ヴァルキリープロファイル

【う"ぁるきりーぷろふぁいる】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 エニックス
開発元 トライエース
発売日 1999年12月22日
定価 7,140円
廉価版 PS one Books:2005年2月3日/2,500円
アルティメット ヒッツ:2006年7月20日/1,500円
判定 良作
ポイント 北欧神話を題材にしたアクションRPG
ヴァルキリーと人間達が織りなす魅力的なキャラ、世界観
ワンボタンで攻撃できる単純な仕様ながら奥深い戦闘
シナリオ、システム共にシビアな感触も特徴
ヴァルキリーシリーズ
プロファイル / プロファイル2 / 咎を背負う者 / エリュシオン

ヴァルキリープロファイル レナス

【う"ぁるきりーぷろふぁいる れなす】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2006年3月2日
定価 5,040円
廉価版 アルティメット ヒッツ:2008年3月6日/2,800円
判定 良作
ポイント 新規3Dムービーを追加
それ以外は基本的に変更点のない移植作品


概要

『スターオーシャン』シリーズで有名なトライエースの新規タイトルであり、北欧神話を題材にしたアクションRPG。
プレイヤーは主人公である戦乙女「ヴァルキリー」となって人間の魂をスカウトし、神界戦争を優勢に導くために地上界を飛び回る。
シナリオはSOシリーズのゲームデザインを担当し、過去には『テイルズ オブ ファンタジア』のシナリオも担当した則本真樹氏が手掛けている。
北欧神話がモチーフではあるが、スルトがヴァン神族の王になっている、フレイが女性の神になっているなど、独自のアレンジも施されている。


ストーリー

とある寒村にプラチナという少女がいた。貧しい家に生まれ、実の両親に虐げられて育った彼女はいつしか生きる事に絶望するようになっていた。
ある夜、プラチナは幼馴染のルシオから自分が身売りに出される事を知らされる。しかしルシオに連れられて村を逃げ出したのも束の間、逃げた先にあった鈴蘭の草原で命を落としてしまう。

所変わって、神々の住まう天界「アスガルド」のアース神族を束ねる王オーディンは、未来を語るという「ユーミルの首」から「神々の黄昏(ラグナロク)」が近いことを聞かされる。
オーディンはこれを敵対するヴァン神族との最終決戦の事だと判断し、三姉妹のヴァルキリーの次女であり、三姉妹の中でも最も神格の高い「レナス・ヴァルキュリア」を召喚。
来たるべき戦争の戦力たりえる人間の魂を集めさせるべく、人間界ミッドガルドへ向かうことを命じた。

女神フレイに伴われて地上界「ミッドガルド」に降り立ったヴァルキリーは、志半ばで死に瀕した数々の英雄達の生き様と対面し、彼らの魂を導いていく。
しかし戦乱の絶えないミッドガルドは様々な思惑が渦巻き、更にそこに介入する不死者達によって混迷を極めていた。
一方のアスガルドでもある陰謀が進行しており、ヴァルキリーもまた自分自身の素性に疑問を抱くようになっていく…。


特徴

システム概要

  • 主君オーディンより、ヴァルキリーに任せられた仕事は戦力たりえる人間の魂(エインフェリア)を見つけてスカウトし、成長させて神界アースガルドへ送ること。そして人間界にはびこる不死者たちを倒すことである。
    • 基本的なゲームの流れは エインフェリアを見つけて仲間にする → ダンジョンに潜って不死者を倒し、仲間にしたエインフェリアを成長させる → ある程度成長させたら神界へエインフェリアを転送するというもの。
      • エインフェリアには『人物特性』及び『勇者適正値』というものがあり、これらもキャラによって異なる。
        人物特性を上げたりレベルを上げたりすることで勇者適正値が上昇する。章によって要求される勇者適正値があり、要求された値より低いと評価が下がる。
        人物特性は『悪人』『エゴイスト』『金づち』などといったものは勇者適正値にマイナス補正を与え『美形』『自己犠牲』『真面目』などは勇者適正値にプラス補正を与える。ただしマイナス補正の人物特性でも、CPを消費してレベルを上げればマイナス補正を減らせる。 「人格矯正」などとネタにされる事も。
      • エインフェリアの転送を怠ると神界での評価が下がり、ひどい場合はバッドエンドになる。
      • またエインフェリアを成長させないまま送っても高い評価は受けにくく、加えて神界での戦争で死亡する確率が高くなる。
      • 特定の人物特性のレベルが低い状態にあり、それでいて特定のアクセサリー(携行品)を装備していない状態で神界転送した場合、神界フェイズで死亡イベントが発生することがある。これを防ぐには『自己犠牲』もちに『ベトネス教本(命の大事さを書いた本』)』を持たせる。といった感じで、マイナス補正を打ち消すものを装備させて神界転送させるのがいい。
      • 仲間を離脱させるのが前提の仕様なため、誰を育てて誰を残すか、という選択を常に考えていかなければならない。また転送する仲間の装備品も神界での評価や戦争での生存率に繋がるため、装備を引っぺがしてケチるか評価を上げるために良い装備品を持たせるかという選択も考えさせられる。
  • 章ごとに「ピリオド」という時間制限があり、ダンジョンに潜るごとに2ピリオド、街に入るごとに1ピリオド消費する。ピリオドを全て使い切ると次の章に進み、その都度神界への報告をする。エインフェリアの転送をきちんとやったり、ダンジョンのボスが守っているレアアイテム、アーティファクトを献上したりしていれば神界での評価が上がり、報酬やアイテムを多くもらうことができる。ピリオドは回復しないので、いかに効率よくエインフェリアを加入させ、ダンジョンで育成とアイテム収集を行えるかがキモとなる。
    • この時にもらえる報酬は、決まっているラインナップの中からランダムで選ばれる。終盤のチャプターでは非売品の強力な剣が報酬になっているため、知っているプレイヤーの中にはそれが出るまでセーブ&ロードで粘る人も多い。
    • 終章に入ると最終戦争ラグナロクが始まってしまい、ラストダンジョンに強制的に突入してしまう。ただし、よっぽど評価が下がらない限りはラグナロク開始まで何をやろうが自由であるし、言ってしまえば 評価値が1でもあればCエンド(ゲームオーバー)は回避できる。 イベントの遂行やエインフェリアの転送も必須ではない。
    • なおピリオドは難易度が高いほど多く設定されている。
  • 報酬はお金ではなく、マテリアルというあらゆる物質の基本を構成する物体である。主人公は神様なのでそれを元にアイテムや装備品を創造することができる。いらないアイテムをマテリアルに戻すこともでき、システムは変わっているように思えるが基本的に他のRPGでいう商品の売買と変わらない。
    • 言わば自身が道具屋や武器屋のようなシステム。
    • 非常にたくさんの仲間を育てる必要があるため、スムーズに攻略するには装備品などにマテリアルを多く費やす必要がある。
  • ダンジョンの奥にあるレアアイテム、アーティファクトは神界に献上しないと評価が下がるが、『大量のマテリアルに変換できる』『特定の敵or特定の弱点属性をもつ敵を一撃で殺せる武器』『別の有用なレアアイテムに作り変えられる』『ステータス上昇アイテムを生み出す』など ほとんどがかなり有用なもの。何を手元に残し何を神界に送るか考える必要がある。
    • …が、 希望に沿ったエインフェリアの転送をきちんとこなしていれば全てのアーティファクトを手元に残しても問題はない。
  • 本作のエンディングはA、B、Cの3種類が存在する。
    • 主人公であるヴァルキリーの使命は上記の通り「戦士の魂を集め、神界戦争を勝利に導く事」と「不死者を浄化する事」であるが、ただその使命に従っているだけでは真のエンディングであるAエンディングを見る事は出来ない。
    • 本作の隠された真の目的は「主人公に秘められた秘密を解き明かす事」である。そのためには時には使命に背いて独自に行動しなければならない。
    • エンディング分岐の条件にはヴァルキリーの『封印値』というパラメータが関係している。ストーリー上でシナリオの真意に迫るような重要な事があると下がるが、エインフェリアを神界転送すると上昇してしまう。

戦闘システム

  • パーティーは4人で構成され、PSのコントローラーの □(前衛)、△(中衛上)、×(中衛下)、○(後衛) がそれぞれの位置のキャラクターの攻撃に対応している。
    • 例えば、□を押せばそれに対応する前衛キャラが攻撃をする。○、×、△、□を同時に押せば全員が一斉に攻撃をする。コマンドが省略されているため非常にお手軽な上、戦闘時間の短縮に繋がっている。
    • 更に武器によって1ターンに行える最大の攻撃回数が異なり、一人最大3回まで攻撃ができる。攻撃中にボタンを連打すれば次々に攻撃をつなげてくれるし、複数の敵に1回ずつ別の攻撃を加えてもいい。
    • 攻撃のモーションは戦士系ならキャラクターごとに、魔法使い系ならそのキャラが使用する魔法によって異なり、それぞれ『敵を浮かせやすい』『ガードを弾く』『ヒット数が多い』『毒などの追加効果がある』『範囲が広く当たりやすく使いやすい』といった特徴を持つ。特に魔法は多用できない代わりに確実に敵のガードを崩せるためコンボの起点に有効である。
    • 一人で攻撃するよりも複数人で単体の敵を攻撃したほうが、また各キャラが1回ずつ攻撃するよりは一度に連続して攻撃をつなげたほうが、敵のガードを崩しやすくコンボを発生させやすい。
      • そして、敵を浮かせた状態で攻撃をヒットさせれば取得経験値を上げる魔晶石を得られ、敵をダウンさせた状態で攻撃をヒットさせると、決め技などを使った後のクールタイム*1を短縮できる紫炎石が得られる。(さらにそれらに混じって宝箱も現れることがある)コンボを工夫すればするほどパーティーに有利に働く。
    • 更にコンボが繋がればゲージが溜まり、必殺技が使えるようになる。
      • また魔法使いは使用している武器によってはさらに強力な大魔法を使える場合がある。この大魔法は雑魚戦ならこれ一発だけで戦闘が即時終了、微々たるダメージしか与えられずに苦戦するボス戦でもこれ一発で一気に大逆転できるほど強力。

ダンジョン探索

  • ダンジョン探索は2Dアクションゲーム方式で、ヴァルキリーを操作してサイドビューのステージを進んでいく。
    • ヴァルキリーは、ジャンプ、しゃがみ、スライディングといった移動テクニックや剣を振る、晶石という氷塊を打ち出す といった攻撃テクニックを駆使してダンジョンを攻略する。
      • ステージに徘徊する敵を剣で攻撃することによって戦闘で先制をとれる、逆に敵の方から接触すると不意打ちされやすくなる。
      • 晶石を敵に当てると敵が動きを停止し、一時的に足場などに使える。また壁や床に当てると一定時間足場が張り付く。応用的な使い方として、晶石の足場を剣で壊して、その破片を積み上げて高い足場を作る、照射される光を晶石にあて、反射させるなどといったテクニックもある。
    • 敵を倒すと、ダンジョンから出るまで敵シンボルは復活しない。
      • ただし、アークダインの遺跡というダンジョンではダンジョンの内部から入り口に戻り、また内部に入ると何故か内部のモンスターが全て復活する。このダンジョンはどの難易度でも出現する上に登場する敵が弱いためレベル的な問題で詰まった人用の救済措置と見られている。またダンジョンから出る事が出来ないラストダンジョン等は、画面切り替えで敵シンボルが復活するようになっている。
    • ダンジョンの奥にはボスが控えていて、倒すとボスの所有するアーティファクトが得られる。

評価点

システム面

  • 成長戦略性・経済戦略性が非常に高い。
    • ラグナロクが始まるまでの限られた時間にいかにキャラを育て、有用なアイテムを収集し、かつ神界での評価を保てるか、というのが攻略の鍵を握る。
    • ゲーム開始時に難易度が易しい、普通、難しい、の3つを選べるがその選択によって経験値のレート、出現するダンジョン、仲間にできるキャラ、到達できるエンディングなどが変わる。また難易度が高いほど経験値稼ぎの効率が低くなる代わりに行けるダンジョンが増え、高度な成長戦略を必要とするようになる。とてもやり込み甲斐がある。
    • 前述のアーティファクト変換などをある程度理解していれば、難易度「ハード」の方が簡単だという声も多い。これは難易度が高いほど多彩なアーティファクトが入手可能であり、それらを利用する事で強力な武器などが入手でき、レベルアップでのステータス上昇分を補って余りあるほどの効果があるため。
  • 戦闘システムは評価が高い
    • トライエースのゲームは戦闘システムの評価が総じて高いことが知られているが、この作品はその中でも特に評価が際立っている。
      • このゲームはシステムの性質上戦闘の比率が格段に高いのだが、初心者・熟練者どちらも抜群の爽快感で楽しむことができ、おまけにコンボの試行錯誤の課程が面白く、マンネリになる心配が少ない。
    • 癖のある攻撃を指先の細かい操作によってキャラごとのタイミングを合わせたりずらしたりしながら組み合わせ、有効なコンボを見つける過程は奥深く熱中できる。
    • 攻撃を加える敵によっても、当たり判定やガードの有無、耐性などが異なるため、有効な攻撃の組み合わせを一つ見つけても敵に合わせて微妙に変える必要があり、新たに組み合わせを見つける楽しみがある。
    • また前述したように仲間を神界へ転送し続ける必要があるため、パーティー構成がころころ変わり、その度に攻撃の組み合わせを発見しなおさなくてはならないので単調になりにくい。
    • キャラクターそれぞれの必殺技は強力・派手・個性あり、の三拍子が揃っていて実に爽快。そのためにもやはり有効なコンボを繋ぐのは大事である。
      • 豪華声優陣によるフルボイスの呪文詠唱*2も凝っていてとても見ごたえがある。
    • 難易度が普通までなら、無理にコンボに凝らなくても問題なく進めるのだが、難しいになると取得経験値のレートが下がるため、スムーズにレベルを上げるためにコンボを利用して魔晶石を稼ぐ必要がある。難易度によって初心者向けか熟練者向けか上手く差別化ができている。
    • また、各キャラクターは武具の他に、自動で回復アイテムを使う、分身が一緒に攻撃してくれるようになる、致死ダメージを受けても一定確率で生き残るなどといった効果を持つスキルを装備することができ、戦略性を高めている。
    • なお、エインフェリアはヴァルキリーが実体化させているという設定があり、ヴァルキリーが戦闘不能になった状態で一定ターンが経過すると実体化が保てなくなって強制的に全滅→ゲームオーバーとなる。そのため、いかにヴァルキリーを生存させるかも重要になる。
  • ダンジョン探索にも力が入っている
    • 通常のRPGとしては珍しいタイプのダンジョンだが、操作体系やステージ構成はかなり練られていて本物のアクションゲームにも劣らない出来であり、評判は良い。
      • 無限稼ぎができないことも成長の戦略性を高めている。
    • PS末期のゲームだけあってグラフィックのレベルはかなり高く、背景描写は時に神秘的に、時に不気味にきめ細かく描かれている。モンスターやキャラクターのモーション・エフェクトも手抜かりがない。

シナリオ・演出面

  • 高評価のストーリー
    • 基本的に"与えられた使命を如何に効率的に果たすか"を求められ、前述のようにアクションや戦闘の比率が高い本作は一見するとストーリー性よりもゲーム性や戦略性を重視したゲームに見えるが、決してストーリーに手を抜いてはいない。
      • 条件を満たした場合のみ分岐するAエンディングルートではそれまでの主人公やプレイヤーの常識が悉く覆され、さり気無く張られていた伏線を回収し、怒涛の勢いで真実が明らかになっていく。ようやく語られるプロローグの意味、宿敵とのまさかの共闘、本性を現す黒幕、そして勃発する本当のラグナロクと、物語は二転三転し、息もつかせぬ展開で真の最終決戦に突入する。
      • 後述のエインフェリアのエピソードの濃さ、対照的な神界側の描写の薄さ、そして主人公の役割・立場などから、ヴァルキリーは本筋にはあまりかかわらず物語を俯瞰する存在のようにも思え、確かにBエンディングルートはその通りで終わってしまうが、Aエンディングルートで語られる本作の根幹のストーリーは紛れもなくヴァルキリー自身の物語である。
    • トライエース作品はストーリーが練り込み不足、説明不足、超展開、鬱、電波などあまり褒められた出来ではない作品が多いが、本作はそれらとは比較にならないほど練り込まれた素晴らしいストーリーである。
  • ヴァルキリープロファイルの人気を支えている要因として見逃せないのは仲間キャラ、エインフェリアたちである。
    • エインフェリアは例外なく死亡した人間で、参入イベントでは その生前の様子と死に至る過程が描かれている。仲間は20名以上いるにもかかわらず、これらの参入イベントや戦闘での性能の多彩さ・各キャラを演じる声優のボイスにより皆見事に個性が表現できている。
      • 国家に忠義を尽くしたがために国家の汚れ役を押し付けられる形で謀殺された射手
      • 生前は悪行ばかり働き地獄に落とされそうになるも、かつて一度だけ行った善行を思い出しエインフェリアに選定された悪党
      • 女の身でありながら復讐のために性別を偽って騎士団に入り、女であると言う正体を知ってしまった騎士団長と恋に落ちるも、復讐相手との争いで命を落とした剣士
      • 正義を信じて戦争をしてきたはずが、目の前にいる「斬るべき敵」が家族を守ろうしているだけの者であった事に正義が信じられなくなり、そのまま手を下せずに逆に殺された優しすぎる武者*3など彼らの死に様はいずれも切なく印象的。
    • またエインフェリアではないが、ヴァルキリーを偏執的に愛するあまり気を惹くために数々の悪事や謀略を仕掛け、時にヴァルキリーに協力しパーティーに加入することもある魔道士レザード・ヴァレスは演じる子安武人氏の熱演や作中で行う突き抜けた所業の数々により非常に人気が高い。次回作にも登場し、『SO3』や『ラジアータ ストーリーズ』でゲスト出演してしまうほどである。
      • ただし、基本的にやる事なす事が外道な悪人*4であるため、嫌う人も多い。
        あまりに業が深いという点は勇者適正値にも如実に反映されており、仲間にしてLV99かつ人物特性を育て切っても、勇者適正値が全キャラ中唯一のマイナスで終わるキャラでもある。
  • 出演声優もかなり豪華。
    • 上述した子安氏以外にも、オーディン役の池田秀一氏をはじめ、主人公ヴァルキリー役の冬馬由美氏や、井上喜久子氏に若本規夫氏と現在でも第一線で活躍するベテラン・実力派声優が名を連ねており、物語を大いに盛り上げてくれる。
  • BGMも珠玉の良曲揃い
    • 『スターオーシャン』シリーズと同様に桜庭統氏が手がける、良テンポかつエネルギッシュなステージ音楽&戦闘曲が探索を心地よく進ませてくれる。
    • 通常戦闘曲の 『未確認神闘シンドローム』 はそのインパクトのある曲名もさることながら、勇ましさを感じさせる曲調が人物観に非常にマッチした本シリーズの代表曲である。11/16拍子の不規則な音調が耳に残るボス曲『Confidence in the domination』も良質で、『スターオーシャン』への客演の際に使用されることも多い。
    • イベント曲も重厚で雰囲気に合ったものが揃っている。

賛否両論点

一部ダンジョンの攻略が難しい。

  • チュートリアルダンジョンで基本的な操作方法は教えてもらえるが、本当に基本的なものだけ。応用的な操作方法は自力で見つけるしかなく、そして応用操作が必須のダンジョンは複数ある。
    • 教えてもらえるアクション例:剣を振って先制攻撃をする、晶石を打ち付けて足場にする、特定のオブジェクトを剣で攻撃して壊す、足元の宝箱を開ける、宝箱に罠が仕掛けられている事がある
    • 教えてもらえないアクション例:ロープにつかまって移動する*5、晶石の欠片を持ち運んで使う、晶石を大きくしすぎた時の破裂の衝撃でジャンプする、晶石が破裂した後に残る光に乗る、晶石でレーザーを反射する…etc
  • 他にも巨大で複雑な構造のうえ大量のトラップが存在する「古代墳墓アメンティ」、穴へ落ちると強制的にダンジョンから放り出される「天空城」、無数の火山弾が避ける間もなく落ちてくる「炎の城塞」、晶石の使い方を熟知していないとアクションで詰まる「水中神殿」、ボス部屋の場所がわかりづらい「亡失都市ディパン」、無数のワープゾーンで構成される「アリアンロッドの迷宮」など、後半のダンジョンはアクションゲームに慣れていないプレイヤーには酷なステージも多い。中盤でもボス直前のカラクリ部屋がややこしい「ローム丘陵のカラクリ屋敷」、エリア間のつながりが恐ろしく複雑な「レザード・ヴァレスの塔」、その簡易版とはいえ十分複雑な構造を持つ「黒夢塔」といった難関ダンジョンが存在する。
  • ただ上記に挙げたダンジョンのうち、ディパンとレザード・ヴァレスの塔以外は全て難易度が「難しい」を選んだときのみ出現する。黒夢塔は難易度「普通」以下で出現するが構造が複雑なだけで難解な謎解きやアクションを求められるわけでない。
    • 因みに、それらの「難しい」を選んだ時のみ出現するダンジョンには「紅蓮の宝珠」というアイテムがあるが、これらは隠しダンジョンで封印された扉を開けるのに必要。この方法を用いないと仲間にできないキャラも存在するため、難易度「難しい」を選ぶ見返りはきちんと存在する。

ゲームバランスは若干崩壊気味

  • 一部スキルの有用性が高すぎる。
    • HPが0になった時に一定確率で生き残る「ガッツ」と言うスキルは、このスキルによって生き残ったHP1の状態でも問題無く連続発動するため、とりあえずこれをレベルMAXまで育てておけばキャラクターが劇的に倒れにくくなる*6
      • それに加え、条件を満たすたびに自動で回復アイテムを使うスキル「オート・アイテム」をセットして蘇生アイテムを大量に用意しておけば、もしガッツの発動漏れでキャラクターが倒れても自動的に即座に蘇生されるため、敵の全体攻撃で一度にパーティ全員が倒れ、しかも誰もガッツが発動しなかったと言う極めて稀な状況でしか全滅しないようになる。
    • 強すぎるので使わないという選択肢もあるのだが、終盤近くになってくると1回の敵の攻撃で数万ダメージといくらHPを上げても耐えられない事が多い*7。隠しダンジョンに至っては味方の最大HPが90000までしか上げられないにもかかわらず、単体で合計数十万ダメージを与えてくる連続攻撃を持つ敵や、全体攻撃で10万以上与えてくる敵も登場し、上記の強力なスキルを使用しない場合は非常に厳しい戦闘になる。
  • 「大魔法」が非常に強力
    • 魔術師の決め技の強化版「大魔法」は一部の杖でしか使えないようになっている。しかも序盤から手に入る該当の杖は大魔法を使うたびに壊れる可能性があるので多用はできないのだが、後に一定の手順を踏むと無制限で大魔法を使える杖を入手でき、ほぼ全ての戦闘が大魔法の連打で済んでしまうようになる。
      • もちろん全ての敵が大魔法一発で死ぬ訳では無いので撃ち漏らす事は少なくないが、大魔法に繋ぐまでのコンボを先述の「紫炎石」を沢山出すように組んでおくとほぼ毎ターン大魔法を連発できる*8
    • その大魔法各種も有効性の面で格差が激しい。具体的に言うと聖属性の「セレスティアルスター」と闇属性の「メテオスウォーム」の2つだけが威力が飛びぬけて高すぎる*9
      (どちらの魔法も同威力の全体7ヒットで、属性以外にも通常魔法のベクトルやCT増加量、決め技ゲージ増加量、それとエフェクトの長さ等で使い分けは出来る)
      一応炎属性の「カラミティブラスト」も5ヒットするため次点と言えるが、あとは似たりよったり。
    • ただし留意すべき点として一概に大魔法が強いからと言ってその魔法が最も利用価値が高いとは言えない、ということがある。
      • 本作は敵に弱点属性はあっても耐性が一切設定されていないので、相手の弱点がわかっていれば、それに合わせた魔法のセットアップにも意味がある。
      • 相手やパーティ構成、選択した難易度によっては大魔法を撃つことを前提に考えず、装飾品でCTを減らしてイグニートジャベリンやポイズンブロウ、補助魔法などを使用し臨機応変に立ち回り、戦士キャラに紫炎石を回した方が安定する場合もある。
  • 登場する敵のバランスについて
    • ボスの性能がゲーム進行に見合わなくなっている点も見受けられる。
      • 難易度ハード限定の専用ボスは中盤で登場するボス・レイスはラスボスを超える本編トップクラスの魔力や大魔法により対策をしないと一撃でこちらを全滅させかねない強さだが、後に登場するアズタロサやJ・Dウォルスは魔力は半分以下とかなり低く対策抜きでもあまり強くない。
      • なおレイスは特定のアイテムを使用した場合は一撃で撃破できる。アズタロサやJ・Dウォルスも同じアイテムが効果があるが、一撃では倒せない上に「キュア・プラムス」を唱えられて無駄になってしまう可能性もある。
    • ラストダンジョンで登場するボス達も中ボスのブラッドヴェインを除き、全員拍子抜けするほど弱め。
      • Bルートのラスボス・スルトは正規ルートのボスではないのでそれまでの中ボス程度の強さで、ある意味では妥当だがAルートのラスボス・ロキと中ボスのフェンリルは下記のブラッドヴェインよりもかなり弱い。
      • ロキはほとんどイベント戦の意味合いが強いが、フェンリルは特定の武器を入手しているなら前述のレイスと同様に一撃で倒せてしまう。無かったとしても単体攻撃や氷属性ばかりなので軽く対策をするだけで簡単に倒せてしまう程度の強さ。
    • ところがブラッドヴェインはA、Bルートのどちらでも登場するがこのボスはBルートの隠しボス的な位置付けとされていることが見受けられ、正規ルートのボス、しかも上記二体の前座としては場違い過ぎるほど異常な強さを誇る。
      • 頻繁に複数の属性や状態異常を複合させた全体攻撃を仕掛けてくる上に、魔力はレイスを超える堂々の1位。そこから繰り出される大魔法は無対策だと全滅必至の超威力である。後半になると連発してくる。
        しかも戦いが長引くと回復魔法で全回復までしてくるので、こちらの火力が足りないとそもそも倒せない。
  • 仲間になるキャラや装備の性能差について
    • 魔導士系のキャラは性能や使い勝手がほぼ変わらないのでまだ良いにしても、戦士系のキャラは役に立つキャラと役に立たないキャラとで性能がはっきりしており、格差がある。
      • 後から加入する戦士キャラは全体的に先に仲間になるキャラより一芸には秀でている部分もあるが総合的に低性能である場合が多い。
        例えば最初に仲間になるアリューゼは通常攻撃・決め技共に癖が無く最後まで頼りになるがそれ以降仲間になる重戦士タイプのキャラは通常攻撃が当てにくかったり、決め技のヒット数が少ない、威力が貧弱すぎて総合ダメージに劣るといった具合に頼りない。
      • 通常攻撃の一度のヒット数が多いルシオなど補助的な役割が強いキャラ付けになっていたりと決して使えないという訳ではないのだが、主力として使うには扱いに難があるキャラが多い。
    • こうしたキャラは戦闘ではあまり役立てられない代わりに、神界転送に適しているのがほとんどである。
      • かなり終盤で仲間になる蘇芳は加入イベントこそ見所があり勇者適性値が全キャラ中最高である反面、あまり強くないといった具合に後半のキャラほど序盤から仲間になるキャラとの格差が激しい。
      • ただし序盤ほどエインフェリアの絶対数が少なく、ゲームを円滑に進めるにあたっては強キャラであっても神界転送させなければならず(強キャラを手元に残したいのなら神界転送を絞らなければならない)、ゲームが進むにつれてエインフェリアの数は多くなり神界転送させるキャラの選択肢が増えていくことから、序盤に加入するキャラが強く、終盤に近付くにつれて性能が下がっていくというのはゲームバランス的には理に適っている(キャラバランスが良いに越したことはないが)。
      • またBエンドの最終ダンジョンやセラフィックゲートでは神界転送したキャラが復帰するが、もしも終盤のキャラが強かったなら序盤のキャラが戻ってきても活躍させられないためこの点も理には適っている。
    • 本作はヴァルキリーの主力武器が剣であるためか種類が多く性能も優れていたりと優遇されている反面、それ以外の種類の武器はやや冷遇されている面が強い*10
      • 槍や弓は後半で一部癖はあるが非常に攻撃力の高いものが手に入るが、全体的に攻撃力が低め。
        特に倭刀は入手方法の都合上、絶対に破損しないという利点があるが中盤以降は剣に比べて攻撃力が低く攻撃回数も少ないのばかりで、装備できる侍系統のキャラの性能が低めであることもあって使う意義が薄い。しかもその侍キャラ自体が普通の剣を装備できてしまうため、余計に倭刀の存在意義が無くなってしまっている。
    • セラフィックゲートでは攻撃力5000越えの強力な武器が手に入り、隠しキャラのフレイとブラムスの専用武器も同様に攻撃力が高いが槍・弓・倭刀に関しては3000弱のものしか手に入らない点でも露骨に冷遇されている。
      • この点もATKだけを見るとそう思えるが実際は槍や弓のキャラは通常攻撃や決め技のダメージ係数がかなり高くなっている場合が多い。
      • ヴァルキリーで例に挙げるとAT(Attack Trust)100の剣で3回攻撃した場合のダメージ係数は合計300%だが弓の場合は700%にまでなる。このためヴァルキリーは剣と弓とのATKの差が少ない序盤、中盤では圧倒的に弓が強い。
      • ダメージ係数の他にもヒット数が多い、裏回り、ガード不能、状態異常付与などの特徴&特殊効果を持つものがいくらか存在する。また弓は敵との距離関係なく攻撃が可能という特性もある。
      • これらを加味すると一概に剣だけが優遇されているとは言えず、例え剣とのATKが3000~5000ほど差があったとしても、剣キャラともそれなりに渡り合えるだけの能力を持っているキャラが多い(ただしヴァルキリーやアリューゼ、HARDモードのみの隠しキャラ、セラフィックゲート完全クリア時に手に入る剣は別格)。
      • 別格のアリューゼ以外の大剣キャラは大剣のATKは高いがダメージ係数を低くすることで他のキャラとのバランスを保っている。

ストーリー描写の陰鬱さ

  • 「死者の魂を取り込み使役する」というシステム上、キャラの死亡描写の多さはRPGの中でも屈指である。
    • 更に作品の性質上、殆どキャラが悲劇的な死に方をするため、必然的に雰囲気が暗く、好みが分かれる。
    • これとAエンディングへの流れは「プレイヤーの心理と乖離が激しい」として、かつてあった公式ページのスタッフ座談会では痛烈に自己批判されていた。

問題点

シナリオ面

  • Aエンディングの条件が厳しい
    • 上記のAエンディングに至るまでの条件がとても細かく、加えてある条件を満たすために神界の評価がある程度下がってしまうという、ゲーム性に逆らうプレイをしなければならないため、攻略情報を持たないとまず辿り着けない。
      • 一応ヒントはOPの展開とパッケージに書かれている英文である。その英文は「決められた運命を否定すべし」
    • 他にも通常1周目に行きやすいBエンディングでは最後にAエンディングのヒントが表示される。
      • しかしその内容は極めて曖昧で抽象的であり、攻略本やインターネットに頼らないプレイヤーは次周は取り敢えずゲーム性に逆らってプレイ→評価値が下がりすぎてしまいCエンディングという流れになりやすい。Cエンディングではもう少し具体的なヒントが表示されるが、やはり判り難い。
    • とある街を訪れると、期間限定でヴァルキリーの封印値が低下するイベントなども隠されている*11。しかしゲーム中ではノーヒントであり、情報を知らないと普通は気づかないレベル。
      • Aエンドの条件である『特定のチャプター開始時点で封印値35以下である』も、計画的にプレイしなければ難しい。
  • Bエンディングが非常にあっさりしている
    • 内容を簡単に説明すると、神界戦争に勝利してフレイに褒められ、ヴァルキリーは次の使命に備えて眠りに就く。という非常にあっさりしたもので、しかもこれと言った演出はなくただフレイの淡々とした台詞があるだけ。拍子抜けすること請け合いである。
      • ただし、真実を解き明かす事無く終わってしまった事を示唆するためのエンディングでもあるので、消化不良感はある意味意図されたものではある。
    • 位置付けとしては、Aエンディングはストーリーを、Bエンディングはゲーム性を突き詰めたものである。なお、Cエンディングは仕事をサボって評価値がゼロになり、粛清される。いわゆるバッドエンド。
  • 一部エインフェリアのイベントが描写不足。
    • 例を挙げると、死亡描写すら無く仲間になるロウファ、イベント開始時に既にヴァルキリーに選定されているラウリィ、殺された所でイベントが終わる詩帆、など*12
    • まだイベントが続くと思わせておいていきなりフィールドに戻る事もしばしばあるので、プレイヤーは混乱しやすい。
    • これらは攻略本で補足解説されているが、本編で省いていい理由にはならないだろう。

システム面

  • トライエース作品の例に漏れず、フリーズが頻発する。
    • 特に、戦闘終了後に○ボタン連打をすると高確率でフリーズする。
      • 不必要なボタン連打が危険であることは言うまでもないが、大魔法を使うだけでフリーズするガノッサなどは、もはやどうしようもない。
      • ストーリー中で大きな存在感を見せ、隠しダンジョンで満を持して仲間になるレザード・ヴァレスでさえもフリーズする状況を持っている。
    • 戦闘を繰り返していくと、突然戦闘勝利ボイスを喋らなくなるようになり、このままゲームを続けるとAエンドのイベント中にフリーズする。
  • 決め技の演出カットができない。
    • 決め技の中には演出がかなり長いものもあるので、何回も使ってると流石に飽きる。特に使用率の高いアリューゼ*13の決め技発動時の「テメェの顔も見飽きたぜ」という台詞は何度も聞く事になるため、「テメェの技も見飽きたぜ」となるプレイヤーは多い。
      • 次回作ではカット可能になった。
  • 『SO2』よろしくゲーム開始からセーブできるまで実に40分も掛かる。当然ながらカット不可。
    • というのも、音声付きの台詞は全部言い終わるまでメッセージ送りが出来ないためである。また、エインフェリアの加入イベントがスキップできない点も批判されやすい*14。故にイベントカット機能を入れてほしいという声も少なくない*15
  • 魔法書やスキル書にその効果が記載されておらず、それらを習得してからでないと効果が解らない。
    • またこれらのアイテムを配列変換することで別の魔法書やスキル書に変化するためどちらを習得するか悩みの種になる。特にスキル書は変換元と変換先で二者択一になっているものが全てのモードで存在する。
      • 特にノーマル、ハードの「スタンマジック」「スティールマジック」の2択はどちらも一長一短であり、頭を悩まされる。
    • フレイにはレヴェリー(攻撃時にそのキャラの分身が追撃を行ってくれる)の効果が乗らない、蘇芳の攻撃アクションの『夜叉撃ち』の際にダークというスキルを発動すると一回転して正面に戻ってくるなど、ゲーム内で実際にやってみないと発見できない要素も多い。
  • 一部装備の説明文が不親切。
    • 特にヴァルキリーの初期装備である『ニーベルンゲンの指輪』は「外すと評価が下がってしまう。それ以外にも隠された効果があるかもしれない」とあるが、実際には 「チャプター終了時にヴァルキリーが『ニーベルンゲンの指輪』を装備していないと、封印値と評価がそれぞれ2ずつ下がる」 と、かなり異なっている。つまりチャプター終了時以外なら外していようが問題ないのだ。
    • この事を知らず、冒険中にずっとニーベルンゲンの指輪を装備してプレイしていた人も多い。

その他

  • わざわざ正誤表が封入されるほど説明書の誤表記が多い。
    • CD-ROMはカセットROMと違って発売数日前でも間に合うほど製造が早く、パッケージや説明書の方が時間掛かるため。
  • OPとEDのアニメが浮いているとしばしば指摘される。
    • OPやEDに出てくるヴァルキリー達のキャラデザインが本編でのキャラデザインと著しく乖離しており、作画方面も安っぽさは否めない。
  • 『SO2』同様、キャライラストとドット絵の乖離が激しいという声もある。
    • 特にメルティーナは、イラストだと金髪よりの髪の色なのに、ドット絵ではなぜか茶色である。服装も全然違う。なまじ説明書で紹介されているキャラなので、初登場時は「誰これ!?」と言いたくなる事請け合いである。
    • フレイも髪の色が違うし、服も緑1色で貧相。上記メルティーナもそうだがキャライラストが割と美人に描かれているだけに残念である。
    • 蘇芳の兜の前立ての装飾が全然違うのも攻略本等で指摘されている。
  • 神界転送等でパーティを離脱したキャラのうち、ほとんどのキャラはBルートのラスダンであるヨツンヘイム宮殿や、隠しダンジョンのセラフィックゲートにいくと復帰するのだが、ハードモード限定で仲間になるリセリアのみなぜか復帰しない。おそらく不具合だと思われる。
  • 『スターオーシャン セカンドストーリー』と同様に本作もボイスコレクションが採用されており一定の収集率*16を達成する事で全ボイスデータが解禁されるが、今作でも実際のゲーム中では喋らないボイスが存在しており、自力で収集率を100%にできない。
    • 一部のボス敵はボイスが採用されているものの、絶対に喋らないボイスが設定されている者がおり、それを知らないとボイス収集で無駄に時間を費やしてしまうことになる。
      • バルバロッサは大魔法のボイスがあるが実際には使わず、バルバロッサの色違いモンスターは喋らない。また、J・Dウォルスは通常攻撃を行わないのでこれらのボイスは収集できない。
    • 前作と同じくクリアデータの保存ができず本編のAエンド・Bエンドのラスボスのロキとスルトは本編ではボイスの収集ができない。
      • セラフィックゲートでは、特定の敵PTとエンカウントすると、かなりの低確率でスルトの色違いの敵である『ジャイアントロード』が登場し、ボイスを喋るので収集する場合はこちらで集める必要がある。ただし当然ながらノーヒントなので、攻略情報なしでたどり着くのは至難の業。敵のシンボルも一般的なモンスターと一緒なので、知らないと区別がつかない。さらに本編のスルトとは段違いの強さを誇るので、育ってない状態で挑むとボイス収集どころか返り討ちにされかねない。
      • ロキの場合はエンカウントしたPTが『ロキーヌ』の場合、そのままボイスをしゃべるので問題ない。だが、ロキのシンボルとなっている敵は、エンカウント時にかなりの低確率で、出現するモンスターが「ハムスター×4」に変わる。
        かわいらしい見た目と名前に騙されるなかれ。 この「ハムスター×4」というPTは、作中最強の雑魚モンスターとして名高く、人によってはセラフィックゲートのボス以上の強敵。 実際に戦ってみるとその恐ろしさを否応なしに味わう羽目になるだろう*17
    • 『スターオーシャン セカンドストーリー』同様にボイスコレクション用のシステムデータはないが、ハードモードで紅蓮の宝珠を3つ以上回収して、道中の仲間をきちんと集めセラフィックゲートで戻ってきた仲間とボス敵のボイスを集めれば、1つのセーブデータでボイスコレクション全解禁状態に必要な収集率の達成は可能となっている。

総評

シナリオの暗さに好みがやや分かれる傾向にあるものの、エインフェリア関連のドラマや完成度の高い戦闘システム、成長戦略が問われるゲーム性が高く評価され一躍人気作になった。
後にスターオーシャンシリーズとともにトライエースの看板作品として成長を遂げることになる。


余談

  • 主君オーディンは、上下とも灰色の服に身を包んだその見た目から 「パジャマ」「寝巻王」 などとユーザーから呼ばれて散々ネタにされた。
    • Aエンドを見るとわかるのだが、やっている事が割とあくどい事や、そもそもオーディンのやらかしが戦争勃発の原因になっているせいもあり、ユーザーからの評価はかなり低い。
      そうでなくても、上から目線でヴァルキリーに面倒ごとを押し付けてくるような上司キャラという立ち位置もあり、いい心象を持つのは無理というものだろう。
    • 攻略本のスタッフインタビューでも「オーディンも悪人ですよね」などと言及されていた。

イージーとハードの難易度逆転

  • 攻略本のスタッフインタビューで「何も知らずにイージーをやるのが一番つらい」「やり込む要素は入れているがやり尽くすような設計はしていない」といわれていることから「イージーとハードの難易度が逆転している」と言われることがある。
    • 先述の通り一部スキルで劇的に倒れにくくなるため、こういったシステムを理解しているプレイヤーにとっては、レベルアップさせて防御力やHPを上げる事はさほど重要ではなくなる。重要なのはボスをきちんと倒しきる攻撃力を得る事のみで、それは大半が武器の性能に依存する*18
      • そのため取得経験値の多い少ないの差があまり意味を成さなくなり、「上級配列変換の宝珠*19」によって手に入る上位アイテムの存在だけが残ってしまう。
    • 一応ハードモードは他にも「加入するキャラは一律レベル1でスタート(最終章直前加入のキャラでもレベル1)と言うハンデがあるのだが、これは「生命の腕輪」と言うアイテムの存在により逆手に取る事ができてしまう*20
    • 難易度によって登場するダンジョンが変わり、特定の難易度でしか登場しないダンジョンが多く存在するのだが、ノーマルとハードでは合計数は大して変わらないが、イージーだけは半分以下の数しか登場せずレベルアップの機会が少なく、取得経験値の多さがあっても尚レベルが上げにくい。
    • 他にも、仲間になるキャラクターも難易度が高いほど総数が多くなる一方でチャプターの進みと神界転送を求められる回数は同じなので、イージーの方が余裕がなくなってくるシステムが多い。
  • ハードモードよりイージーのほうが難しくなるという風潮は上記スタッフのコメントのほか、大半のプレイヤーが「ハードモードと比較してイージーを評価している」事に由来している。モードごとに手に入るアイテムの種類や戦うモンスター等は異なるため、「ハードと比較して~が足りないからツラい」ではなく純粋に与えられたものを駆使しての対策、戦略を考えればこのモードがなぜイージーと呼ばれているかがわかる*21*22
    • イージーでは、強力な雑魚やボスがほとんど出現しないため、消費アイテムや防具の生成、補助魔法などはほとんど必要ない。またイージーでは不要なアーティファクトが多く手に入るが、それらは換金率が非常に高く、それらをMP変換していけばアイテム、防具が必要ないことと相まってMPが枯渇するような状況になる事はない。
    • 戦士系の武器、防具、スキルはハードと比べて良いものがなかなか手に入らず貧弱だが、魔導師の武器、防具、スキルは大魔法が無限に打てる杖が手に入らないということを除いて、ハードモードとほぼ互角のラインナップである。つまり「戦士系の武具やスキルがないからイージーはつらい」とか言ってないで素直に魔導師を2人配置すればよいのである。
    • エインフェリア加入時のレベルが非常に高いため加入→即転送が可能であり、転送用のキャラの経験値を稼ぐ必要がないのでメインキャラのレベルアップの機会は十分過ぎるほどある。ハードのように余ったピリオドを利用してレベル上げや稼ぎをする必要すらない。またチャプター8以外は一人以上、必ずエインフェリアが加入するため、キャラの選択幅は確かに少ないとはいえ、余裕がなくなるようなことはない。
    • 「生命の腕輪」が入手しにくいのは確かにネックだが、逆に言えば強力な装飾品を付け放題である。
    • ちなみにクリアタイムはハードだと大体30時間前後だが、イージーは10時間かからない。
    • ハードモードには登場しないダンジョンもいくつか存在していることも相まって、ハードモードプレイ後でも新鮮な気持ちでプレイ出来る。
      • そうしたダンジョンの中でも特に、「ゴーラ教団本部」はBGMの良さに定評のある本作でも屈指の人気曲である「魔降臨連鎖概説」が使用されているため、ハードでのプレイに慣れているユーザーからは「このダンジョンを攻略出来ないのがハードの一番の欠点」と言われることも。

その後の展開

  • 人気からシリーズ化され、続編も3作発売されている。
    • また、2015年には本シリーズの精神的続編と言える『イグジストアーカイヴ -The Other Side of the Sky-』が発売されている。シナリオは本作同様、則本氏が手掛けた。
      • 世界観こそ全く異なるが、戦闘やダンジョンのシステム、パーティーキャラは死者の魂、深刻なバグの多さなど本作から受け継がれた要素が多い。
  • 本作の移植としてはPSP版『ヴァルキリープロファイル レナス』が発売されている。
    • 変更点は各アニメムービーがCGムービーに置き換えられたことで、クオリティも非常に高い。それ以外にも、一部シーンに対してCGムービーが追加されている。
    • それ以外の追加要素はないが、フリーズ問題は解決されている。
    • ただしコンボ中で通常技が残っているのに突然決め技が発動するなど、劣化した部分もある。
    • 現在はスマートフォン用買い切りアプリへも移植されている。
    • PS5/PS4向けとして2022年9月29日にダウンロード版が発売される事が決定した…が発売1週間前に延期が告知され同年12月22日に。
      • HD化はされておらず、単なる移植版となっているため画質は言うまでもない。
      • また、一部の効果音など調整が入っているのか「音がこもっている」ような印象を受ける。
      • 大魔法の台詞にエコーがかかっていたが、それも消えている模様。
      • 他にも「画面がボヤけて見える」などの意見も見られ、ファンから不満の声が後を絶たない……。
  • 本作のED直後から繋がる実質的な続編シナリオが『スターオーシャン:アナムネシス』のコラボイベントで展開されている。
    • 通常、イベントシナリオは該当作の時空に行ってしまった主人公の交流シナリオなのだが、本イベントはSOキャラを排除したVPのみのシナリオが展開されている。
  • コミカライズもされており、本編のAエンディングルートを上手くまとめたものや、レザード・ヴァレスを主人公としたスピンオフ作品が存在する。

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最終更新:2023年11月13日 11:29

*1 ゲーム内ではチャージターンと呼称

*2 しかもキャラごとに同じ呪文でも微妙に詠唱が違う。

*3 彼がイベント中で発する「俺は今まで斬りすててきた者達こそ守りたかったのだ」は、本作屈指の名台詞として有名

*4 ヴァルキリーをおびき寄せるという目的の為に謀略を用いて、心配してくれていた恩師の夫を攫い、魔物化させて恩師を殺させたほどである

*5 序盤のダンジョンではロープで移動する仕掛けもなく、あるダンジョンの高い所にある宝箱を取るのに晶石や宝箱でムリヤリ足場を作って突破しようと試行錯誤しているうちにそこで偶然ロープにぶら下がっていて初めてロープの移動方法に気が付くというパターンが多く当時発売された4コマでもネタにされたぐらいである。背景と同化してロープが見えにくいのもそうなってしまった要因の一つだろう。

*6 レベルMAXでの発動率は85%にもなる。

*7 本編のボスの攻撃程度であればDMEアップや特定の属性半減、90%カット、DMEに転化する武器などの装備品や補助魔法を駆使すれば容易に耐えることが出来る。

*8 紫炎石はチャージターンが溜まっているキャラにランダムで分配されてしまうが、魔術師以外が決め技を使わないようにする=チャージターンを溜めないようにすることで簡単に解決可能。そして魔術師以外の決め技が必要なくなるほど大魔法は強い。

*9 ドラクエで例えるなら、他の大魔法をメラミ3発程度のダメージだとすると、この2つだけイオナズン10発くらいの威力がある。FFで例えるなら7のリミット技。攻撃一回に対するダメージはほぼ同じのため、攻撃回数の多いものほど強力になってしまう。

*10 同じく主力キャラであるアリューゼが使う大剣だけはそれなりに優遇されている。

*11 特定のキャラが仲間になるまで、その街ではエインフェリア加入イベントが一切起こらないのがヒントといえばヒントになるが…

*12 ロウファとラウリィも話の流れでどういう状況に追い込まれたのかは分かるので、どのようにして死んだかも想像で補える範疇ではあるが、選定に関わるヴァルキリーとの対話のシーンが丸ごと無いので感情移入はしにくい。

*13 加入が非常に速く(OPのイベントの一環で加入)イベントの都合上神界に転送できない。おまけにきちんと要望通りのエインフェリアを送った場合、職業を指定されない1章と4章で優先して魔術師を送らなかった場合中盤では戦士が不足するので必然的にパーティーにいる事が多くなるため。単純に決め技が強力なのも要因の一つ。

*14 特にバドラックというキャラのイベントはこれまた45分くらいかかる

*15 ちなみに、後に発売された『SO3』にはイベントカット機能が実装されている

*16 全ボイスデータ解禁に必要な収取率は95%

*17 因みに次回作にて「公太郎」というモンスターが登場した。どう考えても「へけっ」で有名なあのアニメの動物キャラがモチーフだろう

*18 特に主人公であるヴァルキリーは武器のランクによって決め技そのものが変わる他、魔術師も先述の大魔法が使えるのと使えないのでは大きな差がある。

*19 アイテムを別のアイテムに作り変える「原子配列変換」のパターンを変えられるアイテム。

*20 レベルアップ時にHPを余分に+300する装備品。初期レベルが低ければ低いほど、これによってレベルアップする機会が多く得られてHPを伸ばせる。さらに重複可能なので、アクセサリを2つともこれにしてレベルをあげると、余分に+600もあがる事になる。入手方法も『特定のアーティファクトから手に入るパラメータアップアイテムを配列変換する』なので、容易に量産が可能なのも利点

*21 以下を踏まえて一例を挙げると魔法威力を上げられたりCTを下げたりできる装飾品を装備した魔導師二人体制で、相手の弱点属性の、もしくはCTが低く強力な通常魔法を毎ターン撃ち続けるような戦略が有効となり、これで通常の雑魚戦からハードモードでも本編最強といわれている終盤のボス相手まで十二分に戦うことが可能。戦士系の決め技や、大魔法に頼り切る戦略はイージーでは非常に厳しく、逆に自分の首を絞めることになる。

*22 何も知らずにイージーをプレイした場合、先入観などから配列変換や戦士系の決め技や大魔法に頼り切ることに戦略が限定されることはないので、普通に生成や道中で手に入る宝などを用いて問題なくクリアが可能。全容を知った上でイージーをプレイする場合でも前述のような戦略に固執しなければ下記のような戦略は容易に思い浮かぶため簡単にクリア可能。冷静に考えて楽にクリアするのに「先を見越した稼ぎが必要」で「強力なキャラやスキルや魔法、上位の配列変換などの事前情報が必要」な上に「ダンジョンの難易度が桁違いに高い」ことなどを踏まえれば本来は「何も知らずにハードをやる」のが一番難しいに決まっているのである。