ゴッド・オブ・ウォーIII

【ごっどおぶうぉーすりー】

ジャンル アクション

対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 SCE SantaMonica Studio
発売日 2010年3月25日
定価 通常版: 5,980円
3部作同封版: 9,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
廉価版 PlayStayion3 the Best
2011年4月21日/2,980円
判定 良作
ゴッド・オブ・ウォーシリーズ
SIEワールドワイド・スタジオ作品


強すぎる、という悲劇を闘え。



ストーリー

※前作『ゴッド・オブ・ウォーII』のラストからの続きとなっている。

私の復讐が今、終わる…

自分の運命を弄んだ戦神・アレスを倒して復讐を果たし、人間が神を打ち倒す偉業を成し遂げ新たな戦神となったクレイトス。
しかしその力と凶暴さを恐れた神々の王・ゼウスによってクレイトスは神として殺される。
だが大地神・タイタン族のガイアの力を借り復活、冒険の果てに運命の三女神をも打ち倒して、クレイトスは殺される運命から抗った。
そしてとうとうクレイトスは全てを終わらせる為にタイタン族を引き連れ、オリュンポスの神殿へと刃を向ける…。


概要

ハードの限界を超えたグラフィックと、ダイナミックな演出によって絶賛された『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズ。
既に前作の段階でアクションゲームとしては完成の域に達していたが、PS2からPS3にハードを移すことによってさらなる進化を遂げた。
開発は同じくSCEサンタモニカスタジオが担当。
全ての面でグレードアップした本作はPS3を代表する傑作アクションゲームである。


特徴・評価点

※基本システムは『ゴッド・オブ・ウォー (PS2)』を参照。

  • グラフィック
    • 単に凄いとしか言い様がないが、特に秀逸なのはアニメーション。ダイナミックに動くクレイトスやボスの迫力は普通のアクションゲームとレベルが違う。ゲーム中のグラフィックに関してはパッケージに写っているクレイトスがそのままゲーム中で動くといえばおわかりであろう。
    • アンチャーテッド2』や『キルゾーン2』等の強力なライバルがいるが、2010年のゲームとしては全ハードでトップクラスであるのは間違いない。
    • 本作では次世代のアンチエイリアス技術であるMLAA(モルフォロジカルアンチエイリアシング)を採用している。MLAAは非常に負担が高く制作初期段階では使い物にならなかったが、SCEヨーロッパチームがPS3に最適化した事によって実ゲームに耐えうる負担に収まった。その効果は高く、シャギーの全く無い美しい映像を実現している。
    • フレームレートも戦闘時は40~60までの可変だが、大量の敵が出現する場面でも明確に処理落ちと感じる頻度が少なくかなり健闘している。
  • 演出
    • 一言で言うならダイナミック。前作の時点で既に凄かったがハードが次世代機になった事によって、全長数百メートルのボスと戦う、大量の敵をなぎ倒す、ステージ自体が動くといった規模の大きい演出が増えた。
      • ステージだと思ったらボスキャラクターそのものだったというシーンも。
    • 戦う相手も神々の王ゼウスを最終目標に、海神ポセイドン・冥府の神ハデス・英雄ヘラクレス…とギリシャ神話の有名所ばかり。彼らならではの掛け合いも必見である。
      高名な神々の圧倒的な攻撃を、更に予想外な方法で迎え撃つ(CSアタック)クレイトスとの攻防戦は、まさしく「神々の戦い」である。
      --敵へのトドメである「CSアタック」は必見。手足をもぎ取ったり、目玉をくり貫いたり、内臓が飛び散ったり、生きたまま首を引き千切ったりと普通なら顔をしかめたくなる描写のオンパレードだが、このゲームでは思わず見入ってしまう程に美しい。
  • ゲーム性
    • シリーズの常として難易度は高いと言えるが、従来よりオートセーブの頻度が高く、直近からやり直せるためプレイヤーのストレスは低い。
      • 難易度スパルタ人(イージー)では上述の要素も相俟ってクレイトスの無双ぶりを楽しめる。
      • 一方で難易度タイタン(ハード)以上のボス戦では、技能はもちろん敵を倒す順番といった戦略性も必要になり、ハイレベルな戦闘が楽しめる。
  • システム面
    • 体力ゲージ、魔力ゲージの他に、一部のアイテムを使用するのに必要なアイテムゲージが追加された。
      • 魔力ゲージとは違い一定時間で回復するので、前作では魔法扱いで燃費の悪かった弓が格段に使いやすくなった。
    • 魔法が武器に付随する様になった。例えば基本武器・ブレイズオブエグザイルの魔法は「スパルタの軍勢」や、ハデスの鉤爪の魔法は「魂の召集」といった形。
      • これに伴い武器の切り替えに方向キーをあてる事が出来、より簡単・スピーディになった。武器チェンジをコンボに組み込むことも可能。
    • アンチャーテッド2と同様に、裏読みにより開始・再開時以外のロード時間は皆無である。
    • 前作では「CSアタック」時に画面の中央に入力コマンドが表示されて邪魔だったが、本作では左右上下にボタンとリンクして表示される様になり集中してプレイ出来る様になった。
      • これは〇ボタンなら画面右、△ボタンなら画面上という風にデュアルショック3のボタン配置に対応した位置に表示されるため、押すべきボタンを意識する負担が減り、より直感的なプレイが可能になっている。
    • トロフィーは最高難度をクリアしなくてもコンプリートできる。そのためトロフィーコンプは意外と簡単。
  • その他
    • BGMも前シリーズ同様の高クオリティ。壮大な曲調は作品の世界観にマッチしている。
    • クリア後のオマケ
      • 製作過程を撮影した合計3時間ものメイキング映像を見る事ができる。
      • 頭と指先両方を使って「素手で敵を全滅させろ」と言った一風変わった課題を達成する「オリュンポスの試練」や、それをクリアして解除されるコンボ研究用の「闘技場」も楽しい。

日本語版

  • 過去作はカプコンから発売されていたが、今作はSCEJからの発売となった。
  • 吹き替えは過去作と同様クレイトスを演じる玄田哲章氏をはじめとしたベテランが演じており、オリュンポスの壮大な世界を盛り上げてくれる。翻訳も丁寧で、若干気にかかる点こそあるものの(詳細は後術)概ね好評。
    • ちなみに、ゼウスは過去作とは異なり壤晴彦氏が演じている。
  • CERO:Z(18歳以上のみ対象)なだけあり、全体的に規制は緩めになっている。
    • 性描写や一部の強烈な暴力描写は、テクスチャの削除&追加、視線を逸らすなどで規制を行っている。
    • ただし海外版との差はほんの僅かで、基本的には何も変わらないのでその点は安心。ゲームバランスに影響がある規制も無し。

賛否両論点

  • シナリオ
    • 過去作の因縁から、作中の大半においてクレイトスはまさに復讐鬼と化しているため、殺す必要の全くない人間を躊躇なく惨殺するなど、プレイヤーからしても到底共感し難い行動を起こすことがままある。その一方で、亡くした娘のカリオペの生き写しのようなパンドラには慈愛の心を見せるため、人物描写が矛盾しているように感じる層も多い。
    • ただしこれは様々な解釈が可能で、もはやクレイトスの心が<プレイヤーの共感すら消し飛ばしてしまうほどの>ドス黒い復讐の怨嗟に堕ちてしまったことを表現しているとする見方も、非公式ながら存在する。
    • 物語後半から終盤に進むにつれて徐々に青い光や炎が多用されるようになるが、それらが何を意味しているかを考察してみると、決してただの脳筋シナリオではない側面が見え隠れはする<ただし公式からの定義づけは2023年現在においてもなく、あくまで個々人の解釈に委ねられてはいる。>
    • ちなみに本作のキャッチコピーは " In the End, There will be only Chaos <そして最後に残るのは混沌のみ>"であり、続編で初登場するクレイトスの息子の名前は、2で戦死したスパルタ軍の兵士長にちなんでいる。

問題点

  • このゲームの売りであるグラフィックだが、いざゲームをプレイするとゲーム全体が妙に暗く非常に見辛い。過去作と比較すると違和感を覚えることも。
    • 序盤では神々の住むオリュンポスの山=天に近い場所が舞台であるため、雲の立ち込める天空の様子が嫌でも目につく。更に日の光が一切届かない冥界や暗い洞窟での探索も多いため、全体的に暗めな印象を受けるのも致し方ない事であろう。
  • 最終章ということもあり、過去作をプレイしていないとストーリーがややわかり辛い。一応本作のみでも一通りは楽しめるが…。
    • 特に『II』とは前後編とも言えるストーリー仕立てである為、出来る限りプレイしておいた方が良い。
    • 一応、OPムービーは過去作を振り返った形でどのようにして今作の物語になったのかを描いた内容だが、映像が壁画風な上にシーンもかなり飛び飛びな為にシリーズ初プレイの人が内容を理解するには厳しいものがある。
  • ローカライズはかなり丁寧にされているのだが、所々に日本語表記のミスがある。
    • 特に技名は英訳表記がメインだった過去作とは違い、日本語に訳している場合が多く、意味は間違っていないが違和感が強いものがいくつかある。
      • 例えば、「Vicious Maul」は「恐ろしい斧」と、「Triumphant Labor」は「立派な役務」と直訳気味に訳されてしまっている。
  • クレイトスの武器は4つ用意されているが、打撃武器「ネメアのカエストス」除き3つはブレイズシリーズに似たチェーン系であり、ややレパートリー不足の感がある。
    • やり込めば、空中戦が得意など十分に差別化されていることが分かるのだが、ボタン連打でどうにかなる低難易度では特に必要な差別ではない。
  • 掴み攻撃の照準が思い通りにならないことがある。雑魚敵を掴んでボスに攻撃しようとしたところ、掴みの効かないボスの方を向いてしまう等。特に高難度ではこれが命取りになる場合も。
  • シリーズ恒例の謎解き要素があるが難易度はかなり低い。謎解きを魅力に感じていた人にはマイナス。
    • 特に『1』に多かった時間制即死トラップはかなり減った。
    • しかしシリーズ通して「開始時の難易度選択は戦闘にしか適用されない(仕掛けやトラップは難易度の緩和が出来ない)」ので、前作までは「戦闘をヌルくしても仕掛けが攻略できずにクリアを断念した」という事例も少なくなかった。今作はアクション初心者でも比較的安心してプレイできる。
    • 本シリーズらしいトラップは終盤のあるダンジョンに集約してある。
  • 本作ならではのオリジナルの雑魚敵がサソリとタロスしかいない。中ボスを含めてもキメラと3体だけである。その分、ボスが充実していると言えるのだが…。
    • レギオン、ケンタウロスなど旧作に登場していた敵もテクスチャーや行動に手を入れられ、実質、新規作成同然だが、それでも2の神官やタイタンミノタウロス、スケルトンのように多数の新規敵キャラが登場ではないのは残念な点である。
  • 冥界とオリンポスを行ったり来たりを繰り返すステージ構成やラスボスが前作と同じなところ。特にラスボスは強いのは強いのだが、チュートリアルボスであるポセイドンと比べて非常に地味。その行動や技も威力を除いて全て予想の範囲内。
    • 実際は行くたびに変化していて前来たところとまったく同じ場所というのは少ないが、それでも同じ場所を通り過ぎることが多いため、お使いをさせられてるような感じが強い。
    • ラスボスに関しては、色々と紆余曲折があった末に今の形に落ち着いたことを感じさせる*1
  • ムービーのスキップが出来ない。恐らく裏読みロードとの兼ね合いかと思われる。
  • シリーズ恒例の鈴木れい子氏のナレーションが前述のOPを除いて存在しない。
    • 鈴木氏は今作においては登場キャラであるガイアと2役である上に、今作ではガイアが俯瞰的でなく前線に立つ立場になったからだと思われる。なので物語の解説として各キャラが口頭で説明するシーンも多い。
  • 追加コスチュームが1つを除いてDLCなのだが、当時の日本のPlaystation StoreはCERO:ZのソフトはDL配信をやらない方針であった為、国内では購入が不可能(現在はクレジットカード決済でのみ購入可能)。
    • 後述するPS4のリマスター版には収録されている。

総評

とにかく何もかもがド迫力。一般のアクションゲームというと、最初のステージではこの位の敵と演出、中盤のステージではこの位と徐々に盛上げていくのが通例だが、本作は最初から最後まで全力で迫ってくる。
今時珍しいシングルのみのゲームだが、今の技術で作れるアクションゲームの到達点でもあるのでゲーマーなら手に取るべきだろう。
ただ、残虐描写は容赦ないのでそこだけは記憶の片隅に留めておいたほうがよい。


ゴッド・オブ・ウォーIII リマスタード

【ごっどおぶうぉーすりー りますたーど】

ジャンル アクション
対応機種 プレイステーション4
メディア BD-ROM 1枚
発売元 Sony Computer Entertainment
開発元 SCE SantaMonica Studio
発売日 2015年7月16日
定価 パッケージ版:4,900円
ダウンロード版:4,212円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作

概要

2015年7月にPS4ソフトとして発売。PS3版から下記のような各種調整、強化が施されている為、PS4を持っているのならこちらを選ぶと良い。


変更点

  • 解像度がネイティブ1080p*2に、フレームレートが固定60fpsに向上。
  • ゲームを一時停止してカメラの位置の調節やエフェクトを追加してスクリーンショットをとることができるフォトモードの追加。
  • 試練の間に「エグザイルの試練」が追加。
  • 海外版で配信されたコスチュームがあらかじめ収録されている。
+ タグ編集
  • タグ:
  • 2010年
  • PS3
  • AADV
  • ソニー・コンピュータエンタテインメント
  • ゴッド・オブ・ウォー

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最終更新:2023年11月27日 14:06

*1 データとしてのみ存在するアポロンや制作者のコメント、メイキング映像などから。

*2 PS3版は720pのアップスケーリング+MLAA。