • メダロットのコンプリートにはやはり通信が必要だが、両方のバージョンがあれば全メダロットのパーツをそれぞれ1周(計2周)ずつで揃える事が可能。
  • 『3』以降の続編で培われた改善点の導入
    • マップ上でAボタンを押しながら移動するとダッシュできるようになった。
    • 原作では1曲だった通常ロボトルBGMに新規の曲が2つ追加された。
    • ティンペットではなくメダルに名前を付ける仕様に変更。
    • それに伴いメダルリネーム店が登場。代わりにペイント店は削除。
    • 使用頻度の高い「乗り物アイテム」の別枠化、スタート一押しで純正組み、オート時の行動ローテーションの設定といった操作性の改善……等々。
  • 少ないながらも追加イベントが存在。主人公の家族やりんたろう、未来のメダロッターとロボトルする事ができる。
    • 1リメイクと違い、本編シナリオ中の台詞の変更はあまりない。
  • ハードに合わせたBGMのアレンジに加え、場面に合わせた新曲の追加。
    • 室内BGMアレンジ2曲をはじめとするいくつかの新曲に加え、メダロポリス・メダロッターズ店内・ショップ店内等『3』・『4』で登場した曲も輸入されている。
    • おどろ山、シノビックパークなども専用曲が用意されている。

賛否両論点

  • 性能調整による一部の主役級機体の弱体化
    • 最初に手に入れる主役機体を原作と同じ感覚で扱うと確実に苦戦する。
      • パーツの組み換えを促し、ストーリー中の装備の固定化が少なくなり、戦略性が増したとも言える。
      • 逆に言えばパーツの揃わず戦略の立てようの無い序盤は火力不足に悩まされる事になる。また、それ以外の要因でも単純に序盤の難易度が上昇している(問題点で後述)。
      • 補足しておくと本作の主役機体が弱いわけではない。同系統のパーツの中では高性能である。原作では強すぎたのだ。
    • 実はラスボスも弱体化したとはいえ、一機体としてみれば十分強い。やはり原作では強(ry
  • 戦闘時のボタン操作の増加
    • 戦闘時の行動選択インターフェースが『5』とほぼ同等のものに変更。
    • 原作はワンボタンで選択項目の切替が可能*2だが、本作では自分のメダロットの番が回る度に「パーツ選択・メダフォース選択・メダロット確認…etcを左右キーでカテゴリ選択→Aボタンで決定→上右左下で項目選択→Aボタンで確定」と操作がひと手間増えている。
  • ミニゲームの内容・特典の変更
    • ミニゲームの内容変更自体は大した問題ではないが、前述したパスワード制の廃止により賞品が変更されプレイする利点が減ってしまった*3
  • ペイントショップの削除
    • 原作はハード(ゲームボーイカラーのみ)の都合上、頭部パーツを変更すると頭部パーツの色パレットに合わせて、装備しているパーツの色パレットが統一される仕様だった。その仕様を逆手にとって、メダロットの色パレット自体を幾つかのパターンから選んで有料で固定してくれるペイント店が存在した。
    • しかし本作ではハード性能の向上に伴いパーツ表示に色パレットの変更が必要としなくなったため、ペイント店は削除。あくまでGBCプレイヤー用のおまけだったのだが、そちらを楽しんでいたプレイヤーからするとやや寂しい。単純にカラーのカスタマイズ機能があっても良かったかもしれない。
    • ペイントショップの場所には代わりにメダルリネーム店に変更されている。
    • また、ペイントショップとは関係無いがショップの店員さんの「スマイル」も削除されてしまった。
  • 一部BGMが原作から変更。
    • 新規BGM自体のクオリティは高い*4が、原作プレイヤーからは違和感になる事も無くもない。
    • 変更された場面はオープニングデモ・タイトル・エンディング等。また本作のメダロット組み換え時のBGMは『3』・『4』のBGMのアレンジになっている。
    • また、何故かロボロボ団のアジトの曲がイベント時のコミカルな曲になっている。イベントでは愉快な雰囲気だが、探索時に流れるとちょっと騒がしいかも。

問題点

  • 一部のメダロット・メダルが削除され、登場するメダロットは実質減っている。
    • 最も削除されたメダロットは、「登場している機体と性能が被る者」が大半ではある(例:初代のヘビ型と今作のヘビ型、初代のコウモリ型と今作のシャチ型等)。
    • 『2パーコレ』のみ入手可能だった「せいぎ・あく」メダルや『1』との通信コピーによって入手可能だった旧メダル達も削除。
  • 原作では通常エンカウントで現れた一部のメダロットが数回しか戦えなくなり、パーツを揃えるのが困難になっている。
  • 前述の戦闘モーションだが、攻撃回避時の動きが「操り人形の様で不自然」と否定意見もある。
    • 通常のRPGよりも攻撃を避けられる機会の多い本シリーズにおいては都度こんな動きを取られると、おちょくられているようでイライラが募るかもしれない。
  • ストーリーは基本的に原作に忠実なので、主人公が最初にもらうメダロットが終始喋ったりしない。「『1』の『パーフェクトエディション』や『3』以降のように喋って欲しかった」との声も。
    • ただ、『3』でパートナーが喋り出したのはアニメ版の影響が大きく、それらによる作風の変化からファンの中には「イッキ編の『2』と『3』以降は別物」と捉える声もある。『2』の雰囲気を再現するには喋らせる訳にはいかなかったのかもしれない。
  • 原作にあったバグ及び仕様の放置。
    • 「パーツンラリー」にて、ハチロウが自宅に戻らないバグが修正されていない。
      • 対処法は、先にコーダインでイベントを進め、その後花園学園のイベントを進めること。
    • 同じく『2』にあった、メダルレベルが最大になると熟練度が上昇しなくなるという「不親切な仕様」も無修正のままである。
    • その一方でデスブレイク複数入手可能といった、プレイヤーに有益な仕様はしっかりと直されている。
    • またパーツ属性が『3』以降のまとめられたものでなく、元の『2』の細分化されたもののままであることや威力無効パーツでの援護ができないなど『3』以降の作品で便利になった箇所も原作のまま。
    • 『3』以降のように相手が一律純正機体で挑んでくるようになったため、パーツ収集がしやすくなった一方、連戦等で何度も同じ構成の相手と戦わなければならず、ダルイ思いをする箇所が本編中に複数ある。
      • パーツコンプには、両方のバージョンが必要になるが両バージョン共にプレミアがついておりコンプが大変(上述したように『1』や『パーコレ』もする必要のあった『2』を考えれば2本でコンプ可能は大分良心的ではある)。
      • ただ、ロボトルに関しては『2』がエンカウントはもとより本編中もとにかく戦闘回数の多い作品だった事もあり、同じ構成の相手と何度も戦う機会が激増した事でダルさが格段に増してしまった。
  • 一部のバランスに関して。
    • 賛否両論の項目にも表記されている主人公機の弱体化だが、これとエンカウントメダロットの配置変更*5に伴い、本編序盤の難易度がかなり難化している。
    • 特にクワガタVer.は初期段階において最弱クラスのザコ敵にさえ勝つのに運要素が絡む*6。更には第2章で「『おどろやま』に行く前にMF「たていっせん」を覚えるまでレベルを上げておくのを推奨される*7」など、とにかく序盤の難易度が高い。
    • 「シリーズ中でもまともな対戦ができる」と対戦バランスに関しては評価の高い本作だが、「全体の威力を抑えただけで根っこの部分*8の問題点は直っていない」との意見もある。
      • また、攻撃パーツの装甲が悉く落とされている一方、強力な装備パーツである常時充填は原作から微増*9。腕部アンチシー及びアンチエアパーツの充填、放熱が異様に高く、サポートなしではまともに使えないなどパーツ間の数値調整にも疑問を感じる点がある。
      • 特筆すべきはデストロイの威力の高さで、そのままでも2~3パーツ、脚部を高推進のものに変えれば4パーツ全て破壊できるレベルのパーツも存在する。ダイレクト特性*10や全体的な威力のデフレに伴い、ラスボスのゴッドエンペラーや裏ボスのプリミティベビーすらデストロイで何とかなってしまう。
  • 一部の新規要素との矛盾
    • ヘベレケ博士は終盤から前作ラスボスであるビーストマスターをパーティに組み込んでくる。演出としては盛り上がるし、ビーストマスターのパーツを入手できる機会が出来た点では良い。
      • しかしストーリーはそのままなので、レトルトことヒカルが「ビーストマスターは前に倒したはず」の旨を語る下りに違和感が出てしまった。尤も、『1』でもパーツ一式が輸入品屋に売られてたけど。
    • また、フユーン不時着時にはイッキがコウジと共に操縦桿を握っているイベントスチルが入るのだが、この時はイッキはフユーン内の広場に一人でおり、操縦桿など握っていない。

総評

追加要素こそ少ないものの、目立った新たな問題点もなく、「『メダロット2』を時代に合わせた無難なリメイク」だとユーザーからの評価は高い。
『2』はシリーズ通して最もメディア露出が多かった主人公である「天領イッキ」の最初の作品であり、本作はメダロットシリーズの入門用として十分お勧めできる。
ただ、序盤の難易度が高く、完全に知識ゼロの状態だと出鼻を挫かれる可能性も高いため、説明書をよく読むなりなりネットで調べるなりで予習してから始める事を推奨する。
原作ファンも当時の戦略やカスタマイズは一旦忘れ、本作のイッキのように初心者に還ったつもりでメダロットの世界に踏み出して欲しい。


余談

  • 2年後に発売された『真型メダロット』は、本作のシステムをベースにして作られている。
  • コミックボンボン専売バージョンには、取扱説明書にメダロットの漫画家もとい原案者であるほるまりん氏からのメッセージが書かれていた。
    • さらにエンディングの内容が異なり、スタッフロールの中に本ソフトを注文したメダロッター達の名前が掲載されている。*11
  • シナリオの大筋は原作と変わっていない為、シナリオ上で主人公のイッキが女装変装させられるシーンもほぼそのまま。しかも本作では変装に応じて会話時の立ち絵まで変化する。
    • 唯一、クリア後に手に入る変装アイテムのうち「バニーガールの服」が「ウェイトレスの服」に変更された。流石にバニーガールの服のままでは倫理的な面で色々と問題があったのだろう。
      • とはいえ入手イベントの流れ(大人のお店に入り、そこにいるお姉さんに着替えさせてもらう内容)自体はそのままであるし、ウェイトレスの服もこれはこれで問題があるような気はしないでもないのだが。
  • グラフィックの強化により、乗り物アイテムの詳細な使用方法が明らかになっている。
    • 「ミニハンドル」は漫画版『1』ではローラースケートを履いた人間を引っ張っており、『メダロットR』では自動車に変形していたが、本作ではバイクに変形している。
    • 「かぜのつばさ」はなんとレディジェット*12イッキをぶら下げたまま飛んでいる。なんと危険な…。
    • 「せんぼうきょう」は水中メダロットのグラフィックの流用で、『メダロットR』と似たようなものである。尚、漫画版『1』では生身の人間を引っ張って水中を進む(もちろん使用者は溺れる)という安全性の「あ」の字も無い仕様だった。
  • 『2』は『1』の7年後という設定なのだが、本作の説明書に掲載されている年表では明らかにそれ以上経過している。
    • 年表では『1』の事件が2010年。イッキ誕生が2013年となっており、後の出来事も鑑みるに12~13年は経っているものと思われる。
      • 『2』発売頃は『1』から7年なのか12年なのかはっきりしない時期*13があり、その辺りの混乱を引き摺っていたのかもしれない。
      • 『2』発表前からボンボンで連載されていた『メダロッターりんたろう!』は『1』の12年後と思しき設定で描かれていたが、後に『2』が発売されてからはそちらと同時期という事になっている。この辺りも混乱の元だったのだろうか。
    • しかし作中の表現は変わっていないので本作におけるヒカル達の様子も7年後相応のままであり*14、クライマックスにおける「7年前」の台詞も変更は無い。結果として説明書だけがおかしな事に。
  • 発売当時は既にメダロットの人気が下火になっていたせいか出荷本数が少なく、GBAソフト中でも上位のプレミアが一時期付いていたが、下記の移植版が出たこともあってか相場は落ち着いてきている。
    • Wii UのVCで配信されている。
      • 一般的なVCの例に漏れず通信機能は非対応だが、通信機能限定のメダルやパーツはクリア後に全て入手可能になっている。
    • 2020年11月12日にNintendo Switchで発売された『メダロット クラシックス プラス』にも本作が収録されている。
      • こちらは他の収録タイトルと同様に倍速、ロボトルスキップ、いつでも保存が可能になっており格段にプレイが楽になっている。
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最終更新:2023年04月02日 17:30

*1 アニメはキャラの性格や設定がかなりオリジナル色の濃いものとなっていた。

*2 「上右左下で項目選択→Aボタンで確定、セレクトでパーツ・メダフォース選択画面切替、スタートでメダロット確認画面&オート設定」

*3 クリアするとパスワード1回入力用アイテム→戦闘1回回避アイテムに変更、ちなみに1プレイ100円。

*4 旧メダロット公式HPのwebショップにて販売されていたサウンドトラックにアレンジ収録された曲もある。現在では入手困難。

*5 序盤は格闘機体の天敵である重力使いが多い

*6 格闘使用後の硬直で防御ができず、レベルが低いため回避も出来ない。頭に集中攻撃を食らい頭部を破壊されれば勿論、両腕(装甲が20と薄い)を破壊されても攻撃手段がなくなり負ける

*7 攻撃後の硬直がなく、また両腕を破壊されても使用可能な攻撃手段となるため

*8 光学、装備パーツ、クリティカルゲーであることなど。

*9 因みに『5』ではこれらの装備パーツは殆どが10~20の低装甲

*10 援護・構え・トラップの影響を無視して攻撃できる

*11 掲載者数が多いため、ボンボン専売バージョンのスタッフロールはAボタンで早送りが可能。一般販売版では注文者表記と早送り機能が省略されている。

*12 原作『2』でかぜのつばさとして機能するのは後継機のレディブースターだが、本作ではアニメを踏襲したのか『1』の機体であるこちらに変更されている。

*13 漫画版『2』でも、雑誌掲載時には12年が経過している事を示す台詞が幾つかあったが、単行本では7年に修正されていた。

*14 12~13年も経っていてはヒカルもキララも成人して大学生か社会人であって然るべきだが、ヒカルが留年しそうになってキララに相棒を取り上げられるシーンはそのまま。