本記事では『ラ・ピュセル 光の聖女伝説』と当該作品のリメイクである『ラ・ピュセル 光の聖女伝説 2周目始めました。』及び『ラ・ピュセル†ラグナロック』の3作品を紹介する。判定はいずれも良作



ラ・ピュセル 光の聖女伝説

【らぴゅせるひかりのせいじょでんせつ】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 日本一ソフトウェア
発売日 2002年1月31日
定価 7,140円(税込)
判定 良作

ストーリー

舞台は『聖パプリカ王国』という小さな国。
そこでは女神ポワトゥリーヌが信仰され、いにしえから『光の聖女と闇の王子伝説』が語り継がれてきた。

「闇の王子甦るとき、聖なる乙女現れん」
闇の王子
堕天使カラミティーに愛されし人類の反逆者
その力、世界に暗黒をもたらさん
闇あれば光あり
彼の王子目覚めしとき一人の少女現れ世界を救わん
其は光の聖女
女神ポワトゥリーヌの御使いにして奇跡代行者なり

そして、女神ポワトゥリーヌと光の聖女を信仰する聖女会の悪魔祓いたちを人々は「ラ・ピュセル」と呼ぶ。

(公式サイトより抜粋)


概要

マール王国シリーズ』で一躍有名になった日本一ソフトウェアが作ったシミュレーションRPG。
マールの雰囲気を残しつつもシリアス且つ王道的なストーリーと膨大なやり込み要素が特徴。
あくまでメインはストーリーを進めることを目的としたシミュレーションRPGであり、やり込み要素はおまけに過ぎないといって良いが、後にやり込みをメインとした同社の代表シリーズ『魔界戦記ディスガイアシリーズ』がリリースされ人気を博したが、その原点は本作とみなされている。


特徴・評価点

  • 戦闘システム
    • 本作の戦闘システムはディスガイアシリーズでもおなじみになるターン制のタクティクスタイプである。
      • もっとも、ディスガイアシリーズと異なり、「同じ敵を攻撃対象にすることでパーティを組んで同時に攻撃する」スタイルとなっている。攻撃する時に隣に居るキャラが援護攻撃をしてくれるのはディスガイアシリーズと似ているが戦闘スタイルは王道的なSRPGスタイルといえ戦略性が高い戦闘となっている。
    • ストーリーを進めることをゲームの目的としているためか、本編シナリオの難易度が低め。もっとも、やり込みをしなければ倒せない敵(倒さなくてもストーリーは進むが、場合によってはスペシャルエンドという特殊なエンドになるものも)がいる場合もあるため、倒すためにやり込むのも自由。
  • やり込み要素
    • レベルは9999まで上がり、ダメージも10万を超える。技やアイテムにレベルがあり成長させたり、ラスボスを凌ぐ強さの隠しボスがいたりとディスガイアシリーズのやり込みほどではないにしても、その基礎部分は本作の時点で既に完成していたといえる。
      • 本編中でもステージの魔界化指数を高めることで魔界に行くことができる。全10フロアのランダムダンジョンであり魔界化指数次第では本編を超える強敵も出現する。ディスガイアシリーズで言うアイテム界のようなものと思えば良いだろう。
  • ストーリー
    • 本作のストーリーは「光の聖女」を目指す主人公が「闇の王子」の復活を防ぐために旅に出るというRPGの王道的なストーリーである。
      • 前半はマール王国のノリを受け継いだほのぼのとしたコミカルな展開が多く、マール王国シリーズのファンなら安心して楽しめる内容となっている。
      • 一方、後半は鬱な描写が多く、鬱展開が多いと言われる同社の作品としてもかなり鬱な部類である。しかしただ暗いだけではなく、未来を見いだせる作りになっているため、同社のシミュレーションRPGの中でも特に評価が高い。
    • 本作のストーリーはディスガイアシリーズなどと同様、章立て構成であるが各話毎にグッドエンド、ノーマルエンド、バッドエンドといった複数のエンディングが用意されている。
      • 特にバッドエンドは後味が悪いものが多い。しかし最終的なエンディングには影響しないので安心して遊ぶ事が出来る。
      • 上述の通り、やり込まないと条件をまず満たせないスペシャルエンドも存在する。もちろん、最終的なエンディングには影響しないのは同様なのでやり込みのご褒美といえようか。
  • チュートリアル
    • 本作は独自のシステムが多いもののチュートリアルが親切であるためシミュレーションRPG初心者でも安心して遊ぶ事が出来る。
    • また、そのチュートリアルもただ遊び方を説明するだけでなく笑いを交えて説明してくれるため、だれる事無く遊び方を覚える事が出来る。
  • グラフィック
    • グラフィック自体のレベルは当時のドット絵ゲームとして見ても並である。しかし、ドット絵の動きが多彩であり、特にイベントシーンでは台詞の度にキャラクターが動いていると言っても過言ではない。

問題点

  • インターフェイス
    • 本作が日本一ソフトウェア初のシミュレーションRPGという事を考えると仕方のない部分もあるが後の作品と比べてインターフェイス面で不親切な点も多い。
    • 例を上げると、ソフトリセット機能が無い、イベントをスキップできないなど。
      • 特にソフトリセットに関しては、本作は同社の他の作品と同様ロード時間を短縮するために起動時に大量のデータをメモリに読み込むため、リセットすると起動時のロードをやり直す事になるためストレスの要因となる事が多い。
    • オプションがステレオかモノラル変更の一項目という充実した内容となっている。
  • バグ
    • 同社のソフトはバグが多いと言われる事が多いが本作にもバグは存在する。
      • 特にアイテムを育てすぎるとオーバーフローして能力値がマイナスになるバグが有名であり、やり込み要素がまだおまけだったことの証左ともいえるだろう。
  • 一部ステージのグッドエンドが運頼み
    • 第5話は離れた場所にいる女性NPCが死なずにクリアすればグッドエンドだが、敵がランダムで配置されるため、女性NPC付近に敵が複数配置されると守る間もなく1ターンキルされてしまうことも。
    • 第10話は敵兵士を1体も倒さずに反対側に辿り着けばグッドエンドだが、開始地点付近に大量の兵士が溢れており抜けていくことすら困難。敵の思考もランダム要素があり明確な攻略法はなく運頼みとされる。

総評

ディスガイアシリーズなどと比べ、やり込み要素やインターフェイスの面で劣る部分が多いものの、当時としては斬新なシステムや膨大なやり込み要素など評価点が多く、またストーリーも良く練られているため同社の作品でも高いレベルで纏まった良作であると言える。
日本一ソフトウェアのやり込みシミュレーションRPGの入門編としてもお勧めしたい作品である。
現在はシステムが大きく改善された『ラ・ピュセル†ラグナロック』が発売されているため、本作に興味を持った方はそちらの購入をお勧めする。


ラ・ピュセル 光の聖女伝説 2周目はじめました。

【らぴゅせるひかりのせいじょでんせつにしゅうめはじめました】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売・開発元 日本一ソフトウェア
発売日 2004年10月21日
定価 2,940円(税込)
レーティング CERO:全年齢対象 ※当時の判定を記載
判定 良作

変更点・新要素(2周目)

  • タイトル通りクリア後のセーブデータを読み込んで「強くてニューゲーム」が選択できる。
  • 原作でアイテム強化でオーバーフローするなどのバグが修正されている。
  • ソフトリセット機能が追加された。
  • 通常版の隠しボスを凌ぐ更なる強敵が追加された。
    • パラメータの上では『魔界戦記ディスガイア2』以降のバール程ではないが、キャラクターの強さがそもそもディスガイアほどではない本作においてその強さはすさまじく同社の作品で最強のボスとさえ言われている。

評価点(2周目)

やり込みを体験しやすくなった

  • 強くてニューゲームが可能となったため、原作ではかなり到達が困難だった本編のスペシャルエンドも到達しやすくなった。
    • スペシャルエンドで入手したアイテムなども普通に引き継げるため、やり込んだ内容を活かしやすい。

ソフトリセットが可能になった

  • やり込みではリセットする場面も少なくないため、地味ではあるが、追加されたのはかなりありがたい機能である。

賛否両論点(2周目)

追加ボスが強すぎる

  • 上述の通り、同社の作品で最強のボスとすら言われるほどの強敵であり、倒すのはかなり困難。
    • ディスガイアシリーズほどに味方を強化する手段がないこともネックといえる。

問題点(2周目)

一部グッドエンドが運頼みなのは相変わらず

  • ソフトリセットが可能になったため、やり直しやすくなったのは改善点だが、ステージの仕様そのものには一切メスが入っていない。

全知全能の杖を買い逃すと入手不可になる

  • 一定条件を満たすと購入可能になる全知全能の杖だが、陳列されるのは条件を満たした後の1回の買い物のみに限定されている。
    • 見逃したり、お金が足りなかったりするともはや入手手段がない。次の周回でも再度陳列されることがないため、本当に取り返しが付かない。
    • 原作では一度陳列されたら購入するまでは陳列されたままであったのだが……。

総評(2周目)

2周目が遊べるようになったことでやり込みがしやすくなった一作。
基本的に原作をベースとしつつ新要素・変更点を多少加えているが、更なる強敵も用意されておりやり込みがいは十分である。
もっとも、現在であれば更に新要素が加えられた『ラ・ピュセル†ラグナロック』があるため、そちらを購入すれば良いのも同様。


ラ・ピュセル†ラグナロック

【らぴゅせるらぐなろっく】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売・開発元 日本一ソフトウェア
発売日 2009年11月26日(UMD版)
2010年2月25日(DL版)
2022年8月31日(Win(steam)版)
2022年10月27日(Switch版)
定価 通常版:5,229円
限定版:7.329円
DL版:3,800円2,305円
Win版/Switch:2,178円
判定 良作

変更点・新要素(ラグナロック)

  • 新シナリオ「魔王プリエ編」の追加。
    • 原作ではやり込み要素の一つであった魔王プリエであるが、本作では魔王プリエにフォーカスされた追加シナリオが用意されている。
      • 一度ゲームをクリアすると本編で魔王プリエになったかどうかに関わらず遊べる。その他、隠しコマンドをタイトル画面で入力すれば最初から遊べる。
    • こちらは本編と異なりマルチエンドとなっており、全部で4種類のエンドに分岐する。
    • また、魔王プリエ編をグッドエンドでクリアすれば、本編で魔王プリエにならないと仲間にできない魔族の敵を浄化で仲間にすることができるようになる。
      • この条件を満たすと、プリエが魔王に変身できるようになるほか、周回プレイ時に全ての固有の味方が最初から加入した状態で遊べるというディスガイアシリーズでも近作では採用されている状態になる。
  • ラハール、エトナ、フロンが追加
    • 2周目以降に特殊マップが追加されクリアすることでそれぞれ仲間になる。
  • DLCキャラの追加
    • エリーと主人公プリニーは無料DLCであり、コルネットとロザリンドは有料。
  • 技演出カット、移動速度高速化、イベントスキップなどの機能が追加され、ゲームテンポが大幅に向上した。
  • 浄化を行った際に行った本人と地場の上に居たキャラクターは再行動できるようになった。
    • また大奇跡を発動した際は、エリア内に居た味方キャラクターも再行動可能。

評価点(ラグナロック)

魔王プリエ編の追加

  • 本編では単なる称号(及び仲間にできる敵の追加)に留まっていた魔王プリエにフォーカスされた。
    • これまでディスガイアシリーズでは通常の人間形態を差し置いて登場していた魔王プリエが事実上逆輸入された形である。
  • 単純に原作の魔王プリエの条件を満たしやすいということでもあるため、魔族の敵を仲間にしやすくもなった。

問題点(ラグナロック)

魔王プリエのイラスト

  • キャラクターデザインは原作や『2周目』と同様Ryoji氏だが、画風が変わってしまったため、事実上の追加キャラといって良い魔王プリエのイラストが他のキャラクターと比べ明らかに浮いている。
    • この点は『ラグナロック』の公式サイトでも確認可能であり、明らかに1名だけ描き足された感が強い。
  • パッケージイラストも同様ではあるが、こちらはあくまでパッケージと考えればそれ程違和感はない。せめてゲーム内の顔グラフィックについては全て描き直すということはできなかったのだろうか。

新キャラクターにボイスがない

  • 使い回しではダメだったのだろうか……。

特定のキャラが消失するバグがある

  • 具体的に言うと魔王プリエ編をクリアした際に、エクレールがダークエクレールに変身した状態だと次の周回以降でエクレールが仲間にならなくなってしまう。
    • 条件を満たすと確定で発生するバグであり、エクレールよりダークエクレールが人気の風潮もあったため、ダークエクレールに変身させていたプレイヤーは多いと思われ多くのプレイヤーが被害に遭うことになった。
      • 後にリリースされたSteam版やSwitch版では改善されている模様。

総評(ラグナロック)

『2周目』をベースとしつつ更に追加要素も加わったラ・ピュセルの完全版といっていい出来。
現在の『ディスガイアシリーズ』と比べるとシステムが荒削りであり、やり込みもなかなか大変であることは事実であるが、『ディスガイアシリーズ』の原点として触れてみるには打ってつけの一作である。


余談

  • ディスガイアシリーズで人気の戦闘曲「グレートワイルダー」や、同作でおなじみとなる隠しボス「超魔王バール」は本作が初出である。
  • 主人公のプリエは隠し要素で手に入った魔王の称号をひっさげ、その後のディスガイアシリーズに何度も出演している。
    • 当初は魔王とは言っても姿形は変わらなかったが、ディスガイアシリーズで本当に悪魔の姿になった。
    • 後述する『ラ・ピュセル†ラグナロック』の魔王プリエ編は、この設定を逆輸入して作られたものである。
  • 『ラグナロック』を機に同作を3部作構成の1部目に当て、シリーズ化が決定していたがその後の続報は(中止という話も含め)一切ない。
    • PSP版から10年以上を経て『ラグナロック』がSwitchやSteamでリリースされたが、続編についてはやはり音沙汰が無い。
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最終更新:2023年12月31日 10:03