ARMORED CORE 2 AnotherAge

【あーまーどこあ つー あなざーえいじ】

ジャンル 3D戦闘メカアクション
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対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 フロム・ソフトウェア
発売日 2001年4月12日
定価 7,140円
廉価版 PlayStation2 the Best
2002年11月7日/3,150円
判定 良作
アーマード・コアシリーズ


概要

アーマード・コアシリーズの五作目。ACシリーズがPS2にプラットフォームを移してからの二作目となる。
世界観を前作『アーマード・コア2』(AC2)と共有しており、いわゆる「地球暦シリーズ」最後の作品となる。通称「AC2AA」。

ストーリー

前作の火星における騒乱から5年後----。
この騒乱の収拾および復興に力を注ぐことを余儀なくされた地球政府は強い指導力を必要とし、軍事力の増強を推し進めた。
これに対抗し企業もまた秘密裏にその戦力を拡大し、政府と企業体は以前にも増してその関係を悪化させていく。

反面、政府は軍事力の拡大に傾いたことによって地上の復興に消極的にならざるを得ず、その結果、各地の地下都市を中心に小規模な武装蜂起が発生していった。
地球圏でのレイヴンの需要が途絶えることはない。プレイヤーは地球圏で活躍するレイヴンのひとりとなり、様々な勢力の依頼を受け、戦場に身を投じていく。

  • …と書いたものの、実はゲーム内でプレイヤーがストーリーを意識する場面は殆どないと言っていいだろう。
    AC2AAには追うべきストーリーなどはなく、プレイヤーは一傭兵として、淡々と任務をこなしていくことでゲームが進行する。
    このあたりは、初代ACを意識した仕様となっている。

システム

システム面はほとんど前作『2』と同じである。ここでは、目立った変更点・追加要素について紹介する。

  • オーバードブースト使用時の熱量
    • 前作では使用にほとんど制限のなかったオーバードブーストだが、今作ではOB発動時に大きく自機の熱量が増加。これにより安易なOBの連発にリスクが伴うことになり、冷却器であるラジエーターの選択も重要なものとなった。
  • 機体速度上限の大きな緩和
    • 前作では機体速度に大きな制限がかかっており、軽量二脚が非常に苦しい戦いを強いられていた。しかし今作ではAC全体の速度制限が緩和され、軽量級も他のアセンブルと対等に渡り合えるようになった。
  • リミッター解除時間の短縮
    • 前作で対戦バランスの崩壊の一端となっていたリミッター解除。しかし、今作では全コアリミッター解除時間が一律で短縮され、それなりにリスクの伴う行為となった。
  • ロックオンマーカー
    • 難易度ノーマル限定で障害物を挟んで敵機をロックした際、ロックオンマーカーの色が緑色になり、障害物の有無が一目でわかるようになった。
  • VSミッション
    • 本作独自の要素として、二人で協力・対抗して行えるミッションが存在する。
      • 中には本編では登場しない敵ACと戦うものも存在する。
  • ミッションで登場するACの仕様変更
    • これまでのACはミッションに出てくるACはいずれもMT扱いとなっており、防御力がゼロなため脆く弱いように感じられていた*1。しかし今作からは内部データもすべてAC扱いとなったため、これまでよりも歯ごたえのある戦闘を楽しめるようになっている。

他にも各パーツなどに微調整が加わっているほか、細かな調整が加えられている。


評価点

  • ミッションはシリーズ中でも特に数が多く、シチュエーションも非常に豊富。
    • ACお約束の「小規模テロ組織の壊滅」や、海上でのわずかな足場を駆使しての戦い、護衛任務など…さらには対AC戦から兵器試験など、様々なシチュエーションが揃う。
      • いまやシリーズファン以外にも認知されているスラング「騙して悪いが」*2は、この作品の台詞から生まれた。
    • 先ほど紹介したVSミッションもシチュエーション豊富で、様々な形で友人との協力・対決プレイが行える。
  • 登場レイヴンの個性。
    • 前述の「騙して悪いが」で有名なランバージャックに、一度は敗北するも「この際プライドは抜きだ」と主人公に対しての執念を見せ再戦を挑んでくるザルトホック。主人公に追い詰められながらも「もう逃げられんな」と腹をくくって立ち向かい、しかもその実力でプレイヤーを苦しめるソウルアーミー、セリフこそないが凄まじい強さを誇るバストロール…他にも、多くの敵レイヴンが登場し、ミッションを盛り上げてくれる。
    • 搭乗する機体も個性にあふれており、軽量級に大火力の大型ミサイルを装備した変り種から、堅実な構成の相手、そしてACおなじみの公式チート『強化人間』と各種制限解除を併用し、強力な装備に身を固めた反則の塊のようなACもいる。
      • これらのレイヴンはインターネットの発達とともにネタにされる機会が多くなっていった。
  • そして、なにより旧作からついてきたファンへのファンサービス
    • 本作自体も初代を意識した節があるが、それを引いても本作にはファンサービス要素が多い。
      • その最たるものがミッション「正体不明機排除」。
      • ミッション内容は「アリーナ*3に乱入した所属不明のACを撃破せよ」という単純なものであるが、そこでプレイヤーを待ち受けるのは、なんと旧作プレイヤーならその名を知らないものはいないほどの、最強の敵『ナインボール』。専用BGMも相まって、レイヴンたちはかつての強敵とのまさかの再会に心震えた。
      • ほかにも、多くのファンサービスがある。プレイして確かめてみて欲しい。
  • その他、本作独自の特徴としてはストーリーやチュートリアル等が完全に排されている事が挙げられる。
    • AC2の追加ディスクと呼ぶには聊か語弊のある豪勢なボリュームだが、ゲームスタートの導入部や演出などは一切なくガレージ画面へと移り、プレイヤーは初期機体と初期資金10万を片手に、最初から世界の一員としてレイヴン稼業に勤しむ事になる。
    • また、本作はシリーズで初めて収支はミッション成功時のみという仕様が導入され、失敗した場合でも弾薬費・機体修理費による出費や選択ミッションが消滅してしまうようなデメリットは一切無い。これまでのシリーズに慣れていると若干寂しさもあるが、どのようなミッションでも気兼ねなく挑戦できる分、初見殺しのミッションや高難易度ミッションとの相性は良好と言えるだろう。
      • 強制ゲームオーバーも存在せず、セーブ&ロードを繰り返す必要も無い。ストレスにならないこの快適さは本作のミッション形式と素晴らしくマッチしている。
  • 対戦プレイの評判が良い。
    • 殆どの武器に活躍の場がある。
    • 他シリーズと比較すると対戦での使用禁止パーツはかなり少なめ。初心者救済の意味合いもあってインチキのような強さを誇る「KARASAWA-MK2」、強武器の弾数を増やしてくれる「両肩弾倉」などが禁止パーツ。両肩弾倉も後述するエネルギースナイパーライフルとの組み合わせが問題視され、その他は禁止されない場合もある。
  • ブレードの一撃を狙うことに特化した「剣豪」やミサイル攻撃に特化した「ミサイラー」、機動力を捨て全距離における迎撃に特化した「姫路城アーマー」などの実戦向けアセンブルが存在する。
  • 回避もできるが弾が当たりやすいことに加え、OBによる急接近がしやすい為、「やや攻め側有利」なバランスになっている。これによりAPが勝っている側が逃げ続けることが困難=他シリーズに比べると逆転が起こりやすい。

問題点

  • 対戦が歴代最高のバランスと評されていても、やはりというか救われないパーツはある。
    • 武器では全弾当ててようやく他の火器並の火力になるショットガンの他、ハンドガンによってマシンガンが、レーザーライフルによってパルスライフルが喰われている。
    • ミッションでなら実用範囲であるマシンガンやパルスライフルはまだしも、ショットガンだけは本当にどうしようもない産廃となってしまっている。そのエフェクトから『ポップコーン』とまで呼ばれる始末。
    • フレームパーツではミッションでなら大抵はどうにでもなるが、ガチ対戦となると四脚・フロートはかなり厳しい。まったく戦えないわけではないが、他の脚部に拮抗するだけの利点がないのが原因。
    • FCSの選択肢も狭め。予測照準(PRECISION)の値が重要で、これが最大の8のものでなければ運用に耐えない。ただ、後発の3シリーズに比べると弾の当たりやすいバランスであるため、近距離戦主体ならそれより低い6でも何とかいけるというレベルではある。
  • 難易度
    • 他のシリーズに比べて難易度は高い。正直初心者にはおすすめしかねる。
    • ゲーム中盤以降は全体的に難易度の高いミッションが多く、この手のゲーム恒例の「初見殺し」も多いため、適切なアセンブル知識とAC操縦の腕をプレイヤーに要求する。
    • 圧倒的な装甲と火力を持ちこちらからの攻撃チャンスも限られる難敵「グレイクラウド」を相手にタイマンを強いられる「大型兵器撃破」、3機のACを相手に戦う「専属レイヴン消去」、そしてMTを蹴散らすだけ…と思いきや強化人間ACが2体も増援に現れて逆に劣勢を強いられる「調査部隊排除」は、ACシリーズ屈指の難ミッションとして有名。
      • だが、後発の『サイレントライン』や『ラストレイヴン』に比べれば「理不尽な難しさ」ではなく、「楽しめる難しさ」ではあるという意見が多い。攻略を楽にする・難敵でも致命的弱点となるパーツがきちんと存在しているため、操作の腕だけではなくアセンブリ知識の向上でも突破できるレベルに収まっている。*4
  • わかりづらいパラメータ
    • シリーズ全体の悪癖だが、やはり各パーツ、そしてACのスペックを知るためのパラメータ数が多く把握しづらい。なかには「ダミーパラメータ」と呼ばれる殆ど気にする必要がないパラメータも存在し、初心者はこの凄まじく多いパラメータに振り回されることになる。
    • パラメータ表示が全て英語表記なのも一部のプレイヤーには辛い所。この系譜は『3SL』まで続くことになる。
  • アリーナがない。
    • 手軽な資金稼ぎの場であり、敵ACと一対一で戦えるアリーナがない。
    • 『2』からの引き継ぎや特殊なミッション収支により資金繰りに困ることはほとんどないが、調整されたパーツでアリーナを遊べないのはやはり寂しいところである。
    • ちなみにミッションではアリーナ対戦という形式で戦うことはできるが、弾薬費、修理費を取られる仕様。
    • それに伴い今作は登場するレイヴンの説明、解説文も無く、プロフィールを楽しめないのはちょっと寂しい。
  • 従来のメール機能も廃止されているがこちらも賛否両論。
    • メールは物語や登場人物・組織の背景や動きなどを知る上で重要な要素で、ストーリーに深みを持たせているものであったが、本作には明確なストーリーが無いためか、本当に淡々とミッションを繰り返すだけでこれといった大きな変化も起きずにゲームが進行していくため、やや味気なく感じやすい。
    • 本作のミッションはゲームを進めていくと『主人公に刺客のレイヴンが送り込まれたことで、何者かに命を狙われている』、『政府や企業を襲うテロ組織が特定の企業だけは襲わず、背後関係が疑われる』、『正体不明の兵器や謎の施設が出現し、政府もその存在を認識しており、PSシリーズで暗躍していた組織が未だ健在である』といったキナ臭さを感じさせる要素が垣間見られるが、その背景がゲームを完全クリアしても明かされないので、今一よく分からないのが難点となっている。

総評

ACシリーズ中でも高い評価を残している作品の一つである。
ゲーム開始時から機体の構築や攻略に説明も導入もなく、プレイヤーは最初からベテランとして世界に挑まなければならない為、この作品からACを始めることはあまりお勧めできない。 しかし他のACタイトル、特に前作『2』をプレイした後に遊ぶならば非常に遊び応えのあるゲームとなってくれるはずである。 豊富なシチュエーションのミッション数、個性のある登場レイヴン、そして数々のファンサービス、いずれも盛り込まれているため、ACシリーズに魅了されたレイヴンにはぜひとも手に取ってもらいたい良作である。

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最終更新:2024年01月24日 22:30

*1 ただし初代のヴァルキュリアCなど、特殊なギミックを組まれている者もいた

*2 依頼を受けたプレイヤーを騙して罠にはめたり、最初から主人公の抹殺が目的で偽の依頼でプレイヤーをおびき寄せてだまし討ちを仕掛けるミッションのこと。初代ACからこの手の依頼は登場しており、現在ではこの手のシチュエーションがシリーズの風物詩となっている。

*3 レイヴン同士をACを操縦して戦わせ、それを観戦して楽しんだり、どちらが勝つかに金をかけて楽しむ娯楽的なイベント。今作には存在しないが、ゲーム中では気楽にCPUのACと対戦して小金を稼ぐための、ミッションとは違った戦いの場として用意されるのが慣例となっている。

*4 例に挙げた「専属レイヴン消去」も実は全員ミサイル対策をしていないため、武器腕や肩装備と特化FCSを組み合わせると…。