ディガンの魔石

【でぃがんのませき】

ジャンル RPG
対応機種 PC-9801UM/VM以降
PC-8801mkIISR以降
MSX2
発売・開発元 アーテック
発売日 1988年4月
定価 10,000円
判定 良作
ミネルバトン・サーガ シリーズリンク

概要

  • 自航惑星ガデュリンの世界観の一端をなす物語*1
  • その世界観は独特。また、生活感にリアリティを持たせたゲーム性が特徴的。
  • グラフィックやBGMも評価も高い。

ストーリー

オロの国のとある片田舎の村、カーティア。そこで若い男女が結婚式を挙げていた。ディノとアビリアという若者である。
結婚後、二人は新婚旅行も兼ねて、隣国エウラドーナのおつげの泉へ向う。これからの生活の指針を得るためおつげを授かるのは、オロの住人の習慣だった。
しかし、受けたお告げは衝撃的なものだった。遠からず、二人を引き裂くような試練が訪れるという。
不安に駆られながらも二人は帰路につく。故郷カーティアに帰ると、異変が起こった。ディノの妻アビリアが、身体が徐々に異形に変わっていくという奇病にかかったのだ。
村の医者ではどうする事もできず、ディノは妻の病気を治すため旅に出る事を決意する。

特徴とシステム

  • どこか妙に泥臭く、リアリティのあるRPG。本作はリアリティのあるゲーム性が特徴なのだが、それは戦闘やストーリーではなく日々の生活の方なのである。
    「時間」「食事」「病気」「怪我」「稼ぎはモンスター退治より普通の労働」…と、一風変わった味のある設定。
    • 時間の流れのある世界。一日は24時間ではないが、8つの時間に区切られ、朝→日中→夕方→夜と時間が流れる。それに伴い、様々な影響がある。
      • プレイヤーは睡眠を取らなければならない。一日半も寝ないと、眠気に襲われてパラメーターが落ちていく。それでも無理に起きているとHPまで減っていく。逆に寝すぎても駄目。
      • 食事も取らなければ生きていけない。そうしないと、睡眠不足と似たような影響が出る(食事の頻度は種族による)。中には全く食べない種族や、逆に多喰らいの種族もいる。
    • 病気。実に様々な病気がある。宿代をケチって野宿していると、「腐り病」奇病にかかってしまう。風邪を引いたNPCと話すと、伝染することもある。歓楽街で性病に感染したなど様々。当然、治さないと悪い影響ばかり出る。
    • 怪我。戦闘は危険である。何度も戦っていれば当然その内怪我してしまう(しかも結構頻繁)。ダンジョン探索で無傷で帰るなど不可能。そして怪我をすると本来の力を発揮できなくなる。これも医者に見てもらったり、魔法で治療する必要がある。
    • 日雇い労働。本作ではモンスターとの戦闘は大して稼ぎにならない。モンスターは大して金を持っておらず、一銭も落とさないものもいる。そこでどうするかというと、職安に行って仕事を紹介してもらうのである。当然ながら、働かなければ金は手に入らない。
      • 能力が低い内は、それほど給料の高い仕事を紹介してもらえないが、上がればできるようになる。
  • 仲間との関係は大切に。
    • パーティは話の流れから組む者もいるが、人手不足からプレイヤーが雇った者もいる。そしてキャラクター達は、行き先は一緒だが目的は異なるという関係。特に雇ったキャラクターは、いろんな理由でパーティを勝手に抜けたりするので、気を配らなければならない。
      • 人間関係に影響するのが、仕事の配分や無茶な生活をする事。仕事はみんなでやれば稼ぎは多くなるが、不満も溜まっていく。実は主人公一人だけが働いている状態が一番人間関係が良かったりする(何か間違っているようだが…)。
    • 仲間との関係は戦闘にも影響する。
  • 戦闘は一般的なターン制だが独自の面もある。
    • 一般的なターン制の戦闘システム。ただキャラクターの位置には独自のもの。戦闘が始まると敵に対し、近距離と遠距離の二種類の位置取りとなる。これは敵も同様。
    • 近距離では接近戦ができるが、魔法は使えない。遠距離はその逆である。敵からの逃走も、遠距離にいないとできない(この位置取りはフォーメーションではなくランダム)。接近戦向きではないキャラが敵の間近にいたり、魔法が使えないキャラが遠距離にいたりするのはよくある。
      • 戦闘開始直後はまず、各キャラの得意な位置へと移動する事が必須。
    • プレイヤーが戦闘時、操作できるのは主人公だけ。他はAIで動く。一応、ターン開始時に仲間の一人に「頼む」という形で戦闘を指示できる。ここで影響するのが前述した仲間との関係。悪いと言う事を聞いてくれず、勝手な行動を取る場合がある。逃げ出してしまう事すらある。
  • レベルの概念がない。
    • キャラクターの成長は、レベルシステムではなく、各パラメーターが個々に上昇していくというもの。
    • その他にも薬でパラメーターを上昇させる方法がある。非常に高価だが、効果は抜群。
  • NPCとは様々な会話ができる。街の住人などのNPCには、まるでADVのごとく自分が知った事柄を片端から聞ける。

評価点

  • 戦闘ではなく、日々の生活にリアリティがあるという、一風変わったゲーム性。
    • 病気、怪我、収入は労働が中心など、他ではあまり見ない要素がある。
    • キャラクターの能力の上昇を、職種が増える事で実感できるという、こちらも一風変わった本作の特徴。
      • 生活経費が意外にかかるため、逆に「これだけあればしばらく安心できる」ほどにお金を貯める事に喜びを感じる面もある。…なにやら生々しいが。
    • 他にも野宿していたら引ったくりにあって金を盗まれたり、パーティの仲間との関係が悪くなって金を持ち逃げされたりと、やはりどこか泥臭い。
  • 愉快な買い物。
    • 比較的物価が高く、高価なアイテムもかなりあるので、つい消費衝動に駆られる所がある。日々労働に励み、高価なアイテムを買いあさる事に楽しみを感じるという、変わったRPGである。
  • 成長のさせ方が自由。
    • 戦闘だけではなく、薬でも成長させる事ができる。むしろこれを買うために戦闘せず、働いてばかりというというのもままある事。しかし薬は高価な上、仲間が増えれば必要となる額もかなりの額になる。また全てのパラメーターに対応した薬が、最初から店に揃ってはいない。一方戦闘では費用はかからず、わずかだが全員のパラメーターが上がっていく。どう成長させるかはプレイヤーの自由。
  • 印象的なグラフィックとBGM。
    • グラフィックは、当時としてはあまり見ない写実的な表現がされている。その絵画のようなグラフィックは、本作の大きな特徴の一つ。そもそも当時ゲーム機として採用されていたPC98では、同時発色がわずか16色。2色の陰影を使ったもの以外では、写実的な描画をするのは難しかった。そこでディザリング技術を用いて表現し、他では見ない映像美を作り出した。
      • PC88においてはさらに描画条件が厳しく、解像度もPC98に劣るため、ややぼやけているものの、8色でそれを実現した。
    • 透明感のあるBGMも印象的。PC88の音源の力がフルに発揮されている。
      • 音源についてはPC98の方が劣る。メロディーは同じではあるが、PC88版に比べると音の深さを感じず、やや機械的な印象を受ける。
  • 世界観は独特なもの。
    • 人間だけではなく様々な種族が住んでおり、パーティを組む仲間もまるでスター・ウォーズの様で、独自の宗教観もあるなど、ただのファンタジーRPGではない。
      • もっとも、これら世界観はストーリーの根幹に関わるものもあり、これ以上の説明はネタバレになるため省略する。

難点

  • 成長の楽しみがやや弱い。
    • パラメーターの上昇が遅く、それに合わせたように各場所のモンスター達の強さに大きな差を感じられないため、戦闘での成長の実感が少し弱い。
    • 魔法はあるが、主人公は覚えられず、魔法を使えるキャラも仲間になった時点から増えたりしない(仲間になった時点でかなりの数の魔法を知っているが)。しかも、中盤でほとんどの魔法を会得した大魔導師が仲間になってしまう。魔法を徐々に会得していく楽しみがない。
  • 細かな点が雑。
    • NPCにいろいろ聞けるのがはともかく、状況が変わっても内容に変化がない。
      • 例えば、NPCの中には仲間として同行する者も出るが、彼らの台詞も変わらない。何とか探し出し仲間としたキーキャラクターと一緒に旅をしているにもかかわらず、ある事柄を探している当時と同じく「知らない」と言い続けるような現象もよくある。
    • デモのグラフィックと、会話時のキャラクターの顔があまり似ていない。似ているのは、人間外の顔つきのキャラクターくらい。
    • 酔っ払いのNPCは、何故かおばさんの格好で男口調で話す。

総評

リアリティのある生活感に、写実的なグラフィックや透明感のあるBGM。またストーリーから感じる世界観も、本作を強く印象付ける。
さらに戦闘よりも、生活面での楽しみが大きいというのも一風変わっている。
一方でトップビューの画面や戦闘システムなど、正統派のRPGと似たような面もあるため、プレイしにくいという訳でもない。
惜しむらくは、世界観やストーリーにやや縛られ、RPG本来の成長を楽しむという面が弱い点だろう。
とにかく、王道RPGとは一線を画した、特異な印象を持つRPGといえる。

余談

  • 消費税がネタとして使われた街がある。
    • 本作が発売された1988年は、揉めに揉めた消費税法が成立された年。本作はそれを受けてかとある街だけ消費税があり、表示価格+3%*2の値段でないと買えなくなっている。
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