アーマード・コア4

【あーまーど こあ ふぉー】

ジャンル ハイスピードメカアクション

対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 【PS3】2006年12月21日
【360】2007年3月22日
定価 8,190円
廉価版 PLAYSTATION3 the Best
プラチナコレクション
共に2008年1月10日/2,940円
判定 良作
アーマード・コアシリーズ


ストーリー

現代の延長線上にある未来。
人口爆発による食糧・エネルギー資源の慢性的な不足、近視眼的な開発により無秩序に拡大する極地。二極化した享楽と貧困は救いようのない諦観と憎悪を醸成し、国民国家政府は徐々にその統治能力を失っていった。
秩序の崩壊により重要度を増した軍隊は高度に機械化され、その結果として幾つかの企業は強力な軍産複合体を形成し、影響力をかつてないほどに拡大させていく。やがて、最も力を持った6つの企業体は遂に国民国家政府を見限り、歴史上最大のクーデターを起こす。
国家解体戦争。企業側の一方的な奇襲で始まったこの戦争は、わずか一か月で企業側の勝利に終わった。
とりわけ企業側の大きな戦力となったのが、新物質「コジマ粒子」を使用した兵器、30機足らずの「ネクスト」と呼ばれる新型アーマード・コアであった。

戦争終結後、企業の手で、秩序維持のための新しいシステムが構築された。
しかしその実態は、人々を「コロニー」と呼ばれる群居地に移し、労働の対価として糧食を保証する一方、人々を市場経済とは完全に切り離し、自分たちだけの市場に囲い込むというものだった。
ある意味で社会主義的、さらに言えば奴隷制度的ですらある「経済による平和(パックス・エコノミカ)」。その矛盾に満ちたシステムは、しかし企業による軍事力の掌握、そして人々に蔓延する無気力感により、表面上の安定を保ったまま維持されていた。

戦争終結から5年後。物語は小コロニー・アナトリアから始まる。
元来ネクストAC技術を主幹産業としていたアナトリア。だが、研究の第一人者であるイェルネフェルト教授の死去と、その後の研究者の離反によって優位性を失い、一転して経済危機に直面していた。
研究員上がりの新たな指導者、エミール・グスタフはこの状況を打開すべく、研究用に特例として所有が認められていたネクストを使った傭兵業という大胆な計画を発案する。そのパイロット――「リンクス」として選ばれたのが、かつて伝説的とまで称されたレイヴンであり、国家解体戦争時に重傷を負ってイェルネフェルトの娘・フィオナに保護され、アナトリアで療養していた主人公であった。
しかし、ネクストの操縦方法である神経接続には先天的な適性が要求されるのだが、主人公のそれは基準点を辛うじて満たす程度でしかなかった。主人公を強い精神負荷に晒しながら死地へ送り出し、アナトリアの未来を一手に押し付けることに罪悪感を抱いたフィオナは、ネクストのオペレーターを志願する。

老いぼれ鴉と、政治的価値しかない非力なネクスト。
この時、後の「アナトリアの傭兵」の躍進、そしてその活躍がパックスを崩壊させ、後世に「リンクス戦争」と伝えられる6つの企業体の全面戦争を招くことになろうとは、誰も予期することは出来なかった――。

概要

「アーマード・コア(AC)」と呼ばれるパーツの組み換えが可能な巨大ロボット兵器を使い、傭兵として各団体からの依頼をこなし、得た報酬でさらに機体を自在にカスタマイズしていく「カスタマイズメカアクション」、それが『アーマード・コアシリーズ』である。
本作『4』はプラットフォームを次世代機に移した「新たなるAC」。ACシリーズではタイトルごとのナンバリングが改められるに従い、世界観の刷新と新システムが導入されるのが恒例となっているが、本作では最低限のシリーズ共通点を残してインターフェース、世界観設定、ストーリーテリング、ゲームシステムを一新する大胆な改革を行った。

発表後は、明確に現実世界を意識したハードすぎる世界観、パーツカテゴリの刷新、ゲームの高速化等、あまりに変化した作風を心配する声もあったが、発売後はそのどれもがおおむね好評価を得る。
特にシリーズ待望の「(通信環境の)安定したオンライン対戦*1」は、その魅力を申し分なくアピールし、更なるファンを取り込むことに成功した。


特徴・評価点

システムの変更点

傭兵として各団体からの依頼をこなし、得た報酬でACを自在にカスタマイズしていくという基本の部分は変わりない。

  • 「メール」が消滅。
  • 本作におけるACは、旧来から存在する、旧作の「MT」に相当する「ノーマルAC」と、主人公たちが使用するハイエンド機「ネクストAC」に分かれる。前者の操縦者はお馴染み「レイヴン(鴉)」と呼称されるが、後者は「リンクス(山猫)」と呼ばれる。*2
    • ネクストACは「プライマルアーマー」や「クイックブースト」など、新物質「コジマ粒子」を用いた数々の新機構を生かした最強の機動兵器。その圧倒的な性能でプレイヤーを振り回し、魅了する。
    • リンクスは世界に40人程しか存在せず、主人公他の数名以外はいずれもそれぞれの企業に所属しており、一介の傭兵に過ぎなかったレイヴンよりも遥かに重要な位置が与えられている。『4』の世界観におけるレイヴンは、最早時代遅れの存在でしかないのだ。
      • 戦略級の価値を持つリンクスを「アリーナ」で戦わせるわけにはいかないため、アリーナは「シミュレーター」という形に姿を変えた。
  • 機体構築を行う「ガレージ」が「ACSIS」として刷新。インターフェースが完全に新しくなった。
  • エンブレム作成機能はシリーズ伝統のドット打ちから、あらかじめ用意された複数のシンボルを張り合わせる形に変更。
  • 武器カテゴリの刷新。旧来のエクステンションやインサイドは「肩武器」に、旧来の肩武器は「背中武器」へ改められ、左右腕武器は完全に統一。二刀流が武器腕でなくても可能に。
  • タンク、四脚以外の背中武器構え制限が消滅。二脚でも構えなしで普通にキャノンを撃てるが特定条件下では構えが生じてしまう。
  • 全てのコアが格納機能とOB機能を同時に搭載。また、タンクはすべての武器が格納可能に。
  • 熱量システムが削除され代わりにPAが。(詳しくは後述)
  • フロート脚部が消滅。全脚部が水上でも行動可能に。
  • ゲームスピード全体の高速化と、それを前提としたシステム調整。
  • オンラインの導入。
    • これまでのシリーズでもメーカーの公式大会や一部のプレイヤーによる非公式対戦会は時々行われていたが、全体からすると対戦プレイをするプレイヤーは極々少数で、多くのゲーマーにとってアーマードコアは1人プレイ用のゲームであった。大きな理由として、完全な対戦にはTVとハードが2つ必要なこと、それを必要としない画面分割対戦では相手の画面が見えてしまうことが理由である。しかし本作では、ネット環境さえあれば誰でも自宅で対人戦が可能になった。これは実に革命的な変化である。
    • また、オンラインを通じたレギュレーション配信により、発売後も継続的にゲームバランスの調整が行われた。

アクション

  • コントローラのボタンをすべて使用する複雑な仕様は相変わらず。極めるのは大変だが、しかし一度動かし方のコツをつかんでしまえば、他のゲームにはない抜群の爽快感と自由度の虜になるだろう。
    • ちなみに簡単なものではあるが、シリーズで初めてまともなチュートリアルが導入されている。
  • 一番の特徴は何と言ってもクイックブースト(QB)。瞬間的に大出力ブースタを吹かして前後左右に高速移動する、旧来のエクステンションブースタを発展させたシステム。旧作とのアクション面における最大の違いである。
    • のちに「二段QB」というテクニックが発見された。これについては「より高い推力を得られるがアナログトリガーの押し込み調節が難しく、キーアサインによっては使用不能」「特定の敵パイロットは常時成功させる」など賛否両論。
  • 防御面では熱量システムの代わりにプライマルアーマー(PA)が登場。コジマ粒子で作られたバリアで、攻撃を受けるかOBを使用すると減少・消滅。消滅中はネクストの防御力は無いも同然で、雑魚にすら瞬殺されてしまう事も。時間経過や一部パーツ使用により回復する。
    • これに伴い武器に「PA減衰」「PA貫通」が設定された。どれだけPAを減らせるか、あるいは無視できるかというもので、このため対ACの戦術は大きく分けて「減衰力の高い武器を短時間に多く当てる」「貫通力の高い武器で普通に攻撃する」の2つになる。要は過去作の熱量システムの発展系である。
    • 有毒のコジマ粒子をまき散らすPAの性質はシナリオ上でも生かされており、人口密集地ではPAの使用が禁じられることも。バリアに頼らずに生き残れるか、非常にスリリングな展開が待っている。
  • 『2』からお馴染みのオーバードブーストは大幅に仕様変更。使用中にも通常ブースト・クイックブーストが行える代わり、単体では速度もエネルギー消費も大したことはない。過去作で出来た特殊なテクニック(スライドジャンプなど)も消滅している。
  • エネルギー仕様に大きな変更が入り、ブースト中でもエネルギーが供給されるようになった(過去作ではブースト使用中は回復が完全にストップされるシステムになっていた)。よって供給が消費を上回るように機体を構築すれば、エネルギーは減らなくなる。このため、旧作では難しかった「無限飛行」が簡単に行えるようになっている。
    • ネクストの機動力はQBに頼るところが大きく、通常ブーストしているだけだと単なる的である。よってまともに戦うためにはQBを使うことが必須だが、QBはエネルギー消費が大きく連発は出来ないので、実戦レベルでは延々と飛び続けることは難しい。
  • 高速化した戦闘に合わせ、他のシステムも変更されている。
    • 全体的に弾数・弾速・連射速度が大幅に増え、攻撃が高密度化。特にミサイルは分かりやすく、やろうと思えば旧来のコンテナミサイル並みの弾幕を絶え間なく発生させることもできる。QBと共に爽快感を演出する。
    • よく言えば伝統的、悪く言えばマンネリ気味だった画面表示も刷新されシンプルなものに。
    • ロックオンの仕様も全面改訂。旧来のロックサイトは消滅して小さなマーカーになり、ターゲット切り替えや完全ノーロック射撃も可能に。
    • 熱量システムの廃止に伴い、各種ブーストによる発熱やオーバーヒート中にENが減少する仕様(≒熱ハメ)もなくなった。
    • キャノンの使用制限*3が廃止された。ただし射撃反動による硬直は発生し得る。
    • 全ての機体が水上を移動することが可能となり、長時間のブーストと相まって移動時のストレスが軽減。ただしブーストによるホバリングが必要で、一定の深度を超えて水没するとこれまでと同じく「作戦領域離脱」に。
  • 複雑化した操作に慣れない人のために、一部の操作はオプションでオートモードの切り替えが出来る。
    • オートロック:ロックオン目標の補足補助。急激に動かない限り、画面中央に目標を保ってくれる。
    • オートブースト:水上で水没しないよう、静止時に自動的にホバリングを行ってくれる。
    • オートチェンジ:敵との距離に合わせて武装を変更し、弾切れ時には自動的に装備解除する機能。ぶっちゃけいらない。
  • 総じて、前作『LR』までに実装されてきた「アクションの快適さと相反する要素」が軒並み緩和・廃止されており、古参プレイヤーにとっての「最初から強化人間+α」とも表現できる。

アセンブル(機体構築)

  • パラメータはさらに厳密・精密化され、理想の愛機を作るためにリンクスたちはより頭を悩ますことになった。
  • パーツの上位・下位互換がほとんどなくなり(全くなくなったわけではないが)、よりアセンブルが奥深くなったことにリンクスたちは嬉しい悲鳴を上げた。
  • なお、今作では初期機体は複数用意された「企業標準機体」から選択できる。それぞれコンセプトが明確でデザイン的にもまとまっており、フレームはそのままに内装や武器を弄っていくことでアセンブルの負担を軽減することができる。

変更点の全てはとても書ききれないため、特徴的なものを抜粋する。

  • 「コジマ粒子(KP: Kojima Particle)」について
    • 前述したとおり、KPはネクストの運用に欠かせない物質。同時に、今までうやむやにされてきたACのエネルギーにはっきりした設定をつけた小道具でもある。本作のジェネレータは従来のEN出力・容量パラメータに加えて「KP出力」パラが追加されている。
      • 機体各部の「PA制波性能」・「PA減退抵抗」と合わせてPAの強度に大きく絡む。ダメージを減らすならば機動力を重視した方がいいのだが、狭いステージでのミッションや、被弾が避けられないガチの対戦では軽視するわけにも行かない重要なステータスである。
  • 「スタビライザー」について
    • 機体各部に付けられる装飾品で、特定方向へ重量をかけることで機体の挙動に癖をつける…… とはいったものの、本作ではその効果は非常に薄い。むしろ評価すべきは、自分好みに機体を「デコレーション」出来ることにある。
  • 武装のバリエーションについて
    • 武装カテゴリが整理され、スリム化された。排されたカテゴリもある一方で新たなカテゴリも登場。特にミサイルの充実ぶりが素晴らしい。
    • 武装の考証も過去作に比べるとまともに行われている。マシンガンといっしょくたにされていたガトリングガンは独立し、グレネード一択だったキャノン(背中武器)には徹甲弾を射出する渋い砲・スナイパーキャノンも。
  • FRSメモリ
    • 過去作の「チューン」に説得力を持たせるための設定。先に挙げたネクストとの神経接続「AMS」の最適化を行うことで機体性能を向上させる。各パラメータにFRSメモリを振り分けていくことで行う。FRSメモリはミッションをクリアしたり、シミュレーターを行うことで入手できる。
  • 機体図面
    • 組み上げたアセンブル構成を「機体図面」として保存しておくことが出来るようになった。
      更にシミュレーターをこなしていくことで敵として登場するネクストの図面も入手でき、簡単に敵の機体を(カラーリングまでも)再現することが出来る(ただし一部のネクストはFRSメモリの制限を無視しているものもあり、ただ選択するだけでは組めないものも。あるバグ技を使えばメモリを除いた構成を再現でき、メモリも調整できる)。

BGM・グラフィック

BGM

  • 星野康太氏、衛藤英幸氏、末永浩一氏の3人による本作のサウンドは、「N系」のロック調を残しつつ、壮大なクラシック要素も取り入れられ、新たな転換点を迎えた。
    • 「カルミナ・ブラーナ」を思わせるコーラスが響く衝撃的なオープニングテーマ「Overture」、劇的なラストバトルを飾る「Fall」、戦闘シーンと絶妙にマッチする「Panther」を始め、いずれの曲もロボットものによくあっている曲であると好評。
    • エンディングテーマでもあるボーカル曲「Thinker」は、本作、ひいては続編の『fA』のイメージソングとして愛されている。

グラフィック・デザイン

  • シリーズの例にもれず、今作でもグラフィック描写は抜かりない。次世代機の性能をいかんなく発揮している。
    • コジマキャノンやオーバードブーストに代表されるコジマ粒子の描写も美しい。雑魚敵の描写も抜かりなく、戦車やヘリ、艦船やノーマルACのギミックはとても細かい。
    • 前作『LR』の反動か、今作のマップはどれも広大。「リアルチックなのにどこか現実離れしたような色調」もプレイヤーをゲームに引き入れる。細かいところでは弾痕も残る。
  • フロム自社ムービーチームによるオープニングムービーは常にそのクオリティの高さを評価されてきたが、今作では「完全に突き抜けてしまっている」レベルの映像が待っていた。メカの質感・爆炎・土煙はなんとなしに見た場合実写と見まごうばかりの出来。ニコニコ動画では「なんだただの実写か」というコメントが大量に流れることに。
  • パーツデザインでは長らくシリーズに携わってきた河森正治氏が離れ、フロム自社デザイナーと外注の共同作業となった。
    • 完全なバラ売りとして世に出ていた歴作のパーツとは異なり、本作のパーツは、前述の企業標準機体の構成要素としてデザインされている。そのため各企業ごとの個性がさらに押し出され、それぞれにファンが付くことになった。
      • ヒロイックなローゼンタール、重厚な箱型のGA、生物的なイクバールetc……。中でも本作の「顔」となる機体、レイレナードの「AALIYAH(アリーヤ)」は、それまでのアーマード・コアとは全く異なる先鋭的なデザインが注目を集め、高い人気を得ている。F1マシンを思わせるコアや細か過ぎるディティールは、最早芸術の域。

シナリオ・世界観設定

ストーリーの項でも示したとおり、シリーズ随一の退廃的かつ救いのない世界観が特徴の『4』。
ACシリーズは伝統的にシナリオが分かりづらく、それゆえに考察の余地が豊富で、そこがファンに人気のポイントとなっている。今作もそれは相変わらずなのだが、過去作と異なり世界観設定が細かく設定されているため、考察の余地はそのままに、よりシナリオを探りやすくなっている。

  • キャラクターの言動も多く(あくまで過去作との比較だが)、設定と合わせてより深くキャラを知ることが出来るため、二次創作が過去作と比べ盛況なのも特徴。
    • 例によってキャラは画面に映らない(フィオナのシルエットが出るくらい)。それでも各キャラに人気が出ているのは、流石フロムと言うべきか?
    • 健気なフィオナを始め、主人公と同じくネクスト傭兵であるが故に敵でも味方でもないジョシュア、茨の道を進む英雄・アマジーグ、元ノーマル乗りのリンクス・シェリングとノーマル乗りネスタの渋いコンビにはファン多し。
    • 敵ネクストと対決することになるミッションは、どれも印象に残りやすい。GA特有の超重量機体を駆るメノ・ルーの機体からは想像もできない可憐な声に萌え、レイレナードの女性剣豪・アンジェの登場シーンの演出に心躍り、ロケットマニア・ボリスビッチの「ハラショー!!」に吹き出した人も多いのではなかろうか。
  • やはりシリーズのお約束として出演声優は豪華。フィオナの坂本真綾氏やジョシュアの中田譲治氏、アマジーグの小野大輔氏らの濃すぎない演技は、短くとも心に残る。
    • 全くの余談だが、中田氏は過去に『3』において企業担当者の1人として出演しており、そのことを知るファンからは大いに驚かれる事となった。
  • 企業構造も変化しており、トップとなる企業の下にいくつかの子会社が連なる、あるいは提携関係にある企業がそれぞれネクスト用パーツをリリースするという現実的な設定になった*4。例えばグローバル・アーマメンツ(GA)グループの場合、宗主であり機体や武器を手がけるGA、欧州支部で独自性が強いGAヨーロッパ、グレネードと軍用車両の有沢重工、ミサイルと索敵のMSACインターナショナル、ブースタのクーガー、といった具合。
    • BGM・グラフィックの項でも挙げた通り、企業ごとの「お国柄」が細かく出ているのも特徴。設定を知るといろいろ邪推してしまいたくなる。現実世界とリンクした世界設定の賜物である。
  • 一度ゲームをクリアするとすべてのステージを遊び直すことが出来るようになり、更に2周目として、高難易度のHARDモードを遊ぶことが出来る。
    HARDモードにおいては、思わぬトラブルなど状況がより不利に傾く(微妙なものから致命的なものまで)仕様になっている為、更に楽しめる。

賛否両論点

  • 次回作の『フォーアンサー』もそうだが、以前の作品と比較して大幅に高速化した戦闘には賛否両論となっている。
    • 「非常に爽快感がある」「動かしていて楽しい」という声もあれば「スピードについていけない」「敵が視認しづらい」という声もある。
    • そのためか、『V』『VD』では本作よりもある程度スピードを抑えた高速戦闘という形式になっている。
    • また、このゲームスピードの高速化、爽快感重視のゲームデザイン変化によってACシリーズの恒例でもあった探索要素が激減してしまった。
      • ほとんどのミッションが屋外でその内容も『敵を殲滅』『基地を破壊』といったような派手な戦闘ばかりが展開されるためにゲーム内容としてはやや単調気味であり、「敵地に潜入して隠密活動」「迷路のような施設を探索」といったような一見地味だが戦闘とは異なる緊張感が楽しめた従来の要素が無くなってしまったのは残念な点である。

問題点

  • 操作はさらに複雑化。一人で遊ぶレベルならまだいいが、オンライン対戦となると血のにじむような研究と努力が必要となる。
  • シミュレーター、対戦共にリプレイ機能が消滅している。
    • このため、CPUの動きをCPUの視点から見て勉強するということができない。CPUが自分の視界外に出てしまった場合、何をされているのか全く分からず、想像するしかない。
  • 相変わらずパラメータが複雑。過去作よりは分かりやすくなっているものの、機体はとても感覚的に組めるものではない。
    • 前述したとおり標準機が貰えるので、初心者はそこから手を付けていくとよいだろう。
  • キーアサインにおいて、方向キーに操作を割り振ることができない。
  • エネルギーや残弾数などの画面表示物が小さく見づらい。また、表示の色を変更できない。
    • 爆発や逆光によりさらに見にくく(というか見えなく)なる時がある。
  • レーダーが旧作より見づらい。
    • 旧来通りの2D表示のものは(ハード進化によるグラフィック細分化もあるが)明らかに見づらくなっている。新しく導入された3D表示の方は論外で、高低差のある敵が出てくるとほぼ使い物にならない。
  • カテゴリの整理も相まってパーツ数が大幅に減少しているのは少々寂しいところではある。
  • ロード時間は長め。短時間で終わるミッションだとプレイ時間よりロード時間の方が長くなる。
  • 説明書はN系の悪い点を引き継ぎ、相変わらず説明不足。
    • ストーリのプロローグが無い、アセンブルの知識として必要なパラメータ等の用語の説明がない等。
  • 旧作のガレージに相当するACSISのインターフェースは「シリーズ最低の使いづらさ」と酷評されている。機体鑑賞画面としてのガレージも極端に暗くまぶしく機体が見辛い。
  • 大量の敵機・ミサイルが画面に入ると流石に処理落ちを起こす。
  • キャラクターを身近に感じられるメールが削除されたことを惜しむ声も。
  • ミッションの受諾方式に難がある。
    • これまでは「ミッションの選択→ブリーフィング→ミッションの確定(機体の最終調整)→出撃」という流れだったのが「ミッションの選択・確定→ブリーフィング→終了後即出撃」となったので、依頼内容を聞いてから機体を調整したり、戦略を練ることが出来ない。おかげで初見殺しに引っ掛かりやすい。
  • ファン待望のオンライン対戦であったが、ラグ抜きに語ることは出来ない。続編『fA』と比べればマシだが……。
  • 発売直後のゲームバランスは悪く、レギュレーション配信によって徐々に改善されていくことになった。
    • ver1.0 レーザーライフル無双。ジェネレータのKP出力が低すぎてPAが全然回復しない。(ライフルの反動も凄い)
    • ver1.1 レーザーライフルが弱体化し、PAも回復するようになったが、ライフルの反動が強すぎて固め殺し無双。
    • ver1.2 安定性能が上がったためライフルが相対的にやや弱体化。
    • ただ、その改善も試行錯誤のような不安定なもので、常に何かしらの問題が出てくるモグラたたきのような状態だった。長らく手が付けられないカテゴリもあったりと、フロムのバランス調整の下手さ・いい加減さが見事に炸裂している。
      • 最新のVer.1.60は4で最高のバランスと評価されている。実際かなり改善されているが、それでもここにたどり着くまでの経緯を考えると「もうちょっと頑張れたのではないか?」という声も多い。
      • しかしその後PS3版のみに衝撃力が激減するレギュが配信された。ラグやワープ対策の為と言われているが、これによりパーツバランスが悪化。頭部の選択肢がなくなり、バズーカなどの単発武器が弱くなった結果、元々多かったライフルやレーザーライフルを装備した機体ばかりになってしまった。
    • レーザーブレードは空中使用時の攻撃方向補正(所謂ブレホ)が復活したが、1人プレイでしか使い物にならない。1人用でならそこそこ使える武器。対AC戦ではほとんど無力だが。
      • ちなみに射突型ブレードの使いづらさは相変わらず… だが、その破壊力は完全に異次元の域へ引き上げられ、よりロマンに特化する素敵性能*5に。
  • PS3とXbox360版それぞれで微妙に対戦環境が違うのも引っ掛かる。
  • 対戦時には機体を組み替えることが出来ず、あらかじめ機体図面を用意しておく必要があるのが面倒。

総評

2系・N系に続くACの3度目の転換期。 次世代機と言う圧倒的なパワーを得た『AC4』は、圧倒的なまでの新しいゲームスタイルをACファン、ひいてはロボゲーファンに提示。
現在は続編『フォーアンサー』、そして『V』への移行が進み、オンライン対戦をまともに楽しむことは望めないのが残念。

アニメのような高速戦闘を楽しみたい人、とにかく渋くかっこいいロボゲーを遊びたい人に強くお勧めしたいタイトルである。


余談

  • 後発の360版では、一部の人物・パーツ名に修正が加えられた。
    • イスラム教に由来するものが変更されていること、Xbox360の本場がアメリカ合衆国であることから、宗教関連の問題を避けるためと推測されている。
    • これらは発売後のオンラインによる修正であるため、ネットにつながなければ元のままである。
  • 放送時期が本作の普及時期と近い『機動戦士ガンダム00』は、「GN粒子」の設定や一部MSのデザイン(ノーマルACっぽい三大国家の量産機とAALIYAHっぽい「ガンダムスローネ」のデザイン)が本作と似通っていることでよく比較される。
    • ちなみに『00』のメインメカデザイナーの一人・柳瀬敬之氏はフロム・ソフトウェア出身。ACシリーズでは『2』と『AA』で敵メカのデザインを担当している。
  • コトブキヤから発売されているACシリーズのプラモ「ヴァリアブルインフニティ」シリーズでも『4』系列の機体が展開されている。ディティールを忠実に再現している反面組み立て難度が高いことで知られるシリーズだが、その中でも「03-AALIYAH」はとても難しい。なんと直径1mmのパーツまで存在し、うかつにカットしようものなら「パーツがクイックブースト」してどこかへ行ってしまう。

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最終更新:2024年04月15日 18:28

*1 過去の作品でもモデム対戦が可能だったが、ラグが酷すぎた。

*2 リンクスはAMSにより機体とリンクする人という意味の「LINKS」であって山猫のLynxとは異なる。言葉の響きから劇中で山猫と揶揄された事があっただけで、山猫という表現が浸透しているわけではない。

*3 タンク以外は空中で発射できず、タンク・四脚以外は移動中に発射できない。強化人間であれば制限を無視できるが、『NX』~『LR』では敵専用。

*4 厳密には過去作でもそうなのだが、前面には出なかった。

*5 どこかの掲示板で出た「索敵性能」の誤字から広まったスラング。ACファンの新たな合言葉。