ブリガンダイン グランドエディション

【ぶりがんだいん ぐらんどえでぃしょん】

ジャンル ファンタジーシミュレーション
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売・開発元 イースリースタッフ(ハーティロビン)
発売日 2000年5月18日
定価 6,800円 (税抜)
プレイ人数 1人~6人
レーティング CERO:A (全年齢対象)
配信 ゲームアーカイブス:
2008年12月24日/617円(税込)
判定 良作
ブリガンダインシリーズ
幻想大陸戦記 / グランドエディション / ルーナジア戦記


概要

ハーティロビン(現:ハピネット)のブランド「イースリースタッフ」が1998年に発売したファンタジー世界を舞台とした戦略SLG『ブリガンダイン 幻想大陸戦記』のリメイク版。今作ではさらなるバランス調整を始めとして様々な要素が追加されている。

  • 本作および前作の基本システムは国盗りSLGであり、大陸に或る6国の中から1国を選んで勢力を拡大し大陸の統一を目指す。

特徴(前作含む)

騎士とモンスター

  • それぞれの国には『ルーンの騎士』がいて、数字で著わされるだけの『兵士』ではなく1体毎に名前(変更可能)がついていてレベルも設定されている『モンスター』を率いることができる(1人につき最大6体)。戦場ではこれが1部隊となる。
    • 騎士の能力には『統魔力』という値があり、この値が許す限りのモンスターを率いることができる。このため騎士の能力で最も重要なのは、本人の強さよりもこの『統魔力』である。
  • モンスターはこのゲームの真の主役といえる存在。他の国盗りSLGにおける『兵士』のような役割を担っているが、レベルが設定されていて戦うごとに成長していく。
    • モンスターには種類とクラスごとに『統魔コスト』が設定されており、基本的に強力なモンスターほどこの値が高く騎士の『統魔力』を多く占有する。
    • 都市から得られる収入物『マナ』を消費して召喚することで増やせるが、召喚した後も毎節ごとに維持マナを支払わなければならない。ちなみに維持マナは種類とクラスだけでなくレベルによっても上昇する。
  • 騎士にもモンスターにもレベルがあり、10ごとに上級・最上級クラスに昇格(一部例外有り)して全体的に能力を上げることができる。
    • 騎士もモンスターもレベルは最大30だが、ここまで上げても決して無敵になるわけではない。レベル1のモンスターや騎士でも、属性の相克関係を利用したり複数体で囲んだりすれば充分倒すことが可能なバランスになっている。
    • 騎士はそのクラスで5レベルアップするとクラスチェンジ後も特性を引き継ぐことができるため、初期レベルの低い騎士ほど育てるのは大変だが多くの特性を身につけることができる。
    • モンスターは昇格することで強くなると同時に統魔コストも上昇するが、コストが同じでもじっくり育てた上級クラスのモンスターの方が明らかに強い。
      • 一例を挙げると『グール』。最初は捨て駒くらいにしかならない強さだが根気よく育てて最上級クラスのバンパイアロード(コスト70)にすると、攻撃力こそ及ばないもののコスト75のドラゴンより有用なユニットとなる。
  • 騎士は『クエスト』のコマンドで武者修行に出すことによって、時には負傷してしまうこともあるが『アイテムを得る』『能力が上昇する』等様々なイベントが起きる。さらには特殊なイベントが起きて在野の騎士が仕官してくることもある。

戦場

  • 戦闘は六角形のHEX戦で行われ、モンスターを率いた騎士を3人ずつ出撃させて戦う。1つの都市に対して複数の都市から部隊を送れるため、三方向から戦力を分割して攻め込むこともできる。
  • 戦闘中に騎士が倒されるとその部隊は壊滅し、率いていたモンスターは自動的に退却する。
    • 倒された騎士はモンスターと離れて首都に送還される上、負傷して1節の間行動出来なくなる。こうなると立て直しに大幅な時間を食ってしまう。
    • さらにこの時モンスターが『逃げ遅れる』とそのモンスターはその場で行動不能になり、戦闘が終了すると勝利した側の所属になる。運が良ければレベルの高い敵モンスターを接収することが可能なため、あえて敵モンスターを倒さないのも手。
    • 倒された騎士が君主だった場合、全ての部隊が自動的に退却する。君主はみな専用クラスの強力なユニットだが、より注意が必要。
    • 倒される前に引き際を弁えて『退却』すれば、上記の不利も無く安全に隣の都市まで退却できる。ただし孤立した都市だと『強制離脱』となり、騎士は負傷しないがモンスターは逃げ遅れることがある。
  • 騎士は倒されても一時的に負傷するだけで死にはしないが、モンスターは倒されるとそのまま消滅する。
    • そのためモンスターを犠牲にして騎士を守っても、戦後の戦力ダウンを招いてしまう。戦闘に勝つためには騎士を守ることが重要だが、戦略で勝つためにはモンスターを守ることも重要。ちなみにモンスターのみを『退却』させることは不可能。
  • 騎士には『統魔力』の他に『統魔範囲』の値が設定されており、騎士を中心としたこの範囲のHEXから出たモンスターは能力が大幅に減少する。
    • そのため騎士とモンスターを引き離し過ぎると不利になる。アイテムでしか強化することはできない値であるため、この値の高さ(広さ)も騎士には重要。
  • 勝利した側のユニットにはボーナスとして全員200の経験値が貰えるため、レベルが低かったり前線で敵を倒すのに向いてないユニットも敵を倒さずに成長させていくことができる。

主な追加要素

戦場

  • 新たに『包囲効果』が設定され、戦争での部隊の位置取りがさらに重要となった。
  • 12ターン経過時に攻撃側が城を奪っていると攻撃側の勝利となるため、逃げ回って拠点を守りきることはできなくなった。
  • モンスターにもアイテムが装備可能に。また、敵を倒すと装備していたアイテムが手に入るようになった。
  • 維持マナが払えない状態で出撃するとモンスターの最大HPが一時的に減少するため、マナの確保がより重要となった。
  • 属性の相克関係が変更されて赤青緑は三すくみとなったため、力のぶつかり合いだけではなく属性を読むことが重要になった。
  • 防御力に対するAGIの影響が無くなったため、AGIの高いユニットが極端に強くなることはなくなった。

その他

  • エストレガレス帝国でプレイできるようになった。君主ゼメキスはラスボスではなくなったため弱体化。(ライトニングボウ、ジェノサンダー削除)
  • イベントに音声・ムービーが追加された。それに加え『リコレクション』モード(これも新たに追加)では、なんとゲーム中のほぼ全てのイベントと台詞を回顧することができる。
  • 複数人プレイができる『マルチプレイ』モードが追加された。初期状態のシナリオだけではなく、年代が経って状況が変化したシナリオもある。
  • 大陸を統一した後、黒幕である魔導士との決戦イベントが追加された。これまで鍛えてきたユニットの強さが試される。
  • モンスターにも顔グラフィックが用意された。(しかもかっこいい)
  • 在野の騎士が大量に追加された。

評価点

シナリオ面

  • 特徴的な各国
    • 全部で6か国と数を絞ってあるだけに、どの国も特徴的でシナリオもしっかりしている。
      • 国を追われた王子が再起と復興を図る王道とも言える西アルメキア、和平寄りの魔法国家カーレオン、山に囲まれた僧侶の国レオニア、戦争を機に大陸統一に乗り出した強国ノルガルド、狂王率いる好戦的なイスカリオ、反乱で国を乗っ取り戦乱のきっかけを作ったエストレガレス帝国と、どの国も魅力的。
      • 隣接しており平和的な解決を望む西アルメキアとカーレオンは作中唯一同盟を組むことも可能になっている。
  • どのキャラクターも設定がしっかり練りこまれている。
    • 選んだ国の主要人物のシナリオは国の領土を広げるごとに進んでいく。
    • 各国のサブキャラも条件を満たすことでシナリオが発生する。
    • 在野の騎士も含め、どのキャラにも関連人物は設定されており、戦場で対峙した際には特殊な会話が発生する。
      • サブキャラとして特徴的なのが、家名を残す為に各国に散らばった3兄弟。誰かの国が勝てば良いという考えで散らばったのだが、末妹は兄弟で争うのを嫌がっており、彼女をきっかけに兄弟が集合和解するイベントまで用意されている。戦場会話も1対1、2対1で全パターン会話が用意されている凝りよう。
      • 国が滅んだ際には、自国を滅ぼした国に付き従う者、敵対する国へ移る者が分かれており、元同僚との戦闘会話も用意されている。

戦闘面

  • 騎士とモンスター
    • 死ぬ事はない各部隊のリーダーと、一般兵扱いのモンスターという部隊編成でメリハリが効いている。
      • モンスターは死んだらロストする、リーダーが撤退前に戦闘不能に陥るとフリー兵士として戦場に残る等、使い捨ての戦闘力ではあるが、しっかり育成すれば非常に強力に育つ。シナリオは発生しないものの、個別の名前は付けられており、長く戦場で使っていくうちに愛着もわいてくる為、ミスで死なせてしまった場合には非常につらい。
  • 地形
    • 各国の地形は戦場マップにも活かされており、例えばレオニアは山で道が狭められている場所が多く、攻めにくく守りやすくなっている。

賛否両論点

  • 戦闘ムービーの削除
    • 新規要素追加の為の容量確保もあってか、3Dアニメの戦闘が削除されマップ上でのドットアニメで処理されるようになった。
      • 新規に作られたドットアニメは見栄えも良く、原作の3Dアニメはロードが長くテンポが悪かったので、かなり遊びやすくなった。
      • とはいえ、3Dムービーでなくなったことで、味気なくなったと感じる人も。
  • 特殊クラス『シャドウマスター』が強すぎる。
    • 特定の騎士を配下にしないとなれない一種の隠しクラスだが、二回行動・ヒット&アウェイ・一部魔法使用可・通常攻撃で毒追加・移動後遠距離攻撃可能と非常に強力。
      • しかも前作ではマスターするのに10レベル必要だったのが今作では通常の5レベルになったため、これに加えてさらに特性を増やすこともできる。
    • ある種のやりこみ要素であるし、強力なラスボス戦が追加された事への救済にもなっているので、一概に問題とも言えないが。

問題点

シナリオ・演出面

  • キャラクターが個性的で魅力的なだけに、個別のイベントの少なさが少々寂しい。
    • キャラクター数が非常に多いのでイベントの量自体は豊富なのだが。
  • 黒幕との最終戦の問題
    • 元々因縁のある国以外では、展開が強引に感じやすい。
      • 初登場イベントが見づらい国もあり、見逃すと中~終盤でいきなり名前が出てきて話も理解しにくい。
  • 声優陣は非常に豪華だが、一部明らかに未熟で棒読みのキャラがいる。
  • 新しい在野の騎士の顔グラフィックは少し下手で違和感がある。

ゲームバランス面

  • ゲーム後半には一方的な展開になりやすい
    • 味方が育って行く一方、弱った国は強力なモンスターも倒され、急増の雑魚モンスターでその場を凌ぐことが精一杯になっていく。
      • 敵AIはある程度戦力差があると逃げるので戦闘すら出来ないことも。
  • 黒幕との最終戦のみ難易度が急に上昇する
    • しっかりと育てた部隊を複数用意してちょうどいいような難易度になっている為、事前にそれを前提に育成して最終戦に臨まないとクリアは厳しい。加えて、それまではほぼ時間制限がないと言ってもいいのが最終戦はきびしめの時間制限があるため、統一後にセーブすると詰む場合がある。
      • 最終戦の存在は説明書でも明かされてはいないため、初見では統一した後になって戦わされるボスの強さに泣きを見る。
    • これに伴い、最終戦へ向けて育成をしっかり行うと、大陸統一を達成する際にはまず間違いなく過剰戦力になってしまい、上記の一方的な展開を後押ししてしまう。
  • 育成したユニットの使い道が少ない
    • 上述の通り後半は一方的な戦闘になりやすく、国を亡ぼす過程でしっかりと育ったユニットの使い道がその後のラスボス戦くらいしかない。その育成もそれなりにラスボス戦を意識して育てれば十分足りるくらいで、クラス毎の特性引継ぎを意識してガッツリと育成した場合、ラスボス戦もそこまで苦戦しない。
  • バランス調整のため削除された要素もある。
    • 青魔法の『フォッグ』は三種属性のバランスを取るために削除された。代わりに『レジスト』が追加されている。

総評

ゲームシステムの根幹は良くある国盗りゲームだが、ファンタジー世界を舞台に育成可能なモンスターを引き連れるシステムと、魅力的なキャラクターが豊富な事でコアなファンを作ったゲーム。
国盗り物では仕方ない面もあるが、終盤は作業的な圧殺になってしまいやすいが、それでも全体的にゲームバランスも良く出来ている。


余談

  • プレミア化
    • メーカーが無名であり原作があくまでそこそこの出来だったために本作は出荷本数も少なかった。
      • それでも出来が良かったために少しずつ評価も上がり、結果としてPSソフトとしても有数のプレミアゲーとなり、長らく中古市場が高騰していた。
      • 本作の評価が高い一方、原作は本作から見れば未完成な部分も多く、本作が出た後は投げ売りされていることも多かった。その為、体験版に近い扱いもされていた。
    • 現在はゲームアーカイブスで配信されており、低価格でも入手できるようになった。
  • SF小説『銀河英雄伝説』との類似点
    • 本作のキャラは銀河英雄伝説の主要人物と良く似ていると言われている。
      • ヴェイナードとカイの二人の国王は、見た目や行動理念がラインハルトとヤンの二人そっくりそのままである。二人の部下にも銀英伝の二人の部下に似た人がちらほら存在する他、ヴェイナードは帝国に姉を取られていたりと生い立ちにも似通った点が存在する。
  • シュールなCM
    • 無印版のCMはあまりにもシュールな内容で有名。
      • その内容は、魚屋の店頭で店主が両手にを持って、両手を交互に前に突き出しながら「ブリガーン、ダイン! ブリガーン、ダイン!」と叫ぶもの。
  • 2019年9月5日のNintendo Directにて、20年ぶりの新作『ブリガンダイン ルーナジア戦記』が発表された。
    • 2020年6月25日にSwitch版が発売され、同年12月10日にはPS4版が、2022年5月11日にはWin(Steam)版が発売された。Win版には、いくつかの追加要素が収録されている。
      • これに合わせて上記CMと同じ店舗で撮影した復刻WebCMが公開された。(WebCM/メイキング

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最終更新:2024年02月05日 13:33