このページでは、PC版「Wizardry」及び、その移植であるFC版・SFC版・GBC版について扱います。判定はいずれも「良作」です。



Wizardry

【うぃざーどりぃ】

ジャンル RPG
画像はWindows版
対応機種 Apple II、IBM-PC、国産パソコン、Windows
ファミリーコンピュータ他多数
開発元
原語版発売元
Sir-Tech
日本版発売元 アスキー他
発売日 1981年9月
分類 良作
Wizardryシリーズリンク

概要

ウルティマ』『ローグ』と並び、黎明期のコンピューターRPGの傑作と言える作品の一つ。 かつては『ウルティマ』や、後に発売された『マイトアンドマジック』とともに、「世界3大RPG」と称された。
1作目である本作は「Proving Grounds of the Mad Overlord(定訳としては「狂王の試練場」)」という副題が付けられている。

プレイヤーが作ったキャラクター達で、3D視点のダンジョンを探索する。ストーリー上の目標は設定されているものの、それを達成した後もひたすらレベルアップとアイテム収集 *1 を楽しめるRPG。一般販売されたCPRGとしては最初期の作品ではあるがシステムの完成度は高く、キャラメイクや個有名を持つ魔法体系など、すでに導入されている。

アスキーが国内PC向けに販売開始したのが1985年。オリジナルのApple II版から実に5年近い月日が経っての移植である。このことから当時どれほどの人気があったかが窺い知れる。

原作は英語であるが、本項目では各種の用語について日本でも馴染みの深い表記を主に使用して解説する。

ストーリー

圧倒的な武力をもって周辺諸国を統一し、「狂王(the Mad Overlord)」と称されたトレボー。
その強さの裏には、彼の持つ「魔除け」の存在があった。
しかし、ワードナという魔法使いがトレボーから魔除けを盗み出し、さらにトレボーの居城近くに一夜にして地下迷宮を建造。そこに立てこもって魔除けの研究をし始めた。
トレボーは激怒し軍隊を差し向けたが、迷宮のトラップとワードナが召喚した魔物によって軍隊は壊滅。
ワードナを倒さねば腹の虫がおさまらないが、これ以上自軍の精鋭を失うわけにもいかない。
そんなトレボーの前に臣下が一つの提案を出した。

「『ワードナを倒し、奴の持つ魔除けを取り戻した者には、莫大な恩賞金を与えるとともに近衛兵への登用を認める』と街にお触れを出してはいかがでしょう?」

魔除けを取り戻しつつ、さらに優秀な人材の登用も見込める一石二鳥のこの案にトレボーは賛成し、さっそく街にはお触れが出されることとなった。
こうしてトレボーの命の元、街に集まった冒険者達はワードナの潜む大迷宮へと向かうのだった。

特徴

システムの背景

キャラクターメイキング、ターン制戦闘、職業とクラスチェンジ……今でも多くのRPGで採用されるシステムは、本作で既に基礎が出来上がっている。ただし、それらはゼロから作られたものではない。

  • 『Wizardry』のゲーム設計は1977年製のコンピュータゲーム『oubliette』という3DダンジョンRPGの影響を色濃く受けている。
    • 機種は「PLATO」という昔のコンピュータシステム。ちなみに『oubliette』のPC版やスマホ版のリメイクも存在している。
    • 世界観やシステムは『Dungeons & Dragons(D&D)』(後述)がベースになっている。これ以前のコンピュータRPGもだいたい『D&D』ベース。

そして例にもれず、当然『Wizardry』も

  • 当時主流だったTRPG『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ (AD&D)』 *2 をベースに作られている。
  • TRPG(テーブルトークRPG)とは、仕切り役(GM:ゲームマスター、D&DではDM:ダンジョンマスター)のもとで各キャラクターを演じて遊ぶRPGのこと。行動の成否は各種のサイコロを振って決めるが、各自の行動提案やGMの裁量による(程々な)アドリブも利き、その自由度の高さがコンピューターゲームとは違った魅力と楽しさを生み出している。
    • ただTRPGは一人では出来ず、自分以外に少なくともGM役がいなければ遊べない。これを解消するため、GM役やサイコロ振り、ついでに各種計算もコンピューターに任せようとしたものが、本作のようなコンピューターRPGである。
  • 当時海外でAD&Dは超メジャーなゲームであり *3 、本作のシステムもAD&Dを下敷きにしている。例えば以下の要素(わざわざサイコロ換算する点など)はD&D譲りといえる。
    • 前提条件として、AD&Dは四面体、六面体(普通のサイコロ)、八面体、十面体 *4 、十二面体、二十面体、と言う6種類のサイコロを使っており、これらによる独特のクセをWizadryでも再現している。
    • 命中率は5%単位。これは二十面体サイコロで命中判定をすることの再現である。
      また、防御力と回避力を表すAC(アーマークラス)は、防具なしの基本値が10・防具をつけることで減少する(0以下にもなる)。
      • この奇妙なシステムもまた、「「20-AC」以上の目を二十面体サイコロで出すと命中」と言うAD&Dの仕様の再現 *5
    • キャラクターの能力値は、基本的に3-18(六面体サイコロ3個分)の範囲内で扱われる。
    • ダメージ値も2-12(六面体サイコロ2個分)だったり3-24(八面体サイコロ3個分)だったり…
    • アイテムに関しても、数値はAD&Dそのままであるものも多い。

ゲームシステム

  • キャラクターメイキングは種族・職業・属性の3要素からなる。
  • 種族は「人間」「エルフ」「ドワーフ」「ノーム」「ホビット」の五種。
    • 初期能力値(とそれに伴う各職業への就き易さ)に違いがあり、更にボーナスポイント(総量はランダム)を分配して各自の能力値を決定する。
    • 一部の特殊攻撃に対する抵抗力(セーヴィング・スロー)にも微妙な差異がある *6
  • 属性は「善」「中立」「悪」の三種。パーティを組むときの相性や、職業の選択に影響する。
    • 属性が善のキャラと悪のキャラは、酒場で一緒にパーティーを組むことができない。また一部の職業選択が制限される。
    • 中立は善/悪どちらともうまく付き合えるが、職業選択にかなりの制限を受ける。特に回復魔法を使える僧侶系に就けないのが痛い。
    • なお属性は冒険中にも「友好的なモンスターにどう対処するか」で変わってしまう場合がある。この属性変化により、善の忍者や悪の君主等も(ほぼ強引に)作成できる。一部高級装備は属性が違うと呪われる為、それほど得策でもないが。
    • 中立の属性は不変であり、善または悪の属性から中立になることもない。
  • 職業は基本職の「戦士」「魔法使い」「僧侶」「盗賊」と、上級職の「司教」「侍」「君主」「忍者」の8種。それぞれに習得能力や装備品の差異などが存在する。途中で職業を変える(クラスチェンジ)ことも可能。
    • 職業によって必要な特性値が違い、その職業に就くには属性が適応した上で該当能力値が必要値に達していなければならない。
      • 上級職は必要な特性値が高く、大抵は他の職業でレベル(LV)を上げてから転職することになる。ただし司教と侍は種族やボーナスポイント次第で最初から就く事も可能。
      • また、アイテムのSP(スペシャルパワー)でクラスが変わることも。
    • 上級職は「2つの基本職の長所を兼ね備えた職業」である上に、強力な専用装備があったり、その職業しか所持しない能力があるなど一見強力である。しかし基本職の方が長所の性能自体は高く、成長(レベルアップ)も早いので、普通にプレイする分にはあまりこだわる必要も無い。
    • 訓練所で転職した場合、転職後はLV1・経験値0・能力値は種族の初期値になる。最大HPこそ減らず、覚えている呪文も引き継がれるものの、転職直後のキャラは弱いので無理は禁物。
      • 一方、アイテムのSPで転職した場合、LVや能力値も引き継がれる。
  • 宿屋で休むと1週間ずつ時間が経過し、積み重なるとキャラが歳を取る。また訓練所での転職時は約5年分経過する。流れる時間はキャラごとに違い、宿に宿泊しないキャラは時間の経過がない。
    • 経験値が十分なら宿屋に泊まるたびに1LV上がり、能力値が上下する。老化すると能力値の上昇確率が低くなっていき、やがて高確率で毎回下がるようになる。この生命力不足による老衰によって、最終的にキャラクターが「ロスト(後述)」してしまう。
  • 独特のネーミングを持つ魔法体系
    • MPは「魔法使いのMP」と「僧侶のMP」に分かれていて、それぞれさらに7つのLVに分かれており、上位のLVほど呪文も強力になる。
    • 変わっている点としては「どんな魔法でも一度の使用で消費するMPは1だけ。ただしMPは各LV毎に管理されている」という点。このため、例えば魔法使いLV1のMPがゼロになったら、他のLVのMPが余っていても魔法使いLV1の魔法は使えない。このレベル制魔法システムは『D&D』の魔法システムの影響が大きい。
    • そして何といっても目を引くのが呪文のネーミング。例えば炎の呪文「HALITO」は、上位になると「MAHALITO」、「LAHALITO」という様に名称が変わる。このような「接頭辞、接尾辞による効果の変化」を初めて取り入れた作品であり、他のRPGもこぞってこのアイデアを取り入れた。取り入れていないRPGの方が珍しいほどに。
      • なお、呪文には独特の言語を用いているようで非常に凝っている。効果が逆の呪文には頭にBAの文字がつく(例:回復呪文「DIOS」の逆の効果を持つ呪文「BADIOS」)、炎を用いる呪文には「LITO」が付く等。
      • この「独特の言語」は実際にアップルのWizardryのプログラムの中で、容量節約のためにユーザー定義関数として作られて使われていたらしい。「1-8の乱数を発生」と言ったメソッドの名前も同様に。
  • 地下へと向かうダンジョンは、同じサイズのフロア(20×20マス)が10階層連続したもの。
    • 迷路は3D風に描画されているが、どこを見ても似たような風景、目印のようなものもない。さらにゲーム中で確認できる地図もない *7
      • このままでは当然迷うので、プレイヤーは自分で地図を作る=マッピング作業を行う必要があった。今なら「不親切」と言われるだろうが、当時はそのスタイルが当たり前であり、一つの楽しみ方として定着していた。この行為は説明書でも推奨されている。
      • 現在位置と方向を知る呪文は初歩的なものとして存在しており、その効果を無制限に発動できるアイテムも比較的入手しやすい。
  • 戦闘は最大6人のパーティー制。
    • リストの上3人までは前列、後ろ3人は後列となり、物理攻撃は前列のメンバーのみが可能。敵からの物理攻撃を受けるのも前列のみ。
      • そのため前列には戦士や侍など重装備可能な職業を置き、後衛は魔法使いや僧侶などの肉体面では脆弱なメンバーを置くのがセオリー。ただし死亡したり、麻痺などで行動不能になったメンバーは勝手に後ろに回されて他のメンバーが繰り上がってしまうので油断はできない。
    • キャラクターの項で述べた通り、属性が善のキャラと悪のキャラは酒場では一緒に組むことができないが、迷宮内での合流は出来る *8 。これを利用して善と悪の両方がいるパーティを作る事も可能。
      • ただし前述のように、友好的なモンスターに対する態度で属性が変わる可能性があるため、何時の間にやら属性が一方に偏る場合が多い。
      • なお属性変化するかどうかは一人一人別々に判定され、完全に運(5%)な為、たった一回で変わる場合もあるし、何回やっても変わらない場合もある。
    • 戦闘ごとに一定確率で、敵または味方の先制攻撃が発生することがある。
      • 先制攻撃する側は一方的に行動可能だが、そのターンは呪文を一切使えない(詠唱によって気付かれるため)という制限がある。
        一方でアイテムの使用や、敵側であればブレス攻撃は可能。同じ先制攻撃でも状況によって展開が大きく異なる。
  • 独特な雰囲気のモンスター達
    • ファンタジーでおなじみのモンスターからパロディ、オリジナルモンスターまで存在し初期のRPGとは思えないほどのバラエティである。一例としては…
      • シンプルな名前でありながら幾多のパーティを脅威に陥れたことでシリーズを代表するモンスターとなった「グレーターデーモン」や「ポイズンジャイアント」。
      • 一見ただのウサギだが元ネタ *9 同様首を切り落とす能力を持つ「ボーパルバニー」。
      • ワードナの部屋のみに出現するという特殊性に加え、FC版のグラフィックで人気となりコミックや小説などで敵側のキーパーソンとなる「ヴァンパイアロード」。
      • その正体についてはファンの間で未だに議論になる謎のモンスター「フラック」「マイルフィック」。
    • 敵の攻撃方法は物理攻撃・ブレス・魔法の3種類と少ない。ただし物理攻撃には様々な効果が付加されることがあり、特に「クリティカル」と「エナジードレイン」はなかなかに厳しい。
      • クリティカルは「対象の残りHPに関係なく一撃で仕留める」、エナジードレインは「LVを恒久的に下げる(取り戻すには再び経験値を貯めてレベルアップするしかない)」。時間をかけて育てたキャラクターが一撃で殺されたり、LVが下がるのは精神的ダメージが大きい。
      • それ以外にも、仲間を呼んで数を増やすモンスターや、勝手に個々で逃げるモンスターもいる。
  • 不確定名
    • モンスターのグループは、しばしば正式名ではなく不確定名で表示されることがある。
    • アイテムは宝箱から入手した時点では名称が不確定名である。正式名は鑑定しないと判らない。街に戻って商店に鑑定を頼むか(有料)、または司教の固有能力で鑑定を行う必要がある。
      • 未鑑定のままでも使用はできるが、「剣」「ポーション」などの大まかな分類しか判らない。呪われていたりマイナスの効果があるアイテムかも知れず危険である。
  • アイテムの入手
    • 店で買えるアイテムは必要最低限のものしか無い。多少強めのものがあっても数量限定である。
      • ちなみにこちらが売ったアイテムも、売った個数分だけ店頭に並ぶようになっている…呪いのアイテム以外。
    • 迷宮内での特定地点で入手できるアイテムもあるが、大抵は通行証代わりであり戦闘に役立つものではない。
    • そのため強力なアイテムは、敵を倒すと出現する宝箱から手に入れることになる。しかし大抵は罠が仕掛けられており中には即死級の罠もあるため、罠の識別・解除は必須 *10
      • 罠を高確率で識別・解除できる職業は盗賊と忍者だけ *11
      • 盗賊の罠識別は信頼性が高い(最大95%)が、忍者はそこそこ高い程度。罠識別は失敗しただけでも罠が発動する可能性があるため、忍者に罠識別させると危険が高くなる。
      • 僧侶呪文にも罠識別の呪文がある。こちらは罠の暴発を起こさない上に常に95%の識別率を誇る。安全策をとるなら併用した方が良い。それでもなお誤識別の可能性は0にできないが…。
  • 死亡と復活、そして「ロスト」
    • このゲームはキャラクターの死亡に対しかなり大きなペナルティが存在する。
    • 死亡したキャラクターは寺院や呪文で復活が可能だが、失敗すると「灰化」状態になる。
    • ここからでもまだ復活は可能なのだが、ここでさらに失敗すると「ロスト」になってしまう。ロストは「キャラクターの完全消滅」を意味しており、そのキャラクターのデータが抹消され二度と復活しない。
      • さらにパーティが全滅した場合は救助部隊を編成して死体を回収しないと復活すら出来ない。死体もメンバーの1人として扱われるので、回収用パーティは必ず5人以下でなければならない。苦労して回収を試みても「死体を怪物に食われた」としてすでにロストしている可能性もある。
    • ロストは上記以外にも様々な要因で発生する。
      • 宝箱の「テレポーター」や転移呪文「MALOR」で間違えて石の中に飛んで(飛ばされて)しまうと強制ロスト。その際のメッセージ「いしのなかにいる」はよくネタにされる。
      • 能力値の低下で生命力が極端に低下(老衰)したり、エナジードレインでLVが0以下になってしまった場合でもロストする。
      • 加えて、シナリオによっては「スペシャルパワー解放でロストになってしまうアイテム」も存在する。
  • オートセーブ機能
    • 本作は特定のタイミング(戦闘が終わったあと、宝箱を開いたあと、教会に行ったあとなど)において自動でセーブされる。
    • セーブされるタイミングを知っていれば、リセット後にロードしてやり直すことも可能。「リセット技」と呼ばれる裏技である。ただしこれを解禁するとゲームがただの作業になるため、この技を封印して遊ぶ人も多い。
      • 余談だが、後にアスキーが製作出版したTRPG版ウィズでは、このネタから「リセツト」という最強魔法が作られた。時間を巻き戻して最悪の事態を回避できる代わりに、HAMANやMAHAMANと同等の使用制限・制約を受ける。

評価点

  • 冒頭で挙げた黎明期のコンピューターRPGの三本の中では、後世に最も影響を与えたゲーム。
    • コマンド選択式戦闘、パーティ、職業等々、本作の基本システムが後に与えた影響は計り知れない。
  • マップ探索、キャラクターの作成と成長、アイテム探しなど、後世にも引き継がれたRPGの基本的な楽しみが詰まっている。
    • マッピング作成によるダンジョン探索は、まさしく探検。しばらく後も、RPG基本的な楽しみ方の一つとなった。
    • 明確な差がある種族・職業・属性を考えたキャラクター作りの妙。LVが上がるごとに実感できる、強さの上昇。
      • さらに職業変更による、特性や魔法の付加など、キャラクターの強化の方法は多彩。
    • モンスターが落とすアイテムの中には、レアアイテムというべきもの存在し、これを獲得した時の満足感は大きいもの。
  • 多彩なモンスター達とのパーティ戦の面白さ。
    • 前衛と後衛の違い、属性の違い、さらに各キャラクターの性能。これらの要素によりどんなパーティーを組むか熟考できるのも特徴、物理攻撃・呪文・盗賊能力・鑑定等。戦闘や探索を考慮してパーティーを編成する楽しみもある。
    • 対するモンスターも、なかなかに手ごたえがある。特に下の階層のモンスターの特殊攻撃は、まさしく脅威。
      • 魔法を使うモンスターも侮れない。例え低LVの魔法であっても、集団でグループ攻撃魔法や状態異常魔法などを連打されるとパーティー壊滅の危機にも陥る。まあバンパイアロードがZILWAN(対戦相手のアンデッド1体を破壊する魔法 *12 )を唱えることはネタにされているが…。
  • 終わりの見えないゲーム性
    • 本作は「ラスボスのワードナを倒し、魔除けを城に持ち帰る」ことでエンディングを迎える。
    • しかし、その後もゲームを続けることが可能。「アイテムコンプリートを目指す」「LVをひたすら上げる」あるいは「新しいキャラクターを作成してもう一度やり直す」…プレイヤーのやる気と情熱が冷めない限り、いつまでも楽しむことが可能。
      • そしてウィザードリィの魅力に取りつかれた人は、時々無性にウィザードリィをプレイしたくなる…。
    • またワードナの魔除けは「城に持ち帰らない限り没収されない」。しかも魔除けの特殊効果が絶大なので、迷宮に居残りするキャラクターに預けておくという手もある。
      • 尤もストーリーは取って付けた様な作品のためか、他の雑魚同様ワードナは何回でも現れて何回でも倒すことが出来る。FC版では一度倒した事のあるキャラの前には二度と現れないと言う制限が付いたが。
  • シンプルなストーリーとイベントフラグ
    • 一般的なRPGだと問題点や賛否両論点と捉えられがちであるが、WIZは自分でキャラメイクをして迷宮に臨むのが基本であるのでゲーム側からの世界観の押し付けが少ないのは寧ろキャラクターの想像力を高めやすくなるという長所となる。
      • イベントフラグも緩く各地にショートカットが出来るエレベーターや帰還用テレポーターがあり、例えフラグを満たせなくてもマラーを使えばラストフロア(厳密にはラストフロアへのシュート)まで一っ跳び出来るのでイベントに介入されずにハクスラやキャラ育成に没頭しやすい。

問題点

  • 呪文の使用方法
    • これを難点といって良いかは微妙なところだが、PC機の場合は後のコンシューマー版と違ってコマンド選択式ではなくキーボードの特性を活かし「コマンド入力式」となっている。要するに呪文を唱えるには『正確なスペル(英単語)の入力』が必要で、タイプミスすると詠唱に失敗したと判定され正しい効果を発揮しない。
      • 国産PC以降の作品は判別可能なところまでは入力する必要はあるが省略可能。たとえばティルトウェイト(TILTOWAIT)の場合、他にTから始まる呪文が無いので、なんと「T」だけで撃てる。
  • 一部のアイテムのバランス
    • 前衛の装備品に関しては明らかに悪の方が強い。「ロングソード+3 *13 (悪)」、「プレートメイル+3(悪)」、「ヘルム+2(悪)」という様に明らかに一回り上の装備品が装備可能で、中立や善のキャラクターは若干肩身が狭い *14
  • 職業のバランス
    • 通常のクリアを目指す程度のLV帯だと、上級職全般、特に司教と忍者がかなり使いづらい。
    • 司教は魔法使い呪文と僧侶呪文を両方覚えていきアイテム鑑定能力も持つが、レベルアップが遅い上に各呪文を覚える必要LVも高いため、魔法使いや僧侶より戦闘面ではかなり劣る。最終的には全呪文を覚えられるが、道のりはあまりにも遠い。
      • 鑑定能力も、長期間迷宮に篭る(=篭れるだけ強くなっている)のでもない限り、その場鑑定の有り難味は薄れてしまう。数戦で街に戻るなら、酒場に鑑定専門の司祭を待機させておいても良いのだから。
    • 忍者は素手でもそこそこの攻撃力があり、武器の有無に関わらず攻撃回数が増え、さらに一撃で敵を倒すクリティカルヒットを持つ。また、防具なしだとLVに応じてACが良くなり、さらに宝箱の罠の解除も行える。しかし転職前提の為どうしてもLVが低くなり、更に上昇させる為の必要経験値は全職業中で最高。
      • LVに応じて罠解除判定や戦闘判定にボーナスが加算されるWIZでは恩恵よりもデメリットの方が高い。戦闘面でも罠解除においても専門職に差を付けられ、おまけに呪文も覚えないのでますます肩身が狭い。
      • 有名な「裸のほうが硬い忍者」に関しても鎧より良くなるLVはクリアに必要なLVよりはるかに高め。そこまで育てれば十分な強さを発揮できるようになるが、それをやりこみという。
        低LVなら鎧装備の方が安全。加えて、特定の攻撃に対する耐性は裸ではつかず、どうしても装備品に頼る必要がある局面も多い。
      • 攻撃回数のボーナスにより、同じ武器であれば成長の遅さを差し引いても戦士よりも高いダメージを出せる事が多い。しかし前衛としては致命的にHPが低い。
    • 他の2つの上級職である侍と君主は、非常に強力な専用装備があるがクリアまでにすんなり手に入ることはほぼ望めない。通常のクリア時点では多少の呪文が使える利点があるだけで、成長が遅い分だけ戦闘力は戦士に及ばない。とはいえ低レベル帯でも有用な呪文は多く、HPも十分に高くなるので、早期からパーティに加えても大きく不利になることは無い。
    • 呪文等に関しては魔法使いや僧侶に転職して覚えさせるのが最も効率が良く(習得Lv・必要経験値共に)、上級職で呪文を覚えさせるのはほぼ趣味の領域となる *15
  • レベルアップまでの戦闘回数の多さ
    • 一回の戦闘にそれほど時間がかからないことは良いのだが、経験値の高い敵の出やすい場所を選んで稼ぎに励んだとしてもそれなりの戦闘回数を要求される。上級クラスだとそれが特に顕著。
    • レベルが高くなるに従って、経験値はまさに天文学的な数値にまで上昇していく。おまけに本作は「強い癖に経験値が安く、見合わない敵」も多いため、経験値稼ぎの苦労は並大抵ではない。
  • 戦闘におけるグループ内でのターゲット設定がない。
    • Wizardryの大半の共通仕様として直接攻撃のターゲットはグループ単位でしか選択できない。
      • 機種、作品によってシステムは異なるが、Iは「常に全員が先頭の敵を攻撃」が多い。II以降は「一人目は敵の一人目、二人目は敵の二人目、三人目は敵に三人目がいればそれを、いなければ一人目を攻撃」といった割り振りが多い。
    • ターゲット指定がないことで戦闘の時間が短くてすむという利点をもたらしているが、後者のシステムだと敵を集中して攻撃してくれない。
    • この点は移動の概念があるTRPGとは完全に異なっている。しかし現実性を考えて戦いの中で相手を選ぶ余裕などなく目の前の敵に当たるのが当然という考え方はある。
  • 攻略の難易度は極めて高い。現在の視点で見ると「不親切なダンジョン」「やり直しのきかないセーブシステム」「厳しすぎるキャラクターのデスペナルティ」など、不満が上がるであろう点が多数ある。
    • もっとも、発売当時は多くのRPGでも見られた特徴であり、そういった要素を面白いと感じられていたプレイヤーが多かったということにもなる。
    • ダンジョンの移動は必ず1グリッド単位で、地形が動くようなこともないのでマッピング自体は比較的簡単。ただし現在地と方角をしっかり把握できていればの話であり、それを混乱させる罠は多い。同じ階の別の場所に飛ばされるテレポーターや一方通行のドア、向きが強制的に変更されるターンテーブルなどの厄介な存在がマッピング作業の重要度を上げている。そして嫌がらせのごとく踏むと全員が小ダメージを受ける(HPが低い魔術師にとっては痛い)ピットがいたるところに用意されている。
      • 大半の階は北端と南端、西端と東端の通路がつながっている(B1からいきなりである)が、マニュアルにも説明がない。これを知らないと座標で混乱する。
      • また階段やシュート等で階移動した場合、移動後の座標は移動前と一致しない(上下でずれている)ことが多いので注意。上下の位置のつながりがしっかりしている『ダンジョンマスター』シリーズとは大違いである。
    • 東西南北同じ風景が広がる十字路に回転床と落とし穴が設置されているB3、マッピングの難易度が高いB7&B8はかなりしんどい。
      • そもそもB5~B8は(移植にもよるが)行く必要がまったくない。B4からはエレベーターでB9までの各階に行けるようになるが、途中階のB5~B8には攻略に必須なイベントも謎解きも無いのである *16
    • またB9Fには最終階へつながる「シュート」があるが、それが目に見えず踏むまで分からない。しかも行き止まりにあるわけでもない。
      • 当時の攻略本の記事に「そういうものの存在だけは知っていて、何度もプレイしてうろうろして今日も見つからなかったな…」というユーザーの体験談がある。 *17
    • 戦闘バランスもかなり厳しいものがある。前述した通り、クリティカルとエナジードレインはかなり凶悪 *18 。また、B4からB9に直行すれば当然ながら敵の強さが跳ね上がるため、ここで全滅することも多い。
      • もっとも、倒しやすく経験値の高いモンスターもいるし、強敵にも効き易い即死呪文や「HAMAN」「MAHAMAN」といった救済呪文等もあるため、完全に打つ手なしにはなりにくかった。勿論不意打ちや先制されて強力なブレスや物理攻撃後の追加効果等で一気に総崩れになる展開と紙一重であったが。
  • 一部の要素の設定ミス疑惑
    • 一部の呪文が初期版では有効に機能しなかった。殆ど効かなかったり、他の作品と効果が違う等使い勝手が悪かった。
      具体的には殆ど効果が無かった「KATINO(眠り)」と「MONTINO(沈黙)」、戦闘ごとにかけ直しを必要とする「LATUMAPIC(敵識別)」、効果を指定できない「HAMAN」そして「MAHAMAN」等。
      • これらは♯2で調整され、かなり有効な呪文として生まれ変わった *19
+  その他の設定ミス疑惑。長くなるので格納

総評

コンピューターRPGの基本的なフォーマットを作り上げ、発展させた作品。
現代から見ると非常にシンプルであるが、当時は6色のカラーで描かれたモンスター、擬似主観視点、アニメーションするタイトル画面と、当時の技術で可能な限りのビジュアルを詰め込んだ革新的なタイトルでもあった。
「人生を変えたレベル」のゲームとして語られることも、決して珍しくない。それだけ、当時としては突出したものを内包した良作であったと言えるだろう。


ウィザードリィ

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ
発売日 1987年12月22日
定価 5,800円
判定 良作

概要(FC版)

上記、シナリオ1『Proving Grounds of the Mad Overlord』の移植。
若干の調整及び変更(B6~B8の全面改装、ゲームバランスの調整)が行われているが、全体の雰囲気は損なわれていない。ただし、これらの変更を「オリジナルに忠実ではない」とするオールドファンも存在した。

変更点(FC版)

  • アイテム名はD&Dのような「ショートソード+1」といった感じの名前から、「よいたんけん」といった固有名詞になっている。
    • なお、よく勘違いされているのだが、このアイテム名変更はゲームスタジオ監修版オリジナルではなく、先に発売されていたMacintosh版#1のアイテム名を訳したものである(アイテム表記を英語にすればMacintosh版と同じ名前になる)。

評価点(FC版)

  • 操作性の変更など
    • PC版のコマンド選択はキーボードを駆使した独特な操作法であったのだが、家庭用機での操作デバイスはコントローラーなので同じ方法は使えない。その結果、いわゆる「ドラクエタイプのコマンドウィンドウ型」に変更された。そしてそれはレスポンスの向上につながり、操作におけるストレスが大幅に軽減されている。
    • 戦闘メッセージの表示スピードを自分で変更できる数少ない作品である。ウェイトを「∞」にするとAボタンを押さない限り進まないようになっている。
    • メッセージやアイテム名、スペル名、モンスター名を日本語/英語で切り替えられる。和訳のクオリティも上々。
      • ただし、直訳してしまったがゆえに珍妙になってしまった語句もある。有名どころはクリティカルヒット発生時のメッセージ「○○ は くびをはねられた!」。訳としては間違ってはいないのだが、「首のないスライムの首をはねる」などのおもしろ現象が発生したためネタにされた。
  • グラフィック面が大幅にパワーアップした
    • 迷宮のグラフィックはオリジナルではワイヤーフレームであったが、ゲームスタジオ監修版ではドットによるグラフィックが表示されるようになった。なお、コンフィグでワイヤーフレームに切り替えることも可能。
    • モンスターおよびイメージイラストを末弥純氏が担当。ファミコンのハード性能ではイラストの完全再現…とまではいかなかったが、それでもApple II版との差は歴然。攻略本などに載っていた美麗イラストはプレイヤーを魅了するに十分であった。
      • マイルフィック、フラック、グレーターデーモンなどは特に好評であったようで、イラストレーターが異なる外伝シリーズにおいても、これらの人気モンスターは末弥デザインに準拠したグラフィックであった。また、アスキー以外のメーカーから発売された和製ウィズにおいてもその影響は大きく、似たような特徴のイラストであることが多い。
  • BGM担当に羽田健太郎氏を採用
    • 羽田健太郎氏は『西部警察』や『渡る世間は鬼ばかり』、『超時空要塞マクロス』など、数々のテレビ番組の曲を担当した有名な作曲家兼ピアニスト。しかしゲームについてはあまり詳しくなく、『「ウィザードリィっていうゲームの曲を作ってくれ」→「ウィザードリィ?何かの鳥か?アホウドリみたいな」』というやりとりがあった。
    • 「暗いイメージで、中世ヨーロッパを連想させるクラシック曲でいきたい」という意向があったため、羽田氏に白羽の矢が立った。このあたりのやりとりは『ウィザードリィ リルガミンサーガ 公式ガイド』に詳しい。

賛否両論点(FC版)

  • アレンジ内容
    • ただありのままを移植するのではなく、(作品にもよるが)ちょっとしたアレンジを利かせている。これも支持を集めた要因であると言えるが、人によっては「なぜ変えた!」という人も。
    • 代表的なのは、「ロスト(キャラ喪失)」の条件を緩和したこと。本来は問答無用でロストする状況のいくつかを「死亡」または「灰化」に置き換え、全滅や灰からの蘇生失敗以外ではロストが起こらなくなっている。
    • ゲームスタジオ監修版においては、パスワードや外部記録装置を用いることで別のシナリオ間でキャラクターを引き継いでプレイすることができる。その場合、「職業とシナリオクリア時に獲得した称号を引き継いだLv1のキャラクターとして『転生』する」ようになっており、中でもGBC版では最大で10個もの称号を獲得させることができる。 *21
    • PC版では発動しなかった一部のフラグが起動する様になったので1階のエレベーターへの直通ドアを利用する為に2階を探索する必要がある。
      • あくまで使用できないのは直通ドアなのでエレベーターには別ルートから遠回りで行けるのでさほど問題では無いが。

問題点(FC版)

  • レブル7シーフというモンスター名の誤字も存在する。また、「アーチメイジ」は後作では「アークメイジ」に改名された。 *22
  • PC版と比べるとテンポは大幅に良くなっているが、町やキャンプ、戦闘等コマンド決定時に若干詰まるようなもっさり感がある。
    • 次作以降では改善されている。
  • バグが多い
    • 普通に遊ぶ分には問題がないものから、ゲームバランスに影響を与える深刻なバグまでよりどりみどり。
      • 例として、味方のACがほぼ機能していない。「みをまもる」時は正常な処理だが、それ以外の回避判定には「攻撃実行者の」AC値が参照されてしまっている。
      • ちなみにこのACバグは20年以上もの間気づかれていなかったが、TAS制作者によるROM解析によって明らかになった。「最弱クラスの敵の攻撃が妙に当たりやすい」という指摘は一応あったが、ACはダメージ軽減ではなく回避率に影響すること、ランダム性が高いゲーム(成功率は5%~95%)であること、重大なバグであるにも関わらずゲームバランスは崩れていなかったこと等から気付かれなかったものと思われる。

総評(FC版)

移植に際してアレンジした事は多少の賛否は分かれるものの良質な移植作といえる。
新たなバグも存在するが、全体的なクオリティは高かったため、バグの多さを考慮してなお高く評価したプレイヤーは多い。


ウィザードリィ ストーリーオブリルガミン

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン(書き換え専用)
発売元 メディアファクトリー
開発元 ゲームスタジオ(監修)、Gung-Ho!
発売日 1999年6月1日
定価 3,000円
判定 良作

FC版#1~3の移植。
ゲームスタジオは監修に回り、プログラミング作業はGung-Ho! *23 が担当している。また、この作品のみ発売元がアスキーではなくメディアファクトリーとなっている。

  • FC版にないアレンジ要素として、盗賊・忍者に隠れるコマンドが追加されている。設定で使用のオンオフを切り替え可。GBC版にも導入されている。
  • この作品以降の移植作品から、オリジナル開発者の指摘により「ル’ケブレス」が「エル’ケブレス」に修正されている。
  • おそらく、ウィザードリィの中では最も入手が困難と思われるソフト。ローソンの「Loppi」を利用したNP(SFCロムの書き換えサービス「ニンテンドウパワー」)専用ソフトだが、書き換えサービスはすでに終了し、版権問題を抱えているためVCでの配信も絶望的。出回りは皆無に近くオークション出品時には高値で取引されている。

ウィザードリィ GBC版#1~#3

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ、Gung-Ho!、ローカス
発売日 2001年2月23日(三作全て)
定価 各4,500円
判定 良作

FC版#1~3の移植。
こちらはそれぞれ単独発売で、Gung-Ho!がプログラミング作業を担当しつつも、アレンジ要素やバランス調整をゲームスタジオ、Gung-Ho!、ローカスの3社で分担した。 *24
「いろんなバージョンが出回っているからもういいだろう」と判断したのか、大幅なアレンジが施されている。三作全てにおいて新アイテム、新モンスター、新規フロアが追加され、ゲームシステム上の変更点も多数。もはや別物といえる程のアレンジっぷりである。とはいえ、16*16になったとはいえマップの基本形状やイベント箇所とその内容はほぼ同じ、追加要素も旧来のバランスを壊していない等、決して悪くはないアレンジである。

  • 何より目立つのはクリア後の追加フロアか。
    シナリオ1「元々のマップで探索不要だった階層を、クリア後の裏ダンジョンとして丸々新規マップに入れ替えた上で、ひたすらアイテムコレクターを目指せる」
    シナリオ2「メインシナリオ同様、善と悪のパーティが別々の難関に挑み、最後に協力することで道が開ける」
    シナリオ3「地獄の底まで潜っていき、強力な装備を片手に強力モンスターや大ボスと対決できる」
    …といった感じに、それぞれの追加マップが別々の特徴を持つのは面白い。
  • 一部の表現がマイルドになっている。全裸に近いイラストだった「サッキュバス」のデザイン変更や、日本語表記のメッセージやアイテム名において死にまつわる表現の書き換えなど(「くびをはねられた」→「いちげきでたおされた」、「しのゆびわ」→「ほろびのゆびわ」、など) *25
  • 通信ケーブルやパスワードを使ったキャラクターの転送が可能。特にパスワード転生に関しては、10年近く前に発売された『外伝1』『外伝2』の物も使用可能で、称号もきっちり受け継がれる。

その後の展開

この後本作は、米Sir-Tech社の倒産などにより8作目で終了。版権を継承したカナダSir-Tech社や1259190オンタリオ社が版権の利用権を複数の企業に販売したこともあり、様々なシリーズに分岐しながら続いていくが、2006年日本企業のアエリアに6作目以降の全版権とWizardryの全世界における商標権が売却された為、現在アエリアが展開するルネサンスシリーズ以外の和製Wizシリーズは全て終了している。

本家

生みの親であるサーテック社(現在は倒産)はナンバリングタイトルを8作品出した。それらはアスキーやローカスなどによる移植作業が行われ、中でもFC版#1は原作者をして「これは今までで一番良くできたウィザードリィだ」とのお墨付きをもらうほどのクオリティであった。しかしFC版発売当初は「オリジナルを尊重していない」などといった批判的な意見もあった。

  • 『ウィザードリィ リルガミンサーガ』および『ウィザードリィ ニューエイジオブリルガミン』
    • リルガミンサーガは#1~3の、ニューエイジオブリルガミンは#4&5の移植。PS、SS、Win版が発売されている(SSはリルガミンサーガのみ)。基本的に国産PC版の移植だが、FC版と同じ作曲家の新規BGMを使用し、モンスターグラフィックもFC版原画のものを選択できる。ニューエイジ~収録の#5ではアイテム名をSFC版準拠にすることも可能。
    • SS版にはボーナスダンジョンが、Win版#5には数点の追加アイテムが存在する。
    • PS版のみメモリーカードの制約上リアルタイムセーブが任意セーブに変更されている。
    • ダンジョンはポリゴンで表示される。この為かワープポイントでワープ先の壁が見える処理はカットされている。また実際に踏まずとも床グラフィックで落とし穴や回転床が判別でき、実際に激しく回転する演出や、ワープでエフェクト演出が入るため、踏んだことに気付かないと言う事はない。
      • 線画表示に設定すればこれらの演出はカットされ、ワープポイントの表示も原作通りになるが、SEは鳴ってしまう(SEもオフには出来る)。
    • オートマップはゲームスタジオ監修版などと違い、いつでもノーコストで参照できる上、現在位置を始め、前を通るだけで一方通行や隠し扉なども全て表示される。オプションでOFFにすることは可能。
      • この為、これを縛らない限り、単に見えないだけの#1~3の隠し扉は殆ど無意味なものになってしまっている。
      • デュマピックは原典どおり座標表示のみ。やはりオートマップONだと殆ど利用価値がなくなってしまう(オートマップに座標表示はない為、マラー用途で全く無意味ということはないが)。
    • PS版ニューエイジはPCエンジン版と並ぶ#4の貴重な家庭用ハード移植版であり、PS、Win版両方にアレンジ版も並録されている。
  • 『ウィザードリィコレクション(ローカス版)』
    • 厳密にはゲームソフトではなく書籍なのだが、Apple版の#1から#5までのイメージファイル入りCD-ROMが同梱されている。ただし、ゲームプレイにはAppleのエミュレータを各自でダウンロードする必要がある。
    • どちらかと言えば、ゲームプレイよりも開発・販売の経緯やシリーズの紹介といった資料的価値の方に重点が置かれている。
  • 『ウィザードリィコレクション(エレクトロニック・アーツ版)』
    • #1から#7までのPC-98版のイメージファイルが収録。プレイには同梱のPC-98エミュレーターを使用する。
  • 『ゲームスタジオ監修版』
    • FC版#1をはじめとしたFC、SFC、GBに移植されたもの。詳しくは上記、及び各個別記事をを参照。
  • その他移植版
    • PCエンジン版(ナグザット)I・IIおよびII・IVおよびV
      • 攻略と無関係だった5F~8Fも直接探索する必要がある(各フロアのスイッチを入れなければエレベーターを使えない。8Fのスイッチで9Fも移動可能)。
      • BADIOSなど一部の攻撃呪文の威力が高めに設定されている。
      • 日本語表示にしてもモンスター名や呪文、アイテム名などのゲーム中の固有名詞は全て英語のまま。リドルも回答は英語以外受け付けてくれない。
      • PCエンジン版は#5が最初の移植の為か、#5のみUIがかなりアレンジされているが、不評だったのか#1-4の移植では#5原典準拠のUIに戻された。
      • モンスターグラフィックについては新規デザインの#1-4の移植に対して、#5のみ国産PC版の末弥絵を元にアレンジされているため、こちらのほうが馴染み深いかも知れない。
  • アプリ版
    • 攻略と無関係だったフロアを省略。思い切ったアレンジである。
  • WSC版(スティング)
    • 『リルガミンサーガ』のシステムや追加要素と、ゲームスタジオ監修版のゲームバランスが組み合わさった良いとこ取り *26
    • ワンダーゲート *27 を使用した追加ダンジョンの配信が行われていたが、現在ではダウンロード済みのソフトを入手する以外にプレイする方法はない。

和製ウィズ

日本のメーカーが許諾を得て独自に作った「和製ウィズ」と呼ばれる作品も存在する。『ウィザードリィ外伝シリーズ』、『BUSINシリーズ』、『ウィザードリィエンパイア&XTHシリーズ』あたりが有名どころ。

  • 現在Wizの版権は上述のとおり日本企業が所持しており、「ウィザードリィルネサンス」と題し、各メーカーによって変わってしまった世界観をまとめるとして、新たなシリーズを複数のメーカーからPS3・DS・携帯アプリに出している。現在Wizの新作シリーズは全てこのルネサンスシリーズの世界観となっている。
    • ルネサンスシリーズではかつて竜族の高度な文明が栄えたといわれるアザルス大陸にある人間のディメント王国、機械工学が発達したドワーフのハーサント連邦、エルフの宗教国家クォパティ法制院といった国家が舞台となっており、以前のシリーズとは繋がりは無い。
    • システム面でも見直しが入り、PS3版では難易度を上げる要因だった年齢制やオートセーブを廃止(どこでも手動セーブが可能)、LVも通常のRPG同様迷宮内で上昇し、さらに余ったお金でもLVを上げられるなどの調整が行われている。

余談

  • I&IVの舞台であるトレボー城塞とII&III&Vの舞台であるリルガミンだが、これが同一の都市なのか別個の都市なのかははっきりしていない。オリジナルでは同一視されるような描写や設定はないのだが、国産のリメイク版や外伝シリーズ、小説などで同一のものとして扱われることが多くなっていった。これは「リルガミンシリーズ」等と銘打ってカップリング移植する際、そのほうが都合がいいことも影響していると思われる。
    • トレボー城塞とリルガミンを同一視するにしても別個解釈するにしても、「リルガミンの近くにはダンジョンが複数あり、度々危機が発生するので物騒なこと極まりない地域だ」とユーザーの間でネタにされる。そしてとうとう外伝IIIで…。
    • 『リルガミンサーガ』および『ニューエイジオブリルガミン』では、日本産のウィザードリィTRPGで設定されたオリジナル世界「エセルナート」の設定を使用しており、やはり同一都市の設定である。
  • 一見硬派ではあるが、実は迷宮内でのテキスト(例:カエルの像が「イェイ!イェイ!」と叫んでいる)に見られるように、実はかなりおちゃらけたユーモアにも溢れる内容である。
    • モンティパイソンやセサミ・ストリート、モノポリーや実在のメーカー、日本の時代劇などパロディ元は枚挙にいとまがない。これらはD&Dと合わせてアメリカのギーク文化に強い影響を与えた作品であり、本作がそういう文化の延長線上で製作されたことを暗に示している。
    • 国王トレボー(Trebor)とラスボスであるワードナ(Werdna)の名前は、開発者であるロバート(Robert)・ウッドヘッドとアンドリュー(Andrew)・C・グリーンバーグの名前の逆さ読み。
      しかも迷宮内の地下8階と9階には彼らのイニシャルまで彫られている。……が、移植作品の中には攻略に必須ではない5~8階の構造が一新されているため一部消えてしまっている。
    • 今では大人物扱いのワードナだが、元々ストーリーが無いも同然だったため、日本語版発売時には「馬車の行き交う大通りを渡れずに困っている老婆から金を巻き上げたうえで道の真中に置き去りにする様な奴」と言う、いかにも小物な解説をされた事もある *28
    • 経験値稼ぎに使われ、新米冒険者に何度もボコボコにされる「マーフィーズゴースト」。彼のモデルはテストプレイに関わった同級生との説がある。友情とは一体…なお、別の説ではロバートとアンドリューが大嫌いだった同級生の名とも言われている。
  • 日本における移植版でも上記の要素は忠実に訳されている事が多いが、オリジナル作品や二次創作作品では原作のコミカルな面が抑えられ、至って真面目な王道的中世ファンタジー風の世界観で描かれている事が多い。
    • 数々の元ネタの知名度が低い日本ではまずジョークとは思われなかったのだろう。そこで原作を尊重しつつもパロディ要素を控えめにしていった。
    • PC版の攻略本の時点でこの風潮ができつつあり、さらにFC版発売以降メディアミックスが活発になるとさらにこの流れが加速した。これは日本上陸にあたって日本人好みに姿を変えた結果だと言えよう。
    • 実際、おバカ要素の集大成とも言える第4作『ワードナの逆襲』がコンシューマー移植されるまでには時間がかかっている。もっともこれにはパロディ要素だけではなく、バランス調整や世界観などの問題のせいでもあったが。
    • とはいえ「ボーパルバニー」 *29 、「カシナートの剣」 *30 といった要素は、シリーズを代表するものとして日本オリジナル作品でも積極的に取り入れられている。
  • この作品が他の作品に与えた影響も大きい。
    • 後に『ドラゴンクエスト』で有名となる中村光一と堀井雄二。エニックス(当時)の研修旅行で、アメリカの大手ゲーム博覧会に参加した際にこの作品に触れて感動し、「いつかファミコンでウィザードリィより面白いRPGを作りたい」と触発されている。また、『ポートピア連続殺人事件』には「もんすたあ さぷらいずど ゆう(monster suprised you)」というウィザードリィ由来のジョークメッセージが入っている。
    • 『女神転生』シリーズの開発者の一人である岡田耕治氏も、FC版女神転生制作時にウィザードリィの影響を受けており、後に『BUSIN』シリーズを制作することになる。
  • 版権問題について
    • Wizardryそのものの版権に関しては、非常に複雑かつ大きな問題が生じている。
    • Wizシリーズのうち「新たに制作される作品の商標権」「シナリオ#6-8の全権利」については現在日本のゲームメーカーIPMとその親会社ゲームポットが所持している。オンラインゲーム『Wizardry Online』もこの会社が制作・運営している。
    • しかし、シナリオ#1-5の権利については、既にゲーム会社としては倒産しているSir-Tech社と、開発者のひとりアンドリュー・グリーンバーグとの間で泥沼の裁判が続いた結果、2014年6月時点でも未だに版権が確定していない。
      そのため、この問題が未解決である限り、新規の#1-5の移植、またバーチャルコンソールやゲームアーカイブスでの配信については絶望的な状況となっており、一部の商品には定価越えのプレミアがついてしまっている。
    • 現時点で最も気軽に初期のWizシリーズに触れることが出来るのはPS・SS・Windows版『リルガミンサーガ』(#1-3)及びPS・Windows版『ニューエイジオブリルガミン』(#4・5)と、それでもかなり古いハードとなっている。
  • その中毒性は数多くの人を魅了し、日本国外では勿論、日本国内でもウィザードリィを想い出のゲームとして上げる人は数多い。
    • 特に『ドラゴンクエストシリーズ』に関わった人はWIZファンを公言している人物が多い。すぎやまこういち、堀井雄二、中村光一…など。
    • アニメ監督の押井守はウィザードリィをやりこんでいたことを公言しており、自分の作品中に幾度となくウィザードリィからの引用を登場させている。
    • SF作家の矢野徹はエッセイ『ウィザードリィ日記』で第19回(1988年)星雲賞ノンフィクション部門を受賞している。
  • 当時のアスキーはウィザードリィを大々的にプッシュしており、メディアミックスの一環として小説やアニメ、漫画など様々な展開が行われた。出版社ではJICC出版局(現:宝島社)がウィザードリィに注力し、雑誌「ファミコン必勝本」上でベニー松山氏の小説やファンコーナーを掲載したり、「ドラクエ・FF・Wiz・メガテン」を「日本四大RPG」と認定し盛り上げるなどしていた。
  • ウィザードリィの生みの親であるロバート・ウッドヘッド氏は、FC版#1発売当時「これが最も出来のいいシナリオ#1だと思っています。グラフィックだけでなく、操作方法や音楽などもApple II版と比べてずっと進化している。ほんとにすごい」と絶賛した。
  • ゲームスタジオの取締役である遠藤雅伸氏はPC版をやりこんでいたことで有名。このゲームが氏に与えた影響は大きい。 *31


*1 当時の見解ではアイテム収集は日本独自の遊びという見方があり、国外ではさほど重要ではないらしい。海外との文化の違いを表しているともとれる。

*2 J・R・R・トールキン原作の「指輪物語」に影響を受け考えられたゲーム。

*3 どれくらいメジャーかと言うと、超有名映画「E.T」の序盤で主人公たちがこのAD&Dを遊んでいるシーンや、台詞の幾つかに明らかにAD&Dを由来とするものがある。ハリウッド映画は「世界中の誰が見ても理解できる」ことを基本コンセプトとして作成されており、つまりAD&Dは「誰が見てもAD&Dだとわかる」ほど有名だったということである

*4 正十面体と言うのは存在しないので、これだけは疑似正十面体を使用している(実は見やすさのために疑似正十面体でさえないのだが)。

*5 レベルが上がるとサイコロの目にボーナスがつくので、20以上の数字を要求されても高レベルなら問題はない。特例として、サイコロの目が20だった場合は無条件で命中する。

*6 ゲーム内ではノーヒントだが『AD&D』プレイヤーにとっては基礎知識であるようだ。

*7 移植版の中にはオートマップを確認できるものもある。

*8 Apple II版はできない

*9 聖杯を探すアーサー一行の騎士をその能力で多数死に追いやったが、最後は手榴弾で退治された。なお記載者の誇張やガセではない…と言っても元ネタは後述するコメディ映画であって、『アーサー王伝説』そのものではない。

*10 解除の前に罠の種類を正しく識別しておかないと、必ず解除失敗してしまう

*11 やり込みの域の高LVになれば、盗賊・忍者以外でも宝箱の罠を確実に解除できるようにはなる。

*12 プレイヤー側にはアンデッドはいない。むしろバンパイアロード自身がこの魔法の格好の標的である。

*13 +表記はTRPGにおいて「魔法が付与された武器」という扱い。+3は伝説の武器LVの強さ。

*14 悪は性格維持の為に、友好的なモンスターに対しても襲いかかる必要があり戦闘回避の機会が少なくなるので、そのバランス調整のためとする説もある。

*15 ただし転職時にLVごとの呪文使用回数はそれぞれのLVの呪文数、だいたい2-4に下がってしまいそれぞれの呪文を本来覚えないクラスに転職すると回数はそのまま増えない、それでも1から上級職で呪文を覚えさせるよりは遥かにマシだが

*16 しかもPC版準拠には凶悪な罠がありB7からB8への階段を降りたら一方通行で回転床地帯に放り出されるのだ。そこから脱出した後も事前にB4でエレベーターの使用許可証を入手していないとエレベーターを利用できず帰れない。MALOR(瞬間移動)の魔法を覚えていれば回転床地帯からでもいつでも帰れるが順当に各階を攻略しようとしているプレイヤーがMALORを習得している可能性は低いわけで…

*17 実はエレベーターから数歩の距離で行ける。その場所は普通の部屋にしか見えないためいつも脇を通るか一見しただけで踏まなかったのだろうが

*18 システム流用元である『AD&D』と比べると、プレイヤーがとれる対抗手段が極めて限られている

*19 最も♯2においてこの情報を知るためには10万ゴールドもの大金が必要だが…

*20 「CREEPING COIN(這いまわるお金)」という名前もボーナスキャラっぽい

*21 内訳は「#1」「#2」「#3(2種)」「外伝1」「外伝2(2種)」「村正獲得(GBC3作)」。

*22 「Arch」の読みは「アーチ」の方がネイティブの発音には近い。ただし、日本語の片仮名表記にする時は「アーク」の方が一般的で、多くの作品で用いられている。

*23 読みは「ガンホー」。『ラグナロクオンライン』等で知られるガンホーとは別会社で、現在は閉鎖している。

*24 ゲームスタジオが#1を、Gung-Ho!が#2を、ローカスが#3を担当。

*25 後者については、同時期にGBCに移植された『ドラゴンクエスト』シリーズ等と比較しても明らかに過剰なので、単なる表現規制だけではない意図があったと思われるが真意は不明。

*26 具体的には細かいバグは修正されて、オートマッピングの完備、ゲームスタジオ版ではキーアイテムが必要だったテレポーター直通ドアが最初から使用可能、マカニトが効く敵がゲームスタジオ版準拠と言う様に「プレイヤー側にとって有利な修正だけを」残して移植されている。

*27 携帯電話と接続して、追加コンテンツをダウンロードするシステム。

*28 前述のPCの属性に関して「本作で言う悪は世間一般で言う悪とは違う」と言う説明の為に用意された文の一部。「善は困っている老婆を無条件で助け、悪は見返りがあるなら助け、中立は自分が道を渡るついでなら助ける。ワードナは極悪なので~』と解説された。

*29 映画『モンティパイソン ホーリーグレイル』に由来

*30 アメリカのフードプロセッサーで有名なクイジナート社の綴りをもじったもの

*31 例えば、「ドルアーガの塔」では武器の候補に「メイジマッシャー(シナリオ#1に登場する、「魔術師殺し」の短剣)」があったりした。