現代大戦略EX
【げんだいだいせんりゃくいーえっくす】
ジャンル
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シミュレーション
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対応機種
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PC-9801VM/UV以降,FM TOWNS
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発売・開発元
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システムソフト |
発売日
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1993年7月
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定価
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12,800円
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判定
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良作
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大戦略シリーズ
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概要
大戦略シリーズの一作。
シリーズが進むにつれゲームシステムは複雑化する傾向にあったが、本作はそれらを色々と整理・簡略化し遊びやすいものに仕上げている。
特徴
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ヘクス(六角マス)マップ、ターン制の戦術SLG。シリーズでは一時、リアルタイム制を採用したものもあったが、本作では遊びやすいターン制を採用している。
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基本システムは初代の『現代大戦略』と同様。街を占領しながら経済力を増し、それにより兵力を増強。敵首都占領を目指す。
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他のシリーズにあった工業力といった概念など複雑な国力の概念は、オミットされ単純化されている。
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最大5陣営でプレイ可能。同盟システムがあり、プレイ開始前に設定できる。ただ同盟をプレイ中に解消する事はできない。
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敵の首都を占領せずとも、降伏する場合もある。
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兵器は陸海空175種。
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それまでのシリーズにあった兵器の系統は一通り揃えている。中には弾道ミサイルもある。ただ『II』などにある工兵はない。
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生産型(生産されるユニットの国籍)は11種類。さらに基本の生産型以外に輸入国として3つの生産型を設定でき、それらの兵器も扱えるため、実質的な生産型の種類はかなりの数となる。
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兵器のパラメーターの種類は従来のシリーズとそう差はなく、経験値や索敵などシステムも継承している。
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生産型、兵器によっては一定数だけ初期の時点で高レベルな部隊を生産可能。一定数を超えると低レベル部隊のみ生産可能になる。またこれは生産の時点で、同一兵器の中でも「高レベル」「低レベル」の枠が分かれているので高レベル部隊生産の温存も可能。
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弾道ミサイルは目標が長距離だと1ターンで着かずユニットとして残ることがある。その間に着弾地点から逃げたり対空ミサイルで撃ち落とすことが可能。
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長距離砲が誤爆することはなくなった。
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士気の概念があり、戦闘を繰り返すと減っていく。0になると戦闘できなくなる。戦闘をしなければ回復していく。
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過去作にあった同種ユニットの「合流」「分散」は合流のみ可能になり、数の分配も片方を最大数10に近づける形のみ(合計10以下なら1つのユニットとなる)となった。
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『III』にあったスタック(同一へクスに複数部隊を配置)は、街や空港などの特定地形に限り、その地点への収納という形で可能となった。収納されたユニットは、損耗の補充、弾薬燃料の補給を受ける事ができる。
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但し街や空港を占領されると、収納されているユニットは全部破棄される。
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コンピューターのAIのレベルを三段階から選択可能になった。強いAIはなかなか歯ごたえがある。
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大戦略シリーズはAIが弱い傾向にあり、物量的な面以外ではなかなか強さを感じにくかった。本作はそれがある程度解消され、シリーズ中ではかなり強い部類に入る。
評価点
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原点回帰のゲーム性。
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単なる原点回帰ではなく、それまでに培った利点はしっかり残した上での回帰なので、プレイしがいのあるものに仕上がっている。
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シリーズとして、もちろん慣れ親しんだ点はそのままなので、ファンならすぐにでも馴染める。
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AIの強化。
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『III』『IV』と力不足なAIが続いたため、これは素直に嬉しいポイント。
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合流のみとなった部隊編成。
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従来は分散もできていたが、これを繰り返して相手の弾薬を浪費させる作戦が取れた。しかしそれが不可能になった事により、よりAIが歯ごたえあるものに。
問題点
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とにかく地味。先発の『大戦略IV』よりも地味な印象を受ける。BGMが複数あるが、落ち着いたものが多い。そして戦闘シーンも相変わらず淡白。それでも以前よりマシにはなったが。
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兵器が微妙に古い。F-22があるのにユーロファイターがないのは残念な所。
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確かに、ユーロファイターの初飛行は、本作発売の翌年。だが、以前のシリーズでは試作機のロールアウトどろこか、仕様も固まってないような開発段階の兵器をユニットとして採用していた。それを考えると少しは遊び心が欲しかった。
総評
それまでの大戦略シリーズの集大成であり、原点回帰とも言える作品。
本作までのシリーズでは、リアルタイム制や、一連もマップをクリアするキャンペーン制を導入したりと、様々な試みが行われていた。
複雑化し、ややマニア向けに傾いたゲーム性をリセットし、あくまで遊びやすさを追求するためシステムを整理しなおした点は大きい。
最終更新:2021年01月22日 17:29