星のカービィ

【ほしのかーびぃ】

ジャンル アクション
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対応機種 ゲームボーイ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 HAL研究所
発売日 1992年4月27日
定価 2,800円
プレイ人数 1人
セーブデータ なし
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2011年6月7日/400円(税5%込)
書換 ニンテンドウパワー
2000年3月1日/800円/F×2・B×0
判定 良作
ポイント シリーズの原点にして桜井政博氏の処女作
カービィの定番「コピー能力」はまだ存在しない
星のカービィシリーズリンク


概要

初心者でも簡単に遊べるアクションゲームとして製作された一作。
製作者自ら「ピンクだま」と呼ぶシンプルなデザインのプレイヤーキャラ・カービィをはじめとしたファンシーな世界観が特徴。


ものがたり

それは、地球からずっとずっと遠く離れた小さな星の、そのまた小さな国のお話です。

その国のひとたちは、あきれかえるほどの平和な生活を楽しんでいました。
その国の名前は「プププランド」といいます。

しかし、長く続いたプププランドの平和も、おしまいの時がやってきました。
ある日の晩、丘のむこうの「デデデ山」から、くいしんぼうで有名な「デデデ大王」とその手下たちがやってきて、一晩でプププランドの食べ物という食べ物をドロボウしてしまったのです。
そしてそれどころか、その国に伝わる空飛ぶ秘宝「きらきらぼし」までも奪いさってしまったのです。

宝物を奪われたひとびとは悲しみましたが、それよりも、おなかがすくのはもっと困ります。
みんなどうしようかなとなやんでいる時、ひとりの若者がプププランドにやってきました。

その若者は旅の途中でした。
しかし、プププランドのひとびとが困っていることを聞くと、みんなの食べ物をぼくが取り戻し、みんなおなかいっぱいごはんを食べられるようにしてあげようと、ひとりでデデデ山へとむかっていきました。

はるかぜとともに現れたゆうかんな若者。
その名は「カービィ」。
プププランドのみんなのおなかを満たすため、それいけカービィ、がんばれカービィ!!

(バーチャルコンソール版の説明書より引用)

特徴

  • 主人公であるカービィの主要アクションは「吸い込み」と「ホバリング」の2つだけという実にシンプルな構成。「コピー能力」や「スライディング」などのアクションは続編で追加されたものである。
    • 吸い込みは近くの敵やブロックを吸い込み、それを星として吐き出すことで遠くの敵へ攻撃できる。画面端まで届く強力な飛び道具だが、口に含んだ状態ではホバリングができなくなるというリスクがある。
      • 2体以上の敵やブロックを同時に吸い込んでも、吐き出す星の性能は1体だけ吸い込んだ時と変わらない。続編では威力が強化され貫通性能を持つようになった。
    • ホバリングは上方向にボタンを押すだけで、何も吸い込んでいない状態ならいつでも無制限に使える飛行能力。また、ホバリングを解除したときは空気弾を発射して前方を攻撃するが、射程は短い。基本的にボスに空気弾は通用しないため、メインの攻撃手段は星の吐き出しとなる。
  • 残機×6ライフ制。残機が0でミスになればゲームオーバーだが、コンティニューは無制限に可能。
    • 基本的にダメージは1ライフずつ減るが、一部の敵の攻撃は2ライフ分減ることがある他、障害物であるゴルドー(棘が生えた敵)に至っては接触するだけで3ライフも失う。道中の穴に落ちてしまった場合やステージ5の各ボス扉前にいるゴルドーに接触した場合は残り体力にかかわらず即ミスとなる。
  • 道中にはアイテムが落ちており、それらを活用すれば有利に進める。以下はアイテムの詳細。
    + 以後も継続されているアイテム
    • 元気ドリンク
      • 入手すると2ライフ回復。本作では頻繁に配置されている。
    • マキシムトマト
      • カービィの大好物。体力が6個分全回復する。
    • 無敵キャンディー
      • 一定時間、無敵になり体当たりで敵を倒せる。BGMも専用の物に変わる。
    • 1UP
      • 残機が1つ増える。隠し扉の先などに置かれていることが多い。
    + 本作のみのアイテム
  • カレー
    • 一定時間、中射程の炎を連続で吐けるようになるが、水中に入ると強制的に解除される。
    • 後のコピー能力のファイアの元祖といえる。
  • さつまいも
    • 一定時間、常に飛行状態になり、空気弾を連続で発射できるようになる。3面ボスのカブーラー戦ではこれを使った横シューティング風の戦いとなり、ボス撃破かミスするまで効果が永続する。
    • 後のシリーズにもシューティング面は存在する場合が多いが、作品のそれぞれでギミックが違う。
  • マイク
    • 入手すると一回だけ画面全体を攻撃することが可能。後のシリーズではコピー能力として実装され、使用回数も3回に増える。
  • 爆弾
    • 吸い込んで吐き出すと、敵を貫通しながら突き進む爆風が放てる。性能は後のシリーズの貫通弾に近い。
  • ステージは全5種類。各ステージの最後にはボスキャラが待ちかまえている。

評価点

  • グラフィック・BGM共に当時のGBとしては高レベル。モノクロながらポップな世界観を表現。
    • デモムービー
      • ゲームボーイ時代の作品ながら、ステージの開始時にはそのステージにちなんだムービーが流れる。海のステージでは「釣りをするカービィが、釣った魚を釣り針ごと吸い込んでしまう」といった具合にコミカルに構成されており、これから自分が挑戦するステージの予告となりつつも、カービィの愛らしさや世界観の演出に一役買っている。
      • ステージクリア後はカービィがファンファーレに合わせてダンスをする。各ステージごとに異なる動きを見せてくれ、こちらも非常にかわいいと好評。
    • ワープスター
      • ステージ内のエリア区切りとしてワープスターが配置されており、それに乗ると別のエリアに移動する。
      • この移動時の演出も凝っており、カービィ自身では破壊できない壁や床を壊して突き進んだり、画面外に消えたと思ったら背景の方にまで飛んでいっていたり、と縦横無尽。これまた表現力豊かに画面を彩っている。
  • 初心者にも遊べる優れたステージデザイン
    • 1面は「吸って吐いて」を繰り返すだけでも先に進める他、ホバリングで敵をあらかた無視して一気に進んでしまうことだってできる。
    • しかし2面以降は、吸い込めない敵やトリッキーな動きの敵、吸い込める間合いで攻撃してくる敵などが順を追って登場するようになる。また、上方向に進むなどホバリングを使う場面でも罠が数多く用意され、単純に「吸って吐いて飛んで」で終わらせない配置となっており、シンプルながら攻略性は高い。
    • ボス戦も吸い込みを使った攻略を要し、基本的に敵の攻撃で現れた星を吸い込んで攻撃することになる。この辺りは特にアクションゲームの攻略の鉄則である「回避→反撃」を忠実に体現した構成になっている。
  • 隠しモード
    • ゲームクリア後にはコマンドが表示され、タイトル画面で入力することで「エクストラゲーム」に切り替えることができる。隠された骨太の高難度モードであり、地形こそ変わらないが敵の動きがトリッキーになっており、吸い込みにもホバリングにも一苦労。一作目でありながらその難易度はシリーズ最高峰とも評される。
    • 特に、ラスボスである「デデデ大王」は、エクストラでは「ノーマルの2倍速」「事前動作無しのスライディングと吸い込み」「地上にいないと星を出さないハンマー」「異常に硬い」とかなりの強敵となる。
      • 後の作品はここまでの強化がされることはなく、「歴代最強デデデは初代エクストラのデデデ」という評価も多い。もっとも、他のデデデも後述する「初代縛り」だと本作に負けない程の難易度になるが。
    • エクストラゲームクリア後は異なるコマンドが表示される。タイトル画面で入力すると「コンフィグモード」というさらなる隠しモードが出現し、ライフや残り人数の変更の他、サウンドテストができる。
    • 以上のコマンドはゲームをクリアしていなくても入力可能。

賛否両論点

  • そこまで大きいボリュームではない。
    • 慣れた人であれば30分前後でクリア可能。RTA走者なら実時間で15分を優に切るほどである。アクションであること、携帯機であること、そして発売された時代を考慮してもボリューム不足感は否めない。
      • ただし、ステージセレクトやセーブ機能が無いため何度もプレイする事になる点を考えれば、一概に問題とも言えないだろう。
        この点も、高難度のエクストラモードにおいては1ステージ辺りの攻略時間も長くなるため、長すぎず短すぎずのボリュームに落ち着くだろう。
  • セーブ機能が搭載されていない
    • ボリュームが少なめとはいえ、「途中で電源を切ったらまた最初から」というのは面倒に感じる人もいるだろう。
    • 前述のとおり隠しモードのコマンドをクリアせずに使える点は幸いである。

問題点

  • カービィの動作に癖がある。
    • 吸い込み動作を中断する際の挙動が特に顕著で、1秒ほどのラグがある。
  • ボス戦に待ちが発生しやすくテンポが損なわれる
    • ボスが出してきた弾などを吸い込んで反撃する流れだが、中には吸い込めないものも出現する。何が出てくるかはランダムのため、抽選次第でダメージを与えられない時間が無駄に生じボス戦のテンポを損ないやすい。
  • 詰みの可能性がある。
    • エクストラモードのクラッコが体当たりで画面下にいる時に倒すと「きらきらぼし」が床の中に出現して取れなくなってしまう。
      • これはクラッコのみ倒した位置に「きらきらぼし」が出現する仕様が原因。何故他のボスのように画面中央に出現するようにしなかったのか。

総評

今では主流となったコピー能力こそないが、吸い込みとホバリングにフィーチャーしたゲームデザインは手堅く完成度も高い。
ポップなデザインと初心者にも遊べるゲームバランスは、手軽に遊べるゲームボーイというハードも相まって多くのファンを獲得し、現在まで続くシリーズの始まりを飾った。


その後の展開

  • 翌年には続編『夢の泉の物語』が発売され、以降はゲーム以外の様々な媒体も含め数多くの商品展開がなされる人気シリーズへと成長した。
    • プププランドは度々襲撃されているため、本作の「あきれかえるほどの平和」はネタにされやすい。
    • コロコロコミックで連載されていた『も~れつプププアワー!』に限りこの表現は使われていない。それでも「も~れつに平和」なので、たいして変わらないが。

余談

  • 元々は主人公の名前を「ポポポ」として『ティンクル・ポポ』という作品名で開発されていたが、宮本茂の提案により星のカービィとなった。
    • そのタイトル名をもじり、当初のスタッフはカービィを「チンクル」と呼んでいたらしい。後にゼルダの伝説シリーズに出てくる同名のキャラとは関係ない。
    • 「カービィ」の名前の由来はアメリカの掃除機メーカー「Kirby」から、もしくは当時の任天堂の顧問弁護士であった「ジョン・カービィ」から等の諸説がある*1が、桜井氏や名付け親である宮本氏も覚えていない模様。
      • ちなみに「プププランド」「デデデ大王」「キャッスルロロロ」などの同じ音が三音続く固有名詞は、「ポポポ」時代の名残である。
  • 現在では海外版でも日本版と同じピンク色に変更されているが、この当時の海外版(『Kirby's Dream Land』)のパッケージではカービィが白かった。これは当時海外のスタッフがゲームボーイのモノクロ画面を見てカービィの色は白だと勘違いしたためである。 ちなみに、次作「夢の泉」海外版のパッケージからはしっかりピンク色。
    + 海外版イラスト
  • 続編である『夢の泉の物語』において、ファンサービスとして本作のステージ1から4までの構成(敵キャラ、地形)を再現したステージが存在する。
    • ステージ構成だけではなく、BGMはグリーングリーンズのものが流れ、さらに画面の色もカービィ以外はモノクロになるという嬉しいサプライズも。
  • 3面のボスであるカブーラー(飛行船に砲台が付いた敵)は、後のシリーズ作品への登場機会がほとんどなく、ネタにされがち。
    • 前述した『スーパーデラックス』の「はるかぜとともに」において本作のボス勢で唯一ハブられたのを皮切りに、全くと言っていいほど再出演の機会がなかったが、『ウルトラスーパーデラックス』でようやく復活を果たした。
  • CMは「子供がカービィの絵描き歌を歌いながら描いていく」という単純明快なもの。当時、この絵描き歌でカービィを描いたりした子供も多かったはず。
    • 現在ではほとんど呼ばれないが、初期の作品のCMにおいてカービィは度々「やんちゃ坊主」と呼ばれていた。
    • この絵描き歌は『夢の泉の物語』のタイトルデモで再現された。
  • 発売から25周年を迎えた2017年に、本作の制作秘話がファミ通に掲載された。
    • 512キロビット(=64キロバイト)という少ない容量*2に抑えるため、同じドット絵を左右反転してキャラクターを作るなどの工夫をしていたことなどが語られている。
      • 実際、ウィスピーウッズはよく見ると背景の木に全く同じ黒塗りの楕円形が3つ配置されただけというすさまじくシンプルなデザインである。
    • さらに、当初(仕様書の段階)は単なる体力制ではなく「ダメージを受けるとふっとばされ、画面外に飛び出るとミス」「ライフが少ないほど大きくふっとばされる」…という、後の「スマブラ」を先取りしたかのようなシステムが搭載される予定だったようだ。
  • 続編でも本作にあったアクションしかしない縛りプレイが「初代縛り」と呼ばれている。
    • 具体的には「コピー能力」「走行」「ガード」「緊急回避」「スライディング」を一切しないというもの。
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最終更新:2023年12月24日 00:52

*1 『小学三年生』など一部の雑誌では「実在の人物からとった」と記載されており、その場合は後者の説が有力となる

*2 これは開発中の制限で、最終的には2メガビット(≒250キロバイト)のROMで発売されたという。