あつめて!カービィ

【あつめて!かーびぃ】

ジャンル 群体アクション

対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所、エンジンズ
発売日 2011年8月4日
定価 3,619円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個
レーティング CERO:A(全年齢対象)
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2016年3月2日/950円(税8%込)
判定 良作
ポイント RTS風アクションの異色のカービィ
異色だが出来自体は良質
ファンサービスも豊富
星のカービィシリーズリンク


概要

カービィWii』の生存が確認され、ファンが沸き立つ中発売されたシリーズ19作目。

突如現れたドクロ団首領の「ネクロディアス」なる怪物に、10人に分割・弱体化させられたカービィを操り、クリアを目指すステージクリア型(アクション)準RTS。
前作にあたる『毛糸のカービィ』と同じく、従来とはシステムが大きく異なる。
実際にやってみると分かるが、「2Dのピクミン+いつものカービィ」と言う表現がしっくりくる。

国外版のタイトルは『Kirby Mass Attack』。いわゆる「数の暴力」である。


特徴

主なシステム

  • 先に述べたように10人のカービィを操作しゲームを進行させる。
    • なお、最初は1人しかおらず道中に設置されているフルーツ(種類によってポイント量が異なる)を集め、ゲージが溜まる毎に1人ずつ増えていく。当然、数が多い方が有利。
  • 操作はタッチペンによる位置指定、弾きと連打が主体となる。
    • 位置を指定してやるとカービィ達はそこを目指して移動する(素早く2度タッチすればダッシュ)。
    • カービィを弾くと勢いよく飛ぶ。標的が遠い場合などに用いる。
    • 連打は特定の物体に接触した場合などに用いることになる。
  • 戦闘は半自動で展開。
    • カービィは敵に接触すると取りついて殴り始める(ぽかすかバトル)。敵の体力が底をつけば勝利。ただし時間がかかりすぎると振り解かれて隙が生じるので注意が必要。場合によっては他の物体に衝突する等してダメージを受ける可能性も。
    • ちなみに、戦闘中に敵をタッチ連打してやることで援護ができる。
  • 体力について。
    • 正確に言えば体力と呼べるものはないが、一応ダメージの概念はある。
    • 1度ダメージを受けると青く変色し、2度目を受けると半透明の天使になり昇天してしまう。
      • 昇天中のカービィに他のカービィをぶつければ蘇生し、ロストを回避できる。
      • 障害物に挟まれたり、一部の攻撃を受けると青くならずに一発で天使になる場合もある。
    • なお、珍しく酸素の概念がある。水中に長居しすぎるとゲームオーバー。
  • ヒント役・救済措置の存在。
    • 後述のメダルを求めて『参上!ドロッチェ団』からドロッチェ団が再登場。彼らの飛行船へ赴くとメダル入手のヒントを聞くことができる。
    • ステージクリア時に人数が1人近くまで減っていると、特定のステージにメロンのアイコンが表示される。この時に挑戦するとコース内のフルーツが全てメロンに変化。本作ではマキシムトマトの次に取得ポイントの高いフルーツなので、適当に集めるだけでもどんどんカービィを増やせる。
    • また、特定のステージで全滅し続けると無敵キャンディのアイコンが表示され、コース内で取れば一定時間は無敵のまま突っ走れる。
      • 本作初登場のアイテム「ビッグキャンディ」とは厳密に異なる部分も大きい。いつもの無敵キャンディと違い、なんと無敵化だけでなくカービィが巨大化する。用はカービィ版巨大キノコでほぼ全ての敵を体当たりだけで蹴散らせるのだが、宝箱やカギといった重要なオブジェクトも容赦なくぶっ飛ばすので注意が必要。

ギミック

本作はステージ、敵ともに非常にギミックに富んでいる。以下にいくつか例を挙げる。

+ ギミックの一例
  • 高層ステージ
    • 頂上を目指す。非常に安定性が悪くカービィの重みで常にけたたましい音をたてながら左右に大きく揺れ続けるので、バランスを保ちながら進むことになる。
    • 当然のことながら偏りすぎると倒壊してゲームオーバーである。
  • 巨大な歯車
    • 巨大な歯車を転がしながら進むステージ。
    • 歯車は見た目通り非常に重さがあり、運ぶだけでも一苦労。最後まで転がすと…?
  • 乗り物ステージ
    • 気球やワープスター型のサーフボード、果ては戦車にまで乗ってゴールを目指す。
    • いずれも普段と操作が異なるうえ、大抵は2画面をフルに利用することが多い。
  • ギミックのある敵
    • ザコ・中ボスを問わず、一定の手順を踏まないと倒せないものやうまく弱点をつかないと倒せないものなど様々。またワドルディなど一部のものを除いて新キャラクターが非常に多い。
    • とりわけ中ボスとの戦いはどれも個性的で弱点も異なり、あまり似通ったり作業的になるようなことは少ない。
      • ちなみに今回の中ボスはそのステージ固有のキャラクターであることが殆ど。それゆえ従来のように使いまわして再登場するパターンは数える程しか存在しない。一部の中ボスに至っては専用曲まで用意されており、無駄に扱いが良い(ちなみに普段の中ボスBGMは『64』でもお馴染み「ルームガーダー」)。
    • また、本作の敵キャラには「カービィを丸呑みにする」攻撃パターンを持つ敵が結構多い。
      • 数多の敵を吸い込んで丸呑みにしてきたカービィが、逆にその恐怖を存分に味わう事になるという地味に恐ろしい構図となっている。

やりこみ要素

  • メダル
    • タッチカービィのように各ステージにメダルが配置されており、これがオマケ要素の解放に繋がっている。
    • ちなみにメダルは2種類ある。虹色に輝くメダルを全て集めると…。
  • スコア制
    • 新作では『コロコロカービィ』以来となる。
    • エリアを行って戻ったりすると敵が復活している等、スコア制のわりに少々緩いところがあるのはご愛嬌。とはいえ元々スコア重視のゲームというわけでもないので、あまり細かい事は気にしない方がいいだろう。
  • ランク
    • ゴール到達時のダメージ状態に応じてブロンズ・シルバー・ゴールドの順に3段階評価される(評価外あり)。
    • 最高評価のゴールドスターは「一度もダメージを受けない」ことが絶対条件。これを狙うとなると道中のいかなるミスも許されないため、難易度は格段に跳ね上がる。
  • チャレンジ
    • エアライドやスマブラXのチェッカーのようなもの。いわゆるトロフィーである。
    • たいていは普通にプレイしていればいくつか自然に埋まっていくが、達成条件が厳しいものもそこそこあり、挑戦し甲斐がある。

サブゲーム

定番のいわゆるミニゲームだが、今回は一味も二味も違った。

  • まず数が多い(従来は基本的に3本)。そして完成度も無駄に高く本編そっちのけで楽しめることも。以下、ミニゲームの一部を紹介する。
+ ミニゲームの一例
  • カービィのたいけつ! ピンボール
    • 文字通りのピンボール(どこか懐かしさを感じさせる)だが、愉快なギミックが豊富。ステージは1個のみで固定だが、ボスは4体もいる。
    • 本作のサブゲームでは珍しくボタン操作に対応しており、LRボタンだけでも操作可能。
    • 言うまでも無いが、かつてGBで発売された『カービィのピンボール』のセルフパロディである(ロゴに至ってはGBほぼまんま)。
      • ちなみにロロロ&ラララステージだけはエッガーランドのオマージュになっており、ご丁寧に同シリーズ出身のブロッキーもお邪魔キャラで登場している。
    • 有名なあの裏技まで再現されている。例のコマンドを入力すると下画面に現れるのはもちろん…?
  • 空中探検隊EOS
    • 縦スクロールシューティング。シリーズ伝統のシューティングが今回は本編ではなくオマケになった。
    • 自機であるカービィは自動で弾を撃ってくれる。したがってプレイヤーが重点に置くべきことは敵の攻撃を回避しつつ弾を当てること。
    • 救助したカービィはそのまま最初(自機)のカービィを追従するように動くため、それを考慮して動かす必要もところどころで出てくる。
    • 敵も味方も攻撃が激しく、後半はまるで弾幕ゲーのような有様に。弾の密度は現在でもカービィシリーズ屈指の濃さを誇る。
    • しっかりとした作りに加え、全6面というボリュームはオマケとは思えない。
  • カービィマスター
    • シリーズ初のRPG(?)。
    • 攻撃はゲージバーの動きを注視しつつ、色のついた目盛りで停止するようにタイミングよく画面タッチすることで行われる。
      • 逆に色のない所で止めてしまうと敵からの攻撃を喰らう。内容によってカービィを減らされる数にも違いがある。
    • スコア=経験値。レベルが上がればカービィが1人ずつ増え、攻撃力もアップ。早く倒せば倍率ボーナスでより多くの経験値を得られる。
    • 威力は目盛りの色が明るいほど弱・中・強とアップしていくが、章(ゲームレベル)を進めていくとその範囲は徐々に狭まっていく。
    • ちなみにこのサブゲーム独自の隠し要素が存在する。

評価点

  • とにかく数にモノを言わせた群体アクション。
    • タイトルにもあるように、カービィ達を沢山「あつめて」プレイすることに本作の面白さがある。
    • 立ち塞がる敵を大人数でタコ殴りにし、仕掛けも数の力で解決していくゲームシステムは実に単純明快で分かりやすい。操作がタッチペンオンリーなので複雑な操作を要求されることも少なく、とっつきやすさは良好。
    • 多人数も一方的に有利なことばかりではなく、人数が多ければそれだけ敵の攻撃に当たりやすくなるといった弱点も生まれていくため、決して数でゴリ押すだけのヌルゲーになることも無い。これに関しては後述の難点とも隣り合わせになっている。
  • MOTHER3』などでおなじみ、酒井省吾氏が中心となって作られたクオリティの高い楽曲。
    • 氏の特徴である音源バリエーションの豊富さは健在。ステージの雰囲気と調和した良い曲が多く、聴いているだけでも楽しめる。
    • 過去作やアニメに登場したBGMのアレンジも収録されておりファンには嬉しいところ。『カービィのエアライド』など原曲が豪華なものはDS故に劣化しているものもあるが、それでもDSのゲーム音楽として十分なクオリティを誇っている。
  • ドロッチェのキャラクターが濃い。
    • 役割上、今作で唯一台詞が存在する人物という事もあって、とにかく喋る。
    • 彼はメダルのヒントだけでなく、飛行船に入った時に何らかの会話をしてくれる。初めてクリアした一部のステージから直で帰ってきた時にも個別で台詞が用意されているなど、その雑談もレパートリーがやたらと豊富で力が入っている。ステージ・ザコに関する情報から日常的な雑学まで、あるいは彼(と部下)の人となりや意外な一面を聞くことができる。
      • 乾燥肌・プレイボーイ等をはじめとしたネタ発言、座右の銘…等など、面白い話から真面目な話までいろいろ揃っているので、単に聞くだけでも楽しい。
      • 既出の話題を出した時は「前にも話したような気が…」「なんだ、知っているのか?」等といった反応で教えてくれるなど、妙な所でプレイヤーに親切。
    • 台詞テキストの多さはヒント・雑談合わせてカービィシリーズでも随一の量を誇り、人物像の掘り下げにおいては他の追随を許さないものがある。
    • デビュー作ではシナリオに恵まれなかった為、ドロッチェの明確なキャラクターが掴みにくかった人もいたことだろう。彼がどんな人物か深く知りたい人は、是非とも本作をプレイしてみて頂きたい。
  • 遊び応えのあるサブゲーム群。
    • 従来と比較してもかなりの力の入りようで、サクッと簡単に始めて止められるものから、前述の『EOS』のようにミニゲームらしからぬ重厚なものまでバラエティー豊か。
    • 1本のソフトとしてボリュームアップしたものを発売してほしい、という声も上がるほど。
  • 後続のシリーズへの影響
    • これ以前のシリーズではコピー関係のステージ上の仕掛けはあったものの、それ以外は長らくギミックとしての要素は薄かった。しかし今作でコピーが無い仕様も合わさりステージ上のアイテム、ギミック、乗り物といった要素が増加、後の『Wii』『トリプルデラックス』『ロボボプラネット』などに引き継がれ発展していく形になった。
    • ちなみに「アイテムを持つことによる謎解き」「キャンディを取ると巨大化」「フルーツを集める」などマリオシリーズの影響が見られ、これもこれ以降のシリーズでもこの傾向が強くなっていく。

ファンサービス

本作を語る上でなんといっても外せないのは、随所に散りばめられた大量のファンサービスである。

これまでの『星のカービィ』にも懐かしのBGMをアレンジしたり等、一定のサービスは常に行われてきた。
だが今回はそれらの比ではない。前述のアレンジBGMに始まりHAL研の過去作ネタ、果てはサブゲームに登場する歴代作品からのゲストキャラクターなど、番外編の『カービィ』とは思えないほど異常に充実しているのだ。

以下、ネタバレにならない程度の紹介。

+ 詳細
  • ゲストキャラ
    • 彼らの出典作はナンバリングタイトル、番外、アニメ、果てはボツネタ(未発売となった『カービィGC』のPVに登場していたもの)など多岐にわたる。
    • ゲストの人選も張り切っており、豪華なものだと他作品のラスボス、マニアックなものではアニメ版のキャラクターと隙が無い。
      • 特に強烈なのがアニメ枠のとある人物。原作の時点で個性的すぎるキャラクターとエピソードから妙な人気を得ており、一ゲストにも関わらず作中曲をイメージした専用BGMまで作られている始末。そのキャラクターが一体誰なのか、是非とも本作をプレイして確かめて頂きたい。
  • HAL研ネタ
    • 本作の舞台「ポポポアイランズ」というネーミングは無印『星のカービィ』開発当時のタイトル、「ティンクル・ポポ」へのオマージュに近い(この時はまだ主人公の名前も「ポポポ」であった)。
    • 先述した『空中探検隊EOS』や『カービィマスター』など、サブゲームの一部はHAL研が昔作ったゲームのパロディである。前者は『宇宙警備隊SDF』、後者は『カードマスター リムサリアの封印』が元ネタ。また、『カービィマスター』での攻撃にポンコツタンクと同作1面ボスを呼び出すものと゛66匹"のゲイターを呼び出すものがある。
      • そして先ほど記述したゲストの中にもHAL研懐かしのネタが…
  • 何よりこれらのファンサービス要素、実は発売前に先行公開されたものを除くと殆ど告知されていなかった
    • そんな事もあり、各出典元のゲームやアニメに慣れ親しんだファンを驚かせるには十分すぎるサプライズとなった。

問題点

  • ステージ
    • 本作は最大5エリアとなっており、最終エリアのみ、ラスボス以外今まで戦ったボス達との再戦ステージで占められている構成となっているが、1ステージが長い。おそらくエリア数が少ない分、中身を長くしたものと思われる。
    • しかし1エリアにおけるステージ数は11~12とかなり多い。また1つのステージに複数の分岐ルートを組み込んでいる場合もあるため、体感的なステージ数は更に多く感じられる。
    • 難点とは少し違うが、エリア数が少ない影響か後半の2つのエリアでは南国と雪山、或いは墓地に火山(ついでに宇宙も)という全く異なるモチーフのステージ群を詰め込んでおり、シリーズでも類を見ないぐらいにエリア内の統一感が無い。
  • デモシーンについて
    • 今回はステージ中の要所要所でデモが入るのだが、基本的にスキップできない。
    • 反面、ストーリーデモはサクサク飛ばせる。

今作は都合上ほぼ繰り返しプレイ前提の作りとなっているので、上記2点は快適なプレイの妨げになりやすく、早い段階で気になり始める点になると思われる。

  • カービィの人数について
    • ステージの中には「カービィの人数が一定以下」でなければ取りにいけないメダルや達成できないチャレンジが一部存在する。
    • だが困った事に、カービィを増やすことが出来てもステージ突入前に連れて行く人数を調整することが出来ず、故意にミスしてわざとカービィを昇天させる以外に方法が無い(ある意味「黒い任天堂」といえる)。
    • ステージ以外で減らす手段が無いわけではないのだが、その場合強制的に残り人数が1人になってしまう。おまけに最終ボスを倒すとその方法も使えなくなるので、泣く泣く自らの手で間引きせざるを得なくなる。
  • 操作感覚
    • 当然ながら従来のカービィシリーズや同じタッチペンオンリーの『タッチ!カービィ』ともアクションの感覚が異なるため、操作に戸惑うプレイヤーも少なくない。
    • カービィが増えすぎて的になりやすかったり、反応が若干過敏だったりするのも原因。
    • 当然慣れれば各段にミスは減るが、暴発もあり得るので少し怖い。
  • 結局いつものカービィ
    • 群体アクションと銘打っているが、『レミングス』や『ピクミン』のような役割分担の概念は基本存在しない。
    • 少数が敵をひきつけている間に残りが敵に不意打ちをかけるとか、道が二手に分かれているから別行動するとか、この手のジャンル特有の兵隊を指揮する面白さがない。
    • 仕掛けの起動にせよ、敵への攻撃にせよ、10人一丸となって行うのが最も効率が良いため、10人に分けた特性を生かせているとは言えず、最初から従来どおりの『星のカービィ』として作っていれば良かったのでは? という疑念が最後までぬぐえない。
    • 折角の新ジャンルなのだから『タッチ!カービィ』などのようにもっと冒険しても良かったのではないだろうか。

総評

毛糸に続きカービィらしいシステムは無く、今までとは異なるジャンルに不安を覚える人も少なからずいた。
しかし、蓋を開ければギミック豊富なよく練られた構成と歯応えのある難易度、高い完成度とボリュームに加えファンを唸らせる数々のサービス要素が満載の、非常によく出来たファン納得の良作に仕上がっていた。
その出来栄えに反して3,800円と安価なのも評価を高める一因となった。


余談

  • 本作でHAL研と共に開発を行った「エンジンズ」はかつて『星のカービィ 鏡の大迷宮』や『星のカービィ 参上! ドロッチェ団』を手掛けていた「フラグシップ」の元スタッフが立ち上げた会社。
    • プロデューサーでエンジンズ設立者兼取締役の足立靖氏を始め、鏡の大迷宮、ドロッチェにも携わった多くの元フラグシップのスタッフが参加していることがスタッフクレジットより分かる。
    • この為か、本作におけるドロッチェ団のキャラや虹色のメダルは『ドロッチェ団』のリベンジを兼ねた物と言われているとか。