コロコロカービィ
【ころころかーびぃ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイカラー(専用)
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発売元
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任天堂
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開発元
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任天堂(開発第二部)
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発売日
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2000年8月23日
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定価
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4,500円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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備考
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カートリッジに動きセンサー内蔵
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判定
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良作
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ポイント
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世界初「動きセンサーカートリッジ」搭載ソフト カービィとしては異色だが出来自体は良好 GBCでは珍しくキャラボイスがある
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星のカービィシリーズ
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概要
星のカービィシリーズの番外作品。
『カービィボウル』以来またしてもプププランドの星を奪ったデデデ大王を成敗すべく、カービィが冒険に旅立つ。
ゲームボーイカラー唯一のカービィにして、ゲーム機自体の動きをリアルにゲーム内へ反映させる2軸加速度センサを「動きセンサーカートリッジ」と銘打って世界で初めて搭載した貴重なソフトでもある。
特徴
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前述のように本作は、動きセンサーカートリッジの性能をふんだんに生かした直感的な操作が最大の特徴である。
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ゲームボーイを傾けるとその向きへカービィが転がり、GBC本体を跳ね上げるとカービィも飛び上がる。また傾ける角度が大きいほど早く転がるが、必要以上に傾けなくてもOK。
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跳ね上げはこのゲームで特に重要なアクション。穴を飛び越えたり、アイテム以外でザコキャラを倒したり、アイテムを変化させる時など、用途は幅広い。
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一方のボタン操作は(ステージ中では)基本的にAボタンしか使わないが、状況によってはBボタンも使う。十字ボタンは画面をずらして遠くを見たい時に使うといった程度。
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加速度センサは、後のWii以降の据え置き機やニンテンドー3DSにも採用されている。これら機種の加速度センサは3軸で、またジャイロセンサーも追加され(WiiについてはWiiモーションプラスでの追加)、より多くの種類の動きが取れるようになっているが、その先駆けとなるのが本作である。
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1レベル4コースから成る全8レベルの面クリア形式で、『スーパーデラックス』内の「メタナイトの逆襲」以来のタイム制。
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各コースは前半・後半の2エリアに分かれており、中間ゲートをくぐると後半のタイムが現在のタイムに追加される。
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さらに初挑戦のレベルに限り、ゴール時に残っているタイムを次のステージへ引き継ぎ加算することが可能。余裕をもってプレイしやすい。
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各レベルの4コース目では最後にボスが待ち受け、これを倒すとそのレベルはクリアとなる。
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従来のアクション系カービィとは異なるゲーム性ゆえに、本家では無かったギミックや仕様、従来と異なる点が多い。
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コース上の敵は普通にぶつかるとダメージを受けるが、前述の跳ね上げアクションで退治可能。
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ただしこれが効かない敵もおり、その場合は基本的に無敵状態の体当たりのみ有効。
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カービィの動きに直接影響を与えるギミックが多数あり、これを活かすことが攻略のキモとなる。以下に例を挙げる。
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ギミックの一例
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バンパー: スマブラやピンボールに登場するバンパーと似たようなトラップで、触れると弾き飛ばされる。円形のものから棒状、巨大な円形とバリエーション豊か。色によって吹っ飛び具合は異なるが、狭い足場などでは基本的に邪魔者。
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ジャンプ穴: カービィが穴に入るとスッポリ収まり、Aボタンで矢印の方向に飛ばす。中には自分で傾けて方向を決めたり、矢印がグルグル回転するものまである。
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ダッシュ床: 乗ると矢印の方向へ強制的に高速移動する。本作では、その多くが出戻りさせるためのトラップとして配置されている。
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今回は無敵キャンディーを取らなくても、上述のバンパー・ジャンプ穴を使って一時的に無敵化する方法がある。
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やり方は至って単純で、バンパーに連続で跳ね返されたりジャンプ穴をひたすら跳び継いでいけばカービィが光りだして無敵になる。
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前述の跳ね上げを用いると、コース内の「星のかけらパネル」と「タイムパネル」を入れ替えることが出来る。
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前者は100個集めると残り人数が1UPし、後者はパネル1枚につきタイムが3秒加算される。残機を取るか、タイムにゆとりを持たせるかはプレイヤーの考え次第。
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カービィ自身が動けない状況でも傾きセンサーは反応してくれるので、ゲームボーイを跳ね上げさえすればいつでも入れ替えが可能。
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コースによってはウィスピーウッズがどこかに隠れている。
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今回は戦いにならず、接触すると今より先のレベルへ飛ぶかどうかを選択できる(マリオで言うワープ土管の要領)。
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やりこみ要素は本作でも健在。
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各コースには必ず「レッドスター」と呼ばれるオブジェクトが隠されており、達成率を100%まで極めるには絶対欠かせない。場所によっては初見で気付かないようなものも多々。
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一方、同じ要領で「ブルースター」を入手すると、ゴール後に5つのサブゲームの中から1つ選んでクリアすれば残機アップを狙える。
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サブゲームはいずれも傾きセンサーの特徴を活かした楽しい内容である。条件を満たせばブルースターを取らなくてもプレイ可能。
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ちなみにレッドスターを全て集めた状態で本編をクリアすると、初代にも存在したいわゆる「裏面」であるエクストラモードが解禁される。上級者向けに再調整された難コースの数々がプレイヤーを待ち受けている。
評価点
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十字ボタンにとらわれない斬新な操作方法。
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これまでの一般的なアクションゲームでは、ダッシュ移動ひとつとっても「方向キー2度押しor同時に別のボタンを押しながら…」と、作品によって具体的なコマンド入力が異なる場合が多く、ゲーム初心者にとってはいちいち覚えづらい。
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しかし、本作は単純にゲームボーイ本体を傾ける深さでスピードを調節する、跳ね上げてジャンプする等といった直接的な操作が中心となる。ボタン操作を使う大多数の普通のゲームと比べると異色であり、慣れないうちはとっつきにくさを感じたりして戸惑いがちであるが、複雑さをあまり感じることなく遊ぶ事が可能。
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良く練られたステージデザイン。
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コースごとに敵の配置やギミック・地形は大きく異なり、同じ系統のコースであっても決してマンネリを感じさせない。
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ただ転がすだけではクリアできない巧妙な設計が成されているがゆえに、挑み甲斐がある。
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歯ごたえのあるエクストラモード。
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そもそも普段のカービィと明らかに操作体系が異なるのも一因だが、それを差し引いても本作がシリーズ中でも上位に食い込む高難度を誇る理由は前述のエクストラモードにある。
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平均的にかなり短い残りタイム、敵・ギミックの追加や配置変更がかなりいやらしく、度のコースも攻略は一筋縄ではいかないだろう。
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例えば最初のステージは開始直後のタイムがいきなり50秒。スタートした初っ端から「いそいで!」の警告と共にアラームが鳴り響きBGMがスピードアップするので否応無しにヒヤヒヤさせられる。残りタイムが30秒を切ると画面中央でカウントダウンが開始するのもプレイヤーの焦りを一層掻き立てる。
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バンパーは特に変貌が激しく、荒れ狂うように振動していたり表面では動かなかったものが移動タイプになっていたりと、道中がひたすら悩ましい。
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ボス戦も例外ではなく、よりカービィが不利になるようなフィールドに設計されている。
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そんな有様ゆえに、前述のタイムパネルを集めるか否かで難しさが段違いに変化する。
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裏面にもレッドスターは当然のごとく配置されている為、完全クリアは更に困難を極める。
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サブゲームもより難しく調整され、簡単には残機アップもハイスコア更新も達成できない。
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64が出た後だったため僅かながらだがキャラボイスが存在する。GBCソフトのボイス再生は非常に貴重である。
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BGMとの同時再生までは実現できなかったのか、ボイスが流れるとBGMが一時的に止まってしまうのが少々残念。
問題点
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本作の大きな特徴である独特な操作方法。
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ボタン操作を使う大多数の普通のゲームと異なり、「ゲーム機そのものを動かす」という独特な操作方法が求められるため、慣れないうちはとっつきにくさを感じる可能性が高い。
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また、その操作方法故に公衆の面前でプレイするのは人によって抵抗感があるかも知れない。勿論、自宅などで遊ぶ分には何ら問題無い。
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定番アクションのオミット。
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シリーズの顔とも言えるコピー能力が存在しない。しかし有ったら有ったで操作が複雑になる可能性があるので、今回ばかりは仕方ないという声も。
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今回のカービィは転がっての移動がメインであり、いつものようにホバリングして落下死を防ぐことができない。ちょっとでも足場を踏み外せば即ミスである。
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一応、特定のアイテムを取ることで初代のやきいもの要領で15秒間浮遊&空気弾の発射が可能になるという要素はある。
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他にもカービィお得意の吸い込みは、とあるギミックの演出として見られるのみ。
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ボスの種類が少ない。
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今までの中ボスに該当するポジションのキャラがおらず、基本的にボスは各レベルの最終ステージのみに登場。
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本作オリジナルキャラの一つ目ボール「メガイター」、シリーズおなじみの「クラッコ」、そして黒幕「デデデ大王」の3種類と非常に少ない。
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特にメガイターはあらゆるレベルの最後で色違いとしてもしょっちゅう見かけるので、やや食傷気味になりがち。
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ただし、この敵は色ごとにダメージを受けた後の反撃内容が異なる。緑タイプは直線的に跳ね返りながら突進、茶色タイプは大ジャンプで踏み潰すと同時に足場を脆くする攻撃を使用、青タイプは更にスピードアップした突進を使用、最強の個体である黒タイプは青の特徴に加えまばたきで攻撃をガードする、といった違いがある。加えて、ボス戦の舞台となる専用フィールドにもそれぞれギミックが仕込まれており、マンネリ化を防ぐ工夫はある程度なされている。
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一度エクストラモードに入ると最初の状態へリセットされ、そのデータでは2度と通常ステージに入れない。
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このため、通常ステージでも遊びたいという人は気をつける必要がある。
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サウンドテストの収録数が中途半端。
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特に完成度の高いエンディングのメドレーが収録されてないのは残念。
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前述した通りキャラボイスが流れるとBGMが一時停止する。
総評
「傾けて動かす」という、至ってシンプルかつ異端なゲーム性で知られる本作だが、アクションゲームとしての出来も秀逸であり十分に楽しめる。
動きセンサーカートリッジの秘めたる可能性を知らしめ、後発ハードのジャイロセンサーのはしりにもなったと考えると、残していった功績は決して無視されるべきではないだろう。
余談
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『スーパーデラックス』以降でサビなしバージョンの「デデデ大王のテーマ」が使われた数少ない作品。
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『スーパーデラックス』でサビありバージョンが最初に使用されたが、その後の作品でサビなしバージョンを使っているのは本作と『すいこみ大作戦』の2作のみである。
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続編としてゲームキューブ用に「コロコロカービィ2」が開発されていた。
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ゲームキューブ(GC)とゲームボーイアドバンス(GBA)を連動するという内容で、試遊台が設置されるほど開発が進められていたが、結局お蔵入りとなってしまった。
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ゲームボーイカラーのソフトとしては珍しく、バックアップ用メモリに電源を必要としないEEPROM(容量256バイト)を採用している。セーブに少々時間を要するが、目を楽しませる「セーブちゅう」画面が用意されているのはさすがカービィといったところ。
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『星のカービィ ディスカバリー』のサブゲーム「コロコロ! タマコロカービィ」が本作によく似ており、引き合いに出されやすい。ちなみに、こっちもこっちで鬼のように難しいと評判である。
動きセンサー関連
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動きセンサーカートリッジ(とEEPROM)はゲームボーイカラーでは本作の他には『コマンドマスター』のみで使用されている。後にGBA専用ソフトの『ヨッシーの万有引力』などにも組み込まれた。また、『まわるメイドインワリオ』ではジャイロセンサーを搭載している。
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また、後に任天堂が発売した携帯ハードであるニンテンドー3DSでは、今作やこれらタイトル群で用いられた動きセンサー(加速度センサー)に加えてジャイロセンサーが標準で搭載されている。
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加速度センサーは(重力加速度の変化としての)「傾き」や、「真っ直ぐ引く・押す」といった直線的にかかる負荷を感知できるが「捻る・回す」といった回転する方向の負荷を感知できず、そういった回転を感知できるのがジャイロセンサーである。これ以降の家庭用ゲームハードには加速度+ジャイロセンサーの搭載が増えてきている。
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世界初の動きセンサー(加速度センサー)搭載型ゲームという事で、なんと東京都江東区の日本科学未来館に本作のカートリッジが展示されていた。
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動きセンサーを使った操作の都合上仕方ないかもしれないが、長らくバーチャルコンソール等の他機種への移植がされていない作品であった。
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ニンテンドー3DSには上述の通りジャイロセンサーが標準登載されているので、それを応用する形でVC配信を期待されていたが、実現はしなかった。
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だが、「Nintendo Direct 2023.2.9」において発表された『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』の今後移植予定のタイトルの一つとして本作が紹介され、2023年6月6日に実施されたアップデートにて追加された。実に23年越しのまさかの復活となる。動きセンサー搭載ソフトがオンライン配信されるのは史上初である。
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もちろんコントローラーにもジャイロ機能は搭載されているので、下記のプレイでは困難だったテレビ画面でプレイすることも可能。巻き戻し機能も搭載されているので、操作に不慣れな方も安心。
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また『ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online』も同時発表されたので、この影響により仕様の都合上、今まで配信がありえなかった動きセンサー搭載ソフトの移植配信の可能性もあり得るかもしれない。
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冗談で、真の意味でのゲームボーイカラー専用ソフトと言われることがある。
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センサーの関係上、GBCや初代GBAでは遊ぶことが可能だが、GBASPやゲームボーイプレーヤーで遊ぶことは非常に困難であるため。
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もっとも、赤外線必須の『ちっちゃいエイリアン』と比べれば初代GBAで遊べる時点で専用とは言い難い。あくまで冗談と受け取っておこう。
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GBASPは傾ける方向が逆になるだけだが、ゲームボーイプレイヤーはゲームキューブ本体を抱えてプレイすることになるので、体力的にも難易度が高い。
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だからこそ、あえてゲームボーイプレーヤーでプレイする変態もいたりするわけだが……。参考動画
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ゲーム映像を配信する場合や記録映像が必要なRTAでは、プレイ画面のキャプチャの都合上ゲームボーイプレイヤーの使用、つまりゲームキューブを抱えてプレイすることを事実上強制される(ゲーム機を傾ける都合上直撮りは難しい)。RTA in JAPAN 2019や名古屋RTAオンラインフェスで「GCを抱えてのプレイ風景」の配信がYouTubeのアーカイブで残っているので、異様な風景を見たいのであればぜひ。
最終更新:2023年06月30日 16:48