タッチ!カービィ
【たっち かーびぃ】
ジャンル
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ペンアクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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任天堂
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開発元
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ハル研究所
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発売日
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2005年3月24日
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定価
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4,571円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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レーティング
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CERO:全年齢(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2016年2月3日/950円(税8%込)
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備考
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タッチペン「カービィピンク」同梱
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判定
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良作
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ポイント
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DS初のカービィ作品 タッチペンで線を引きカービィを転がす異色作 出来は良好だが完全クリアの難易度高し
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星のカービィシリーズ
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概要
ニンテンドーDS初期に土俵入りを果たしたカービィ作品。
まだDSが人々にとって「異質なもの」として捉えられていた時代の作品なだけあってか、本作もまた異質な作風ではあるが、ゲーム性は非常に良い。
仮タイトルでは副題に「魔法の絵筆」とあったが、子供っぽいゲームという先入観が作られる恐れがあるとして最終的に取っ払われた。
スタッフいわく「OLなどの大人層に買ってもらいたい」とのことらしい。
特徴
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ある日プププランドに謎の魔女が現れ、あらゆるものを絵に変えてしまった。カービィは果敢に戦いを挑むも返り討ちにされ、魔法によって手足の無いボールの体にされてしまう。しかし魔女の落とした絵筆がカービィを導いていく…というストーリー。
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ちなみにこのストーリーデモ、最後の文章が「あなたの手元へ…」とある。つまりこのゲームにおいて、魔法の絵筆を使うのはプレイヤー自身なのである。
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そんな経緯もあってか、従来のアクション系カービィとは操作方法が大きく異なっている。
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主人公のカービィは前述したようにボール姿に変えられてしまい、いつものように十字キーで動いたりボタン操作で吸い込むといった事が出来ない。
プレイヤーはタッチペンでカービィを突いて「タッチダッシュ」させるか、画面上に「虹のライン」を引いてカービィを移動させることでゴールを目指す。
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虹のラインは無制限に引ける訳ではなく、上画面に表示されるインクの残量が尽きると線が途切れてしまう。ラインを引かなければ自然回復するが、カービィが宙にいる間は回復速度が遅く、逆に地面に接している間だと早く回復する。
ゲーム内容
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ステージクリア形式の「メインゲーム」(本編)のほか、「レインボートライアル」2種類(最速タイムを競う「タイムトライアル」と、如何にインクを節約できるかを競う「ライントライアル」)、サブゲーム「ブロックアタック」「トロッコチェイス」「ペイントパニック」3本などのやり込み要素的なモードも用意されている。
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また、本編には各ステージに3枚ずつ「メダル」が隠されている。手に入れるには少々頭を使ったり、的確なタッチペン捌きが必要な場合もある。
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メダルを集めれば「メダルチェンジャー」に指定数を投入することで「虹の種類を変える」「カービィの体力アップ」といった「ごほうび」を得ることができる。
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隠し要素として、カービィ以外の「キャラクターボール」も登場する。
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カービィを含めた全5体のキャラクターボールの詳細
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カービィボール:主人公で、全ボールの中で最初に冒険することになる。最初の体力4だが、メダルチェンジャーで「ライフアップ」を入手すれば最大で7まで上昇する。
敵を倒すと能力をコピーできる「コピー能力」を有する。それ以外の操作性では平均的。
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ワドルディボール:カービィボールの次に使用できるようになる。体力は4。体が軽いのか、よく弾みよく浮かぶ。
当然カービィと異なり能力のコピーはできない。攻撃力が全キャラクターボールで一番低い。他に特徴はないため玄人向け。
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デデデボール:体力は7。他のボールよりサイズも異様に大きく、透明パイプを通ると変形する。元々のデデデ大王が1頭身でないためか、顔だけがボールになってしまっている。
ワドルディとは対照的に重量級で、水に沈む(ただし他のボールと同様にシャボン玉やファンで浮かび上がることは可能)。体力が最も多いためミスになりにくい。 タッチし続けている間はハンマーを口で振り回し、このハンマーは硬いブロックを破壊できる。攻撃力が全キャラクターボールで一番高い。ゴールゲームは一番苦手。 ちなみに、星のカービィ64の特定の状況を除けば、ボールの姿ではあるがデデデ大王を本編かつ単独で操作できるのは今回が初めてとなる。
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メタナイトボール:タッチダッシュで青いイナズマを発し、全キャラ中トップクラスの速さを誇る。しかし例の如く体力が低く、体力は3と全ボール最低。敵はソード攻撃で倒す。
その高速ダッシュでタイムトライアルで右に出るボールはなく、ゴールゲームでも上手く行けば文字通り記録の壁に衝突することも可能。デデデボール程ではないが攻撃力も高い。
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ワドルドゥボール:体力は5。最初からビーム能力を持っているため、体当たり以外の攻撃手段には困らない。また、このビームはカービィのコピー能力のビームよりも攻撃範囲が広い。
タッチダッシュでの移動距離は短めだが、このビーム能力による攻撃範囲の広さが魅力で、ビームはあらゆる地形を貫通するため、ボールが侵入できない場所でこのビームが思わぬ方向で役立ったりすることもある。 ちなみにポーズをかけた時の説明文には「ドゥ隊長」と記述されているが、これはアニメ版での意外な人気ぶりを受けてのものと思われる。
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ちなみに、キャラクターボールが変われば当然ダメージを受けた時(通常ダメージから炎電気氷の属性によるダメージも含める)やミスした時のリアクションが変わる他、ステージにある1UPやエンディングもキャラクターボールによって変わる。
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ステージ上には敵だけでなく「カラクリ」と呼ばれるギミックが随所に仕掛けられている。
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カービィの移動を手助けするものから進行を妨害するものまで実に様々で、前述のメダルもカラクリを利用しなければ手に入らないものがある。
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また、今回は『星のカービィ3』以来と言われるほど、メダルコンプリート難易度が高い。
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本編は序盤のうちこそ比較的マイルドな方だが、先へ進むにつれて徐々に難易度が上昇。
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特に後半から終盤にかけてのとある3ステージは多くのプレイヤーを苦しめ、そしてかつてのトラウマを想起させた。
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詳細
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5-2「ダンジョンドーム」。2枚目のメダルはホイール能力が必須で、しかも手に入れるには誘爆を発生させるスイッチを押さなければならず、その後は道中で少しでも遅れるとブロックに阻まれ、入手不可能となってしまう。
このような競争系シチュエーションは『夢の泉の物語』が初出であり、後続では『参上!ドロッチェ団』にも登場している。
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ただし、デデデボールなら一連の動作を無視してハンマー一振りで入手できる。意図して組み込まれたかは不明だが、ホイール操作が苦手なプレイヤーへの救済措置となっている。
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7-2「マッドメカニズム」。まさかの序盤からプレス。
正確には床全体が上下を繰り返す仕様なのだが、その後もノイズエリア地帯(虹のラインが全く描けなくなるエリア)、レーザー&電撃地獄、逃げ回るゴールゲートと厄介極まりないギミックの連続。 BGMが『星のカービィ64』屈指のトラウマステージ、5-4のアレンジという時点で確信犯としか言いようが無い(トラウマ的な意味で)。 このステージはプレス地帯を抜けてからのノイズ地帯に、僅かな隙間にラインを上手い事引いて連続ダッシュをしなければ取れないうえに、失敗すると戻れないためステージに入り直してまたそこまでやり直さなければならないとても取得難易度の高いメダルがあり、プレス地帯やレーザー&電撃地帯を抜ける事よりもこのメダルを取る方がよっぽど辛いと感じるプレイヤーも多い。
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7-3「スペクタクルスペース」。既に序盤でどこもかしこも棘だらけだと言うのに、終盤では恐怖の強制スクロールが待ち受けている。
狭い地形なのにスクロールの速度が速いため、僅かなミスがそのままスクロールに置いて行かれてミスに直結しやすい。
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タイムトライアル及びライントライアルはゴール時のタイムまたは残りインク量によってメダルの数が変わる(1~3枚)。
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ミニゲームもレベル3に限り、スコア獲得による評価がA以上だとメダル1枚だけが手に入る。が、これらが多くのプレイヤーの前に壁として立ちはだかる事態に。
難易度に反してメダル1枚が割にあっておらず、9割9分メダルコンプリートとクリア100%のためだけと言える。
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「ブロックアタック」は実質的にエンドレス形式で、前述したようにAランク以上のスコアを獲得していれば途中でミスしても問題ない。しかし、先へ進むほど獲得タイムもラケットバーも短くなり、ボディブローのようにジワジワと効いてくる。
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「トロッコチェイス」はデデデ大王の追い上げ速度が前レベルの比で無く、敵の密度もそれまでに比べると圧倒的に濃い。周回数もレベル3に限り3周と相当長く、ゴールするまで気が抜けない。
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だが、それらを軽く凌駕する難易度を誇るのが「ペイントパニック」である。
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詳細
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お題の数はレベル1で10問、レベル2で15問。レベル3では20問なのかと思いきや、倍の30問やキリのいい50問を大きく突破して驚異の99問。
シビアな判定、書き順の複雑なお題、徐々に削られていく集中力も相まって、ここでメダルコンプリートを挫折したと言う声も少なくない。
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このように本作はシリーズ内でも高い難易度を誇っている。完全制覇を目指すならどっしり腰を据えるべし。
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ネタバレ
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最後の敵「ドロシア」は冒頭で述べたように魔女、つまりカービィシリーズ初の女性ラスボスである。彼女のテーマ曲ともども人気は結構高い。
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今まではカラクリやザコの寄せ集めが中ボス、レベルクリアごとに挟まれるサブゲームが実質的なボス戦なのに対し、ドロシアとの戦いは何といつもと同じガチバトル。
第1形態「ドロシア ソーサレス」は特定の攻撃を跳ね返さないと一切ダメージを与えられず、初見時どうしたら良いのか分からないままなぶり殺しにされたプレイヤー多数。 戦い方が分かった頃には既に残機をいくつか減らされていた経験もあるのではないだろうか。
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第2形態「ドロシア ソウル」はソーサレスから一転、絵の具を掻き混ぜたような毒々しい球状の体に変貌。
登場時の演出、狂った笑い声や化け物のような咆哮と、明らかにちびっ子を泣かせかねない要素が満載である事から『星のカービィ3』のゼロと並ぶトラウマボスの一体として挙げられる事が多い。
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なお、このラスボス戦を担当した熊崎信也氏は後にディレクターに昇格。それが関連するかは定かでないが、「ソウル」と名の付くボスが以降の作品における最後の隠し要素として定着し、攻撃パターンも継承されている。
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そんな彼女の正体には、他のラスボスと違う哀しさがあった。
ドロシアの正体は名も無き一枚の絵画。長い年月を経て意思を持つようになり、全てを絵画に変えてしまおうと暴走を始める。
任天堂の公式攻略本では、その理由について「現実世界の存在を妬んでいる」と書かれているが、これが公式設定なのかは不明。
プププランドを襲った際にカービィをボールに変えるという制圧力を見せるも、カービィが絵画の世界にやってきたことと不覚にも魔法の絵筆を落とした事が運の尽きで、~カービィ(とプレイヤー)を敵に回すことになってしまい、最後は自分の生まれた絵画に回帰、光に包まれて消滅した。
ちなみに誕生の経緯が詳細になっているのはドロシアだけだった。
マルクソウルもマホロアソウルなども一言で言えば「なれの果て」なので…
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評価点
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「タッチペンでラインを引きカービィを転がす」というゲーム内容。
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少々変わったものではあるが、DSならではのものであるといえるうえに、出来自体も良質。もちろん、初回プレイ時に、お手本を見たり実際に操作して練習する事が可能な「トレーニング」がプレイ可能と初心者にもしっかり配慮されている。
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この「トレーニング」は初回プレイ時以外でも、オプションから選べば好きな時にいつでもプレイ可能。
他のプレイヤーがちょっとやってみたいと思ったときや、しばらくプレイをしていなくて久しぶりにやろうと思った際にも安心仕様。
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クリアしていないレベル内でも、3つのステージを自由に選択してプレイ可能。
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また、たとえクリアしていないステージでも、ポーズ画面から「やめる」を選べばいつでもステージ選択画面に戻れる。
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さらに、カービィ以外のボールでプレイする際には、レベル1から7までの21ステージを好きな順番でプレイする事が可能。レベル8だけは他のレベルをクリアしないとプレイできず、最後で固定。
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上画面にカービィ(他のキャラのボール)の体力やインクゲージ、今いるステージのMAP等が常に表示されるため、下画面が体力等の表示で隠れるという事が無く見やすくなっている。
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普段見ている下画面からは体力ゲージが離れているが、ダメージを受けるとキャラクターボールの上に一時的に体力が表示され、体力が1になると従来のゲーム通り特別な効果音が流れる。
そのため『下画面に集中していて体力のことを忘れていた』という事態が極力起こらないようになっている。
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また、上画面でMAP等を確認しながら下画面でプレイを進めるといった事が可能。
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やり込み要素の充実。
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メインゲームのステージ数はそこまで多くなく、一部は「タイムトライアル」や「ライントライアル」に流用されているが、操作の違うボールを使う事で同じメインゲームでも別のプレイ感覚が味わえたり、「タイムトライアル」と「ライントライアル」は「メインゲーム」のステージを流用しているものの、同じステージの流用でも使う場所がそれぞれ違うため、こちらも違ったプレイ感覚で楽しめる等、やり込み要素として上手い事落とし込まれている。
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美麗なグラフィック。
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「絵画の世界」というテーマに沿ってグラフィック強化に徹底しており、地形・背景はステージごとに決まった画風で描かれている。バリエーションは油絵、水彩画、ポップアートなど多彩で豊富。
画家としての実績のあるスタッフによって手がけられたこれらの背景はとても美しい。
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惜しむらくは、実際にプレイする際には、自動で転がっていってしまうカービィの制御や迫りくる敵の対処、ステージの仕掛けの処理等に追われて、余程このゲームに慣れた人でないと背景をゆっくり見ている余裕が無いという事か。
もっともこの惜しむ点は当然ながら背景が良いことによる相対的なものである。他人のプレイ動画等で初めて背景の事に気付いたという人も少なくない。
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だが、今回最も目を見張るのはBGMであろう。
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ラスボス周り以外の大半は過去作の曲であり、使用ステージに合わせてサイケチックなアレンジが成されている。フロートアイランズやデデデ大王のテーマ等は下手したらサビ流れるまでそうだと気づかないかも知れない。
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更に注目すべきがラスボスの戦闘曲。第1形態は何と1ループ目からチャーチオルガン全開。第2形態はサイケトランスチックの狂った曲調という、今までのシリーズでは滅多に見られなかった異彩ぶりを放っている。それ故に人気も高い。
賛否両論点
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タッチペンがメインの本作の操作感覚。
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当然ながら従来のカービィシリーズのものとアクションの感覚が異なるため、操作に戸惑うプレイヤーも少なくない。
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ただし慣れてしまえば済むうえに、ゲーム内のオプションでできる「トレーニング」で何度も練習が可能だったりするため、そこまで問題ではない。
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BGMは新曲もあるうえに過去作からのものも上質なアレンジになっており、過去作ファンでも新規プレイヤーでも楽しめるとはいえ、結局のところほとんど過去作の曲の流用ばかりであるといえるため、目新しさにはやや欠ける。
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ただし、質の悪い新曲を多く入れるよりは既存の曲を多く入れた方がましだとする人や、特に気にならないと言う人もいるため、これに関してはプレイヤーの好みに左右される問題であると言える。
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また、単にファンサービスとしてあえて過去作品の曲のアレンジ版を多く入れたという可能性も考えられる。
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背景が被っているステージが多い。
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メインゲームのステージが少な目(問題点参照)にもかかわらず、同じ背景が出てくる。
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ただし、レベル7-3とレベル8の2つ以外は、同じ背景のステージがきっちり2つずつあるため、これに関しては意図的に揃えた可能性が高い。
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また、「タイムトライアル」と「ライントライアル」にメインゲームのステージの一部が流用されているため、人によっては余計背景が被っていると感じやすい。
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もっとも、これに関しても特に気にならないという人もいるため、プレイヤーの好みに左右される問題であるとも言える。
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ラスボス以外のメインゲームのボス戦が、全てサブゲームでの対戦になっている。
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メインゲームをカービィで一度クリアするまでは、カービィ以外のボールを使ってプレイする事ができない。
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ワドルドゥボールの入手条件。2通りの方法があるが、比較的簡単な方はDS本体のダブルスロット機能の活用が前提で環境を選ぶ。
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具体的には「GBAスロットに『夢の泉DX』or『鏡の大迷宮』を挿した状態でワドルディボール入手後のデータを選ぶ」。該当ソフトが手元に無かったり、DSorDSLite本体が無くてダブルスロット機能が使えない場合はこの方法は使えない。
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もう1つの方法は「ワドルドゥボール以外の4キャラのボールそれぞれでメインゲームをクリア(4周必要)」。環境を選ばないが前者より厳しめ。
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メダルチェンジャーの仕様に関する点
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投入メダル数と同じ回数だけタッチする必要があり、一気に投入したいなら少々面倒。
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「ワドルディボール入手後でないと、デデデボールが報酬のメダルチェンジャーにメダルを入れる事ができない」等、一部のメダルチェンジャーはある条件を満たしていないとメダルを入れる事がままならない。
人によっては「これではせっかくメダルを自由に入れられる意味があまりない」と感じる場合がある。
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250枚のメダルを全てコンプリートして、全てのメダルチェンジャーにメダルを入れても、何故かメダルが19枚余る。
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これに関しては、一部のメダルの入手が難しく、メダルコンプがなかなかできないという人でも、メダルチェンジャーの要素をより多く開放できるように、わざとメダルの枚数に余裕を持たせたという可能性が考えられる。
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ただ250枚のメダルをコンプリートすれば、メダルチェンジャーで特別な画面が見られる他、クリア100%に関わるため、使用できなくとも集めること自体には意味がある。
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上述のゲーム内容の項にもある通り、メダルコンプリートの難易度が高い。また難易度自体はともかく、一部のメダルの獲得方法が人によって意見が分かれやすい。
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一部のメダルの獲得にはカービィ以外の4キャラのボールで同じメインゲームのステージを全てクリアする必要がある。
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カービィとその他4名のボールは全て操作の感覚が微妙に異なるとはいえ、要は「同じ内容のメインゲームを最低でも5周クリアする必要がある」ため、人によっては途中でダレてきたり飽きてきてしまう可能性がある。
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また、メインゲームとルールが異なるとはいえ、「タイムトライアル」と「ライントライアル」のほとんどはメインゲームのステージの一部の流用であるため、人によってはより見飽きたと感じる可能性がある。
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一部のメダルの獲得には、「ペイントパニック」のようなメインゲームのアクションとはあまり関係無いサブゲームのクリアが必要。
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サブゲーム自体の難易度の高さも相まって、こちらも人によっては評価が分かれやすい点であるといえる。
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また、たとえ完全クリア(メダルコンプリート)を達成しても…
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ネタバレ
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なんと完全クリアの特典は「タイトルの背景が水色に変化する」のみと非常に味気ないもの。
ただし、逆に完全クリアしてもこの程度の特典しかないので、このゲームが苦手だという人はそこまでして無理にコンプを目指す必要がなく、ある意味精神衛生上優しい仕様であるともいえる。
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問題点
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DS初期のソフトにありがちな事であるが、操作がタッチペンに過剰に依存しており、ボタン操作はできない。
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ゲームの内容的にタッチペン操作がメインの方がいいだろうが、殆どが全てタッチだけ。
タイトル画面からセーブデータ選択に入る際の操作や、セーブデータを選ぶ際の操作、ゲームモードやオプションを選ぶ際の操作、「つづける」「やめる」といった選択をする操作までもタッチでしか操作できない為、人によっては煩わしく感じる場合がある。さすがにこれぐらいはボタンを使った操作と両方使えても良かったと思われるのだが…。
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結局このゲームでボタン操作なのは、ソフトリセット時、ゲーム中のポーズ時、全セーブデータを初期化する時ぐらい。
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あるテクニックについて
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「虹のラインで描いたループをカービィが通ると、タッチなしでダッシュする」(通称:ループダッシュ)という、ゲームの攻略に割と重要なテクニックが、このゲームの説明書P24の「テクニック紹介」や、ゲーム内でできる「トレーニング」の中では、なぜか一切説明されていない。
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一方で、任天堂公式のこのゲームの紹介ページの「基本の操作」にはしっかりと記載されている。
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ただ、ステージ内ではしばしば、円を描くようにポイントスター(アイテム)が配置されているなど、ループダッシュに気づくための配慮も一応ある。プレイヤーにループダッシュの存在を悟らせるためにわざと説明しなかったのではないかという意見もある。
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ステージ数がやや少ない。
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メインゲームのステージが全22ステージ(レベル1から7までの21ステージ+レベル8のラスボス戦1ステージ)とやや少な目。
さらに、「タイムトライアル」と「ライントライアル」も、メダルで解放できるスペシャルステージ以外は全て「メインゲーム」のステージの一部を流用したもののため、人によっては一層ステージ数が少ないと感じる場合がある。
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ただし、メダルコンプリートのためには、異なるキャラのボールでメインゲームを最低5周クリアする必要があり、これ以上メインゲームのステージが増えるとより辛くなるため、「これぐらいで十分」「やむを得ない」という意見もある。
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「サウンドテスト」に抜けがあり、聞けない曲が1曲存在する。
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サブゲームの1つである「ブロックアタック」。なお、同サブゲームのボスであるクラッコの曲は収録されている。
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オマケ要素である「なつかしの曲」に関する点
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メダルチェンジャー内の報酬「ステージウラ曲」を開放すると、オプション画面でゲームプレイ中のBGMを変えられるようになり、「なつかしの曲」でプレイできる。
しかし最後のごほうびであるためか、その解放する条件が「開放するのに必要なメダルが50枚」+「メダルの獲得総数が200枚以上でないとメダルを投入できない」と厳しめ。
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肝心の収録曲自体もGBAソフト『夢の泉DX』からの曲だけ。単独ではなく、他作品の曲も入っていればまだ納得がいったのだが…。
おまけに本作のゲーム内のBGMの多くに『夢の泉』からのアレンジ曲が使われているため、目新しさもない。容量ゆえといったところだろうか。
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さらに根本的なところを言えば、このゲームの発売当時(2005年3月24日)ではGBAソフト『夢の泉DX』(2002年10月25日発売)は2年半程しか経過しておらずまったく懐かしくない。
原作の方のFC版『夢の泉』なら十分懐かしいと言えるのだが…。といっても、ルームガーダーや中ボスタワーなど夢の泉DXで追加された曲も多いのである程度は仕方ないが…。
総評
DS初のカービィ作品にして、DSの仕様に合わせて変貌を遂げたシリーズの異端児。
時期的にDSというハード自体がまだ流行前だった上に、桜井氏のHAL研退社ショックから抜けきれていない頃だったこともあり、タッチペンで操作するゲームである点や、今までのカービィと比べて明らかな異質尽くめである点、特にBGMのアレンジについては批判を受ける事もある。
だが、ラインを引いてボールを転がすというアクションゲーム部分の出来は純粋に良く、そして面白い。
批判を受けやすいBGMについても、アレンジこそ独特だがクオリティは高く、合う人には評価は高い。
完全クリアの難易度は高いものの、タッチペン操作のゲームに抵抗がないのであれば是非ともプレイしていただきたい。
余談
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開発者はインタビューで「『キャッチ! タッチ! ヨッシー!』の二番煎じと思われそうで心配」と憂鬱気味に語っていたが、本数ではこちらが上回る。
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また、当然ながら、両方ともタイトルに「タッチ!」の文字があることと、タッチペンをメインに使うアクションゲームであるという共通点があるだけで、本作の内容もゲーム性自体も『キャッチ! タッチ! ヨッシー!』とは全くの別物である。
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ループダッシュ中にピクセル単位で完全に同一の位置に2本のラインが描かれるとカービィの位置判定が「不明」となる仕様がある。
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位置判定不明となったカービィは「直近より一つ前に描かれたライン」の先頭に再配置されるのだが、この時どういう訳か進行方向の反対に超高速で吹っ飛んでしまうのである。直近一つ前のラインを壁の中に描く事で、自由自在に壁抜けしてしまう事も可能。
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「ピクセル単位で同一の位置」という条件の都合上、TASでもなければまず使えないテクニックではあるが、実際に使いこなした際の速度とステージレイプっぷりは脅威の一言。当然だが、通常プレイに支障をきたすものではないのでご安心を。
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案の定、一部コミュニティでは「手足無い方が強くね?」「やはりボールのコピー能力が最強であったか」「ユーキャンタッチミー…」とネタにされてしまっている。
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「なつかしの曲」状態でも、メダルチェンジャーとチュートリアルの曲は変わらない。一方、タイムトライアルとライントライアルは通常BGMでも夢の泉DXの曲である。
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『USDX』以降、カービィシリーズのディレクターを務めている熊崎信也氏がデザイナーとして深く関わった作品である。
そのこともあってか今作のラスボスのある特徴を引き継いだボスがUSDX以降必ず登場するようになっており、本作はファンから熊崎カービィの元祖として扱われることもある(ただし今作ではあくまでデザイナーであり、ディレクターとして携わったのは上述の通り『USDX』以降)。熊崎氏は桜井氏退社後のカービィの流れを作り上げた第一人者として多くのファンから評価されている。
最終更新:2023年11月30日 20:59