ディノクライシス2

【でぃのくらいしす つー】

ジャンル アドベンチャーアクション
高解像度で見る 裏を見る

対応機種 プレイステーション
Windows95-XP
発売・開発元 カプコン
フラグシップ(開発&脚本)
発売日 【PS】2000年9月13日
【Win】2002年5月24日
定価 5,800円(税抜)
廉価版 PlayStation the Best
2003年2月27日/2,940円
カプコンPCお得シリーズ
2003年5月30日/2,800円
配信 ゲームアーカイブス
2011年4月13日/600円
セーブデータ 【PS】1ブロック
判定 良作
ディノクライシスシリーズ1 / 2 / ガンサバイバー3 / 3


概要

バイオハザード』から生まれた恐竜パニックホラーゲーム『ディノクライシス』の続編。
前作は厳しい弾薬制限に苦しみながら、トラップを使って恐竜の襲撃をかわし、パズル的な謎解きに頭を痛めながら施設を探索する…そんな、サバイバルホラーの特徴を突き詰めたと言うべきゲームだった。
早くもその翌年に発売された本作『2』は、大胆にもジャンルを「アドベンチャーアクション」(パッケージより)に改め、その様相を激しく変えることになった。

いわゆる「バイオ系」ゲーム全体で見ると、本作は戦闘を主体とした最初のタイトルと言える。
しかしながらその完成度は高く、後の戦闘主体タイトル(『鬼武者』や『デビルメイクライ』など)の礎となった。


ストーリー

(説明書2ページより引用)

<カーク博士奪還作戦>から一年。

"究極のクリーンエネルギー" "究極の兵器"…2つの顔を持つサードエナジー。
その開発プロジェクトは、開発者カーク博士の手を離れ、政府に移された。
そして、再び"事故"は起こった…。
前回の事故をはるかに凌ぐサードエナジー炉の暴走によって、研究開発都市"エドワード・シティ"が完全に消失した。
政府は、研究成果とスタッフの保護のため、救出作戦を発動した。
まだ完全ではない" 時空転移 (タイムゲート)"装置を開発して、シティが転移したと思われる時代に軍隊を送り込むことを決定したのである。
その任務がどのような結果になるか、想像できたものはいなかった。
ただ一人、レジーナを除いては…。


前作からの変更点・特徴

前作にあったシステムの多くが改変・削除され、ゲーム性が大幅に変化している。

  • 動作の変更
    • キャラクターはxボタンを押さなくても常に走り状態となった。ほとんどの武器は走り撃ちができる。
    • 方向キーとxボタンの入力でサイドステップ、バックステップが可能になった。この操作はオプションで有無を選択できる。
  • 武器の変更
    • 武器の種類が増加。マシンガンやショットガンといった武器で恐竜と熱いバトルが楽しめる。
      • 弾薬は全て武器に直接装填され、リロードの必要はなくなった。
    • メイン武器の他に、スタンガンやマチェットといったサブ武器を別に装備し、△ボタンで使用できる。
      • サブ武器はメイン武器の補助に効果を発揮する。また、特定の扉の解錠やギミックの作動の際に道具として使用することも。
      • 一部の武器は両手持ち扱いになるため、サブ武器との同時装備ができなくなる。
  • 画面表示の変更
    • 体力はゲージ制となり、体力が減ってもキャラクターの体勢は変わらなくなった。
    • 装備している武器と残弾数も表示されるようになった。
  • 敵を倒すことによるポイントの獲得
    • 敵を倒すとバイタルクレジットというポイントを獲得できる。短いエリア毎にこのポイントを稼いでいくのが本作の基本である。
      • 敵を連続で倒してコンボを成立させることで、ポイントの加算率が上昇していく。
      • エリア移動時にそのエリアでの最大コンボ数、合計獲得ポイントといった結果が表示される。
      • エリアをノーダメージで切り抜ければ、ボーナスが加算される(5頭以上の敵を倒していることが条件)。
      • ダメージを受けずにコンボを繋いでいくことが、高ポイント獲得のために欠かせないテクニックである。
  • 武器・弾薬・アイテムの購入
    • 各地にV.C.S端末(バイタルクレジットサービス端末)と呼ばれるものが設置されており、ここで補給とセーブを行う。
      • 上述したポイントを消費して武器や回復アイテムの購入、弾薬の補充、装弾数の増加を行える。
      • 購入できる武器等は、ゲームの進行に応じて増えていく。
  • 2人の主人公
    • プレイヤーが操作するキャラクターは2人おり、ゲーム中の特定のタイミングで切り替わることになる。
    • 1人は特殊部隊TRATの青年ディラン、もう1人は前作でお馴染みのレジーナ。
    • 主人公2人はメイン装備がそれぞれ異なる。
      • ディランはショットガンや対戦車ライフルなどの一発がデカい武器、レジーナはハンドガンやサブマシンガンなどの連射力のある武器をメインに戦っていく。
      • 2人で共用できる武器もある。
  • 謎解きや探索要素の簡略化
    • ミッションという形で現在の目的が提示され、マップに示された目的地を目指す形式になった。
    • 鍵を入手したりもするが、ほとんどの鍵はどの扉で使うべきか成り行きで理解できる。
    • パズル的な謎解きもあるが、直感でテンポ良く解けるようなものばかりである。
  • 恐竜の世界へ
    • 恐竜の蔓延る原始の密林が舞台。まさに恐竜時代へのタイムスリップである。
    • 初めは密林と研究施設を探索するが、やがて溶岩の煮え滾る火山内部を進んだり、潜水服を着て水中を探索するエリアまで出てくる。
    • 恐竜の種類が増えた。お馴染みのT-REXやラプトルに加え、アロサウルスやトリケラトプスが登場。それ以外にも、空中には翼竜が飛び交い、水辺のステージでは首長竜が顔を出し、果ては古生代の生物まで出現してしまう(!?)。
  • その他
    • 調合、緊急ボックス、レーザーシャッター、連打イベント、DDKは無くなった。
    • 主に移動カメラ視点を採用していた前作と違い、本作では固定カメラ視点のみが採用されている。

評価点

戦闘
本作ではカメラの切り替えに紛れて次々と敵が現れるという、それまでの常識を覆す仕様となっている。
それだけ聞くと非常に辛いと思うかもしれないが、下記の仕様変更を行うことによってより戦闘に特化したアクションが行えるようになっているため対応しやすくなっている。

  • 移動しながらの構え及び攻撃が可能。武器の重量によって走り撃ち、歩き撃ちとなる。
  • サブ武器としてスタンガン等をメイン武器とは別に装備出来る。しかもサブ武器は構えを介さなくとも△ボタン1つで即使用可能。全体的に攻撃力は控えめだがダウンさせたり接近を阻んだりと、どれも役に立つ。
    • それらはパワーバッテリーなどを購入することで性能を向上できる。
      • 例えば中盤から登場する赤いラプトルは鋼体がついており仰け反らないので、突進を回避して鋼体が無くなったところで反撃する必要があるが、パワーバッテリーを付けた状態で攻撃すると最初から仰け反らせることが可能。これにより、中盤以降もハンドガンオンリーなど趣味に走ったプレイがやりやすくなっている。
  • オート照準の性能が大幅にアップ。
    • まず上下の自動修正は当然である。特筆すべき点として、構えボタンを押したまま何らかの移動後に停止すると、ターゲット変更ボタンの押し直しすら必要無く、最も近い敵に照準が合う。特に素早い恐竜との戦闘やフルオート系の武器の使用時には非常に生きてくる。
  • 移動性能が強い
    • 移動速度や段差の昇降速度が速い。体力の減り具合によって移動速度が低下したりもしない。水中での歩行の不自然なまでの速さはネタにされる事も。
    • バイオハザード3』では魅せ技であった回避運動の「緊急回避」が実戦向けに洗練され、非常に使いやすくなった。「サイドステップ」と改められ、手動式で任意の方向に素早く回避する。もちろん実戦にも積極的に取り込める。
    • これは賛否両論だがリロードの仕様がオミットされている。

以上のような仕様に加え、前作ではとてつもなく強靭だった雑魚恐竜は、今作ではハンドガン3発程度でバタバタと倒れていく。それでいて一度に沸く敵の数が多いため難易度が低い訳ではない。
また、1回噛み付かれただけでライフが3分の1削られる*1ハードモードも存在している。
次々と迫ってくる雑魚恐竜をテンポ良くバシバシと倒していく戦闘は、コントローラーの振動も相まって爽快感抜群である。

グラフィック・演出

  • グラフィックは背景、ポリゴン共に非常に美麗。PS末期の爛熟した表現力が光る。
  • 前作に引き続き、恐竜の挙動も非常に豊かに描かれており、さながら某恐竜映画のような出来である。
    • 背景をティラノサウルスが徘徊するシーンがあったり、草むらの中にトリケラトプスの親子がいたりと、要所要所での雰囲気作りも見事である。
  • プリレンダムービーはOPとED含め僅かに挿入されるのみだが、美麗な上に演出もクールなので、非常に印象に残る。

ストーリー

  • タイムトラベルをメインに据えたストーリーは終盤、衝撃の展開を見せる。
    • 余韻を残した壮絶なラストシーンはプレイヤーの心に深く刻み込まれた。本作の話題になると多くの人から「この結末の続きを見たい」という願望が聞かれる。

リプレイし易いボリュームと濃い密度

  • クリアまでのプレイ時間は初見でも早ければ5時間を切るほどであるが、その密度は高い。
    • 豊富なロケーションに加え、通常戦闘以外でのイベント*2もプレイにアクセントを与えているため、飽きずに1周を楽しむことができる。
  • 特定の条件で出現する非常に強力な色違い恐竜との戦闘、恐竜の解説ファイル「DINO FILE」の収集など、やりこみ要素もある。

おまけゲーム「DINO COLOSSEUM」

  • 本作の特筆すべき点としてクリア後のおまけゲーム「DINO COLOSSEUM」がある。
  • キャラクターを選び、VR闘技場のような空間で襲い来る恐竜を倒すというもの。
  • 本編クリア後の残ポイントを使ってキャラクターを購入することになる。
    • 前作登場キャラのゲイルやリックを使用できるのは普通に嬉しいが、やがて戦車も追加され、ついにはゲームに登場した恐竜まで使用可能になる。恐竜を操作して恐竜と戦うのである。
  • さらには条件を満たすと「DINO DUEL」いう2人用対戦格闘ゲームも追加される。夢にまで見た恐竜の格ゲーである。
    • かなり無茶な内容だが、はまる人は結構はまるらしい。

賛否両論

  • リアリティに徹していた前作とは打って変わって、エンターテイメント性を優先した凄まじい世界観である。
    • 原理不明の武器売買システム、生息時期が何万年も離れた恐竜が混在しまくっている、超巨大恐竜として兵士たちの間で伝説化しているラスボスetc…。
    • 全体的にどこかバカゲー臭の漂う雰囲気であるのは否めない(前作が極めてシリアスだったことを抜きにしても)。

問題点

  • バイタルクレジットサービス(以下BP)
    • 中盤に向かう湖上施設まで来るとBPが非常に簡単に稼げてしまい、以降はまず金に困らなくなってしまう。
      • 湖上施設にはレジーナで訪れるのだが、プレシオサウルスがポイントは高い割にHARDでも非常に弱い。
        流石にハンドガンでは辛いものの、ここまで来ればサブマシンガンかヘビーマシンガンのどちらかはまず購入しているだろうからガンガン狩れる。
      • それまでのジャングルでは、苦労して約10体をNO DAMEGEボーナス付きでコンボを切らさず狩ることでようやく7000ポイント(これは非常に妥当な匙加減)。
        それに対し湖上施設では、現れる端からただ撃っているだけで5桁のポイントが入る。
      • しかも攻略上必ず通る細い一本道に次々と現れるので、初回プレイであってもまずこの「道場」に気付いてしまう。
  • 初期装備のサブ武器は前述の通り、特定の扉の解錠やギミックの作動の際の道具として使用することになる。
    • だが、その方法が「攻撃を当てる」というものなので必要な時には装備しなければならない。
      別のサブ武器や両手武器を装備している場合は装備し直す手間が発生してしまう。
  • シナリオ進行上必ず購入しなければならない武器が最低3種類とやや多く、買い物の選択幅を狭めている。
    • 特に酷いのはサードエナジー炉。ここは水中ステージなのだが、どう考えても出番は少ないと予想される水中専用最強武器の購入は誰もが見合わせるところ。
      • その場合は初期水中武器で頑張って水中ステージを攻略することになるが、終盤には「水中専用最強武器を買って来ないと進めません」的な謎解きがあり、結局買わされる羽目になる。しかも結構高い。
  • シナリオ
    • 評価点でも触れたように、エンディング自体は良い意味で「続きを見たい」と思わせてくれるものなのだが、シナリオが「やや難解」「トンデモ展開」などと、全体的にやや不評。
      • ミニゲームで助けたキャラが直後に結局死んでしまうといったご都合主義な展開も見られる。
  • 『バイオハザード3』でいうマーセナリーズのようなミニゲームが収録されているが、底が浅く、すぐに飽きる。
  • この手のゲームでは珍しく、おまけコスチュームの類が存在しない。
    • 前作には複数のコスチュームが用意されていたのに本作は一つたりとも無し。がっかりした人は多いだろう。

総評

サバイバルホラーから180°方向転換し、おもちゃ箱をひっくり返したような痛快アクションゲームへと生まれ変わった。複雑なシステムは特に無く、操作性やUIも快適なため、間口は広い。
前作のような方向性を求める人は冷や水を浴びせられることは間違いないが、本作の特徴を承知の上でプレイすれば、後の『鬼武者』や『デビルメイクライ』にも通じる、バイオ系アクションゲームが持つ独特の味わいが楽しめるだろう。


余談

  • 前作の三上真司氏に代わり、本作のディレクターを務めたのは、後に『逆転裁判』シリーズを手がける巧舟氏。
    • 巧舟氏は前作の当初ディレクターでもあったのだが、チームを纏めることができず結局途中でディレクターを外されてしまっている。本作ではその経緯を徹底的に反省してやり方を変えることで、自分でも気に入るゲームを作れたという。
    • 『逆転裁判』シリーズでは登場人物の出身国などとしてボルジニア共和国に何度か言及されている。ただし、北欧の小国に設定は変更されている。
    • また、アニメシリーズの『逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜』では、レジーナ、ゲイル、リックと同じ名前のキャラクターが登場するエピソードがあった。
  • 今作の後、本シリーズは『ガンサバイバー』シリーズへの採用を経て、2003年にXbにてシリーズ第3作『ディノクライシス3』を発表する。だが、名前以外はほとんど別物になっており、この『3』の失敗によってシリーズは途絶えることとなる。
    • 『3』は時代設定を数百年後の未来*3、舞台を巨大宇宙船、敵を恐竜を模したクリーチャーにするなど、設定の時点から迷走感がひしひしと伝わってくるものだったが、単純にカメラワークや操作性も評判が悪く、IGNでは「史上最悪のカメラシステム」とまで評されてしまった。
      • 当初の発表では現代の大都市が舞台で本作の路線を引き継ぐ内容とされており、レジーナも登場する予定だった模様。しかしその後、この通り全くの別物へと変更された。9.11事件ことアメリカ同時多発テロ事件の影響とも言われている。
      • 一方、シリーズプロデューサーの小林裕幸氏は「まったく新しい雰囲気が欲しかったので、宇宙空間を選んだ」と語っている。経緯はどうあれ、それが良い判断とは言えなかったようだが。
    • 一応、2022年3月にカプコンの完全新作恐竜ゲーム『エグゾプライマル』が発表されているが、こちらは『バイオハザード』のようなアドベンチャーではなく、最大4人での協力プレイが可能なアクションシューティングとなっており、どちらかと言うと『地球防衛軍』に近い。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年11月25日 13:30
添付ファイル

*1 ラプトルが仕掛けてくる「飛び掛かり → マウントポジション」まで食らえば一瞬で3分の2が消し飛ぶこととなる。

*2 備え付け機銃でのシューティングや戦車を操作しての闘いなど。

*3 本作のようなタイムスリップ要素が絡む訳ではなく、主人公達の生きている大元の舞台自体が未来。