メタルギアソリッド HD エディション

【めたるぎあそりっど えいちでぃー えでぃしょん】

ジャンル タクティカル・エスピオナージ・アクション


対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
プレイステーション・ヴィータ
開発元 コナミデジタルエンタテインメント(小島プロダクション)
Bluepoint Games
Armature Studio(PSV)
発売元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 【PS3/360】2011年11月23日
【PSV】2012年6月28日
定価 【PS3/360】5,480円
【PSV】4,980円
廉価版 【PS3/360】
パッケージ版:3,990円
ダウンロード版:3,490円
ダウンロード単品版:各1,940円
【PSV】
パッケージ版・ダウンロード版:3,540円
ダウンロード単品版:各1,980円
※ダウンロードコードは同梱されていません
レーティング CERO:D(17才以上対象)
コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力、犯罪
備考 全機種ダウンロード版は2021年11月7日より販売停止
判定 良作
メタルギアシリーズ


概要

PS2用ソフト『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ(MGS2)』と『メタルギアソリッド3 スネークイーター(MGS3)』をHDリマスターした移植版。
基本的には両作とも完全版(サブスタンス・サブシスタンス)と同等の内容になっているが、一部の仕様が異なる。
また『MGS3』がサブシスタンス版準拠であることから、付随していたMSX2版『メタルギア(MG1)』『メタルギア2 ソリッドスネーク(MG2)』の復刻版も収録されている。
それぞれの作品内容については個別の記事を参照のこと。

グラフィックとサウンドがHD化(720p・60fps・5.1ch対応)。HD化にあたっては、HDリマスターに定評のあるBluepointGamesが担当。
なお、PSVの解像度は960×544と720pを下回っているため、厳密にはHDではなくQuarterHDである。
とは言え画面サイズがTVと比べると小さいこともあってか肉眼ではPS3/360版と同等に美しく見える。有機ELディスプレイを採用しているPCH1000シリーズであればさらに美しく見える。
PS3/360/PSVでのマルチプラットフォームで、PS3版とPSV版はパワーアップしたトランスファリング機能を実装。
クラウド・Wi-Fi経由によりPWのように毎回データの移動を行わずにデータの共有やトロフィーの連動が可能。
特典としてダウンロードコードが付属し、PS3版はゲームアーカイブス版『MGS』が、360版はメタルギアRAYとシャゴホッドのアバターアイテムが、PSV版には早期予約特典としてオリジナルデザインの保護フィルムが付属している。


評価点・特徴

共通(評価点)

  • グラフィックに関してはオリジナルのPS2版も同ハードの中では高水準の出来だったため、リマスターにありがちな引き伸ばしはそれほど感じられない。
    • デモシーンは全てリアルタイムレンダリングであり、プレイ部分とムービー部分の極端な画質差もない。また、据置機版のみ迫力のフルスクリーンとドラマチックなレターボックスの2パターンから好みのものが選べる。
    • 画面は全体的に明るく、見やすく調整されている。ワイド画面で、より臨場感溢れるプレイが可能になった。
    • フォントや装備品アイコンなどのUIもHD化に合わせて調整されている。
  • 360版での操作の変更に伴い操作説明での一部音声の新録。
  • トロフィー・実績機能に対応し、やり込み要素が増えている。
  • PSV版では感圧装置を使った操作は主に方向キーや背面パネルに変更されている。オリジナル版を経験していると背伸び・左右ステップなどの一部のアクションに慣れが必要。
    • 方向キー下で銃の構え・下ろしができるようになったため、主に『MGS2』のアサルトライフルでのホールドアップ時の誤発砲を防ぐのに役立つ。
    • 『MGS3』のストーキング移動はLボタンを押しながら左スティックになったため、走りとストーキングをスムーズに切り替えることができる。
    • PSVのスリープ機能は、デモシーン・無線を一時停止したい時や食糧を腐らせずに中断できるなど便利。
    • 容量の制約がPS3/360より厳しいのにも拘らず『MGS2』『MGS3』共に操作性以外の内容を変えず1枚のゲームカードに全て収録されているのもポイント。その影響で音質が落ちているが聴くに耐えうるレベルには収まっている。*1

MGS2(評価点)

  • フレームレートについてはPS2版が元々60fpsだったため、他のHDエディションのように目に見えて分かる恩恵は少ない。ただし、処理落ちは改善されており、浸水エリア、ハリアー戦やメタルギアRAY戦などで特に効果が期待できる。
    • 後述の『MGS3』とは違い、こちらはPSV版も60fpsで動作する。
  • サウンドは全編5.1ch対応となっているが、元が一部デモシーンのみの対応だったことやカメラ視点が固定であるため、3ほどのサラウンド感はない。
    • サブスタンスの追加要素を含め、全編が日本語音声となっている。完全版をプレイしたいが、やはりスネークは大塚氏でなくては…というプレイヤーには嬉しい点。
      • ただし、元は英語音声のサブスタンスであるため、口パクが合わないという問題もある。
    • 普通にプレイしていると気付きにくいが、新録されたボイスがある。無印版では「ジアゼパム」だったアイテムが「ペンタゼミン」に変更されたため該当無線でのボイス変更、『SNAKE TALES』では「お前がジェニファーだな?」という台詞が追加されているなど。
  • 同時収録の『MGS3』に比べると、こちらはほとんどの追加要素が収録されている。

MGS3(評価点)

  • 全編がドルビープロロジックIIに対応していたこともあり、サウンド面はPS3の他作品と比較しても遜色ないものとなっている。
  • フレームレートは60fpsに向上。グレネードの使用や、雨・霧のマップで発生していた処理落ちが改善されている。
    • PSV版では30fpsとなっているが、PS2版に比べるとフレームレートは安定しており、処理落ちも改善されている。
  • ダウンロード迷彩は2周目以降、カモフラージュ選択画面で左右ボタンを押すと選択可能に*2。ディスクに内蔵されているため、読み込みも高速化された。
  • トロフィー・実績は『MGS2』と比べて一部を除けば初心者でも獲得しやすいものが多い。

問題点

共通(問題点)

操作性

  • 360コントローラーは感圧装置がないため、一部PS2版と同等の操作ができないアクションが存在する。
    • 武器の使用はLスティックの押し込みで銃を構え、Xボタンで発砲という『MGS4』のような仕様になっている。
      • ただし、感圧操作がとっつきにくいユーザーからは360版の操作を善しとする声もある。
      • ハンドガンなどは「Xボタンで構えて離すと発砲」という従来の操作と、新しい「左スティックを押し込んで構え、Xボタンで発砲」操作形態がある。アサルトライフルなどで前者の操作をしようものならXボタンを押しただけで即座に発砲してしまう。
    • PS3版では特に変更はないが、先に発売された『MGS:PW』が3つの操作方法に対応していただけにこの点は少々残念か。

システム関連

  • 読み応えのあった説明書はかなり簡素なものになっている。
    • 詳細なオリジナル版のマニュアルはゲーム内に用意されているが、プレイ中に読むことができない。
      • さらに一部の説明が誤植されていたり、もとからあったミスがそのまま残っていたり*3と手抜き感が否めない。
    • PS3はゲームの電子説明書に対応しており、その形ならプレイ中に読むことができる。なぜ独自仕様にしたのか疑問である。
    • PSV版はプレイ中に中断して電子解説書を読むことができる。
  • 細かな点だが、字幕のフォントが一般的なゴシック体に変更されている。
    • 経験者が見るとすぐに分かるだろうが、MGS1の時からずっと続いている、ゴシックに近いながらも味のある字幕ではなくなったことに違和感を感じたり残念に思うユーザーもいる。
  • ソフトリセットの反応が悪い。
    • リセットコマンドを数秒間行わないとリセットされず、ロードし直す際のテンポが悪い。
  • PS2版ではリセット後にKONAMIといった社名のロゴなどを飛ばしてタイトル画面に移れたのだが、本作ではロゴを飛ばせなくなっている。
    • 加えて、リマスター担当のBluePointGamesのもの(PSV版ではさらに移植担当のarmatureのもの)が追加されているため、操作可能になるまで待たされる時間が遥かに長くなっている。
  • ゲーム内容とは直接関係ないが、HD解像度ではないPSV版も「HD」と銘打って発売されたことに苦言を呈する意見も一部で聞かれた*4

MGS2(問題点)

  • PS2版と比べ、無線の読み込み時間がやや長い。
    • PSV版では無線のロード時間は改善されているが、逆にエリア切り替えのロードが他機種版と比べやや長め。
  • 一部オブジェクトが正しく表示されていない(ムービー中のM9のレーザーポインター、拷問器など)。
  • 360版でのスプレーが右スティックを上に倒す*5に変更されているが、無線での説明が「Xボタンを押し込む」と明らかに間違っている。
  • トロフィー/実績のコンプリートがあまりに難しい。
    • 中でも「プラント編のドッグタグを90%集めろ*6」「VRミッションを全てクリアしろ」というものがあまりに鬼畜。
      • ドッグタグは各難易度で独立しているので、前者のトロフィー/実績を取得したいなら各難易度*7を最低1回ずつ、合計5回は本編をプレイする必要がある。おまけに最高難度のEXTREMEが無茶苦茶難しい*8
      • 後者はさらに難しい。数百ものミッションを全てクリアしないといけない上に、一部のミッションが常人には詰みかねない程の凄まじい難易度。これだけで50時間は軽く掛かる。
      • ちなみに、『MGS3』のトロフィー/実績は、手間こそ掛かるものの、その気になれば難易度関係なく最低2回*9のプレイでコンプリート可能。HD版『MGS:PW』もコンプリートにはそれなりに時間がかかるが、さすがにここまでではない。
      • あくまでやり込み要素の一環であり、必ずしもコンプリートしなければならないものではないが、もう少し何とかならなかったのだろうか。
  • 難易度選択時の「EUROPEAN EXTREME」の説明に誤りがある。
    • 『MGS3』の説明をそのまま記載してしまったのか、「発見即ゲームオーバー」と表記されている。実際にはサブスタンス版と同様、発見されただけではゲームオーバーにならない*10
  • SKATEBOARDINGが未収録。元が別のゲームなので、収録出来なかったのだろう。
  • エイムズ接触後に指向性マイクを操作するムービーがあるが、360版でその時の字幕が何故かトイレで独り言を言っているジョニーのものになっている。
    • また、該当シーンではオルガが来るまで音声が正常に再生されておらず、ジョニーのいる方にマイクを向けると多重音声になってしまう。
    • 該当シーンでは本来はソリダスやオセロットがしゃべっている内容が字幕としてあり、隠し要素のジョニーの独り言は字幕がない。
  • 難易度HARD以上でプラント編のとある場所に髭剃りがありそれを持っているとプリスキンに髭剃りを渡すことになり後に髭を剃ってくれるという小ネタがあるが、360版で髭を剃ってくれないバグがある。

MGS3(問題点)

  • ゲーム仕様そのものはサブシスタンス準拠であるが、ゲームタイトルのベースは廉価版のそれであるため、本編以外の収録内容は過去の廉価版と同等。つまり、BOSS DUEL・猿蛇合戦・シークレットシアターは未収録。
    • またガイ・サベージと一連の無線イベントもHDエディションで削除された。
    • 猿蛇合戦のクリア特典(バナナ迷彩・猿マスク*11)は消滅。BOSS DUELの特典はゲーム開始時に「『MGS3』が好きだ」を選ぶと初期装備に加わり、選ばなかった場合も本編をクリアすると2周目以降で初期装備となる。
    • 『MG』『MG2』に関しても、動作クロックが低い点やテキストのフォントが変更されている点はそのまま。
      • 単なるHD化とはいえ、2作とも既にWiiバーチャルコンソールでの配信が行われていたため、そちらを準拠とした移植でも良かったのではないだろうか。
      • テキストもオプションで切替ができるようにするなど改良の余地はあったはず。そちらはともかくとしてもゲーム自体のカクつきはかなり気になる。
    • シークレットシアターに関しては、現在ではサブシスタンス新規収録のものも含め(非公式で)ネット上にアップロードされているため、視聴自体は容易である。ゲーム内で視聴することにこだわるなら別だが。
  • スモークグレネードを使った際の処理落ちは改善されているが、煙幕のエフェクトがオリジナル版よりも薄くなっており、有効範囲がやや分かりにくくなっている。
  • 360版独自の操作性として、拘束中の首切りの操作は「拘束中に左スティックの2回押しこみ」となっているが、尋問も「拘束中に左スティック押し込み」であるため連続で尋問を行おうとするとすぐに首切りを暴発してしまう。
    • そもそも拘束からの首切りは「拘束中にYボタン」でも可能であるため、左スティックに操作を割り振る意味は実は無い。そのくせマニュアルには拘束中にYで首切りが行えるという説明は一切ない*12
      • また武器の構えと尋問は同じ左スティック押し込みであるため、ハンドガン装備中に尋問を行うと操作が干渉してしまい、尋問をやめると銃を構えるというおかしな挙動を起こす。似た例では、武器を構えたままクイックチェンジによる着脱を行い、次にクイックチェンジで再装備をすると構えた状態で装備される。
      • なお、PS2版では尋問は「拘束中に左スティック押し込み」で、首切りは「拘束中に○ボタンを強く押し込む」と(慣れないと拘束から首切りが暴発することがあるものの)干渉しないものであった。
  • PSV版はハードの仕様上、持ち方が悪いと指が背面タッチパッドに触れやすいので、CQCの尋問や首切りが誤作動しやすい。
  • PS3/360版のオープニングムービーがオリジナル版と比べて音ズレしている。
    • オリジナル版は映像に合わせた音楽だったため気になるところ。
    • PSV版は改善されている。

アップデートで修正済みの問題点

  • 『MGS2』(PS3版)に大統領バグと呼ばれる不具合があった。
    • 大統領が死んだ後、スネークが2年前の話をする直前に100%必ずフリーズするというもの。タンカー編で撮った写真の内容や、PS3のインストールデータや型番が関係しているのではないかという憶測がなされていた。
    • 仮に発生した場合、最初からやり直す以外に対処法はない。今まで集めたドッグタグや解放した隠し要素も全てパーとなる。
      • 2012年2月10日に待望の修正パッチ(Ver1.01)が配布された。憶測通りタンカー編の写真が関係していたようで、PS2版ではタンカー・プラントを通しでプレイするとWebサイト画面に撮影した写真が掲載されるという演出があったが、パッチ適用後はプリセットされたメタルギアの写真が表示されるように変更された。
      • オンライン環境のある人はアップデートを推奨。ネット環境のない人は、ゲーム起動後にVRミッションや他のゲームモードに入らず、そのままタンカー編又はプラント編を新規スタートするという公式からのアナウンスがなされている。
  • 『MGS3』(PS3版)でもダウンロード迷彩を着たまま、ヴォルギン戦後のデモシーンに入るとフリーズするというバグ報告がされていたが、2012年4月に配信されたVer1.02のパッチで修正された。

総評

1枚のディスクに『MG』『MG2』『MGS2』『MGS3』の4作が収められ、PS3版は『MGS』の無料ダウンロードコードが付属しているため、5つもの作品が遊べるお得なパッケージとなっている。
追加要素こそないが、リマスター自体は丁寧であり、ゲーム進行に影響を与える重大なバグもアップデートによって修正されている。
難点もあるものの、シリーズをプレイしたことがないという人にはオススメ。
なお、HDといっても元はPS2のゲームなので、グラフィック面での過度な期待は禁物である。


余談

  • 後に360版はOneの後方互換に対応した。
  • 2021年11月7日以降、全機種ダウンロード版の販売が一時停止の状態にある。
    • 原因は資料映像の権利更新作業における遅延であるとのこと。
  • 2023年10月24日にSwitch/PS5/XSX/PS4/Winで発売された『メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.1』には本作と同じ内容がまるごと収録されている。
    • これにはPSハード版以外にも『MGS1』が収録されているのに加え、その『MGS1』も「日本版」「海外版」「インテグラル」の3パターンの豪華収録、バンドル購入特典としてFC版『MG』『Snake's Revenge』と映像特典で『バンドデシネ』2本が付属、合計で9作品も収録された本作以上にお買い得なパッケージとなっている。
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最終更新:2024年02月25日 15:00

*1 PS3版で約17GBの内容を4GBのゲームカードに収めている。なお360版も8.6GBのDVD-ROMに全データを収めている関係上PS3版より若干音質が落ちているが、PSV版程ではない。

*2 「YODOBASHI」等の一部タイアップ系カモフラージュは未収録。

*3 『MGS2』の難易度表記に本来ないVERY HARDの文字がある。

*4 一般的に「HD解像度」と呼ばれるのは720p以上で、いわゆるフルHDは1080p。PSVは544pで、定義上SD解像度だがHDの4分の1ということから「QHD (Quarter HD)」とも呼ばれる。

*5 これはPS3と異なりボタンに感圧操作がトリガー以外出来ないのでこの変更は妥当である。

*6 正確には「90%集めた状態でゲームクリアし、特典を得る」が条件。最後の一周もちゃんとエンディングまで到達する必要がある。

*7 ただし、海外版最高難易度の「EUROPEAN EXTREME」はドッグタグが手に入らないため対象外。

*8 敵兵とボスが強化されるだけでなく、凍結する爆弾の数や狙撃する目標が増える、制限時間が短くなるなど。

*9 一部トロフィーの取得条件が同時に満たせないため。片方を満たす前にセーブしておき、達成後にロードを行えば1回で達成可能。

*10 HQに連絡して警報を鳴らされる前にプレイヤーを見つけた敵兵を無力化できれば発見されたことにならない。発見されるとゲームオーバーになるよう設定もできるのだが、難易度設定とは別。

*11 猿マスクはデータ上では存在し、非公式な方法ではあるが装備することは可能。

*12 ただし、本編でCQCに関する無線では説明がなされている。