SPACE INVADERS INFINITY GENE
【すぺーすいんべーだーず いんふぃにてぃじーん】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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プレイステーション3(PlayStation Network) Xbox 360(Xbox LIVE ARCADE)
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メディア
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ダウンロード専売ソフト
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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タイトー
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発売日
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2010年9月15日
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価格
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【PS3】1,200円 【360】1,257円
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判定
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良作
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スペースインベーダーシリーズ
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概要
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『スペースインベーダー』を起点に「シューティングの進化」を描く縦スクロールシューティング。
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もともとはシリーズ30周年を記念した携帯電話専用ゲームであり、そこからスマートフォンアプリを経由した3度目の移植リリースとなる。
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今回の移植にあたって、新たに「3Dステージ」といった据え置き機ならではの要素が追加されている。
特徴・システム
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古典的な縦シューティング
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操作は移動とショットのみで、ボムに類するものは存在しない。
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ショットは十種類弱存在し、ゲームの進行具合によって随時追加されていく。
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ゲームが進むと、ステージ途中に登場するアイテムを獲得することでショットを強化できる。
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CHAIN BONUS
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敵弾や敵を連続で破壊するとスコアが0.1倍ずつ増していく。10CHAIN毎にスコアは2倍となる。
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NAGOYA ATTACK
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発射直後の敵弾をすり抜ける事ができるようになり、それによってボーナススコアも付く。
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いわずもがな、元祖『スペースインベーダー』の裏技「名古屋撃ち」のオマージュである。
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3種類のモード
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NORMAL:決まった配置のステージをプレイできる、本作のメインモード。
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CHALLENGE:始めるたびに変化するステージを全100面プレイできる。新規追加要素。
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MUSIC:ゲーム機に入っている音楽で自動生成されたステージをプレイできる。スマートフォン版より存在した要素。
評価点
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スタイリッシュなモノトーンデザイン
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外見の「ほぼ白と黒のみ」の配色など時代に逆行したデザインを、センスのあるものとして上手に昇華させている。
初出がスペックの大きく劣る初期携帯機アプリとしてのリリースであったということを含めても、決して色に頼らないデザインに徹したのは見事。
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小塩広和(COSIO)によるミニマルテクノサウンドの調和性も高い。長年に渡ってタイトーのシューティングを支えてきたZUNTATAサウンドは、姿を変えながらも健在であることを感じさせる。
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STGジャンルの進化の流れを追体験できるゲーム構成
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プレイの幅を広げる成長システム
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プレイのスコアがそのまま経験値として蓄積され、レベルが上がることで自機のシステムや、グラフィックやサウンドなどの鑑賞要素が解禁されていく。
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オープニングは元祖『スペースインベーダー』と同様、ショットは正面への単発・左右移動のみしか出来ない。
しかし成長システムによって「最初の自機もショットが連射式になる」→「CHAIN BONUS」→「UFO撃破でパワーアップアイテム出現」→「上下左右に移動可能」…というように出来ることが少しずつ増えていく。
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成長が実感できるステージ構成
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一方でステージを進む毎にそちらも進化していき、ボスステージを突破する毎に固定背景→縦スクロール背景→ステージごとの固有ボス登場→最終的に据え置き版新登場となるハーフトップビューの3Dステージ…という変化を見せる。
グラディウスシリーズのような高速ステージや、圧倒的な弾幕を放つ敵が出るステージ等も用意されている。
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本作自体はスピーディーな展開が目立ち、初見殺しが多めの傾向。撃たれた敵弾の回避よりも破壊や、撃たれる前に潰す事が効果的となる場合が多い。
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これらの各要素をSTGの元祖である『スペースインベーダー』から順序立てて解禁していくことで、プレイヤーはシューティングというジャンルの進化の流れを追体験できる。その過程は、実際にSTG史を歩んだ者ほどより強く実感できる事だろう。
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シューターをニヤリとさせる細かな要素
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パワーアップアイテムは『メタルブラック』のニューロンそのもの。
さすがに常時出現したりとかはしない。
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ボス・SQUID
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『レイクライシス』のボス「Sem-loke」と寸分違わない攻撃をしてくる。
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自機・OPTION
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グラディウスシリーズのそれと全く同様に、自機を追尾し自機と同時に攻撃を行う子機が付く。
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自機・LOCK-ON
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前方の敵をロックオンしそれをホーミングレーザーで撃破する。その弾道は超高速化されてはいるものの『レイ』シリーズ伝統のものである。ついでに自機の見た目も『レイフォース』のX-LAYに酷似している。
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もちろんこれらは一例に過ぎず、他にもダライアスシリーズ等、自社他社問わず様々なSTGの要素やオマージュが取り入れられている。
問題点
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武器の性能の偏り
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ショット「FIELD」「WAVE」の制圧力が余りにも強すぎる。
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「FIELD」は自機を中心とした円範囲内に自動でレーザーを放つ。火力が低いためボス戦には不向きだが、アイテムで強化されると道中の雑魚敵などは簡単に一掃できてしまうほどになる。
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「WAVE」は前方向に拡張していくウェーブレーザーを放つ。火力も少し強いため、同じく敵を倒しやすい。
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これらは敵を倒しやすいことから、スコアリングに大きな影響を及ぼす「CHAIN BONUS」との相性もかなり良く、事実スコアランキングではこの二つが突出している。
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ただしどちらも敵弾はほとんど破壊できないというデメリットを持つ。難易度HARDでは敵が撃ち返しをしてくるため、「FIELD」との相性はすこぶる悪い。
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敵弾やギミックの判別
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ほぼ白と黒のみの配色のため、一部でギミックと背景・接触判定の有無の判別や敵弾の認識がしづらい場面がある。
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ステージ0からの通しプレイの場合、クリアまでの所要時間は約1時間半程度とかなりの長丁場
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トロフィー/実績の中に「ノーマルモードをステージ0から開始して全ステージをノーコンティニューでクリアする」があり、初見殺しが多い構成の上に残機のエクステンドもないため、通しプレイでのノーコンティニュークリアはかなりの高難易度である。
幸い難易度と残機設定は制限がないので、拘りがなければ難易度を下げて、更に残機を増やした状態で挑む事が推奨される。
総評
「シンプルなモノトーングラフィック」など当時ハードの制約によりそうせざるをえなかった要素に、独自のアレンジを加えることでそのまま現代に蘇らせた造形が特徴。
STG単体としてみればありふれたものといえるかもしれないが、それを取り囲む洒落たグラフィックやレトロテクノ調のゲームに合ったサウンド…
といったハイセンスなデザインはいずれも他では見られない独創性を持っており、それらを総合的に見れば良作といって差し支えないだろう。
余談
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後にiOSやアーケードにリリースされたGROOVE COASTERは、本作据え置き機版のモチーフ(3Dステージ部分)や一部スタッフなどを引き継いだ実質的な後継作といえる存在である。
最終更新:2022年04月16日 02:58