ASSASSIN'S CREED II

【あさしん くりーど つー】

ジャンル アクションアドベンチャー



対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows XP~7
Mac OS X
発売元 ユービーアイソフト
開発元 ユービーアイソフト モントリオール・スタジオ
発売日 2009年12月3日
定価 7,329円
廉価版 スペシャルエディション:2010年8月5日/3,990円
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
コンテンツアイコン 暴力・犯罪
判定 良作
ポイント 中世イタリアを舞台に広がった世界
前作から様々なシステムが遊びやすく改良
ASSASSIN'S CREEDシリーズ



歴史は血で綴られる。



概要

『ASSASSIN'S CREED』シリーズのナンバリングタイトル第2作。
前作が十字軍時代のエルサレムを舞台としていたのに対し、本作はルネサンス期のイタリアを舞台としている。

ルネサンスの概要を知っていればより深くストーリーが楽しめる。公式サイトでもある程度解説がなされているためチェックしておくといいだろう。
レオナルド・ダ・ヴィンチやマキャヴェリなど、ルネサンス期に活躍した歴史的人物が思わぬ形でストーリーに介入してくることも本作のウリの一つ。

仕様の違い

  • 日本語版は海外のアンロックコンテンツなどが全て収録されており、英語・イタリア語音声への切り替えが可能となっている。
  • SE版は通常版配信後に有料配信されたDLCが付属されており、いわゆる完全版に当たる。
    • PS3のSE版はそれに加え、短編映画『Assassin's Creed: Lineage』とそのメイキング映像が収録されている。

ストーリー

※前作のラスト直後からスタート。

アブスターゴ社とその黒幕に「秘宝」の在り処が伝わり、利用済みとなったアサシンの子孫であるデズモンド・マイルズはこれからの事を思案していた。
その時アサシンの仲間であったルーシー・スティルマンの手引きにより施設から脱出に成功、隠れ家へと落ちのびる。
己の運命に困惑し続けるデズモンドに対し、ルーシーは一つの提案をした。
15世紀のあるアサシンの人生をアニムスによって追体験し、アサシンとしての技術を身につける事である…。

15世紀、イタリアは新たなる時代の夜明けを迎えようとしていた。
レオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとする気鋭たちに導かれ、世界はかつてない科学、芸術、学術の再生の時を迎えた。
後の学者たちは、それをルネッサンスと呼んだ。しかし彼らは、歴史の闇に潜んでいた事実を知らない…。

フィレンツェの貴族、アウディトーレ家に生まれた青年「エツィオ・アウディトーレ・ダ・フィレンツェ」は、ある事件をきっかけに家族を処刑され貴族の位を剥奪、幸せな生活全てを失ってしまう。
誰が何のためにこんな陰謀を仕組んだのか。その黒幕を暴き、報いを受けさせるため、エツィオは仲間の力を借りてアサシンへの道を歩みだす。


特徴

  • 前作から3世紀近い時代経過と場所の変更がなされたことで、ゲーム上の設定やシステムにも大きな影響が及んでいる。
    • アサシンブレードの装備に指を落とす必要が無くなる、ブレードの仕込み銃が開発されるなど、技術的進歩を進化したゲーム性に上手く絡めている。
    • 通貨の概念が登場したことは小さいようで大きい事柄。様々なことが通貨の導入一つで出来るようになった。以下がその一例となる。
  • 「装備の購入」
    • 武器は棍、長剣、ナイフなど種類が豊富になり、カウンターのし易さやリーチで差別化を図っている。
    • 防具は質が高ければその分ライフバーも大きく増える。しかし戦闘などでダメージを受けると段々と痛んでいき、修理しないと破損状態になってしまう。
      • 破損すると増加していた分のライフバーは無くなってしまう。ムービーでの見栄えを良くするためにも鍛冶屋でこまめに修理したい。
  • 「街への投資」
    • ゲームを進めることによって荒んだ街「モンテリジョーニ・ヴィラ」の復興を任される。
    • 道具屋、教会、鍛冶屋といった建物に投資することでヴィラの街を発展させられる。投資すればそれだけ街が賑やかになり、人の出入りも目に見えて分かるように増加する。
    • 20分毎に街の収入が入り、それを受け取ることができる。投資すればするほど収入も増えていく。
    • 投資した回数によって値下げなどの恩恵を得られる店もあるため、高価な装備を後々手に入れる際に思わぬ助けになる。
  • その他服の色を変える、仲間を雇う、といった事柄も通貨の導入により可能になった。
  • 悪評システム、ライフバー
    • 前作のシンクロ・バーとソーシャル・ステータスが若干仕様変更され、前作に比べると規制や縛りっぽさはかなり緩くなった。
    • ライフバーは前作のシンクロ・バーに相当するが、非敵対NPCの殺傷では減らなくなった他、防具によって最大値が増加するようになった。
      • そのかわり自然回復は内側に白い四角が残っているマス目の端数までになり、失ったマス目の分は街にいる医者に回復してもらうか、医者が売っている手持ちの薬を使用することのみになった。
    • 今作のソーシャル・ステータスはマップの丸枠の色で表示され、敵兵以外の感知は影響しなくなった。前作では壁によじ登るだけでステータスが若干下がってしまい、せっかくのフリーランが堪能できないという問題があった。システムの方向性を変えず上手く問題点を消しているのは、評価点と言っても差し支えない。
    • 新たに追加された悪評システムは犯罪行為をすることで街に悪評が広まり、群衆に紛れることができなくなったり兵士に突然襲われたりするというもの。あちこちに貼られている手配書を剥がす、先触れに賄賂を渡す、役人を暗殺することで悪評を下げられる。
      • ストーリー中強制的に悪評が最大まで上がってしまうこともある。ちなみに特定のマントを装備すると該当する地域内ではどんなことをしても悪評が全く上がらなくなる。
  • いくつかの広いマップを行き来しながらミッションをこなしていく箱庭型の3Dアクションゲームと言う様式は変わらないが、マップごとの広さが増加。サイドコンテンツ等ボリュームが更にアップし、オープンワールド型に近い作風になっている。

評価点

  • 主に概要で述べた、世界観と上手く融合したシステム。
  • おなじく、全体的に行動の自由度が上がった。
    • 単に行動範囲が広がっただけでなく、傭兵等を雇い仲間にして戦わせたり、金を路上にばらまいたりと町で起こせるアクションも増えた。
    • 敵に砂を投げ目潰しをしたり、煙玉で一時的に行動不能にさせられるなど、搦め手関係の戦闘アクションも増加。
    • 暗殺にも、毒を背後から挿し込んだり、銃で射殺したりと、手段に幅が増えた。お馴染みアサシンブレードも本作では両手に装備できるため、同時に二人暗殺することも可能になる。
      • 金に群がる市民をどかすために兵士が来ることがあるのだが、そいつに毒を仕込むと大惨事が起こる。
  • 移動手段も増え、快適性が増した。
    • 泳ぐことができるようになり、水に飛び込んで即死と言うことは無くなった。泳いで追っ手を回避したり、暗殺ターゲットに静かに接近したりできる。また水上ではゴンドラを漕いで移動することも可能。
    • また、前作にもあった馬での移動に加え、街から街へ瞬時に移動できるファストトラベルが登場した。
      • 決められた場所でしか行えない、微々たるものとはいえ金が必要になるなど制約こそあるが、移動手段としては非常に便利。前述の復興システムの収入を受け取る際に重宝する。
  • 美麗なグラフィック
    • 現代の技術で蘇った当時の街並みは美しく、適当にうろうろしているだけでも楽しい。開発陣も「世界一安いイタリア旅行」と語る程。
    • グーグルマップのストリートビューを使い、本作の舞台となるフィレンツェの街などを見比べてみるのも面白い。建物から通りまで細かく再現されているのに気づくだろう。
    • ビューポイントから見下ろす町は壮観。遠くの景色まで十分に見渡せる。もちろん、見渡せる場所のほぼ全てへ実際に行く事が出来る。
    • 服の色の変化も微妙なコントラストで細かく差別化されているので、様々な染色を試してみるのも面白い。
    • 時間経過の概念が登場。見た目だけでなく、昼と夜では警備のシフトが変わるなどミッション攻略にも変化をもたらす。
    • 街ごとに風景の基本カラーをわずかに変化させているなど、細かい演出が行われている。
  • 豊富な収集・探索要素
    • 「羽」「シンボル」「石像」「宝箱」などがこれに該当する。意外な所に隠されていることも多いので、町を隅から隅まで駆け回らないとコンプリート出来ない。
    • 実績のみであった前作の旗集めとは違い、収集アイテムを集めることで装備や金などの報酬も得られる。
    • シンボルは集めるだけで終わりではなく、それぞれに用意されたパズルを解かなくてはならない。歴史や宗教の知識が必要なものもあれば思考力ひとつで解ける問題もあり、数が豊富でやり応えがある。またパズルを解きシンボルの解読に成功すると、ストーリーの背景が更に明らかになっていく。
  • フリーランシステムの改良
    • 壁登り中にアクションボタンを押すことで早く登れるようになった。
    • ストーリーを進めると、壁登り中に上方向へ大きくジャンプする新アクション「ダブルジャンプ」を習得できる。これを使用しないと到達できないビューポイントも存在する。

賛否両論点

  • 大味な「ステルス」部分
    • 敵に見つからないように暗殺任務を遂行するミッションが多いが、ある程度敵兵と距離があればほとんど見つかることは無い。コントのようなバレバレの隠れ方をしても、敵は「あれ、どこへ行った?」などと反応し去っていくこともしばしば。
    • 暗殺アクションというゲームの性質上、同じステルスゲームであり、敵の感覚判定が厳しい『メタルギア』シリーズと比較され、批判されることが多い。
    • ただ、この点は本作のアクションに深い隠密性を求めるか否かで評価が変わると言えるだろう。
  • シンボルパズルが一部かなり難しい
    • 難しいとされるのは「記号の隠された法則を見つけ出し、1~9のダイヤルに合わせる」と言う形式のもの。思考力が試されるパズルである。
    • 中にはフィボナッチ数列やシュメール語に精通していないと解けない問題もあり、自力でのクリアは非常に困難。
    • シナリオクリアには関係ないが、トロフィー/実績に絡む要素であるため、完全に無視することはできない。
    • 攻略法はネットなり書籍なりを調べれば存在するので、クリアは決して不可能ではない。
  • 後年の作品と毛色の違うパルクール
    • パルクールアクションは次回作以降、次第にニンジャの如く自由自在な万能アクションと化していくが、本作では登り方を試行錯誤するアクションパズル的なものになっている。
      • まず陸から建物周辺を観察して登れる場所を探し、文字通り手掛かりを辿り、目的地にたどり着けるルートを模索する必要がある。行き止まりルートもあり、ただ上に進むだけで外壁をグルグルと回らされることも屡々。時には壁蹴り方向転換ジャンプなどテクニカルなアクションも求められる。
    • 理路整然としている建物が多い土地柄に合わせてか、大きさに反し登れる場所が極端に制限された建物も多く、登るという行為自体を楽しめなければ結構なストレスになる。
  • 本ゲームは前作から次作へとつながる大きな物語の一部なので、未プレイだとストーリーの流れが分かりづらかったりする事がある。一応これまでの流れが冒頭に紹介されるが…。
  • 主人公・エツィオは家族をハメて処刑した者達への復讐の為にアサシンとして行動を開始し、そして成長していく。
    • そしてラスボス戦後に復讐は無意味としてラスボスの命までは奪わず、ある意味許しの姿勢をみせるが、復讐から始まり許しに至るエツィオの心情の変化の描写が足りず、やや唐突とも言える。
    • 時系列的には最終シーケンス前になるDLCの追加ストーリーにてエツィオが復讐の虚しさ・恐ろしさを悟るシーンがあり、それである程度の補完はされているが。

問題点

  • 戦闘が単調になりがち
    • 回避行動を駆使して鮮やかに戦うことも可能ではあるが、やはり大抵が攻撃連打かカウンター待ちでどうにかなってしまう。
    • 掴む→壁に投げる→倒れたところを蹴る→掴む…の繰り返しで時間こそかかるがラスボスがハメ殺せてしまうなど、ボスとの戦闘にもあまり緊張感が無い。
    • 前作から使える武器やアクションは増えたものの、そこまで大きな差が無く、戦闘を劇的に変えるものではない。
    • 次作『BROTHERHOOD』ではカウンターキルの強化や妨害されない限り次々と敵を倒せるアクションが追加され、よりテンポの早い戦闘が可能となった。
  • 仕込み銃の使い辛さ
    • アクションゲームの銃と言うと一人称視点での操作や、エイムせずとも打てば当たる物がほとんどである。
    • しかし今作に於いては、「銃を構え、一定時間立ち止まり狙いを定めて撃つ」という操作であるためにどうしても使いどころが限られがち。
    • その上消音機能は(技術上仕方ないとはいえ)存在しないため、狙いを外そうものならあっという間に敵兵に感付かれてしまう。魅力的な新装備だがとにかく使いづらさが目立っている。
  • マップの使い勝手がイマイチ
    • 基本的に建造物の名前が記載されないため、知識や記憶があいまいだとなかなか目的地にたどり着けない。こうした場合データベースに一緒に載っている小さな写真しかあてにするものがない。
    • 現在地とマップがずれてしまっていたり、位置アイコンが妙に大きいせいで細かい位置が分かり辛かったりと実用性も少し不便。
    • 「世界一安いイタリア旅行」と自負するのであれば、観光案内のパンフレットも作りこんでもらいたかったところだ。
    • 次作『BROTHERHOOD』では、ランドマークにマーカーが付き、購入して復興の収入を上げることも可能になった。
  • やや面倒な復興システム
    • 楽に多額の金を得ようとするならばモンテリジョーニの復興が一番手っとり早いが、復興させるのも振り込まれた金を回収するのもモンテリジョーニの屋敷でしかできない。復興を進めないと振り込める金の上限も上がらない。
      • 中盤はメインイベントで様々な地方へ強制的に飛ばされる為、モンテリジョーニに戻れず(あるいは面倒臭い)復興も進められないし金もカンストしたまま回収できない…という事態に陥りがち。
      • ミッションクリアや宝箱、スリなど他にも金を得る方法はあるが、復興で振り込まれる金額と比べるとどうしても見劣りする。
    • 次作以降では街が比較的広大な一枚のマップとなり、各地に点在する銀行を復興させることで収入の受け取りが可能になる。
  • バグが多い。
    • 壁にエツィオがめり込んで行動不能になったり、壁抜けしてしまったりとプレイを妨害する要素ばかり。人物のテクスチャが異常に乱れるというバグも報告されている。
  • 前作にはあったクリア済みシークエンスのリプレイ機能がなくなった。サブミッションのみリプレイ可能。
  • 前作に引き続き、ムービーのスキップができない。同じミッションを何度もリトライするときなどはテンポが悪くなる。
    • 次回作以降は新機能(ミッション中のチャレンジ項目、ムービースキップ)の追加とともに復活している。
  • カメラの挙動が余り良くなく、急に変な方向からの視点に移ったり、3D酔いを起こしそうな急激な動きをすることもある。

総評

前作では縦横無尽のフリーランや重厚な世界観が評価されたものの、粗削りかつストレスの溜まる作りが大いに批判された。
本作はそんな前作のシステムを洗練し様々な遊びを盛り込んだことで、シリーズの人気を確固たるものにし、アクションゲームの新境地として世界中で高評価を得ている。
以降のシリーズ作品がほぼ本作のシステムをベースにしている点を鑑みるに、シリーズの土台として完成されているということは疑う余地が無い。
ステルスやアクション部分は特筆するほど奥深いものではないが、簡単かつ気軽に遊べるように手堅く纏めているとも言える。


余談

  • 本作のトロフィー/実績は取得難度が低く、比較的楽にコンプリートできるということで、コレクターからは人気を集めている。実際、本作は最もプラチナトロフィーが多く取られているという調査結果がある(参照)。
  • 2010年4月に、「史上最も出版物で特集を組まれたゲームソフト」としてギネス・ワールド・レコーズに認定されている。
  • イタリアのアサシン「エツィオ」が主人公である『ASSASSIN'S CREED』シリーズ内3部作「エツィオ・サーガ」は本作から始まり、『BROTHERHOOD』『REVELATIONS』へと続いて行く。
    • ナンバリングタイトルではないが、過去編・現代編とも本作の直後から始まるため『III』へ行く前にプレイしておくことを推奨する。
  • 発売に先駆けて360のストア内で前日譚となる実写短編映画『Assassin's Creed: Lineage』が配信されていた。
    • エツィオの父であるジョヴァンニを主人公に、ゲーム冒頭の出来事へと繋がる事件を描いている。
    • 当初PSストアでは未配信であったが、後に発売されたSE版には収録された。
      • 後年PS4/Switchで発売された『EZIO COLLECTION』にも収録されているが、画質が日本のモニター向けにチューニングされておらず、全編が夜のように真っ暗になってしまっている。
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最終更新:2023年05月24日 15:00