じぱんぐ島 ~運命はサイコロが決める!?~

【じぱんぐじま うんめいはさいころがきめる】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 1枚
発売元 コナミ
開発元 ハムスター
発売日 1999年10月27日
定価 4,800円
プレイ人数 1~4人
セーブデータ 2ブロック使用
配信 ゲームアーカイブス:2007年6月28日/600円
判定 良作


概要

「カタンの開拓者たち」という名作ボードゲームの舞台を日本の戦国時代に移し独自のアレンジを加えた作品。

特徴

  • 以下「カタンの開拓者たち」との違いを中心に特徴を挙げていく。基本的な部分についてはカタンと同様なので、まずはWikipediaの記事ニコニコ大百科の記事で基本のルールを理解した上で読み進めてもらいたい。
    • まず、前述の通り舞台は日本の戦国時代。ただし、あくまで「戦国時代の世界観をモデルにしている」だけなので別に武田信玄や織田信長が出てきたり実際の日本列島が登場したりはしない*1
      • これに伴い「勝利ポイント」は「石高(10万石単位)」に、「家」「街」はそれぞれ「小城」「大城」に変更されている。
    • 建物は3段階で発展する。最低ランクの「とりで」は石高を得られない。
    • 資源の種類が木材、粘土、麦、鉄、羊毛の5種類から米、人、木、石、鉄、金の6種類に変わっている。
      • 金は特殊な扱いの資源。通常では金が手に入る土地は出現しないため基本的に貿易でしか入手できない。
    • 「7」の土地が存在する。このため最も資源を得やすい(=優秀な)土地は7になっている。
      • 「一揆」(カタンの盗賊に相当)の出現条件が「7が出た時」から「ゾロ目が出た時」に変わっている。また一揆が発動しても資源が奪われることはないが、一揆の周りでは全ての兵士が動けなくなるため防衛に使える。
      • 一揆はゾロ目を出したプレイヤーが好きな土地に置くことができ、置かれた土地では資源が手にはいらなくなり、その土地の数字が出る度に一気に資源が10ずつ貯まるようになる。貯まった資源は次回ゾロ目を出したプレイヤーがボーナスとして受け取れる。
    • プレイヤー間の交渉はできなくなっている。また貿易のレートが各プレイヤーの所持する資源量に応じて変動するようになっている。
    • 資源が得られる通常の土地以外に特殊な土地が3種類存在する。
      • 都は資源は一切得られないがこの周りに城を持っているだけで貿易のレートが有利になる。
      • 荒れ地はそのままでは無価値だが、イベント「開拓」、「大開拓」でいずれかの土地にランダムで変化する。
      • 未開地は一部のマップにしか登場せず初期配置で城を置けない唯一の土地。他の場所から道を伸ばすと荒れ地同様ランダムに変化する。
      • 前述の金が手に入る土地は荒れ地か未開地の変化によってのみ出現する。
      • 未開地がいきなり都に大発展したりするが気にしてはいけないのだろう。
    • 最大の特徴は兵を作って他者の城に攻め込めること。
      • 攻め落とした城は自分の物になる。カタンとの最大の違いといえる要素である。
    • カタンのチャンスカードを発展させたカードシステム。
      • 「内政」「戦略」のおおまかなジャンルからカードを引ける。いずれもうまく活かせば戦局を有利に持っていける。
    • カタンの称号システム同様の大名システム。
      • カタンよりジャンルが増えている。
    • 周期、ピンゾロの2種類のイベント。
      • 周期はランダムで発生するイベント。ピンゾロは1、1のぞろ目が出た時にのみ起こるイベントで周期より強力。
    • その他細かい違い多数。

評価点

  • TVゲームではマイナーなカタンのゲームであること。
    • 本作の本質的な面白さはカタンのそれである。しかし単なるゲーム化ではなく、そこにオリジナル要素を多数付け加えているのが本作の魅力である。
  • 非常に高い戦略性。
    • 「運命はサイコロが決める!?」というタイトルに反して本作の戦略性は非常に高い。
    • 他人が建てた城を横から奪い取れば、資源を消費せずに高ランクの城が手に入る。当然、建てた方も奪われないための策を練る必要がありそこに駆け引きが生まれる。
    • もちろん他人の争いを横目に、ひたすら新天地に向けて領土を広げていってもいい。本作に「定石」はあっても「唯一解」はない。
    • カードやイベントのバランス調整も見事。基本的にイベントは全てのプレイヤーが影響をうけるため、上位層にとっては「下位を引き離す」、下位のプレイヤーにとっては「上位に追いつく」チャンスになる。
      • カードには引けば確実に勝てるようなバランスブレイカーも、引いただけで不利になるハズレカードも存在しない。いずれも「戦局を自分側に有利に傾ける」、程度の効果しかないがうまく活かせば確実にチャンスを作り出してくれる。
    • 勝つための方策があれば多少サイコロの出目が悪くとも勝つことは可能。モノポリーなどと同様に「実力で運を引き込んでいく」ゲームといえるだろう。
  • グラフィックが丁寧。
    • 説明書がモノクロだったりするので低予算で作られた作品なのは間違いないのだが、低予算だからと手を抜かず非常に丁寧に描かれている。
    • ポリゴンは使っていないがそれが逆に独特の温かみを生み出している。
      • PSクソゲーのお約束の一つに「予算も技術もないのにポリゴンを使って結局肝心のゲーム内容もポリゴン自体もメチャクチャに」というのがあるが本作は無縁である。
    • 戦の背景がステージ毎に違うものになっているなど細かい所も。
  • 個性豊かなCPU。
    • 4人対戦の足りない人数を補うCPUの個性が非常に豊か。
    • 単純に強さが違うだけでなく、好む戦略が全く異なる。
      • 「戦争大好き」「カードを積極的に使用」「ひたすら道を繋いでとりでを建てる」…中には「うっかり戦略を間違える」「何を考えているのかわからない」という変わり種も。
    • 事あるごとにオーバー気味なリアクションを返してくれる。
      • 嬉しい時は大笑いしたり、踊ったり、分身したり、墨を吐いたりして喜びを表現する。逆に悲しい時はこちらが悪く感じるくらい落ち込む。
    • すず姫が可愛い。なんてったて黒髪ポニテ+強気サムライガールですぜ、ダンナ?
  • BGMは目立たないがなかなかの良曲ぞろい。
    • あまり前にはでてこないがいずれもステージごとのイメージによくあっている。基本的にクリアまでずっと同じ曲であるため、あえて耳に障らないようにしたのだろうか。
      • 特に「北の大地」のBGMは凛としつつ柔らかな良曲。
    • 戦になれば激しい音楽になるなど状況に応じてちゃんと曲は変わっていく。
  • チュートリアル付き。
    • 項目ごとにCPUが丁寧に解説してくれる。
    • やや複雑なルールだがチュートリアルを一通り見た上で1度プレイすれば大体の所は理解できるはずである。
  • 地味に記録機能が豊富。
    • 各人の戦績が「何の大名を何回取得したか」「何位を何回取ったか」などの細かいところまでしっかり記録される。
      • CPUの戦績も同様に記録される。さらに10回の試合をこなすと、今までの成績に応じて階級を付けてくれる機能もある(特にメリットがあるわけではないが)。
  • ゲームのテンポが良い。
    • 4人参加型のボードゲームとしてはプレイ時間は短め。設定石高にもよるが長くても1時間程度。
    • 城の強化、兵の配置などにはアニメーションが入るが全てボタン1つでスキップできる。
      • 個々のアニメーションは短いとはいえ、積み重なれば阻害されるため良い配慮だろう。こういう細かい気配りがうれしい。
    • 前述の通りポリゴンを使っていないこともあるのだろうが、ロード時間が短い。イベントや戦の前には一瞬暗転が入るが、ほぼ気にならないレベル。

賛否両論点

  • 妙に緊張感がない。
    • 戦国時代をモデルにしているにしてはキャラクターなども丸っこくかわいらしいデザインになっている。
      • 戦の際の掛け声は「すすめー」「まもれー」、勝負がつけば「やったー」「まけたー」。
      • 本作の味と言えば味であるがやってることはガチの天下統一なので…。

問題点

  • カタンをベースにしたとは言っても、実際のゲーム性はかなり異なる。
    • カタンではボード上の覇権は資源をより多く産出し、より効率よく拠点を発展させることで決まるが、このゲームでは派兵で奪えるので、鉄砲隊を作り攻めこませることで低リスクに版図を広げることが出来てしまう。
      • このため、カタンのような盤面配置とそれに基づく戦略を楽しむゲームというより、いかに少ない資源で派兵して奪うかというゲームになってしまっている。もちろん、鉄砲隊まで育てるには、それなりに内政を充実させないと育てにくいのだが、兵のランクアップは一律同じコストのため、道を伸ばして領土を広げるより低コストに感じる。
  • 初心者と上級者の腕前の差が如実に表れる。
    • ハンデもなく、上級者側が手を抜き、参加CPUを弱いCPUのみに絞るぐらいしか初心者と上級者が対等に勝負する手段はない。
  • 戦略性はあっても戦術性がない。
    • 戦自体は互いにサイコロを振りあい数の大きい方が勝ちとなる。強い兵やランクの高い城は振れるサイコロの数が増えていく。
    • しかし、計算すればわかるが、サイコロの数が少ない方が多い方に勝つ確率は極端に低い。実質高ランクの兵に攻め込まれた時点で負けは確定である。
      • そういう状況に至らせないことも戦略のうちではあるが…。
  • 敵CPUの頭があまりよろしくない。
    • 内政に関してはそこまで酷くないのだが、戦争関連では兵を行ったり来たりさせるなど意味不明かつ、無駄な行動が目立つ。
      • これは高ランクのキャラでもあまり変わらない。むしろ最低ランクで一切の戦争を行わない「若」が無意味に動かない分、意外な発展をしたりする。
  • シナリオモードが運ゲー。
    • 本作には1人であらかじめ用意された状況を戦い抜くシナリオモードが存在する。が、これがかなりの運ゲーになっている。
    • ほとんど攻め落とされる寸前だったり、CPUの石高が天下統一目前だったりしてサイコロの出目が悪いとそのまま負けかねない。
    • 幸いセーブ、ロードに制限がないため良い目が出るまでロードを繰り返せばどのステージも勝てる。
      • …が、当然戦略もへったくれもなくなる。
    • 最初の8つのマップをクリアすると隠しマップが順番に出現するがなぜか一番難しいのは最後から3つ目だったりする。
      • ちなみに出現させたマップはフリーモードで使えるが、シナリオモードでクリアしなくても出現させるだけで使えるというよくわからない仕様である。

総評

知る人ぞ知るPSの隠れた良作。高い戦略性ゆえに中毒性が高く、はまる人はとことんはまる。
しかし原作からして相当にマイナーなゲームであることは否めず、その存在を知らない人も多い。また中古市場を探しても意外に見つからないゲームである。
幸い現在ならばゲームアーカイブスから安価に手に入れることが可能なのでぜひともプレイしてもらいたい作品である。


余談

  • どうでもいいが資源の中に平然と「人」があるのは倫理的にアリなのだろうか。
    • 普通に考えるならば労働力としての人なのだろうが、貿易でも使えるので人身売買にしか見えない。
    • しかも数える単位は「個」。いくら戦国時代でも人間とはここまでひどい扱いを受けるものなのだろうか。
      • 直接的な描写があるわけでもないので、ゲームアーカイブスなどでは全年齢対象になっている。しかし裏読みすると本作は「人身売買が積極的にできる(そしてそのことについて非難されない)」という日本では珍しいゲームになる。