機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙

【きどうせんしがんだむ めぐりあいそら】

ジャンル 3Dアクションシューティング
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンダイ
開発元 ベック(徳島組)
発売日 2003年9月4日
定価 通常版:7,400円
限定版:13,440円
廉価版 GUNDAM THE BEST
2005年2月17日/2,990円
判定 良作
ガンダムゲームリンク


概要

2000年に発売された『機動戦士ガンダム』の続編。
劇場版『哀・戦士編』までの地上戦を描いた前作に対し、今作は劇場版『めぐりあい宇宙編』の宇宙戦を描く。

初回盤には前作のダイジェストムービーを収録したDVDが付属。
限定盤には、グラフィック面を向上させた前作のマイナーチェンジ盤『機動戦士ガンダム Ver.1.5』と、ガンダム4号機のMIAシリーズフィギュアが付属。

ゲームの流れと基本システム

6つのモード

  • ストーリーモード:TV版第32話『強行突破作戦』から最終話『脱出』まで、すなわち劇場版『めぐりあい宇宙編』を再現する全8ステージ。プレイヤーはアムロ・レイとしてガンダムを操縦する。
    • 1つのステージは短いシーンの寄り集まりとなっており、意外と長い。2周目以降はシーンごとの獲得スコアに応じてシーンルートが変化する。
    • 1周目は劇場版に即しているが、2周目以降はTV版寄りの演出が挿入される(前作のセーブデータがメモリーカードに存在すれば即TV版を遊べる)。このほか、他の宇宙世紀作品とのクロスオーバーも発生する。
    • なお、チュートリアルステージとしてTV版第3話『敵の補給艦を叩け!』と第5話『大気圏突入』も再現されている。
  • サイドストーリーモード『宇宙、閃光の果てに…』:SDクラブ連載小説『モビルスーツコレクション・ノベルズ Act2ア・バオア・クー攻防戦』を原案としたオリジナルストーリー。略称『ソラセン』
    • 全5ステージで、プレイヤーはフォルド・ロムフェロー中尉となってガンダム5号機を駆る。こちらも戦績次第でストーリーが2通りに分岐する。
    • 『ガンダムエース』におけるコミカライズ、角川スニーカー文庫からの小説版とのメディアミックス企画の一環であり、キャラの詳細な描写はそちらに譲る形となっている。
  • エースパイロットモード:一年戦争、そしてデラーズ紛争を戦った8人のパイロットを主人公としてそれぞれの戦いを追体験するモード。ステージ数はキャラクターごとに異なり、一部のキャラクターはやはりステージの分岐が発生する。
    • 参戦キャラクターはシャア・アズナブル、黒い三連星、ジョニー・ライデン、シン・マツナガ、ユウ・カジマ、コウ・ウラキ、アナベル・ガトー、シーマ・ガラハウ。この内『0083』組の3人はOVA第7話『青く輝く炎で』以降の物語となる。
  • ミッションモード:前作の「タクティクスバトルモード」の後継。オリジナルパイロットを作成して一年戦争の宇宙船を戦い抜く。
    • オリジナルパイロットの育成要素もあり、育てたキャラは対戦で使用できる。
  • 対戦モード:読んで字のごとく。今回は機体ごとに搭乗パイロットや武装を選択することが可能となった。
    • アムロをボールなどの弱機体に乗せると「くぅっ!機体の反応が遅い!」、シャアをガンダムに乗せると「私に使いこなせるかな?」と喋るなど、ネタも多い。
  • ネットワークモード:プレイヤー同士の育てたデータをネットワークにアップロードさせ、擬似対戦を行わせるモード。戦績のランキングや新モビルスーツのダウンロードも出来た(サービス終了)。

基本システム

  • 本作のアクションは「ルートチューブ」と「バトルスフィア」の2つのモードから構成される。
    • ルートチューブ:強制スクロール面。原作さながらの速さと爽快感を再現したモード。
    • バトルスフィア:一定範囲内の3D空間を自由に移動して戦う。
  • 戦闘は出撃前に変更可能なメイン射撃、固定式のサブ射撃と格闘武器で行う(どれかが使えない機体もある)。
    • 防御兵装のシールドは、攻撃をしていない時は自動的に構えている仕様で、壊れるまで被弾時にダメージを肩代わりしてくれる。Iフィールドは常時ビームを無効化するが、こちらも耐久力が設定されている。
    • 時間経過で増加する「SPゲージ(最大3本)」を消費することで、強力なスペシャルアタックを発動できる。大抵はゲージ1本の消費だが、機体によっては3本チャージが必要なもの、1本と3本で別のスペシャルアタックが発動するものもある。
    • メイン攻撃ボタンを押しっぱなしにすると、パイロットごとに設定された最大値まで敵をロックオンし、離すと自動的に射撃を行う「マルチロックオンシステム」を実装。戦艦を相手に炸裂させた時の爽快感は大きい。威力がやや低下し、必中というわけでもないので、フリーダムガンダムのそれを危惧している人は安心してほしい。

その他

  • ステージをクリア、あるいは特定条件を満たすごとに使用できるキャラクター・機体は増加していく。機体については「MSビューワー」で3Dグラフィックと解説を見ることが出来る。
    • ステージは獲得スコアごとにクリアランクが算出される方式。
  • ムービー、BGMはアルバムモードで視聴可能。一部の描き下ろしを除いて、ムービーは『ギレンの野望』シリーズや『0083』OVAから流用されているのだが、挿入シーンによってBGMや効果音を変更するなどの編集が入っている。

評価点

合格点の原作再現

  • 本作の最大のウリであるメインストーリーモードはかなり気合が入っている。
    • 「アニメーションをゲームという触体に最適化した」とでも言うべきアレンジが効いており、原作視聴者であれば自然に楽しめるだろう。未見者に対してもステージ前の前説、およびブリーフィング会話で状況説明を入れるなど、出来るだけのフォローが行われている。
    • ソロモンではアナベル・ガトーのリック・ドムと遭遇する、ア・バオア・クー攻撃ではジャック・ハロウィン隊や不死身の第4小隊と共闘するなど、随所に仕込まれた小ネタが光る。2周目ではセイラとスレッガーがGファイターに乗る、ザクレロがビグロの増援として登場するなど、可能な限り劇場版とTV版双方の設定をすり合わせている点も評価できる。
    • 最終ステージでは、なんと 最終回の生身のフェンシング でシャアと対決することになる。
  • エースパイロットモードはステージ数のバラつきこそあれ、大まかな再現は出来ている。
    • シャアや黒い三連星、MSVの面子は一年戦争初期のブリティッシュ作戦時代から描かれている。当時はまだ戦闘機乗りだった連邦のエース達と対決するイベントも。
    • EXAM搭載機は、ゲージ1本のSPアタックでは胸部武装の斉射、ゲージ3本では一定時間ブーストゲージが無限となるEXAMシステムを発動できる。
    • 『0083』は2本のドラマCDエピソードをも取り入れている。シーマ編は一年戦争開戦時の特殊工作や、もし連邦軍への移籍が成功していたら…のifエンドも描かれている。ガトー編ステージ2でのシャアとの共闘、ジオングについてのやり取りは必聴。
  • BGMは全て原作準拠。勿論フルボイス。
    • 各ステージ前の前説では、各作品ごとのナレーターがそのまま声を当てる心憎い気配りも。
    • 「ビギニング」や「めぐりあい」、「EVER GREEN」はボーカル付き。『宇宙、閃光の果てに…』用に書き下ろされた新曲の他、『THE BLUE DESTINY』や『Lost War Chronicles』『コロニーの落ちた地で…』の名曲も収録されている。
    • ガンダムゲーにおいて宇宙空間を意識したシステムのゲームは珍しく、こと本作は操作性・雰囲気共にうまく宇宙を表現できている希少な作品でもある。

豊富な出演

+ パイロット34人
  • 地球連邦軍
    • 『1ST』:アムロ・レイ、カイ・シデン、ハヤト・コバヤシ、セイラ・マス、スレッガー・ロウ、リュウ・ホセイ
    • 『ソラセン』:ルース・カッセル、フォルド・ロムフェロー
    • 『THE BLUE DESTINY』:ユウ・カジマ、フィリップ・ヒューズ
    • 『ガンダム・ザ・ライド』:ジャック・ベアード
    • 『0080』:クリスチーナ・マッケンジー
    • 『0083』:コウ・ウラキ、チャック・キース、サウス・バニング、ベルナルド・モンシア
  • ジオン公国軍
    • 『1ST』:シャア・アズナブル、ガイア、オルテガ、マッシュ、ドズル・ザビ、ガデム、トクワン、ジーン、デミトリー、マ・クベ、シャリア・ブル、ララァ・スン
    • 『ソラセン』(ミッションモードのオリジナルキャラとしての参戦):ユイマン・カーライル、ギュスター・パイパー、リリア・フローベール
    • 『MSV』:ジョニー・ライデン、シン・マツナガ
    • 『THE BLUE DESTINY』:ニムバス・シュターゼン
    • 『0080』:バーナード・ワイズマン
    • 『0083』:アナベル・ガトー、カリウス、シーマ・ガラハウ、ケリィ・レズナー
  • もちろん、パイロット以外にも多くのキャラクターが登場する。一部キャストは声優の逝去などで、残念ながら代役キャストとなっている。
    • 『Lost War Chronicles』以降のダムゲーの常連になったノエル・アンダーソンとユウキ・ナカサトもミッションモードのオペレーターとして登場している。
+ 出演機体74機
  • 連邦側29機
    • ボール/ボールK型
    • ジム/ジム・コマンド/ジム・スナイパー2/ジム・カスタム/ジム・キャノン2
    • ガンタンク
    • ガンキャノン
    • ブルーディスティニー3号機
    • ガンダム/G-3/フルアーマー
    • ガンダム4号機/同BST仕様
    • ガンダム5号機/同BST仕様
    • NT-1アレックス
    • GP01fbゼフィランサス・フルバーニアン/GP03Sステイメン/GP04ガーベラ
    • 各戦闘機:コア・ファイター/コア・ブースター/コア・ファイターfb/Gファイター/Gアーマー/セイバーフィッシュ/パブリク
    • MA:GP03デンドロビウム
  • ジオン側45機
    • ザクI/黒い三連星専用機
    • ザクII/黒い三連星/シャア/ライデン/マツナガ/ドズル専用機
    • ザクII改/フリッツヘルムバージョン
    • 高機動型ザクII/後期型/黒い三連星/ライデン/マツナガ専用機
    • リック・ドム/ガトー専用機/II
    • ギャン
    • ゲルググ/シャア/ガトー専用機
    • ライデン専用高機動型ゲルググ
    • ゲルググ・M/指揮官用/シーマ専用機
    • ゲルググ・J/マツナガ専用機
    • アクトザク
    • ガルバルディα
    • ケンプファー
    • ジオング/ジオングヘッド
    • ブルーディスティニー2号機
    • ドラッツェ
    • GP02Aサイサリス
    • ガーベラ・テトラ
    • 各戦闘機:ガトル/ジッコ
    • 各MA:ザクレロ/ビグロ/ヴァル・ヴァロ/ブラウ・ブロ/エルメス/ビグ・ザム/ノイエ・ジール
  • 機体に関しては渋いチョイスが光る。
    • 特にガルバルディα、ガーベラ・テトラに「幻の試作4号機」、各種戦闘機を操縦できるのは当時このゲームぐらいだった。ジオングヘッドも遊べるよ!
    • 残念ながらステージは用意されなかったが、『0080』の主役2人とその乗機もミッション及び対戦モードで使用することが出来る。
    • また戦略戦術大図鑑において形式番号のみの記述であった、幻のシン・マツナガ専用ゲルググJが具体的に明確な設定がおこされ、初ビジュアル化されたことも本作の注目点である。
  • ガンダム・ザ・ライドとのコラボもあり、気づきにくいが細かい再現あり。

手堅くまとまったアクション

  • ロックオン、それを外す緊急回避(ロール)、上下への回り込みといった部分で、宇宙空間での簡単な操作を実現している。操作性はかなり良い。
  • スコアシステム絡みの細かいフィーチャーも挿入されており(撃沈した戦艦に追い打ちをかけると追加点、戦場を漂う残骸を潰すと追加点……など)、ハイスコア狙いが熱い。
  • 総ステージ数も多く、ミッションモードの存在もあってボリュームは十分。

その他

  • グラフィックに関しては、2003年度の作品としては申し分のない画質。機体デザインはリファインされ、よりスタイリッシュに仕上がっている。
    • 特に『めぐりあい宇宙』冒頭を3Dグラフィックで再現したオープニングムービーの出来は素晴らしいの一言。
  • 各モードでリトライを選んだ際には、作品によって一つ一つ異なるアニメーションが挿入される。

難点

  • ステージセレクトが出来ない。メインストーリー以外は一つ一つのステージが短く、ステージごとにセーブする形なので「失敗後の即リトライ」は出来るのだが……。
  • 特殊動作を持て余している感がある。
    • ルートチューブはなぞるべき原作がはっきりしているストーリーモード、およびアナベル・ガトー編ステージ3では有効に使われているが、サイド、エースパイロットモードの両方ではほとんど導入されていない(バトルスフィアばっかり)。
      • 原作のスピード感あふれる内容を再現するにはちょうど良いものの、そもそもが「強制スクロール」なので否定的な意見が多かったのも事実である。
    • コンテナ運搬はせいぜいミッションモードで使われている程度。着底動作は使用する意味がまるでない。
  • エースパイロットモードのステージ内容自体は似た物が多く、高ランククリアを目指さない限りやや単調な印象を受ける。
  • 新規アニメーションはTV版を意識したのか、作画まで往年のTV版に即したものとなっている。他所からの流用ムービーがどれも出来が良いだけになおさら浮いてしまっている。
  • 何故か『THE BLUE DESTINY』関連の音楽はミュージックプレイヤーに収録されていない。
  • 対戦モードにおいてミニマップが表示されないため、ろくに目印のない宇宙空間で迷子になりやすい。迷子になったら最後、まず相手と出会えないので中断するしかない。
+ その他、殆ど粗探しの域だが、「ファンなら気になる」レベルの細かい突っ込みどころは多い。
  • 青部分の黒味が増し、こまかいモールド線が多数入ったリファイン。
  • SEを使いまわしている影響で、一部機体の効果音が異なる(ガンキャノンのビームライフルがガンダムと同じ音、など)。
  • バニングとモンシアがいるのにベイトとアデルがいない、フィリップがいるのにサマナがいないなど、何故か出演していないキャラがいる(特に連邦側)。
  • Iフィールドがゲージ製。
  • パッケージにも書かれているガンダムの"最終決戦装備"が再現できない(SPアタックで、バズーカ二丁の一斉砲撃という形での再現に留まっている)。
  • ゲームの都合上端折られた部分。ワイアットとシーマの密談理由がよくわからない、ムービーでは吹き飛んだはずのGP03左コンテナがゲーム中では何故か復活している……などなど。

総評

充実した原作再現と大ボリューム。一年戦争後期、『めぐりあい宇宙』をキャラゲーとしたガンダムゲームでは最高峰と言っていいだろう。
確かに宇宙戦だけしか描かれていないとはいえ、地上戦オンリーだった前作との対比を考えれば「そういうゲームだから」と割り切れる。むしろ様々なモードで密度を上げている点を評価すべきであろう。
細かい難点は目につくが、アクションゲームとしての良さを損なうレベルではなく、アクションゲームが苦手な人にも勧められる。


余談

2004年に発売した3Dアクション『機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ』は本作のシステムをベースとしている。