この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO

【このよのはてでこいをうたうしょうじょ ゆーの】

ジャンル ADV
対応機種 PC-9801VM/UV以降&
Windows
発売・開発元 エルフ
発売日 1996年12月26日
定価 9,600円(PC98版)
レーティング アダルトゲーム
判定 良作

概要

  • 「並行世界」をテーマの一つとし、それをシステムに取り込んで見事に表現した傑作AVG。ストーリーも秀逸であり、剣乃作品最高傑作との評価もある。
  • SFアドベンチャーゲームの金字塔にして到達点の1つとされている。
  • シーズウェア(姫屋ソフト)退社後、エルフに移籍した剣乃ゆきひろ(現:管野ひろゆき)氏が、エルフで作った唯一の作品。

ストーリー

境町学園の三年、有馬たくやは、一学期がようやく終わり明日から夏休みだというのに学校にとどまっていた。そこに、少し前に赴任した女医で新担任でもある武田絵里子が現れる。二言三言の会話の後、たくやは彼女から慰めの言葉を受けた。それは彼の父、有馬広大が死亡した事への彼女なりの気遣いだった。
二ヶ月前、歴史学者だった広大は研究のため家を出た後に落石事故で行方不明になった。捜索はしたものの結局発見できず、1ヶ月前に死亡と認定された。ただたくやには、父は非常にアクが強くアグレッシブで、その性格が死と結びつかなかったためか不思議と父が死んだという印象が沸かなかった。

たくやは既に実母も幼い頃に亡くしており、父の死後は父の後妻である亜由美と暮らしていた。たくやの父と結婚してからほんの半年で未亡人となってしまった亜由美だが、そんな影を見せないよう気丈に振舞っていた。だが、たくやはそれが演技であるとうすうす感じていた。
亜由美は町内に勤務先があるジオ・テクニクス社の社員で、現在はその新オフィス建造の総責任者となっている。だが、その工事において最近おかしな事件が起こっていた。工事現場となっている境町の海岸で、三度も落雷死亡事故が起こったのだ。落雷が同じ場所に三度も落ちたことだけでなく、全て死亡事故となっていたことでその事故は「三角山の祟りのせいではないか」という妙な噂が立っていた。「三角山」とは工事現場の海岸の端に立っているまるで塔のような岩のことで、その麓にまだ解明のされていない古代の遺跡の痕跡らしきものが存在した。

そんなある日、たくや宛てに小包が届く。開けてみると奇妙なものが入っており、それは大きめの古代の鏡のような円形のものと、何かをはめ込む穴がいくつもあいた石版のようなものであった。そして石版には二つほど、水晶のようなものがはまっていた。最後には手紙があり、開けてみるとそれは父、広大のものだった。その中には歴史は不可逆だが時間は可逆という理解しがたい一文、そしてなんと広大は生きているということが書かれていた。だが考えてみると、手紙を書いた時点では父が生きていた、という話ならなんの不思議もないように思える。しかし、その手紙には最後に「今日の22時に三角山の麓である人に会え」という奇妙な事が書かれていたのだ。別に手紙に日付指定をしている訳でもないのに、今日とはいつを想定して言っているのか。だが時計を見ると、22時まであとわずかである。やがてたくやは思案の末、その手紙の指示通り三角山へと向かった。だが、そこで待っていたものは…。

システム

  • ADVの基本システム部分はプロローグ等一部はコマンド選択式、メイン部分はポイント&クリック方式
    • P&Cの画面では、画面中をマウスでクリックし、話す、調べる、使う、移動などのコマンドが実行される。
  • 並行世界を具現化した「A.D.M.Sシステム」
    • システム画面を開くと、いわゆるADVゲームのシナリオ分岐とも言える物が樹形図のように表示される。
      • 一般的なADV同様、選んだ行動によりシナリオは分岐し、それにより一度でも通ったルートは可視化され、ルート表示が増えていく。
    • プレイヤーは「宝玉」を使用する事で並行世界間の移動が可能になっている。
      • 「宝玉」の設置は、手持ちの「宝玉」を使用する事で行う。これで他のシナリオ上から戻ってくる為の目印が設置される。
      • ADMSを使用した移動は、システム画面で過去に自身で設置した「宝玉」をクリックする事で行われる。移動時には設置した「宝玉」は回収される。
        また、「宝玉」を使用した移動でなくても、「宝玉」を設置した場所より前の時間に移動した後にそのままストーリーを進める等で、設置したシナリオに戻れば同じく回収される。
      • 大雑把な説明をすると、チェックポイントに「戻る」のみのタイムマシンのような事が可能になっている。
    • 「宝玉」の数は有限。ゲーム開始時は所持数が少なく、各地に散らばった「宝玉」を集めるのもゲームの目的の1つ。
      • ADMSを使った移動には1つは「宝玉」を持っておく必要があるため、不用意に使いすぎると移動ができなくなってしまう。
      • 最終手段として本編開始時点からの再開機能もあるので、それで「宝玉」の回収は可能。
    • ゲームシナリオの楽しみ方とは別に、手持ちの宝玉の使用ポイントや回収タイミングを組み立てる戦略的な楽しさがある。
右下の丸が所持宝玉(8個中2個を所持)
線の先の白い丸が現在地点。
光った丸が未回収の宝玉。
四角いマークは何かしらのシナリオの終点。
  • 上記とは別にゲームの中断機能も存在
    • 一般的なADVで行われる「選択肢の前でセーブ」というような事は「宝玉」で行うので、それらの情報も含めた一時中断機能。
  • エンディングは1つのみ。
    • もちろん複数のストーリーラインがあり、それぞれがなんらかの結末を迎えるのだが、そこでは終われず、また別のシナリオへと進む必要がある。

評価点

  • 「A.D.M.Sシステム」により、ADVのシナリオ分岐と並行世界をシナリオ・システムとしてまとめ上げている。
    • 一般的なADVにおいて、シナリオの分岐は「独立したストーリーラインを選んでシナリオを読む」物だが、本作では並行世界を行き来することで「別ルートで入手したアイテムや情報を用いてシナリオを進める」事が可能になっている。
      • これにより全く別のシナリオ上で手に入れたアイテムはもちろん、未来にならないと手に入らないアイテムを使用する事でシナリオを変える事も可能になっている。
    • このシステム及び、本作における並行世界の概念も作中でしっかり設定されており、「ADVのルート分岐」というものが1つのゲームとしてまとまっている。
  • ストーリーは秀逸かつ複雑。
    • 並行世界を行き来しながら話が進むため、伏線が意外な所で回収されたりと驚かされる面もある。
    • 物理・数学・哲学・歴史・宗教の知識を深く取り入れた独特の世界、また剣乃作品に共通するテーマ「愛と別離」、これらも本作の評価を高めている。
  • キャラクター性や台詞回しにやや古臭さを感じるものの、登場人物は魅力的。
    • 「ツンデレ」という言葉はない時代だったが、ツンデレキャラも存在する。
    • 女性キャラの方は魅力的に描かれているが、男性キャラの方は当時のアダルトゲームらしく嫌味だったり下種・小物だったりと、ややくどいステレオタイプに作られている。現在の、男性サブキャラも魅力的に描かれている作品に慣れている場合は、違和感を覚えるかもしれない。
      • また主人公も前髪で目の部分を隠した、当時に多く見られた(現在ならば古臭い)キャラデザインである。PS4版&PSVita版では普通に目が露出したデザインに変更されている。
  • BGMも評価が高い。
    • エルフのPC-98シリーズのゲームで唯一86ボード対応でBGMが作られた作品でもある。
    • また、2枚組のサウンドトラックが発売されている(店頭販売はされず、パッケージ同梱の注文書で購入する形であった)。そのジャケットは2つ折りの紙製という非常に簡素な装丁であった。

賛否両論点

  • コマンド選択時に無駄なコマンドが多い。
    • 具体的には、天井を選択して「天井だ…」、電柱を選択して「電柱だ…」など
    • お遊び要素なども含まれているので、探してみるのも楽しい反面、なかなか先に進められない事も。
  • ゲームシステム上悲劇の回避が目的になりやすいが、実質的に鬱シナリオを強制的に発生させざるを得ない箇所がある。
    • これ自体は普通のADVなら選択肢でバッドエンドを回避できるところを、ゲームシステムを活かした上で回避する為の物。
      • たとえば時間が経たないと(バッドエンドが確定した後でないと)手に入らないアイテムを用いて、普通ならどうやっても回避出来ない悲劇を、入手後に過去に戻る事で回避する、など。
      • ただ、鬱イベント自体を出来るだけ回避したい人にはやはり辛い。
    • 「悲劇を知ったからこそ助けられる」「悲劇を知ってからの方が助けた喜びは大きくなる」「本来助けられないはずなのに、未来で手に入れたアイテムを過去で使用する事で助けられる」と、シナリオを盛り上げる事には一役買っている。
    • ただしプレイヤーが行うのは「歴史の改変・改竄」ではなく「別の結末に向かう平行世界の創造」であるので、仮にこの手法であるキャラを救いハッピーエンドを迎えたとしても、その世界とは別にそのキャラを救えなかった平行世界も厳然と存在するという事実もあるのだが…。
    • また、どんなルートを辿っても絶対に救えないキャラクターもいる(ゲーム中では死へ向かう運命へのベクトルが余りにも強すぎるためと説明されている)。
  • 倫理的に問題のある描写(近親相姦・カニバリズムなど)が存在する。
    • どちらもシナリオ上大事な場面であり、特に後者は葛藤シーン等も強く描写されている為、シーン自体の評価は高い。
    • カニバリズムと書いたが、正確には対象となるのは「人間」ではない。
      • ただしそれを行う人物にとっては、対象は非常に親しい存在であるため、もちろん重度のショックを受けることになる。
    • 近親相姦は2組描写される。
      • その内1組は後の情報を積み上げていくと「2人は肉親である可能性がある」事がわかる、といった表現だが、もう1組は疑いようもなく「血のつながりのある者同士」。
      • 前者の情報が出そろうのはストーリー進行上Hイベント発生後であるため、当事者の2人(及びプレイヤー)はその時点では近親関係にあるかもしれないという可能性を認識しておらず、男女関係の帰結として結ばれただけである。
      • 後者は当事者がその点をきちんと認識した上で関係を持っている為、問題点に挙げられやすい。ただし「18歳以上推奨」であるSS版ではさすがに問題があるのか、「最中」の表現はカットされており、あくまで行われたかもしれない事(今風でいうところの「事後」)を匂わせる程度にとどまっている。
    • 上記ほどの問題ではないが、未亡人認定されているとはいえ、継母と関係を持つというのも気になる人は気になる要素。

問題点

  • 画面クリック形式のコマンド選択が色々と不便。
    • 別の所をクリックしたつもりでも同じ結果が出るなんて事もしばしばで、「どこをクリックしても同じ事を言われる」とイライラする事も。
      • 誰かとの会話シーンでも、「会話」→「特定の箇所を見る」→「会話」と進行させなければいけないようなシーンも多く、会話を続けたいのに上手くいかず相手からは文句を言われたりもする。
    • 一部判定の小さい箇所があり、画面を総当たりしているつもりが通り過ぎてしまい、総当たりしても話が進まなく詰まることも。
      • そもそも選択枝が具体的に見えないため、総当たりしたのかどうなのかが分かりにくい。
    • 一応、同じストーリーラインをたどる時、フラグを立てるコマンドが分かっていれば、マウスによる操作の方が早いという利点もある。
  • 宝玉の使い方を間違えると非常に時間がかかる。このためストーリー重視のADVとしては、難易度が高めである。
    • スキップの速度自体は爆速なので、周回プレイはそれ程苦では無いのだが。
  • 「石棺パズル」が完全な前知識なしでは難しすぎる
    • ようは「独自の文字を使用したお絵かきロジック」であり、「独自の文字と数字の変換機能を持ったPCは用意されている」、「そのPCでお絵かきロジックを再現可能 *1 」、「数字と数字の間は一つ間を空けるという説明はされる」と、ヒント自体は用意されている。
      • ただ、それでもお絵かきロジックの知識がない人からは「何をどうすれば良いのか意味が分からない」と言われる事も多く、ここで詰まってしまった人も多かった。
      • 一応、PC-98版では追加ディスクである「スペシャルディスク」にルールの説明を受けられるヒントコーナーと、同じルールでプレイできる脱衣(?)ミニゲームが収録されていた。
  • 一部のヒロインの設定は人によっては抵抗のある物がある
    • 菅野氏の作品では割とよくある事だが、本作はいわゆるハーレム物としての作りではなく、性関係はシナリオの一要素として作られている。その為、ヒロインが既に他の男性(中には主人公の父親と)関係を持っていたり、寝とられそうになったりと言った展開が含まれている。そういうのが苦手な人には少々きつい。
  • 標準でCGモードが無い
    • PC-98版には当時すでに一般的になっていたCGモードが標準装備されていない。製品同梱の用紙で購入できたSPディスクにて追加されたが、CGの量が多いにも関わらず、リストの表示がCG番号だけでサムネイルはおろかキャラ分けもされていないため、見たいCGが一見して分からないという不便さがあった。
  • 一部伏線を回収し切れてない部分が幾つかあり、疑問の残る点がある。
    • 原作者の管野ひろゆき氏も亡くなられているので、今となっては本人に直接確認する事も不可能である。
  • やや強引なラスト近辺
    • A.D.M.Sシステムを駆使した物語前半に対して、旧来のコマンドシステムを使った後半についてはかなり強引な展開が待っている。
      • この点については、開発時間が足りなかったための措置であり仕方のない面はある。
  • 後半の主人公の行動
    • 後半の主人公があまり気分の良いが行動を取れていない。
      + 終盤の展開のネタバレ有
    • 後半開始直後に主人公は一時的にリフレクターデバイスを失う事になるのだが、主人公の度重なる軽率な行動が目立つようになる。具体的には「手紙を確認せず、帝都に送る」「子供を放置して妻の復讐に行く」など…。
    • そのせいで多くの仲間や家族を傷つけ、失う事になってしまう。しかもリフレクターデバイスが無いせいで、物語前半での常套手段だった「別の平行世界線で入手したアイテムを駆使して危機を回避する」という手段が使えないのである。故にプレイヤーは「自分の意思とは関係なしに仲間を死なせることになる」という印象を受けてしまう。
    • 主人公は、後半になり他の登場人物から成長したと言われるのだが、そうは思えない。
    • これが旧来のアドベンチャーでのイベントであればそこまで不満を抱かなかったかもしれないが、非常に自由度の高いA.D.M.Sシステムに慣らされてしまったプレイヤーには、どうにもこの終盤以降の展開は納得し難いものとなってしまう。物語後半は完全に一本道であり、終盤以降に起きる数々の悲劇はやり直す事は出来ないうえに、必ず見せつけられる事になるのだ。
    • 最終的に主人公はリフレクターデバイスを取り戻し、再びA.D.M.Sシステムを駆使してユーノを救出する事になるのだが、それが可能になるのは物語の最終盤、エンディング直前である。それ以前にリフレクターデバイスを使えれば、主人公の為に犠牲になった多くの人々を助けられたかもしれないのに…と焦燥感を抱いたプレイヤーは多かったのではないだろうか。
    • とはいえ前述の通り、リフレクターデバイスで可能なのは「新たなる平行世界線の創造」でしかなく、主人公が新しく構築した平行世界線で犠牲になった人々を助ける事が出来ても、「助けられなかった平行世界線」もまた存在し続けている事に変わりは無いのだが。
  • 一か所だけ非常にシナリオ分岐がしにくい箇所がある。
    • 「特定のルート未到達時」もしくは、「ゲームクリア後」でしか通れないシナリオ分岐が存在し、ルート達成率100%の壁になってしまいやすい。
      • 特に前者の原因となるルートは初回プレイ時に到達してしまいやすいルートであり、分岐自体は早期の段階で目に見えているので、どうやってこの分岐に入るのかとゲームクリア前に悩んだプレイヤーも多い。
    • ゲームクリアにおいてはこのルート分岐自体は不要な為、ゲームクリアには影響はない。
  • 一部CG不足
    • ドラッグストアの場面などCGが無く、黒バッグで会話のみの場面がある。

総評

並行世界をシナリオだけではなく、ゲームシステムとして見事に具現化した点は他に類を見ず、この点だけでも評価に値する。また、そのため各世界の出来事が複雑に絡み合う、シナリオ構成も見事である。惜しむらくは伏線の一部を回収し損なっている点だが、それでも本作の魅力はなお余りある。さらにその独特な世界観と、剣乃作品特有の余韻も本作を印象深いものとしている。
いささか古さは否めないものの、特異なADVとしてその評価は非常に高く、今なおADVの最高峰として挙げる人もいるほどである。


移植・リメイク

  • セガサターン版
    • グラフィックの描き直しやボイスの追加等がされたCS移植。詳しくは下記。
  • Windows版
    • elf会員限定で販売された『エルフ大人の缶詰』に古い作品をまとめた『elf classic』が入っており、その中に『YU-NO』も収録されている。
      • 後に『elf Classic』も限定的に単独販売されたが、elfの他作品とは異なりDL販売はされていない。
    • 基本的にPC98版の移植だが、さすがに家庭用ハードのようにアダルト要素が丸々削除されたりはしていないが当時のソフ論規制に合わせ伏字や一部シーンの削除などがされオリジナルのままではない。
  • PS4/PSV版
    • 2017年3月16日、『STEINS;GATE』等の作品で知られるMAGES.により発売されたフルリメイク版。詳しくは下記。
      • 2014年12月29日の発表後に度々延期され、2016年11月発売予定のCM後にも再度延期された。

この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO(セガサターン版)

【このよのはてでこいをうたうしょうじょ ゆーの】

ジャンル ADV
対応機種 セガサターン
発売・開発元 エルフ
発売日 1997年12月4日
定価 7,800円(通常版)
9,800円(マウス同梱版)
レーティング 18歳以上推奨
判定 良作

概要(SS版)

上記ソフトのコンシューマ移植版。

変更点(SS版)

  • 主要キャラクター全員にボイスがついた。
  • グラフィックが全て描き直されている。
  • 手に入る宝玉の数が2個追加された。
  • 一部シナリオの変更
    • CS環境に合わせて性描写等、一部描写の削除・変更
    • PC-98版のスペシャルディスクに収録されていた追加エピソードが、後編ストーリーに組み込まれた。
  • アニメーションの追加

評価点(SS版)

  • SSに合わせ、演出面が全体的に強化された。
    • 書き直されたグラフィックは全体的に綺麗になった。
    • 追加されたボイスも檜山修之氏、立木文彦氏、井上喜久子氏、今井由香氏、冬馬由美氏等々、非常に豪華な声優陣であり、実にはまり役。
  • 宝玉の追加で遊びやすくなった。
    • ゲームシステム上、うかつな宝玉の使用(=セーブポイントを作る)で窮屈なプレイになってしまいやすく、使い切った際には面倒な事になるのだが、宝玉が増えた事で遊びやすくなった。

問題点(SS版)

  • ディスク入れ替えの手間が増えた。
    • ディスク3枚組み構成になっており、別ルートへ飛ぶ際にはディスク入れ替えが必要。
      • 一応、分け方は考慮されており、全くの別ルートへ飛ばない限りはディスク入れ替えは発生しない作りにはなっているが、プレイに行き詰った際等に色々とルートを変える際には割と面倒である。
  • OPムービーに2部のネタバレが入っている
    • PC98版では1部のシーンしか入れない事でネタバレを防ぎ、2部の衝撃に一役買っていたのだが、それをOPに入れてしまった事には否定的な声も。
  • 「石棺パズル」へのサポートは特になし
    • PC-98版の頃に比べると『マリオのピクロス』等もあってルールは知れ渡ったが、やはりルールを知らない人は大抵ここで詰まった。

総評(SS版)

グラフィックやボイス等、演出面が強化され、宝玉の追加で遊びやすくもなった良好な移植版。
CSに移植された事で幅広く遊ばれ、『EVE burst error』と合わせPCユーザー以外にも菅野ひろゆきの名前を広める事となった。


この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO(PS4/PSV版)

【このよのはてでこいをうたうしょうじょ ゆーの】

ジャンル ADV
対応機種 プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売・開発元 MAGES./5pb.
発売日 2017年3月16日
定価 7,800円(通常版)
7,000円(DL版)
11,000円(限定版)
レーティング CERO:D
判定 良作
備考 初回限定版には攻略本とサウンドトラック(5枚組)が付属

概要(PS4/PSV版)

上記ソフトのリメイク版。
初回生産特典としてPC98版がダウンロード出来るプロダクトコードが同梱された。DL期限は発売日から1年間。
リメイク版公式サイト

変更点(PS4/PSV版)

  • グラフィック及びCVの変更。
    • CGはすべて描き直されているが、構図は原作に準拠している。
      • 立ち絵等も原作準拠の為、完全新規の物はない。
  • BGMを全てリメイクし、新曲も追加。設定でオリジナル版の音源にする事も可能。
  • 画面クリック時にプルーフターゲットシステムを採用。
    • 同じく菅野氏の作品である探偵紳士シリーズのシステムが使われており、画面内をクリックするポイント&クリック方式の画面では画面中に〇が配置されている。それらにカーソルを合わせると「空」「机」「あたりの様子」等、クリックする対象の項目名が表示される。
  • 選択時に同じメッセージしか出ない選択肢は表示が暗くなる。
  • ADMSの画面で宝玉セーブにサムネを追加。
    • その場面の時間とルート名、開始時の文章が載っている。
  • 石棺パズルの解答を見れる機能を追加。
    • オプションに「パネル解答表示」が存在する。(標準ではオフ)

評価点(PS4/PSV版)

  • システムの改善で遊びやすくなった。
    • プルーフターゲットシステムの採用と選択肢のグレー化で、ゲーム性はほぼ変えずに元々のシステムの問題であった「選択肢が目に見えず総当たりしにくい」「変わり映えのない選択肢を繰り返してしまう」が改善された。
      • 進行フラグの立て方が分かりづらい箇所は残ったままだが、それでも総当たりが目に見えて可能になった事で以前に比べるとかなり進めやすい。
    • ADMS画面でのサムネの追加も便利。
    • 石棺パズルも答えをそのまま表示させてしまうのはどうかとも言えるが、今までが最終手段もなく詰まってしまった人間もいたので、こういう解決も仕方ないと言える。
  • 初回生産特典のPC98版移植。
    • グラフィックの変更はやはり原作ファンからの抵抗が強く、またシステム変更のない原点のままで遊べるというのも原作ファンには嬉しい要素。
      • オプションでPS4/PSV版同様のターゲット表示も可能になっており、あくまでグラフィックやBGMを元のままで遊びやすくというのも可能。
      • マウスでの操作に対応していないのは残念だが、普通にプレイする分には特に問題無いだろう。
    • 家庭用への移植という事もあり、さすがに完全移植では無く、現在の倫理基準に従って18禁などの一部シーンに修正が加えられているが、これは仕方ないだろう。

賛否両論点(PS4/PSV版)

  • 変更する際に必ず槍玉に上がる問題だが、声優・キャラクターデザインの変更は原作ファンに違和感を与える。
    • 元のグラフィックは今のゲームとして出すには絵柄が古いので、今風の絵柄への変更は仕方ないとも言える。
      • ただ、それを別にしても全体的に絵柄が幼く見えるのが作風と合っていないと感じる人もいる。特に大人の女性は幼く見えすぎてしまっている。
    • また、新声優はSS版プレイヤーからするとやはり違和感が強い。
      • 決して下手なわけではないので、新規プレイヤーには問題ではない。
  • プルーフターゲットシステムの導入で小ネタが目に見えるようになった。
    • 特に主人公の自室が健著で、クリアには必要ない項目が多数ちりばめられているのが、システム変更で見つけやすくなった。
    • 半面、こういった小ネタは探す楽しみでもあった為、それをはっきり項目を出してしまうのは楽しみが減ってしまってもいる。

問題点(PS4/PSV版)

  • ボイスの読み間違いがある。
    • 「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」の「志」を「し」と読んでしまっている。
      • しかも間違えているのが老人である為、余計おかしく聞こえる。これはSS版ではきちんと「こころざし」と読んでいた。
  • OPムービーの変更でゲーム中のヒントが分かりづらくなった。
    • OPムービーのみに存在するゲーム中のヒントが存在するのだが、その箇所が非常に短時間で気づきにくくなっており、さらにゲーム中でこのOPムービーを見る機会が本編開始直前のみとほぼない。
      • 今までの機種では起動の度にOPムービーを見る機会があり、ヒントの箇所も直接的な描写だったおかげでまだ気づきやすかったのだが、本作初プレイではまず気づけなくなってしまっている。
    • 一応、タイトル画面で別のヒントも追加されているが、これも曖昧な表現でヒントとは気づきにくい。
    • OPムービー自体は動画サイトや公式サイトにおいて公式配信されているのでいつでも確認する事は可能だが、実際ゲームを始めた後に見に行く事は稀なので、攻略の面では役に立っているとは言えないだろう。
  • プルーフターゲットシステムの問題点
    • システムありきでクリック個所を設定した既存のゲームと違い、クリック個所を分かりやすくさせる為に導入した為、選択可能な箇所の多い本作では画面中に〇(正確には小さい虫メガネ)が散らばっており、絵的に悪い。
  • 不具合
    • 一部で音が止まるバグがある。
    • エンディングが初回からスキップ可能になってしまっている。
  • PC98移植版のOPムービーが一部不自然になってしまっている。
    • 元々はOPムービー開始時にelfマークが表示され、その一部がそのまま残りムービーの一部になるという演出なのだが、elf表示を消した上でその残るマークのみを残してしまっている為、謎の三角だけが表示されるという違和感のあるOPになってしまっている。
  • 不要なDLC
    • 2017年6月5日に追加シナリオを収録した修正パッチが配信されたが、その内容は『ミステリートF』の宣伝だった。
      • ゲームクリアが必要な上、公式で新ルートの追加と宣伝したが、5分もかからず終わる本作とは全く関係ないゲームの宣伝というショボい内容。わざわざDLCで入れる物ではなかった。
  • 画像が存在しないキャラとの会話はそのまま
    • 新規の背景やキャラは作られていない為、ドラッグストアの場面などが黒バッグなのはそのままである。
  • 公式HPのキャラクター紹介
    • 本来プレイ前には開示されない異世界編のキャラクターまで紹介してしまっている。

総評(PS4/PSV版)

グラフィックやボイスの変更はあるものの、内容自体はシナリオやシステムをほぼいじらずに遊びやすくなっており今からYU-NOに触れるなら本作で良いだろう。
初回生産版のみではあるがPC98版の移植もDL出来るようになっており、現環境で過去の名作が遊べるという原作ファンにも嬉しい一作。
ADVの名作としていまだに名前が挙がる事が多いのに遊びにくい環境が続いていたので、本作は過去の名作に触れる良い機会となった。


余談

  • 上記、PS4/PSVリメイク版が発売されるまでは少々プレイが困難な環境が続いた。
    • PC98版は言わずもがな。
      • 上記の通り、PS4/PSV版の初回生産特典としてPC98版が移植された。
    • Windows版はどちらも限定販売のみで、現在はプレミアム値が付いてしまっている。
      • elfは旧作のダウンロード販売も行っていたのだが、本作は販売しなかった。
      • その後elfは倒産してしまったのだが版権がMAGES.に移ったので、elfとしての移植はまずないだろう。MAGES.がWindoews版をDL販売する可能性もなくはないが、現状そういった発表はない。
    • SS版は多少プレミア値が付いているが、他に比べれば入手しやすい。リメイク版が発売されるまでは本体を用意できれば一番遊びやすい環境だった。
  • 製作者、剣乃ゆきひろ氏本人は、A.D.M.Sシステムでゲームのほとんどの部分を構成したかったのに、物語後半部分で旧来の一般的ADVのシステムを使わざる得なくなったことで、本作を「駄作」と評していた。
    • だが、その後、プレイヤーからの非常に高い評価を受け、自信を取り戻したそうである。
  • 本作のキャラクター武田絵里子は、『THE KING OF FIGHTERS '97』の「シェルミー」のモデルと言われている。
  • なおSS版は現在のCERO:CかD指定程度の描写。あくまで18歳以上「推奨」であって18禁ではない。
    • 前述のPS4/PSV版はCERO:D(17歳以上対象)。
  • ウィキペディアでの本作の項目が、アダルトゲームの項目としては異常に充実していることで知られる。考察の部分に難解な点が多々存在することと、ネタバレの記述が存在する点には注意。
  • PS4版公式サイトにネタバレになる人物相関図がある。
  • 本作の登場人物の苗字は九州の戦国武将から取られている。
  • 2017年1月に音楽家・高見龍氏へのインタビュー記事が掲載された
    • 開発状況や移植に関する事情など、本作に関して詳しい記述がなされている。
  • 奇しくも、シナリオの剣乃ゆきひろ(管野ひろゆき)氏とサウンドの梅本竜氏が亡くなったのは同じ2011年であった。

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