注意:このページでは、オリジナルのPS2『魔界戦記ディスガイア』(良作)、移植作品のPSP『魔界戦記ディスガイア PORTABLE』(良作)、DS『魔界戦記ディスガイア 魔界の王子と赤い月』(劣化ゲー)、Win『魔界戦記ディスガイア PC』(良作)について解説する。



魔界戦記ディスガイア

【まかいせんきでぃすがいあ】

ジャンル やり込みシミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション2
発売元 日本一ソフトウェア
発売日 2003年1月30日
定価 通常版:7,140円
限定版:9,240円
判定 良作
魔界戦記ディスガイアシリーズ

※ 最初に発売されたオリジナル版のデータを基に説明する。


概要

  • 史上最凶のやり込みSRPGという謳い文句で登場したPS2用ゲームソフト。PS2の作品ではあるが媒体はCD-ROMである。
  • キャラクターデザインは原田たけひと氏が、楽曲は佐藤天平氏が担当している。
  • ストーリー重視の『マール王国シリーズ』よりも、ゲームシステム重視の『ラ・ピュセル 光の聖女伝説』の方が好評だったことから、そのゲームシステムを更に強めた作品としてリリースされた。
    • 発売当初はあまり話題にならなかったが、電撃プレイステーションの記事や口コミからまたたくまに認知度が広まり10万本以上の売上を記録。日本一ソフトウェアのヒット作となった。
  • Lvは9999、能力値は2000万(HP・SPは4000万以上)まで育成可能。 キャラメイク・転生・各種スキル・武器育成などタクティカルRPGの基本的な要素も一通り備えている。
  • 本編のボリュームは20~30時間程度で、難易度もSPRGとしては低め。レベル上げもほとんど必要とされない。
    • しかしアイテム界・練武の洞窟といった本編とは無関係の育成専用のシステムが充実しており、本編そっちのけでキャラクター強化に励むプレイヤーが続出した。中にはプレイ時間が1000時間を超えた者も。

ゲームシステム

武器

  • 本作には7種類+αの武器が存在し、それぞれ独自の性能を持つ。
    • 拳:連携を発動させやすく、特殊技に敵を移動させる性質がある。
    • 剣:癖が無く使いやすい、バランス型。
    • 槍:射程が2マスありより遠くの敵を攻撃できる。特殊技に自身を移動させる性質がある。
    • 弓:HITが高く、また射程が長く遠くの敵を攻撃できる。通常攻撃と特殊技のダメージはATK・HITに依存する。
    • 銃:弓以上の射程を持つが、通常攻撃と特殊技のダメージは、HITにのみ依存する。
    • 斧:HITが減少するが、同ランク装備では(最高ランク付近を除いて)最高のATKを持つ。
    • 杖:魔法の威力、射程、範囲が強化される。
    • 牙:魔物専用武器
  • 職業ごとに向き不向きはあるが、装備制限はなくどの職でも好きな武器種を装備できる。

ウェポンマスタリー

  • 武器の熟練度。「剣」「斧」など武器種ごとに存在し、対象の武器を使用しているとマスタリーレベルが上がる。
  • マスタリーレベルが上がると武器技を習得したり、対象の武器を装備したときのパラメーターが強化される。
  • 各キャラ、職業にF~Sで適性が存在しているが、熟練度の上がりやすさにのみ影響し、威力やパラメーターに差異は無い。

アイテム界

  • アイテムの内部にあるランダムダンジョンを攻略することでアイテムレベルを上げ、そのパラメーターを上昇させることができる。
  • ダンジョンの大きさはアイテムのレアリティによって異なり、最大で100階構成。1階クリアするごとにアイテムレベルが1上昇する。
  • アイテムの基礎パラメータが高ければ高いほど、アイテム界に出現する敵も強くなる。不必要な戦闘を避け、効率的に進むための工夫が求められる。
  • キャラクター育成における最も重要な要素である。強化したアイテムに更にウェポンマスタリーの補正を掛けることで、装備者は莫大なステータスアップを得ることができる。
  • アイテム界では途中セーブができず、専用アイテム「デール」を使うか、10の倍数階をクリア後の選択肢からしか脱出できない。

イノセント

  • アイテムに付与されている追加効果。「ATK+50」「獲得経験値+20%」などの効果を装備者に与える。
  • アイテム界に潜ると、このイノセントが中立キャラとして登場することがあり、彼らを服従(=撃破)させると追加効果の数値が2倍になる(ATK+50→ATK+100)。
  • 更に、服従させたイノセントは他のアイテムへ移したり、同じ効果のイノセント同士で合体させることができる。
    • これを利用すると、「ATK+19998」や、「獲得経験値+300%」といった極めて強力な追加効果を得ることができる。
  • 通常、レベル上げ・ウェポンマスタリー上げにはかなりの時間がかかるのだが、このイノセントを活用することでその時間を大幅に短縮させることができる。

転生

  • レベルの上限は9999でそれより上げることはできないが、「転生」を行うことで特殊技や武器熟練度をある程度引き継いでLv1に戻ることができる。
  • このとき、転生前のステータスに応じて「素質能力値」と呼ばれるレベルアップ時のステータス上昇量を決める値が変化する(通常は増える)。この状態でレベルを上げると転生前よりも高いステータスを得られる。
  • レベル上げと転生を交互に繰り返していくことで、ステータスが少しずつ伸びていく。
    • また転生時のレベルが記録・加算されており、これが一定値に達する毎に上記の素質能力値にボーナスが発生する。
  • 汎用キャラは、転生と同時に職業を変えることも可能。このとき、男を女にしたり、人間型を魔物型に変えることも可能で、評価点にも挙げるようにとにかく育成が自由。

投げる

  • 人間型のキャラは、隣接するキャラを持ち上げて投げ飛ばし、強制的に移動させることができる。SRPGではあまり見られないシステム。
  • 通行禁止マスを飛び越える、接近してきた敵を遠くに投げて距離を取る、など使い方は様々。

ジオエフェクト

  • マップ上には、赤や青などの色のついたマス「ジオパネル」が存在する。
  • また、「防御力-50%」「無敵化」などの特殊効果 (ジオエフェクト) を持つ「ジオシンボル」という中立ユニットが存在する。
  • ジオシンボルがジオパネルの上に置いてあると、そのパネルと同色のマス全てにジオエフェクトの効果が発揮される。ジオシンボルを破壊したり移動させると、この効果を打ち消すことができる。
  • ストーリーマップの大半は敵に有利になるようにジオシンボルやパネルが配置されており、プレイヤーは頭を使ってマップの突破方法を考えなければならない。
    • 勿論、プレイヤー側も恩恵を受けることができる。敵をジオパネルの外に出してプレイヤーで独占する、というのも一つの手である。
      • 「敵強化+50%」「超敵強化3倍」のみ敵だけに効果がある。

暗黒議会

  • 店にもっと高いものを置いたり、出現モンスターを強くしたりしたいときに利用する。
  • 提案には「マナ」が必要である。このマナは敵にとどめを刺すことで溜めることができる。複数のキャラでマナを共有することはできない。
  • 現実の議会のように、賛成・反対の意見を集め多数決を取る。しかしここは魔界。反対派に賄賂を贈って味方に付けたり、否決されても戦闘で全滅させたりして無理やり可決することもできる。

師匠・弟子・エクストラゲイン

  • 新しくキャラを作るときは上記の暗黒議会に申し込むのだが、申し込んだキャラが師匠となり、新しく作ったキャラが弟子となる。
  • 隣接していると連携攻撃が出やすい、弟子のステータスの10%分が師匠のステータスに加算される、といった恩恵がある。
    • また隣接しているときに弟子の魔法を師匠がLv0の状態で使うことができる。何度か使って魔法Lvを上げればその魔法を習得することができる (エクストラゲイン)。

評価点

豊富な隠し要素

  • 上述の通り本編のボリュームは20~30時間と昨今のRPGと比較して短い。
    • しかし、クリア後(厳密にはクリア前でも可能)の隠し要素を含めると、そのボリュームはゆうに100時間を超える。
    • イノセントを集め、アイテムを強化し、レベルとウェポンマスタリーを鍛え、凶悪なステータスを持つ隠しボスに挑む。とにかくやることが尽きない。

ストーリー

  • どちらかというと一貫性はあまり無いストーリーだが、各話のところどころでコミカルな展開や話の良さがキラリと光る。日本一特有の陰惨な展開も所々に垣間見える。
    • 特定の条件で発生する特殊なエンディング(所謂バッドエンド)も多数用意されている。
    • 最終話の展開はかなり衝撃的。それまでのコミカルなテイストを全て吹き飛ばす。
  • ストーリーとは関係ない、たとえば各話の終わりに挟みこまれるデモ(次回予告)が面白い。
  • 佐藤氏による音楽は秀逸。マール王国シリーズから引き続く名曲の数々がストーリーを盛り上げてくれる。
    • 本作の主題歌ともいうべき「ラハールさまの賛美歌」は色々な意味で必聴の名曲だが、正規ルートではなくて脇道ルートでしか聴けなかったりする。
    • 挿入歌は「戦友(とも)よ」と「赤い月」の2つとマール王国シリーズに比べると少ないがそれぞれシーンに合わせた絶妙のタイミングでかかり、プレイヤーの脳汁と涙腺を崩壊させてくれる。

キャラクター

  • キャラクターは主人公ラハール、魔王の家来エトナを始めとする個性派揃い。
    • 特にラハールは声優の水橋かおり氏の当たり役の一つとなった。
    • また、魔界の召使いのプリニーはその後の日本一作品に多数出演する、マスコット的存在となった。
  • ラ・ピュセルから“魔王”プリエなど、他作品からのゲスト出演も多い。
  • 主要人物以外のいわゆるモブに該当する汎用キャラクターも、その可愛らしい外見から人気が高い。

ロード時間の短さ

  • 日本一ソフトウェアのゲームは起動時にROMのデータをハードに読み込ませることでロード時間を大幅に短縮させている。このおかげで快適なプレイを楽しめる。

ドット絵のクオリティ

  • ゲームグラフィックに対する評価はプレイヤーによって異なるが、ドット絵そのもののクオリティは非常に高い。
  • 高笑いするラハール、ポーズを決める地球勇者ゴードン一行など、画面上で動き回るキャラクター達は見ているプレイヤーを飽きさせない。

自由度の高いキャラメイク

  • 上述の通り装備できる武器種に制限はない。ウェポンマスタリーの上限も全職一律で255。ほか転生やエクストラゲインで他職の魔法を覚えられる。
  • 例えば侍で剣を鍛えてから盗賊に転生すれば、剣技が得意な盗賊が完成する。同様に炎を得意とする赤魔法使いに、水や風魔法を教えることもできる。
  • 他にも魔法を極めた戦士、斧を持った魔法使い、槍で戦うアーチャー、拳を振るう僧侶等、非常に自由度の高いキャラメイクが実現可能。
  • 他のRPGで「ネタ」とされたり、そもそも組めない構成が、ディスガイアでは実現できてしまう。本シリーズならではの魅力と言える。
    • ただし装備適正*1の概念があり、実際には素直にその職に向いた装備を選んだ方が強い。最強の構成を目指すか、あくまで我が道を行くか好みが分かれるだろう。

賛否両論点

「やり込み要素が豊富」という点

  • 本作で言う「やり込み」はひたすらキャラクターやアイテムを強化する「育成」や、図鑑を埋める等の「収集」を指す。
  • スコア/タイムアタック、低レベルクリア等のことではない。後述する難度設定を利用してのやり込みとして、最大強化された裏ボスに挑むプレイはあるが、やはりメインは育成である。
    • 自分からRTAや縛りプレイ等のルールを課してプレイすることはできるが、ゲーム側にそのような設定がある訳ではない。
    • ゲーム中に敵のパラメータを変える形での難度設定はあるが、取得経験値を底上げして稼ぎに利用するのが主目的であり、歯ごたえのあるプレイを求めての利用には向かない。
  • 「やり込み」のベクトルが(何よりも時間を要し、知識や技術の比重が小さい)収集・育成方面に向きすぎているため、そのような要素を好まないプレイヤーからは「やり込まされゲー」「超作業ゲー」などと揶揄されている。

ゲームグラフィック

  • PS2というハードの性能に見合わない稚拙なグラフィック*2で、SFCレベルと揶揄されることもある。
  • 一方で「暖かみがある」「むしろドット絵だからこそ評価できる」と、時代遅れという点を逆に評価するプレイヤーも居る。

SRPGとして

  • 属性耐性、敵・味方の位置および向きによる補正、ジオエフェクト、マップの高低差による補正など、ダメージに関係する仕様は細かい部分まで作り込まれている。
    • それぞれ効果は重複するため、如何にして大ダメージを出すか工夫のしがいがある。やり込みの一種として最大ダメージ検証もある。
  • 一方で敵が覚えている特殊技の射程、攻撃範囲、威力の予測ができない、敵のAIがあまり賢くない等、調整が行き届いていないところも。
    • AIについては狙いにばらつきがあり、特殊技を使える状況でも通常攻撃を選ぶなど。ただこのおかげで難度が抑えられている面はある。

職業バランス

  • 本作には多種多様な職業が存在するが、やはり強弱はある。
  • 結論から言えば「魔人」があらゆる職業における最上位で、最強を目指すなら魔人以外の選択肢はない。
    • ただし魔人は解禁条件が非常に厳しい言わば隠し職業であり、その強さはやり込んだプレイヤーへのご褒美とも取れる。
    • この辺りを妥当な調整とするか、バランスの悪さと捉えるか判断の分かれるところ。
  • 魔人の存在を考慮しなければ本作は剣一強のバランスなため、それを得意とする「侍」が頭一つ抜けている。
    • 解禁条件もそこまで厳しくなく、何も考えずにプレイしても解禁できる。
  • 一方で不遇とされるのは「魔法剣士」。悪い意味で能力が平均的であり、剣も魔法も専門職に負ける有様。ほぼ上位互換である「天使兵」の存在も痛い。
  • やり込んでいくうちに強弱の差は縮まっていくものの、プレイヤーによっては気になる部分だろう。
    • ただ魔物型キャラのみ、やり込みや愛の力ではカバーし切れない問題を抱えている(後述)。

アイテム界の仕様

  • 「ランダムダンジョン」と銘打っているが、ボスであるアイテム将軍以外倒す意義がなく、突き詰めると敵を無視してどんどん進んでいくのが最適解となる。
  • 如何にして少ない手数で次のマップに進むかの駆け引きはある。拳の武器技で敵をどかしたり、投げを駆使して長距離移動するなど、工夫のしがいはある。
  • ただほとんどバトルせずに進んでいく都合上、どうしても作業感が残ってしまう。人によってはつまらないと感じる要素になり得る。

一部武器技の仕様

  • 拳、槍の武器技には予備動作の概念があり、予備動作パネルに障害物やキャラがあると発動できない。
    • コマンド入力時点では発動可能でも、その後味方が移動するなどして予備動作パネルが埋まってしまうと不発に終わってしまう。
    • あるいはその逆で拳の武器技で敵を移動させてしまい、後続のキャラが攻撃できなくなることも。
    • 拳に関してはアイテム界で出口を塞いでいる敵をどかすなど便利な部分もある。
  • この独特の性質は好みが分かれやすい。幸い、拳、槍を使わないとクリアできないようなステージは本編にはない。

問題点

バグ

  • 育成しすぎるとオーバーフローを起こして能力が0に戻るという不具合がある。
    • PSP版では修正されている。

ゲームテンポの悪さ

  • 長時間のプレイを前提としたつくりでありながら、イベントのスキップが一切できない。
  • カーソルやキャラクターの移動速度を変更できず、特殊技の演出もカットできないため、戦闘に掛かる時間が長い。
    • 特殊技の演出はPSP通信版で、他は『2』およびDS版で改善された。

武器のバランス

  • 8種類(人間用が7種、魔物用が1種)ある武器のうち、「剣」が突出して強すぎる。
  • 剣は「バランス型の初心者向け」という特徴だが、習得する特殊技は単体高威力、広範囲攻撃、長射程攻撃とあらゆる局面に対応出来るため、他の武器を用いる意義がほとんどなくなってしまっている。
    • 敵を強制移動させる技を使える「拳」と、魔法の範囲・射程を広げられる「杖」のみ、ある程度利用価値がある。それでも剣が強すぎて存在が霞んでいる。
  • 具体的には、稼ぎに必要な3x3マスと、高低差に強い射程5マスの特殊技を備えており、依存ステータス(与ダメージに影響する)がATKのみでブレイブハート(ATK上昇の補助魔法)で威力を大幅に上昇させられる。
    • なにより、武器のパラメータが他の武器よりも圧倒的に高い。最強剣の「魔剣良綱」はATK4000*3、次点の「宇宙銀河ブレード」もATK2000となっている(剣に次いで高い斧でもそれぞれ2500、1500)。

魔物キャラが活用できるシステムが少ない

  • キャラクターは大まかに「人間型」と「魔物型」の2種類に分けられ、使用できるシステムに差異がある。
  • このうち、魔物型は「使用できる武器の種類が少ない」「投げが使用できない」など、人間型に比べてできることが少ない。
    • 魔物型キャラに用意されている武器種は一種類のみ。特に問題なのは人間型の「杖」に当たる魔法系の武器が存在しないことで、魔法の得意な魔物型キャラは活躍させづらい。
    • また、魔物武器はマスタリーレベルを上げても武器技を習得できない。職業固有の技は「転生」を行うと技レベルがリセットされてしまうので、人間型キャラはレベルがリセットされない武器技・魔法を主力にするのだが、魔物型キャラにはそれができない。
    • 作成可能にする条件が厳しい。基本的に、敵として出現する魔物型キャラを倒せば暗黒議会で作成可能になるのだが、1体倒しただけでは作成に必要な費用が高く、30体倒すことで基本値になる。遭遇しにくい種族・ランクの魔物*4もいるので、やりこみというより苦行。よほど問題だったのか、続編ではこのシステムは完全消滅している。
  • 続編では魔物型特有のシステムも増え、格差も小さくなっている。(『2』での魔物魔法系の武器の追加、『3』での「投げレシーブ」追加など)

総評

日本人が好むとされるレベル上げ・アイテム収集といった「作業」に特化した内容で、多くの中毒者を生み出した良作。
取っ付き易い難易度でSPRG初心者にも受け入れられた。原田氏による可愛らしいキャラクターデザインも概ね好評で、キャラゲーとしても一定の人気を得ている。


余談

  • 10万本を売り上げたヒット作であるという点から、良くも悪くも以降の日本一ソフトウェア作品の判断基準と化してしまった。
    • その後に発売された別タイトルの売上があまり芳しくなかったことや、諸事情で開発力が低下したことからディスガイアシリーズは日本一の主力とならざるを得なくなり、結果として多くの続編・移植作品・派生作品がリリースされることになった。
  • 小説、漫画、アニメが存在する。
    • 小説版は3種類存在するが、そのうちの1つはゲーム本編にあたる部分の刊行後も続編が書かれており、小説版オリジナルキャラが登場したり、同社の『ファントム・キングダム』のキャラが介入するなど、原作とはまた違った面白さがある。
    • アニメ版はストーリー変更、作画崩壊などの特徴がある。
  • コンパイルハート(アイディアファクトリー)発売の『クロスエッジ』『トリニティ・ユニバース』にディスガイアのキャラクターがゲスト出演している。
  • 本シリーズの魔法体系はファイア系を例に採ると「ファイア」→「メガファイア」→「ギガファイア」→「オメガファイア」→「テラファイア」の5段階である。4段階目のオメガ系が見事に浮いてしまっている。『ディスガイア2 PORTABLE』以降6段階目であるペタ系が追加されたため、よりその傾向が強くなってしまっている。
    • これは同社の『マール王国の人形姫シリーズ』の魔法体系を流用しているためであるのだが、あちらはオメガ系までの4段階までだったため違和感は無かった。しかし、本作で5段階目のテラ系を追加してしまったためこうなったのである。
    • また、現在ではマール王国シリーズよりもディスガイアシリーズの方が知名度が高くなる一方であるため、マール王国シリーズを知らないディスガイアユーザーが増えていき、オメガ系に疑問を持つユーザーも増えている。

魔界戦記ディスガイア PORTABLE

【まかいせんきでぃすがいあ ぽーたぶる】

ジャンル 史上最凶やり込みシミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 日本一ソフトウェア
発売日 2006年11月30日
定価 4,800円(税抜)
判定 良作

概要(P)

  • 『魔界戦記ディスガイア』のPSP移植作品。
  • 設定やクリアまでの大枠は本編から引き継がれている。

評価点(P)

追加要素

  • 新シナリオ「エトナ編」、聴いたことのあるBGMを買える「音楽屋」、集めたアイテムや与えたダメージなどを記録できる「記録屋」が追加された。
  • エトナ編はクリア後にプレイ可能になる。「もしエトナがラハールを誤って殺してしまったら」というifストーリーが展開される。
    • 本作の既プレイ者、上級者向きの内容で全4話構成。マップ構成が本編と大きく異なる。
      • あるコマンドで最初からはじめた場合は難易度が下がる。
  • 『ファントムキングダム』のゼタ、『魔界戦記ディスガイア2』のアデルとロザリンドが追加ボスとして登場するようになった。
    • それに合わせて専用マップ「魔鏡の間」が追加。本編よりも強力な敵が出現し、より効率のいいレベル上げができるように。

エトナ編

  • 自由奔放なエトナが何故ラハールの配下になったか、生前のクリチェフスコイについてなど、PS2版で詳しく語られなかった設定が明らかになる。
  • 全4話という短さながら、エトナというキャラクターについて深く掘り下げており、話のオチもディスガイアらしいものが付けられる。
  • 外伝ながら意外と作り込まれており、ここでしか聞けないテーマソングがある他、エトナ編で裏ボスを倒すと本編とは別の展開を迎えたりする。

問題点(P)

  • 剣一強のバランス、魔物キャラの不遇さ等は移植前のまま。
  • 特殊技演出のカット機能もまだない。

総評(P)

エトナ編他多くの追加要素を盛り込んだ『魔界戦記ディスガイア』の移植作品。
家で腰を据えてじっくりプレイしたい人から、出先の暇潰しを求めている人にまで、広く勧められるRPGである。


魔界戦記ディスガイア PORTABLE 通信対戦はじめました。

【まかいせんきでぃすがいあ ぽーたぶる つうしんたいせんはじめました】

ジャンル 史上最凶やり込みシミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 日本一ソフトウェア
発売日 2007年11月29日
定価 2,800円(税抜)
判定 良作
  • ワイヤレス通信による通信対戦、前作のセーブデータ引き継ぎ、戦闘演出の簡略化といった追加要素がある。

魔界戦記ディスガイア 魔界の王子と赤い月

【まかいせんきでぃすがいあ まかいのおうじとあかいつき】

ジャンル 史上最凶やり込みシミュレーションRPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 日本一ソフトウェア
開発元 システムプリズマ
発売日 2008年6月26日
定価 5,040円
判定 劣化ゲー

概要(DS)

2003年に発売され、日本一ソフトウェアの名を広く知らしめた名作『魔界戦記ディスガイア』のDS移植版。同社の任天堂ハードにおける初の作品である。

評価点(DS)

  • PSP通信版の演出簡略化に加え、戦術マップでのキャラ移動スピードも高速化が可能になっており、更にスピーディーになっている。
  • 追加要素として当シリーズのキャラクターデザインを手がける原田氏のホームページの看板娘「プレネール」がプレイヤーキャラとして参戦する他、PSP版では戦えるだけだったゼタ、アデル、ロザリンドが倒した後で仲間になるようになった。
    • プレネールはゲームの進め方次第ではすぐに仲間になるので即戦力として有用であり、他のキャラ達もプリエやマージョリーに負けず劣らず凶悪な性能である。
  • 2周目以降、イベント中に上画面でプリニーの突っ込みが入るプリニーコメンタリーが追加されている
    • おおむね原作のノリを延長した内容であり、他作品からの小ネタの解説などといったシナリオの補完もしたりするので、周回プレイにおけるマンネリ解消にも一役買ってくれる(ON・OFF可能なので、見たくない場合はOFFに設定すれば見なくて済む)。
  • 見下ろしマップの追加で位置関係の把握がしやすくなった。3Dマップと見下ろしマップを同時に表示している点は二画面の特性をうまく生かしているといえる。
    • 特にアイテム界は凸凹が多く3Dマップでは非常に地形が把握しづらい。その問題をDSならではのやり方で解決したことは充分な評価点である。

問題点(DS)

PS2版やPSP版と比べハードや容量の関係上、劣化要素がかなり多い。

  • ファンにとっての最大の不満要素は何よりボイスが削除された事である。
    • エンディング等に使われていたボーカル曲はインストゥルメンタルに変更され、音質も大幅劣化。
    • 辛うじて残っているのはオープニングと各話間の次回予告デモ、戦闘中の掛け声のみ。
      • だが各話間の次回予告デモの声がなぜか半場友恵氏から若本規夫氏に変更されており、旧来のファンからは「改悪」と批難される事が多い。
      • そもそも若本氏はベース作品に出演していないので本作との関わりは薄く、何故氏に変更したのかとの疑問を抱く事になるのは必然であろう。
      • 追加ユニットに戦闘中のボイスが無い。プレネールは無口という設定があるので仕方がない部分もあるが、他の3人は過去作からの使い回しでもよかったと思うのだが…。
  • ハードの仕様上、画面の解像度が低い。特に特定の技のエフェクトでキャラが拡大される時にこの傾向が顕著になる。
  • 特殊技の使用時に背景が真っ黒になり、エフェクトが簡素化、または一部カットされている。
    • おまけにエフェクトが従来作よりややもっさりしている。特にアデルの烈火武神撃は処理落ちにしても酷過ぎる。
  • 敵のステータスの一部が閲覧不可能になった。
  • 弟子作成可能数が減っている(PS2・PSP:104人→DS:35人)。
  • セーブデータが削除できない。PS2・PSPではゲーム機本体側でセーブデータの管理ができ、削除の機能が不要だったため、ソフトにデータを保存するDSにはセーブデータ削除の機能を追加する必要があることに開発側が気付かなかったものと思われる。
  • タッチ操作が追加されたがもともとタッチ操作を想定しておらず、狙ったところをタッチするのは至難の業。2画面であることから従来の画面以外にマス目表示の見下ろしマップが追加されたが、なぜかこれがタッチ機能のない上画面。逆だったらタッチ操作しやすかったのに。

総評(DS)

旧来のファンから見れば粗の目立つ作品であるが、システムの根幹部分はしっかりとした移植がなされているため、ゲーム性での劣化は無きに等しい。初めてディスガイアをプレイした層からは概ね好評である。
携帯機なので電車の中などで音声OFFにする人も多い。エフェクトにしても、作業ゲーとなればほとんどの人が切ってしまうだろう。気にしない人には本作をオススメする。

余談(DS)

  • 4Gamerによるシリーズ15周年記念インタビューにおいて、開発スタッフがシリーズで最も開発が大変だった作品として本作を挙げている。
    • 同インタビューによれば、元のディスガイアがDSで動かすような仕様ではないので、素材などを極限まで切り詰めて作り直し、解像度の低さに合わせてパラメータ表示などにも手を加えるなどしており、「よく完成できたと思います。」と感想を述べている。

魔界戦記ディスガイア PC

【まかいせんきでぃすがいあ ぴーしー】

対応機種 Windows Vista~10 (Steam)
発売元 NIS America
発売日 2016年2月25日
価格 1,980円
備考 配信当初の英題は『Disagea PC』
判定 良作

概要(PC)

日本一ソフトウェアのPC進出第一弾にしてディスガイアシリーズ初のPC版。
尚、Steam等での全世界配信のためパブリッシャーは同社の米国法人であるNIS Americaが担当している*5
『魔界戦記ディスガイア Portable』を元にしており、PC向けのUIやテクスチャに対応している。
当初は英題の『Disgaea PC』名義だったが、後にSteamストアの日本語タイトル表示対応の際に『魔界戦記ディスガイア PC』に改められている。

PC版の追加・変更点

  • 高解像度のテクスチャ、インターフェースに対応。旧来のデザインも選択出来る。
    • 変更されるのは各種ウィンドウのデザイン、マップのテクスチャデザイン、影などの各種処理追加、顔グラフィック、立ち絵の高解像度化など。
    • キャラクターのドット絵はさすがに描き直されていないが、オプションからフィルターをかけてスムージング処理がかけられる。
  • コントローラーに加え、キーボード+マウス操作に対応。
  • 音声は日本語と英語、字幕は日本語、英語、中国語、韓国語が収録されている。
  • DLCとしてデジタルアートブック、オリジナルサウンドトラックを収録した『Digital Deluxe Dood Edition』が配信されている。
    • プレオーダー(先行予約)すると、通常版と同価格で購入できた。

問題点(PC)

  • 配信当初はPCへの最適化不足が散見された
    • fpsが安定しない、SSAOなど特定の画面オプションに不具合があるなど。
    • 現在はパッチで改善されている。
      • その後も順次アップデートが行われており、8月9日のアップデートではボタン表示が要望の多かったXinput表記に対応した。
  • 通信対戦未収録
    • このため、通信対戦版での追加キャラは使用できない。
  • 連携時のカットインだけはドット絵と同様フィルターがかけられるだけなので、顔グラフィックなどに比べると若干見劣りする。

総評(PC)

近年増えてきたSteamへ進出するメーカーにありがちなPCへの最適化不足や配慮の足りない面は見られるものの、
基本的な内容に変更はなく、PC用に強化されたグラフィックなどは好評を得ている。
日本一ソフトウェアのPC進出第一弾としてはそこそこの成功を収めたと言えるだろう。

その後(PC)

  • 2018年7月26日にSwitch/PS4で『魔界戦記ディスガイア Refine』が発売された。
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最終更新:2023年06月03日 03:55

*1 装備のパラメータに上乗せされる補正。例えば魔法使いはATKが通常の半分までしか上がらない等

*2 マール王国シリーズやラ・ピュセルと同じ規格で作られているため。

*3 更に通常攻撃の射程がなぜか5マスもあり槍・弓は存在意義を否定され、おまけに移動力とジャンプ力まで上昇する

*4 固定出現する場所がない種族・ランクの場合、アイテム界で探すしかない。

*5 パブリッシャーとしては2012年の当時子会社だったSystem Prismaの『クラシックダンジョンX2』やアクワイヤの『Clan of Champions』の各PC版で既にSteamに進出済み。