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本ページでは『J・E・S・U・S』とその続編『J・E・S・U・SII』を取り扱います。判定はどちらも「良作」です。
【じーざす】
ストーリーを重視したコマンド選択式アドベンチャーゲーム。
謎を解く事よりストーリーを見せる事を主眼とし、当時のADV=謎解きという流れを大きく変えた。
そのため、様々な意味でADVにおけるターニングポイント的な作品として知られている。
2061年、ハレー彗星が再び太陽系に近づきつつあった。そして人類は再びハレー彗星へと探査船を送りだす。
1986年は無人機による調査だったが、今回は有人機での調査だ。
調査に向かうのは「コメット」と「ころな」の二機の探査船と、その発進基地である宇宙ステーション「ジーザス」。
今回の調査目的の一つに、「生命の起源が彗星にあったという説を解明すること」があった。
そのため各分野から8人のスペシャリストが集められた。
やがて彼らはハレー彗星へ調査に向かうため、それぞれの探査船に乗り込む。
その中の一人に主人公である「武麻速雄」の姿があった。彼はころな乗組員として搭乗していた。
二機の探査船はジーザスから発進。コメットが先に、ころなはその2週間後に。
コメットは先にハレー彗星へと接近。さっそく調査を開始する。その様子はころなにも伝わってきた。
しかし突然連絡が途絶える。ころなの乗員は皆異常事態と認識はしたが、状況が全く把握できない。
そこで船長は、武麻速雄へ調査を指示。彼は単身、宇宙艇でコメットへと向かった…。
それまでのアドベンチャーゲームと言えば、単語探しと言われるような理不尽な程の高難易度や総画面数・アニメーション処理や絵画速度を売りにしたものが多く、シナリオは二の次としたものが多かった。実際、攻略本が大ヒットし、パソコン雑誌でも読者から解法を教えてくれという葉書を紹介するコーナーが成り立っていたほどである。
そのような時代にあって、本作は誰にでもクリアできることを目的としたゲームとして製作された作品の一つである。
さらに音楽も単なる効果音、雰囲気を盛り上げるためにつけられたものではなく、ゲーム性に関わるものとして作品内に融合をした。
ADVというジャンル自体が「謎を解くことが目的」という単なるメーカーからのプレイヤーへの挑戦から、プレイヤーがシナリオに介入できる「買った人全てがシナリオを楽しむことが目的」と姿を変えたのである。
映像作品としてのテレビゲームが確立されたわけであり、その意味で本作の存在意義は大きい。
以降も続くADVでストーリーを感じるという流れは、ここから始まった。
【じーざすつー】
ジャンル | アドベンチャー |
対応機種 | PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、X68000 |
発売・開発元 | エニックス |
発売日 | 1991年3月24日 |
定価 | 8,800円 |
判定 | 良作 |
かつて、ハレー彗星有人調査という大きなプロジェクトにおいて大事故があった。
「原因は探査船のシステム障害によるもの」という発表があり、一応の終結をみる。
それから四年が経った。
主人公、「五色和也」はモナコでのビーグルレースへ参加するため、旅客船カリスト号に乗り込んでいた。
船はアドリア海を順調に進んでいたが、通信系のトラブルで停止。
それからしばらくして、カリスト号の付近に空から何かが落下したが、幸いにもカリスト号には大した影響もなく、
被害を避ける事ができた。
やがて乗員達が、その落下物を引き上げる。最初隕石と思われたそれは、宇宙用のコンテナだった。
そこには文字が書かれていた。「コメット」と。
そう。四年前、ハレー彗星調査事故で失われた探査船と同じ名前だった…。
前作のストーリー重視という作りをさらに昇華。コマンド選択式の難点をある程度解消、ストーリーにより没頭できるようになっている。そして特筆されるグラフィックの出来は、まさに本作を象徴するもの。話作りがホラー一辺倒でなくなった点も、評価される点。設定が少々変わってしまっている点が残念だが、続編に相応しい作品である。
本作では前作でもシナリオを担当した雅孝司が製作途中でメーカーと対立し降板。その際にシナリオごと引き上げてしまい、そのシナリオを元にした『プロンティス』(ビクター音楽産業)という作品が先に発売されてしまう事態となってしまった。
本作発売前は雅孝司によるシナリオに基づいて作っていた原画で広報を行っていた。雅氏が降板し、代行ライターが立てられたのだが、CGを描き直す時間的余裕がなかったため、新シナリオとCGに整合性が取れない場面が多く見られる(例えば、主人公の和也は、普段レーサースーツを着ているのにメカニックという設定であり、一方のレーサー役のキャラクターは非常にラフな格好をしている等)。
作品的な評価に関しては本作の方が『プロンティス』よりも高いのだが、残念ながらどちらも商業的には振るわない結果となってしまい、そのためか本作はコンシューマへの移植はなされることはなく知名度も今一つとなってしまった。
ちなみにX68000版のCGはPC98版のものをそのままのサイズで表示(解像度640x400→768x512)しただけのものであり、ユーザーには手抜きと受け取られ評判は良くなかった。
また、当時のPC雑誌によると本作はアニメ化の企画も持ち上がっていたらしい。
*1 後にデベロッパーであるアルテピアッツァを立ち上げ、現在は同社の代表取締役社長を務めている。
*2 かと言って既に一人で作ったゲームがヒットする時代でもなくなっていた。例えば同社『ドラクエ』は各界のスペシャリストが集められている。
*3 名前もアルファベット表記からカタカナ表記で「フォジィ」に変更されている。これは名前の由来が「ENIX」を一文字ずつ後ろにずらしたものであるため、販売元の変更も影響しているかもしれない。ゲーム内で名前の由来のネタばらしをするシーンも削除されている。
*4 主人公が同僚の女医からベッドマナーのレクチャーのお誘いを受けるというものであり、受諾するかの選択肢も出ずあくまで未遂で終わる。CGもやや際どいがベッドにうつ伏せの姿勢で乳房とお尻が見える程度。
*5 なお、前述のゲームブック版では当該シーンが挿絵付きで復活しているが、PC版同様未遂で終わる。