仮面ライダーカブト

【かめんらいだーかぶと】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 デジフロイド
発売日 2006年11月30日
定価 6,279円
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 良作
仮面ライダー対戦格闘シリーズ


天の道を往き、総てを司る!



概要

同名の特撮ヒーロー番組を原作としたソフト。
有限会社デジフロイドが開発を担当した仮面ライダー対戦格闘ゲームの第5作にして、現状最後の作品となっている。

デジフロの軌跡

02年の『龍騎』以降、毎年仮面ライダーの格闘ゲームを開発していたデジフロイドであったが、どれも格闘ゲームとしては非常にレベルが低く、「よくあるクソキャラゲー」という評価が定着していた。必殺技を使おうとすると急に連打勝負になったり、デジタルカード収集のために原作無関係の作業系ミニゲームをやらされたり、挙句の果てには弱攻撃しかできないキャラまで出てくる始末
一応戦闘前後に各キャラにマニアックな台詞を言わせたり、』でたい焼き名人アルティメットフォームを登場させたりと、「原作を知る者にはニヤリとできるネタ」を多く取り込んではいたのだが、それを考慮に入れても「子供でも騙せそうにないゲーム」という声が一般的であった。

そして06年5月、同社は『宇宙刑事魂』の開発も担当した。これは80年代の特撮番組を原作としたものであり、当然高年齢層がターゲットであるため、ライダーゲーの様な露骨な子供騙しは無いだろうと予想されたのだが…実際はそれらより遥かに劣る駄作であった。内容は薄い上にゲームバランスもいい加減、しかもネタ度もサッパリ。更にラスボス役で出演した特撮界の名女優・曽我町子氏が発売直前に急死したことで遺作となってしまったため、「曽我さんの遺作を汚した」と壮絶に叩かれ、遂にはクソゲーオブザイヤーで話題にされ次点になってしまったほどであった。

この事で特撮ファンからの総スカンを買ってしまったデジフロ。『カブト』のゲームも開発する事は決まっていたが、ダメ特撮ゲーを5作も出し続けた実績故に「どーせまたクソゲーだろう」と、世間からはまったく期待されていなかった。

デジフロの奇跡(評価点)

しかしそんな諦めムードの中で発売された本ソフトは、まさかの良作であった

キャラクター

+ クリックで展開
仮面ライダー
マスクドフォームからキャストオフする面々 カブト
ザビー(矢車・影山・加賀美)
風間ドレイク
神代サソード
ガタック
ダークカブト
最初からライダーフォームである面々 キックホッパー
パンチホッパー
ケタロス
へラクス
コーカサス
カブトハイパーフォーム
ガタックハイパーフォーム
ワーム怪人
サナギ体(緑)から脱皮する面々 アラクネア(ルボア・フラバス・ニグリティア)
ベルバー
ベルバーロタ
フォルミュカアルビュス
セパルチュラ
アキャリナアンバー
最初から成体 タランテスパープラ
スコルピオ
ウカ
ゼクトルーパー
通常 シャドウ
敵専用キャラ
サナギ体(白)
  • 原作に登場していたライダーが、後述する「三島ザビー」以外は全員登場しており、質・量共に充実した構成となっている。
    • ザビーは矢車・影山・加賀美の3バージョンが登場している。加賀美はガタックからモーションを流用しているが、影山ザビーとパンチホッパー、矢車ザビーとキックホッパーはモーション、性能共に完全に別キャラ。特に影山ザビーとパンチホッパーは共にパンチ主体でありながらきちんと差別化が図られている。
    • 劇場版に登場した3ライダーも出演。この事はパッケージでもウリの1つとして書かれている。
      • ライダーゲーでは、劇場版限定キャラは基本的に冷遇されていた。『アギト』ではG4は出ていたがボイス一切無し。『555』~『響鬼』ではライダーも怪人も一切出ていなかった*1
      • ただし、ケタロスとコーカサスの声は代役である。
        ケタロスは演じた虎牙光輝氏に海外での仕事が入っていたため、平成仮面ライダーシリーズでおなじみのうなり声しかあげない雑魚怪人役の声優・塩野勝美氏が代役を務めている。
        コーカサスは原作では格闘家・武蔵氏が演じており、流石に当時現役真っ盛りであった彼をゲームにまで呼ぶことはできず、最初から代役を予定していたと思われる。しかし、映画での武蔵氏の演技がたどたどしかったため、代役の中田譲治氏*2の方がキャラに合っているとまで言われた。本作に触れてから映画を見てガッカリした者も少なくない。元々コーカサス(黒崎一誠)自体、「筋骨隆々の大男が青薔薇片手にキザな台詞を吐きまくる」というギャップを特徴としたキャラクターのため、武蔵氏の起用もミスキャストだったというわけではないのだが…。
    • 果ては、幼年誌『てれびくん』の通販品であるDVDにのみ登場した「ガタックハイパーフォーム」まで登場している。
      • 但し台詞は只のガタックと完全に同一。また、説明書で出ている事がバラされてしまっている。
  • 同キャラ対戦はできない(『アギト』以降恒例)が、ゲーム上で別キャラ扱いになっている組み合わせなら原作の設定に関係無く対戦可能。
    • 「変身者が異なるザビー同士の対戦」「カブトハイパーフォーム 対 ザビー・ドレイク・サソード」など。
    • 『剣』では、キングフォームとスペードのアンデッドは対戦できなかった。

戦闘システム

見下ろし型視点、平坦なフィールドを敵味方が動き回る3Dアクション。

  • 戦闘は2対2のタッグマッチが可能となった。またゼクトルーパーやサナギワームは1キャラ枠で複数体のセットになっているため、最大3対3のチームバトルも可能。
  • キャストオフとクロックアップ
    • 『宇宙刑事魂』の超人連携システム*3を受け継いだと思しきゲージシステム。
    • ゲージを溜めることでキャストオフ*4やクロックアップ*5が可能。
      • キャストオフ可能なライダーは、各戦闘の初めはキャストオフゲージを溜めるためにマスクドフォームで戦うことになる。
    • 各状態には長所と短所がある。短所の目立つマスクドフォームも、本作ではキャストオフ時に一瞬無敵になる利点があり、クロックアップ対策として機能する。勿論敵もキャストオフやクロックアップを発動して攻めてくるので、使いどころがカギとなる。
    • これにより単なる連打では勝てなくなり、駆け引きが必要となった。
      • なお、クロックアップは設定通り全ライダーで発動可能。原作では結局未使用に終わったキックホッパーなど*6も例外なく発動できるのも嬉しいところ。
    • ワームの場合はキャストオフではなく「だっぴ」になる。体力が回復する。
      • クロックアップはライダー同様に全員が発動可能。
  • 多彩な技とコンボ
    • ボタンと左スティック(または方向キー)の組み合わせや、その場の状況によって、様々な技が繰り出せる。
    • 各技から別の技へと連続攻撃が可能。敵を上空に浮かせる技などもあり、コンボの組み合わせの幅は広い。
    • 一部ライダーの必殺技は原作で見せた準備動作を再現したようなボタン入力を要求される。
      • 例えばカブトの「ライダーキック」は必殺技ボタンを三回押さなければ発動しない。(ボタンを一回押すごとにカウントダウンの電子音声も入る)この際、通常攻撃を間に挟んで敵のガードを破壊するなど原作で見せたコンボを再現することもできる。
      • キックホッパーの「ライダーキック」は発動中に追加入力することで攻撃回数が増え、方向キーを使うことで複数の敵に攻撃を振り分けることができる。これも原作で多くのファンを魅了したアクションの再現である。

ゲームモード

  • ストーリーモード
    • 「カブト」「その他のライダー」「ワーム」の3本のルートが用意されている。「カブト」以外のルートでは、へラクスでコーカサスを倒すなど、原作での勝敗を無視した展開となる。
  • サバイバルモードが登場した(正確には『クウガ』にもあったが)。
    • 1人プレイでは100人抜きを目指し、2人プレイでは無制限に出てくる敵を何体まで倒せるかに挑戦する。
    • 使用できるキャラはライダーだけであり、敵キャラは全て怪人達だが、ダークカブト使用時のみ怪人ではなくライダーやゼクトルーパーが敵として登場する。
  • 恒例のデジタルカード収集は無くなり、替わりに一度見たデモを再生できる「デモビューワ」機能が登場した。
    • 特定の条件下でないと見られないデモもあるため、簡単には収集できない。ただし、コンプリートしても特典等は一切ない。
    • 必殺技デモの場合は、技を浴びせる相手と背景を任意で選択できる。

ネタ面

原作を知る者をニヤリとさせる…を通り越して大爆笑させるネタのオンパレードであった。

  • ゲーム起動時の「プレイする時は部屋を明るくし~」という注意書きを、天道が「おばあちゃんが言っていた」という例の口調で読み上げてくれる。更に隠しの神代版も。
  • サバイバルモードでは、豆腐・ザル蕎麦・ラーメン・鯖味噌煮といった原作に出た料理が回復アイテムとして登場している。
    • しかも入手すると、「ラ・メーン*7パワー」「サバミソパワー」などと変身アイテムのボイスと同じ声が読み上げてくれる
  • 『555』以降恒例である戦闘前後の台詞パターンも増強されている。
    • 原作に登場する怪人ワームが「人の姿から記憶まで忠実にコピーする能力」を持っている設定を活かしており、同一人物であるキャラを対決させるとなんとも意味深な台詞が聞けたりする。
      • これまでは、同一人物であるキャラ、例を挙げるとファイズとそのブラスターフォームなどを対戦させても「行くぞ!」などといった無難な台詞しか言わなかった。
    • その他、サソードをコーカサスと対決させると薔薇繋がり*8の台詞を発したりと、細かい設定や描写を取り入れた掛け合いもある。
  • OPデモに、主役以外のライダーを登場させる事ができる。
    • これは前作『響鬼』にもあった機能だが、本作は更にもう1段階進化していて、各ライダーがマシンに乗って走るシーンから、必殺技で敵を倒すところまで用意されている。
    • 但しザビーは矢車版しか出すことはできない。
    • 同デモでは、玩具だけで原作に登場しなかったホッパーやサソード用のマシンゼクトロンも登場。ダークカブトに至っては、「ダークエクステンダー」というオリジナルマシンに乗っている。
    • 残念ながらゼクター登場と変身シーン等の前半の映像はカブトで固定されており、他のキャラのシーンは拝む事が出来ない。
  • 条件を満たすと、原作での「天道語録」の台詞を聞くことができる。
    • 但し7種類ある台詞の中からランダムで再生されるだけで、任意の台詞を聞く事はできない。

…と、この様にネタ・ゲーム性共に非常に完成度の高い作品となっており、「デジフロの奇跡」「スタッフはワームに擬態されてるんじゃないか」とまで騒がれた。


問題点

しかし、同時に無視できない点も残っていた。

ゲームシステムの問題

  • 難易度が高い
    • 「強い・普通・弱い・とても弱い」の4段階から選択できるのだが、「普通」でも敵がかなり手強い。逆に「弱い」では簡単すぎる。
    • 隠しキャラの殆どは「普通」以上で条件を満たさないと出現しないため、「子供には揃えるのは無理ではないか」という声が多かった。
      • 一応隠しコマンドやその他の条件で出現させる事もできるので、救済措置はあるのだが。
  • プラクティスやトレーニングモードに当たるものが無い
    • 操作方法が特殊でやれることが多いので、自由に練習できるモードは欲しいところ。
    • 低難易度などでコンボを練習しようとしても、割とすぐに相手の体力が尽きてしまう。
  • つかみ技・投げ技が優遇されすぎている
    • 全ての技の中で自分のゲージ上昇量が最も大きく、敵のゲージ上昇量が最も小さい。つかみ技を決め続ければ、敵にクロックアップを使わせずにプレイヤーはクロックアップを連発できて非常に有利になる。
    • 出が遅いので高難易度では決まりにくいが、それでも十分積極的に狙っていける。
    • クロックアップ中以外はひたすらつかみ技を連発した方が良い場合もある。特にマスクドフォームの場合。
  • タッグバトルの場合、CPU操作の味方キャラの動きが悪く、棒立ちになっていることが多い。
  • 今作のワーム勢は誰1人として必殺技を使えない
    • 故にライダー勢と違って明らかに決め手に欠ける。
    • 『555』~『響鬼』では怪人キャラにも必殺技が用意されていたのだが。
  • ヘラクスやキックホッパーなど無限コンボを持っているキャラがいる。
    • しかも結構手軽にできるので禁止するプレイヤーもいる。
  • 全キャラでモーションが使い回しのアクションも多い。
  • バトルステージが少なく、選択もできない(毎度の事だが)。
    • パッケージ裏を見ると、開発段階ではスーパーマーケットのステージもあったらしいのだが。
  • キャストオフ・クロックアップ・必殺技のデモはストーリーモードでしか表示されない。
    • それ故、オプションによるデモの切り替え機能を欲する声が多かった。
  • ライダーキックなどの必殺技の演出は、ストーリーモード専用のデモ以外では地味でやや物足りない。カメラワークが変わったりすることもない。

原作再現の問題

  • ストーリーモードのストーリーが簡素すぎる。
    • 「原作のストーリーを追体験できる」という触れ込みだが、実際はナレーションによるストーリー説明なども無く、簡単な台詞のやり取りだけで済まされている。
    • しかも途中からパラレルワールドであるはずの劇場版のエピソードが挿入され、その後はただ色々な敵と戦うだけになったりと、「原作の追体験」はどこかに行ってしまう。
      • ただしTV本編の後半にかけてのストーリー評価が低めなこともあり*9、難点ばかりというわけではなく、自分の正体を思い出して絶望するスコルピオをカブトが優しく諭す展開があるなど、いい意味で原作から改変されている部分もある。
      • また、原作は出演キャストの都合で中盤以降のストーリーが明らかに変更になったと思われる部分が多数あり、(結局パラレルという扱いになったが)元々劇場版を本編の前日談として設定していたのでは?と考えられる点も多い。そのため開発が渡されていたシナリオが実際のものと異なっていた可能性は十分にある。
  • プットオン(キャストオフとは逆に、ライダーフォームからマスクドフォームに戻る機能)が発動できない。
    • 原作でもプットオンを利用する場面はほとんど無かったが、それでも使えないよりは使えた方が、より遊びの幅は広がっただろう。
      • とはいえ、もし使用できたとしてもバランス調整が物凄く難しくなると思われるほか、操作や仕様がより複雑になっていた可能性はある。
  • 劇場版限定ライダーが必殺技としてのショルダータックルを発動できない。
    • 劇場版限定ライダーはいずれも右肩のショルダーブレードを使った「ショルダータックル*10」を発動できるのだが、劇中未使用なためか本作には採用されていない。
    • しかし本作では、ケタロスが劇中未使用のライダービートを繰り出せるという例があるので、せめて通常攻撃として採用して欲しかったところ。一応、通常攻撃には肩から体当たりするものも存在するが、専用エフェクトなどはなくモーションも他ライダーの使い回しである。
  • カブトハイパーフォームの必殺技の中に、ハイパーライダーキックが存在しない。
    • 本作では常にパーフェクトゼクターを所持して戦うスタイルとなっており、マキシマムハイパーサイクロンとマキシマムハイパータイフーンは必殺技として使える。
    • 原作のカブトはキック技が印象的であったため、この点を「このゲーム1番の問題点」と呼ぶ声もある。
      • ただし、上記2種の必殺技に加えてさらに3つ目の必殺技を与える形になるので、これもゲームバランスなどを考慮したと考えられる。
  • 上述のカブトと同様に、コーカサスもライダービートを発動できない。
    • 映画本編でもこの技を発動するシーンがあったのみで、実際に技を決めたシーンが無かった。だがケタロスとヘラクスは今作では必殺技として発動できる上、彼の立ち位置は映画のラスボスという重要なポジションであるので、同じ最強形態の立ち位置であるカブトハイパーフォームの様な形で「任意で切り替えて発動できる必殺技のうちの一つ」として使用できるようにして欲しかったところ。
    • なお、内部データにこの技に関するものだと思われる音声が収録されており、開発時には採用する予定があったのかもしれない。
  • 台詞・音声のミスなど。
    • ガタックはケタロスを倒すと、嬉しそうに「やったぜ!」と叫ぶが、これは台詞のミスだろうか?
    • キックホッパーを矢車ザビーと対決させると「仮面ライダーザビー…」と呟くが、これはNG。
      『カブト』の劇中世界では基本的に「マスクドライダー」の総称で呼ばれており、「仮面ライダー」という単語は存在しない。
      • …筈なのだが、番組でも脚本ミスで「仮面ライダードレイク」という単語が出ていたりする…
    • 原作ではガタックのみベルトの音声が他のライダーと異なっているのだが、本作ではキャストオフの音声が他のライダーと同じ音声になってしまっている。
    • ダークカブトのキャストオフのデモ時にゼクター音声でキャストオフの音声がない。
    • 敵がライダーのペア・ワームのペア・ライダーとワームのペアだった場合、汎用セリフが再生されるのだが、これは自分のパートナーや敵の細かい組み合わせに関係無く同じセリフが再生される為、間抜けな状況も生まれてしまう。
      • ガタックはライダーとワームのペアと戦うと「一体どういうつもりだ、ワームと手を組むなんて!?」と激昂する。自分もワームとペアを組んでいても
      • 影山ザビーはライダーペアを倒すと「今日からお前はZECTの一員、まずはカブトを倒して貰おうか」と発言する。相手がカブト本人であっても
    • スタッフロールで、ドレイクとコーカサスの変身者の本名が「風間大介」「黒崎一誠」ではなく「風間大」「黒崎一」と誤表記されている。

賛否両論点

  • マスクドフォームの使い辛さ
    • 「必殺技・クロックアップ使用不可」「各攻撃のステップキャンセルが利かない」という仕様のため立ち回りが非常に不利であり、それに代わる長所も防御力が高い程度しかないので、原作のようにカッコ良く戦うことも困難になっている。
    • 攻撃を仕掛けても潰されたり、隙を狙われやすいので、近距離技を振る意義も薄く、特定の飛び道具やつかみ技を連発するだけの戦法になりやすい。
    • もっとも「キャストオフを発動するまでの前座程度の扱い」といった位置付け自体は原作通りである。前述したように、本作ではクロックアップ対策としての役割もあるため、一概に調整不足と言い切れない部分もある。
  • 発売時期の関係で、原作との相違点があったり、原作終盤に活躍したキャラが登場しなかったりする。
    • 上述したカブトハイパーフォームの必殺技2種は、なぜか天道も技名を宣言して発動する。原作では無言で発動していた。
      • 原作では必殺技名をクールに宣言するのが特徴であるため、番組当初は宣言する予定だったのかもしれない。
      • また、マキシマムハイパータイフーンの演出も原作と異なり、本作ではYを描くように2回斬り付けるという独自の演出となっている。 これはゲーム開発中では原作ではまだこの技が披露されたエピソードが未放送だった為、パーフェクトゼクターの玩具CMのエフェクトを参考にしたからである。
    • 原作終盤に登場した強敵カッシスワームや、三島正人が変身したザビーこと「三島ザビー」、ラスボスのグリラスワームも登場しない。三島ザビーはともかく、カッシスとグリラスは開発時期を考えれば出せる筈がないが。
      • それだけに、事実上のラスボスが変身者となっている「三島ザビー」がオミットされたのは惜しいところか。
    • キックホッパーはTV登場前からゲームキャラとして開発されていたのだが、いざTVで登場したキックホッパーの必殺技がゲームとまったく違うものだったので、ゲームスタッフが徹夜でモーションを作り直したという逸話がある。おかげで劇中同様の連続キックが可能となっているなど、その努力と拘りは評価すべきところである。
      • しかし急遽作り直したためか、必殺技のデモはおかしな点がある。大筋は再現されているのだが、何も無い空中に張り付いてからキックを出したり、敵にキックを命中させた後の着地時の向きが明らかに逆になっていたりと違和感が目立つ。
      • また、パンチホッパーのモーションまでは流石に作り直せなかったようで、本作では百烈拳のような演出となっている。
    • ダークカブトの性格がTV本編とはまったく違い、他の作品に登場するダークライダーである『アギト』のアナザーアギトや『龍騎』のリュウガのようなキャラになっている。
      • とはいえ、他の作品のダークライダーもこのような性格のものばかりなのでTVでもこうなる予定だったのかもしれない。例えば当時の児童誌では「時空を飛び回りながらカブトと戦う」と書かれるなど、実際の展開と異なる文章はしばしば見られていた。
      • ダークカブトのライダーキックは、原作ではカブト同様の回し蹴りだが、今作ではかかと落としからそのまま踏み抜くという独特の攻撃方法であり、この点は原作よりも良いという評価もある。
      • 本編ではお世辞にも扱いが良いとは言えない声もあり、上述の雑誌のエピソードの事も含めて戦闘スタイルや台詞を聞いただけでもこのゲームでの方がキャラが立っていてまさしくダークなカブトであった為、こちらのダークカブトの活躍を本編でも見てみたかったと言うファンも少なくない。
  • 実写要素について
    • 恒例のデジタルカードモードがないため、原作の劇中写真は一切収録されていない。故に変身前の役者のファンにとっては少々魅力に欠ける点がある。
    • 上記に関連して、OPデモには変身前の天道は登場するものの、顔が可能な限り映らないようにアングルが調整されている。

総評

主にゲームバランス関連の問題点は残るものの、「『仮面ライダーカブト』という番組のゲーム」としては非常に完成度が高く、「神ゲーならぬ天ゲー」と評価された。
『龍騎』から少しずつ発展してきたネタ度の高さに、『宇宙刑事魂』の数少ない良点だったサバイバルモードとゲージシステムの導入など、デジフロの特撮ゲームの集大成とでも呼ぶべき作品に仕上がっており、作品のファンには是非とも遊んでもらいたい一作である。


余談

  • 前述のように、本作はデジフロのライダーゲーとしては最終作であり、翌年以降の『電王』『キバ』と2年続けてゲームは発売されなかった。
    • 本作のデベロッパーあるデジフロイド自身も「本作で開発を担当するのが最後と決められていたためガチな格ゲーを作り上げた」とか。事実、電王の時は公式ブログで電王のゲームは出ないことがアナウンスされた。
    • こうして飢餓感を煽られていたファン達は、その後に発表された『仮面ライダー クライマックスヒーローズ』に期待を寄せたのだが…。詳しくは該当項目を参照。
  • 本作は、内容的には前3作より遥かに充実しているのだが、なぜか前3作と違って攻略本が発売されなかった。
    • その代わりということなのか、開発元が自社サイトの商品紹介欄に自ら攻略サイト(にしか見えない細かい攻略コーナー)を設けていた
  • 上述したように単独の平成ライダーをテーマとしたゲーム作品の中では随一の完成度を誇るものの惜しい点もある為、本作のプレイヤーから完全版の発売及びリメイクやリマスター化を望む声は決して少なくない。
    • しかし、版権や俳優事情が相まってか発売から10年以上経った現在でも未だに制作の目処は立っていない。

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最終更新:2023年12月17日 16:30

*1 『龍騎』のみ、リュウガとファムは出ていた。と言っても彼らは映画の他に特番にも出ていたが。

*2 現在は声優の専業だが、俳優時代に『超新星フラッシュマン』のサー・カウラー、『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアス等、幾つかの特撮作品に出演していた。

*3 敵を連続で攻撃してゲージを溜め、変身するシステム。

*4 マスクドフォームから全身のアーマーを吹き飛ばし、ライダーフォームへ移行する為の形態変化の事。また吹き飛ばしたアーマーには攻撃判定がある。

*5 ライダーフォームでのみ使用可能な高速化能力。ちなみに厳密には高速化ではなく、タキオン粒子が体を駆け巡って時間流を自在に行動できるようになる機能で、発動中は周りの時間が止まっているような状態となる。

*6 ただし、近年では『仮面ライダージオウ』などの客演中に発動したケースもある。

*7 劇中のある登場人物が用いる、ラーメンの妙な発音の再現である。卑怯なことに説明書でもラーメンはこの表記。挙句の果てにハズレアイテムとして『トロピカルラ・メーン』まで用意されている謎の拘りよう。

*8 コーカサスは常に青い薔薇を手にしているが、サソードはとある事情から薔薇を嫌っている。なお、劇中では両者が絡むシーンはない。

*9 無論全ての評価が低いわけではなく、例えばドレイクやサソードの活躍する回や、地獄兄弟のキャラクター性と戦闘スタイル、三島ザビーやカッシスの強敵感など、高評価な演出&エピソードは多数存在している。

*10 ただのタックルではなく、ショルダーブレードにタキオン粒子の波動を送り込み、体当たりで相手の原子を崩壊・消滅させるという設定もある。